今回、転生タグの面目躍如・・・?
※ご覧の作品は「光る風を超えて」で合っていますので、冒頭での混乱注意
ST145."I know you but you don't know me."
突然だが、私には2つの記憶がある。
お金持ちの家のご令嬢をやっている今もそうだけど、そのもう片方の記憶もお金持ちの家でご令嬢をやっていた。
どちらの記憶においても社会というか時代はそこそこ荒れていて、でも荒れている理由はそこそこ違っていて、そんな中において衣食住に困らず人を従える立場にあった私は、それなりに幸せ者だった。
かつての私を言うなら……勝ち組、というと嫌味に聞こえるし私が努力とかそのものを否定しそうになるから、あんまりそういう言葉は使いたくない。
でも、世間一般からすると間違いなく私の生まれ育ちは勝ち組で、人生ガチャでいうとSSRとかそういうものだった。
そのまま順調に、ご先祖の血筋に由来する才能もあってスクスクと優秀育った私だったけど、それまでの人生は決して平凡なものではなく。命を狙われること、誘拐されること、この世のものと思えないバケモノと出会う事、まあとにかく色々な経験を送ってきた。
その中で色々なヒトと触れあい、色々な悪人も色々な善人も、それこそ木っ端差しさわりなく「役に立たない」ような人たち含めて、多くの人を見て来た。
だから、誘拐から私を助けてくれた少年に、そんなかつての私が少しだけ惹かれたりしたことも。その行方知れずになった、サムライがどうのこうのと名乗っていた男の子がどうなったか知らずとも、ずっと心の底に残っていて。
そんな男の子の面影を残す彼と、
『…………貴方、どうしてデートコースにこんな庶民極まりない場所を選んだのです? そもそも大型ショッピングモールですらない、フードコートもどきがあるだけの、田舎の山にあるような大型汎用スーパーに……』
『まあ
ソフトクリームを落とすだろう、と転びかけていた子供を抱き留めて返してあげる彼。会話の途中といえどそういう点によく気配りができるのは、流石当時の私が見込んだ男というだけはあるけれども。でも当時の私は、そんな彼に色々と飽き始めていた。
庶民っぽいというより、こう、なんというか子供っぽすぎたのだ。
『貴方、どうしてラーメンと回転焼きとコーラとソフトクリームとフライドポテトを複数セットで注文するんです!? せめてセット一つにしなさいッ!』
『いやでも、こういう所に来たら食べたいし……』
そんなことを言いながらソフトクリームに安いフレンチフライをつけて口に運び、美味しいと1秒くらい納得してからキーンとした頭に唸ったり。大体そのラーメンと言うのも、特にそこまで細かいこだわりがあるような味には感じられず、万人が食べて万人が「まぁまぁオイシイ」と言う程度の味でしかないというか、よくもまぁこんなものを平和そうな顔で美味しい美味しいと言うものだと、感心すらしていた。
こんなもので楽しむなど、それこそ低学年、それも低学歴の人間くらいだろうと。そんな「令嬢という記号で作られた色眼鏡」でしか見れなかった私は、彼を詰まらない男と、そう簡単に断じていた。
彼の過去や育ちがどうであったかなど、この時点では気にも留めていなかった。それくらい自分の人を見る目を信じきっていて――――それだけではいけないのだと、知らなかった。
だから、当然のように乗り換えたのだ。グループの次期後継者である私としては、もっと優秀な人間を跡取りの相手として迎え入れて、子を為さなければならない。
もとより恋愛感情とそういった立場という感情を区別して見ることが出来た私だったから、そこに違和感はなかった。
女性的な良い女――――マウントをとることが出来るが故に責任を負う必要もなく、高い位置を崩すことがない。そんな、ある意味では彼にとって嫌なタイプの女でもあった。
