光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ! 深夜の・・・魔の手・・・!
前回もですが調理関係の設定と、あと割とネオパクカードの整理に時間とられました汗


ST120.手鍋下げるは窯の蓋(3)(番外編)

ST120.Bride Ability Championship!(3)

 

 

 

 

 

『クハハハハッ! 特に興が乗ってきたわけではないが、この程度は簡単だからな。

 せいぜい高みの見物といかせてもらおうか』

「それ、フラグじゃないのアンタ……。そもそも古今東西、そうやって慢心して勝てたためしはないし」

『だから、そもそも勝っても負けても問題はないんだよ。

 どちらにせよお遊びに違いは無いからなぁ、精々楽しむさっ』

 

 そう言って気楽に笑う雪姫の人工精霊、っていうか、えっとややこしいからこっちはエヴァって呼ぼうかしら(こっちの方が本名なんでしょうけど、容姿的に)。

 とにかく、一空が調理開始の合図をした後、全員それぞれに適当に動き始めた。とりあえず適当な材料は一通りそろってる(リクエストがあれば茶々丸さんが五分でそろえてくれるとか)ので、とりあえず手早くぱぱっと出来るものを作ろうかしら。準備の時間も異様に早かったとはいえ、もう十二時半過ぎてるし。流石にちびっこはお腹空かせるでしょうし、私もお腹空いてきたし……。

 だ、誰がちびっこよッ! お昼にお腹すくのは普通の生理現象じゃないッ!

 

『おやキリヱ選手、魚肉ソーセージを切り卵をかき混ぜています。これは?』

「包丁の手つきがどこかぎこちないですが、精いっぱい頑張っているのは伝わってきます」

「アハハー、キリヱサンは多少自炊してみようて頑張た方だけど、あんまり上達しなかったタイプネ。だから出来る限り手近な材料で適当に済ませられるように考えてるカナ? おそらくそのままオムレツかオムライス系にしてくると予想できるネ」

「大きなお世話よ超さんッ! っていうか何で知ってるワケ!? ……そのウインクして舌出してちょっとムカつく感じの顔やめなさいヨッ!」

 

 泡立て器をびしッ! っと向けて文句言ってから、もう一度かき回す。嗚呼そうよ、別に作れるからって上手く作れる自信なんてない以上、私の作戦としては「いかに相手を観察するか」! 幸いこっちは近衛刀太に関してはそれこそトンでもない回数見て来た経験値がある。こればっかりは誰にも負ける気はないんだから――――ッ!

 だからストレートに料理の腕で殴ってきそうな九郎丸とかはかなり強敵感が強いんだけれど。

 

 って、腕力足りなくて卵かき混ぜるの疲れて来た……。ルール違反にはなってないから、とりあえず仮契約カードで「アデアット」しておく。これは、負けられない女の闘い…………、だからちゃんと引きなさいよアーマーカード!

 

 

 

ARMOR

・KIRIE SAKURAME

・DIRECTION: South

・GUARDIAN: Kenaz

・ASTRAL: Virgo

・SYMPARATE: LXVII

・EQUIP: CAMERA AD CRONUS・SPACE-TIME DIVING SUIT

・RANK: Numbers of UQ-HOLDER

・P-No: 9

・CODE: 2 0 6 7 1 9 8 7 0 9 1 3

・SECRET: WIZARD GIRL OF " RIFT IN TIME AND SPACE"

 

 

 

 やった! 装着されるスチームパンク風の恰好と、空気を読んでか背中にバックパックサイズで変形してまとまる脚立付きの例のカメラ。とりあえず「や゛ーッ!」っと気合を入れてかき混ぜるわ!

 カレー粉とガラムマサラを適量入れながら。

 

「…………いや、おい待てキリヱお前いつ仮契約した、報告書に書いてなかっただろそれ。しかも『超包子』印ってお前……」

「イヤーハハハ、あまりそんな目で見ないで欲しいネ。キリヱサンがひたすらに頑張って引き当てた結果ネ」

 

 外野の言葉はあんまり気にしない、というか気にしてる余裕ないってーのッ! とにかく混ぜる、混ぜる…………、フライパンってどのタイミングで温めるといいんだっけ? っていうか油いるやつ? このフライパンどっち? 今時ガスオンリーのコンロとかだし使い勝手大丈夫かしら!? 

