光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
描写量の調整が中々難しいところありますね、この修行編第一弾…


ST165.視点は遍在する

ST165.Ubiquitous Doctrine

 

 

 

 

 

「うわああああああ?! な、何だァこりゃ! とと、とりあえずえっと、オステンド、ミア、エエッセンシア――――来たれ(アデアット)!」

「ちょっとー!? 追いかけるのタイヘンなんだけどー!」

 

 

 

ARMOR

・SANTA SASAKI

・DIRECTION:West

・GUARDIAN: Eoh

・ASTRAL: Aries

・SYMPARATE: LXXXIX

・EQUIP: wAMIGA・SCEPTRUM VIRTUALE

・RANK: Numbers of UQ-HOLDER

・P-No: 12

・CODE: 2 0 6 5 1 9 9 2 0 3 2 7

・SECRET: Hero pprentice ghost

 

 

 

 何か真っ暗なところに投げ出されたオレは、思わず仮契約カードを起動した。……あー、アレアレ、刀太から言われてやった、小夜子とのアレ。

 短くした髪が逆立ってちょっと伸びて、なんか学ラン風の衣装に身を包んで…………。承○郎をなんか少しオレ用にアレンジしたみたいな恰好になったのと同時に、魔法少女でも使ってそうなステッキとパソコンの魔法具(アーティファクト)がそれぞれ両腕に来た。右手に杖、左手にPCを盾みたいにしてて、外見的にナンジャコリャって感じになった。

 そんな俺が着地したところは…………、なんかめっちゃフワフワ地面の破片みたいなのが浮いてるところだ。何だよ異次元? 周囲を見回す余裕がまだちょっとあったけど、なんだかずーっと空気が悪いっていうか、全然「補填されない」感じがする。

 

 小夜子が取り込まれたアレを退治して以降は、流石にオレも自分がユーレーだってのを受け入れた。だから霊としての力を使った後に、自分から抜け出ていく何かと、周りから取り込んでいく何かがあるのを理解したんだけど。

 

「ずっと出っ放し……? 毒状態受けて、一歩歩くごとにHP減っていくみたいな?

 上下左右の感覚もわからねェし、何だここ?」

 

 そんな風に軽く見ていたせいか、背後から突然現れた巨大な蜘蛛の前足で、俺の胸は貫かれた――――。

 

「――――ぁ! オイオイ!」

 

 その場で霊体のエネルギーが集中している核の部分を潰されたせいで消滅した俺だけど、前に作っておいた魔法アプリ「緊急蘇生」が発動した。攻撃してきた蜘蛛の身体から魔力を奪い取って、その蜘蛛の背後に再生、っていうかリスポーン?

 前、刀太を小さくしちまった後の訓練で、九郎丸に普通に斬られたから命惜しさに作った技だったけど、作っといてよかった……! いやマジで死ぬかと思った!

 

「何でオレ霊体だってのに、直接攻撃とかしてくるんだコイツ等ァ!?

 えーっと、炎の『処刑者の剣(エクスキューショナーソード)』!」

 

 ステッキ型の魔法具(アーティファクト)「力の王笏」にアプリを展開する。周囲の気流に火を発生させる魔法と、それを集めて剣型にする魔法と、あと「断罪」って属性を付与する魔法。雪姫サマ、つーか刀太の母ちゃんに教わったこれを作り出して、オレに襲い掛かってきたやつを斬る。

 ……でも、前足だけじゃねーか。蜘蛛は余裕そうな感じで後退する。後を追おうと足を進めると、急に周囲四方八方から「捕獲ネット」みたいなものが降ってきた――――!?

