エピローグ含めなければようやく次回で一段落できそう・・・、と言う訳でちょっと長めです
ST114.Memento Mori:Regain Equilibrium!
どうも、「私」です。「私」は元気です。
…………この状況下で未だにちゃんと「私」が元気なことの方が色々とツッコミどころというか気になるところではあるが、とはいえ精神が消し飛ぶような「痛い」現象に遭遇していないのはプラスと言えばプラスなので、そこは良しとしておこう。
大量の怨霊が視界どころか全域を埋め尽くすこの惨状、「何故か」私を避けるようにわずかばかり避難している連中なのだが、それはそれとして一斉に噴き出した瞬間にかなり遠くまで飛ばされた認識がある。一体どういった理由なのだろうか。しかし足場こそなんとなくわかるが、あの勾玉の破壊でこうなるとか、流石に予想はしていなかったが…………。いや、これはザジ・レイニーデイの指示に従って壊したわけだし、つまり私は悪くないはずだ、ウン、大丈夫、ガバじゃない(ガバ)。
まぁそれはそれとしてだ。
「嫌……、また
「…………」
ディーヴァが顔面ぐしゃぐしゃにして泣きながら私の腕に縋りついてきてるこの状況は一体何なのでしょうねというやつだ。こう、泣き方に一切余裕がなくてギャン泣きである。ますます情緒ちびっ子か何か? と疑ってしまうくらいには、さきほどのアレがトラウマすぎたのか、彼女の内面が幼いと見るべきか……。
外見上、同じくらいか少し上くらいの彼女だが、扱い上は幼児のようにしないとこの場合は流石に無理だろう。死天化壮で鼻かもうとして顔面血まみれになってるのとか居た堪れなすぎる……。とりあえず抱き上げ背中を軽く叩きながら「大丈夫、大丈夫」と、なんとなく夏凜のそれをイメージしながらあやしてやる。
「三太は、居るんだろうがはてさて何処行ったものか…………、ん?」
耳を澄ます、と、不思議と声が聞こえる。視界が見えない程怨霊に覆いつくされてるだろうに、聞こえる声は――――。
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死にたくない――。
どうして自分が――。
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アイツが悪いんだろ。
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なんでこんなひどい事するの――。
私だけって言ったじゃない――。
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正しいことを公表しようとして何が悪いんだ、何故殺されなければならないんだ――。
勘違いで殺されたって困る――。
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煩い――。
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なんで死んでまで意識が残ってるの、もう嫌――。
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ちくわ大明神――。
「誰だ今の!? って古いな、今二千八十年代だぞ…………。
でもなるほど、怨霊っつーか、そういう連中の声な訳だな?」
「うっ、うっ…………」
「あー、ヨシヨシ、落ち着け落ち着けって」
「…………っ、と、刀太君は、これ、怖くないんですか? さっきからずっと、頭の中に『死に際』が、いっぱい見えるんです」
「死に際?」
特に私自身、そういった体感が全然ないのだが。話を聞くと、ディーヴァにとって彼等の嘆き悲しみの声というのは、そのエピソードが、声に乗せられた魂に直に届きイメージを想起させるらしい。
これは…………、死天化壮によって防御でもされているのだろうか? どちらかといえばディーヴァの受けている感覚の方が普通のものなのだろうし。現状、理由付けを求めるならそんなところなんだろう。コイツを解除する訳にはいかなくなったのだが、それはそうとして。
少し黒棒をゆったり振り回すと、カツン、と音が鳴る。不思議に思って接近し見てみれば、どうやら金属の棺――――。あの魔法陣に安置されていた、水無瀬小夜子の棺桶?
