光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
仕事するあの女性(ヒト)


ST151.シン・呉越同舟

ST151.SHIN - Fighting Between Enemies

 

 

 

 

 

 先見のグサインを名乗ったその魔族は、慌てたようにランタン状の装置を構えた。手に持つそれにフロッピーディスク状の何かを、底面の挿入部に。私が何か反応するよりも先に、男の手の動きで照明は大きく輝き―――――。

 

「無駄です。その魔法薬物、大本は幻術をベースとした術でしょう。そういったものは私にとっては塵に等しい――――――――スゥ、ヤァァ……」

「夏凜ちゃんさーんっ!?」

 

 そして後方、得意げに胸を張っていた(なんなら下着姿に直接リグな恰好なので大いに大きいおっぱいを張っていた)夏凜は即落ちだった。快楽とかの類ではなく、おそらく「幻灯のサーカス」であることを考えれば、自身が望むタイプの幸せに叩き落とされたということになるのか。動きその他から見て、あの魔族が持ってるランタン型のそれこそが「幻灯のサーカス」発動のための魔法アプリ起動装置(というか発動媒体?)ということなのだろうか。

 夢見は表情を見る限り良さそうなのでそこだけは「良かったねぇ……」なのだが、どうも単に気絶していただけだったらしい環やらディーヴァやらにもその影響は及んでいるらしい。先ほどまで白目を剥いて「きゅぅ」と言う具合だった環が、目を閉じながらデレデレな表情である。一体何の夢を見ているのやら……、微妙に予測が出来そうな気もするがそれは置いておいて(フェイト関係)、ディーヴァはディーヴァで目を閉じても無表情で全く予測がつかない。

 

 そして、私に関しては一切効果が及んでいないようだった。一瞬ちょっと立ち眩みを覚えたが、その程度である。

 

 そんな私はともかく、その背後で倒れた夏凜を見てグサインは指さし点検でもするように声を上げた。

 

「…………制圧ヨシ!

 ってヨシじゃない!? 貴様、何故効かない!!? そもそも貴様らはどこから生えて来たのだ! ええぃ無駄に在庫を一つ消費することになったではないかッ!」

「目の前の俺スルーしてヨシ! してる時点でさぁ……(困惑)。

 あといきなり情報量多くないッスかねぇ。…………って、生えて来たっつーよりは見えなかった、が正解なんスけど。たぶん」

 

 そもそも「無限抱擁」に囚われていた私たちに関しては外部から認識できていなかったはずなので、原因を求めるなら術者の環にある。こちらに文句を言われても困るのだ。

 それはそうとして、私に「幻灯のサーカス」が効かず夏凜に効いたというこの一連の流れは一体……。

 夏凜について一番ありそうなのは、彼女を護る「神の愛」と考えられる何かしらの超パワーが、術式を敵対しているものと認識しなかったということか。そもそも考えてみれば、なんでもかんでも無効化するなら雪姫ことエヴァちゃんの年齢詐称魔法もそうされて然るべきなのだ。そうならずに影響を受けて大人の姿の彼女を見ているということは、つまりそういうこと――直接身体やら精神に害のないタイプの術は、攻撃判定にはされないということか。

 一方の私に関してはどうなのかという話だが、これはちょっと悩みどころだ。「幻灯のサーカス」自体、そのシステムとしては「対象の深層意識にある最も幸せな願望」をベースに精神を捉えて離さない、というものであるが。その特性上、術が効きやすい相手は「現実世界に満たされない想いを抱いている」ヒトである。これを鑑みればおおよそ、この場のほぼ全員が術にかかったというのも頷ける。

 ホルダーやら組の構成員やら、そもそも「幻灯のサーカス」中毒も含めて。今の時世は、それくらいには不安定だ。最低限首都近隣は「それっぽく」見せかけてはいるが、全国規模で見れば圧倒的な格差がそこにある。

 誰しもが救いを求めたいが故に「幻灯のサーカス」は抗いがたいものであり――――故に、現実に満足しているような相手には中々効かない。

 元祖「ネギま!」でいうとまき絵やら千雨あたりが顕著だが、つまるところ「今にある程度満足できる」人間に対して、深層意識で相当な葛藤などがなければスルーされるのだ。

 

 果たして私に関してそれが当てはまるかと言うと…………、自分では多少当てはまらなくもないだろうとは思うが、それ以上にもう一つ微妙な可能性が残っている。

 

