光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
遂に何かが限界に達したらしい……ちゃんさんェ……。


ST148.あねぷらす

ST148.Catfight X unCatfight

 

 

 

 

 

「………………………………詰みでは?」

 

 思わずの私の一言であるが、応える相手はいない。それもそのはずと言うか何と言うか。その感想なのも、この広大な「霧に覆われた平原」に放り出される瞬間に聞こえた声が原因だ。全身に感じる微妙に嫌な感覚……、「無限抱擁(エンコンパンデンティア・インフィニータ)」といったか、あの魔法具(アーティファクト)はかつてフェイトの拾い子たち(通称フェイトガールズ)の一人が使用していたものである。決して泡影ではない(迫真)。

 無限抱擁、その効果としては、無限大に近いほどの広がりを持つ空間を展開する、というものだったはずだ。結界空間というか、異空間というか亜空間というか。とにもかくにも外界から隔絶したものであるのに違いはない。その基点は術者となっているためこの空間内部にその相手はいるのだろうが、いかんせん相手はここを好き勝手にいじれることもあってその所在地はかなり自由が利くのだ。そのせいか周囲の風景は私の記憶にあるものとは異なっており……、このあたりは作画コストでも気にしたのだろうか(メタ)。

 かつて「ネギま!」においてはラカンのオッサン(変態にチートを持たせた劇物)が、それはそれは酷い手段(と気合い)を用いて脱出したことがあるが、その方法はどう考えても私で再現できる類のものではない。おまけに今までの傾向から考えて、つまりこの本来の所有者は過去篇においてラスボスの手にかかっていることを考えれば…………。いや、それはそうとして環はん何でフェイトはんと敵対しとる側に協力しとるんえ?(口調崩壊)

 

 なお周囲を探せど術者の姿はない。魔法的なホログラムのような投影すらないということは、おそらくラカンによって破られた例の方法とかを懸念してラスボスがそういうことをさせていないのだろうが、いやそれはそれとしてあんな方法が取れてたまるかッ! という話である。まあ何にせよ詰み状態に違いはない。黒棒が壊れて居なければまだ多少なりとも可能性はあったのだが……。

 

「…………弱りました。まさか私まで巻き込まれることになるとは」

 

 私の脚元で転がっているディーヴァもディーヴァである。というよりも、彼女こそがこの詰み状態の最たる原因だ。

 正直な話、それこそ後先考えなければ魔天化壮でも(使いたいとは思わないが)使ってしまえば色々不都合なく何とかなってしまうような気はしているのだが(それこそ私の認識キャパを大いに超えて「金星の黒」のエネルギーを放出して空間の魔法エネルギーを飽和させて崩壊させるとか?)、ただそれをイメージした瞬間猛烈に嫌な予感が脳裏を過った。足元、というかディーヴァからである。

 

 ひょっとするとだが現在の彼女は、原作カトラスのようにいざとなればネギ=ヨルダ(ラスボスに乗っ取られたネギ)を呼べるとか、そんなことなのだろうか? 馬鹿正直に確認はしないが、こういう感覚は外れたことはないので特に行動には起こさない。

 なお不貞腐れたように転がるディーヴァであるが、その足元には石化したアタッシュケースが二つ転がっている。さきほどの戦闘で、どちらも血風自体は回避できなかったようだ。それだけがとりあえずは一つの救いと言って良いのだろうか、いまいち判断に困るところである。

 

 と、ごろごろ転がって私の脚(というか死天化壮のブーツ)にぶつかったディーヴァは、そこに抱き着きながら視線だけ上に向けてきて…………、いや振る舞い方が幼児かお前さん(真顔)。表情自体は無表情そのものだが、なんとなく目がにっこり細められているように見えるのは私の錯覚か何かだと思いたい。……思えない反証できる前提は色々あるが、どう思うかは私が決めることにするってばよ(混乱語録)。

 それはそうと、情報収集は試みよう。若干欠けたままになっている死天化壮の裾を引っ張って遊んでいる(?)彼女に、出来る限り普段通りのテンションで声をかけた。

 

「あー ……、何? お前さん、()と一緒に捕らえられる予定はなかったと?」

「わたし?」

「おっと!? あー、俺と一緒に、だな。なんか口調移ったか…………?」

 

 あの雪広の血縁のような気がする少女にキクチヨと呼ばれたせいか、あるいは勝四郎(九郎丸)からそう呼ばれていたせいか。なんとなく「そういう」警戒心が緩んでしまっているのだろうか……。一人称の崩れに指摘してきたディーヴァだったが、特に興味はないようで、あくびを一つ。

 

「ヒントは与えるつもりはない………………、けど、このくらいは大丈夫でしょうか?

