ちょっと張り切りすぎて文字数がだいぶアレになってますが、ご容赦くださいです・・・では残り少ないですが、よいお年を汗
ST139.Don't Hate Harassment
「知っていたよ。嗚呼どうせ、俺の意見なんてまるで通った試しなんてないんだこういう場合。厄介ごとが鴨がネギしょって歩いているのを目撃したかのように俺の方に来る場合、どうせ巻き込まれて胃を痛めるんだってよく知っているよ。どうせそんなことだろうと思ってはいたさ。
まあ近衛に関しては俺というよりもちづが最初に当たっていったのがそもそもの諸悪の根源だし、あのレベルの事件なら遅かれ早かれ遭遇はしていただろうから、無意味な検討だと納得はしているさ。
それはそうとして、本当こう唐突に来たことには納得は出来ないのだけれどね」
「だから悪かったって、いやホントお前さん居たとか想定外も想定外っていうか」
民家の和室、電気こたつが設置された居間にて。私とカトラスはめでたく(?)客人となっていた。入り口の扉が「みしみし」と音を立て始めたあたりで釘宮とお互い顔を見合わせて休戦、諦めて招いてくれた流れである。なおこたつの上にはみかんではなくカットされたりんごが皿に置かれていたり、テレビ映像が特撮ヒーローものの有線放送だったりと色々ツッコミを入れるべきかそうでないか悩ましいものがポンポンあったりするが、それはさておき。
釘宮大伍は「で?」と、年齢詐称を左腕の「アザー・メタトロニオス」で解除したカトラス(慣れないのかきょろきょろと室内を見回して猫のようである)に視線を振った。マントというかローブというかは収納アプリに仕舞っているので、色々と活動的というか目のやり場に困りそうな恰好であるものの。釘宮自身は特に気にした様子もなく半眼で視線を向けた。
こう、近場にある道場「あさつき館」で、そういう女性陣のお弟子さんたちの恰好が適当だったりして、色々見慣れて居たりするのだろうか? ……まあおそらく、そのまま成瀬川ちづが「えっち!」みたいな風なことを言って制裁を課していただろうと推測が立つので、その点については追加で同情の視線を向けた。
「………… 一応、確認をさせてもらいたいのだけれどね。そっちの子を匿って欲しい、というよりしばらく泊めて欲しいと?」
「まー、そんな感じだな。どっちかというと家主さん……っていうか、お前さんの
そういう話をするのなら深夜のピンポン連打なんて止めるべきじゃないかな、と眼鏡を押さえてため息をつく釘宮だったが、とはいえ夜明けを待つのは流石に厳しいため仕方ないのである。
別に私もそうやって生活サイクルを崩して学校を休むつもりはないし、そもそも明日(今日)はカチコミをかけるとか他の仕事も入っているのだ。妹チャンが「こう」なってしまったのには色々私にも責任が無いとは言い切れない部分もあるが、それはそうとして彼女ばかりを優先して良いような「我儘は言えない」。そんな立場にはないし、そもそも私だって下手を打てば狙われる訳で、そういう意味では戦闘力が有り、かつ雪姫やフェイトと関係がなさそうな線を探す他なかったというのが本音だ。
「もともと道場の話って、前、ラーメン食べに行ったときに聞いていたけどよー。なんとなく聞いてたお前の祖父さんの性格的に、あー、『そんな道場から遠い場所に住んどる道場主とかおらへんやろ、当たり前やッ!』とか『道場破り来てもすぐ来れる所に住んどらんかったら、看板なんてアッっちゅー間にサヨナラバイバイやッ!』とか、そんなこと言いそうだと思ってな。だから近所に住んでるだろうってアタリをつけて、適当に歩いた流れだ」
「まー、確かに大体そんなことを言って住んでるよ。祖父も祖母もここに。俺の両親と同居すれば良いって会うたびに言ってるようだけど『逆や! お前らがこっち来るんや!』とテコでも動かないらしくてね…………(疲労)」
「あー、それは…………、………………(同情)」
いつかの再現のようにお互い目が暗く鈍くやるせない気持ちで一杯なものを向け合って嘆息する私と釘宮である。オトモダチッテイイヨネ!(白目)
なおそんな私たちの様子に「ヤベェ……」と当たり前のようにドン引きするカトラスだが、いやお前はこれから泊めてもらう確率が高いんだからもっと下手に出ておけ緊張して色々頭が回っていないのは察するけど。
「あー、一応自己紹介させるか?」
「…………いや、させなくて良いよ。どうせ二度手間になるし、そもそも俺から話を聞いたところで『そういうモンは本人が話すのが筋じゃッ!』みたいなことを言う」
「なるほど……」