「…………ちょっと確認なんだが、それって『魔人』とかには効くやつなのか?」

 

 そもそも魔人が何であるかとか、魔族とどう違うのかという話はさっぱりだが。ニキティスやらオティウスやらもそうだったが、それぞれの面々が各々に口にする――――私の事を、吸血鬼ではなく魔人であると。

 とするのならば、ひょっとしたらそのカテゴリーの違いこそが何かしらのトラブルというか、世界観崩壊(ガバ)の基点の一つになっているのではと思いはしたが。

 

「そんなもの別に関係はないぞ? 術者が対象を除外していれば無関係だが」

 

 そんな風に、当たり前のように返答してくれる猿仮面の魔族である。とするなら、まことに遺憾ではあるが、私もまた現状に比較的満足している人間の一人だということか…………。自分で言うほど今の自分に不満を抱いていないと? 今の状況に不満がないと? 本当に? 正気か自分?

 ま、まぁガバの基点がその魔人とやらに無くて良かったと判断しておこう。流石に私自身まったく手出しできない領域から発生しているそれであったら、正直もう手出しできないのだ。頭が痛い。(???「自分で手出しできて完全にぶ壊した女関係はスルーするかナ?」「だからアタシの枠をとるんじゃないよアンタ」)

 

 自問自答に陥りながらも、改めて雑に血風を右手に収束させるように血装術を行使する。見た目だけで言えばネギぼーずやらエヴァちゃんやらディーヴァやらがやっていた「術式固定」の類に見えなくもないが、猛烈な鉄臭さを放つそれを、チュウベェを取り込む要領で胸部の傷痕へ――――同時に拡散する血と、背部の傷からも噴出する血。それが雑に嵐のように旋回し、相手の攻撃への牽制となる。

 こちらが色々やってるのに対して、グサインは特に何もせずランタン片手にこちらを見ているばかりだった。これは、何だ? てっきり普通に攻撃してくるものだと思っていたので防御含めた演出モーションとしたのだが……。まぁ良い、そのまま折れた黒棒で斬り払うように血の嵐を薙ぎ、その亀裂を中心に一気に私の全身に血装。死天化壮(デスクラッド)、と申し訳程度に技の名乗りを入れて、構える。

 

 と、グサインがそんな私に向けて、何故か拍手をした。…………いや意味わからないのだが? えっどうしたお前(困惑)。と、ブルルルと携帯端末のマナーモードなバイブレーションが震える。これは……。

 

「そうか成程、貴様が……。その血装術の練度、実に見事! なるほどコレでは今の(ヽヽ)ザリーチェですら手出しできまい。オティウスの愚か者など歯牙にもかけぬか。

 もともとあ奴は『固有能力』以外は特筆するべき点もないから、正しくそんなものなのだろうが、それを差し引きしても実に完成度が高い」

「あー、えー、何? なんで敵対してるのに褒められてるんスか俺?」

「事実を語ったまで。かの『観測』により『先見』の名を承ったこの俺、自らの目で見たものを偽ることなどするつもりはない。

 故に、俺も最初から本気でいこう――――はァ!」

 

 言いながら、グサインは片手を手刀、片手を握りこぶしとして手のひら側に合わせる。なんとなくモーションの動きにデュナミス戦闘モード変貌時の物を思い出すが、それと同時に男のローブの両肩が膨れ上がり、ラクダのこぶを思わせるアーマーが形成される。同時にグサインの影から幾重もの狼のような犬のような頭のシルエットが現れ、ギラギラと私の方を見ていた。

 狗神、ではないにしてもグサインが使役している魔獣か何かなのだろうか。とするとこの場で戦うと周囲への被害が――――。

 

「――――案ずるな、我らが最新最速(ヽヽヽヽ)同胞(ともがら)よ。

 こやつらが狙うは貴様一人。いくら制限があったとはいえ『相対』アリフマンに撤退をさせ、ザリーチェに恥辱を味わわせた貴様を、他の誰よりも俺は正しく評価しよう。故に、ついてこれるか――――!」

 

 構えをとるグサインに対して、私は血風……に「見せかけた」血の塊を黒棒の折れた先端に制作し、地面に叩きつける。接触、と同時に「拡散」。さながら赤い霧をイメージし、相手の周囲全体の視界を覆うように。

 今のうちに――――――――。

 

 

