光る風を超えて   作:黒兎可

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大体タイトル通りです・・・、 猛 攻


ST116.死を祓え!:エピローグ(ガバ)

ST116.Memento Mori:Epilogue (Fumble)

 

 

 

 

 

 原作の三太編エピローグ? ねぇよそんなもの(逆ギレ)。

 

「――――いや、大変でしたね今回」

「そうね。一空なんて『本当最後の最後に活躍できなくて悲しいよ、うわーん!』っていじけちゃってたし」

「まあ事後報告の書類作成については、茶々丸さんもお手伝いしてくださるそうですし、そちらやら建物の修繕やらで活躍してもらいましょう。…………とはいえ、私としてはキリヱ、貴女の『本当の』能力の方が想像のはるか外を周回していて困惑の一言ですが」

「でもだって、そんなの簡単に言えるわけないじゃない。普通に考えて私も『全部覚えている』わけじゃないし、全然話せないことだってある訳だし……。

 って、それを言うなら九郎丸よ九郎丸。刀太のお祖母さんたち相手に大健闘だったらしいじゃないの? 大金星じゃないっ」

「あ、ありがとうね、キリヱちゃん。……だけど、公式記録には残らないらしいし、あまり胸を張れることじゃないかな? それに『ヒナちゃん』の力圧しって側面が強かった気がするし」

「そんなことを言ったら、今回のことは『ほぼすべて』公式記録には残せないようなものですよ。むろん学園の裏魔法委員会側の記録には残しますし、私たちホルダーも調査結果、前後の経緯含めてある程度はまとめることになりますが」

「…………ねぇ、そういえばだけど夏凜ちゃん、今回全然役立たずじゃなかった!?」

「いきなり何を言い出すのですかキリヱ!?」

「いや、だってホラ、木乃香さんと戦ったりしたって言ったって、夏凜ちゃん九郎丸と違って先輩じゃない? 黒星でこそなかったかもだけど、ずっと刀太とべったべったしてた記憶しかないっていうか……」

「そ、そんなことはないですよっ! ほら情報! 事前情報に加えシスター・ミソラ達とのコネクションもありますし! 大体キリヱ、貴女とて人の事は言えないはずッ!」

「わ、私はいいでしょ私はっ! そもそも『こうなる』よう誘導したって大金星があるじゃない大金星が! 回数と時間はかかったけど」

 

「……………………………………………………………………………………」

 

 言葉に出来ない。

 言葉にならない。

 

 水着である。公式グッズでいうと多少の限定的な描き下ろしの、青縞な水着であった。

 九郎丸は青横縞のシャツを羽織ったホットパンツ風の活動的なそれを腰というかくびれのあたりで軽く縛ったスポーティなもの、夏凜はストレートに紐止めな青横縞ビキニ(一般的な露出度)で思春期に大変悪いもの、キリヱは青横縞でこそないがそれぞれに対応するパレオなリボン付きな可愛らしい水着と三者三様、それぞれに強みを生かした水着姿である。このあたりはセレクトした茶々丸の趣味というか、エヴァちゃんの服選びのセンスめいたものが継承されているのかもしれないが、さておき。

 

 …………端的に言って、端的に説明できない状況なので(思考放棄)、何が起こっているかだけ整理しよう。あの事件から数日である。あの前後の資料をひとまとめにしなければならないという経緯があり、その情報収集に協力する形でUQホルダーの派遣された面々は、まだしばらく学園に拘束される運びとなった。

 いや、雪姫いわく「せっかくだから籍だけでも置かせてもらえ。最低限、義務教育くらいは卒業したという形がないと格好がつかんだろう」ということで、私や九郎丸、キリヱは在籍だけは今後も継続する運びとなるらしいのだが。時折魔法生徒(裏魔法委員会)関係でとられる特別措置の一つらしく、つまりは超大型案件褒章替わりではないが、ともあれそういうことになった。

 

 その流れで、三太が「暫定」不死身衆(ナンバーズ)見習い、という立ち位置になることに。このあたりは雪姫たちも、我々からの推薦が有れど一応顔合わせなり何なりはしておいた方が良い、という運びとなったのだった。

