戦闘シーンとチャン刀の言い訳()のおかげでだいぶ文字数が稼がれたやつ・・・
※あとがきに挿絵あります
ST132.BORN IN THE DARK EYES
「あの、夏凜先輩?」
「どうしましたか九郎丸。…………おや刀太、ヨダレが垂れていますね。フフフ」
「いや、フフフじゃなくってその、えっと、何と言いますか……」
「九郎丸もやりますか? ほら、その手に持っているスプーンを刀太に向けてあーんして――――」
「――――近すぎるじゃないのヨ! 明らかにッ! 距離感とか! しかもここ何日かッ!
ちょっと一体何がどうしたっていうのヨ意味わかんないッ!」
狂った世界、狂った世界だ……。明日すら見えないというかガバしか見えない世界などもはや狂った世界でしかないだろうが、割と自業自得の部分もあるので何とも言えないが言い訳くらいはさせてほしい。そもそも当事者のメンタルが、依存か崩壊かの二択のみの状況で私にどう選択肢を取れと?(白目)
「いえ違うのですキリヱ。――――近すぎるのではなく、近づいているのです」
「より性質が悪いわヨ! 完全に自覚ありありじゃないッ! 何なの、アンタやっぱり好きなの!!? っていうかこの間から何かおかしいってことはアンタ何かしたのちゅーにアンタッ!!?」
「…………」
「と、刀太君、心が死んでる……」
「まあ落ち着きなさいキリヱ。そもそも大前提ですが刀太も私も現在フリーなわけですし、その気があるのなら貴女とてアプローチすれば……、いえむしろしましょう。一緒に。ほら、こちらに来て――――」
「出来ないから言ってるんじゃないのよアンタ本当どーしたの夏凜ちゃんヘンな薬でもやったの!!?」
現在の案件的に割と洒落にならないキリヱの自爆めいたツッコミはともかく……、いやその自爆内容も内容で色々とこの世界の正気が無いよう(激ウマギャグ)。どいつもこいつも一回でいいから原作を読み直せ原作を(無茶)。
昼休みのとある教室、人はいない。場所でいえば夏凜の現在通っている学校のどこかの準備室ではあるらしいが。ここ二日三日ほどずっとこんな調子の夏凜に誘われてホイホイついていき(というよりなんとなく未だに情緒が安定していない気配を感じたので一人にしておけず)、そんな私に「ぼ、僕も行くよ! 何かこう、心配だからっ」と付いてきた九郎丸と途中で湧いて来て酷い顔をしているキリヱ、そして面倒ごとの気配を感じて早々に退散した一空という構成が現在である。
まぁ端的に言うと、夏凜が
それは例えば、朝学校に行こうと九郎丸と一緒に部屋を出れば寮の入り口で待ってたり、またこの仕草がどこの少女漫画かというくらいソワソワして見た目の成人女性っぽい美人さと裏腹なくらい子供っぽい具合、かと思えば私を見つければそれこそ原作でも早々お目にかかったことのないレベルで「ぱあぁ!」と明るくして駆け寄ってくるわ腕を組んでくるわ、そのくせ話していることは普段通りという何だこの崩壊したパーソナルスペース(絶望)。
九郎丸ですら指摘をためらうレベルで色々と何かが飛んで行ってしまった夏凜であるが、しかしそこは我らがキリヱ大明神である。しっかりツンツンと腕を腰に当てて正面衝突してくださっているようだった。
とは言え状況的に半分以上呆然自失として遠い目をしている私であるが、身体的にはまあまあ思春期が思春期しているお陰で持っているらしく(?)、意識がどこかにノーコンで投擲されることだけはギリギリで回避できていた。回避できていたからといって今の私が正気かどうかはともかくではあるが、それはさておき。
深呼吸をして我を取り戻し(たことにして)、私の腕に縋りつくようにして肩に頭を乗せる夏凜のつむじに声をかけた。
「とりあえず飯、食べるんで離れてくださいッス」
「わかりました」
