大体サブタイ通り……、ほぼギャグ回です(嘘は言ってない)
ST149.Miracle That Divides The Sea
「あの、えっと、いい加減話にならねーんで、止めてくださいッス」
「では、続きは後で」
「何で急にそんなアグレッシブになったんスかね(真顔)」
「これでも自重している方よ?(流し目)」
答えになってないんだよなぁ……(震え声)。
いわゆる宇宙空間での壮絶な孤独経験をいきなりすっ飛ばしてこのえっちさ、やはりこのお方は相当にえっちなお方だったらしい。せっちゃんと良い勝負ができそうである(偏見)。
いや、そんな正気がどこかに宇宙漂流刑されているような話はともかくとして。もう何と言うかいい加減、彼女に関しては言い訳を自分に対してしていて限界を感じるようになってきた話だが、それは後回しにしておこう。大体同じくらいの高さにある顔が正面から離れ、よやく身体が自由に……、自由……、だから左腕になんで抱き着くのかその色々とさっきから頭が痛くなる距離感(動揺)。新手のハニトラを仕掛けられているような気がしないでもないし、色々と思春期の男子の肉体的には厳しいもの上がるのだが。いくら精神性がそれなりに上で、「私」的には経験が無い訳でもないにしろ、少しは自重しろと言いたい。
そんなこちらの内心が伝わったわけではないだろうが、夏凜は「いえ、違うの……」と断りを入れた。
「違うのよ、刀太……………………、我慢できないならこの後■■■にでもいって■■■■■■■■■■■で■■■っても問題はないし■■■■――――(※自主規制)」
「本当にどうしたアンタ!? いくら何でもえっちが過ぎるわッ! というかTPO弁えろって夏凜お前さんがよく言っている奴だろう何がどうしてそう暴走してるッ!!?!? そんなに攻勢に出られたところで私だって手を出したら後はどうなるか知ったことじゃないぞ!?(錯乱)」
思わず素でツッコミを入れてしまったが、それくらいには色々と(少年誌的に)危険なワードが踊っていた夏凜の一言一言である。なお一方の夏凜は「呼び捨て……」と少し照れたように一度微笑んでから咳ばらいをし、そのまま腕を引っ張って耳打ちしてきた。
「(一応は作戦です。あのディーヴァ・アーウェルンクスだったかしら、彼女。「愛」という概念を知りたがっているとレポートに書いていたわね、貴方)」
「(書いていたから何なのだ)」
「(ですから、混乱させようと考えて)」
見てみなさい、と。視線を私から正面の方に逸らす夏凜につられ、それを追うと。まるでパソコンがフリーズでも起こしたみたいに、瞠目しながら口やら手元やらが周期的にガタガタ震えて……、というよりそれこそ「ガガガッ、ガガガッ」みたいな壊れかけのラジオみたいな音を立てて震えているディーヴァの姿がそこにあった。
一体それはどういう感情からの挙動なのやら……。(???「いわゆる『脳が破壊された』状況じゃないかねぇ」)
「盛大にバグってるな…………」
「ふむ、さっきのアレであの反応になりますか…………」
「何故にバグらせた張本人がそう分析するみてーな物言いなんスかね」
「そんなことより、アレで効果があるのでしたらもう一回くらいシておきますか?」
「やらないッス(マジレス)」
とりあえず遠方に投げ捨てられた黒棒……らしき黒い線みたいに見える物体に向けて、指先からひも状に血装を伸ばす。いや、本当に空間が広すぎるのと何も障害物がないせいもあって、一度転がっていった黒棒が延々と遠くに行ってしまっているのだ。お陰でいまいち吸血鬼視力を持っても、そのシルエットが判然としない距離である。
そんな私の様子に気付いているのかいないのか、とりあえず再起動したらしいディーヴァは一瞬ハッとしたように頭を振り、何故か両手で自分の耳たぶを引っ張りながら大きな声を出した。
「――――刀太くん、痴女とは彼女のことではないですか!」
「 」(※絶句)
