光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
刀太サイドはしばらく、ガバが如何にして熟成されたかのレクチャーになります


ST162.心の鍵は…その1

ST162.Frequently Asked Questions: side Kuroumaru Tokisaka

 

 

 

 

 

 〇LEACH(オサレ)だろっ!? B〇EACH(オサレ)だってばよっ!!? BL〇ACH(オサレ)だからっ!!!? BLE〇CH(オサレ)なんだからBLEA〇H(オサレ)ならばBLEAC〇(オサ)れッ!!!!?(オサレ謎活用)

 

 思わずそう動揺してしまった私を誰が責められよう。言い訳をさせてもらえれば、意味もなく混乱した物言いをしている訳ではない。オサレを連呼する程度には私の認識がぶっ壊れる、それくらいの衝撃的事件があったのだ。

 ことの原因はお師匠によって連れられた一室。扉を開けた先は既に石造りの廊下で、先ほどの女子更衣室らしき何処かだった気配は欠片もなく。「来な」の一言にホイホイ従った結果着いたのは、先ほどの書斎とはまた違う個室であり、石造りの部屋でこそあるがテレビだったりこたつだったりキッチンだったり冷蔵庫と現代のそこそこなお値段のアパート的な作りになっており、それはそれで困惑必至だったのだが。その部屋の居間にあたる場所、書棚を見た瞬間に私は壊れた。

 

 そこにあったものは――――Bから始まりHで終わるBL〇ACH全巻(OSR原液)であった。圧倒的な原液であった。なんなら映像ソフトまで全部劇場版含めて揃っているっぽいし、おまけにノベライズ版まで網羅している始末。今となっては色々諸般の事情で公に語られることもまれになったバウ〇ト(師匠未監修)もちらほら見え隠れしており、そういう意味で完全版の原液書棚であった。

 なお付け加えて言うと、その背後にNARUT〇(だってばよ)関係やら元祖「ネギま!」関係の原作およびメディアミックスやら、とにかくかなりの数が揃っている。個人的には嬉しい限りではあるが、それはそうとしてそういう問題ではない。師匠直々の蛮行である、明らかな世界観破壊の蛮行である。メタとか何だとかそんなチャチなものではない、もっと深い何かの片鱗を味わっている感覚だ。何なら空もまた青空に戻ってるし、いつの間にやら時間跳躍までしている可能性すらある。

 

 あっファ〇トムブラッドもちゃんとそろってるな。これはこっちの世界にもあったが…………って、そうではなく。

 背後で腕を組んでいた師匠に向き直り、その表情を伺いながら思わず突っ込んだ。

 

「っていや何なんスかこの部屋!? 世界観ぶっ壊れてるどころの騒ぎじゃねーでしょッ!?」

「言いながら、目線が完全に棚に釘付けになってなければまだ説得力があるだろうに、その言動もねぇ……。あと、ここは『さっきみたいな』イレギュラーは早々ないから、素に戻ってもいいよ。

 そこの星月は――――」

「あー、いやー、もう良い。この場にいることで私まで面倒ごとに巻き込まれそうだ、『戻る』よ……」

 

 言いながらふっと姿を消す星月に、師匠は「意気地がないねぇ」と肩をすくめる。見た目の関係だけで言えばエヴァちゃんとお師匠の二人なので違和感は然程ないのだが、それはそうとしてガバの嵐に違いはないのだ。怖い。

 そんな私をちゃぶ台手前の座布団に勧めると、どこからか取り出した缶コーラとポップコーンを手渡し。おもむろにテレビを操作して、チャンネルを変えた。

 

 画面に表示された文字は…………。

 

 

 

 ――――時坂九郎丸 編――――

 

 

 

「いやこれ絶対師匠が色々やらかしてるだろうがッ!」

 

 思わず口走った一言に「当たり前だろうアタシの家なんだから」と返され、ぐぅの音も出ない私であった。

 

「とりあえずまあ不死身連中で、好感度が『低い順から』やっていくよ」

「……低い順? えっ?」

「さっき聞いてた話だがねぇ。この部屋に色々置いてあるのは、アンタのメンタルにダメージを入れ続けた後に復活させるための現実逃避用だねぇ」

 