 当然の帰結です、刀太くん。足止め対象と逃げるべき私が一緒に捕らえられたら、本末転倒ではないでしょうか」

「そういえば口調も丁寧語に戻ってんな……」

「監視の目がないようなので」

 

 監視の目の有無で何故に口調を……。あー、以前の言動から照らし合わせて、ひょっとして「グレてる」というか「私は貴女たちに不満を持っています」という意見表明か何かなのだろうか、あの振る舞い。つまり地は丁寧語の方で、不満を表明したい相手が居る場合に限ってフェイトじみた口調になると。

 となると脱出手段とかは確保していないのだろうか、この女……。いやひょっとしなくとも術者であろう環自身が、こちらの情報を監視しない(コール)こちらから情報を探られない、という作戦でもとっているかもしれない。ますます何一つ情報がなく、かつラカン戦のことを思えば色々と頭が痛くなる話だ。あえて考えないようにしていきたい。

 と、そんな私の脚にすがりつきながら立ち上がり、ディーヴァはビキニの胸元の位置を直しながら聞いてきた。

 

「そういえば、聞いてみたいことがあったのです。監視の目がない今なら、特になにもせず確認して問題ないでしょう」

「? あー、何の話だ。っていうか人の質問には答えない割に自分は聞くのかお前さん……」

「いえ、ヒントになること以外でしたら、答えたところで問題はありません。刀太くんはそういう『私個人』に関して質問したりしないから、答えていないだけです」

 

 そう言いながらディーヴァはこちらの顔を少し高い位置から覗き込んでくる。年齢詐称系の魔法を解除していないため、身長はこちらの方が低いから仕方ないのだが、さっきから向けられる視線が微妙に、それこそ「私」からして親戚やら孤児院やらで子供相手に遊んでいた時のようなものを感じてしまって変な気分であった。

 

 なお、その変な気分すら彼女の発言にぶっ飛ばされた。

 

 

 

「――――刀太くんは、個体名『時坂九郎丸』『結城忍』『結城夏凜』『カトラス』『桜雨キリヱ』『伊達マコト』『近衛帆乃香』『近衛勇魚』『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』、あと私のうち誰が好みなんですか?」

「張っ倒すぞお前さんッ!?(白目)」

 

 

 

 思わず大声で突き飛ばしてしまった。「あぅっ」とだけ声を上げてゴロゴロ転がっていくディーヴァだが、「何故押されたんでしょう?」と声を上げて平然と立ち上がるあたりダメージはない。

 

「何故でしょう、不思議です。そんなに変なことを聞いたのでしょうか」

「いや変というか普通そーゆーは聞くものではねーからなお前さん……(地雷原そのものだし)。というか帆乃香と勇魚については妹! がっつり血が繋がってるから絶対有り得ねーっての!」

「そうですか? 何故でしょう、それにしては、個体名『近衛勇魚』が刀太くんに向ける視線とかスキンシップの仕方とか…………」

「お母さん経由で何とかしてもらうしかねーかな(震え声)」

「何故でしょう、急に怯えたような声を出しますね。ふむふむ…………、やはり不思議です」

 

 何を不思議がっているのか、というかその選択された面子は一体何だというのか……。黙っている私に向けて、人差し指をたてて頬にあてて「いえ、その」と何やら考えながら物を言うディーヴァ。というかそもそも何故、その勇魚の視線というか云々について知っているのですかね……(謎丁寧語)。

 

「改めて個体名『このちゃん』『せっちゃん』、さらには個体名『ちうさん』と色々会話してわかったことです。

 愛とは、以前に聞いた話もそうですが、やはり様々な要素や感情、損得、駆け引き、指向性、そういったものの複合体であると。どれか一つという答えを導くことが難しいからこそ、色々と情報を出して刀太くんも私に考えさせようとしたのでしょうと」

 