だから、彼と、彼と同時期に雇われていた変な名前の女の首を、最終的には切って。依願退職ではなく閑職につけ、仕事を出来なくした状態で、成果が上がっていないとして首を切った。当時、乗り換えた先であった、あの彼の上司であった彼から、実家が弁護士であるらしい彼から色々教えてもらい、裁判も回し辛いように手を尽くして、彼等を切って――――。
そして、私は彼の手で「殺された」。
命を取られたわけでは無かった。只社会的に、それまで積み上げて来たもの全てを奪い取られ、あるいは無に帰され、意味のないものとされた。
何もかもを失った私に、残っていたのは彼だけだった。でも、彼にとっては私はその辺の女の一人でしかなく――――同時に、私の一族が持っていたグループに対して強い憎悪を抱いていた彼にとっては、トロフィーのようなものでもあった。
『…………私の何がいけなかったのでしょう』
今更後悔する話でもない。全てを決めたのは私だったのだ、そこにむしろ誰かのことを持ち込んで、その相手に「責任を負わせる」方が、令嬢という立場だった私のするべきことではない。ノブレス=オブリージュ、高貴なる者の振る舞いという訳でもないけれど、それだけは胸に秘めていて。
ただ、そんな私を面白がったのか、あるいは当てこすりか。彼は私に、言ったのだ。
『桜坂の首を切ったのが大きかったと思うよ、僕は。まあそうなるよう色々言ったのは僕だけど、それでもね』
『…………何がです? 桜坂……、彼は、それはまあ「コネ」で入社したから予想してましたが、そこまで仕事が多く出来た訳でもありませんでしたが』
『僕が見るに、それでも彼はマネージャー向きの人間だったと思うけれどね。実際、彼と一緒に働いていた連中は上手い事、プロジェクトを炎上させていなかったし。グループ内の残業時間もそう多くはなく、連中も仲が良かったからね。
そういう人間を、一部のコンサルの世界とかでは「触媒」と呼ぶ。計上されている数字としては表れてこないけど、なんだか良く分からないなりにグループを上手く回すことができる人間だと』
実際、君が引き抜いて付き合ったのもそれが理由だろう、と。彼は、自らが彼を私に切らせる切っ掛けを作ったろうに、それでも評価していた。
『当時、僕にとってはライバルに違いなかったし、嫉妬もしていたかな? 僕が受け持っていたプロジェクトを無理やり引き取らせて回させたら、案外簡単に片付いてしまったものだから。彼本人に多少なりともその手のスキルがあったのだとしても、正直計算外だった』
『……だから追い落としたのですか?』
『それと同時に、こう言うと無責任だけど……「君への」試験石にした。
もし僕の言うことを鵜呑みにして、ああいう人間を切るのだとすれば。それこそ君は間違いなくグループを潰す。どうにかして生かす方法を考える、僕と別の部署にする、別な仕事を割り振ってみる、試してみる、色々と手はあったはずだ。僕なんかよりも、この会社で経験が長い君ならね。
それが出来ないくらいなら僕が、このグループを初めから『潰すために』入社した僕の手で、全く別のものに作り変えたって良いだろうってね』
『…………』
『見事に君は、僕の口車に乗って、彼が仕事を出来ないと、彼個人を僕以上に見ていたにも関わらず最低評価を下して、あれよあれよと退職に追い込んだ。
………………まあ、あっちはあっちで「本当の仕事は終わった」と言って、「青梅さん」と一緒に出て行ってたけど』
『?』
本当の仕事とは何なのだろうか、と。そんな疑問は、でも彼の言葉に遮られた。
『ところで…………、彼がどんな人物だったか。君の目から見て教えてくれないか? 君が、彼を追い出すまで「最後まで」勘違いしていたところを、全部つまびらかにして教えてあげるよ。これでも彼のメンターをしていたからね』
それは、あまりに意外すぎる言葉で、そして私から希望すら奪う言葉だったのだから。