「っつーことは戻って来たってことか? コレ」
『まあ、そういう訳だね相棒。お帰りっ』
大河内アキラの声で「お帰りっ」は中々破壊力があって色々厳しいのだが、現状ディーヴァを抱き上げてる状態なのでこういかんともしがたい変な感覚である。とりあえず下ろしてやりながら、周囲一帯に「大血風」を、「尸天」と併せて展開する。と、流石に死霊魔術系統の効果が十分に期待できるのか、視界一帯の連中が散り、ここが本当に例の地下空間であることがわかった。
「……………………」
「お母さま……うーん、お母さま……」
「お姉様ッ、兄様……ッ」
魔法陣の手前、近衛姉妹は魘されている程度で済んでいそうだが、釘宮が完全に白目を剥いてて大丈夫かお前マジでッ!? 思わず脈やら呼吸やらをディーヴァを放り出して確認したが、一応は問題なさそうだ。精神に大ダメージを喰らって瀕死になっても、肉体は狗族の血を引くハーフ(クォーター?)であることが良いように作用していると見るべきか…………。色々辛いな(サム)。
そういえばザジがいないな…………、いや、まぁあの人はあの人で色々なんか知らないところでお仕事とかしてそうだし、手は尽くしてくれてるだろうからここまでくれば問題はないのかもしれない。キリヱもいないところを見ると、ひょっとしてどこかに避難したのか?
周囲から連中が消えたこともあってか、少し落ち着いたディーヴァが咳払いをして私を見る。
「…………なるほど。つまり今の私も、亡霊の類ということですね、刀太くん」
「あー、まぁそうみてーだな。…………今、状況が特殊なせいか全然実体あるように見えるけど、なんとなくそんな気がする」
なにせあのイメージにあった襦袢姿のままなのだ。これはこれで仕方ない。
と、私の携帯端末に着信が入る。見ると雪姫からだった。茶々丸とそろって私が目の前で消えるところを見たはずだが、果たして……?
「もしもし?」
『――――嗚呼、そうか、お前は無事のようだな。何よりだ刀太』
「無事のようだとか言われても何のこっちゃって感じなんだが、何? どうしたんだ? 俺、今からまーた地上に向かわないといけねーみたいなんだけど」
『一人でか? 何と言うか、こう、色々難しいな…………』
どうやら私の肩からこっそり覗き込んでいるディーヴァの姿は見えていないらしい。そこのところは本当に亡霊というか、幽霊そのものの扱いのようだ。
「で、こんなタイミングでどうして電話? そういや茶々丸さんとかニキティスとか見かけねーけど……」
『ニキティスは知らないが、茶々丸は今回の
「状況? って言っても、見てわからねーの? 茶々丸さんの目とかで」
『わからん。……突然、日中、ダイダラボッチが消えたと思ったら青空の下で全員ぶっ倒れただけだからな』
「…………はい?」
とりあえずは地上に出ないと、彼女の言っていることがいまいち理解できないため一度切り、ディーヴァ同伴で死天化壮と海天偽壮とになり地上まで「低空飛行」。道中の暗がりは血風を投げて道を空けさせ、強制的に視界を確保する。
本来ならば階段上り下りの吹き抜けすら、その螺旋階段の中心の吹き抜けを利用してエレベータのごとく一気に上昇。今回に関しては「迷路のゴールからスタートまで」駆け抜ける方式なので、細かいガイドなどは要らず、道の突き当たりに対して素直に進むことで出口に出られると判断していた。
果たして、その道順から最終的に出て来た場所は――――。
「…………あっ、刀太君と、横の知らない彼女。ぐっどもーにんぐ」
「えっ? あ、こ、こんにちは……?」
「…………私もですか?」
教会の地下空間とは「別なルート」を辿り、そのまま例の春日美空たちがいる礼拝堂のところまで一直線に出て来たらしい。いや、確かにどちらも地下施設の感じからして共通の造形思想に基づいているので、おそらく繋がっているだろうと予想はしていたが、それはさておき。
