ちょっと1話にまとめきれず、今回の番外編は続き物です・・・
>キリヱ:刀太のお嫁さん選手権!の話(アンケート)
ST118.Bride Ability Championship!(1)
それは、ある日の休日に起こったわ。
アマノミハシラ学園での生活も何週間か……っていったってここのところは休校してるけど(通ってる期間より休校してる期間の方が長いんじゃないかしら?)、ある程度の整理が終わった時点で、刀太と九郎丸と、後三太が訓練しているのを、暇だから見せてもらうことにした。
場所は校舎の屋上。簡単に九郎丸が結界を張ってから、全員それぞれ準備にとりかかってた。
「
「お、おすてん…………、あー、覚えられないッ! えっと、メモメモ……、オステンド・ミア・エッセンシア――――
ARMOR
・KUROUMARU TOKISAKA
・DIRECTION: East
・GUARDIAN: Eoh
・ASTRAL: Aries
・SYMPARATE: LXXVIII
・EQUIP: SACRED SWORD HINAMORI
・RANK: Numbers of UQ-HOLDER
・P-No: 11
・CODE: 2 0 7 2 1 9 9 3 0 4 0 2
・SECRET:Lightning Sword
ARMOR
・SANTA SASAKI
・DIRECTION:West
・GUARDIAN: Eoh
・ASTRAL: Aries
・SYMPARATE: LXXXIX
・EQUIP: wAMIGA・SCEPTRUM VIRTUALE
・RANK: Numbers of UQ-HOLDER
・P-No: 12
・CODE: 2 0 6 5 1 9 9 2 0 3 2 7
・SECRET: Hero pprentice ghost
どうやら運よくどっちもアーマーを引いたみたいね。九郎丸はなんかこう、ちょっとプレスリ〇とか和装が混じったようなヘンなミュージシャンなんだか王子様風なんだかわからない「二色の」ツインテールな恰好、三太は…………何アレ、応援団長みたいな不良っぽい学ランに帽子、頭は帽子の後ろ半分から短くしたはずの髪が伸びて天に聳え立ってめらめらして「ボッ」って音が聞こえてくるじゃない。
そんな二人を前に、刀太はあのチュウベェとかいう可愛い感じの妖魔を「血の球体」に捉えて、そのまま自分の胸に持っていく――――と同時に、制服の背中から猛烈な勢いで「出血」、したそれが刀太自身も覆いつくして、その姿を黒っぽいコートに金髪? な姿に変えた。
「――――
で、九郎丸は準備オーケイとして、三太?」
「大丈夫? 三太君」
「お、おォ…………。って言っても、どれくらい何が出来るかわかんないんですけど、九郎丸センパイ……」
「何で敬語だし?」
「い、いや、その…………(女子だと思うとちょっと距離感が判らねー)」
言いながら、三太はノートパソコン(の割にはちょっとボロっちぃ?)と魔法少女とかが使ってそうなステッキを構える。PCは空中に浮かんでいて、その杖を振って画面を見てびっくりしてた。
「二種類アーティファクトって、キリヱちゃんとも同じだよね」
「それって取説付いてたんだっけ?」
「おォ。パソコンの方にな。
このステッキ、
でこっちのパソコン自体はマジで旧式の「
「魔法アプリシミュレーター?」
「なんでも、自分で色々やって魔法アプリを作れるらしい。でも造ったものに応じて効果時間とかが限定されてるから、お試しみたいなモンだなこりゃ」
どうやら今日は、三太のアーティファクトを慣らす訓練みたいな感じね。
そして刀太の動きに九郎丸が翻弄されながらもちゃんと鍔迫り合いしたりして結構良い勝負をしていた後、いじってた魔法アプリが完成したそれをもって刀太と練習試合。
「――――――――ほいっ、とりあえず一本」
「へ? いや、キモッ! 動きめっちゃキメぇ!?」
「マジで!!? いや、でも実際あの三太相手に先手とれるんだから十分強いよなコイツ……」
なんっていうか「違和感のある」速度で動いてくる刀太に、困惑してる三太。あっという間に背後をとられて首筋に重力剣を突きつけられてた。三太が弱っちいというより、刀太のアレがなんていうかホント反則じみた動きになってるっていうのは、素人目で見ても判るわ。
ただ三太の魔法訓練にならないからってことで、今度はチュウベェと分離した後で、刀太はそのステッキから放たれた魔法を受けて――――――――――――――。
「わ、わわわわわ…………ッ! と、刀太くん可愛い……っ」
「意外とあんまり感じが変わらないわね……。むしろ目はのほほんとした方のお祖母さんに似てる感じになった?