『――――サト〇ココノカド〇でデートねぇ。子供っぽい……、まあ有り得なくはないか。
もともと都の外、家族を失った彼は教会とかで育てられていたらしい。そこも
だからきっと『家族』っていうものに対する憧れが強かったんだろう。そこに連れて行くことが「重い」と言っていたということは、オシャレな街角でショッピングしたりするよりも、地に足がついた場所で、「家族が溢れた」場所で、将来の君と自分との家族像を思い描く程度には、君のことを真剣に考えていた、ということじゃないかな?』
あまりにも次元が違いすぎる物の見方と――――そして、そんなことすら聞こうともしなかった、話そうとしていた彼のそれを自ら遮って、既に切ろうと勝手に決断していた私だったからこそ、それには、流石に後悔が涌いた。
ただ、それも今更の話で。彼がその後、どうなったかなんて、「前の」私はその後も知ることは無く――――。
生まれ変わった私は、そんな彼と絶対に二度と会うことなどない今世でまで、そんな話を引きずっていた。
「…………フフ、御笑い
そんな愚痴など誰も聞こえておらず。それもそうね、こっちでもまた「グループ」の令嬢として生まれた私は、いまだ十三歳。いくら魔法や祖母の作った武技が使えたところで、それだって一般人の域を出ない。あくまでも、手ごろで誘拐しやすそうで影響力が強そうだからっていう程度で、私はさらわれたのだ。同じくらいの年代の女の子に。
『――――貴女の実家グループが手を回しているエリアが問題
そんなことを言いながら、SPたちを簡単に蹴散らし、お婆様の秘書をしているアンドロイド(ガイノイドと言っていたかしら?)の追跡すら振り切って、いまだ私は拘束されている。
ただ、扱いはそう悪くはない。三食出るし手は縛られてるけど運動はさせてもらえるし、トイレに関しては「失禁だけはトラウマでちからね……」とさらった少女本人が何故か気を遣ってくるし。総じて、単なる身代金目的の誘拐よりも扱いは良い。良いのだけれど、あくまでそこまで。
私が人質にとられることで、繁華街での警備網を薄くしろと脅迫することが出来た彼らは、それこそいっそ堂々と今若年世代に限らず広まっている「魔法薬物」の取引をしていた。
目の前で売りさばかれるそれに、私は何一つ対抗することはできない――――というより、私ですらおそらくその薬物を使用されているのだろう。こんな前世の記憶なんて、前世の中途半端に幸福とそうでない記憶が混濁してるのだって、きっと私が今、正気ではないからであって。
だから、そんな鈍い色をした場所がいきなり暗転して。
そんな中、私に向かってきた天井のシャンデリアを、目の前に立ち「粉々に」砕いて叩き落して散らした、そんな黒いコートの少年――――くりっとしてそうな目を少し細めた、その横顔に。
「キク、チヨ……?」
私が切り捨てたはずの彼の――――
※ ※ ※
カチコミである。誰が何と言おうとカチコミである。昼間、カトラスおよび千景からもたらされた諸々の色々危険な情報は全力で聞かなかったことにして(震え声)、それはそうと夜に注力した訳である。
アフロと千景、カトラスとのやりとりに関しては、とりあえず前金として十五万ほどもらった。そこから三分の一は彼女の手元に、置き残りを家賃として犬上夫妻に手渡したカトラスである。色々と当てつけのように言った即日に金を持って来られるのは想定していなかったらしいコタローくんはポカーンとしていたが、反対に夏美姉ちゃんは特にそれには何も言わず「美味しい料理、作ってあげるね!」と得意げに笑っていた。
「……えっと、カトラスちゃんのことは雪姫さんにはまだ秘密、だよね? うん、わかった」
そのままカトラスは犬上家に置いて来て、九郎丸と待ち合わせをして合流。夕食がてら軽く超包子で肉まんを買い食いしながら、二人して源五郎の事務所まで徒歩で向かったのだった。