 現実逃避用とかストレートに言ってくるあたり、師匠の本気度が伺える。逃げたい。逃げたい。

 

「まぁそう怖がる話でもないよ。とりあえず怖がるべきはあの聖女くらいなものだし」

「夏凜は名指しなのか……(困惑)」

「薄々アンタも勘付いてるだろ? まあ細かくは聖女以外は省略してやるがね。あんまり言うとガバが拡大するだろうし」

「夏凜は何故そう特別扱いなのか…………」

「特別扱いじゃなくって『取り返しがつかない』から、いっそ開き直っちまおうかと思ってねぇ。あの聖女も今や『キクチヨ』に因縁はなくとも『トータ』には因縁がある魂をしているから」

「その因縁がある云々の情報はいらないのでは?(震え声)」

 

 超もそうだがこの師匠、明らかに意図的に情報を狙い撃ちしてこちらの情緒を煽って楽しんでいると思ってる。その証拠に色々ダメージを受け続ける私を見てニヤニヤと趣味の悪い笑みを浮かべていた。なまじその情報が色々と想定外すぎるものも多いし、胃が…………。

 

「まぁそれを言い出すと、アンタの知る青梅勝四郎と髪型はちょっと似てるだろう? あの聖女。容姿はどっちかといえば時坂九郎丸寄りではあるが――――」

「あの、本題進めてもらってオナシャス…………、オナシャス…………」

「そうかい? もうちょっと聞いておいた方が『後々』面倒が少なくて済むと思うが……。

 まぁ良いかね? じゃあまず、時坂九郎丸と『同率の』カトラス・レイニーデイからだ。とりあえず先に九郎丸の方をやっていくが――――」

「あの言った早々いきなりスミマセン、カトラス? へ? そんなに?」

 

 ある程度絆して兄妹的な立ち位置に落ち着いているという認識なのだが、そんな私にお師匠はダメ男でも見るような可哀想な視線を投げて来た。

 

「まあ、そうだね。数値知りたいかい? オコジョ妖精が使うタイプの数値化したやつ」

「知りたくないッス(震え声)」

「まぁそうは言っても映像の準備は終わってるんだがねぇ、ホラ」

 

 ぱちん、と画面へ向けて指を弾くと。「時坂九郎丸編」と表示されていた画面にノイズが走り、表示ががらりと変わった。

 


 

【時坂 九郎丸】

 ┣友:09 ・・・親友だと思ってるけど確信できていない

 ┣親:09 ・・・安心感が強い。スキンシップしてるとなお強い

 ┣恋:09 ・・・恋愛経験がまともにないので空回ってる

 ┣愛:07 ・・・自分が守らなきゃという使命感と私情

 ┗色:09 ・・・しょっちゅう生唾を呑み込んでる

   → 計:43 

 


 

 

「あのお師匠、このプライベートの欠片も無い解説付きのものは……」

「アタシの独断と偏見に基づいたメモだよ。さてこれを見て何か思う所は?」

「ネギぼーずにせっちゃんが向けてた好感度ベクトルより高いのでは(震え声)」

 

 私の一言に「そりゃ九郎丸には近衛木乃香のような別ベクトルの相手がいなかったからねぇ」とか言ってくる始末。

 

「そもそも大前提だが、アンタのその妙な察しの良さっていうのは、擦れた心には劇薬みたいなものなんだよ。時坂九郎丸に限らずねぇ」

「擦れた心と言われましても…………」

「家族との不和や己の身体への困惑、立場の不安定さ、一人で知らぬ土地に投げ出されたことへの不安、最愛の兄からも見捨てられたと感じた恐怖、どれをとったってクリティカルだろうに」

 

 例えば見な? と。テレビの画面が再び切り替わると、そこには熊本在住時代の私と九郎丸の姿が。雪姫がいないがテレビを見てあーだこうだと雑談している。

 

「心の傷を包むっていうのは、別に特別な手段が必要なわけじゃないんだよ。例えば本人が本人なりに頑張っているんだったら、それを無条件で認めて承認してやること」

 