って、ちょちょ、ちょっとアンタこれどーするつもりなのよッ!」
「ひ、ひィ! お、俺だってこうなるのは想定外だってー!」
そこには、大体4~6歳くらいかしら、幼児といって良い年齢の刀太の姿があった。恰好も見た目上はブカブカになっていて、きょとんとした顔の刀太が普段みたいに眉間に皺寄ってたり半眼だったりしない分、無邪気に見えて可愛い。
三太の造ったお試し魔法は「年齢操作」。潜入捜査とか相手の調子を乱す用に、外見の年齢を操作する効果らしかったんだけど…………、問題はそこじゃない。
「あのね? おねえちゃんたち、だれ?」
「「「ッ!?」」」
そう、この通り記憶まで綺麗に消し飛んでしまっていること。
つまり今現在の刀太は、誰がどう見ても幼稚園児、高く見積もっても小学一年生くらいのイメージの男の子といったところ。重力剣とか重くて持てないといわんばかりに尻もちついて、きょろきょろ周囲を見渡して泣いてしまった。
ちょっとー! こんなのどうしろっていうのよッ!
九郎丸とか動揺のあまりアーマーカード解いちゃうし(三太は普通に魔力切れ(空腹?))、アーティファクトだけ簡易召喚してパソコンだけ取り出してるけど、これってちょっとどうしたものかしら。
「何事ですか?」
「あっ、夏凜先輩っ」「夏凜ちゃん! 誰より長生きしてる夏凜ちゃーん!」「先輩来た! これで勝つるッ!」
「騒々しいですね。一体何が――――――――? えっと、ふぇ?」
スポーツドリンクを持ってきてひょっこり生えた(失礼)夏凜ちゃんだったけど。びえーん、びえーんって泣いてるちびっ子刀太の姿には、流石に色々と最近ぶっ飛んできてる気がする夏凜ちゃんといえど困惑してるみたい。事情を聞いて、腕を組んでうーんと唸ってる。
夏凜ちゃん、実際私たちの中で一番長生きな訳だから(私の周回分は経年日数に鋼の意志で数えない)、そういう経験もあるんじゃって思って聞いてみたんだけど、夏凜ちゃんは私の方を見て、なんでか申し訳なさそうな感じに肩をすくめた。
「…………実質誰よりも人生経験のあるキリヱ、貴女はどうなのでしょうか。こういう場合の対処の仕方など―――――」
「わかるわけないでしょ!? 基本、全部「捧げてた」から全然そーゆー子守りとかの経験皆無よッ!」
「胸を張る話じゃないんでは? キリヱ先輩……」
「そこ三太、黙ってなさいッ! ちなみに九郎丸は?」
「ぼ、僕は、その、無い訳じゃないんだけどその、か、可愛すぎてなんていうかこう、触れないって言うか、あーでもわんわん泣いちゃってるし―――――」
「仕方ありませんね。一旦は私が預かりましょう」
そう言ってちびっ子刀太をひょいっと持ち上げると、そのまま抱きしめ…………? なんか、いつも通りの光景ね。そう見えちゃう時点で私も感覚、麻痺してるかしら? そのままお尻から支えるようにして、背中をポンポン叩いてるところは完全にお母さんって言うかお姉さんっていうか。ちゃんとずり落ちそうになったズボンのベルトを締めてあげたりとか、こう、上手く言えないけど凄い手馴れてる。…………手馴れすぎてすごい違和感あるけど、本人いわく紀元前の人間らしいし、シスター時代とかもあったって言ってたから孤児とかのお世話しててこういったものは慣れてるのかしら。首のマフラーをなんだかんだ離そうとしないのもなんのその、ちゃんと巻き直してあげてからぎゅってハグしてるし。
っていうか、腕の長さが足りなくて抱きしめ返せないのかしら、夏凜ちゃんのおっぱい横のあたりで手が彷徨ってるじゃないのッ! 何なのもうッ!