なお釘宮は修行疲れらしく、そのまま自宅で寝ていたので再会は叶わなかったが、それはさておき。
「…………何でコンサートホールとかなんだろう? こういう取引って、もっとアングラって言ったらいいのかな、あまり人目につかない場所で行うものだと思うんですけど……」
「それを言ったらまー、表向きは宗教法人な訳だし警察が押さえられてない拠点みてーなのがあっても不思議じゃないけど、わざわざ何で都心部の大型ビルでやるかねぇ……」
「――――そういう意味では普通の宗教法人ではないのだろう」
言いながら、リムジンで送られる私や九郎丸および源五郎である。なお運転は若い衆の例のスキンヘッドの男が行っており、いわゆる旧東京の概念でいう「首都高」に該当する劣化した高速道路を走っているにしては、がたつきが少ない。運転が上手いのか、車のサスペンションが上質なのかは意見がわかれるところだが、ここはあまり深くは考えないでおこう。
現在向かっている先は、旧関東(主に東京など)の観光エリアを縮小した「再現スポット」のようなエリア近く、ビジネス街から伸びる大通りの中間。九郎丸がコンサートホールと言ったのは微妙に違っており、正確には多目的ホールで映画やら演劇やらにも使用できる、どこかの企業がシンポジウムなどで使用したりする民間施設である。テレビでいうと映画やら何やらの試写会やら何やらに使われることもあったりするので、意外と名前が通っている場所なのかもしれないが……。
そんな場所を大々的に貸切って、例の
ここでヤクザではなくバイヤーといったのは、何もそれを使用あるいは売買するのがヤクザに限らないからであるらしい。…………芸能関係、とポロッと零した源五郎の台詞に少し嫌な顔をしてしまったが、蛇の道は蛇というか、その辺りは「いくらでも」あるのだろうと納得しておく。
「っていっても、それくらい広い場所で大々的にやるって、それこそ『一網打尽にしてくれー!』って言ってるようなモンじゃないかって思うんスけどね」
「確かに、僕ら視点だけで考えれば罠の可能性もあるね。ただアマノミハシラにおける有力者に対して、人質をとっていたりするらしい。少なくとも公権力からどうこうされる、とは考えていないのだろう」
「人質ですか……」
「有力者というと、あー、つまりブルジョワ?」
「語彙が少し古いかな? まあ、そうだね。と言う訳で、今回はその宗教組織の行っている裏取引に関しての証拠集め、証人の確保、魔法薬物の押収に加えて、人質救出も入ることになる」
そもそもUQホルダーそのものが、アマノミハシラを含めた近隣および全国レベルで見て、とても大きな裏組織の集合体のような体をなしているはずである。不死者限定とは言わず、それこそかつての源五郎のような普通のヤクザも傘下に収めている以上、やはりマフィアか何かなのだ。つまり聞きようによっては、マフィアが警察のために動いている……というより「警察の仕事を一部代行している」ような、若干本末転倒な部分も感じてしまうが。そのあたりは組織の設立理念、ネギぼーず曰くの「相互扶助会」というのが前提にあるのだから不思議はないのだと、一応は納得しておくべきだろう。
そして突入前に年齢詐称薬を使用し、再び
そして侵入した訳であるが。基本的に乱戦と言うには、色々とお粗末なものであった。
いや、大体は敵の能力のせいでもあるのだが。
「――――祈りましょう、皆さん! 我々は決して死することはないのだと!」
修道女の恰好をした女性、年齢は夏凜より少し上くらいのお姉さんだろうか。白い髪をした普通の美人さんだったが、そんなことを集まっていた信者連中に宣った後、肌が青くなり額から角が二本生えて来た段階でもう魔族確定だった。……そして微妙に見覚えがあるような顔をしているので、ひょっとしなくても原作に出て来た魔族なのだろうが、さっぱり名前が思い出せなかった。誰だコイツ!?