 たまらず実体を幽体にして、物理的な干渉だけをかいくぐって後ろに下がる。

 

 うわぁ………………、うじゃうじゃ湧いて来てる。どっから来たんだあの蜘蛛たち……。

 

「いや、何だこれ、個別メニューとか言ってたけどこんな気持ち悪ィやつらと戦わないといけねェのか……?」

 

 

 

「――――まぁアンタの場合はとにかく数をこなさないといけないからねぇ。せいぜい格上にもまれるんだ」

 

 

 

 動揺していたオレだったけど、背後から声をかけられた。振り返ると…………、えっと、俺よりちょっと小さいくらいのダーナ師匠さん? えっ、何それイメチェン? じゃねェか……。何だそれ。

 

「まぁ『違う時間軸から来た』アタシ本人だと思っておけば問題ないよ。あんまり話すようなことでもないし、アンタは特にそういうヤヤコシイ話に全然関係ないやつだから、気になったら数日後にトータに聞くと良いさ」

「あ、そうッスか…………。って、格上?」

「そうさ? あの大蜘蛛たちは、不死者や霊体を喰らいその魔力を体内で溶かして生活するタイプの化け物。『魔術的に』同一の肉体を再生するタイプ、つまりトータとかだが、ああいうのが腕でも食われたら三十年は戻ってこないって寸法さ」

 

 アンタの場合は全体の霊力から削られていく話だねぇ、ってダーナ師匠さんは、ちょっといじめっこみたいな顔して言う。

 って、意味わかんねーんだけど!?

 

「べ、別にオレそこまで強くなるって必要も無ェだろうし……、そーゆーのは刀太たちがメインで、俺サポートすればいいし――――」

「何を、稀代の死霊術師たる水無瀬小夜子の最高傑作たるアンタがそんな自分で適当なこと抜かしてるのさ。むしろアンタは最前線でガンガン殴り合うようなレベルで調整されてるんだ、自分の能力をもっと正しく把握しな」

「えっマジで?」

「マジもマジ」

「ガチ?」

「がっつりガチガチ」

 

 実際対策とれるまでトータたちもロクに戦えてなかったろう、ってダーナ師匠ちゃんは俺に指をつきつける。

 

「とりあえずアンタ自身の能力についてもそうだが、とっさに魔法具(アーティファクト)を取り出したってのは正解だねぇ。こういう場合、ちゃんと『スカ』とか『コスプレ』にはならないよう因果律が調整されてるから、よっぽどのポカをやらかさない限りはアーマーが出るって判断で、しっかり呼び出したって言うのは才能あるよ。

 世が世ならPALADIN(パラディン)的な才能といったら良いかねぇ」

 

 な、何でパラディン? と。俺が聞くとダーナ師匠さんは「あれ知らないかい? ドラゴンシールドとか、アトラクター! とか。雑魚戦には全然使えなかったが」って、やっぱり訳わからねェこと言ってきた。

 

「そもそも水無瀬小夜子や自分のような存在を生まないためって、決意したんだろう? そう消極的でいいもんかって思うがねぇ」

「だ、だって…………」

「力不足を嘆くのも、話の渦中に居られないのも仕方ない所は有るかもしれないが、それを言ったら真壁源五郎とかどうするんだい。中身がずっと中学二年生のまま、何度も何度も力不足で痛い思い悲しい思いしてきて今の立ち位置があるっていうのに。

 その点で言えば飴屋一空とかもアンタと一緒で、ちょっと色々気を付けないといけないと思うがねぇ」

 

 まあ確かに只の修行で格上に殺され続けろじゃあ世話ないかね、と。そんなこと言いながらダーナ師匠さんは、空中に手を伸ばして――――――――え? あ、あのー、何かぐに、っていうか、ぐぃぃぃい、っていうか、空間ひずんでないッスかね?

 

 

 

「あっ! ちょっと痛い痛い、一体何をするつもり――――きゃんッ!? 本当に痛い!!?

さ、小夜子!?

 

 

 

 ぺしん、って蠅でも叩き落とすみたいな手の動きをして、その場にはなんか普通に、本当にフツーに小夜子が、水無瀬小夜子がいた。服装はなんか白いセーラー服みたいになってっけど……。

 えっっと…………!? い、いや、えっと何でだってば!

 どういうことだ、まるで意味わからねェぞッ!?