 

「視界を潰すか。……広がるまでの速度も速い。かの『背教』には及ばぬにしても中々のものよ。

 だがこの程度の小細工で、アガリ・アレプト様配下の中で最も武勇に秀でるこの俺を倒すことが――――――――な、何!? くっ、くおおおお……、ぎゃふんッ!」

 

 

 

 ――――今のうちに携帯端末に「戻った」と知らせてくれたチュウベェを使って、疾風迅雷(サンダーボルト)にしておいた。

 

 あくまで武闘派気質のようなので、視界を奪われた程度では「卑怯な!」などとは言うまいと考え。さらにはあの口ぶりから、こちらの先制攻撃を受けるだろうと判断し。そう言った事情から、早々にチュウベェを携帯端末から出した私である。

 状況はわからないまでも「ふみゅー ……」と何故か責めるような視線を向けて来たチュウベェを無視し、そのまま血装で体内に取り込んだ。

 

 後はそのまま、例によって「超加速」のままに背後に回り、霧を晴らしつつ、足元に集中していた魔獣は血風で雑に蹴散らす。そして一通り見えなくなったところでグサイン本人の背中に血風を数発。本来なら薄い一枚のブーメランのようなそれを複数重ねることで、ロードローラーの車輪じみたい分厚いものへと「通常速度の世界では」見えることだろう。その状態のものを落す。それに対して私のように加速していないにもかかわらず、純粋な肉体性能(フィジカル)だけでギリギリ対応してきているのは流石と言うべきか何と言うべきか。流石に振り返る暇はないと見えて、背中に血風の傷を負いながらも、ギリギリで腕で庇う体勢にはなった。そしてギリギリ、右腕でその血風のローラーを往なすことに成功した――――。

 ――――とはいえ、その間に更に血風を追加して背中目掛けて投げることが出来るため、このあたりは色々なんかスマン(謎謝罪)。

 

 時間覚が元に戻ると同時に、ガリガリと回転する血風による背部のダメージで悲鳴を上げるグサイン。良く見ればローブの下も浅黒い肌に筋骨隆々な姿をしていたが、血風のダメージが蓄積するごとにどんどん細くなっていく。魔力か何かで疑似的な筋肉を編んでいたのだろうか、しかし血風による部分的な「魔法を散らす」効果は健在らしく、物の見事に用をなさないでいた。と同時に、いつかニキティスでも聞いた「ぎゃふん」の声が漏れたのだった。

 なんだろう、魔族はその「ぎゃふん!」って声は何かしら言わないといけないノルマでもあるのだろうか……。

 

 ついでとばかりに転がったランタンも回収しながら、血装で相手を縛る。例によって死霊属性を組み込んでいるせいか、グサインは拘束後ロクな反抗をしなかった。……というか尸血風の系統技、いくら何でも便利すぎである。完全に隷属して操れないにしても、部分的な行動を完全に縛ることが出来ると言うのが強すぎるとみるべきか、まだその縛りを「完全に」無視できる強敵が出てきていないと見るべきか……。

 

 一方グサインは、首だけで私のオレンジ色にほんのり輝く頭やらを見て、割れた仮面の右側、ちらりと見える黒い目を見張った。

 

「そ、その姿…………、そうか、まだ奥の手があったのか貴様は……っ!

 完敗だ…………! すべては俺の驕りのせいか」

「判断が早ぇ…………」

 

 夏凜とは別ベクトルでの判断の早さだったが、この場合は潔いと言った方がいいのかもしれない。というか気のせいでなければ完全に「道場破りに来た才能豊かで真面目で負けん気の強い子供に稽古をつけるつもりで、その実最終的に自分の甘さを痛感した道場主」みたいな、そんな独特の雰囲気だった。

 秒速で潰してしまったせいでその「先見」とやらが何なのかさっぱりわからないところだが、とりあえず他のアタッシュケースを回収しないと――――――――。

 

 

 

 ――――突如、嫌な予感がしたため半身を翻し黒棒を背後に構えようとしたが。その私の身動きに「併せたように」、丁度の角度で私の心臓が背後から「貫かれた」。

 

 

 

「……は、い?」

 