 もっとも本人は「少しでも『俺達』みたいなのが減らせるっていうんなら、それはそれでアリだし」と、案外ノリは悪くない。キリヱたちもあの前後の状況やら何やらを見て、否とは言わなかった。

 

 さて、学園自体も建築物などそれなりにダメージがあったこと、事件の規模が規模だったことにより、学校自体は二週間程度休校。生徒たちも一部を除き自宅待機という運びになり、伊達マコトとのデートも延期となっている。

 

『うわーん! 夏凜さーんッ!』

『耐えなさいマコト。逆に考えるのです、一番問題となる案件が消えたのですから後は誘い放題だと考えるのです』

 

 病院のベッドで泣きつく彼女にそうアドバイスする夏凜は一瞬ちゃんとシスターらしい人を導く振舞いな気もしたが、所詮錯覚である。一体彼女をナニに導こうとしていらっしゃるのでせうかね(震え声)。

 

 つまりはここまで色々と状況が状況なため、原作における6巻終盤よりもはるかにてんやわんやとしているのだった。「霊的ゾンビ」となった人間たちは死亡こそしなかったが未だに入院中、一部は意識すら戻らなかったりと、その爪痕は「大きく」ないが「小さい」わけでもない。学園においても、病み上がりに胃を押さえた釘宮大伍たち含めた裏魔法委員会と、本校の生徒会、魔法教師陣やら私たちホルダーやらで色々と連日忙しくしている時、茶々丸が私たちに声をかけたのだ。

 

『ホルダーの皆様は外部の方とはいえ連日お疲れのようですし、マスターから別荘の貸し出し許可が下りました』

 

 首を傾げる他の面々はともかく、そういえば「ネギま!」にはあったなぁそんなものと思い出す私である。

 ダイオラマ魔法球、というものがある。かつて「ネギま!」において「学業として生徒の教師をしている」描写と「修行をしている描写」の両立、唐突なパワーアップの矛盾の解消のために生み出されたようなギミック装置であり(メタ)、その制作には高度な魔法技術が必須になる。当然のように茶々丸が言うそれはエヴァちゃんこと雪姫がかつて麻帆良在住時に使用していたそれであろうし、製作者も当然のように彼女である。

 制作過程、詳細については「UQ HOLDER!」においてすら登場しなかったため詳細は省くが、要するに精神〇時〇部屋(神サマに借りるやつ)をよりレジャー特化に簡略化したようなものであると言えばわかりやすいか。おそらく「ネギま!」においては大活躍だったこれが出てこなかったのは、不死者に時間を引き延ばすタイプの魔法具は効果覿面すぎて話にならないからだろう(メタ)。

 さて、意外とそっくりそのまま残っていたエヴァちゃんの別荘内部に設置されたそれは、形状は両手で持ち上げる程度の大きなガラス球のようなもので、基本的に固定されている(おそらく魔法的な理由)。専用の陣を介して内部に入ることが出来る。

 

 ちなみに「基本となる」この施設は、ビーチに生えた巨大な塔のような施設。気候もそれに従って結構暑かったりする。今回私たちが招待されたのもこの場所になっていた。

 

『以前は専用に管理する従者(ドール)も居たのですが、現在はマスターの指示で「無駄」ということで休眠状態となっております。スパなど一部施設は停止しておりますが、最低限、衣食住程度は私が下準備いたしましたので、どうぞ』

『こ、こんな所で遊んじゃっていいんですか? 茶々丸さん』

『ご心配ありません、時坂九郎丸さん。ここでの一日は外部での一時間と等しくなっておりますので』

『ふみゅー!』

『チュウベェお前、どっか行くなって。逸れたら戻ってこれねーぞ? お前たぶん』

『何なのヨ、そのネーミングは……』

『どうしたの? 三太君』

『あっ、俺、海見るの初めてッスわ…………』

『ハハ、僕はそうでもないけど、こう『綺麗に造られた』人工的な海と空っていうのは、新鮮に見えるねぇ』

『源五郎パイセンとか好きそうッスよねー』

『あっ、わかるわかる。こう、謎の塔みたいないかにもファンタジーしてるのとか、結構好きだよね』

『そういう趣味があるのですか、あの男。意外と子供っぽいのですね……』

 