「秒!? 秒以下で納得するの!!? 私が言ったときは全然離れる素振りすらないくせに刀太が言ったらすんなり離れるの!!?」
「当然です。さて……、では、はい? あーん♡」
「声音がおかしいわよ何そのカワイイ声!!? ちゅーにが子供になってた時のあやすみたいな頭フワフワな声!!? 猫なで声ですらないわよねそれッ!」
「いや、まぁ自分で食えるッスから……、食え……、んぐ」
「アンタもアンタで受け入れてるんじゃないわよ!!? って九郎丸も何、自分のカツサンド一つ手にもって構えてる訳、順番待ちか何かッ!」
ぜー、ぜー、と肩で息をする大層お疲れのキリヱ大明神に、遠い目をしながら思わず両手を合わせる(祈祷力)。もっともその後で意地を張って自分の持っていたフライヤーのフライドポテトを構えて九郎丸の後ろに並ぶのは、お前さんもお前さんでちょっとこう、なんていうんですか…………。
やっぱり神様なんてどこにもいないんだね(悟り)。(???「ある意味「神殺し」を主題とするアンタにとっちゃ至言ではあるだろうが」「…………」「アハハー、『自分』相手にそういう顔するの止めて落ち着くネ、『勝四郎』サン。只でさえ先輩は先輩自身が先輩として『重なって』る以上、色々早くなるのはある意味自明の理というやつカナ」)
なお念のために言っておくと、ここまで彼女たちがベタベタしてくるのは、本日のまほら武道会予選で、夏凜と九郎丸がチームを編成して戦うことにしたらしいから、だろう、と思う、たぶん(疑心暗鬼)。少なくとも登録などの関係があるため、今日に関しては放課後は一緒に居られないと。明日に至っては件の取引への「カチコミ」があるので、そういう意味でも今日は一緒に居られないから心配的な感情が発露にあるに違いないそうに違いないきっとたぶん(疑心暗鬼)。(???「ここまでくると自己催眠の領域かねぇ」「セルフマインドコントロール……」)
※ ※ ※
「釘宮にも愚痴、電話したんだけどさ。『拒否できないのが悪いとは思うけれど、拒否するに出来ない状況なのは察してしまったから何も言えない』て返されてさ。正直、こう、なんていうか二人してどんよりする他なかったんだわ……」
「いやそんな話、私にされても困るんだけど……って、それって私も入ってたりする? ちゅーに、アンタちょっとそこに直りなさいッ!」
スラムの街並み、中央通りだったろう元の地形から外れて更に裏通りとも呼べる光の少ない場所で、携帯端末やら光源アプリやらを使用しながら歩く私とキリヱである。
この少なくとも表面上全然変わらない距離感、嗚呼プライスレス(祈祷)。
なんだかんだで既に夜半。放課後は帆乃香たちが「あーそぼーうえー♡」と何処から買ってきたのかTRPGのルールブックやら何やらを手に絡んできたが「えぇい仕事じゃー仕事じゃーッ!」と誘惑を振り払い、その後は真面目にお仕事である。お仕事といっても連日、繁華街かスラムかを見て回ってるくらいで、真面目にスラムにお邪魔したのは初日くらいなので、それ以降は大した話ではない。そもそもスラム周辺を見て回ると言うのは、基本的に「そのテの連中」の姿を確認できるかというのが主になりつつある。向こうも大々的に何かやらかすのはまだ時期尚早と考えているのかは知らないが、ともあれそんな訳で。
そうすると誰かしら私の護衛ではないが、もう一人必要というところでキリヱが手を上げた。夕方の時点でセーブをしておけば、いざ何かあってもすぐに対応できるだろうという判断である(時間遡行)。九郎丸と夏凜も既に彼女の能力詳細は聞いているため、これには納得を示して現在に至る。私としても何かしら大きなガバが起きて変な事態が発生しても問題ないだろうと考えているので、これはこれで「勝ったな」というところだった。(???「フラグ」)
