Aの続きはもうしばらく先にて・・・、そして来襲と独自解釈大量注意
ST158.Origin's Misdirection
「まぁ出て来たところでアンタに用事はないんだけどね―――――ほれっ」
「へ? あっちょっと待――――」
「いや秒殺(?)かいッ!」
思わずそうツッコミを入れてしまうくらいには、星月は一瞬でこの場から退散させられた。ティーカップをちゃんと避けてテーブルの上に立っていた星月だったが、師匠が軽く手をひねった瞬間、文字通り影も形も消え失せた。なんなら私が一瞬まばたきした瞬間だったと思うので、これもまた師匠に言わせれば目の錯覚の応用とかそういうのになるのかもしれないが……。
「心配しなくても数時間で戻ってくるから、気楽にしておきな」
「そうは言われましてもねぇ……」
「別にアタシもアンタを虐めようって話じゃないんだ。『ドクターストップ』かけられたから、流石にこれ以上はまだ早いってことなんだろうが。
とはいえアタシとしちゃ、キティが泣かないに越したことはないからねぇ。そのために出来ることなら、まぁ『制約』に引っ掛からない程度にはやってやるよ」
「制約…………?」
私の疑問に、そうさと師匠は肩をすくめた。
「ポヨ・レイニーデイによって呼び出された『背教』を見たんだろ? まあアンタだから少しネタバレしてやるとねぇ――――」
「いや、あの、止めてください……、止めてください…………(震え声)」
「――――別に知ってたって特にガバになるような話じゃないから、まぁ聞いてな。
もともとアタシは魔人の中でも固有能力持ちでねぇ? 今の桜雨キリヱのそれとは違うが、ちょっとだけ似たようなこと『も』出来たタイプの能力だったのさ。だが、ま、伊達に貴族、真正魔族でもないからねぇ? 寿命はそれこそ有り余るほどに長く、経過した時間も遠くさ。
で、気が付けば何でもかんでも『干渉しようと思った全てに干渉できる』程度の能力を得ちまってねぇ? 最初の頃は金星文明がああならないよう東奔西走したんだが……。まぁそのあたりで、『観測』ニキティス・ラプスから、『背教』という名を受けたのさ」
既に情報量が多くてあまり理解したくない状況なのだが……。
「ま、別にここで言ったアタシのオリジンが
ともかく、アタシの『背教』という当時の呼び名は、この場合は『宗教』の『教』を指すんだよ。各々、神が決めたあらまし――――始まりから終わりとしてのそれに背く存在。
つまりは、運命に逆らい『書き換える』、ということだねぇ」
「あのホント、いい加減に情報が――――」
「だから――――あー、話の途中だってのに、こうして『招かれざる客』が時々、無粋にも訪れるんだよ。それこそアンタの知る歴史でも、『見せないように』していたろうがねぇ?」
「へ? ――――――――」
師匠がそう言った次の瞬間、私たちが居た部屋一帯全てが熱風と爆裂で「消し飛んだ」。
――――――――――――――――。
痛覚を感じる暇もなく全身粉々になったのか、そこだけは救いである(末期思考)。だが魂的な何かなのか、状況だけは観測できる。出来るのだが明らかに視界が建物の外、例の「空中に浮かぶ城」が見えている状態だ。それを上から見下ろす形で、そして師匠が爆風から飛び出ながら誰かと殴り合っているのが見える。
顔面を覆うバイザーに黒髪のツインテールが揺れる彼女は、明らかに未来風のコンバットスーツは若干だが超包子とかの系統のそれを感じさせるが、それよりもっと全身タイツしているというか、頭の悪い表現を使うと『未来的だった』。所々に玉虫色の半透明アーマーがあったりする。なおスタイルはグラマラス……と言うほどではないがそれなりに育っている感じを受けるので、年齢はおそらく成人済だろう。
そんな彼女の攻撃は、飛び蹴りの独特な系統の動きから中国拳法? 功夫? 少林寺? 辺りかと思われるが、私からすると判断がつかない。かと思えば時折拳銃やらビーム〇ーべル(!)的なものに切り替えたりして、師匠を襲うのに躊躇もなく、また躱す隙も無かった。
もっともその程度でどうこうされる師匠ではない。
あの巨体を一瞬でパンプアップ(!)するかのように痩せていたかつての姿、つまり例のタローマティ「だった」頃のそれへと変化させる師匠。髪型はドレッドのままだが、そんな姿で彼女は、明らかに禍々しい呪われてるような古い毒々しい装飾の西洋剣を取り出して捌いていた。
一撃一撃、彼女の拳が剣を殴りつけ、しかし逆に傷ついているのか玉虫色の装甲にひびが入ったり、逆に師匠から斬りかかられてビームサ〇ベル的な何かを砕かれたり……。
あと若干だが身体が再生しかかっているようで、段々と映像もくっきりと、音もしっかり把握できるようになってきている。このあたりは例によって『吸血鬼的な』身体能力やら知覚やらに依存しているのだろうが、お陰で絶賛、バイザーの下で絶叫してる彼女の声が聞こえる。
「全くアンタは礼儀ってものがなってないねぇ。流石に『弟子』と色々話してるところに『
「煩い! 大体あなたは、『運命に抗う者の揺り籠』たる『背教』タローマティ、でしょ! だったら少しは私の話を、聞いてくれても良いと思う!
