ウルト兎 様からファンアートいただきました、あざます! 本家OSRの扉というかアニメ話見出し風? の感じですので、該当話に「★」つけておきます!
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抗わなければ、貴女を護れない
抗ったから、貴女に届かない
ST122.Timing And Timing
回転寿司が趨勢を色々極めていたのは2010年代以降から2030年代だとネット情報で思っていたのだが、ここに至って私自身、自分の見聞の狭さを恥じるばかりである。とはいえそもそも上京する以前から状況して以降も含め、「こういう店」に足を運ぶこと自体が「近衛刀太として」初めてである。その辺りは私の見識のなさというより、こういう世の中であることの方が問題だろうと自己弁護しておきたい。
まぁつまり何がどうしてどうなって、という話かと言えば。
「…………回転寿司屋に、クラシックでお堅い感じのプリン、ッスか!? ここ回転寿司屋ッスよね! 一体何なんスか、何でケーキとかプリンとかが回ってくるんスか!」
「そもそも
「恐るべしッス……、恐るべしっていうかもはや寿司とは何なんスか!」
「いや、でもホラこれ、美味しいッスよ? 甘えびのジェノベーゼ軍艦」
「創作寿司にしても色々極まりすぎていないッスかねぇ!? …………あっ、でも確かに美味しいッス」
私以上に無知無見識を発揮して見るものすべてにテンションを上げて、幸せそうに口の中の寿司をかみしめている伊達マコトと相対しての、何とも言えない感想であった。まあサ店代わりにココを選んだ私も私だが、それなりに楽しんでいるようで何よりと言うべきだろうか。背負ってきた黒棒は相変わらず何も言わないようだが、そういう意味ではとりあえずちゃんと二人きりでのお出かけなので、それもプラスに働いたかもしれない。
『あ、明後日なんスけど! 用事がなかったらデート行かない? ッスか?』
「あっ、いいッスよ?(適当)」
あまりにも軽く応じすぎてしまったせいか向こうは向こうで釈然としない表情だったが、私としてはその日はもはやそれどころではなかったのである。電話のあったその数日前に行われた蛮行と言うべきガバの山頂が一つのごとき名状しがたきイベントすなわち「お嫁さん選手権」的なサムシングにおける、私自身の記憶がなかった時の映像を一空に見せられて、呆然としていたのだ。
正直、下手な恐怖体験よりも恐ろしすぎてもはや何が何やらといったところである。というか冒頭から既に脳が理解を拒んでいたし、ついでに言えばその後普通に優勝している私が一体何なのかとか、やはり色々ツッコミどころがあったりなかったりもしたが、それよりも何よりも「ああいうイベント」に現時点で夏凜含めて全員参加に近い状態だったのが、ショックの源である。
「好感度管理どうなってるんだ…………」
キリヱ大明神を始めとして、全員こう気合の入れ具合がかなり高いというか、評価結果がだいぶガチ寄りすぎて正直どうリアクションしたら良いのかさっぱりである。というか雪姫に一時ついてきた忍が参戦するのは(原作的に納得できないが)理解できなくもないが、ついでとばかりに靡いてしまっている伊達マコトの参戦とか、もはや原作が迷子状態である。そもそもこのイベント自体が原作迷子なので、どういうことなの……?(困惑)
いや、原作補正のようなものが働くのなら最終的に九郎丸、夏凜、キリヱや忍あたりは間違っていない流れにはなるのかもしれないが、それにしたって早い、早すぎる。せめて「みぞれ」が出てからにしておけッ! という話だが、原作消費速度から考えるとおおよそ3巻程度の巻数が存在することになるだろうが。それをぶっ飛ばされてもその……、師匠にすら出会っていない状態なので、そろそろ誰か許してクレメンス(祈祷)。
まあそんなこちらの放心状態など、好意を持ってぶつけて来てくれた彼女に対しては一切関係がないのだ。受けた後でそれはそれでガバの気配を感じて落ち込み九郎丸やら三太やらから困惑された、それはそれで仕方ないと奮起し携帯端末とにらめっこ。
