一部で待たれてるような待たれていないようなあの娘の復活・・・!
ST146.Pluck The Buds Of Catastrophe as ...
「……刀太君?」
「いや何だよその目はお前さん、ままならぬ」
嫌な感覚やら予感やらはともかく、思わず背後からかけられた声に反射的に適当な反応をした後、私は折れた黒棒で少し一帯に広がったガラス片をどけて、気絶している少女をお姫様抱っこした。そんな私に半眼を向けて来る
というかそれはそうとして、この娘、普通に初対面である。ただ魘されているように目を閉じて、金髪、ドレスの大人しさからなんとなく見た目相応に良い育ちをしているのが察せられるが、なんとなく「ネギま!」最終編において登場した委員長のひ孫あたりを思い起こさせる容姿だ。
「まさか、みぞれ…………いや流石にねーわな」
雪広みぞれ、であると仮定してもそれはそれで原作的にはガバそのものだが、その上でキクチヨ呼ばわりはもう色々と物事を考えるのを放棄したいところなので(希望)、この場では投げっぱなしジャーマンとしておく。というか掘り返して溜まるかこの少女。おそらくは委員長、容姿やお金持ちという話からして雪広あやかの系譜のどこかしらに連なる少女なのだろうが、本来なら「みぞれ」以外出てきていないことから考えて、ここでイベントをこれ以上発生させなければスルーできるはず! つまりセーフ! セーフですよ奥さん!(???「完全に正気を失ている奴ネ」「だからアンタねぇ……」)
それは置いておいて、とりあえず周囲を見回す。足取りが怪しい子供たちも多く、それこそこの少女も含めてであった。なんとなくこの微妙な酩酊具合というかに「幻灯のサーカス」とか使用されたんじゃと思わなくもないが、そのあたりのケアは私の専門外である。とりあえず彼女を
その手前で、九郎丸が向かってくる一部の下級魔族らしき連中を引き受けている。
「く……、『弐の太刀』は通じるみたいだけど、それでも結局再生してるっ」
「勝四郎、大本叩いた方が早いっ! いけるか?」
「うん、任せて!」
例の指揮をするように浮かんでいる女魔族に向けて、夕凪を構える
「――――――――神鳴流決戦奥義、真・雷光剣!」
「くっ――――」
生成途中だった黒い剣と夕凪の接触。それと同時に溜められていた魔力のスパークがそれこそプラズマか何かのように肥大化し、打ちおろした刀の動きに併せて魔族の全身へと放たれた! 全身に電撃と斬撃のダメージを受けつつも刀傷やら欠損やらは発生しないあたり、何かしら魔法障壁自体は張ってあるのだろうか。それはそうとしても明らかにダメージが大きいというか、やはりオーソドックスに戦う場合、九郎丸は普通に強いのだ。
ホールの展開されていない観客席へ向けて払い落とされる女魔族。と、そちらに視線を送りながらも私は「
「わ!」「きゃっ」「――――」
とはいえ、血風を受けた魔族たちはその場でたたらを踏んだり転んだりしている。どうやら少しは足止めになるらしい。時間もあまりないと考えて、黒棒を血装で背中に作った鞘「のようなもの」に納刀し、これまた血装術で作った複腕四本を加え、逃げ遅れている子供達数人を抱えて走った。……まぁ走ったと言っても
明らかに走るよりも妙に早いその移動速度に、子供たちはちょっと困惑しているらしい。意外と余裕あるなお前等……、いやこういう時だからこそ「それはそれ」「これはこれ」と切り替えられるのが子供なのかもしれないが。
と、丁度避難誘導側に回ってた源五郎の所の若い衆(といっても私よりは上だろうが)の連中とサングラス越しに目が合う。
「あー、とりあえず子供ら頼むッス!」
「了解しやした、近衛のオジキ!」「ウッス!」「こっちだ坊主たち!」