 だいぶ錯乱しながらだからこそ、とにかく一つ一つ集中…………、検索アプリでレシピというか簡単な作り方を出しながら(これも禁止されていない)。

 

「ある意味所帯じみてるのかもしれんな、日々献立に悩んで調べて適当に作るっていうのは…………」

「まぁオーソドックスは時に最適解ネ。手馴れてないことをするよりはストレートにやった方が…………、って、アイヤー! アレは……!」

『夏凜選手、色々な豆を潰してこれは? 油の準備をしていますね、一体…………、知っているのですか、茶々丸さん』

「データベースの外ですね。ただ動きは手馴れているようなので、おそらく相当作り慣れてるタイプの料理なのでしょう」

「茶々丸、日本料理じゃないからインストールしてないカナ?

 モノ自体はカレー味とか全然関係ない代物ネ。ファラフェルと言て判り辛いカナ? 簡単に言うとお豆で作るコロッケみたいなものネ。一応、中東とかの伝統料理だたが、どうやらカレースパイスを混ぜたマヨを付け合わせに添えるようネ」

『さて対するメンバーのうち、スープを入れたフライパンに生米と具材、あと市販のカレー関係ではなくスパイスから色々調合していらっしゃるのは伊達マコト選手! いやに本格的ですね』

「良く見てください、自前のタッパー持ちです彼女。明らかに手馴れています」

「最近のお嬢様学校、イロイロおかしくないカ? 別に趣味てワケでもないだろうニ、普通にイチからスパイス嗅いで自力で色々やってるとか…………、あっ隠し味にミルクチョコレート。使ってる種類からして、魚介に負けない味というよりふんわりとした甘口にするつもりみたいネ、流石一般女子というところカ。価値観が中々フツーで大変宜しいネ!」

「…………(普通の女子高生がカレーをスパイスから調合している時点で、それは果たして一般的な女子高生なんだろうか)」

「…………(ダイゴくん、空気読んでツッコミ入れてないんだろうなー)」

「いやフツーの女子高生って絶対そーゆーの持ってねェんじゃね?」

「「(言った!? 勇者だッ!)」」

「アハハー、お嬢様のたしなみにしては中々芸が細かいネ、三太クン」

 

 耳に入ってくる情報、普通に夏凜ちゃん達も強そうというか、こう……、えっ? いや、その、何て言うか普通に同じ土俵で勝負してくれてない感じが凄いというか、えっ何? スパイスからとか明らかに料理スキルに天と地くらいの開きを感じるんですけどーッ!

 だ、だ、だ、ダイジョブ、ダイジョブ、ここは頑張って、頑張るのよ私…………!

 

『さてここで平和枠? ストレートに頑張ってるお二人にインタビューしてみましょう。忍選手、現在調子はどうですか?』

「えっ? え、あ、は、ハイ! だ、大丈夫です。後は焼き上がりを待って、時間を見計らって付け合わせを…………」

『ちなみに今作ってるのは何かな?』

「ホイル焼きです。中身は、後でのお楽しみと言うことで……」

「実況は間に合っていませんでしたが、火入れ前までの仕込み自体はほぼメンバーの中で最速でした。中々侮れないかと思います」

「おやおやダークホースかもしれないネ。実に実にフレキシブルな腕前カナ?」

『さて、九郎丸選手は…………、えっと、何やら具材をメタメタに刻んでいます?』

「へ? えっと、刀太君が小さい頃、あんまり消化できなかったみたいだったから、消化に良いように具材を小さく柔らかくしようかなって……」

「オー! 高いネ! 実に嫁ポイント高い気遣いネ! でも時間制限は二十分だからそこだけはちゃんと把握しておくと良いヨ!」

「大丈夫です!」

『ハイ元気の良いお返事どうもねー。って、おっと? ついに先ほどから動いていなかったエヴァンジェリン(巻物(スクロール))選手、おもむろに食材を凍らせ始めてこれはー?』

「手元が見えませんね」

「中が真っ白な氷で覆ってる……」

「空気の亀裂を大量に含んだ氷、調理工程はあえてヒミツと。中々先が読めぬ展開カ」

 

 

 そんなこんな、色々あってそれぞれなんとか完成した。大体、こんな感じ。

 

 九郎丸は「カレー風つけ汁うどん」。ドロドロで色の薄い茶褐色のつけ汁と、やわらかくゆでてあるうどん。スパイスとかは市販のやつ、つけると持ち上げた時にすごい絡みついて、色々な味が折り重なってこう、なんていうか凄いマイルドなカレーの味が強く感じられるし、その割には和風な感じもちゃんとする。お料理上手じゃないッ!