と、久々にキリヱ大明神で癒されて思い出したが、そういえば夏凜いわく今回のヤクザ編? みたいなものって既にキリヱによる「巻き戻し」が発生していたはずである。それについて確認すると、キリヱは「全然へーきよ、へーき」と肩をすくめて笑った。
「まだたった49回だし」
「多ッ!? いや回数に関してガバが過ぎるだろお前さん…………」
既にだいぶ巻き戻していらっしゃった。というか彼女の基礎値というかが「ゾンビウィルス事件」のときの五万回基準にでもなっているのか、どう考えても耐久上限値がぶっ壊れている一言である。私の指摘に「えっそ、そう?」と少し困惑するキリヱ大明神だが、その内心を慮って思わず合掌し祈りをささげると例によって「私の運気が散るから止めなさいヨ!」とぶんぶん手を叩かれた。
「いや、それはそうとして、フツーに俺を巻き込めば良いじゃねーか。何で一人で頑張ってんだよ」
「んん、癖みたいになっちゃってるのは認めるけど。そうは言っても無理なものは無理なのよ。今回は下手に事情説明すると駄目なタイプだったみたいだし。ただ結論だけは最近確定してるのがわかってきたから、そろそろ話すつもりではあったけど」
背中から無数の黒い刃を背後に浮かせた「三つ目の少女」に取り押さえられ首を刎ねられた直後の近衛刀太の写真――――。
「これだけは確定してるんだけど、その時に私は『居ない』みたいなのヨ。どうあがいても」
「どうあがいてもって……」
「色々あんのよ。っていうか、たぶん『少ししたら判る』と思うわ。だから今回に関しては、むしろ私がアンタと一緒に出て直に敵の正体を確認してやろうかしらって思って――――」
言いながら、次の瞬間にはキリヱは「石化した」。
服はそのままに、彼女の肉体だけ。ちょっと苦笑いしながらも「ふんすっ!」と鼻息荒くしているその状態のまま硬直である。石化というと原作フェイトを思い出すが、しかしあれは服すら含めて全身レベルでの石化だった訳であり、この中途半端な状態は――――。
「いやマジで脈絡なくいきなり来たな……、というかなんで気づけなかったんだ? ――――ッ!」
それを見た瞬間に示し合わせたような嫌な感覚。しかも一方向からのみとはいえ「絶対に逃げられない」体感がある――――咄嗟にしたことは、その方角へ向けて腕を突き出し、大血風を展開・回転させ「置いた」ことだ。「面」で嫌な感覚を感じた以上は黒棒で受け流すのは悪手。とくれば手先から展開した血風の回転で直接防御を期待するくらいなものだが……。
そのままキリヱの身体を抱えて、その場から退避。内血装による瞬動もどき(龍宮隊長いわく「活歩」とか言っていたか)を発動。出力的に裂けて出血した脚の筋肉から死天化壮を身に纏い、数秒でその場から離れる。
と、その置いていた血風が一気に石化し、あまつさえ追撃の「弾丸」で砕けたのを見て判断が正解だったと悟る。あのまま残って応戦したらキリヱすら粉々にされていただろう、これだから全身凍結とかそういった類の攻撃は厄介である。そもそもこちらの物理耐久を破壊してきたり、窒息させようとしてきたり、ある種搦め手の極致のようなくせに殺し方が明確過ぎる訳だ。
「こんなんだったら九郎丸から『狙撃の方向』の見分け方とか習っとくんだった……! 絶対そういうのあるだろ神鳴流ッ」
愚痴りながら思考は止めずである。キリヱの写真やら前後の言動、および夏凜をこの間向かわせた経緯からして、おそらく敵だろう相手の狙いは私のはずだ。
旧大通りを過ぎて教会の方向へ、血風のドームで覆い「全体を」「血で」包んだキリヱの石像を投げる。物理的には重くて到底飛んでいくはずのないそれは、死天化壮同様に「血装術」の応用で私の意のままに建物の内部へと向かって行った。