 なお、帆乃香と勇魚は実家というかあの部屋に戻っている……、というよりどうやら月詠から「恐ろしい」連絡が来たらしく、二人そろって顔を真っ青にして「ウチらも遊びたいんやけどー!」と全力で不満を表明していた。

 

 さて、そんな流れでほぼ全員が水着に着替えて遊び始める訳だが(意外にも九郎丸が一番はっちゃけていた)、問題はさて今日の深夜。深夜といっても魔法球における深夜なので、実際はそういう訳でもないのだろうが(とはいえ天球はちゃんと夜のものになる)、黒棒片手に刃禅(オサレ)をしながら、夜の星々を見ていた時だ。

 

「刀太君、ちょっと……、話があるんだけど、良いかな?」

 

 何故かバスローブ姿の九郎丸のそんな一言にホイホイ釣られて付いていくと、あれよあれよという間に色々脱がされたり着せられたりされて(主に夏凜の手腕)、気が付けばこう、古代テルマエ的な巨大湯船につかったり、そこから出て洗われたりしている現状である。ココはアレだな、「ネギま!」においてエヴァちゃんとネギぼーずが一緒にお風呂に入って少年誌の限界に挑戦していたアレか(嘘は言っていない)。

 ちょっと状況がエクストリームにぶっ飛びすぎたため眩暈を覚えたが、とにかく一言で言えば…………。

 

「九郎丸、お肌綺麗よね。全然気を遣ってなさそうな割に」

「へ? あ、ありがとう」

「なんっていうか、こう、普通に『少女』って感じの身体だし。…………ちなみになんだけど、『おち〇ちん』的にはどーなってるのよ?」

「えぇッ!?」

「……貴女は一体何の話をしてるのです?」

「重要な話じゃない、じゅーよー! アンタの体質については『前の時に』知ったから今更なんだけど、その水着だと色々わからないじゃない? おっぱい的にも」

「…………詳しいことは知りませんが、ないのでは? それに中間とはいえ、どちらかに寄っている時もあるでしょうし」

「でもその割にはフツーに私たちの水着に興奮の『こ』の字もしてないし……って、何よその目このちゅーにっ! ていっ! ていっ! ……って普通に受け止めてるんじゃないわよッ!」

「キリヱちゃん、石鹸が目に入っちゃうからそれ……。あー、えっと。話してもいいんだけど、丁度その話を刀太君としようとしてたところだったので――――」

 

 女と女と女が全力で話し出すと姦しくて男子は何もできない(断言)。

 

 いや、そもそもそういう話をするのなら私の身体を洗いながらとか普通に止めてもらいたいのだが。いい加減水着姿相手とはいえ私にだって我慢の限界があるのだぞ。統合される前の『以前の私』はそういう状況ですらなかったために血装術を使って封印していたような節があるが、ある意味それと統合された以上、精神的な蓄積分は倍なのだ、そろそろ自覚をしてもらいたい(寸前)。

 …………まあ、それこそガバによる世界崩壊が怖いので手は出さないが(残当)。

 

 そしてそんなことを考えたのが良くなかったのか、背中をゴシゴシしていた夏凜が今度は私の胸に背後から手をやる形に……、まぁつまり完全に後ろから抱きしめる形に。

 

「いやー! 止めろって、いい加減無理だからッ!」

「それはいけません。無理は禁物ですから『無理はしなくて良いですよ』?」

 

 この女、絶対確信犯…………ッ! 耳に吐息を吹きかけるな左手を表側から首に添えるな右手を腰の下に伸ばすな流石にそれはアウトーッ!(少年誌) 私の危機感が伝わったわけではないだろうがキリヱが「ちょっとそれは色々駄目でしょ!?」と両手で止めに掛かったり、九郎丸が何故かホットパンツを脱ぎだしたり(下は普通に横縞のパンツタイプの水着)、一体何がどうしてこうなった……、どうしてこうなった…………。(遠い目)