 映像の中で、九郎丸が特に何の気もなく笑ってるその映像に、私は違和感を抱けない。抱けないが、師匠の指摘は続く。

 

「勘違いもあったとはいえ、アンタのこの時の対応はあんまり良くなかったんだよ。

 そもそも時坂九郎丸にとっては『男だ』と言っていても、あくまで一つのテンプレでしかないっていうのはアンタ原作読んでるんだから知ってるだろ?」

「いや、まあ『そういうキャラ』だというテンプレなのは判るが……。とはいえあの九郎丸は、ちゃんと生きている人間なのだから――――」

「だから、そこを勘違いしているんだ。いいかい? 生きている以上、九郎丸の精神性は初めから『男と女を』厳密には区分していない育ち方をしているんだよ。もともとどっちを選んでも良いようにって一族なんだから、兄だ弟だって言ったって姉だ妹だって生活してても不思議じゃない」

「いや流石にそれは予想できないだろッ!」

「だが過去篇の九郎丸はどの描写をとっても少女として扱っていたという認識はあるんだろう? 浴衣の感じとか、兄への甘え方とか」

「……………………」

「それが答えとは言わないが、そうだねぇ……。男性的でも女性的でもある、としておこうかい? 種族のそれに倣うなら。そんな精神性をしている時坂九郎丸が、建前として男を名乗っても、本音で女と思ってしまえばどうなるか、それこそ原作通りの流れだろう」

 

 確かにそうではある。九郎丸は本来の流れに沿うのなら、自らを友達と規定して男友達として接していた近衛刀太に対し、自らの内の女性的なそれの区分ができずにわだかまっていた。それを起点に友情をはぐくみ続けた結果、いずれかのタイミングでその友人としての好意と人間的な好意とが、少女的な側面と共振して愛情へと転化した。少なくとも私はそう考えている。

 だからこそ、あえて九郎丸とは適度に距離をとっていたつもりだ。特に熊本時代、九郎丸の内側に「女性である」という意識を強く持たせないように、初めからそうなり得る可能性は排して接していたのだが――――。

 

「――――いや、つまりその距離感っていうのは『女性に対する』距離感だからねぇ。どっちにしろ詰んでたんだよアンタ」

 

 その一言で、謎が解けてしまった。

 同時に、猛烈な脱力感に襲われた。

 

 ダメージを受けて考えることを放棄したい私の内心を察してか、師匠はニヤニヤと笑いながら映像を見ている。

 

「つまりアンタは一つ屋根の下、傷心の時坂九郎丸に正しく女扱いして、その心の女の部分を刺激しまくったって訳だ。もともとそのあたりのボーダーが曖昧だった精神に対して色々下準備してしまった訳だねぇ。

 ま、アタシとしちゃ風呂の時間をずらしたり、かと思えば停電の時に普通にちゃんと男の子らしい対応したりしたのとかもねぇ。普通は何ともないだろうけど、箱入り娘で集団生活に免疫のない九郎丸なんてイチコロだったろうに」

「――――――――」

「放心してるところ悪いが続けるよ。ま、とはいえそれでもここまではまだギリギリ持ちこたえて居たろうけど、トドメは、コレだね」

 

 切り替わった映像は、橘に私が召喚され、九郎丸の夕凪が私の胸を…………。

 その時の映像が横からだったものが、ぐるぐる回って九郎丸にズームアップする。

 

「驚愕と罪悪感と…………、絶望? いやぁ、この時点で大分心を病んだのは知ってるだろうアンタ」

「………………」

「何故病んだのかと言えば、アンタがあくまでも一般人であると思っていたから。自分を十分気遣ってもらえる……、いや気遣わなくてもそれこそ本来の近衛刀太のような振る舞いでもアウトだったろうが、そんな相手を自らの手で、となってしまったこと。

 加えて言うとその後に『バケモノの世界へ』いざなってしまう切っ掛けが、この時点では間違いなくこの敵対していた賞金稼ぎで、その罠にまんまと引っ掛かってアンタを殺した自分だってねぇ」

 