何故に回転寿司に入る流れになったかと言えば、こう、なんというか外観が
まぁその分、お寿司以外のメニューが若干割高だったりするが、とはいえ許容範囲には入るレベルである。
結果としてお昼時より少し前に待ち合わせし、向かった店舗で彼女は大層「うわー! うわー!」とお上りさんみたいなリアクションを多発させていた。
そういえば彼女は聖ウルスラの女子高生、つまりお嬢様系である。服装やら物腰やらはもっとフランクでそう感じさせないものはあるが、意外と学校相応に箱入りな部分もあるのやもしれない。……とはいえ私とて熊本で拘束されていた期間やら何やらを考えたら十分箱入りというか社会生活を営めるか(「私」個人の経験を除けば)甚だ怪しい所である。これはこれで案外、お似合いのコンビなのかもしれない。
そしてそのままの流れでカウンターではなく向かい合う四人席に座り、色々教えながら今に至る。
ビッグハンバーグステーキ握り(ビーフ100%の350円一品)だったりトロざんまい軍艦(赤身、中トロ、大トロなどの軍艦6つ1200円)だったりひつまぶし(養殖うなぎの2000円)だったり、若干値段帯が高いあたりはやはりお嬢様的な感性というべきか。値段を見ると言うことをしていないのは自分の財布の中身から考えて問題こそないが、普通の男子高校生だと尻込みしてしまう容赦のなさである。そんな伊達マコト本日の服装は、ホットパンツ風なサロペットにやや透けている半袖白シャツ、首の部分がブカブカで左肩が見えており、気のせいでなければ上着の下は明るい色の水着を着用しているようだ。生憎ファッションセンスと言う意味ではそんなに無い身分である私なので(三太から例の赤パーカーをまた借りた)気の利いたことは言えなかったが、女子大生みたいだ、と感想を言ったらどうしてか喜んでもらえたので、これはまぁ良いとしよう。
……時折胸元をチラ見せするようにしてくるのはちょっと良くないのだが(マジレス)。何だお前一体、夏凜から情報でも得ているとでも言うのか? 意外と仲が良いらしい二人である、その間で果たしてどんな会話が交わされてることやら…………。
色々と困った私は携帯端末で、熊本での四人たちとの会話グループチャットにて相談を持ちかけたが。
『肉:巨乳女子高生とデートとか土に還って、どうぞ?(推奨)』
『三:まあ死ねとは言わないけど控えめに言ってシネェ!』
『白:ケンカダービー売ってるなら全員で購入してお前に賭けるから潔く、滅びよ……』
『野:甘ったれるな! 俺達から任されたからには貴様はナイスガイなのだ。その場所と彼女とを我々を紹介する義務がある。手の空いているものは覚悟しろ、モテ男の群れだ』
まぁおおむね予想通りに集中砲火を浴びていた、仕方ないね(達観)。なおマコト本人も、私が携帯端末をいじってヘンな顔をしたのを見て興味をもって事情を聞いてきたので、あっちの中学での友達と話していると言うと「だったら写真送ってもいいッスよ~」とノリノリであった。
当然、送られた写真を見て火に油を注いでいる感じではあるが、とはいえ原作知識からして他の全員も高校はアマノミハシラ学園都市の何処かの受験に向けて色々準備中だったはずだ。下手に場所を教えると襲撃されかねないし、あんまり遊びすぎると顔合わせの際に盛大に「いぢめられる」だろう、多少は笑い話で済ませられる程度で自重する話である。
『肉:やっぱり土に還って、どうぞ?(提案)』
『白:というか朝倉さんはどうなってんの?』
別にどうもなっていないのだが?(平常心) なお、そんなことを言われてもさっぱり心当たりがないのだが。朝倉というのは熊本時代のクラスメイトの一人であり、なんか髪がツンツンしてる女の子である。確か親が実家が小説家だとか色々聞いたことはあるが、向こう側はこちらの印象もそう残ってはいないだろう、別に何ら問題はないはずだ。(???「いい加減学習するべきじゃないかねぇアンタ」)
