光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ! 今回は九郎丸視点です


ST163.屈服すべきは

ST163.Obey Yourself!

 

 

 

 

 

「…………野郎、逃げやがったか? いや、逃げたならアタシが気づかない訳はないし、時空の隙間に呑み込まれていったかい? 厄介だねぇ」

 

 色々とダーナ師匠は言いながら、僕らに顔を向けた。キリヱちゃん、三太君、僕、カトラスちゃんの順で横にずれていった後「とりあえず服着な!」と言ってくれた。

 収納アプリから取り出して上着だけ着用。ボタンを締め終わる頃には、ダーナ師匠は刀太君について話し始めてくれた。

 

 どこに行ったのよあのちゅーに! というキリヱちゃんの一言に、ダーナ師匠は「ココには居るんだけどねぇ」って頭をかく。

 

「アンタ達にも判りやすく説明すると、どんな風に言ったらいいかねぇ……。ここは『何処でもあって』『何処でもない』っていう、そういう場所なんだよ。だからここの空間にいる者は、アタシが外と『どうつなぐか』を規定しない限りは、時間の制限に呑まれない。

 簡単に言えばゲームとかのメニュー画面さ。メニュー画面でいくら動いても、何も起こらないだろ?」

 

 その話に少しだけびっくりする僕とキリヱちゃんだったけど、ダーナ師匠は特に触れなかった。そのまま彼女は、話を続ける。

 

「だから、逆に言えばここはアタシが意識しないと勝手に色々な所に『繋がってしまう』可能性を持ってる場所なんだ。とはいえ大体は本人がいる時空座標に『紐づけ』されてるから、深追いしなければ時空の狭間に呑み込まれなくって済むんだがねぇ」

「時空の狭間にとかなんか聞き流しちゃいけないようなフレーズがあった気がするんだけど……?

 ってじゃあ、ちゅーに? ちゅーにはどうしたっていうのヨ? えっと、居なくなったってことはその時空の狭間とかに呑まれたってこと!?」

「いや、それもちょっと話がややこしくってねぇ…………。こればっかりは説明する概念を持たないが、トータ、『あの』近衛刀太はちょっとイレギュラーが多くてね。『ある種の方向への』時間移動に限って、紐づけが全く機能しないんだ」

「だからどーゆーことッ!!?」

「ちょっと未来の時間軸にでも送られたってことだねぇ」

 

 それは……、一体どういうことなのだろうかと。僕もキリヱちゃんも質問をしたけど、いまいち納得できることは言われなかった。

 ちなみに三太君は「SFだけどやっぱわかんねェー」って少しぽけーっとしてた。年相応な感じで少し可愛いけど、本人に言ったら怒られそうだ。一方でカトラスちゃんは、初めから理解を放棄してるのか遠くの方を見て引きつった笑いを浮かべていた。

 

「ま、そんな話は置いておくよ。どうせそのうち判ることもあるだろう」

「その一言でごまかされるわけないじゃないのヨ!」

「判らない概念についてガンガンに教えて詰め込んだって、仕事でもないんだから誰のためにもならないよ。特にアンタ達みたいに先がえらく長い連中はねぇ」

「あの、ダーナ師匠……? それで、刀太君は……」

「まあ問題はないよ。今『別な私』を捜索に向かわせてるけど、さっきも言ったがおそらく『未来に』飛ばされたはずだからねぇ。アンタ達も数日特訓したら合流できるよ。そう『大した目には』遭わないだろうからねぇ」

「よ、良かった」

「本当なんでしょうねぇ………」

  

 未来に飛ばされた……、と言われても僕にはよくわからないのだけれども。ダーナ師匠の言葉の感じからして、数日くらいなのかな。それでも刀太君が、何か大変な目に遭っていないようで良かったと思う。

 でも…………、あれ? なんで僕、こんなに彼女の言うことを簡単に信じているんだろう。初対面からたぶん1日は経っていないのに。信頼関係とかを形成するタイミングって何処にも無いし……。

 

 僕の疑問に答えが出る訳もなく、そのままダーナ師匠は僕らに指をさして言った。

 