というよりさっきの、弟子!? えっ巻き込んじゃったけど大丈夫!!?」
「ダメに決まってるだろうが普通は……、あと言いながら格闘戦を止めないのは、いい加減『世紀末』キマりすぎてるよ、頭の中が。ねぇ、
「…………なるほど『招かれざる客』か。
っと、喉までは再生したか……」
とりあえず上半身はあらかた再生が終了したらしい。……あと一度木っ端みじんに吹き飛んだせいか「金星の黒」の
とりあえず、今の時点では維持できるので良しとしておこう。
「しかし何だろうなぁ……、この空間に招かれざる客に未来風コンバットスーツとか、超あたりが言ってた火星戦争の話か何か? 関連する人物が超だけってことはないだろうし……」
というより成功者を募るという意味では、複数人準備が有っても不思議はないだろうが……。そんなことを考えてる私に、御痩せになられた大師匠が流し目でウィンクしてくる。色っぽさを全く感じ取れないあたり、これはまた何か面倒なフラグの予感……。「アンタに振り回されているキティほどじゃないよ?」…………って、あの人の思考に無理やり割り込んでコメントだけ残すの止めてクレメンス(震え声)。思いっきり近くにいるんだし、その、ね…………?
「アタシは基本、裏技とかチートとかはあんまり好きじゃないんだがねぇ? それしか手段が無くて、それを得る必然性があるのなら仕方無いとは思うが、失った連中に積極的に再分配するほど安いものじゃないんだよ。奇跡ってのはその時、その時代を生きる人間が必死こいて初めて手に入るものだからねぇ」
「何の話を、しているん、だッ!」
「おっと! 今のは中々良いセンいってるじゃないか――――まあだから、メイリン。アンタ達未来の仲間を含めて、アタシが手を貸すほどの旨味がないって言ってるんだよ」
パン! と柏手一つ。すっと開いた手でわっかの形に。それに併せ気が付けば、メイリンというらしい彼女は「円形の」空間のひずみのようなものに囚われていた。甚兵衛が「イレカエ」を連発して結界のようなものを作り出すのと同様のそれである。周囲の空間から断絶しているのに気づいた彼女は武装で抵抗を試みるが、弾丸は内側に跳ね返るし打撃はそもそも空ぶるしで全く上手く行かない。
そんな彼女に師匠は剣を構えると―――― 一瞬その姿が「巨大な」「黒い」「肉食恐竜のような」何かの形にシルエットがぶれ、直後には横一線でメイリンというらしい彼女の背後に回っていた。
同時に、メイリンの服の玉虫色アーマー部分が完全にすべて砕け散り、そのまま落下を――――いや待て待て待て、完全に拾い上げる気ゼロだろ師匠アンタ!何当然のように空中から重力に従って自由落下許してるんだアンタさぁ!