 というか三太や一空が寝ているタイミングを狙うあたり完全えっちな思考回路である(断定)。いや、それともまだ水着の紐を引っ張ったりして脱ぎださないあたり彼女にも正気が残っていると見るべきだろうか。いい加減、何か新手の悟りの境地が開けそうでもある(適当)。

 

 確かに原作において、三太編の後は全員で銭湯へいくイベントもあったのだが、女子三人に近衛刀太が身体を洗われるエピソードってそれ、原作二十四巻のイベントの方が近いのでは…………。今回の編についてはチャート進行管理をある程度諦めはしたから知らないイベントが生えてくるのは諦めたが、時系列的にそういうのが狂うのまで許容した覚えはないぞッ!?

 

「というかホント、なんで全員で身体を洗う運びになったんでございませうか?」

「刀太君、言語おかしくなってる……」

「ぜぇ、ぜぇ……、えっと、別に大したことじゃないわヨ? ほら、『今の』九郎丸をアンタと二人きりにしちゃったら、お赤飯炊かないといけなくなっちゃいそうじゃない? 流石にそれはこう、不死身衆の面子として色々どーなのかしらーって――――」

「え、えぇッ!?」

 

 そんなことないと驚愕し首と手を左右に振る九郎丸だが顔面真っ赤だしそもそも上に着てたホットパンツ脱ぎだしたし説得力は確かに低い所はあるか。

 

「――――と、言いながら嫉妬に燃えているキリヱに乗っかる形で、ならいっそのこと全員でお風呂に入れば良いかと判断したまでです。キリヱや佐々木三太に次いで一番右往左往して活躍したのは貴方ですから、まぁ、ある種のご褒美的な側面もあるかしら。嫌いじゃないでしょ?」

「ノーコメント! って、あの、言いながら正面回って全力で膝の上に対面してくんの止めてくれません……?」

「っていうか嫉妬って何よ嫉妬てー! これはこう、アレよアレ、女の面子と不死者としての面子の問題なんだからっ! ってその体勢もっと駄目じゃないッ!!?」

 

 キリヱの叫びもなんのその、局部と局部が布隔て、背が伸びたせいもあって顔が近いし、それよりも御餅(比喩)の方がもっと近い。必死で視線を逸らそうにもあまりに存在感が強いせいで「どうしても」吸い寄せられてしまうのだが、夏凜は明らかにそれを見越したように水着の布の下に人差し指を入れて――――。

 

「って、だから夏凜ちゃんは抜け駆けしないのッ! 何なの貴女、刀太のこと好きかどうか人に聞いておきながら自分はよくわかりませんとか言っておいて、やっぱり好きなの!?」

「いえ、違うのキリヱ。こう、『こういうのが好き』のようですから少しでも目の保養になればと思いまして。さぁ、そういう貴女も別に気にせず――――」

「出来る訳ないでしょーがーッ! うがーッ!」

 

 キリヱ大明神……、キリヱ大明神……!(祈祷)

 

 全力でお手々ぐるぐるタイフーンの刑(直喩)を執行するキリヱのお陰で、夏凜がなだめる側にまわって膝から降りてくれた。やはり崩壊したチャートのリカバリー要員か何かで? 一人で抱え込ませすぎるとバグるのはそれはそれで問題だが(酷い)、それはそうとして情報共有し続ける上においては、やはりこれ以上はないお方に違いはない、ナムナム……。

 いや、実際夏凜のそれも確かに嬉しいかそうじゃないかで言えば嬉しい方ではあるが、なんというか、もうちょっと「人格として」仲が良くなってからというのと、今の時系列の時点で「そういうことを」するのは本当にガバの領域なんで、許してクレメンス(血涙)。

 

 キリヱ大明神……、キリヱ大明神……!(祈祷) 

 