「まあアンタらのことは大体もう判っているから、基礎的な訓練で『今出来ること』が何なのか判ればそれでいいよ。トータと合流するまでに次のステップ、個別特訓のお時間さ」

 

 個別メニュー? と、驚く僕たちにダーナ師匠は「何度も同じことを言いたくないから諸々は省略するがねぇ」と前置きをして。

 

「時坂九郎丸は知ってるだろうが、簡単に言ってしまえばこういう修行っていうのは『心・技・体』で構成されているもの。『心』、つまり精神については『私から』どうこうするつもりはないから、そうなるとここでの修行は『技』『体』がメインになる訳だ」

「な、何ヨ。私たちの何を判ってるっていうのヨ?」

「何ってそりゃ……、色々だねぇ」

 

 本当に聞きたいかい? というダーナ師匠の一言に、キリヱちゃんはうっと一歩後ずさった。

 

 そもそもこのダーナ師匠、登場の時点で既に僕らにとってびっくり以外の何物でもなかった。刀太君が一人で雪姫さん、というよりエヴァンジェリンさん? のところに行った直後、敵襲のごとく現れた巨大な存在。しかも尋常な現れ方じゃなかったものだから、皆で色々作戦会議して、とりあえず牽制に攻撃を送った。

 送ったら最後、向こうから戦闘員? みたいな人がこっちにも転送か転移かされてきて。あれよあれよと戦っているうちに、刀太君はまた殺されてしまったし。

 

『しばらくこの子はウチで預かるからねぇ。まあこっちの体感で言うと数日になるだろうけれど…………、結城夏凜を呼ぶんじゃないよキティ、今そんなことしたら修行つけるどころの騒ぎじゃなくなっちまうからねぇ』

  

 そのまま再生し始めた刀太君を持ち上げると、ダーナさんはそんなことを言った。夏凜先輩は……、ちょ、ちょっと何を言ってるかよくわからなかったけど。でも、少なくとも雪姫さんが納得できるまで強くする修行をつけるっていうことはわかった。

 だから僕やキリヱちゃんが頼み込んで、その修行に同行させてもらうことになったんだけど…………。移動途中に見せられた色々と凄い空間跳躍とか、もうそんな次元じゃないような光景のおかげで、僕も三太君もダーナさんのことはダーナ師匠以外の名前で呼ぶことはできなかった。唯一敬語も使わないのは、キリヱちゃんだ。ただ彼女に対して、ダーナ師匠はあまり強く言わない。

 言わないけど、それはそうとしてキリヱちゃんはダーナ師匠が苦手みたいだ。

 

「まあ一つ言うなら、世間話するならともかく精神に関しちゃアタシは本来、門外漢なんだよ。適当にやったら間違いなくパワハラになっちまう。『本人が了承してなきゃ』基本はやるべきではないからねぇ。

 根性論はあくまで精神論、実際に積むべき経験値や取得するべき技術とは別ベクトルで見るべきものさ。それこそ個々別々、相手の状況に責任を持つくらいの気持ちじゃなきゃ。でなきゃ言うだけ言ってやらせるだけやらせて何も形にならないわ肉体も精神も潰すわ、ロクな結末にはならないからねぇ」

「そのわりには師匠ってば、あのちゅーにには当たりキツいんじゃない…‥?」

「個々別々にって言ったろう。だからそういう意味では、トータはお前たちとは『別レイヤー』なんだよ」

「「レイヤー?」」

「刀太が、何かオレたちと違うっつーことッス?」

「…………(お腹空いてきた)」

 

「まあ修行場はそれぞれ別々に用意してあるから、カトラス以外は三人とも『行ってらっしゃい』だ」

「へ? 私だけ何を――――」

 

 カトラスちゃんが不思議そうにしてたのを見た瞬間、僕たち残り三人は全員「背後に現れた扉から」「這い出て来た真っ白な」「複数の腕」に身体を掴まれ、その向こうへと引きずり込まれた。

 

「へ?」「えっちょっと」「いィ!?」

 

 吸い込まれた直後、扉の向こう側の暗黒空間で僕たちはお互い横一列に見合った。けど、それも数秒でどんどん遠くに離されて、あとは無限の暗黒だけがそこにあった。

 しばらく引っ張られて放り捨てられた先は、途切れた地平線と水平線のある小島のような大地。ここは…………、裏火星?

