トレセン学園の農園で土にまみれる日々   作:タカハン

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ゴルシのハジケっぷりは再現できません。

口調も再現できません。

それでもよろしければお進み下さい。


ゴールドシップとハバネロととうもろこし

「おう耕兄ちゃん、ハバネロの種蒔いて良いか?」

 

「自分の畑になら良いぞ」

 

「なんだよーぅ、つれねーなー」

 

農園で業務をこなしていると、学園の問題児、ゴールドシップが話し掛けてきた。

勿論誘いは秒で断るが。

 

「当たり前だゴールドシップ。トウガラシは他の野菜への影響があるからな。例えば」

 

「あーゴルシちゃん知ってるぜ。ピーマンとかししとうとかが辛くなるんだよな」

 

「……よく知ってるじゃねえか」

 

「へへっ。褒めてもカツオしか出ねえぜ」

 

「褒めてもないしカツオは出すな。どこから持ってきた」

 

「そりゃ海からだよ」

 

耕兄ちゃん何言ってんだ?という顔をしたゴールドシップを置いといて、彼女の服装を見る。

 

上下一体型の真っ赤な作業着に白い手袋と長靴を着けているその姿はまさに農家とも言うべき格好だが、肩には何かのマークを貼り付けている。

 

「ところでゴールドシップ、肩のマークはなんだ?」

 

「ん?階級章」

 

「何のかは聞かないでおこう」

 

「そうだな。聞いたらとある組織に狙われる羽目になるからよ」

 

「なんだそれ……」

 

このまま彼女と会話していたら身が持たない。

 

あ、そうだ。

 

「なあゴールドシップ、俺もハバネロの種蒔き手伝うよ」

 

「おっ、マジか!?流石に■■■ヘクタールのハバネロ種蒔きは一人じゃきつかったからよー」

 

「ん?今何つった?」

 

「トレセン学園の総面積。■■■ヘクタール」

 

「上手く聞き取れなかったしその量は止めてくれ」

 

「しょーがねーな、じゃあゴルシちゃんの畑だけで勘弁してやるよ」

 

「いやもう是非そうしてくれ……じゃなくて、ついでに農園の方も手伝ってくれないか?」

 

「お?何だ何だ?ドラゴンブレス※でも蒔くのか?」

 

「トウガラシから離れてくれ」

 

※世界一辛いトウガラシ。

 

「じゃあ何蒔くんだよ」

 

「とうもろこし」

 

「マジで!?やるやる!」

 

「先にハバネロからな」

 

 

 

「さて、やりますか」

 

「おう、やれやれぇい!」

 

「お前もやるんだよ」

 

ポリポットに土を入れ、真ん中に3cm程の穴を開ける。

そこに、3粒程種を蒔き、追加で穴を埋めるように土をかける。

最後に水をかけて終わりだ。

 

「流石にハバネロの栽培方法は知らんが、一般的なトウガラシ栽培方法で良いだろう。多分」

 

「オイオイ多分ってなんだよーぅ、アタシのハバネロちゃんはちゃんと育つのか?」

 

「いやわからん。だけど多分大丈夫だろう」

 

「じゃあ良いか」

 

ゴールドシップはケロッとした顔で納得する。さっきの不安そうな顔は演技だったのか……?

 

「んじゃアタシも始めますか。耕兄ちゃん土の袋取ってー」

 

「ん?ほい」

 

「サンキュ、ところでこの土って何だ?畑の土と違うもんか?」

 

「種蒔き用の土だよ。これ使うと使わないとじゃ育ちが違うからな」

 

「へーそんなんあるのか」

 

「ところでゴールドシップ、ハバネロの種なんてどこで手に入れたんだ?」

 

「ん?普通にホームセンターに売ってたぞ」

 

「マジか……ちなみにもう一つ聞くけど、トレセン中に蒔く予定だとかさっき言ってたが、そんなに育てて何に使う予定だったんだ?」

 

「そりゃゴルシちゃん特製デスソースを作るためだぜ☆」

 

「そんなに要らないだろ……」

 

そんな会話を続けて……

 

 

 

「よし、種蒔き終了!」

 

「やっと終わったかー。さて、マックちゃんところにでも行くかなーっと」

 

「待て待て、その前にとうもろこしの種蒔きだ。乗り気じゃなかったのか?」

 

「んぇ?アタシそんなこと言ったっけか?」

 

「言ったよ……」

 

渋るゴールドシップを宥めつつ、軽トラに種の袋と道具を載せる。

 

「ゴールドシップ、助手席と荷台、どっちに乗る?」

 

「運転席の上で」

 

「却下」

 

「んじゃ荷台で」

 

「わかった」

 

 

 

「やっぱここは風を感じられて良いな!ゴルシちゃん船に乗った時を思い出すぜ」

 