 思いの他、素早いラーニング結果のような回答が返ってきた。返ってきたのは良いが、果たしてそれがどんなルートを辿って私が誰を好きなのかというルーチンにたどり着いたのやら。というかその話自体「こちら」の人間関係をしっちゃかめっちゃかにして壊滅させようという作戦だと考えれば、超がかつてネギパーティに投げ込んだ必殺「家系図」(真実)並の爆弾そのものであるので、必殺には違いあるまい。(???「だってねぇ?」「アハハー、耳に痛いネ」)

 

「ですから逆説的に、ある意味で個体名『ちうさん』より先に、真面目に私の質問に向かい合ってくれた貴方だからこそ、そんな貴方はどういった考えなのかと思いました。

 私として造物主(マスター)に求められている命令(オーダー)ではない、ですが。これもまた、私が自己学習する必要が有る事と考えました」

「そう言われてハイソーデスカって回答できる話でもねーんだけど……。それ結果的に敵に塩送るみてーな話になるじゃねーか。お前さんの学習に反映して色々やってくるんだろ?」

「はい」

「即答……(震え声)」

 

 素直に即答するところに、やはり見た目以上に謎の少女っぽさを覚えるというか……。いや仕事に関することはなんらヒントを与える気はないと言っていた通りなのだろうが、それはそうとして他の事は拘らなさすぎなのでは?

 しかし「ちうさん」ねぇ…………。いや、あちらにもちゃんと真面目に教育に取り組もうという相手が出来たのも納得はいくし、元祖「ネギま!」から考えて一番適任かもしれない相手ではあるのだが、それはそれ、これはこれである。

 

「まあどちらにせよ、それに答えるつもりはねーんだけど……、あー、……」

「何故でしょう? 教えてください、刀太くん。おっぱいくらい見せてあげても構いませんから」

「それは止めろ(真顔)。肩紐のフリフリをずらすな(震え声)」

「何故でしょう? 触りますか? それとも刀太くんが脱がし――――」

「完全に痴女じゃねーか!? 前に話したの全部すっぽ抜けてるのかお前さん!!?!?」

「何故でしょう? 刀太くん以外には信用できないから、こんなことしないというのに。それに個体名『せっちゃん』から、男の子はそういう直接的な接触の方が色々と良いらしいと過去の話、貴方の祖父相手に――――――」

「その話、絶対私が聞くとヤバい類のだから止めろ(超震え声)。

 前にも言ったけれど、好奇心を暴走させて何でもかんでもそういうことをするのは色々間違ってる以上にお前さん自身が変態さん認定されるからな?」

「そこについては、個体名『ちうさん』から個体名「せっちゃん」より大分マシだと言われたので、心配は無くなりました」

 

 ちうさんから変態のキワミみたいに名指しされてるとか、せっちゃんェ…………(血涙)。(???「アンタ知ってるかい?」「確かに刹那クンはエロ刹那クンだたし、順当に成長したと考えれば弩エロ刹那クンになても不思議ではナイかナ?」)

 

 色々考えはしても、例の人工精霊の方のエヴァちゃんが出てきていないことからして、直接的に私の生命の危機とかそういったことでは無いのだろうが。それはそれとして、無表情ながら純粋な目でじーっと見つめられるこれは色々と大ピンチである。大ピンチなのである。

 釘宮相手ですら特定の誰かという話すらしなかった訳で、しかしそれは特定の誰かを決定してしまった方が「原作的に」も「周囲の言動」的にも、なんだか今後が危ぶまれるところがあるのだ。…………将来的な話をすれば、それこそどこまで原作を踏襲するのかはわからないが、最低三人とは「そういう」関係になる流れが存在している訳で。それを思えば「誰がどうこう」と決定づける必要はない、むしろ決定づけた方が危ないという可能性すらある。

 

 つまり、一つ間違えるとメンバーのメンタルブレイクにつながり、全く知らないタイプの世界崩壊イベントの引き金になりかねないと思っているのだ。

 いかにこう、少し妙に愛着のようなものを抱かれている相手とはいえ、その優先順位だけは崩せないし崩すつもりもない。

 

 そんな意図までは伝わっていないだろうが、少しシュンと元気をなくすディーヴァ。なんで自分よりも年上の姿をしている彼女相手に、大人げない事をしてしまったような罪悪感を感じるのか……。やはりこの世界正気か? 原作からして正気じゃなかったかこの世界――――。

 

 

 

 ――――そして突発的に感じた「嫌な予感」に後退した瞬間、全身が「拘束された」。

 