 

 忍は「カレーソースな包み焼き豆腐ハンバーグ・季節の野菜を添えて」。カレー自体は香り付け程度にしてあるけど、色々先にだいぶ下ごしらえしたのか柔らかそうで、フツーにビールのオツマミとして私も貰いたいゲフンゲフン、美味しそう。ちびっこになった過去の刀太が食べていたあたりの味覚をベースに色々と作ってみた感じかしら。あと、最後に飾りつけでパセリを散らしてるのがオシャレね。

 

 夏凜ちゃんは「カレークリームのファラフェル(中東風コロッケ)」。超さんとかが言ってた豆のコロッケかと思いきや、砕いた豆をペースト状にしてクリームコロッケ風に仕立ててくるし、カレー自体も日本系じゃない(インド? 中東?)味になってそうで、中々独特っぽいわね。気のせいじゃなければ、ちょっとヨーグルト風味っぽい匂いもあって、市販ベースだと思うけど意外と本格派。

 

 私? 私はまぁ……、おこさまランチ風オムライスって言ったらいいかしら。こう、カレー風味なオムレツっていうか卵焼きを作ってお皿いっぱいに広げて、その中央に小さいお椀で作ったケチャップライスの山と、あと旗! 刀太がどういう味を好きなのかわからないけど、年頃と普段の趣向から考えて割とシンプル系の味付けの方がいいかなーって思ったのから、こういう風にしたんだけど、どんなものかしらね。

 

 で、正直一番ヤバいくらい凄いのがマコトさんの「カレーピラフ」。出来たもの自体は凄いシンプルなんだけど、作ってる途中の行程とか、あと出来上がった具材がちゃんと均質にブロック状にカットされてたりとか、色々な要所要所細かい所にウデっていうかワザが光るこの出来栄え。……ま、まぁ、自信を失くしちゃいそうかなって思ったけど別に私って失くすほど料理の腕ってないから、だ、だ、ダイジョブ、ダイジョブ。

 

 そしてラストを飾るエヴァだけど……?

 

「何ヨ、それ?」

『知らんのか。焼きカレーだ』

 

 別にカレー系の味というだけで、カレーを作ってはいけないというルールはないしな、とエヴァ。本体の雪姫が頭抱えて「お前は……」みたいな目で見ているのを、鼻で笑うエヴァだったけど、えっと、それってこう、大丈夫なの色々? あんまり消化できないんじゃなかったっけ? 刀太。

 確かに出来上がったそれ、耐熱容器に入ったカレーとチーズとお米がこんがりしてて匂いも美味しそうで中々悪くないんだけど…………。って、あの短時間でどうやってカレーなんて作ったのよ、貴女たぶん残り時間十分くらいで着手してたじゃないッ!?

 

『今の近衛刀太にかかってるそれは、精神はともかく外見上は認識操作ベースの術だろうからな。

 実体そのものが変化している訳ではない以上、食べ物を食べる量は変わらないし、なんなら消化能力などまで昔に戻っている訳でもあるまい。

 そのレベルで肉体までも遡及できる魔法アプリなど危険極まりないし、消費魔力の具合でなんとなく判るさ』

「そーゆーもんなのかしらね……」

『それよりお前、そのいかにもおこさまランチ風のそれは…………、こう、アレだな、何と言ったらいいのか、中々可愛らしいじゃないのか? ウン』

「って、アンタその表情、ぜったい馬鹿にしてんでしょッ!?」

「ま、まぁキリヱちゃん落ち着いて……、って、重いっ!?」

「九郎丸、アンタまで何言ってる訳!」

「い、いや、そのスーツの話だよっ!」

 

「ずいぶん手が込んでるわね、マコト」

「イヤー、たまたまッスよたまたま。ちょっと今月はカレーに凝ってる月でして……。

 って、そういえばなんスけど、忍ちゃん? と夏凜さんって、ご姉妹なんスか? 刀太くんの所みたいに苗字一緒だし、料理とかの手際もどっちも良かったし」

「先輩の所みたいに……?」

「後で話してあげますよ、忍? でもいえ、これが不思議なことに本当にたまたま苗字が同じだっただけなの。血縁関係とかもさっぱりないし。まあ、こういう娘だから妹みたいに可愛がってはいますが」

「ひゅッ!?」

「あー、キンチョーしちゃって可愛いッスねー。……でも何でツナギ?」

「へ? あ、ハイ。ちょうど雪姫『先生』に色々習ってる途中だったので、その分を『仕込んだ』のを試験しようかと持ってきたんですけど…………」

「貴女、一体何をやってるの…………、って、雪姫、先生?」

 

『さぁさぁ雑談もそこそこに!