 

『察しの通りだよ。桃源ではないが、アンタの故郷と言えば故郷さ』

 

 そんなダーナさんの声に振り向くと、そこには……、えっと、何だろう? 頭身が小さくなったようなダーナさんの姿と言うか、僕でいう「ちび九郎」みたいな風貌をした小さいダーナさんが居た。ちょっと可愛い。

 

『あら? ありがとうねぇ。素直にそう言われると、こっちも素直に返したくなるものだよ』

「へ? 僕、何か言葉に出てましたっけ――――」

『そんなことより、アンタの考えている通りこの姿は式神さ。

 他の連中と違って、アンタは「一番近い」時間軸に居るからねぇ。アタシも下手に分身すると、何かミスしたら「吸収統合」か「対消滅」か「意味喪失」しちまうからねぇ』

「は、はぁ…………?」

『まあ大変なことになるからってだけさ。あんまり気にしなくて良いよ。

 じゃあさて――――』

 

 そう言いながら彼女は僕に何かを投げてきた。受け取った感触から確認しないでも正体がわかった。青い背景の仮契約カード、僕と刀太君のだ。

 

『夕凪は今回、ちょっと取り上げるよ。アンタの基本性能については一通り見たから、次は「本気で」戦ってみると良い』

「本気でって一体何と――――ッ!」

 

 そうこう話してると、地平の果て……というより崖だった? 崖の下から、大型の西洋竜が現れる。姿からして土属性か闇属性か、体躯ははるかに大きく、何よりこっちを威圧する魔力が――――。

 

『害獣駆除さ。期限は一時間くらいにしとこうかねぇ』

「あのダーナ師匠!? これ流石に、今の僕じゃ無理では――――」

『まあ桃源神鳴流でいえば、一般的な剣士でいうと五人がかりで一週間、色々コスい技も使った上でようやくってところかねぇ』

 

 それを今の僕にどうしろと!? 思わず弱音を吐いてしまう僕だったけど、手元のそれを見てはっとする。

 

『気付いたようだね。ま、今のアンタなら頑張れば一時間以内にはどうにかなるだろうさ。

 ちなみに桜咲刹那、アンタが前に戦ったトータの祖母の一人だけど。あの変態女なら、単独で十分くらいかね』

「十分!? 今の僕との間にそれくらい差が………って、へ、ヘンタイオンナ?」

 

 思わず目を丸くして聞き返してしまったけど、師匠が何か言う前にドラゴンのブレスがこちらに吐かれた。

 夕凪がない以上は基本的に素手の技なんだけど、どう考えても僕の習得している技ではあの強固な鱗の内側までダメージを与えることが出来ない。

 

 となれば、方法は一つ――――手元の仮契約カードに魔力を注ぎながら、呪文を唱え。

 

 

 

我が身に秘められし(オステンド・ミア)力よここに(・エッセンシア)――――来たれ(アデアット)!」

 

 

 

ARMOR

・KUROUMARU TOKISAKA

・DIRECTION: East

・GUARDIAN: Eoh

・ASTRAL: Aries

・SYMPARATE: LXXVIII

・EQUIP: SACRED SWORD HINAMORI

・RANK: Numbers of UQ-HOLDER

・P-No: 11

・CODE: 2 0 7 2 1 9 9 3 0 4 0 2

・SECRET:Lightning Sword

 

 

 

 コツをつかんだせいか、こういう時のアーマーカードは外さない。すぐさま全身に展開される魔力の奔流と共に、背中からヒナちゃんを取り出すけど――――あれ?