 

 

「……霧? はい? えっマジで?」

 

 明らかに目の前のディーヴァから感じた「嫌な感覚」は、特に伝播することも無かった。もともとうっすらこの空間自体に「嫌な感覚」があったせいで鈍ったのかは定かではないが、突然霧自体が「水の十字架」のように再形成されたのを前に、身体が絡めとられたのだ。解ける死天化壮……、一体いつ仕込んだこの術というか何というか? 聞いても応えてはくれないだろうが、なんとなく魔法アプリ由来のものである気がしてきたが、それはさておき。

 そんな拘束された私を前に、ディーヴァは思案気な表情となる。ブツブツと「あまり楽しくないです」「個体名『せっちゃん』さんはやはり変態……」など色々ツッコミを入れたいようなワードが入ってきた気がするが、いやお前さんがせっちゃんを変態認定は止めておくんだ、同じ穴の狢に見えるぞ(震え声)。そもそも周囲から半分くらいは痴女認定されているのだから、それが情緒的な無知によるものだとしても、もう少し色々考えた方がいいと思う(マジレス)。

 

「後は…………、どうしたものでしょう? 以前のように『捕捉できない速度』で動かれると厄介ですから、これで封じましたが」

 

 言葉はそれだけだったが、なんとなく察した。会話である程度油断していたこちらに対して、ダイダラボッチ事件と化したゾンビウィルステロ事件の時の介入のごとく、私を「回収」するつもりらしい。「夜明け」陣営といい「世界」陣営といい、最終目的は違うだろうにこちらを何故必要とするか……。「世界」陣営は概ね察しは付いているが、「夜明け」陣営についてはいまいちわからないが、それはさておき。

 それにしては前回の時も思ったが、ディーヴァの挙動から微妙に「嫌な感覚」が感じ辛い時がある。基本的にこの「妙な第六感」めいたものは、原作主人公の肉体を基準とした戦闘センスやら何やらに由来する「身の危険」的なものを察知している類のものだろうと思っていたのだが、それにしては彼女相手には割と適当に捕まることが多い印象だ。このあたり、星月あたりと相談するべき内容なのかもしれない…………。

 

「…………使われる気配はなし、と。……どうしましたか? 刀太くん」

「いや、えーっと、九郎丸を拘束していたアレをやらねーんだなと思って」

海天偽壮(マリンコード)ですか? アレは白衣に対して術を使っているから上着が――――あっ」

 

 ちょっと目を見開いて、両手で口元を押さえるディーヴァ。「言っちゃった!」と嘘がバレた子供じみた仕草なのだが、だからどこからどう見ても美女と美少女の中間くらいの容姿でそんなことされると色々と思春期が危険なので止めて欲しい(震え声)。ついでに言えば無表情ながら少しバツが悪そうに、照れてるのか困ってるのか微妙な風に目を閉じて口を結び「んん…………」と頬を染めながら声を出されても、だからそういう仕草で色々と思春期が(以下略)。

 と、一応は私に向き直り、まるで何事もなかったように話し始めた。

 

「…………では、このまま個体名『サークレット』を探します。彼女を発見し次第、一緒に『造物主(マスター)』の元へ『来てもらいます』、刀太くん。……ついでに、先ほどの話の続きを道中にでも――――」

「……いやそんな話、する必要性あるのか? お前さん。ヒントになるから秘密って、てっきりいうのかと思ったけど……」

 

 というより、そもそも「回収します」じゃなくて「来てもらいます」と、言い方が変に柔らかくなっているような気さえする。そのことを指摘すると、やはりというか「あれ?」といったように目を見開いて、両手を合わせて大きく開いたその胸元へ――――視線がついその並々ではないサイズのものに引き寄せられるので思春期が(以下略)だから止めろ(震え声)。

 

 というか私も大分余裕があるな。これは………………、おそらくはアレだ。ディーヴァ本人が私個人に強く「害意を持っていない」せいなのかもしれない。通常の戦闘時の「嫌な感覚」のキレの良さというか、それと今の状況とを比べるとそれくらいしか差がないせいもあるのだが……。

 

「と、とと、と、とにかく! 拒否権はありません、刀太くん。そこで貴方には、色々と造物主(マスター)の話を聞き、否が応でも協力してもらいます」

「………………」

「何故でしょう? そのような、変な目を何故向けて来るのでしょうか」

 