咄嗟に足がまだ若干再形成されかかっている状態の死天化壮な私は、全速前進で内血装を使い無理やり軌道修正をかけながら彼女のもとへ急降下し――――。
「――――くっ、情けをかけるとは甘いよ! 『背教』の……、って、あれ?」
どうやら、明らかに気絶して落ちていったのは、油断を誘うためのフリだったらしい。
救出に来た私に向けて古いSF映画(というか思いっきり「
なお心臓を射抜かれた私は、幸いなことに傷が大きくなかったせいか魔天化壮堕ちはせず。だが当然だが体内では絶賛血風の性質を帯びたまま高出力で血と魔力がガンガン周っている訳で、そんな状態で攻撃などされれば…………。
結果、胸から噴き出した大量の血を浴びた彼女は、その血ごとコンバットスーツが「はじけ飛んだ」。戦闘態勢だったこともあり、武器やらも持っていたそれも「出血量」的に完全に粉々となり、残念ながら完全にはだかんぼ状態である。
「あ、わ…………、お、よ――――――――」
落下しながら震える彼女は、あまりの衝撃にか全裸となった自らの身体を隠さず、顔を真っ赤にし……、いや何と言うか顔立ちも普通に美人さんなのだが、はてどこかで見たことのあるような……? ちょっと表情の雰囲気が四葉五月っぽい気もするが。
とか冷静に考えていた私の背後に一瞬で「虚空瞬動」を使って空間を蹴り回り込むと。
「――――おヨメさんに行けなくなるようなことは止めてよ、キミ!」
「いや理不尽だろお前さんッ!?」
自分で自爆しておいて元祖「ネギま!」的(「UQ HOLDER!」でもあったけど)なラキスケ的な状況に陥って逆恨みも甚だしいぞお前ッ!? というか、どうせなら大河内アキラの方が何倍も良いに決まっているわ、ちょっとこう、思春期的にもにょもにょ困ってしまったとか、そんなことはまぁ…………、まぁ無い! 無いったら無いんだから何を逆恨みをしてくるのか貴様――「そうかぁい? ちょっとあの面倒な聖女に迫られた時みたいにおっ
当然のように強烈な一撃で、こちらの意識を刈り取ろうと首筋に踵落としを叩き込んで来た。
まあ死天化壮もローブ型なので、首筋も当然防御されているのだが…………、座標固定されたその血装に、素足でその一撃は流石に堪えたのだろう。「い…………っ、たいッ!?」と大きく堪えた上で大声を出し、今度こそ彼女は足を抱えて自由落下の世界へ。
流石にもう一度蹴られたらたまらないので、死天化壮の一部を切り離すイメージで、雑な布切れのようなものを作成し彼女の身体を覆いながら拾い上げた。当然、血液の完全分離ではなく、紐のような形でこちらの死天化壮(右足側がちょっと寂しいことになっている)と繋がった状態である。
そのまま拾い上げて距離を取りながら師匠の方へと戻っていくと、彼女はニヤニヤしながら私とその気絶しているメイリンとを見比べた。
「いや何だ師匠あなたその表情は……」
「まぁこう、間近で『それっぽい』のを見ると完全にギャグ漫画だなぁって思ってねぇ。やっぱギャグキャラだよアンタのメンタルって」
「はい?(困惑)」
「動揺してるところ悪いが、そのままメイリンを運んでやってくれないかねぇ? ちょっと『お色直し』してくるから…………、色々『持て余してる』からって襲うんじゃないよ?」
「いや、誰が襲うかって話なのだが常識的に考えて」
「そうだねぇ。基本はヘタr…………、いや真面目だからねぇ。
それにそもそも、アンタのタイプは大河内アキラみたいな、スタイルも良くて性格も良くて、ちょっと辛いときには励ましてくれて、甘やかしてくれて、頑張ろうというときには察してそっと背中を押して帰る場所を護ってくれるようなタイプだから、後腐れやら色々考えてそれはそうか」
「人の好みをズケズケ暴露するの止めてもらえませんか…………?(震え声)
というか居ないよな九郎丸も夏凜ちゃんさんもキリヱも!?」
「原作を警戒してるにもかかわらず結城夏凜の名前を挙げる所は流石に学習しちゃいるようだが、まあそういう話じゃないよ今回は…………。
ふぅん、なる程ねぇ。業が深い………………」