 

「神サマっていうのは、こっちの(レイヤー)の外から動いている分には『遍在する』存在だからねぇ。それこそアタシみたいなのになれば、『成仏してなければ』チョチョイのチョイでどうにかなるってものさ。

 わざわざ佐々木三太に()いてきたってことは、暇なんだろう? 少し付き合いな。話はどうせ全部聞いていただろうし、『強制成仏を遮断させた』くらいなんだから」

「そ、そんなこと言っちゃうの乙女のプライバシー的にどうかって思うんですけどー!」

「プライバシー気にする奴がそんなこと言ってるんじゃないよ。まあアタシとしちゃ、アンタにしてもらいたいのは…………」

「…………へ? あー、えっと、出来なくはないけど、あんまりやりたくないって言うか――――」

「やってくれたら後で佐々木三太とデートさせてやるよ、『固定するための』道具くらいは持ち合わせがあるからねぇ」

「やります! やらせてくださぃ!」

 

 尻もちをついてた小夜子は立ち上がってそう食い気味にダーナ師匠さんに言うと、俺の方に来て…………。やっべぇ、なんか全然顔合わせてなかったから何言ったらいいか全然わからねェ……。

 そんな俺の手を引いて立ち上がらせると、次の瞬間には「抱き着いてきて」、唇を――――。

 

 !!?!?!?!?!!!?

 

 

「……ぷ、はぁ。えっと、久しぶり? 三太くん」

「は、はァ!? な、何やってんだお前ちょっと意味わかんねーから!?」

「ドーテイみたいな反応して、どうしたの?」

「経験ないだろ当たり前だろ! というかお前だって処女じゃねーか!」

「あー、うん、まぁそうなんだけどね…………」

 

 まあコイビト同士ならこれくらい当たり前じゃない? と。少し照れた小夜子。だけどちょっと待て、なんとなく夏凜さんを思い出すその勢いでなんかぶっちぎろうとしてる感じを受けるんだけど……?

 

 少し待ってて、と言うと。小夜子は俺から距離を取り。

 

「――――来たれ(アデアット)

 

・SAYOKO MINASE

・DIRECTION: West

・GUARDIAN: Othala

・ASTRAL: Gemini

・SYMPARATE: LXXXIX

・EQUIP: "MIRROR" Second of Trinity

・RANK: Priestess of HIRUKO

・P-No: 72

・CODE: 1 9 8 8 1 9 9 1 0 5 2 9 

・SECRET: Goddess of Death

 

 次の瞬間、小夜子が前に見たことのある十二単な姿になって、そして手元の小さい鏡を上に掲げた。

 

「アルエル・ファルエル・ベルベット――――戦いの歌(カントゥス・ベラークス)!」

「へ? 魔法…………、って、おおおおお!?」

 

 突然、小夜子の鏡を使っての魔法発動と同時に。俺だけじゃない、周囲で様子を伺っていた蜘蛛共も、全身から魔力の光が上った。

 

「な、何やってんだよお前ェ!?」

「ごめんね、三太君。ちょっとダーナさんに言われて、お手伝いかなー。でもこれもすべては三太君のため…………、具体的には二泊三日の温泉旅行のため!」 

「いやそこまでやってやるとは言ってないんだがねぇ……。まあともかく、『襲われながら』魔法アプリの開発を並行できるくらいには、頑張りな」

「何その無茶ぶりィ!」

 

 そんな謎の勢いのまま、小夜子に強化された大蜘蛛に襲われ続けるオレだった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「…………む、むぅー! あー、もうッ! わっかんないわヨ! わーかーんーなーいー! に゛ゃああああああああんッ!」

 

「だらしがないねぇ桜雨キリヱ」

 

 何がだらしないヨっ! 思わずキレてその辺にあったDVDのケースを投げつけると、魔女さんは「まだたったの八時間連続上映じゃないかい」とか言って軽くキャッチした。

 場所はあれからずっと変わらないんだけど、その間何をやっていたかって言えば椅子に縛り付けられるくらいのノリで、ずーっと映画見させられてるのよ! 確かに映画自体はちょっと面白いんだけど、こんなの見せ続けられてもいい加減ちょっと頭が疲れて来るんですけど!