 

「……何かいつもより、『気』の通りが――――危ないッ」

 

 違和感に少し手元の神刀を見た僕だけど、その一瞬で竜の姿は眼前から消えてブレスが吐かれた――――! 咄嗟に瞬動で回避しようとしたけど、範囲が広すぎるッ! 僕の一歩からの移動範囲でも射程の外に出られない……っ。

 飛行と瞬動を切り替えるにも、普段から使用してる時はどっちかを基準としてた。だからこそ、僕は刀太君ほどには四方八方、自由に飛んだり跳ねたりできない。

 

 結果、服が破れたりと言ったことはなかったけどそれなりに手傷を負って後退せざるを得なかった。再生がまだ追いつかない僕と、そんなこっちを気にせず自由に黒い炎みたいなブレスを吐いてくるドラゴン……。

 

「く…………、贅沢は言ってられない。いつもよりエネルギーが乗らないというのなら、それに合わせた戦い方をするまでっ。

 神鳴流は退魔の剣! 都を、大事な人を護るための力なんだから――――!」

 

 改めてヒナちゃんを構え直し、姿勢制御を飛行に切り替えて。僕はそのままスタートダッシュとして虚空瞬動をした後、流れに身を任せながら斬鉄閃を放った――――。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

『49 分ねぇ。意外と頑張ったじゃないか』

「ま、まさか属性が変わってくるとは、思いませんでした…………」

 

 あの西洋竜…………、というか、どうやら闇の精霊が竜の遺体を利用したある種のドラゴンゾンビみたいなものだったらしいけど、それをどうにか討伐した。

 やっぱり姫名杜(ヒナちゃん)は別格だ。契約執行して戦っていて改めて思う。僕自身がダメージを受けようと、ヒナちゃんは傷一つ負わない。ということは、僕自身がヒナちゃんを使いこなせれば、全ての攻撃を僕に当たらないよう斬り払うことができるはずだ。実際、ドラゴンもヒナちゃんには何一つ効果がないとわかった後は僕本体を集中して狙うようになったし、不意打ちをかまそうとしてきたり。

 むしろ、そのドラゴンの行動のお陰で倒せたと言って良い。死角を取るという行動がワンパターン、というより「普通だったら」一回で死ぬからそれ以上の動きを学習することがなかったということなんだろう。何度か死にかけたことで、僕にも相手の次の動きがわかるようになった。

 

 ただ、それだけだ。

 倒せただけで、それ以上の何かがあったわけじゃない。

 

 そんな僕の感想を、口に出さずともちびダーナ師匠は「その通りさ」と肯定した。

 

『人間基準で考えればそこそこだろうが、不死者が跳梁跋扈する状況と考えればだ。今後を思えば色々心配になるだろう? 自分自身が』

「僕自身が、というよりも―――――」

『近衛刀太を護れないかもしれないことが、かねぇ。やれやれ…………』

 

 ちなみに刹那さんならどう勝つのかと言う話を聞いたら、例の無数の短刀の魔法具(アーティファクト)を飛ばして、そこを足場に瞬動して延々と斬り続けるということらしかった。聞く限り、僕がそれを実現するには全体的な技術が足りない……。

 

『技術が足りない、は不正確さ。足りないのは練度であって、ある程度の技術は共通しているんだから』

「ある程度は共通…………、ということはあの刹那お祖母様は、京都の方?」

『そう、分派だねぇ。いやどっちかといえば、あっちの方が本家になるのかもしれないが。

 ん、なるほど。大体は判った。アンタがまず使いこなすは、その身に宿った力の本質だねぇ。その外付け制御のためにキティが仮契約したってのも納得がいく。ま、まさか神刀「本人が」来るなんて思ってもいなかったろうが』

「本人? えっと、いえ、ヒナちゃんにはいつも助けてもらっているばかりで……」

『勘違いしちゃいけないよ。神刀を介して使っているのは、あの神刀の力だけじゃなくアンタ自身の力でもあるわけさ。『モノは一緒』なんだから、そこの勝手の違いを自分で補えるようにならなきゃいけない』

「勝手の違いを……?」

『まぁ、そうなれば話は早いね。付いてきな』

 

 言うとちびダーナ師匠は空中を唐突に歩き出しスィーって刀太君みたいな動きで滑り始めた。ど、どういうことなんだろう……? 血の匂いとかはしないし、刀太君みたいな血装術で色々やっている訳じゃないんだろうけど。式神の動きでもあそこまで妙に直立姿勢のまま動いたりできないし。

 既に契約執行状態は解除されているので、僕も虚空瞬動で彼女の後を追う。向こうもそこまで急いでいないのか、すぐに追いつくことができた。

 

 しばらく空中を移動してると、空中に真っ黒な結界で覆われた小島が……?

