ちょっとワクチン副反応で本編更新出来ない感じなんで、書き溜めてたリク番外編1つだけちょっと先行です汗
>1-3「死を祓え」一周目のチャン刀
ST142.Memento Mori:Vanished Memory
『…………珍しいな、「相棒」。お前が私と話をしたがるなんて』
「まぁ今更と言えば今更だがな。……でもお前の『その姿』は色々と腹が立つから別な姿に変われ」
『おやおや、随分嫌われたものだな』
自嘲げな声。肩をすくめると、星月はその姿や声その全てを変える――――私の心象にささくれを立たせないためにか、それとも意図的なものか。なんとなくだが、その姿はナギ・スプリングフィールドにつっかかっていた頃の大人版エヴァちゃんを想起させるものになっていた。もっとも恰好はあまり変わっていないので、スーツの下を見るとあの「ネギま!?」暴走エヴァちゃんをベースとしたもうちょっとマシなデザインに落ち着けたようなイメージであり、何とも言い難いデザインでもある。
というかお前さんがその恰好になるのは「メタ的にも」色々こう問題があるから止めろ。
『だからといって、大体どの姿をとったところで相棒的に納得できるものはないだろうに。
……ふん、よっぽど嫌われているのには違いは無い訳だ』
「当たり前と言えば当たり前だ。だからと言ってお前の存在自体を否定することもないが、だからといって『存在そのもの』に嫌悪感を抱かない訳はない」
少なくとも
広大に広がるスクラップ置き場――――地上にあるものはかつてと変わらず、空も赤い。ただ異なる箇所は有り、軌道エレベータ―は中程でぽっきりと折られて崩れ落ち、スクラップの山やら廃墟の全域には程々に「嫌な感覚」がひしめき合っている。そしてなにより足元を見れば――――地平線の彼方にいたるまで、その全てが敷き詰められ、崩壊した誰かの「死体」で埋め尽くされていれば。誰かの死体は、様々な姿かたちをとっていたが。その全てが一体何であるかを理解した時点で、私の彼女に対する印象は最低値を突破してしまっていた。
もっとも、必ずしもその責任が彼女にあったわけではないことくらいも、「今の」私なら理解はできる。
だがそれはそうとして、もっと、私が今に至る前に何か出来たことがあったのではないかと。
ひたすらに、その嫌悪感だけが心に残る。
『無茶を言うなよ。大体、相棒自身想定しているんだろう? これがおそらく桜雨キリヱがその気になれば、いくらでも状況をひっくり返せるものであることくらいは。その上で、あの女が「死ぬこと」そのものに強い恐怖心を抱いて未だにやり直さないのだ。無理強いしないのは相棒の悪い部分だし、覚悟を決めないのはあの女の悪い所だ。その全てを私の責任だけに置いてほしくは、ないなぁ。「今更」心変わりしたからとはいえど』
「お前に関してはそれ以前の問題だろうが。……いや仮にその話に目を瞑るとしても、もうちょっと出て来るタイミングが早ければ色々言えただろうに」
『私だって、色々タイミングは伺っていたのさ。どこで出ればお前が私を疑っていても、その力を積極的に借りざるを得なくなるかとか、な? そもそも私自身は「全面協力」するつもりであっても、下手に疑われて使われなければその時点でお互いにとって最悪の状況になるのだから。
そもそも私とて、「光る風を超えて」発動以降は――――って、まあその上で行き場のない感情だというのは判るさ』
「…………」
言葉を続けられず、私はその場に座り込む。その隣に星月もまた姿を変えて座ってきた――今度は夏凜の姿であるのが嫌に皮肉を利かせている。そしてそんな私をみて、夏凜の姿をした星月は寂しそうな顔をした。
『…………カリン・オーテに関しては貴方の責任という訳ではないわ。ある意味では本望だったでしょうから』
「だからといって、心を壊させるようなことするなって話なのだ。
『そしてそれを気に病んでいる貴方も。……それから、九郎丸も。今のあの子は、貴方の知る流れで言えば「自分」を失ってしまっているから、その力は只の妖刀に堕してしまっているし、それを思い出すのが辛くて、使えないでいるのも承知しているけれど』
「いや、それは少し違う。『コレ』と相性が悪すぎるのだ、九郎丸というか『神刀』というか」
地面を手の甲でノックしながら、星月に力なく笑う。そんな私を見て、夏凜の顔が悲し気に歪み、私を抱き寄せ――――いや待て、そのべたべた具合は意味が分からない。
『まあ相棒が判らないのも無理はないわ。単に貴方がガバを起こした結果というだけだし』