 

「ちゃんと食事だってあげてるし、ポップコーンにコーラだってあげてるし、トイレ休憩やストレッチの時間だって確保してるんだ。なのに何を嫌がってるってんだい」

「映画の種類が多すぎヨ! っていうより、なんでノンストップで映画なの全然意味わかんない! わーかーんーなーいー!」

「アンタの生年世界から考えて、ホモサピエンスが生まれるよりも長い時間経験してるアンタがそう幼女みたいなこと言ってもねぇ……」

「うがあああああああッ!」

「でもまぁ、不死身以外は普通だって自負がある割に投げ出さない根性は認めてやるよ。アタシがいい加減にこの映画を見せてる理由の説明をはぐらかし続けて、限界がきたから文句言ってるってのは、理解してやらんでもないからねぇ」

「だったら早い所教えてくださいヨッ!」

「教えてやってもいいが、概念だけ説明されても意味わからないと思うがねぇ。まあ能力を理解するには、感覚から入った方が解りやすいとは思うけど」

 

 って、気が付くとさっき投げたケース含めて乱雑に散らかってた映像媒体の関係は、綺麗に整理整頓されて机の上に積まれてて。魔女さんはそのまま、私の目を見て何かを納得するみたいに頷いたわ。

 

「ま、最初に理屈の方を知りたいって言うのなら、映画は後に回すとしても教えてやろうじゃないか。議題は毎回変えるとするけど…………、そうだねぇ。アンタの上書きの理屈を教えてやろうじゃないか」

「上書き?」

「そうさ。基本的に時間改変っていうのは『未来に軸がない』存在が過去に干渉すると、その時点から移ってきた奴の軸のせいで『分岐点が発生し』、そのまま水流になっちまうんだ。これを便宜上『線』と表現するが、この線そのものは、実は一つじゃない。知ってるかい?」

「パラレルワールド、ってやつよね。世界線とか、P・A・L☆ザ・コミックマスター(コミマス)の漫画とかでも見るし」

「わかってるならその辺の話は割愛するよ。今は時代が時代だから、検索かけろといっても無理だったからねぇ」

 

 過去に飛ばされたという話だから、確かにネットも全然繋がらないし無理よね。せいぜい百科事典アプリを動かすくらいなんだけど……、それだって世界線とかそういうSF用語っぽいのは載ってないし。

 

「このパラレルワールドは、何もすべてが自動発生してるってわけじゃないが、基本的には『そうある』だけで遍在するもの。『外に視点を持っていれば』わかるが、ねずみ算式というよりは木の幹みたいな感じにも見える。端的に言えば『分岐しうる』という可能性が発生した時点で、その全ては並行して存在するんだ。

 ただ宇宙っていうのは『一応は』物質世界、つまり熱力学第二法則、エントロピーとして不可逆的にエネルギーを消費し続けているという制限からは逃れられない。だから線にも太さってものがあるし、上下関係や優先度っていうのがある。

 どこかの異星の神とかは『本線』やら『分岐』と表現して、その優先順位に説明をつけていたが、まあアンタには大きく関係はない。そういうもんだって覚えておきな」

「本線……ってそれより、異星の神?」

「ああ、異星の神」

「なにそれ」

「さぁ?」

「さぁって…………」

「知ったら間違いなくSANチェック不可避(正気を失うこと請け合い)だからねぇ。いわゆる『ラスボス』なんて生物としてのグレードから違うから全然、目じゃないよ。

 まあこの世界線でも、もっともっと先の歴史まで『たどり着ければ』関係してくるかもしれないから、伏線とは言えない程度の伏線として覚えておきな」

 

 銀河連邦とか言われたって意味不明だろって魔女さん。なんか意味わかんないけど、無茶なこと言われてるって事だけはわかるわ。

 

「まあだから、見方を変えれば未来人が過去に介入するって言う時間改変は、この可能性の幹をさらに増やす行為にほかならない。しかも本人が自覚的に色々やるもんだから、内容がしっちゃかめっちゃかになっちまう。『エネルギーが』本来そこの上の幹を支えている以上に使われてやせ細っちまう。

 その先に『詰みの歴史』なんて作ろうものなら、宇宙規模での生命エネルギー利用可能総量がそれはもう酷い事になるからもうそりゃアタシのところで徹底的にしょっ引いてオシオキ不可避になるのも当然って言えば当然さぁ」

「えっと…………?」

「ちなみにアンタがやらかしかけてたのは、未来どん詰まりにならないくせにその木の幹を爆発させるような行為だからね。ちゃんと反省してるようだから『罰則までは』与えないが…………」

「に゛ゃんッ!?」

 