 

「ダーナ師匠、あれは……?」

『十秒くらい前に「作った」アンタ用の特別訓練スペースさ』

「十秒前!?」

『今更そのくらいで驚いてるんじゃないよ。まぁネタバレすると「狭間の世界」から持ってきたっていうのが正解なんだがねぇ』

 

 そのまま影の中に入ってしまうダーナ師匠。うーん、触ろうと手を伸ばしてみても、黒い靄のような何かで構成されていて物理的に阻まれる訳じゃなさそうなんだけど。それはそうとしてちょっと気持ち悪いなあ……。

 でも、どちらにせよこれで刀太君の力になれるなら――――。

 

 勇気を出してその結界の中に踏み込んでみると、そこはただひたすら広大なスペースが広がっていた。砂漠? 砂丘? 赤い砂がさらさらと風で流れていて、空は真っ黒。だけど不思議と視界が遮られていることもなく、何もかもがすっきりとして見えた。

 ちびダーナ師匠が降り立った場所には、真っ白い扉が二つ。僕たちが彼女の拠点へと導かれた、それと外見上は同じもの。

 

『出番だ、出てくるといい「九龍天狗(くりゅうてんぐ)」』

 

「天狗?」

 

 ぎぎ、と扉が開き、中から女性が一人出て来た。桃色の長い髪を背中に垂らし、少し兄様みたいなデザインの白い烏の仮面。背中が大きく開いた巫女さんの服みたいなのを着てて、背中には三対な「光る羽根」。

 

「えっと、こんにちは」

『…………』

 

 降り立った僕の一言に、彼女は仮面越しに視線を細めて、でも軽く会釈を返してくれた。

 

『この空間では、シン・仮契約(ネオパクティオー)カードは使用禁止だ。時坂九郎丸、アンタはそれで、そこの九龍天狗を倒すんだ。

 ――――つまりまず、アンタの修行は自らの力を「屈服」させることからだよ』

「力を屈服……、仮契約カード無しで、僕自身の力を引き出して使いこなせるようにするということですか?」

『大体そんな感じさ。大体は(ヽヽヽ)、ね』

「わかりました。

 えっと…………、僕は素手で、ですか?」

 

 

 

『――――来たれ(アデアット)、天下五剣・三日月宗近ノ(レプリカ) ~城の舞~ 』

 

 

 

 と、ダーナ師匠の方を向いていたから、彼女の声が聞こえたと同時に視界一帯に猛烈な速度で日本刀が刺さった。……十とか百とかそういう規模じゃなかった。砂漠のありとあらゆる場所に刺さった日本刀は、少しソリの強い、しかしかなりの業物と一目でわかる。

 

『武器はその刺さってるのを使いな。ほぼ無限にあるから、夕凪のように破損を心配して使わなくても大丈夫だろう。

 期限は一週間。それでまず、どこまで使えるか確認してみな』

 

 そう言いながらちびダーナさんは姿を消し、次の瞬間あの天狗さんが猛烈な速度で刀を二本とってこちらに襲い掛かり――――ッ!

 とっさに近場にあった一本で受けた瞬間、僕はその衝撃を足場に逃がそうとして――――しかし同時に間欠泉みたいに「岩の柱」が突き上げて、天狗さんもろともバランスを崩して転倒した。

 

 

 

『あ、ちなみに言い忘れていたが、地形は刻一刻と変化するからそのつもりでいな』

「先に言ってくださいよ流石に、それはッ!」『――――――――ッ!』

 

 

 

 一緒に転がされたせいか、無言だったけど天狗さんと僕の気持ちが一つになった気がした。

 

 

 

 

 

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