 とりあえず審査員の皆さん準備してもらいましてー? 今回は刀太君含めてみんなで試食ということで、全員が最低でも二口以上は食べる前提で準備してくださいね?』

 

「アハハー、とはいえ私ショージキ誰が勝つか想像ついたネ」

「超?」

「茶々丸には予想だけど教えとくネ。えっと……、――――――――」

 

 ひそひそ話してる超さんたちも含めて、とりあえず全員でそれぞれ試食会的な感じになったわ。刀太はなんでか雪姫に食べさせられてる。流石にそこまで幼児じゃないんじゃ……? って言おうかと思ったけど、目が合った刀太が「だいじょうぶ」って言ってきた。何なの、こう、ヘンな察しの良さは当時から健在ってワケ?

 

「美味ぇ……、皆、美味ぇ……」

「…………評価に困るね、全体的に」

「いやダイゴくん、それ一番言っちゃいけないヤツ…………」

「ん、実際難しいな。単純な美味さという意味では、全部が全部ベクトルが違うというか。…………そこの人工精霊のを除いてな」

「んく、…………んーとね、うん、うん……」

 

『あーん、って食べてるの凄い可愛いッ! 本当は自分で食べたそうですけど、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに気を遣って食べさせてもらってるあの微妙な表情すごい可愛い! 私もやりたいですッ! …………、いえ、あの、やりたいので実体を取り戻させてはくれませんか? 造物主(マスター)。……駄目? そ、そうですか…………』

 

『さて! それでは皆さんそれぞれの点数を記入してもらって、この集計ボックスに…………、はい! 有難うございますッ』

 

 そして集計もそんなにかからず終わり、どこからか出て来た大型液晶モニターに色々映し出される。このヘンに引っ張らないスピード感はこう、個人イベントみたいな感じがしてちょっと楽しいカモ。

 

 

 

(※三太、大伍、ちづ、エヴァ、ちびっこ刀太 の順番)

  

 ――――時坂九郎丸: 10点 10点 09点 07点 09点 ――計:45点

 ――――結城忍  : 10点 09点 08点 08点 09点 ――計:44点

 ――――結城夏凜 : 10点 09点 06点 10点 09点 ――計:44点

 ――――桜雨キリヱ: 10点 07点 08点 09点 09点 ――計:43点

 ――――伊達マコト: 10点 10点 06点 05点 09点 ――計:40点

 ――――エヴァ精霊: 10点 06点 07点 04点 10点 ――計:37点

 

 

『おーっと、これは中々割れたぞー!?』

「評価数値的に一番高いのは九郎丸さん。しかし刀太くん的に一番高評価がマスターの人工精霊の作ですか」

「ネ、言った通りだったヨ」

 

 えっ、結構混沌としてるんだけど、超さんこの展開予測付いたの?

 ていうかアレだけ自信マンマンだったエヴァ、点数的には最下位じゃないっ!? そのくせ刀太から一番高評価って一体何がどうなってるのヨ!

 

「何と言いますか……、佐々木三太、貴方まともに評価していないのですか?」

 

 ちなみに、全員に十点付けてた三太が夏凜ちゃんから呆れられたような顔向けられてるけど。

 

「い、いや、だってその……、誰かの手料理とかマトモに食べたのって正直生まれて初めてだし…………」

 

 小夜子、全然出来なかったからなーそーゆーの、っていう三太の一言で、会場にまたブリザードが吹き荒れた。

 

 だから揃いもそろって、色々と過去とか状況が特殊すぎんのヨ全員ッ!

 

 

 

 

 




講評は次回・・・? 割とそれぞれマトモっぽい理由です(味の好みもありますが)

追記:すみません、キリヱの点数入れたつもりで完全に忘れてたので追加しました汗
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