「…………って、いや、えーっと、私はむしろアンタっていうか、ここが何なのかって話を教えてもらいてぇんだけど……」
あー、と釘宮と顔を見合わせる。半眼の視線から「何も教えてきていないのか君は」みたいな感情が乗っている気がするが、いやだって、こっちだって本当に行き当たるとは思ってなかったというか、まぁお前さん見て安心感から完全にお遊びモード(?)のテンションになってしまったというか。
「えっと……、お前さん知ってるかわかんねーけど、アレだ。アレ。『俺たち』の祖父さんの写真にたまーに犬耳っぽい奴が映ってるのあるだろ? あの、なんだったっけ、軌道エレベーター建設中の事故映像とか」
「あー、うん。いる。っていうかアレだろ? 『コタローくん』だろ? なんか、友達だったっていう」
「そっちは知ってんのな。うん、で、こっちの釘宮、そのお孫さん」
「へ?」
いまいち私が何を言っているかわからないのか、ちょっと半眼に首をかしげるカトラス。その顔を見て、釘宮は頭から三角巾を外す。と、その下からはちょっと小さめだが上に立つ狼のような犬のような微妙なラインの耳が生えていた。
「ご覧の通りだよ。苗字が違うのは、嫁入り婿入りとかそういう話だね」
「あれ? そういえばだけど、『犬上』って名前自体は残ってるのか、お前の家系って」
「一応いるけれど、独立しているよ。というより俺みたいに適性が無い子供の方が多かったらしくって――――」
「………………とりあえず『お兄ちゃん』の横のつながりが意外と広いってのはわかった」
お兄ちゃん? と眼鏡を押さえながらヘンな目を向けて来る釘宮だが、そこは流しとけ、と半笑いを返す。確かに外見上は顔のライン的に、わずかにネギぼーずか明日菜のそれと似通っている部分があるような無いようなというレベルではあるで、血のつながりについて疑われるのも仕方ないが、こればっかりは「表向き」判らないことになっているので、私から細かく話せるようなことでもない。
なおカトラスもカトラスでそう詳しくは話さないので、釘宮も釘宮で肩をすくめるだけに留めた。
「まあ広いって言っても、こりゃ完全に偶然の類だからなー、偶然。知り合ってからそんな経ってるわけでもねーし」
「肯定しておくよ。えっと……、何と呼んだら良いかな」
「えっ、あ、嗚呼。私は――――」
――――そして、カトラスが釘宮に名乗ろうとしたその瞬間。猛烈な寒気を背後に覚えて、思わず黒棒を抜きながら後ろを振り返る。
膝立ちになった私と、その私に負けず劣らず驚いたように目を見開いて、右腕を「シファー・ライト」化するカトラス。二人そろっての臨戦態勢に対して、釘宮はこめかみのあたりをマッサージするように揉んでいた。
わずかに開く、玄関へ続く障子戸。その隙間に立つ、長身のシルエット……。
なお、ガラガラと開いて出て来た相手の姿を見て、私とカトラスは凍り付いた。
「…………何をやっているんですか、お
「そりゃお前、アレや。……こんな時間に話し込んでいて、気にせん保護者はおらへんわ」
その容姿を一言で言い表すと、半纏を羽織った作務衣姿の
その相手は、…………釘宮の一言から察せられたが色々と認めたくないので名称自体は避けたいが、その相手は私とカトラスを見て「フン」と言った。
「なんや、こっちの坊主がダイゴの言っとったアレか? 同級生の、『ネギの孫』言うんは」
「へ? あ、ま、まぁ、確かにネギ・スプリングフィールドの孫だって聞いてるッスけど――――」
「――でもアカンわ。『木乃香』姉ちゃん所の直系でもあらへんし、『他の』所の子でもないなぁ。何よりそっちの嬢ちゃんの『ソレ』や。お前等、アレか? 『アマテル技研』の所の『歩兵』か?」
「――――――――っ」
明らかにいらいらした風な長身ずんぐりむっくりの彼の言葉に、真っ先に反応したのがカトラス。ごう、と変化した右腕から魔力が迸り、今にもその瞬間的にカッとなった顔のまま襲い掛かろうとして――――。
「いや止めろ、絶対ヤベェからッ」
「なっ!?」
それを後ろから羽交い絞めにしつつ、血風を「置いて」盾を張った。
「…………お? なんや、カンは
その判断が正しかったように、彼が繰り出した正拳突きにより血風自体は「らせん状に」穴を開けられ砕かれた。見れば黒い渦がその拳に纏わりついている。どたり、と倒れたと同時に釘宮の方を見れば、あっちもあっちで目を大きく開いて驚いている様子だ。ついでに眼鏡がずり落ちているのを直す精神的余裕もないらしい。
とりあえず黒棒を向けながら、自分の身を抱くようにしているカトラスを背後に庇い、膝立ちで距離を取る。その釘宮のお祖父さんは、私の様子を見て少し楽しそうに笑うだけで、何もしてはこなかった。