 以前されたように胸部を完全に破壊するようなそれではなく、九郎丸の夕凪によってつけられたその傷を裏側から綺麗に貫通し、そのまま地面に刺さっている。またその傷口から体内へ「血装術」が使われているのか、嫌な感覚が強い。私も私でそれに対抗するため意識を集中せざるを得ず、死天化壮が解除され結果的に拘束されている。……よく見ればその黒々とした剣のデザインには、覚えがあるというか、何というか。

 首だけを無理やり後ろに振り向こうとして、しかし上手く動けないためギリギリ顔だけで背後を見る。

 

「…………や……、やったでち……! これで兄弟を抑えたでち!」

「サリー、だった、か……?」

 

 そこには、以前の制服姿の上から黒いハイネックのコートを纏ったサリーの姿。相変わらず額にはアーティファクトで出現した「第三の目」がギラギラとこちらを見ている。どこに潜んでいたお前!? 全然そんな気配なかったろ今日は!(驚愕)

 ……って、いやこの状況においてまで「豊満豊作強兵な牛乳」とか書かれてる紙パック飲料を持ってきて(ついでに言うと強く握りすぎてストローから零れてる)、また漏らすぞそれ止めておけちゃんと介護者がいない環境では(戒め)。

 おそらくタケミカヅチ・レプリカだろうそれを介した彼女の血装術との対決中につき、どうしても声が上手く出せなかったが。そんな私の内心を察したのか何なのか、サリーは「はっ!」としたようにスカートを押さえた。

 

「そ、そんな前回の二の舞になるから飲み物飲むのを止めるでち! みたいな目を向けるの止めるでち! 今日はちゃんと色々準備してきた(ヽヽヽヽヽヽ)から、漏らしても問題ないでちよ!」

「まず漏らさない方法から考えたらどうだろうか(純粋な疑問)」

「そんなこと兄弟に指図される話じゃないでちー!」

「うむ、不意打ちか…………、それもまた、必要なことだ末妹よ……」

「というかそこの脳筋悶鬼(のーきんもんきー)、どーして簡単に諦めているでちか! その場のノリで適当に仕事を放棄するの止めるでち!」

「し、しかしザリーチェ……、古の約定に沿うのならば、直接我らを打倒したものはすなわち――――」

「そーゆー次元の話じゃないでち! バアル様のご命令で召喚された以上、まずはそれに沿えと言ってるでちよ!

 オティウスさんは、まあ、へっぽこだから仕方ないでちが…………。

 そのくらいの拘束、とっとと頑張って解くでち!」

「無茶を言うなぁ、我らが『妹分』は……」

 

 いやへっぽこはサリーお前さんも結構素質あるだろ、とツッコミを入れようとしたのだが、やはりじわじわと「痛い」。胸から全体に背筋の凍る寒さと息苦しさ、動悸が侵食してくる感覚だ。脈動自体は一定にもかかわらず、明らかに心臓を掴まれているような嫌な感覚である。絶えず継続するそれのせいで、私も血をそちらに集中せざるをえない――――。

 

「でち? …………フンッ」

『――――――――ふみゅー!? ふみゅ…………、ぴちゅ』

 

 強制的に疾風迅雷を解除された形の私である。体外に「背部から」射出されるように飛ばされたチュウベェを、でち公ことサリーは適当に足の裏で受けて、そのまま踏みつけた。グリ! と踏みにじるも、チュウベェ本体は大してダメージを受けてなさそうに頭を上げて伸びている…………というより、サリーのスカートの中を覗いているように見える。目ざとくそれに気づいたサリーは「変態でちッ!」と声を上げて、もう反対側の足でその頭を踏みつぶそうと躍起になっているが、ひらりひらりと躱すチュウベェには大してダメージが入っていなかった。いやホント、そういうのを見ると妖魔としては最上位というのに嘘偽りはないのかもしれないが、それにしたってお前さんもうちょっと真面目にやれ真面目に(戒め)。

 

 ただまぁ、お陰で多少サリー側からの血装が緩くなったので、会話くらいは出来そうだ。

 

『みゅー! みゅー!』(※特別意訳:紐パンだよこれ! かなり紐パンだよこれ!)