何故にオジキ呼びになっているのか、それって源五郎の呼び方だったのでは……? いまいち判定基準がわからない。というかそれ以上に、ホルダーにおいてよりも畏怖されているような雰囲気で頭を下げられているので、これはこれで新鮮な感覚ではあった。
スキンヘッドの若い衆に気絶してる雪広縁者っぽい娘を預けると、私も再び参戦――――未だ年齢詐称が解けていない九郎丸の隣に並び、折れた黒棒を構えて左手をポケット箇所に突っ込む。
眼前、砕けた自動設置式の座席の山(?)から這い出る女魔族の周辺に、例の下級魔族が集まる……のだが構図がこう何というか、ヒーローショーとかで現地スタッフのお姉さん(司会)とかが洗脳された設定で悪の怪人になってその周辺に適当なスタッフが扮した戦闘員が並んでいるような微妙な微笑ましさがある(謎)。もっとも現状の被害状況を考えればそうは言っていられない有様で、色々私のこの不謹慎な感想もちょっとした慢心のようなものなのだろう。注意しなければ、ガバもそうだが戦闘もディーヴァしかりサリーしかり何が起こるかわかったものではないのだ。
「これがUQホルダー ……、ザリーチェの
「漏らされた?」
「いや、ありゃ自業自得っぽいし……。それはそうと、アンタは何なんだ? あっちで未だ歌ってる連中も含めて、ヘンな宗教組織っつーことしか知らねーけど」
肩を押さえながらフラフラと立ち上がる彼女。と、その角にも下級魔族っぽい連中同様に白い光が宿り、その効果か全身の傷が消えてしっかりとした立ち姿になり。どこか私に向けて、嘲るような、同時に未熟な子供を見守るような、相反する感情の乗った視線を向けて来た。
「私は魔人、『和睦』オティウス・ラウヴィア。『水震』アガリ・アレプト第一の秘書。つまりは貴方の大先輩にあたるのですよ? 未だ名もなき魔人の末、ノーメン・インフィニト――――」
「知らぬ名前と設定をガンガン漏らすな(戒め)」
「――――びゃっ!?」
思わず真顔で塊血風を投げてしまったが濃厚なガバの臭いしか感じなかったから仕方ないよね(責任転嫁)。隣で
というか魔界、つまり「裏金星」周りの話や設定ってほぼ原作で触れられていないので、こんな所で色々聞くつもりは私とて毛頭ないのである(断言)。
だがそれはそうとして、アガリ・アレプトと言ったか。それって確かアレだよな、所謂「未来編」(ネタバレ警戒ぼかし)において刀太を苦戦させ続けた、髑髏に複腕の長身魔族。それのこう、秘書とかなんか慕ってる風なこと言ってるし―――――あっ! コイツ、アレだ! 思い出した、原作でキリヱの「
処さねば(決意)。
今の「私」が近衛刀太をやっている現状、緊急的には本当にキリヱ大明神のあのテの能力がないと詰む以上に酷いことになりかねない。それを何らかの固有能力を用いてだろうが封印した上で、キリヱ自身に色々あってその能力を手放させる切っ掛けを作る相手だ。そうやすやすと見逃すわけにはいかない――――。
だが表面上、その殺意は見せてはいけない。あくまでの冷静に、冷徹に、必要な形で、である。殺す、殺さないはともかくとして、少なくとも確保してホルダーに持ち帰るくらいはしないといけないだろう。
…………なお投げた血風は相手の額から伸びた二本の角の内、左側を切断。地面に落ちた傍から猛烈な勢いで石化し始めたそれを「びゃああああああああッ!」と汚い悲鳴を上げながら拾い上げ、額に取り付けようと必死であったが、あえなく粉々に砕けた。
いや、その技自体はフェイトから「一周目」の私(というか星月)が解析したものとはいえ、練習機会にあまり恵まれないこともあってそこまで強い技と言う訳ではないのだが……。おそらくサリーが狙撃した時の石化弾なんだか石化魔法なんだかよりも簡単に解除できると思ったのだが、どうやら彼女はその類のことは出来なかったらしい。と言うかそれ以上に、傷口であるはずの額から伸びて中折れになった切断面から、再生していない……?