返す言葉もないッス(真顔)。
そんな私の様子を見るまでも無く「ここは任せて貴方は武器を」と前に出る、気遣ってるのかそうでないのかいまいち判然としない夏凜。ちなみに恰好は普段通りに制服姿で、リグにポーチやらを複数装備しているスラム編でのそれに近い恰好だ。
そんな夏凜は私を背に庇いつつも、ハンマーと日本刀を仕舞い腕を組んだ。
「何を馬鹿なことを、ディーヴァ・アーウェルンクス。良いですか? ――――痴女とは、雪姫様のことです」
「アンタもアンタで何言ってるんだ……」
素で出てしまった一言に答えず、夏凜はリグの胸ポーチから眼鏡を取り出して装着する。レンズは入っていない伊達メガネのようであるが、なんとなく真面目な学級委員的雰囲気のあるそのクールな容姿には似合っている気がする……と、そんな話ではない。謎のその挙動をしてから、夏凜は武器を仕舞ってディーヴァに向かって腕を組んで宣った。
「雪姫様はあれで迫った相手がどういう反応をするか愉しんでいらっしゃるところがあるので、相手から『確定させたい』私とは色々と条件が異なります」
「どういうことッスかねそれ(震え声)」
「貴女が好奇心のままに刀太を震わせるのとはまた別に、私は私なりに気遣って刀太を震わせています。……震わせるというより『硬くしている』が正解かもしれませんが」
「何の話だ(震え声)」
「そもそも『このヒト』は、そのテの物に関しては基本的に手を出す余裕がないようです。しかしそれはそうと、肉体的よりも精神的には『最初から限界』だというのを、私は知っています。ならばせめて、少しでもその『追い詰められている事実』を忘れさせてあげられるよう、苦心するのが務めでしょう。ゆえにこれは、単純な性欲と興味本位の発露と言う訳ではありません」
証明終了、とでも言わんばかりに眼鏡の
「個体名『結城夏凜』……、貴女は、刀太くんのことが、好きということですか?」
「
「…………、……ん?」
ディーヴァはこんらんしている!(ポケモ〇並感) 一瞬彼女の頭上にピヨピヨが見えるくらい、夏凜の一言に対して受けている処理エラーじみた「ガガガッ」という動きである。震え方も大きく、本格的に色々と何かが破壊されつつあるのかもしれない。丁度黒棒に引っ掛かった血装の罠が手元に返ってきたので、そのまま黒棒を軽く肩に担いで事の推移を見守る。
夏理も夏凜で、答えになっていない返答なんだよなぁ……、いや予想やら推測やらはつけられるが。ただ言及したら最後、色々本格的に覚悟を決めて責任をとらないといけない路線に入りそうで、せめてもう数年は待ってもらえませんですかと声を大にして言いたい…………、コミックス21巻分くらい先まで(無茶)。
というよりも、同量、同じくらいには好き合っていないとか、それって…………。いやそもそも、私としてもそんなにノリ気と言う訳ではない大前提があるので、あまり強く言う事ではないのだが。第一、そういう問題の関係の話など「私」的には
そんな言い訳めいた内心の私はともかく。夏凜はディーヴァに向けて、やはり明確な口調の割には断定を許さないような言い回しを取り続けた。
「そもそも私だって、自覚させられたのはつい最近ですもの。『このヒト』に言わせればそれが正常な距離感というものなのかもしれませんが。ですが、そういう問題ではないのです。
先ほどからの反応、見れば見る程におそらく貴女自身が考えている自分の価値基準にそぐうようなものではないと考えますが、どうでしょう?」
「何を、憶測で物事を、騙るのですか、個体名『結城夏凜』」
「
このあたりは雪姫から特に説明を受けた訳ではないのだが、何故知っているお前さん……。ひょっとして聞いたのか? 雪姫に。あるいは今の言い回し的に、キリヱ大明神経由で「一緒にやり直して」情報収集でもしてきたのか……。だったら何故キリヱも私を巻き込まないのか、知らないところでガバ量産されても困るんですが(困惑)。(???「乙女心が判らない男だねぇ……」「負担をかけたくないその心……、私、キリヱサンに『女』を見たネ!」)