「んん、プリンもまぁそんなに拘ってる訳じゃないけど美味しいっていうか。クリームとジャムもちょっとついてきてこのお値段はだいぶお安いッスね。…………って、刀太君は何食べてるッスか? ジャムの代わりにカスタード乗っかってるッスけど」
「かぼちゃプリン。食べるッスか?」
「あっ! じゃあえっと…………、あーん!」
「…………」
目を閉じて口を突き出してくる彼女に、私は新たにとったスプーンですくったかぼちゃプリンの一かけを運んだ。
「…………! ん、ま、マジでしてくれるとか思ってなかったんスけどっ!? って、あれ? ……あー、なるほどッス。そうオイシイ話はないッスよねぇ……」
「いやー、まぁ何つーか…………。どーしてそう、まともにデートしたこともなかったのに俺に対する好感度が高ぇんスか?」
私の疑問に、彼女はウィンクして答えた。
「人が人を好きになるのに、大して理由は要らないらしいッスよ?」
「そんな受け売りみてーな話されてもなぁ……」
「まー、何かしら理由付けが欲しいんならアレっすよ、アレ。タイミングが噛み合ったってことじゃないッスか?」
「タイミング?」
私たちって思春期じゃないッスか、とニコニコ笑いながら話す彼女だが、生憎私はそれをいえば「ずっと」思春期なので、ちょっとリアクションに困る。……ずっと思春期ってこう、なんというか外聞が悪いような言い回しでもあるが、本来の意味ではなく物理的な意味でなのでそれはさておき。
「だからこー、アレなんスよ。丁度良いタイミングで、丁度良い形で、丁度良い感じの男の子がすっと丁度良い感じに助けてくれて。で、丁度良い感じにカッコ良かったし、丁度良い感じに性格悪くなくって、丁度良い感じに胸がきゅんと苦しくなったら、そりゃもうアタックあるのみッスよ」
「なんでそんなフワッフワした動機なんすか、フワフワすぎて綿あめ作れそうな勢い……」
「ま、一目惚れなんて大体そんな理由ない感じのものなんじゃないッスかね? 丁度良い感じに後輩のお兄ちゃんらしいし、丁度良い感じにちゃんと『お兄ちゃん』してあげられる子らしいし。あとは、夏凜さんに聞いたッスけど、この間のアレも『中心地』の方で色々頑張ってたみたいじゃないッスか。だからこー、デートの一つや二つしたところで、良いんじゃないッスか?」
別にそこがフワフワしてても軽蔑しないし嫌ったりしないッスよね、と楽し気に笑う彼女に、私はため息をつく。
確かに、下手をするとホルダー所属な面々の女性陣よりも遥かに付き合いやすいかもしれない一人たりえる可能性はある。正直、この軽さは熊本での中学生時代における朝倉並に気が楽で、色々と気負わないで暮らせるという意味ではこの普通さが異常に心地よい。忍の健気さに癒されているそれに近いが、あちらは原作の今後を考えればガバが怖いので下手なことも出来ず考えられないため、彼女の方が気楽な付き合い方が出来るかもしれない。
「……って、そういえばなんスけど。夏凜ちゃんさんとは何であんな仲良いんスかね? こう、色々と経緯が謎っていうか」
「あー、それはッスね。…………えっと、帆乃香ちゃん達に刀太君が誘拐された時あったじゃないッスか、あの世界樹前のテラスで」
「誘拐……」
「略取された時あったじゃないッスか」
「意味変わんないッス」
「拉致られた時――――」
「だいぶ酷くなったな。って、まぁいいや。それで?」
「ハイハイっと。でー、あの後こう、ジャージの手を引かれてちょっと人目につかないところに連れ込まれたんスよ。締められるッスか!? ってちょっと怖くなって魔法アプリ起動しそうになった瞬間、こう、腰に手をあてて写真アプリ起動して、刀太君のそれを見せながらこう……」
――――端的に言いましょう。貴方、彼に惚れているわね。
一切躊躇のない、無能先輩らしい無能先輩ムーブである。恋愛脳すぎて無能極まっている状態の夏凜のそれで間違いあるまい。漫画的には背景に謎の集中線が走っていたことだろう。面倒くさい(語弊)。