 おまけに当の本人はその傷をずっと残し続けると来ているし、と。ある意味では私にとって一番指摘されたくなかったことを当然とばかりに開陳する師匠である。

 

「此処までくると、何があってもアンタを引きずり込んだ自分の責任だって思った感情に加えて、だからこそずっと一緒にいて自分が何かあった時に責任をとらないと、自分の身体を差し出しても、ってところだねぇ。

 時坂九郎丸も『今の』キティ程、死生観はそこまで崩壊しちゃいないんだよ。つまりちゃんとした人間らしい価値観だけで生活してるってことだ。思いつめるのも、少しは当たり前とは思わないかい?」

 

 

 

 だって一族から捨てられたはずの自分が、自分の大好きな友達を人の世から追い出してしまったんだから――――――――。

 

 

 

 そこまで聞いた時点で、私はちゃぶ台に突っ伏した。逃避、現実逃避する暇すらお師匠が許してくれない…………。

 

「およそこの段階で全体の方向性は定まったから、後は何をやっても些事だねぇ。

 まあ例によって結城夏凜が『好きなんでしょう』とか色々いらんこと言ったり、サムライみたいな和尚が『お主の中に愛を見た』とか言ったりとあったが」

「あのそれ、結構重要では……?」

「重要かどうかで言えばファクターの一つではあるだろうけど、本質を見誤っちゃいけないよアンタ。そもそもゼロには何をかけたってゼロなんだ、元になる素地をアンタが懇切丁寧に作っちまったから、その居心地のよい付き合い方で」

「…………いや、でもそれこそ原作の私? というか刀太? みたいに振舞ってもアウトだったと言っていたなら、どうすれば良かったのでしょうか」

 

 

 

「見捨てりゃ良かったんだよ。それこそキティが何といっても聞かず、そのまま適当に森で寝かせておけば。

 そしたらそれ以降も、キティを襲う謎の刺客以上の関係性にはならなかったろうに」

 

 

 

「そんな身もふたもない事を言われましても……」

「あっ、当然だけどキティが『私に挑戦したくば刀太に勝ってみろ』とかそんなことを言い出したりしても、必要最小限以上の会話はしちゃいけないんだ。向こうから話しかけられても適当にして、困ってそうでも手助けはしちゃいけない」

「人の心が無さすぎる言動では…………(良心)」

 

 どうせ無理だから絵に描いた餅だがねぇ、とか言って肩をすくめるお師匠様。

 

「そもそもそれが出来るようなら、あのカトラスとかいった娘がカトラス・レイニーデイなんてことにはなりはしないだろうに」

 

 いや、カトラスに関しては事故の側面も多いと言うか……。師匠に言わせればそういう話じゃないんだよ、とか言われそうだが。九郎丸の例を前提として考えると、どうも私の最初から考えていた前提と行動に対して、実際のそれにズレがあるということらしい。そのズレの分がそのまま後のガバに繋がっているのは、まぁまず間違いあるまい。

 あまり気付きたくなかった事実だが……。

 

「まあアンタの知るその解釈『通りの』世界やら人物っていうのも、世界線の横軸には当然存在するだろうけれどねぇ。こっちは、言いたくはないが『近衛刀太からして』違っている訳だから、指数関数的に膨れ上がるのは仕方ないだろう」

「誰もここまで好き好んでガバガバに膨らませたかった訳ではないんですが…………(震え声)」

「まあ、とはいえ一応まだ世界は崩壊していないし。その点だけは及第点をあげるよ」

 

 だから他の連中と違って、最初に精神修行をさせることにしたのだし、と。師匠のその一言に、私は違和感を覚えた。原作8巻あたりを思い返すと、師匠の修行方針は確か――――。

 

「嗚呼、基本的には肉体的にまず不死者としてアタシの認める最低ラインまで引き上げることだねぇ。技術についちゃ方向性は示すが、教えるよりは自分で慣れて作れってもんだよ。

 そこまでやれば、なんだかんだで意外と精神もついてくるものだからねぇ。心身相関、健全な魂は健全なる肉体と健全なる精神に宿る、ってやつだ」

「だから人の思考を先取りするのをお止めくだされ…………(嘆願)。

 っと、いやそうだとすると、猶更私に対してのその修行順序は――――」

 