 流し目みたいな視線に寒気を感じた私に、大丈夫大丈夫とニヤニヤ笑う魔女さんは美人なぶん、あっちのデラックスな感じの魔女さんよりも怖い。ずっと怖い。

 後ずさる私に「そういうのはしなくても大丈夫だって、あっちのアタシより短気じゃないから」とか意味わかんないこと言ってきたわ。

 

「…………話を戻すが。アンタに最初見せた映画シリーズの、1.21 ジゴワットで車改造して過去未来に行ったり来たりする映画のそれが一番近いかねぇ」

「ど、どういうことヨ……?」

「描写上、当時はまだ『パラレルワールド概念』にそこまで踏み込んじゃいなかったっていうのもあるかもしれないが、時間は基本的に『観測者に対して』『相対的に』流れていたろう? 改変した時間に対して、世界そのものが変わっている――――よくある古典的なタイムマシンものって言ったらいいかねぇ」

 

 ただアンタ視点ではまさにそうだろう、と魔女さんは言う。

 

「アンタの観測していないところで世界は当然のように勝手に回って動いているが、それはそうとしてアンタにとって世界って言うのは相対的、アンタを基準としてしか回っていない」

「…………えっと、それって普通当たり前なんじゃないのヨ? 普通、人間って生きてるときはそういうものじゃない? 私の能力とか関係なく」

「ところが時間関係能力を持っている奴っていうのは、ドイツもコイツも面倒がすぎるんだよ。今、トータがそれになりかかってるかねぇ」

 

 あのちゅーにが? って聞いた私に、良い機会だから言っておいてやるがってダーナさん。

 

「さっきも言ったが、この宇宙は物理世界である以上、エネルギーってのは使えば消費されていくものなんだ。とすると時間逆行っていうのは、相当なレベルで本来はエネルギーを使用する能力に他ならない。固有能力としてアンタみたいに、ほぼノーリスクで使えるって方がはっきり言えば異常なんだよ」

「そ、そんなこと言われてどう答えたら良いのヨ、私……」

「だが、アンタのあのレベル2だ。アレはちょっと違う。アンタ『だけの』能力では絶対ありえないんだ。もしアンタが研鑽を積み続ければいずれその域にたどり着いたかもしれないが、その大本になったものが何であるか――――それを使用するために何がトリガーになったかってことは、今ちょっとだけ考えてみな?」

 

 ちょうどあっちのアタシがトータ相手にはぐらかしてるところだろうしって言われて。……話の流れ的に、どういう顔したら良いかわかんなくなっちゃった。

 

「…………どう考えてもトータが、あのレベル2の覚醒? に関係してるってことよね。それってどういう――――」

「アイツだけじゃない、他の連中にもナイショだがねぇ。アイツの不死性に使用されているエネルギーは、『とある惑星』の核を中心として魔術的に周辺のエントロピーを吸収し、生命エネルギーに転化するという術式から来てる。

 こう言うと判りやすいかい? ――――『意図せずだが』『宇宙全体に干渉している』のがトータやキティの魂だ。

「――――――――」

 

 嗚呼、そうなんだ、と。言われて少し腑に落ちちゃった。

 

「…………そうなんだ。だから……、『刀太の魂が』私と一緒にいたから、いたままずっと周回し続けたから、なんかよくわからないけど使えるようになったってことよね」

「しいて言えば『近い所にいて』『無意識に色々なものを観測し』『学習してしまったから』使えるようになってしまった、が正解かねぇ。その魂が、巻き込んでいるエネルギーを、一体何に使用しているか、という理屈になってくるんだが。

 お陰で桜雨キリヱ、アンタは自覚なく『遍在する視点』――――水無瀬小夜子なんかが今、祀り上げられちまった『神の視点』って位置に近い所にいるんだよ」

 

 そのことは忘れないようにしながら話を聞きな、って。魔女さんのその言葉が頭に入らないくらい、私は、なんか不思議と気分が高揚してた。

 

 

 ――――今は使えないけど、結果的にだけど、あの力は刀太がくれたものだって。

 

 

 それだけで、胸がほっこりするくらい、ちょっと自分のチョロさが恥ずかしかったりした。

 

 

 

 

 

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