それを見送りながら、私自身の周囲へもドーム状に血装を展開。常に血液を流動的に入れ替えながら――ッ、早々に石化。外壁の方向はやはりと言うべきか上から、ということは少なくとも相手は高所の建物にいると考えるべきで。それが可能になるのはこのスラム付近でいっても――――。
「……見つけた」
もとは集合住宅というかマンションだったろう廃墟、その上に「嫌な感覚」。曇っており月も陰り、吸血鬼の視力補正を込みにしても正体は捉え難いがその相手が何かしら銃器をこちらに向けているようなイメージはわかる。なんとなく学園祭編での龍宮隊長を思わせるようなマント姿だが、その相手はスコープを「覗かずに」こちらに銃を向けていた。
上等である。誰だかは知らないが我らがキリヱ大明神を「音もなく」ああしたのだ。只では帰さん――――。相手に見えないようチュウベェを私の後ろの影の辺りに出し、そのまま有無を言わさず血装で覆う。『ふみゅー!』と抗議の声を上げて来るが、緊急事態なので今回は少し黙ってい欲しい。そして向こうが射撃したのか「嫌な感覚」が全身に広がったのと同時に、私は先ほどのように大血風を展開、しながら同時にチュベェを取り込んだ。
――――死天化壮・疾風迅雷。
そして石化の類の何かしら、弾丸か何かが血風へ炸裂したのと同時に「血」をその弾丸の表面に走らせ、そのまま「空気抵抗」の薄い方向――――弾丸が通過してきた空間へ、感覚的に血を流す。石化がその後追いを始めたあたりで手から接続を放して「超加速」。血の伸びて行った方向へと「体感」を頼りに、私は空中を飛行する。
途中、竹刀袋から折れた黒棒の持ち手側を抜き、左手をポケットに入れて移動。向こうはこちらを認識できていないのか、いまだローブから見え隠れする表情は険しいまま。それを横目に背後に回る。
と、同時にチュウベェが分離した。時間切れにはまだ早いだろうにと思って見れば、まだ若干超加速の体感が抜けていない状況だからこそ、スローモーションでこちらに手を突き出して抗議しようとしている動きが見える。が、それに応じるよりも先に私は狙撃手目掛けて斬りかかった。
「――――はッ」
「――――でちっ!?」
と、この段階で向こうの認識も追いついたらしい。いかに速く動くとは言えど「視えない速度で」動いている訳では無いので、時間切れになればこうして相手の視覚からの情報も脳にたどり着き、正常に判断を下せるのだろうか。それはそうと、振り下ろした黒棒に対して、その相手は思い切りよく
「
カードが姿を消すと同時に、その両手の指で示された額の先にまず紋様。目を意識したその紋様が少しまろ眉ではないが太めの眉の上に現れたと思うと、それが一気に真っ黒に染まり縦に「開眼した」。額を中心に瞼が左右に開き、彼女の赤系統と同色の瞳孔がこちらを捉える。そしてその目にうっすら魔法陣が浮かび上がり――――。
「タケミカヅチ・レプリカ――――!」
「おっとッ!」
『ふみゅー! ぴっぴか……、ぴ?』
そのまま両手に真っ黒な直刀のような何かを出現させ、両手で斬りかかってくる。ほぼノーモーションから動いたにしては勢いは強く、見ればその両足は「真っ黒なブーツ」のようなものに覆われていた。揺れるサイドテールと切りそろえられたもみ上げ、こちらより「本体」の身長自体は低そうだが、そのブーツ状の何かの分だけ伸びているように感じられる。
そして彼女は、強かった……というより「妙にやりにくかった」。その額の目で見られると同時に、危機感と言う訳ではないが妙な違和感が走る。そしてこちらが構えたり、斬り返そうとするのを全て「的確に」、それこそまるでこちらがどう攻撃するか判っているかのように潰してくる――――その流れでフェンスの端まで追い込まれ足を払われ、突き落とされる。
とはいえ死天化壮状態なので、意識すればすぐに座標固定自体は出来るのだが――――――――。
「