まあ言ってこない以上は何か事情もあるのかもしれないし、流石に「頼って良い」というのはもう理解しているだろうから一人で突っ走り続けはしないと信じたいが。(???「あらまぁ……」「そういう所ネ」「………………」)
「つまり貴女は、その『本体』相応には普通の……、普通より少し幼い女の子なのでしょう」
「…………その、良く分からない分析に何の意味があるというのですか、個体名『結城夏凜』。
ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト――――」
詠唱を始めたディーヴァ。彼女の背後に芝生を呑み込む巨大な津波のようなものが段々と現れる。……それはそうと、夏凜が作った空間の裂け目のようなものへは海水が回っていないようで、ずっとそこだけ「裂け目が」「存在し続けている」。まるでチャチな合成のような光景だが、しっかり現実の現象としてそうなっているとなんだか気持ち悪い。
そして向こう側に美人お姉さんな九郎丸の姿……。あらかた向こうの方も処理が終わったのか、隙間からこちらを覗いて驚いた顔をしていた。だが叫んだりする声は聞こえない。これは、はて? どういう現象なのか……。後で侵入時の話を聞けば推測も立てられるかもしれないが、それはさておき。
「おいおいおいおい……」
「大丈夫です刀太、任せなさい?」
「いやあの、ディーヴァの水系魔法って俺とだいぶ相性悪いっつーか……、血が水で散らされて色々使えなくなるっつーか……」
「それは、死活問題ですね。…………わかりました、私が対応しましょう」
ディーヴァのそれに対して、夏凜もまた両手を合わせる。「パンッ」と柏手1回するような動きをし、ぶつぶつと聖句なのか呪文なのかを唱えている……。いや、というかやっぱり夏凜もディーヴァもだが、日本語ルビがない言語をそのまま話しているため、結局何を言っているかいまいち分からないのが悲しい所なのだが。
そしてアンダースローでボールを投げるような、あるいはアッパーカットを喰らわせるようなモーションで術を発動するディーヴァと――――。
「――――『
「――――“
そんなディーヴァが起こした「海そのものの様な」巨大な水の壁へ、夏凜は手を差し込み、それを「二つに裂いた」。
開け胡麻というか、両扉を勢いよく左右に押し開けるかのように。波がこちらに接触するよりも先に腕を勢いよく左右に動かした夏凜。それと同時に、眼前の水の壁に「光の亀裂」が入り、そのまま当たり前のように左右へと分かたれた。物理法則を無視するかのように、分かたれた波はこちらに流れてくる気配はない……、というか巨大な滝みたいなものが左右にあって非常にザーザーと煩い。
えーと、いわゆる「海割りの奇跡」か何かで?(出エジプト記) もし仮にそうだとしたら完全に特攻の神聖魔法である。
流石のディーヴァも当たり前のように引き起こされたその現象には目を丸くする。そんな彼女へ向けて、夏凜は飛び上がり、拳に光を握る。
「
「――――っ、
咄嗟のことで詠唱破棄をしての
そのまま拳と手刀サイズの
……と、つい視界に入る例の亀裂。私と目が合ったのに気づき、嬉しそうに微笑んで手を振る九郎丸。「僕だよ! 僕だよ!」と全力でやってるその姿に、なんとなくポメラニアンとかあの類の犬種を連想してしまう。
「……こっちに手を振ってる九郎丸の方に血風を投げたら、なんか上手い事亀裂が広がったりしねーかな」
『流石にそこまで上手くはいかないと思うけどな、相棒…………』
「おぉなんか久々に感じるなお前……」
めっきり話しかけてこなかったはずの星月、唐突な一言である。とはいえそれを聞いてしまうと、本当に私にこの場で出来ることが何もなくなってしまうのだが…………。無くなって…………、いや? 待てよ?
