トレセン学園の農園で土にまみれる日々   作:タカハン

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作者のウマ娘歴は1週間です。
二次創作は沢山見ました。


ウオスカとデジタルと雑草取り、あとタキオン

ある日の昼下がり。

 

俺は学園内を歩いていると、とあるウマ娘を見付けた。

 

「はわぁ~あの二人はいつ見ても素晴らしい関係性を見せつけてくれますねぇ~~」

 

そう。アグネスのやばい方(?)こと、アグネスデジタルであった。

ウチの農園にはあまり姿を見せないが、その奇行からか学園内では有名である。

 

……よし、面白そうなこと思い付いた。

 

「なぁ、アグネスデジタル、ちょっと良いかい?」

 

「ひょえっ!?わわわ私に何かご用件がおありでっ!?……あれ、貴方は確か」

 

「そう、農園管理してる用務員の鬼頭なんだけど、ちょっと人手が欲しくてね」

 

「何故私に……?私もそれなりに忙しいのですが」

 

ウマ娘観察で忙しいだろう事は突っ込まない。

 

「何もタダで手伝って貰おうとは思ってないさ。ウチで取れた野菜がある……と言うのは建前で」

 

「?」

 

「…………作業着姿のウマ娘が仲良く作業しながら汗にまみれる姿」

 

「わっかりましたぁ!!!」

 

 

 

そんな会話をした数日後の休日。

 

「俺が先に着いたんだぞ!」

「何よ!準備を万全にした状態じゃないと意味無いじゃない!」

 

「はわぁ~……いがみ合いつつも持論をぶつける二人……良いですねぇ~……」

 

「…………あの、始めても良いかな?」

 

現在、農園にはウオッカ、ダイワスカーレット、そしてアグネスデジタルに集まって貰っている。

 

「さて、今日の作業なんだが、今日は雑草取りをやってもらう」

 

「雑草!?野菜じゃなくて?」

「スカーレット、雑草はちゃんと取らないと美味い野菜にならねーんだぞ。知らねぇのか?」

「うっさい!知ってるわよ!そういう事じゃなくて!」

「はわぁ~」

 

「ウオッカ、スカーレット、その辺で。デジタルは起きてくれ」

 

さて、ここら辺で三人の服装について説明しておこう。

 

ウオッカは黒主体で白のラインが入っている上下一体型の作業着と黒いつば付き帽子を被っている。黒い長靴を履いていなければ農業よりもバイクの整備工場等で働いていそうな服装である。

 

スカーレットはこちらも上下一体型の作業着で、カラーリングは青、白いつば付き帽子を前後逆にして被っている。長靴は青で、まさに農業をやるという服装であった。

 

デジタルの作業着は上下分割型の物で、白主体だが所々にピンクが入った中々可愛らしい物であった。そのアクセントになるように長靴と帽子は黄色で、二人とはまた違う印象を見せる。

 

「あれ、ウオッカ、手袋は?」

 

「あー……ちょっと忘れて来ちまって」

「それよそれ。幾ら早く来たって忘れ物したら意味無いじゃない」

「何を!?」

 

「はいストップ。一応軍手だけど手袋はあるから、喧嘩しないの」

 

喧嘩する二人を宥めつつ、作業の説明をする。

 

「今日はスナップエンドウの列と、あと新しく植える列の雑草取りをしよう。終わったらご褒美もあるぞ」

 

「おう!」

「「はい」」

 

「よし、作業開始!」

 

 

 

「つっ、流石に足が痛くなるわね……」

「そうか?俺は全然痛くねーぞ?」

「えっ!?アンタどういう体勢してんのよ!」

「しゃがんでるだけだが?」

「何よ!アタシだって……うわ、わわっ」

 

「あー……しゃがむ体勢は昔からやってないとできなくなるらしいんだよな」

「そうなんですか?私は普通にできますけど」

「ちょっと汚い話になるけど、家に昔から和式トイレがあるとできるって人が多いんだよな」

「へぇ~為になりますね~」

 

 

「ハァ、ハァ、流石に疲れてきたな」

「ふぅ、何?アンタもうへこたれたの?」

「んな訳ねーだろ!」

 

「おー作業がよく進む。だけど休憩しながらやってくれよな」

「はわわ~良いですねぇ素晴らしいですねぇ!」

 

 

「お、終わった……」

「レースの時とは、違う疲れね……」

 

「え?まだ一列しかやれてませんが……?」

 

「デジタル先輩はなんで疲れてないんだよ……」

「流石『勇者』ね……」

 

「はわっ!お二人に褒められて有り難き……」

 

「んーじゃあ休憩するか。三人とも水飲んでな」

 

 

「さて、再開しますか」

 

「ですね!早いとこ終わらせましょう!はっ!ある程度時間かけてもそれはそれで……」

 

「デジタルー。自分の世界に入らないでなー」

 

 

 

「「終わったぁー!」」

 

「ふぅ、流石に疲れましたね」

 

「よし、じゃあご褒美タイムだ。と言っても野菜しか出せないが」

 

「待ってました!」

「アンタはがっつきすぎよ」

 

「良い……良いですぞぉ!」

 

デジタルがどちらに良いと言っているかは置いといて。

 

「ほい。ラディッシュだ。」

 