「いやだから意味がわからないのだが」
『無問題でしょうとも、少なくとも「本人が」ああなってしまった以上、代理で私がこうしたところで結婚は出来ない訳だし』
「いや本当何の話をしているのだお前(震え声)」
本気で嫌な予感を感じた私だったが、しかし「あの状態」の私ならば確かにそういう何かしら想定してないことを仕出かしても不可思議はないので、星月にされるがままになっている――――その目から涙がこぼれたのだとしても、それをぬぐってやるようなことはしない。
この女の感情はこの女のもので、決して夏凜のものではない。だからこそ、たとえ夏凜の感情をトレースしているのだとしても。それに私が応えてやれることは無い――――。
少なくとも「私」が、雪姫ことエヴァちゃんの隣に立つ資格がないように。
だから――――――――私の意志が伝わったのだろうか、星月はこちらから手を放す。
『本気でやるつもり、なのかな。相棒』
「…………いい加減、こちらのワガママで世界をこのままにしておくわけにもいかないだろう。お前が言ってた通り、ちゃんとキリヱが『戻れる』というのを信じるぞ? それがすべての鍵なのだから」
『そこは大丈夫よ。私というより、あの娘を信じなさい。…………いえ、貴方にそんな悲壮な決意をさせざるを得なかった私がどうこう言えた話ではないのでしょうけど』
だからそう、泣きそうな顔を向けて来るのは止めて欲しい。これは所詮、自己満足でしかない。昔見たSF映画であったような、最後まで生き残った数少ない人類が、自分たちの存在意義を証明するために侵略者側のエイリアンに特攻を仕掛けるような、所詮はその程度の話なのだから。
それが――――自らの生みの親も、仲間も、育ての最愛の親すら失った私にできる、最後の罪滅ぼしなのだから。
所詮は自己満足にすぎないにしても、それくらいはやるべきなのだ。
そんな私に、星月はやはり泣き続ける。まるで本物の夏凜が今「正しく」生きていたら、こんな顔をするだろうと思わされる悲愴さで。それに対して私は何も言えず、また言う気も起こらなかった。
『……だからといって、今の貴方の全てを無かったことにはさせる必要はないわ』
「はい?」
星月は私を抱きしめていた腕を解くと、その姿を「彼女独自」の本来のものに戻し。涙ぐんだ声で、しかし強い意志を感じる声で、私に言った。
『ダーナ・アナンガ・ジャガンナータ――「背教」の魔女が、かつて相棒に言っていたことではないが。たとえどれ程絶望的な結果をもたらした選択であっても、その選択をして運命に抗ってきたその在り方は、たとえどれ程犠牲を出そうと尊ばれるものだ。
その一切合切を、誰しも救えなかったからの一言で片づけてしまうのは……、責任をとって消え去ってしまう覚悟をするのは、あまりにも、悲しいのだよ』
「悲しいとかそんな問題ではないだろうに。少年漫画に限らず、そういうヒーロー的な立場に求められるのは、恐ろしいことに『過程』と『結果』の両方だろうが。多少汚くとも正しく優しさを感じて何かを護るために立ち上がり、そして助けていく。その一連のプロセスとコミットされた結末全部が必要である以上、ある意味で『元から』失格なんだよ。
それを多少なりとも軌道修正できるのなら、それに越したことはあるまい」
『だけど、その結論に至ったのは「近衛野乃香」を目の前で死なせてしまった時から。違うだろうか?』
「………………」
『そういうことも含めて、その全てを「上書きされた」相棒に継承しろとは言わないし言えない。おそらくそこまで上手くはいかないだろうし、影響が強すぎれば「背教」直々に相棒の意志体に干渉してくるだろうからな。
ただそれでも――――今の私は、今の君がそのまま失われることを許容したくはない』
もう自分の短慮で、一番大事だった何かを失うことはしたくないのだ、と。
星月は、泣きはしなかったが……、それでも表情を苦悶に歪めていた。
「…………そうは言ったところで、『血』に魂を乗せるってどこまで効力があるかは不明だぞ? 少なくとも『
『言いはしたが、そもそも相棒は「次」につなぐつもりがなかったろう。失敗した自分自身を強く卑下するから。……桜雨キリヱだけじゃない、エヴァンジェリン相手にすら――――』
「――――その話をするなら戦争だからな?」
そもそもエヴァちゃん関係については「諸悪の根源」はお前そのものだろうと。だから「この私」を引き継ぐつもりはないと、星月にそれだけは断言して、私は「目を開ける」。