「どうしました? 大丈夫ですよ、大丈夫。お姉ちゃんは怖い人じゃありませんから…………」
「あのね? …………みんな、しらない」
「そうですね、いきなりで怖かったですものね」
「おねえちゃん、だれ?」
「私は、夏凜と言います。…………大丈夫、貴方は一人じゃありませんから。『約束しました』し、ね?」
「?」
「…………あやしてる声の夏凜ちゃん、なんかすごいカワイイわね。こう、上手く言えないんだけどハスキーなのに凄いキンキンして可愛い声っていうか、ふえぇぇぇってたまに言ってるのが似合う声っていうか……」
「確かに夏凜先輩、歌ってる時の声すごい特徴的だったけど……」
「いや、九郎丸センパイも歌ってる時は結構大概スゲー良い声っッスよ―――――」
「ほほぉう! 何やら面白そうなことやってるじゃないかっ!
僕も混ぜてヨ!」
半眼で謎の決め顔みたいな笑いを浮かべて、一空がこの空間に乱入してきた。背中からクラッカーみたいな弾発射する銃みたいなのが四つ生えてるわね。って、コイツ一体いつから?
「んー? 三太君がメモアプリひっくり返して呪文探してるところからかな?」
「最初からじゃないッ」
「そんなことより…………、これは一大事だねぇ。九郎丸ちゃんも夏凜ちゃんもキリヱちゃんも、気が気じゃないだろうにあんな小さくなった刀太君なんて」
「ちゃん付けは止めなさい、飴屋一空。……気が気でないとは?」
刀太を落ち着かせたっぽい夏凜ちゃんが、当のちびっこ刀太を引き連れて来る。人見知りしてるみたいに夏凜ちゃんのスカートの裾掴んで背中側に隠れようとしてるけど、夏凜ちゃんの足相手だと流石に隠れきれず、そのわちゃわちゃしてるのを九郎丸が「か、カワイイ……!」って見てる。私的には別にそこまで可愛いとは感じないんだけど……。あっ、でも何かずっとビクビクしてるってのは、普段のアイツに通じるところはあって、ちょっと複雑な気持ちね。
「だって考えてもみなよ。こんな幼少期のカワイイ刀太君を連れて道端歩こうものなら…………、勇魚ちゃんが危険」
「「「「嗚呼……」」」」
これには全員、頷いた。
あの妹は、こう、なんていうのかしら……、本当なら別にそうでもないはずなんだけど色々偶然が重なって一度「そういう」視点を持ってしまった結果、アイツ生来のアレっぽさでどんどんと沼にハマるみたいに妹として(?)おかしくなっちゃったのかしらねぇ……。
「それに、魔法アプリシミュレーターだっけ?
「コイツに関しちゃ、大体24時間以内って出てはいるッスけど……」
「となると24時間以内に、彼に何かあっても自力で対処することが出来ない訳だ。この間戦ったって聞く『水の使徒』だったっけ? とかが、さらいに来ても対処できないし。力を貸してくれそうな雷獣君も、どこかに逃げちゃったみたいだし。常在戦場とは言わないけど、何が起こるかわからないからねー今時」
「あっ、言われてみればそうね」
それはそうと乙女な皆には耳より情報~って、一空はちょっとニヤニヤ爽やかに笑いながら、私たちに3人に耳打ちしてくる。三太とかも位置的に聞こえちゃってるけど、明らかに愉快犯だし、別に耳より情報でも何でもないんでしょーけど(こーゆー所はホント子供らしい一空)。
「…………男子って言うのは、つらい状況や大変な状況を経験するとき、傍に寄り添ってくれる女の子には、色々な意味で見方が変わってくるらしいよ? 苦楽を共にした相手は、それこそ普段以上に入れ込む的な話だね」
「入れ込む……っ!」
「まぁ男女関わらず普通でしょう。ねぇキリヱ?」
「べ、べべべ、別に入れ込んだりしてないわよッ!」
「センパイ、キリヱセンパイ、自爆してるッス……」
「うーさいッ!」
ぺしん、と軽くチョップを入れて返しといたけど、一空はそのまま両手を広げて、なんか凄い楽しそうに笑っていた。
「つまりこの状態の刀太君を上手くお世話出来た子こそ! まさにベストオブベストのお母さん、お姉さん、を併せ持つことが出来るお嫁さんということだね!
少なくともこの状態が解除されるまで、皆でお世話してあげなきゃいけないと思うんだけれど――――」
何、僕は悩める乙女の味方だから……、なんて言いながら一空は小指を立ててウィンク。
「――――さしずめこれは、第一回! 刀太君のお嫁さん選手権、って所かな?」
ぴしゃーん! と私たち三人の間に雷が落ちたような、そんなイメージ。九郎丸が唖然とした表情で、夏凜ちゃんがいつも通りおクールなお顔で、私はなんかすごい顔が熱い感じで。
そして、がしゃーん! と入り口の方で物が落ちる音。思わず見ると、そこにはスポドリの入った籠を落っことした、なんかジャージ着てスポーツ得意そうな高校生くらいの人(カワイイわね……)と、……あれ? 結城忍? 仙境館の方で今日もお仕事してると思ったんだけど、一体どうしてここに?