「うん……?」

「色が……」

 

「随分とカラフルですね」

 

「そう、レインボーラディッシュって奴でな。白、赤、紫、黄色の四色が入っているんだ。味は変わらないよ」

 

「へぇ、面白いな」

「サラダとかに入れても良さそうね」

 

「ですねぇカラフルですねぇふふふ」

 

こいつの琴線がわからん。

 

「じゃあ食べててな」

 

「マジすか!?いただきます!」

「ちょっと!私の分も残しといてよ!……あれ、デジタルさん、そのラディッシュ、随分赤いですね」

 

「黄色いのを取りました」

 

「わわっ!血が出てるじゃないですか!」

「大丈夫か!?」

 

「大丈夫で……かふっ」

 

「「デジタルさーーーーーん!!!」」

 

 

 

 

 

そんなこんなありつつ、三人を帰し、片付けをしていると、

 

「やあ、鬼頭クン」

 

「……その声は、タキオンか」

 

白い上下分割型の無機質な作業着を着た、アグネスのやばい方こと、アグネスタキオンがそこに立っていた。

 

「今日の作業は終わったのかい?」

 

「今日は雑草取りだけだったからな」

 

「そうかい」

 

「再三になるけど、実験は」

 

「『自分の畑でやれ』だろう?わかっているさ」

 

これも、会議の後詰めで決めたことである。

希望者には自分の畑を用意する。

 

ニシノフラワーなど、畑を花壇にするもの等がいるが、むしろタキオン等、彼女等のやることから畑や生徒を守るため。

 

自分の畑を用意する交換条件として、積極的に畑の手伝いをする事。それを取り決めにしている筈だったが……

 

「タキオン、何時になったらウチの畑を手伝うんだ?」

 

「時は金なり。私には実験がある」

 

「……その実験に必要な植物を育てているのが君の畑だろう?あまりにも守られないなら畑を没収するぞ」

 

「それは困るなぁ……」

 

だからと言って、あまりにも積極的ではない生徒を巻き込むのは流石に……あ、そうだ。

 

「タキオン、この野菜知ってるか?」

 

俺はとある野菜の種のパッケージを見せる。

いや野菜なのかは甚だ疑問だが。

 

「アイス……プラント?なんだそれは」

 

「多肉植物の一種なんだが、面白い性質があってな……土壌の塩分を吸引するんだ」

 

「ほう!」

 

食い付いた。

俺はそのまま、パッケージを寄せる。

 

「これ、葉の表面に透明なプチプチが付いてるだろう?ここに塩分を貯めるんだ」

 

「ほうほう」

 

「で、俺の見立てだと、恐らく塩分以外も貯められると思うんだ」

 

「ふむ……しかしどうだろうか」

 

「そこはやってみなければわからない。そこで、今から種を蒔こうと思っていたんだが……」

 

「ふぅン?」

 

「育った内の幾つか、そうだな、プランター三個。タキオンに渡そうかなと」

 

「むむ、三個か……個人的にはもっと欲しいが……」

 

「タキオンがこの作業を頑張ってくれたら、もう幾つかやってもいい」

 

「決まりだ!とっとと始めようか用務員クン!」

 

「と言っても、まずは土の準備からだな」

 

「なんだい、やる気が削がれた」

 

「まてまて、これも立派な作業だぞ。勿論苗が育ったらプランターに植え替えするまでが一連の流れだからな」

 

さて、タキオンを宥めつつ、作業を始める。

ポリポットに土を入れ、指で穴を空けたら種を入れ、軽く土を被せる。そうしたら、最後に上から如雨露で水をかけて終わりだ。

 

「さて、タキオンは当然のように手袋は持ってきてないな」

 

「何なら長靴も履いてないよ」

 

「開き直る所じゃないぞ」

 

これまでの罰の意味も込めて、土入れと水やりを任せよう。……軍手だと種蒔きはやりづらいからな。

 

 

 

「ふぅン、これで終わりかい」

 

「本当はもっとやりたいんだが、塩害が心配だからな。畑ではできないし、これが限界かな」

 

「じゃあ私は帰らせて貰おうか」

 

「おう、気を付けてな……の前に、軍手返せ」

 

「あっ、忘れる所だった」

 

今度こそタキオンを帰し、今日の作業は終わりを告げるのだった。

 

 

 

「はぁ、疲れた」

 

「おう、おつかれさん、鬼頭」

 

「太田(おおた)、手伝ってくれても良かったんだぞ?」

 

「うっ、まあ、用務員の業務もあるしな」

 

「俺達農園の管理者は、用務員業務は免除されている筈だが?」

 

「……わーったよ、次から参加するから」

 

「全く……」

 

「その辺で、鬼頭さん」

 

「五十嵐(いがらし)、お前もだぞ」

 

「私はやる気が出ないので」

 

「なお悪いわ」

 

こいつらは太田と五十嵐。

太田は実家が元々酪農家をやっていたんだが、太田が子供の頃に離農。

五十嵐は実家で養鶏を今もやっているそうだが、色々あって用務員をやっている。

 

「何かやる気の出ることでもあれば良いんですがね」

 

「考えてても埒があかないし、風呂入って寝るか」

 

こうして夜が更けていく……




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