「…………な、中々やりますね。流石『相対』アリフマンが全力ではないとはいえ敗走する男! でも人が話してる時に堂々と攻撃するのは良くないと思いますよ! 先輩、おこですからねっ! サリーもそういう所が有りますが、先達たる『昇華』魔人をもっと尊重なさいっ!」
「だから知らない名前……、っていやアンタ一体何目線なんだよ……(困惑)」
「…………刀太君?」
「九郎丸もさっきからその目は一体なんなんだって」
いまいち締まりがないが、そんな空気はともかくとして三人とも一切構えを解いていないあたり、やはり空気と言うか世界観と言うかは幾分殺伐としているようではあったが。
それ以上に、私としてはこれ以上キリヱ大明神に負担を負わせてなるものかと、心の内では決意を新たにした。(???「まぁ私はあの能力はちょっとやりすぎなモンだと思ってるがねぇ……。人間は人間としての尺度で最後まで生きるものだよ、普通は」)
※ ※ ※
「…………刀太君?」
「だから九郎丸もさっきからその目は一体なんなんだって」
そんなことを言う刀太君……、年齢詐称魔法が解けているので、ただ眼帯だけつけている刀太君になるんだけど、そんな彼は困ったように微笑むだけ。
僕は知ってるんだ、刀太君がそうやって微妙な顔を浮かべてなんだかんだ文句を躱すときは、特に女性関係の時は意外とその相手にちょっと思う所がある時だって。
そして、改めて敵対している、角が片方折れた「オティウス」というらしい女性の魔族を見る。服は修道服風の恰好で、髪色は白。肌は青く(さっきまでは白い肌色だったけど)、腰から羽根と背中には六本の刀が浮いている。そして服の裾からは長い尻尾みたいなのが延びていて、人間タイプの悪魔っぽいと言えば悪魔っぽい容姿をしていた。
ただ、なんとなく少しだけ目の感じが雪姫さんに似ているような気がして……、性格は自警団のあのお姉様って呼ばれてた人っぽく見えるけど、それを思い出してるのか刀太君の応対が微妙に甘い雰囲気がするというか、表情の感じが少し気が抜けているようで、僕はちょっとむっとなってしまう。
その、年齢詐称薬で大きくなった僕だって、自分で言うのも変だけど結構美人だと思うんだけどな……。胸だって夏凜先輩くらいじゃないけど大きくなってるし。背もすらっとしてるし、こう、お姉さん! って感じなら夏凜先輩にも負けないと思うんだ、うん。
最初、その姿を確認してからよく目をそらすようになったのは、照れてるのかな? と思って結構嬉しかったんだけど、あんな風にちょっと温かい感じの目を向けられたりはしていないし……。って、こんなこと戦闘中に考えてる時点で僕も大分から回ってるのかな……。(???「僕ってこんなに色ボケてたかな……」「まぁ状況が違えばそれなりに、じゃないのかねぇ」)
「仕方ありませんね……。さぁ――――祈りましょう! 皆さまのために、皆様の神が、我々皆を決して死なせることは無いのだと! 改めて!」
「っ、刀太君!」
「応!」
そう声を拡声させながら、彼女はまた空に飛びあがる。角の片方、折れてない方が光り、そしてその光が魔族たち全体にいきわたる。
「神鳴流変則、百花繚乱・
加えて、弐の太刀――代々、京都や桃源それぞれの「宗家」に伝えられる、魔祓いとしての神鳴流を汲むその筋を合わせて放つ。僕自身の気と、最近少しだけ感覚が掴めるようになった、僕の内のヒナちゃんの気。その双方を練り合わせて、周囲の空気を切り裂き、流れを作り、衝撃波を放った――――!