私に受け答えし、どうやら隣のディーヴァも「見えている」ように手を振った彼女は、椅子に寝かされている老婆な春日美空の手に重ねており――――――――、春日美空の肌は、妙に白かった。色白という意味ではなく、青いというか、文字通り「生気が感じられない」。
「……えっと、あれ? シスター・ミソラさん、それ、えっと……」
「お仕事珍しく頑張って、生徒いっぱい逃がしたから、力尽きてる。
だからこれ、ミソラにはナイショ。いいね? …………『
言いながら彼女は、帽子の中から取り出した仮契約(本契約?)カードを起動し、先端がロウソクになっている古風(古代ギリシャとかくらい古風)な点火器を呼び出した。持ち手の形状はなんとなく拳銃っぽくもあるが、彼女はそれのトリガーを引き、ロウソクの先端に「緑色の」火をともす。と、それが空中に漂い、シスター・ミソラの胸元に吸い込まれていった。
と、次の瞬間には浅い呼吸が戻り、肌に生気が戻り胸が上下し始める。
「…………あー、なるほど?」
そういえば水無瀬小夜子いわく、本当なら死んでるということだったか……。どういう
寝息を立て始めた老婆を見て少し微笑んでから、私たちに視線を向けるシスター・ココネ。
「地下から来たなら、目的は外? 外は、結構危ない。ここは結界強いから『入ってこれない』けど、真っ暗」
「あー、やっぱそういうことッスかね……。でもまぁ、俺も対策はあるんで」
「じゃあ、無理しないこと。君倒れると、カリンも悲しむ。ミソラは、たぶんヤベーヤベー言ってはやし立てる」
そのイメージは両方とも容易に想像がつくが(原作読者)、とりあえず頭を下げて外に出る。ディーヴァも私に倣って、慣れない風に頭を下げてからついて来る辺り本当に幼児をイメージしてしまうが、外見上は同年代なのでやっぱり変な気分になった。
教会の戸を開け空を見上げれば…………、それこそびっくりするくらい、真っ暗。
「こりゃ…………、テンプレ的には学園全体を覆いつくしてるやつだな、ウン。俺はこういうの詳しいんだ、映画とか漫画とかでよくあるヤツだ」
「ここは現実なのですから、なんでもかんでもそれを参考にするのは良くないのでは?」
割とマジレスしてくるディーヴァだが、残念ながらここの原作は漫画とかアニメなので(メタ)、その法則が当てはまらない。事実は小説より奇なりというのなら、ガバ含めてこれもまた妙なりである。
※ ※ ※
雪姫に連絡を入れて再度確認し、状況の判別がついた。どうやらコレは本当に怨霊の類らしく、茶々丸のカメラアイで判別できないらしい。それこそ龍宮隊長でもいればもっと違った見え方もするのだろうが、とりあえず方向感覚すら狂うこの状況。
『麻帆良全域に怨霊の類が溢れんばかりに表出した、か…………。自殺者だけでも「表向き」年間三千人程度、それ以上の数を八十年受け入れて来た魂から解放された怨霊群……、考えただけでも面倒くさいな、最低でも二十四万の悪霊か』
「って、いやなんで面倒? 恐ろしいとかじゃねーのかカアちゃん」
『まぁそれくらい「頑張れば」なんとかなるからなぁ。あまり得意じゃないから力業に頼ることになるが』
あっハイ、そういえば最強の吸血鬼様でしたね我がカアちゃんや………………。
『おそらくお前たちに見えているのは瘴気の類なのだろうが、その密度で確認できる瘴気が電子機器を通した時点で確認できないとなると…………、その存在のレベルはかなり高いかもしれない』
「高い?」
『何だったか? とある女魔法使いが「人類全域に」常に使用しているような魔法があるんだが。それを人類が誰一人正しく識別できないことについて、とある女はこう言った。『次元が違うんだよ、神サマの領域に踏み込みかけているそれは、ある意味、三次元の存在に二次元の存在が干渉できないように、二次元の側からは知覚することすら出来ないんだろうさ』とな。妥当な言葉がないから上手くは説明できないが』