「で、言葉責めされてこう、言い返せなくって、膝ついて、そしたらなんか色々事情っぽいのを話してくれたんスよー。刀太君がこうモッテモテな話とか、それに見合う分だけ『死んでる』ことだとか」
「その話ってマコトはんとかにしてもええ話やったんえ……?」
「口調、帆乃香ちゃんみたいになってるッス。
まー、
果たしてその話がどう現在の状況に繋がるのかと言えば、なんというか大体は夏凜ちゃんさん自身のせいであった。
「でーですね。一応、私って刀太君的にタイプの方ではありそうだーって話してもらって。だからこう、誰か一人! ってなるか、全員! って欲張りさんになるかわからないッスけど、そーゆーチャンス自体は有っても良いでしょう、選択肢が多い方があの子も気楽で居られる部分があるかもしれませんし、みたいな感じで、以降は情報共有したりチャットしたり、まー色々ッス」
「むしろ人数増えたら普通は重荷になるのでは?(マジレス)」
「責任は重いけど心の状況次第で寄りかかる先を変えられる側面もあるとか」
秒で即答してくるあたり、彼女の考えではなく夏凜がそれに似たようなことを彼女に言ったという事だろうか。ふーんなるほど? つまり大方の予想通りと言うべきだろうか、大体彼女を引き込んだ原因は夏凜にあるという訳で…………。
その夏凜がああなってしまった初動については私にも原因はあるかもしれないが(わざわざ咄嗟に「私」の名前を名乗ってしまったガバも含めて)、その大本の原因は雪姫にあり、なんなら雪姫がそんなミスをした原因の一つは間違いなく私と九郎丸と両方の稽古をつけていたせいだろうし、その上で九郎丸が早々に私たちに合流したという意味では橘が全然動かなかったのが悪い訳で、つまり今頃熊本の刑務所に収監されている橘が悪い。
をのれ橘ァッ!(責任転嫁)
「まー、そんな感じなんで。……色々周りに気を遣ってお疲れって感じなら、私とこうして特に気負わず適当に遊び倒すってだけでも、それはそれで良いんじゃないッスかね?
だって私たち、学生な訳だし」
「…………っていっても、それだって今後のことを考えたら」
「あはは、真面目ッスね君は。まー、その時はその時で考える話ッスかねー。今の時点でどうこう言う話でもないでしょ」
「前向きッスねぇ……」
「だって好きなんだから、そりゃ仕方ないじゃないッスか」
誰か一人とかすぐさま結論出したり、手を出さないのには何か理由がありそうだってのは夏凜さんから聞いてるッス、と私の頭を撫でるマコト。
「でもまぁ、無理しない程度でもいいかなってお姉さん思うッスよ? 頑張るところで頑張って、オフのときはちゃんと気を抜くってのも、フツーの生活じゃないッスかねぇ」
そう言われて可愛がられてしまっては、「私」ではなく近衛刀太の立場としては上手く言葉が返せない訳で。
結果としてこの後、カラオケに行ったり珈琲ショップで豆の厳選をしたりと、それこそ普通の学生のようにデートをして過ごした私たちだった。
「ほう――――休日の学園、夕暮れ時に年上のお姉さんと逢引きか。
ヘンな懐かしさを覚えて涙腺が緩んでくるよ。それこそ80年くらい前を思い出す」
「…………」
「あれ? が、学園長じゃないッスか! もうお帰りになられたんスか?」
伊達マコトを寮に送る帰り道、学園都市の世界樹テラスよりもさらに手前で。急に人気が無くなったかと思うと、彼女は現れた。ボンデージも想起させるような黒い未来的スーツとコートを纏った褐色の美女。ちょっと
「学園長…………」
「代理、だがね? ……フフ、この間は力になれずに済まない。
済まないついでにだが、一つ、私に出来る範囲でお願いを聞いてあげよう――――近衛刀太君。ネギ先生の孫である君に、ね?」
その彼女、龍宮真名は、得意げにウィンクして私の方を見て「妙に親し気な笑み」を浮かべた。
これは…………、ガバ? ガバじゃない? 時間軸ちょっと狂ってる気もするけれど、三太編終わった後の登場は規定事項だから、つまりセーフ! ノーカンってことで!