私とメイリンの両方を見比べてその一言を言った次の瞬間、師匠は再び「巨大な」「黒い」「肉食恐竜のような」シルエットに姿をぶれさせ、その場から消えた。瞬動とかその類ではない明らかに妙な動きだったのだが、ひょっとして魔界由来の何かしらとか言いませんかねぇ…………。というか気のせいじゃなければシルエットもティラノサウルスとかそっちじゃなくて、むしろ
「んん…………ッ」
「お? よーやく目を覚ましたか」
なお、城の展望台部分からすぐに入れる師匠のベッドの所に、キングサイズの師匠のベッドではなく一般的な人類サイズ、こじんまりとしたものが設置してあったので、そこに寝かせろと言う事だろうと判断した。適当に寝かせたメイリンはしばらく唸り、私はといえば爆発後に紛失していたはずの折れた黒棒が、当然のようにベッド横のテーブルに立てかけられていて引きつった笑いが出て来る。ありとあらゆる無茶と整合性を無視した描写が連発しているのに、その全てを師匠独力により可能とされているこの状況が、あまりにもあんまりすぎたのだ。さっきの話だってかなり中途半端で終わっていたし、自由すぎる…………。なんならメイリンによって爆破された城も、帰ってくる時に見たら完全に修復が終わっているというか、爆破された跡が影も形も残っていなかったし。
そんな内心妙な状況で目を覚ましたメイリンである。服は…………、替えの服がなかったので、まだ死天化壮を部分的に着せている。そんな彼女に少しだけちらりと目線を向けた私は、しかしちょっと後悔することになった。
「あぇ…………? あたし、さっきまぇ、だいもす基地で……?」
「寝ぼけてる所悪いがせめて隠せ(戒め)」
寝ぼけたまま体育座りのような体勢を取ろうとする彼女に思わず叫ぶ。流石に布切れなので裾までは完全に覆いきれないのだ。と、数秒こちらの様子を見て、はっとしたような顔になり。彼女は死天化壮を投げ捨て、掛け布団を適当に羽織り
「へ、変態…………! 初対面の女の子をいきなり全裸にする変態だ……!」
「いや女の子って年じゃねーだろ(煽)」
「……ッ!? な、何て失礼な男の子なんだキミは、私ぜんぜんまだまだ、軍隊雑誌で表紙飾れるくらいには可愛いのにッ!」
初手煽りは基本。
ともあれ瞬間的に怒りで動揺した彼女に死天化壮で高速接近するが、途中で黒棒を投げられたので中断。こちらの人中を狙ってまっすぐ投げたので、完全に人を殺す動作に慣れ切ってるなこの女…………。
と、油断出来たのはここまでである。
「確かキミは、あの『背教』の弟子……!
だったら私が倒せば、あの魔女も私の弟子入りを認めてくれるはず――――」
そう言った瞬間、彼女は両腕を重ねて、まるで祈るような体勢となり――――その全身から、黒々とした魔力が「吹き上がった」。
「コード[9784063954845]…………呪紋、回路……、起動――――――――!
プラクテ・ビギ・ナル…………ッ、きゃッ!」
「いやラスボス級兵器使うくせに、なんで呪文詠唱が『初心者』なんだよお前さん!?」
状況が読めないまでも、とりあえず止めないとまずいシロモノを使おうとしたので、死天化壮に使用していた「これ以上排出されない」血を使い、尸血風を形成して投げ、彼女を気絶させた。
全身に一瞬浮かび上がった紋様、師匠の「未来の仲間」という発言…………。やはり超関係者か? 協力者かもしれないが、流石にそこは不明だがさてどうしたものか。もう血装術も使えない状態に戻ってしまったし…………。
「え? え? ここ何処なンだ……?」
「…………いや兄サン、それ流石にちょっと……(引)」
「………………無防備で綺麗な女性を何じろじろ見てるのかな、刀太くん?」
「エロちゅーにじゃないの!? やっぱり、今度という今度こそホルダー1温厚な私でもキレるわヨ!」
「…………はい?」
そして同時に、テラスの方でカトラスやら九郎丸やらキリヱやら三太やら、一部関係者がこちらを見て好き勝手言っていた。
いやあのお師匠…………、いくら何でももうちょっとその、原作寄せするならするでタイミング考えていただけませんかね(震え声)