どう聞いてもニアミスしてるお師匠様のお言葉であるが、つまりは
ともかく向こうも状況を把握できたということで通話を切る。後始末といったか、あっちはあっちで忙しそうなのを察したので、出来た息子としてはそちらは気にせず、まずは自分にできることをやるとしよう。
ディーヴァを同伴し、「血風尸天」を撃ちながら世界樹の下まで。見た限り死霊の瘴気たちは視界が無くなる程の密度で湧いているようではあるが、直接的な妨害などはしてこないらしい。もっともずっとディーヴァが半泣きで震えているので手を引きながら飛行しているところなのだが、この様子からして例の「死に際」のイメージとやらは継続して彼女を襲っているらしい。ディーヴァですらこうということは、本来はおそらく彼女と同等のダメージを精神に受け続けているだろうということで……。この辺り一帯の妙な静まり返り具合からして妖魔の類もストップはしたのだろうが、一般人相手にはこっちの方がある意味キツいのかもしれない。とはいえ「物理的に」襲ったり殺したりしないところに、なんとなく水無瀬小夜子の意志の様なものを感じて、とりあえず最悪の最悪だけは脱したような感覚があった。
後は、消化試合だろう。…………こういうこと言うとまたガバるか? いや、だ、大丈夫、今回ばかりは大丈夫のはず(疑心暗鬼)。
そして飛行していると、見つけた。血風が「じゅわっ」と蒸発したのが見えて、そこに向かえば夏凜たち。口元を押さえている九郎丸(吐いたか?)と、胸を抑えながら「白い結界」を張っている夏凜、そしてアーティファクトの小召喚をして写真を「平常運転で」撮り続けてる我らがキリヱ大明神の姿がそこにあった。
「と、刀太く―――――ウッ、ちょっと、待って……」
「無理にしゃべらなくても大丈夫でしょう、九郎丸。……と言いつつ、私も苦しいですが……ッ」
「二人とも大変よねぇ」
いやそう言って肩をすくめているキリヱ大明神だが、お前さんだって本来はそっち側だろうに…………。五万回近くの死と再生の経験値というのが、おそらくは彼女に、この「死のイメージ」を叩きつける空間への耐性をもたらしたのかもしれないが、それはそれで何と言うか、やはり色々とこちらの心が辛くなるものがあった。
「むしろアンタ、なんでそんな平然としてんのヨ? 私でさえちょっと立ち眩みするくらいには鬱陶しいのに、コレ」
「お前さんが『普通に』立ち眩みで済んでるってのも色々ツッコミ入れてー所だけど、一体どうしてここに? ……って後、三太のところに行きたいんだけど、動けそうッスか? というか一空先輩の姿が……」
「先輩は、隙を見せた一瞬で刹那さんに滅多切りにされて…………」
片腕の肘から先の破片をすっと拾い上げる九郎丸。機械の身体だからって解体描写に容赦がないのはどの映画でも漫画でもアニメでも一緒か。偏見だけど。とはいえ本体は当然のように無事だろうし、そのうち帰ってくるだろう。
そしてキリヱについてだが、おおかた予想通りと言うべきかザジ・レイニーデイが「シルクハット」をド〇ちゃん的な使い方をしてここまで瞬間移動のような真似をしたらしい(?)。えーっと、つまりそれは、四次元シルクハット? 超も言っていたが、やはりネオパクティオーしたということか、そっかー …………、そっか……(白目)。
「佐々木三太ですか? 刀太。…………後で事情は詳しく聞かせてください」
んん、と少し無理に気合を込めながら、立ち上がる夏凜。そしてこの場の三人とも誰しもが、私の背後で借りて来た猫のようにおとなしくなってるディーヴァに目もくれない。やはり普通に見えない亡霊の扱いになっているようだが、むしろさっきシスター・ココネは何故見えたのだ?