「と、刀太君、なんで手を合わせてるの?」

「いや、何かご利益もらえねーかなーって……」

「だから神仏扱いやめなさいって言ってるでしょーがそこッ!」

 

 一瞬だけビシッ! と私に指さした大明神だが、再び夏凜に食って掛かるあたり危険度的なトリアージには大成功である、花丸あげちゃう。(適当)

 と、九郎丸が私に力なく微笑んだ。

 

「…………やっぱり何っていうか、お疲れ様だね。刀太君」

「お? あー、いや、含意広すぎるっていうか、その言い方だと……」

「アハハ……。うん、そうだね。今回の事件って言っていいのかな? 確かに一番苦労したのはキリヱちゃんだと思うけど、刀太君だって色々、手は尽くしてたよね。

 三太君が敵じゃないけど鍵だってわかったら、敵対しない程度に仲良くなってなんとかしようとしたし、キリヱちゃんが折れそうにならないように凄い距離感に気を付けながら慰めたりしたし。帆乃香ちゃん達だって…………えっと、い、勇魚ちゃんはちょっと色々、注意した方がいいと思うんだ、僕」

「その気持ちはわからなくはない」

 

 実際あの甘えっぷりはブラコンを超越してもっと別な何かに進化しそうな気もするので、このあたりで九郎丸と「先輩」「後輩」的な形で健全に色々な欲望を修行で消耗してもらいたい。大丈夫、まだ小学生から上がったばっかり、引き返す余地はいっぱいある。原作を読め原作を(震え声)。

 

「(…………まあ、その刀太君は、夏凜先輩が折れないようにしてた気もして歯がゆいけれど)」

「どうした?」

「へ? あ、大丈夫。…………そ、それで、前言ってた話なんだけど、ホラ。僕が男なのか女なのかって……」

「あーそれな。まああの二人との話聞いてて『おおよそ』推測がつく感じにはなってんだが…………」

「うん。その…………、今の僕は、どちらかっていうのは『未決定』なんだ」

 

 そこから語られる九郎丸の出自の種族に関しては、まあ私からあまり語れることは無い。というかそれこそ、九郎丸が熊本に来た頃から意識して気を遣っていた話なので、大小差はあれど別に今までと何が変わるという事ではないだろう。

 

「それで、そのなんだけど…………、ひょっとして気付いてた? 前から。思えば、一緒に着替えたりとかそういうのってされたことなかったし、着替えとかも一緒に洗ったりしてなかったし……」

「あー、まぁ何か事情があるのかな? ってのは思ってたっていうか。お前さん結構『男』っぽく振舞おうとしても女っぽい時って結構あったし、普通に男装してるくらいのイメージでいたっつーか」

「…………でもその割に、その、学校の寮の話とかも全然、一緒の部屋っていうのは拒否しなかったよね」

「言い方悪ぃけど、熊本で共同生活は慣れてたし、三太もあんまり得意じゃない感じはしてたから、別に何も間違い(ヽヽヽ)はねーだろうなって」

 

 そもそも嫌なら九郎丸本人が拒否する訳で、そのあたりは流れに身を任せるのが一番原作チャート乖離が少ないという当然の帰結である。……既にそれどころではない状態だった件については黙認するとして(ダブスタ)。個人的に、九郎丸は「そう」振舞われてもあまり異性としての感覚が薄かったのだ。これに関しては九郎丸自身がどっちに寄っているかというのもあるかもしれないが、「私」というより近衛刀太と時坂九郎丸、原作での関係による補正みたいなのが働いているのかもしれない。

 …………ん? そう考えると、迫られた瞬間割と年がら年中思春期が思春期(比喩)な状態になると言うことは、それも仮に補正込みだと考えると、果たして原作でも刀太が夏凜をどういう風に見ていたかというのは…………? いや、藪蛇かもしれない、思考中断ッ。

 

「ま、間違い…………そ、そうだよね……」

「いや、何でそこで元気なくなってんだよって」

「だって、その…………、僕だって、少しはキリヱちゃんとか、夏凜先輩みたいに、刀太君に見て欲しいもの」

 

 言いながら、九郎丸は上のシャツを脱ぎ――――露わになるのは、明らかに以前よりも肩幅やら筋肉の付き方が華奢なことが分かる上半身と、「胸のふくらみ方」が普通にスリムな女の子している(つまりまあぁまぁ有る)、そんな九郎丸の姿。

 いや、オイ待て、お前原作だとこの時点でそこまで女の子化はしてなかったろ? どっちかに寄っている時はあるだろうからと「あの時」はスルーしていたが、なんだかあの時より気持ち更に女の子に寄ってる……、寄ってない?