 だからこう、回収でもなく、明らかに私を「造物主の道具」の一つとして扱っている感じではなく、一つの感情ある生命体として扱っているこの感覚と言うか、物言いと言うか…………。やぱりバグか?(???「何もしていないのに壊れた! とか言い張るつもりかい、トータ」「……………………刀太君?」「隣、怖いネ!?」)

 

 そして、そんな私の目を数秒見つめてから、ふいっと逸らすディーヴァ。そのまま呪文の始動キーから詠唱を始め…………、いや、やはり変だ。ここに至っても無限抱擁に取り込まれてからの嫌な感覚だけは継続しているが、危機感や違和感を抱くに抱けない。サリーと相対した時ともまた違う、まるでこちらの「何か」に対して嫌に特攻されているような……。流石に偶然の類だろうが、このままでは――――――――。

 

 

 

「――“乾いた地(シーカム・サブマリ)”!」

 

 

 

 聞き覚えのある声――――そんな「彼女」の声と同時に、ディーヴァの後方の霧が「縦に裂けた」。否、霧だけではない。明らかに霧の裂けた先は、さっきまで居たホールが広がっており、見覚えのある様な無いような男衆のシルエットがちらほら。

 そしてその中央で、素手で「結界空間を裂いて」いるのは…………。

 

「……ふむ、とりあえずは拾い上げましょう。

 ――――“御翼の陰(アンブラ・アルム)”」

「な、に……?」

 

 背中に光る翼を生やした「彼女」は、こちらに侵入するといつの間にやら修復された日本刀を使って、私の首を――――いや当たり前のように斬るなお前さん何考えてるんだお前さん痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱いッ!?(マジ切れ)。あまりの躊躇いのなさにディーヴァすらびっくりしてしまっている。そしてそのまま私の首を掴み、再生ないし「元ある肉体やらをベースに修復」している私を引き連れ牽引し、ディーヴァから距離を取る。

 明らかに、彼女の背中の翼から放たれる光によって周囲の霧が「散っている」。少しダイダラボッチ事件の終盤の怨霊関係を思い出すような光景だが、まるで彼女の周辺だけ霧の侵入を拒絶しているかのように、霧はその存在を掻き消していた。

 

 空を見上げれば、雲と巨大な石材が連なったような物体が浮かんでいる青空。そんなものが見えるようになった芝生で、夏凜は完全に再生した私の身体を力強く抱きしめた。

 

「えっと、あの、夏凜ちゃんさ――――ッ!」

 

 そして問答無用にキスをされた。秒ですらない、瞬間で耳が大きくなったり縦縞のネクタイが横縞になるような速度の瞬間芸のような、圧倒的素早さである。

 あまりに一瞬すぎて呼吸する暇もなく、苦しいと彼女の背を軽く叩くと、わずかに口を放され呼吸する暇を与えてもらった。ぜい、ぜいと多少整った状態で夏凜の顔を見る。目と目が合うその表情は…………。

 

 少しだけ悪戯っぽく、優し気で、そして非常に何だか色々と見ているだけで許してくれそうな、包容力のある笑みだった。

 

「……夏凜ちゃん、さん?」

「――――はい、貴方の(ヽヽヽヽ)夏凜ですっ」

「            」(※絶句)

 

 声がこう、すごいフワフワした可愛らしい感じだが、しかしちゃんと年上の威厳あるお姉さんと共存してるような微妙なラインの声音で返され、そのまま目を閉じて、ゆっくりとキスをしてきた。

 

 あっ(察し)。

 

 ディープなものではないにしろ、ついばむように何度か繰り返されるその作業……。後方から「こ、これは愛……!?」とディーヴァの困惑するような声が聞こえてきたが、私も色々限界だったのかふっと目を閉じて、されるがままになっていた。疲れたよ星月…………、なんだかとっても疲れたんだ…………。

 

 

 

 もうこれ、夏凜関係だけはさぁ……、完全に修理不可能だよね……(観念)。(???「いくら何でも認識が甘いんじゃないかい? アンタ」「で、でも、流石に夏凜先輩もここまでオカシクなってるのは刀太君的にも予想外かな~って……」「今からコレでは、先、思いやられるネ~……」)

 

 

 

 

 

【短期アンケート】今後の参考なんですが、更新時間って何時が良いでしょうか。

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