会場内は数百名くらいだろうか? ホールが「座席を展開すれば」400人座れるということを考えると、大体200人前後だろう。そのうち宗教組織の人間が、その魔族含めて三十人くらい。後はスーツ姿だったり何だったりと恰好がまばらで、我々の襲撃に際してパニックに陥っていた。
一言で言うと泥仕合になった。例えば「潟山組」を始めとした一部ホルダーの男衆も含む突撃部隊がったが。女魔族が呼び出したのか突如現れた「髑髏に角の生えた」人間大の魔族たち(どう見ても下っ端戦闘員とかそのタイプな魔族だが、一部の連中は「天使様だ!」とか言っていた)に対して信者が祈り出すと、その悪魔たち全員が白いオーラに包まれ、銃撃に「当たらなく」なり。かと思えば向こうの攻撃は攻撃で当たり前に通るも、その攻撃で血を流せど味方もまた「死なない」。というか、貫通するなりはするが損壊したりすることはなく、衝撃やら痛覚だけ残るといったところ。
「くっ――――刀た、あっ、菊千代君っ斬撃が通ってるのにっ!」
「霧か霞でも殴ってるみてーだなぁ……」
私と九郎丸も参戦したが、それはそれとしてやはり攻撃が「致命打を与えられない」。つまりは拘束することすら出来ず、すり抜けるようなその中途半端極まりない状態である。ただ、少しだけチリチリするような感覚を肌に覚えたので、その正体には行きついた。
「…………神聖魔法? いや、魔族が神聖魔法使ってんじゃねぇよッ!」
原理は良く分からないが、おそらくあの信者たちが祈ることによって発生する何かしらを受け取って、魔族たちは「神聖魔法の防御」をその身に受けているのだろう。つまりは夏凜の不死性やら何やらの廉価版である。そしておそらくだが、向こうの攻撃が中途半端にしか効いていないのも、その魔法によるある種のペナルティだろう。外界と自らを隔ててるとか、あるいはフィクションとかである「異相」とかフィールドが違う場所に本体を置くことで干渉できないようにすることで双方に影響が強く残らないとか、そんなところか。
理屈はフワフワしているが、要するにお互いがお互いと延々と戦わせられることを強要されている状況。それを強いて来る以上、向こうの目的は時間稼ぎなのだろう。
「ってことは中心にいる相手を叩くべきだな。……チュウベェ?」
と、「疾風迅雷」をして、一気にあの「腰から羽を生やして」浮かんだ女魔族の元へ向かおうと、携帯端末から雷獣を呼び出そうとしたのだが。見れば携帯端末の画面に、チュウベェの姿はなかった。アイツ、どうしてこんな仕事直近のところで居なくなっているんだ。いや、というかいつでも好きな時に居なくなれるのかアイツ……? もともと水無瀬小夜子のペットのような状態だったこともあるだろうが、あまり私に対して帰属意識というものがないのかもしれない。
いやまぁ、確かに割と邪険に扱ってる時もあるのであまりそれにどうこうは言えないのだが、それでもこういうガバは止めろ貴様! 今度からちゃんと確認してから現地に来るべきか……。
と、そんな時。ステージ奥から数人、少年少女というか、小さい子を含めた「場違いな」子供たちが駆けて逃げようとしている姿が目に入った。とてもではないが千鳥足、正気で居ると思えないような「恍惚とした」、あるいは「鬱屈とした」顔のままの彼女たちだったが。そのうちの一人が転び、そして仰向けになり。
「血装――――」
死天化壮を装着しながら駆けだし、足止めのために向かってくる下っ端魔族を踏み台に。そのまま立体起動で縦横無尽に向かい――――彼女の頭上に落ちそうなシャンデリアとの間に入る。
そのまま折れた黒棒に血風を纏わせ、あとは自動迎撃である。……自動迎撃と言いつつ原理はほぼマニュアルなのだが。つまり「嫌な感覚」、こちらにダメージが入るだろう「痛い感覚」をなんとなく察知したら、その瞬間「反射に任せて」死天化壮の腕を動かし、弾いたり叩き落したり、というのを延々と繰り返しているだけなのだが。この自動迎撃で、折れた黒棒に纏わせた威力の伴っていない血風創天「もどき」を用い、徹底的に砕いて弾く。
「……っと、これでガラス片も跳ね返って来て……、ねぇな?
大丈夫か? 君。えっと――――」
声を出していて気付いたが、年齢詐称の魔法が解けている。おそらく弾いた際に飛び散った血に含まれていた効果で年齢詐称魔法が無効化されたとかそんな理屈なのだろうが。
「キク、チヨ……?」
「いや何でお前、その呼び名を知ってるんだよ。絶対今『違う』だろ、あー、年齢詐称の効果が切れちまってるし……って、気絶してる?」
「……すぅ、……すぅ、…………」
「オイオイ……って、人質だったよな多分、コイツ。なんで『キクチヨ』名指ししてきたんだコイツ……」
倒れたその金髪の少女、年齢で言うと忍くらいのカジュアルなドレス姿のストレートヘアな彼女の発した呼び名に、それはもう何と言うか、猛烈に嫌な予感を感じた。
【短期アンケート】今後の参考なんですが、更新時間って何時が良いでしょうか。
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