「ぜぇ…………、ぜぇ…………、何でちこのレベルの高い変態妖魔は…………」

「言いながら、お前そのまま、踏みつけてるんだな。……見られるってわかってるのに」

「…………兄弟のパワーアップに関わってる相手を、みすみす逃がすことはしないでち」

 

 言いながら、私がやっていたように血装による球でチュウベェを拘束。「ふみゅ!?」と断末魔じみた声が聞こえはしたが、そのまま拘束したチュウベェをサリーは適当にその辺に転がせて牛乳を飲んだ。そのまま身動きがとれずにいる私の側面に回り、下から見上げて嗜虐的に半眼で微笑む。

 

「どうでち? 今の気分はどうでちか? 私にあんな辱めをしておいて、今じゃ手も足も出ないとか、とんだお笑い種でち」

「いやそもそも、アレって過失相殺10:0(じゅうぜろ)でお前さんのガバだろ(断定)」

「ガバとか言うなでち! あんなの、予想しろって方が無理でち!」

 

 言いながら「闇の魔法(マギア・エレベア)」なのか魔族化したような右手で私の頬を叩くサリー。一撃の威力で意識が持って行かれそうな程度には「常識的な」痛み――痛すぎて感覚が麻痺しない程度の痛み――で、意図的にやっているのだとしたら趣味が悪い。いや、そもそも痛いことは全般的に嫌いなのだが、だからといって積極的に甚振ってくるような相手にどう思うかと言うと…………。どちらにせよ、カトラス以上に色々と考える必要がありそうな妹ちゃんであった。

 

「は、外れない……、外そうとするとこちらを『支配』して身動きを封じて来るぞ、この血装術!? うぅむ実に見事っ!」

 

 とりあえず今は、少しでも彼女の気を逸らして、こちらの血装術に使えるリソースを確保しなければ…………。

 

「というか、ザリーチェって何だ? お前さん。サリーだろ名前」

 

 そんな理由から振った一言だったが、意外にもサリーは普通に応じてくれた。牛乳をちゅーちゅー飲んでから、ため息一つ。しかし呆れたようにしながらも、話すこと自体は何故か吝かではないらしい。

 

「えーと、今更その話でちか? …………まぁ良いでち、どうせ後はあの脳筋悶鬼(のーきんもんきー)が復帰したら、『回収して』撤退するだけでち。冥途の土産として教えておいてやるでち。

 そもそも魔人というのは、魔族のカテゴリーで考えると――――――――」

 

 

 

「――――我流簡易呪術・百鬼夜行ぉー♪」

 

 

 

「……はい?」「……でち?」

 

 二人そろって声を上げてしまったのも無理はない。なにせその声が聞こえたと同時に、眼前に無数の「火の球」が飛び交ってくるのだ。青白かったり緑色がかっていたり、あとゲーミングカラーに色が変わって『ハーッハッハッハッハ!』とか非常に大声の思念の声のようなものが聞こえた気がするがそれはきっと気のせいだろうが、それは置いておいて。

 そんな人魂がいっせいにでち公に纏わりつく。「止めるでち!」と声を出しながら、やはりマギア・エレベアなのか両腕両脚を変化させ……、シルエットでいうとブーツのような足と長手袋のような腕に変化させ、造り出した剣でぶんぶんと虫でもはらうように振り回す。

 

 そんな彼女の頭上から、二刀流の少女が一人――――――――自由落下に合わせて刀を振り下ろす。

 

 金属と金属がぶつかる音。火花が飛び散り、眼鏡をかけた少女とサリーの忌々し気な目が交差する。

 

「この剣、祝月詠……でち……っ! アマテルの犬が、何の用があってこんな場所に来てるでちか!」

「あら、嫌やわぁ、一応お仕事と……、あとはプライベートやん! もぅ♡

 でもお久しぶりやねぇ『サリーちゃん』。野乃香はんと一緒に遊んだときはもっとこう、ちんちくりんやったけど…………、今もちんちくりんやね!」

「私の身長に文句あるでちかー! そんなのは遺伝子上の母親の一人に言うでちー!」

 

「…………大丈夫かな、刀太」

「あっ、パイセン」

 

 斬り合いを始めた月詠とサリーを見ているしかない私に、……なんだかジャケットもシャツもボロボロになり割れた腹筋が見えていたり、眼鏡にもヒビが入っていたりな源五郎が、フラフラとしながら私の横に立った。

 

 

 

 

 




話数が増えて設定把握が大変になってきたとご指摘がありましたので、活動報告に設定紹介&質問コーナー的なのを作りました。
紹介&回答内容については、アンケ短編企画の時のように、募集形式を取っています。
 
詳しくは[光風超:設定&質問コーナー的なアレ]の記事をご参照、コメントください・・・締切日注意汗
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