セーラー服のスカートがどれくらい捲れてるかなど全く気にせず、そのまま刃を下に向けて私の心臓のあたりに目掛けて自由落下のままに「振り下ろした」。壮絶な嫌な予感に思わず黒棒を構えようとするが、落ち乍らにもかかわらず彼女のブーツらしきものの先端に腕の肉を死天化壮の上から「抉られる」。血しぶきと肉が散り、一瞬の痛みに手が緩み、構えようと動かしていた手から黒棒が抜け落ちる――――。
その隙を見逃さず心臓に突き刺さった刃のせいか、私の死天化壮は「解除された」。
落下――――地面に叩きつけられ、身動きが取れない。全身が痛いというか、全然痛みが消し飛んで行かない――――「再生している気配がない」。こころなし心臓を含めて、全体の感覚も鈍くなりつつある。
そして落下してきた彼女は、スカートの裾を直して瓦礫の山に倒れた私を見降ろし、どこからか取り出した紙パックのジュースに口をつけ…………、いや何だその「性力増強ヤサイエナジー」とか書いてあるそれ。ストロー越しだけど色、蛍光色してんぞ一体どうしたお前さんの味覚(マジレス)。
その、なんとなーく原作基準で「どこかで見たことのある様な」顔立ちの少女は、私の顔を見て不可解なものを見るような目をした。
「な、何でち? 本気でこっちの体調とかの心配してくるその感情。特に『
「きょう、だい…………?」
首肯すると彼女は周囲を見回す。先ほどの戦闘のせいか、いくらスラムとはいえ若干野次馬が形成され始めている。それに舌打ちをすると、私に刺さったままのタケミカヅチ・レプリカらしい直刀を持ち、そのまま私を「刺したまま」背負い出した。
「場所を移すから、来るでち――――」
「はい? ――――ッ」
そして私の首を掴み、そのまま「瞬動」。…………って痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い! 明らかに今までのそれとは違うタイプの痛みだぞコレ、熊本時代に一度ヤクザの息子率いる珍走団相手にケンカふっかけて最後の最後にバイクと正面衝突した時でもここまでではなかったぞ一体何考えてるんだお前!? もう少し優しくしてクレメンス(嘆願)。結局あの時もリハビリは一週間かからなかったから、今思えば「金星の黒」が仕事して再生速度が上がっていたのだろうかとかは思うが、それはそれとして痛いものは痛い。
痛いのは嫌なのだが……、慣れれば良いという問題ではなく。
そして気が付くと、スクラップ置き場。ルキたちが色々廃材を集めたりしてたあそこというか、スラム編で灰斗とかと戦っていたあそこの近くと言うか。もっと言うと原作で「カトラス」と初遭遇してそうな、そんな場所だ。
これは、言動が正しいと彼女もまた「妹」もとい「後発の実験体」なのだろうから、そういう意味では原作の修正力じみたものが働いているということか……? カトラスを下手に絆しすぎてそのフラグが折れたから、世界が逆に新しいフラグを作ってきたということか。どんな顔したら良いんでしょうね私(震え声)。緊張のあまりとりあえず笑ってしまいそうになるが、胸部を中心に走る全身の痛みでそれすら歪む。
「こりゃ一体……」
「兄弟の『金星の黒』への扉に干渉したでち。……本当なら封印されてしかるべきところなのに、どうして未だに仮死状態になっていないでちか? 扉と相性が良すぎとかでち? ――――へ、変態でちー! 身体的にちゃんと血のつながった兄に劣情催してる変態がいたでちー!」
「いや一体何を見たんだお前さん……」
見る限りどうやら何かしらこちらの記憶なのか情報なのか、それこそ千里眼的に色々な情報をその額の目で視ていそうな彼女だが、そのまま勇魚あたりでも捕捉したのだろうか。……すっとそこで勇魚の名前が出て来る時点で既に私の自己認識も大概アレな気がしないでもないが、一瞬だけこちらに同情するような目を向けて来た彼女は頭を左右に振り、再び紙パックのドリンクを飲みながら背後に「剣」を大量に出現させた。