「な……、何やってるんですか、お祖父さんッ! 人の知り合い相手に何やってるんですかっ! いくら近所迷惑やらかして罪悪感もないような奴とはいえッ。
あと居間でこういうことをしていると、お祖母さんに怒られますよッ!」
「やかましぃッ! 緊急事態、エマージェンシー・犬上流って所や! ……少なくともネギ『直系』っつーか、『クラスの姉さん』達の系譜なら信用できるけど、悪いが俺はお前等、信用できへん」
「そんなこと言われてもちょっと何言ってるかわかんないッスけど……」
「嗚呼、せやろな。お前ら自身が『どう』思っていて、そんでここまで来たかは知らへんけどな。アマテルん所の子供らを俺は、ネギの孫とは認めへん――――俺くらいは認めたらアカンねん。
昔から、フェイトがおかしくなる前よりずぅっと俺、言っとったからな、その話は。あそこは絶対ロクでもないことやらかすところやって」
「いや、あの、そーゆー事情はともかくとして、少なくとも自宅でやるような話ではないんじゃ――――」
そう話していた瞬間、私とカトラスはその祖父らしい男にベルトを掴まれて、気が付けば空中、そして投げ出されていた。――――動きからして瞬動? パリーン、というガラスが砕けるような音が遅れて聞こえる。
投げ出された先、背中に感じる衝撃と耳に遅れて聞こえるガラスが砕けるような音。とりあえず血風を足元に軽く放って破片を散らし、痛む背中を押さえてカトラスを探す。……こう、頭から突っ込んで思いっきり転んだみたいな、お尻を突き上げるようなヘンな姿勢で倒れていた。ファンシーでフリフリなデザインの可愛らしい下着が丸見えで色々と居た堪れず、軽く小突いて転がし仰向けにしてスカートを直した。魘されたようにしているが、おそらくさっきの衝撃で脳震盪でも起こしたのだろう。額やら頬やらに刺さった破片と、そこから流れる傷が痛々しい。……いや、普通は脳震盪とか起こして気絶するとかの時点で一般的に本来なら相当ヤバいレベルの話なんだが。こういう痛いのは正直やめて欲しい。とはいえ一応は「金星の黒」が仕事をしているらしく、血は段々と止まってきたので破片だけ抜いておいてやった。
さて、周囲を見渡せば畳張りにガラス窓が南側に張り巡らされた立地。剣道場、あるいは武道場とでも言えば良いか、とにかく一目で「それ」とわかる施設になっており、部屋自体の広さはかなりのもの。ただ血風を打ち込んでもその箇所に傷一つ無い所を見るに、見た目通りの設備と言う訳ではないだろう。……まあ例の「犬上流」の技とか鍛えている場所なのだろうし、そういう道場でなければそれこそ修繕費とか諸々で大変なことになるのかもしれないが。
そして虚空より瞬間移動のごとき速度で降りて来る、釘宮の祖父らしい男性……、いや仮に例の「本人」だとすると、あまりに容姿が想定外の方向に変わりすぎていて未だに認めたくないのだが。その彼は私の視線を受けて「おぅ、この立派に育ったビールっ腹がどうしたんや?」と、ボン! と大きく音を立てて叩いた。
嗚呼…………。
「………………って、あー、俺はともかく、なんでこっちのカトラスも祖父ちゃんの孫だって判定したんスか? 釘宮と色々していた話、聞いていたにしてもちょっと違和感が」
「お? あーアレや、そんなに似てへんわな、確かに。でも『判る』んや。ネギっぽさっつーかなぁ、こう…………、『面影』とかやなくて『そのまんま』なんや。何かやっとる時の雰囲気っつーか。
いっそ俺から見たら不自然なくらいにな。中でも――――お前は特別に、や」
「はい?」
言いながら彼は、素立ちのまま私を見てニヤリと笑う。
「いっそキモいくらいなんや。まるでネギを『つぎはぎ』して出来た! みたいな、そんな感じがするくらいにお前、相当変やで?」
「あの、その変さっていうか俺、当事者だし全然わからないんスけど……」
「スマンな。俺も上手く説明できへんわ。前にそれで
せやから、男ならやることは一つ――――――――拳と拳でタイマンや! 伏兵おらへんみたいやし、それなりに俺達いてこませるくらいには『仕上がっとる』んやろっ!」
「はいぃぃッ!!?」
後方、カトラスの方に「嫌な感覚」――――死天化壮を纏いながら彼女を庇うように前に出れば、その巨体が当然のように私の脚を「蹴り潰した」。よく見ればその脚には狗神がスキー板のような形でまとわりついており、その長い足裏で膝から下、ふくらはぎ脛など一帯が「潰された」。普通なら複雑骨折であるし、それ以上に皮が割けて、骨が、肉が、嗚呼、ア――――ッ!