見開いた「現実」の私の眼前に広がる光景は、それなりに酷いものであった――――生者は既にいない。大半がその肉を失い、魂が救いに「取り込まれた」まま彷徨っている。永遠の停滞、進歩のない日常の「真似事」の繰り返し。下手なSF映画の宇宙人から見たら、それこそこの惑星に存在した生命体は、その動きを代行する新種のウィルスによって神経組織の組成構造以外を死滅させられたのだと断定し、焼き払っても不可思議はないだろう、そんな光景。
滅びた街、整備されることのない物質世界。私の内側同様に、中程から折れた軌道エレベーターが首をもたげている。
「最終決戦がこんな場で、どうしたもんかって思うんだけどなぁ。あんまりにも恰好が付かねーじゃん。なぁ――――カアちゃん」
振り返れば、その場には幼い姿のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル……、ヨルダに乗っ取られた義理の母、その本来の姿。
豪奢で、しかし可愛らしい黒のドレス姿のまま、彼女は言葉一つ発さずに攻撃を仕掛けて来た――――。
いきなりかよと半笑いになりながら、黒棒に「血装」して斬り払う――――いつ頃からか習得した血風聖天で、無詠唱に打ち出された魔法を蹴散らし、その余波で跳ね返った血をもって全身に血装。肩に仮面をつけた死天化壮の姿となり、猛然と斬りかかる。そんな私に併せてか、氷の剣を作り出してエヴァ=ヨルダは応戦した。
「随分、余裕がないじゃねーか『エヴァちゃん』。何警戒してっか知らねーけど、もっとお喋りしようぜ?」
「…………黙るが良い。もはや『前回』の戦いで、貴様は我が最大最後の障壁となった。出し惜しみは無しだ――――」
弾いた指と同時に現れ出る、それこそいっそ笑ってしまいそうな「ネギま!」旧3-Aの面々。本来ならばアンタらこっち側だろうと言ってしまいたいが、今のヨルダにとってその程度の再現ないし復活はたやすいことであるという証明なのだろう。
それを認められるかどうかはともかくとして。
ゴーストタウンと化した街。その大通り、ヒビの入ったアスファルトの上に立ち、上空で佇む彼女を軽く睨む。…………流石にその状態でも、ドレスの裾から下着が見えないのは流石に空気を読んだのか、エヴァちゃん本人が上手い事見えないように魔法をかけているのか。そんなことを考える余裕があることに、思わず失笑してしてため息をついた。
「全く、判ってねぇなあ…………。死者が生者の足、引っ張っちゃ駄目なんだよ。手は差し伸べるし、背中は押すし、持ちつ持たれつって大前提はあるけどな」
「意味が分からぬ、が。――――貴様もそれなりに思い入れがある顔ぶれだろうからな。これを前に覚悟を決めるが良い。
リク・ラク・ラ・ラック・ライラック――――――」
呪文を唱え始めたエヴァちゃん、カアちゃん。無詠唱で攻撃せずにそうしているのは、果たして上級魔法を使う先触れか、それとも未だ残っているだろう「本人」の意志が肉体に対して抵抗をしているのか……。それに対して、私はため息をついてから。
肩の仮面を取り外し、それを地面に落として。そこに黒棒を突き立てて、呟いた。
「――――『
追加で現れた魔族やら使徒やらが迫りくる中で。
周囲を蠢く魂が。私の足場から「広がる」闇が、死体が、うずまく想念が――――「今」という地獄が私に縋りつき………………。
※ ※ ※
「アハ、ハ…………、悪ぃ黒棒。やっぱ無理だわ。「扉」が閉じられてるから「同質の力」を引き出せても、出力的にはこっちの方が弱ぇ」
そんなことをつぶやいてしまうくらいには、今の私は酷い状況だった。
痛手は負わせられたはずである。私自身の手で見知ったファンでしかない面々、特に
はずであるが、代償もそれなりに大きく…………。
もともとホルダーですら「私」とキリヱの2人だけの今、この状況は打破することなど出来なかったのだ。震えるキリヱは、身動き一つとれないほど心が砕けた夏凜にすら気遣われるレベルでおびえており。生も死もない世界に取り残される、夢の残骸に囚われ続ける恐怖は、たとえそれが幸福であれど、幸福を知らない半生だったが故にキリヱに対してだけはそれが効かないからこそ、只ひたすらに出口のない拷問にしかならない。
肉体を失って中途半端な電子精霊化した一空ですらもはや逃げること敵わず、わずかな希望とばかりにキリヱを救い上げ。しかし、それで命運は尽きた。
半壊したビルの上の階。私の血風によって切断されたコンクリートの地面、その一番てっぺんで、力なく笑うしかない。
私の内の「金星の黒」――――その扉が、もう開かない。