「そりゃ良かった」

 

 

 

畑に着くとまずは畝への水やりから始める。後からやるマルチ張りに必要な作業だからな。

俺は蛇口にシャワーホースを繋ぐ。

 

「ゴールドシップ、水やりやってみるか?」

 

「じゃあやらせて貰おうじゃねーか」

 

畝の上に虹がかかる。

こうしてみると絵になるんだけどなぁ……。

 

次にマルチ張りをする。

黒いビニールの筒を荷台から取り出し、ビニールの端を畝の端にピンで留める。

 

「ゴールドシップ、マルチ広げてくれ」

 

「オッケ、どんくらいだ?」

 

「まずは……ああ、そのくらいで」

 

2mほどマルチを出したら、端と同じようにピンで留める。

それを繰り返し、畝の端までマルチを敷いたらピンで留め、マルチをカッターナイフで切る。

最後に、マルチが風で飛ばないようマルチの縁に土をかけてマルチ張りは終わりだ。

これを3列程繰り返す。

 

次にとうもろこしの種が入った袋を開ける。

 

「お~、あの粒がそのまんま入ってる感じなんだな」

 

「そうだな。考えてみりゃ当然なんだがな」

 

「うっし、んじゃやるか」

 

「おう、じゃあまずは俺のやり方を見ててくれ」

 

俺はまずマルチの端から30cmの所のマルチをカッターナイフで切り、指で土に穴を開ける。そして、種の下側、尖っている方を上に向けて種を穴に入れ、土をかけて穴を塞いで終わりだ。

 

「んじゃゴールドシップ、始めるか。ほいカッター」

 

「おうよ!」

 

 

 

「あ、そういや耕兄ちゃんに聞きたい事があるんだけどよ」

 

「俺に答えられる事なら」

 

「とうもろこしって野菜なのか?」

 

「……どういう事?」

 

「とうもろこしってイネ科だよな」

 

「よく知ってるな」

 

「へへっ。褒めてもキーライムしか出ねえぜ」

 

「今回は褒めたが……キーライムは確かアメリカの果物だったよな。日本では流通していない筈だが」

 

「そりゃ向こうで手に入れたからな」

 

「最早何も語るまい。それで?」

 

「米とか小麦とかもイネ科だろ?そいつらは穀物として扱われるけどとうもろこしは野菜として扱われるだろ?何でだ?」

 

「言われてみれば不思議な話だな」

 

「みんななら何か知ってるかもな」

 

「ん?みんなって何の事だ?」

 

「誰か教えてくれよな」

 

「誰に話し掛けているんだ……?」

 

 

 

「これで、終わりっと」

 

「お疲れー、耕兄ちゃん。ゴルシちゃんはお腹が空きました」

 

ゴールドシップが珍しく労ったと思ったらそれが狙いか。

 

「ラディッシュしかないけど」

 

「読者からワンパターンだって言われるぞ」

 

「読者って何の話だよ」

 

「というかもう似たような事は言われてるぞ」

 

「だから何の話!?」

 

「感想ありがとうな!」

 

「はぁ、もういいや。……んーじゃあ、ちょっと待っててくれ」

 

そう言うと俺は、ビニールハウス脇に置いてあるプランターに近付き、そこに植えていたとある野菜をハサミで切っていく。

 

「本当は俺の朝御飯に並ぶ筈だったんだがなぁ……」

 

「堅いこと言うなよ。んで、それなんだ?」

 

「ベビーリーフって奴だ。幾つかの葉物野菜の若葉をサラダにして食うんだ」

 

「あースーパーとかで売ってるよな」

 

「そうそう。ところでドレッシングとかかける?」

 

「ゴマドレ!」

 

「あーはいはい。宿舎から取ってくるわ」

 

「あ、じゃあ良いや。待てないし」

 

「へ?」

 

そう言うや否や、ゴールドシップは器に乗せておいたベビーリーフを口に放り込む。

 

「うん、旨いな。そのままでもゴマみたいな風味があるから、ドレッシング無しでも十分食える」

 

「多分それはルッコラだな。辛味もあったろ?」

 

「おう、確かに。この黄色い茎の奴はなんだ?」

 

「それは多分スイスチャードかな。ピンクとか赤いのもそうだぞ」

 

「やっぱ色々入ってんだな~」

 

 

 

「ところでゴールドシップ、ハバネロの種を敷地中に蒔くって言ってたが、そんな量の種はどこにあるんだ?」

 

「元々今日蒔いたのがアタシの畑に蒔く様子見の奴で、それ蒔いたら後日買ってくる予定だったぜ」

 

だからもう種は無いぜ、とか言いながらゴールドシップが帰っていく。

本当に良かった……。




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