中途半端に現実感があるレベルで致命的なダメージ(複雑表現)のせいで、痛覚が誤魔化されないの止めろ! 痛いのは嫌だっていっつも言ってるだろいい加減にしろッ! というかカトラスの方に血とか飛び散ってるの絵面酷いからもっとどうにかしろ!(正当ギレ) 後それ以前に「前に出た」私相手にこの威力ってことは――――。
中折れの黒棒で殴りつけるのを「獣化」した両腕で受け止め、そのまま巨体に似合わぬ軽業師のような勢いで後退する釘宮の祖父。そんな彼に、私は流石に怒りながら聞いた。
「…………アンタ今、思いっきり『殺そう』としたろ。あっちの妹チャンのこと」
「おー、流石に気づくか」
「いや何でだよ、普通アレだろ? 孫の友達が訪ねて来てってところで何かどうこう話すって前の時点で乱入してくるのもアレだけど、それ以上になんでいきなり『頭部』を『粉砕しよう』としてんだよ」
「言ったやろ、信用できへんって」
彼はそのまま拳を握ったまま両手を重ねて、構えながら続ける。口調は軽いものの、しかしその目は一切笑っていなかった。まるで、何か「仇」でも見るような。
「…………前な、道場がもっと都心の方にあった時、『お前等』と同じようなのに襲撃されたことがあったんや。理由まではわからへんし、本命は『楓姉ちゃん』やったかもしれへんが――――それで俺も、子供と孫が死んでるんや。弟子とか、民間人とか大勢巻き込んで」
「………………」
「お前等がどういう立場で来とるかとか、そんなもんは知らへんけどなぁ。そういう因縁ってのは、自分が知らないところで勝手に出来上がっとることもあるし、自分が知らない話だからって素直に受け入れられないこともあるってことや」
少なくとも今のままだったら、俺はお前らを信用せん。
言い方は悪いが八つ当たりのようなものかと思ったが、だがその相手は――――犬上小太郎は、静かに繰り返す。かつての少年時代のように怒りを露わにして激昂するでもなく、静かに、諭すように、物の道理を示すように。その物腰が、そこまで性格が変わっていないだろう振る舞い以上に「時間の経過」を感じさせて。同時に彼の心に刻まれた、深い悔恨のようなものを垣間見たような気がした。
私やカトラスと同じような連中……、少なくともここ十年の範囲で、ということになるだろうか。なるほど、そういう事情があるなら、こちらに不信感があっても仕方ない。おそらくそれは、「私やカトラス個人個人の人格」ではなく、「ネギ・スプリングフィールドの遺伝子操作クローン」という存在そのものに対する不信感なのだ。それこそ下手をすれば、体内に爆弾とかが仕込まれていたり、何かの拍子でラスボス陣営の先兵として何かが起こってしまうのではというレベルで、「何が起こっても不思議はない」と。そういうレベルで警戒をしているという事か。
実際、カトラスに関しては本来ならばまさにその通りの立場だったのだ。あまり多く、私がどうこう彼に身の潔白を言える話ですらないのだろう。
こういうものは、本人がどれだけ納得しても必ずどこかに傷痕として残ってしまうものだ。
想像以上に、犬上小太郎の傘下というこの場所は「私たち」にとって危険地域だったらしい。
だが……、だからといってカトラスを下手に見捨てる訳にもいかないし、それこそ適当に扱って「あちら側」に戻られても、ここまでくると危険でしかない。結果的にとはいえ「黒」と「白」、あちら側の陣営が欲している能力を確保した存在となってしまったのだ。扱いは必然、慎重にならざるを得ない。
黒棒を構えて左手をポケットに突っ込む私。近接、遠距離共に自動迎撃可能な状態のまま見据える私に、犬上小太郎は巨体のままニィっと笑った。
「それは、悪い顔やないな。……こう、オリジナリティがある笑顔ってか。『無理に』ネギを縫い合わせた顔とは違う感じで」
「…………個人的には『何から何まで』借り物みたいな感じっつーか、あんまり胸張るようなモンじゃないんスけど」