ちなみにジャージの人は目を真ん丸にしてギャグマンガみたいな顔して、忍は「えぇーっ!?」って素直に声上げて驚いてるわ。
…………何なの? 周囲見回して女の子、皆普通に可愛いんだけど、コイツら全員ひょっとしてもひょっとしなくてもアレなの? アレなのよね! 絶対アレでしょ!? どーせ刀太関係でアレなんだって、私、本当「よく」知ってるんだから! 何回かの周で顔合わせてる「朝倉」の煩いのとかッ! まあこのジャージの人は今回の周回で初見だけどッ。
「マジッスか! 何なんスか選手権ってッ! っていうかコレ刀太君ッスよね? 魔法アプリとか暴走したッスか? 私、よく暴走させる方の経験者だからよくわかるッスよそーゆーの! うはー! 何ッスかこれ、髪とかいつもよりも丸っこい感じでフワフワしてるッス!」
「あ、わわわわ……、う、うぇ…………ッィ!」
「あ、あの……、せ、センパイ、溺れてますっ!」
「そうです、気持ちはわかりますが落ち着きなさいマコト。知らない人たちに囲まれてちょっと泣いちゃいそうになってるので」
「知らないって何なんスか? って、わー! ゴメンッス、ゴメンッス。お姉ちゃんちょっと暴走しちゃったから……、えっと、飴ちゃんでも食べるッスか?」
「うぇ……? う、うん」
「ってアンタ、どこからその飴取り出したのヨッ!」
なんか気のせいじゃなかったら指入れて大きく開けたシャツの首元、その「谷間」からすっと棒付きな袋入り球体ペロペロキャンディ(チュッパチュッパするやつ)を取り出してる。ちなみに味はミルク味。何、なんなの、私に対する当てつけっ!?
「えっと…………、おねえちゃん、よめる?」
「へ? あ、成分表だね。…………って、どうして知りたいのかな」
「えっとね、しらないひとから、たべものもらったらいけないってね、『はるかさん』がいうんだけどね、『じんてつさん』はね、せいぶんだいじょうぶならだいじょうぶかもしれないってね」
「はるかに、じんてつ…………」
「何か知ってるのですか? 九郎丸」
「へ? あー、えっと、その、勇魚ちゃんとかから聞いた話があって――――」
「っつーか、知らない人から食べ物もらっても食べたら駄目ってのは判ってても、成分表見て大丈夫そうなら食べちゃうかもしれないってのはそこそこ危ねーからな? このお姉ちゃんは大丈夫だけど」
「うん」
「センパイ、素直ですね……」
っていうよりも、その微妙に前後の話が論理的に繋がらず判定がおかしくなってるあたりも、コイツの普段の抜けっぷりを思い起こさせてちょっとヘンな気分にさせられる。
と、話してるうちにちゃっかり袋をあけてキャンディーを口に咥えるちびっこ刀太と、同じ飴を取り出して咥えるジャージの人。「お揃いっスねー♪」って言ったら、刀太も素直に「ねー♪」って返して、えっと、その、そーゆー所はちょっと可愛かった。
「まぁ、どちらにしてもラチが明きません。まずは手始めにお昼にしましょう。どちらにせよ刀太もお腹が空いているようですし」
賛成、と私含めて声があがるけど、それを聞いて「待ってましたッ!」と言わんばかりに、一空が指を大きく弾いた。……音がすごい大きかった。めっちゃ煩いわね、それ指パッチンとかじゃなくて指バズーカくらい音出てなかった?
「いやぁホラ、お嫁さん選手権といったら、アレじゃない?
――――ズバリ、料理対決! ついさっき茶々丸さんにも連絡入れて、これから某所に特設会場を用意するから、皆も付いてきてねー☆」
いや、何でコイツこんなノリノリに張り切ってるのよと思って肩を落とす私に、一空が「わかってる、わかってる」みたいな変な微笑みとウィンクを寄越してきた。
活報の[光風超:感想1000件(大体)突破記念募集] の方で、まだまだ内容募集中ですナ!
ぜひぜひ