 思わずたじろぐ私に、九郎丸はその私の手をとり、自分の胸元で抱きしめる。

 

「その…………、こういうのは、嫌い? 触ったりされるの」

「いや、まー、何と言ったものか…………」

 

「僕は……、好きだよ? 大好きっ」

 

 その言い方は過分に誤解を招く話になるので出来れば色々とご自重なさってくださいと思わざるを得ない自分が、何と言うか立場的に色々厳しいものがあるのだった。

 

  キリヱ大明神……、キリヱ大明神……!(祈祷) ブッダは寝ておられるのですかァ! 救いを、救いを、明るい未来を――――ッ!(???「まぁ明るくはあるんじゃないかい? 逃げ場はなさそうだけど」)

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「…………で、結局君は誰が好きなんだい? 近衛。

 誰か一人に選ばないのは不誠実…………、と一言で片づけると危なそうな人間関係なのは理解したけれど」

「誰選んでも角が立つし、今はそういうタイミングじゃねーし、というか選ばれなかった奴は絶対もっと酷ぇことになるのが目に見えてるからなぁ……。どうしてこうなった」

「聞く限りにおいては、君が絆すだけ絆しておいてアフターケアをしないせいな気もするけどね。まぁそれぞれ事情が事情のようだし、出来ない相手が大半のようだけれども。

 その苦労は共有できないけれど、まぁ…………、チャーシュー1枚食べるかい?」

「おぅ、サンキュー」

 

 後日。釘宮と一緒に駅前のラーメンたかみちで醤油チャーシュー麺小チャーハンセットを食べながら、詳細を濁しつつ愚痴るくらいしか道は残されていなかった。一応、前に言った話の有言実行(打ち上げ?)ではあるが、相手もこっちもそれぞれここに至るまでに愚痴を抱えるに至っており、お互いお互いの立場を非難しないという紳士協定のもと、ひたすらに同情しあって気落ちしあう会となっていた。なんと後ろ向きすぎる男同士の集まりか。

 

 救いなんてどこにもないんだね(無常)。

 そんなこの世の真実に直面しながら、今度は釘宮の側の愚痴(主に従兄妹と仕事関係)を聞いていると。ふいにラーメン屋の窓の外に見覚えがあるようなシルエットがよぎる。黒いロングヘアに黒い制服。身長はやや小柄な女の子で、どことなくその存在の()が周囲から「浮き出ているような」。まるでヘタクソなCG合成でもしたような光景が、現実のものとして見えたような――――。

 

「…………まぁ、仮に『来てた』としても、普通は観測出来ねーってことで」

 

 だから、きっとそれは気のせいだ。気のせいと言うことにしても良いはずだ。私は当然忘れていないし、誰しもすぐさま忘却の彼方に追いやることは出来ないだろうから。

 

 私の独り言に不思議がる釘宮に、何でもないと苦笑いを返す。

 

 気象が狂っている今の日本らしく、そんな店内に春の風のような生暖かなものが流れて来て――――それは、桜の花びらのような光の欠片を、少しだけ伴っていたような気がした。

 

 

 

 

 

「――――でも近衛刀太、見えないはずのものが見えているっていうことを、少しは真面目に考えるべきだと思うなー、私」




感想1000件突破記念ということで、今回は試験的に「番外編の内容募集」と化してみようかと思います。

しばらく期限は設けないので、活報より[光風超:感想1000件(大体)突破記念募集]にお願いしますナ!
 
 
※過疎ってたらいつものノリで番外編アンケします(保険)
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