「ま、ええわ。――――どうせお前も『不死身』めいとるんやろ? ネギより下か上かは知らへんが、生半可やったら、死ね」
お互い、その場で構えを解かず、表情を消し沈黙し――――。
カトラスの息遣い、呻く声を合図に、踏み出した。
「――
「――――――――ッ!」
毎回見ている、釘宮が矢の形でつがえて放つ狗神の狙撃。本家本元たる彼が使用したそれは、拳の先より大型の狗神が、その牙を大きく開いて噛みつくよう接近してくるそれだった。
それに対して、私は死天化壮の自動迎撃をもって牙のベクトルをカトラスから逸らし――――そのまま放出した直線上にいる犬上小太郎めがけて、活歩らしい何かで接近する。秒、力が入りすぎたせいか足が裂けてわずかに血が死天化壮に吸収され切らない勢いで飛び散るが。その痛みを無視し、私は黒棒の柄で巨体の腹を殴り飛ばした――――。
ぐぐ、と。膝こそつかないもの、己の腹にめり込んだそれを見て、苦い顔のまま私に嫌そうに言う。
「……………………思ったよりやるやないか。流石に『歩兵』とはいえネギの孫や」
「………………そういう話じゃないんスよ」
「何やと?」
「――――単に兄貴分が、妹守ろうとしてるって。それ以上でも以下でもないッスから」
その私の一言に、犬上小太郎はニィと笑い。
「――馬鹿、近衛ッ! それは『狗神の鎧』だ! 本体はまだ――――っ」
「はい?」
後方、走ってかけつけたのか胃を押さえて叫ぶ釘宮の声を聞き。それとほぼ同時に、犬上小太郎の巨体が「解けた」。
白と黒の、何かしらのエネルギーの奔流のようなものになった巨体はあっという間に姿を消し、中からは二十代後半くらいの男性の姿。それこそ原作「ネギま!」の大人版犬上小太郎にわずかにほうれい線、そして尖っているくらいの顎髭を撫でて。
「けどまぁ、『これくらい』対応できへんのなら、大したことはあらへんな。
――――犬上流獣壮術・
その奔流がまとまって集まった膝、らせん状に回転するそのニードロップを喰らい、私は回転しながらカトラスの方に投げ出された。っていや、お前さんそんな器用な真似「ネギま!」時代とか全然やってなかったろ一体どうした!? アレか、楓か? 楓姉ちゃんさんの影響かそういえば道場もなんか「宇宙忍術」とかスルーしてたけど変なものあったし!!!?
胴体は貫通していない。していないが変にダメージが残っているというか、こう、妙に腹を中心に全身が「重い」。まるで「金星の黒」が仕事をしていないような、妙なもったりとした感覚が全身にのしかかっている。
私を指さし、犬上小太郎は――――真の姿を現した彼は、それこそ「ネギま!」時代を思わせる顔で、しかし当時よりも殺伐とした表情で私たちを見下ろしていた。
「お前等みたいなのを相手にする方法は、色々検討しとったからな。『白』の狗神を上手く使えばこれくらいは行けるっちゅーわけや。
せやなぁ、まず一回全身
「…………ッ」
胃の辺りを押さえながら、釘宮が
「……いやお前、祖父ちゃんなんだろ…………、ヘンなことは止しとけって」
「…………少なくとも、近衛にはちゃんと借りもあるし、それ以上にお互い痛い所をさらけ出し合った仲だからね。何もせず指をくわえて見ている訳にもいかないよ」
「ダイゴ、ソイツお前にとって何や? 『騙されとる』かもしれへんのに、『前みたいに』全部なくなってしまうかもしれへんのに、それでもそっちに立つんか?」
「
チッ、と。舌打ちをして。震える釘宮相手に犬上小太郎は手を振り上げ――――――――。
「――――――って、何、ダイゴにまーた酷い事しようとしてるのよコタくん! 駄目でしょせっかくお友達連れてきたんだからッ!」
「ほげ――――ッ!? えっ、いや、な、夏美姉ちゃん!!? ちょ、そういう平和ボケしとる感じやなくて、今かなり大事な――――あふんっ」
と。唐突に現れた妙に子供っぽいパジャマ姿の、棒付きの仮面型
「「……………………」」
えーと、な、何だかなぁ……(白目)。