 

 

 言いかけた途中、師匠は私の腕を潰した。

 

 

 

 軽く左手を動かした師匠だったが、まるでトラックがぶち当たったかのように猛烈な速度とパワーで、しかしもぎ取るわけでもなくぺしゃんこに潰した痛い!? いや待て待て痛い痛い痛い痛い痛い痛い!? 痛いというか熱いし何か変に「冷たい」!!? 慌てふためく私をよそに、周囲に私の血やら肉やらが飛び散る。

 痛みの臨界点は超えていないのか麻痺していないせいで余計に痛いと言う拷問めいた状況であるが、少なくとも致命傷にはなっているのか「金星の黒」の線を感じ取ることが出来た。思いっきり外側を血装術で覆い、周囲に散った血肉へと血装の糸を延ばして取り込んでいく…………。材料さえそろえば修復にそこまで手間取りはしないので、色々気を付けながらパーツを適当に再配置して、あとは自動的な再生力に任せた。

 

「って、いきなり何やるんスかお師匠!? 普通に痛ェ!」

「…………金星の黒と常時接続していない状態で、血装の展開に 0.5 秒、再配置まで0.2秒、再形成に 1 秒、かねぇ? 外見上は2秒も経ってないと。アンタ、痛がった時の方が再生速度が速いよ」

「いやそもそも痛いのは嫌なのだが(アイデンティティ)」

「まあこういうことだよ。アンタのそのモットー『のせいで』アンタ自身の基本性能はだいぶ落ちていることになっているけど、そのモットーが働かなくなった時の練度は、既に『完成された不死者』の域に入ってる」

 

 つまりもう身体は出来上がってるってことだよとお師匠は言う。それは……、ほぼ間違いなく、キリヱと共にあったかつての私「だった」その魂の影響だろうと、なんとなく察した。

 

「技についてもまぁ、あの星月っていうのが色々サポートしてくれている以上、こっちからは口出しするような話でもない。とするとむしろ、残っているのは今のアンタを阻害している要因だけなんだよねぇ。それを取り払うか、自覚させるのがまず第一段階だ」

「阻害している要因……」

「『痛いのは嫌だ』っていうモットーそのものは一長一短、私が簡単に良い悪いって言う話ではないだろうけどねぇ。まあ趣味じゃないがそう『変心してしまった』理由についても把握してるから、強くは言えないんだよ」

「それは…………、えっと」

「まあ、聞いたらガバになるから聞かない方が身のためだよ」

「アッハイ」

 

 思わず即答する私に、お師匠はため息をついた。いや、そう呆れられた風に応対されたとしても、こちらとしてもどうしたものかという話なのだが…………。ただちょっとだけ、ちょっとだけ文句を言わせて頂けるなら言わせて頂きたい。

 

「あの…………、なんで人間関係のガバというかについてまで、今こうして話す必要があるんですかねぇ」

 

 嗚呼と言いながら、師匠は画面を再び操作すると――――そこに映った映像は、ダイダラボッチの腹の中で、魂だけ復活したディーヴァと何やら話している私の姿であり。

 

「ラスボス相手に『現実から逃げるな』とか言っていたからね。もともと書類としてまとめてアンタに突き付けてやるつもりだったが、このあたりで気が変わったんだよ。アタシ直々に、懇切丁寧に膝を折ってやろうかってねぇ。

 そもそもしょっちゅうアタシに内心話しかけてた訳だから、どう足掻いたって不可能といえば不可能な話さ」

「迂闊ッ! 我ながら迂闊ッ!」

 

 思わず膝を抱えてその場に転がる私を、師匠は意地悪く見下ろして嗤っていた。「そういう所だよアンタそういう所」とか、あの、少しくらいご容赦頂けないで――――。

 

「アタシに教えられるか、自分で反省文書くかの違いみたいなものだから、そこはもう諦めときな」 

 

 もう既に一人目の時点で精神的には大分死んだところで、本日の授業(?)はお開きとなった。

 

 

 

 

 

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