そして結界を張りながら歩く三人と、一人と一柱(ディーヴァ)だが、すぐに三太たちを見つけた。
世界樹手前のテラス――――何かと我々とも「ネギま!」とも縁のある、あの場所。
そこで、原作同様の映像を想起させるように、三太が倒れた水無瀬小夜子を抱えていた。
そこだけは空気を読んだように、怨霊たちも数メートルは空間を作っていた。
「何とか言えよ、なァ…………、小夜子さ……」
言葉はない。その背中に黒い翼を「三対」生やした彼女は、その服を含めた全身を白い土くれのような色に変色させ、さらにヒビが入っていた。見た目だけでいえば「
魂魄として力尽きた水無瀬小夜子……、原作でいえばそのままバラバラと崩れて土くれのように風化していたが、ここではそうはならずに原形を留めている。何がどう作用したかまでは断言できないが、仮説としては彼女自身の遺体が儀式に使用されていたことか、はたまた「あふれ出た」怨霊に圧迫されて彼女の魂魄が崩壊するのをギリギリ防いでいるという状況になっているのか。
だが、これは「好都合だ」。脳裏に「ちゃおーん☆」とペ〇ちゃんみたいな顔をしてウィンクしてくる天才発明家の顔がよぎる。ポケットの中を探り、「それ」を紛失していないことを確認して、私は少しだけ高揚していた。
一歩、前に出て三太の肩を叩く。
「……何だよ、刀太」
「ちょっとだけ確認だ。もしかしたら、というか『成功率を上げる』ための確認だ」
「何を、だよ。今更――――こんなになっちまってさ、コイツさ……」
言いながらボロボロと涙がこぼれる、おかっぱみたいな頭をした三太だが。そんな彼に、私もまだ気休めの様な笑みは浮かべず。ただただ、事務的に確認する。
「お前と一緒に居る時に、水無瀬小夜子の魔力ってどうだった?」
「は?」
「いいから答えとけ」
「こ、答えとけって…………。ま、まぁ、フツーっていうか。でも『さっきの』見たら多分、隠してたんだろうけど、それが?」
「いや、たぶんだけど…………それが、水無瀬小夜子『素の』魔力量だ」
「…………? どういうことだ?」
要領を得ない三太に、説明する。
稀代のネクロマンサー「となった」水無瀬小夜子の手で改造を受けた三太の魂魄は、既に魂魄のみの時点で一般魔法使いを凌駕する能力を獲得しているが。その根底は、キリヱのような固有能力の類ではなく、あくまでも魔法的なそれの延長上にある。
「だから何が言いたいんだって」
「つまり、怨霊を含めない水無瀬小夜子の素の状態と、お前さんの今の素の状態で言えば、お前さんの魔力量が勝ってるってことだ。
今の状態は、水無瀬小夜子の中に収まってた怨霊が全部外に抜け出ちまったようなもんだろ。ってことは、そこにいるのは、ある意味『本当の意味で』本体ってことだ」
だからこそ――――。ポケットの中から
「
なにせ、少なくとも『神サマ』に上り詰めかけた相手な訳だし」
アーティファクト自体の良し悪しは言及しないが、そもそも魔法使いの従者契約における「潜在能力の解放」は、現状の九郎丸をして自らの内に眠る神刀の力を引き出すことに成功させる程である。ならば、既に壊れかけの彼女の魂魄すら、元の状態に戻すことも可能となるのではないだろうか。
さらに口に出して言わないが、あの
つまり、これはメタ的な意味で上手くいく可能性が高い。だから後は――――。
「それ起動したら、水無瀬小夜子の口にキスしてやれ」
「は、はァーッ!?」
「何だよ、童話とかでよくあるパターンだろ? 王子様のキッスでお姫様が目を覚ますって。状況的にはそんなモンなんだから、頑張れ、ホレ、ホレ」
「こ、こんな状況でそんな話急にされて、どうしろってんだーッ!」
「さ、三太君、これは…………」
「男の見せ所じゃない、頑張りなさいよッ! ……って、みたいなこと言うとちょっとオバサンくさい?」
「大丈夫でしょうキリヱ。しかし…………、貴方がそれを言いますか刀太……」
『…………これは、愛っぽいですね。なんとなくわかります』
焚きつける私に抗議する三太と、後ろから興味津々と言う視線が四つ突き刺さっていた。
ラストバトル(ラブコメ):三太の羞恥心と覚悟と葛藤