「星月さん、星月さんや」
『何かな、相棒』
「今更なんだけどさ、ふと思ったんだけど――――血風創天というか血装術の
自分で考えた技にこんなことを言うのは色々問題があるのだが、そういえば、である。ある意味で今まで、基本的に近距離か中距離での使用がメインだったこともあり(主に周辺被害への警戒から)、そういうことについては一切ノータッチだった。検証したことがないと言い換えても良い。私のその確認に、星月は「そこに気付いちゃったかー ……」とため息をついた、様な気がした。
『………………えっと、理論上は「ない」ね。もっとも相棒の身体と血が繋がっている前提で、だけれど』
「マジか。とすると、…………、場所さえ判れば術者に攻撃、与えられるってことか? やったことないけど、ずっと血を使い続ければどこまでも伸ばせるってことなんだし」
『そうだけど、それこそ相棒が『場所を』感知する術がないと難しい、かな。物理学的な話? っていうか、
……そういう意味で、あのサリーって妹ちゃんは中々厄介になりそうだね、今後』
相棒ほど不死性はないけど射程に関しては、と言及する星月にため息をつく私である。流石にそこまで世のなか上手くは出来ていないか。ちょっと今後の課題だな、これは……。
「――――――結論は一つです、ディーヴァ・アーウェルンクス……、負けたらこちらに下りなさい。下った方が、貴女にとっても幸せなはずです」
……………………………………………………。
色々人が真面目に脱出手段の検討をしている傍らで何をやってるんですかねあの
頭上から降ってくる素っ頓狂な一言に思わず上を向く。背中に羽を生やした夏凜が例の退魔刀に神聖魔法を纏わせて斬りかかり、氷の三又の槍でディーヴァがそれを受けながら、なにやら色々呪文詠唱をして夏凜にぶつけているようだ。とはいえ当たり前のように「真っ白に輝く」夏凜はそれをものともせず、軽々と相手に格闘戦を要求している。それとてほぼ互角なので状態は拮抗しているが、明らかにメンタル的な何かで夏凜が押していた。
というかディーヴァは顔を赤くして混沌としていた。何やってんだアンタら!?(ドン引き)
「いくら何でも、そういう訳にはいかないです……、個体名『結城夏凜』!」
「あら? でも貴女だって、さきほど例に挙げたフェイト・アーウェルンクス同様に自らの使命に疑問を抱いてしまっているのでは? ほかならぬ貴女が学習しようとしている『愛』という感情が存在しうる『今の世界』故に」
「だとしても、私は、そういう存在として在るのであって! そちらに行ってしまったら、学習している意味すらなくなります!」
「…………その学習、についてもそうなのだけれど。貴女、本当にそれを『活かす』つもりがあるのでしょうか」
「何を――――」
「――――そもそも魔法薬物の回収だけが目的だったはずなのに、わざわざ刀太を無理に回収しようとする必要はないのではないかしら?
傍から見れば、それこそ執着してもっと話したい! みたいな欲求が勝っているように見えるわよ?」
つまり好きということです、と。何もこんな場で無能先輩ムーブさらさなくても良いだろうに、夏凜は真顔でびしっ! と指を突き付けた。
夏凜の一言に、一瞬空中で動きが止まるディーヴァ。そんな彼女目掛けて、再び光を握った拳で殴りつける夏凜――――クリーンヒットすぎてその衝撃波めいた何かにより水着が弾けるの止めろ! 展開が滅茶苦茶になるから私ですら気を遣ってるお色気描写止めろ何だテコ入れか何かか!? 夏凜も制服がだいぶボロボロでブラやら色々見え隠れしているし……。
いつかのように全裸となって、高い水の壁面に叩きつけられるディーヴァ。水中に投げ出されないのは一体どういう原理かは定かではないものの、ディーヴァは無表情ながら涙目で夏凜を睨み…………。
何故か私を見て、懇願するような声を上げた。
「刀太くん、止めてえぇ! この人、こわいぃぃ……ッ!」
「ごめん無理(合掌)」
戦力的には海天偽壮がないにしても五分だというのに、夏凜はディーヴァを完全に心理戦で圧倒していた(恐怖)。
せめて巻き添えを回避したいがために手を合わせて、全世界億万民居るかいないかなキリヱ大明神信奉者の一人として、せめて安らぎがあらんことをお祈りする他なかった。
キリヱ大明神……、キリヱ大明神……(震え声)!
口調が崩れて小さい女の子めいた悲鳴を上げるディーヴァに、しかし夏凜は容赦せずもう一発、拳をお見舞いし…………。
どこからか「うわぁ……、絶対出ないでおきましょっ」と、聞き覚えのない女の子の声、おそらくこの空間の主たる環だろう声が聞こえた。
追記:活動報告に質問コーナー的なのを作りました。前回のアンケ企画に近い形を取ろうかと思うので、詳しくは[光風超:設定&質問コーナー的なアレ]の記事をご参照ください・・・締切日注意汗