思わず力なく、「機能が破壊された」黒棒の残骸を見て、深く息を吐いた。
こちらを見て、怯えたままで、身じろぎすらできないでいるキリヱを見て、笑うしかない。
「わが心、この刃と共に……て言っても『母ちゃん』みてぇにはいかねぇな。キリヱ、別に刀とか、使える訳でもねぇし」
技術が、ではない。そもそも今の彼女は、その刃を手に取る事すら出来ない精神状況なのだ。たとえ巻き戻したのだとしても、それが果たして何になるのか。そんな自嘲と諦めが私を支配し、しかし外面だけは心配させまいという風に形どっていた。
そんなこちらの内心には一切気付いておらず、キリヱは泣きそうになりながら言葉を重ねる。
「な、何言ってんのよ、そんなちゅーにみたいなこと言って……、まるで、別れ際みたいなこと――――」
こちらのことをちゅーにちゅーにと言うが。そもそもからしてキリヱ自身のセンスもそう大差ないだろうと思っていた。恋愛観とかは特にそうだろうに。ただ、それでも…………。不思議と彼女を拒否する感情は湧かなかった。嗚呼、そりゃ怖いよなあと。痛いのは嫌なのだ。それを散々我慢した私なのだから、それは良くわかる。
それと同時に、こちらの手を握るキリヱから伝わって来てしまったのだ。孤独に対する恐怖が――――世界で、この滅びを抱えられるのが自分一人になってしまったこの恐怖が。
それを見た時に、自然と、身体が動いていた。
キリヱの唇に自分の唇を重ね、その内側に血を送り込み。血装術をもって、その血を喉から浸透させて血から「心の欠片」を、魂の一部を、その生命力のわずかでも届ける。
金星の黒がない以上、今の私は出来損ないの吸血鬼のそれでしかないが――――それでも、これで復活の足掛かりは出来る。たとえ復活できずとも、キリヱはこれで「私」と言う存在の欠片でも、一緒に居られることになる。
「ここまで付き合ってくれて、ありがとうな、キリヱ」
「あ……、あ…………、アンタ、何ヨ……」
照れるでもなく。末期にそんなことをした私に困惑するでもなく。ただただ、こちらとの離別に恐怖と、悲しみを抱いていた。
純粋な感情の波に、私は申し訳なくなってしまう。以前に、もし仮に私が死滅しかかっても、そういう場合に彼女自身に自分の一部を残しておいて復活の算段を、という話をしていたことがあったせいで。そのせいもあって、せめて彼女が寂しくないようにと。そういう意図を伝えることすら、もはや空々しい。だから、多く言葉は重ねる程ではない。
嗚呼ただ――――星月についてだけは勘違いさせると、後々で問題が出るかもしれない。「私」のことだ、最初から彼女については疑ってかかるはずだ。その懸念も正体についても決して間違いはないが、だからこそ一番大事なところで選択を誤るかもしれない。だからここは、否が応にでも
「姿かたちや場所とかが問題じゃねぇんだ、心は、此処に置いていけるから」
その胸板、胸骨を少しだけ小突いて。――――そこに確かに「私」自身を感じ取って。
でも少しは寂しくないだろうと、言葉を続けることすらもう出来ずに。
「…………、ッ、後は、頼むぜ?」
嗚呼そんな台詞しか、中途半端に残せない自分が恨めしい。この状況に置いて、満足に趣味にすら走り切れない自分があまりに情けない。これが、自分の怠慢をきっかけに世界を滅ぼした罰なのだと思えば軽いものだが。
『――――お休み、相棒。また会おう』
頭に響く星月の声を聞き。深く息を吸って、私は、また深く息を吐いて。
ただ、それだけだった。
番外編なので以下ちょこちょこメモ…
・「光る風を超えて」
・星月の正体
・「背教」タローマティ
そのうち……って、察する方もいるかもですがその辺りはふんわり見守っててください汗
・ホルダーの状況
ほぼ壊滅。
一空の状況は言及通り、エヴァに関しては乗っ取られる前にチャン刀と一緒に相手方も半壊に追い込んでいる。ネギくんも「使い物にならない」状態。
夏凜は精神方面から壊されて自我が帰ってこない状態、でも無理に安定させられているので、復○のルルーシュのアレみたいな感じになってる。
・獄天化壮
これもそのうち……、と言いつつビジュアルはキリヱ視点側のアレ。まぁいつものOSR(趣味)
・所々キリヱの記憶と違うような
あっちもあっちで記憶が色々擦り切れて摩耗してるから……(震え声)
【短期アンケート】今後の参考なんですが、更新時間って何時が良いでしょうか。
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