これで精々が足止めしか出来ないのは承知済。だけどこれで生まれる隙をついて、刀太君と一緒に上空へと駆け距離を詰めて………………。
…………そう思ったんだけど、バタバタと、角の生えた髑髏の戦闘員みたいな魔族たちは、その一撃で倒されていった。
「…………えっ、あれ?」
「はい?」
困惑する僕と刀太君……、刀太君は刀太君でいつもみたいに左手をポケットに入れて、半身のまま上空に乗り出そうとするような姿勢の状態、そのままちょっと地面から三十センチくらい浮かんだまま、いきなり倒れた周囲十数体の魔族たちを見て、きょとんとしてた。
あっ刀太君、ちょっと珍しい顔だ。半眼にもなってないし皺も眉間に寄ってないし、木乃香お祖母さんみたいで可愛い…………。ってそうじゃなくって。
驚いているのは僕らだけじゃなくって、あのオティウスって魔族もそれは一緒みたいで。両手を広げて、指揮者が棒を振るようなポーズのまま、倒れた戦闘員魔族たちと自分の後方にいる、白いオーラみたいなので覆われた信者さんたちを見くらべて。
「…………あれ? あっひょっとして角です? 角ですか!? まだ再生していないのですか!」
さっき刀太君が、血風の種類の一つなのかな? 石化させる形で砕いた方の角を触りながら、半分くらいから先が再生していないそれを触りながら……って、あれ? 折れたところ、少し手前まで石化している? それで再生しないのかな。
でも、なんで自分の身体なのにどこまで石化してるのかとか判らなかったんだろう……。
そんな彼女を前に、にやぁ……、と少しいじめっ子みたいな笑い方をする刀太君。
あっ、ちょっと、いや結構悪い顔をしてる。今のクラスメイトの釘宮くんとか、熊本の時の野和君に絡んだりするときの表情だ。
僕とかキリヱちゃんとか夏凜先輩とかにはあんまり向けてこないタイプの表情。
「成程、つまり『角が両方揃っていないと』、神聖魔法のなんか良く分からねーエネルギーみたいなやつを、他のやつに分配できねーと。でアンタ自身は九郎丸の雷光剣が通じたってのを見る限り、その恩恵にはあやかれないと。へぇ…………、へぇ……?」
「な、何ですその顔はッ! ちょ、その顔のまま直角に上昇して接近してくるのを止めなさい気持ち悪いッ!? ちょ、き、きゃあああああああああっ!」
刀太君、そういうの良くないと思うんだ僕……。
ちょっと可愛い悲鳴を上げて、魔族の彼女を空中で追い回す刀太君。転移か何かで逃げようとした瞬間にはその魔法陣目掛けて血風を放って妨害するし(魔法陣が砕ける)、ついでとばかりにもう片方の角も石化させて折ろうとしたりして、にも関わらずいまいち彼女も直接的な攻撃力はあまりなさそうだし…………。
「止めた方が良いのかな、僕…………」
「――――でもあれで、刀太くんも色々と考えている人格のようだから、何かしら彼女の能力に嫌なものを感じて抑えようと思っているのかもしれないね」
「それはそうなんだけど、今は単純に女の子をいじめてるようにしか見えないっていうか……」
「いじったり絡みに行ったりする場合はそれなりに親しい相手に限定してるみたいだから、害意を持ってるってことは敵意があるってこと、と解釈するのが正しい気もするけれどね」
「確かに友達にはああいう絡み方することもあるけど、僕には全然…………」
「女の子として見られてるからじゃないかな?
「それはそれで嬉しいけど、少しだけ寂しいような――――――――って、へっ?」
つい聞こえていた声に従いそのまま思わず会話をしていたけど…………。思わず右隣、さっきまで刀太君がいたところを見た。
「……ディーヴァ・アーウェルンクス!」
「やぁ。久しぶり……って程でもないかな?」
僕の隣で、白衣に水色のフリルがいっぱいついた可愛いビキニの水着を着用した「大人の姿の」ディーヴァ・アーウェルンクスが……、例のダイダラボッチの事件の時に遭遇した敵であるはずの彼女が。「死んだ」と聞いていた彼女が、さも当たり前のような顔をして。その場で刀太君に視線を定めて追いながら、僕に軽くハンドサインで挨拶をした。
えっと……、なんで無表情のままちょっと顔が赤くなってるのかな、この
………………刀太君?
【短期アンケート】今後の参考なんですが、更新時間って何時が良いでしょうか。
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