「まあ良いでち。死んでいないと言うのなら、回収して『バアル様』に届けるまででち」
「…………ッ」
「でち? 知ってるでちか、その感情の動きは」
「いや、知らねーけど言いぶり的になんかヤバそうな気配あるだろ、あからさまに悪魔の名前な訳だしッ!」
実際の所はそれこそ原作「UQ HOLDER!」裏ボス、あるいはかませボスの名を欲しいままにしているバアルであるが、同じくちょっと噛ませギャグキャラ臭のするニキティスの兄だったりするらしいので、そのあたりは残当であるが。いや、とはいえ色々な事情が嫌な形でつながり始めた状況、こちらは黒棒すらなく血装すらできない。いうなればスラムの時に首だけになったあの状態に近い訳だが――――。
「その予想は概ねあたりでちが……、その変な察しの良さが、結果的に大量の女の子を巻き込んでスケコマシになるやつでち。やはり兄弟は女の敵でち!」
「い、いや待て! その意見には異を唱えるぞ! 別に手出したまま捨てたりとかそんなことしてねーしというかそもそも中学生!」
「でも、『最終的に』『何人かとは』『そういう関係になる』つもりはあるでちね? 『そういう目で』見ているでちね?」
「……………………」
「やはり女の敵でち」
いや、待ってくれと。原作基準で考えると確かに何人かとは「そういう」関係になる前提があるから、対策対応が最近ちょっと雑になり始めているところはあるというのも無くはないのだが、それはそうとそんなこっちの感情を前提に認定するの止めてくれませんかね……?(緊張) だって見捨てる訳にもいかないし、そもそも全員そろっていたって世界が危険なわけで、取りこぼさないで済むなら取りこぼさないで済むのが一番なわけで最悪その相手は「私」ですらなくていいが、とはいえそこまで察した上でわざわざ普通は動くかと言うと一概にどうこうは言えない訳で、おまけに大体は「痛い」のだ。痛いのは嫌だからこそ、それは捨て置ける話では決してないのだからその、助けて……、タスケテ……。(???「段々言い訳めいてきたねぇ……」)
そして動揺する私の首の横に、剣を突き付ける少女……っていい加減呼び名が判らないのはどうなのだろうかと思わなくもないのだが。
そんなことを考えたタイミングで、彼女はため息をついた。
「…………アマテル魔法魔術研究所不死化実験、72号。『正式な』運用ではラストナンバーの『サリー・ファアテ』でち。せいぜい覚えてから逝くと良いでち――」
そして剣を振りかぶり――――。
「――――――よぉ、随分ゴキゲンじゃねぇか? 妹。せっかくだから俺も混ぜてくれよ。『72号』」
閃光、光の奔流が迸り。それにより剣を折られたサリーと言うらしい彼女は後退して。
我々の後方の頭上――――たぶん原作刀太が八つ当たり気味に壊した岩とかその類のところから、少女が一人こちらに飛んできて。
「よー、大丈夫かよ? 『お兄ちゃん』」
「…………お兄ちゃん、だと?」
現れた彼女は、カトラスは、それこそ別人みたいな雰囲気と恰好のまま、サリー相手に仮契約カードを取り出して、ニヤリと笑った。
…………、っていや誰だお前? 誰だお前……、誰だお前!? 恰好から髪型から「生身の手足」から目つきの感じから漂う雰囲気から何から何まで全然違って誰だお前本当ッ!!?(???「自分で蒔いた種さね、甘んじて受け入れるんだよ」)
ST127および今話などのキャラクターイメージ(特に服)が色々判りにくいと思ったので、妹二人を「こんな感じかな」とさらっとらくがきしました。脳内で赤松ビジュアルに変更しておいてください汗
【挿絵表示】
活報の[光風超:感想1000件(大体)突破記念募集] の方もまだまだ内容募集中ですナ!
期限そろそろですので、ご注意くださいっ!