チャン刀ちょっとキモいの注意・・・、これでも削った(言い訳)
ST170.Training Of Empathy Ability
「えっと……、大河内アキラです。よろしく…………(ネギくんよりはヤンチャそうだなぁ。……けっこう可愛い)」
「あー、
「うん。…………おや、神楽坂? えっと、古風な名前なんだね」
「えっ? あー、確かに言われてみると確かに。映画とかに出てきそうだし。……」※む、無意識で向けられるスマイルに照れている。
「クス、どうしたんだ? キクチヨ君」
「ひぅ!?」
「ちょ、ちょっと本当にどうしたのか? 熱でもあるわけでは、ないよね多分」
そりゃあ最推しの彼女にそんな年上のお姉さんが子供の面倒を見るような距離感で迫られたら色々情緒壊れる(断言)。心配そうにこちらに歩み寄ってくる大河内アキラに「大丈夫だから」と制しながら深呼吸。悪いがこれ以上接近を許したら心拍数がぶっ壊れて死ぬ(断言)。そういうのはもうちょっと慣れてからするべきだ。あと背後からの九龍天狗の微妙な視線をやめさせてもらえませんかねぇ師匠(遠目)。
さて。万が一にもないだろうが、超をはじめ彼女まで出て来てしまっては「ネギま!」時代へ私がタイムスリップするようなガバの発生も懸念しないといけないだろう(震え声)。ということで、女子高生な大河内アキラに対して私はこちらの名前を名乗ることにした。万一彼女の口から、あちら側へ「近衛刀太」という名前が漏れることも問題だが、そもそも彼女がどういった時空からこちらに呼ばれているのかすら定かではないので、出来得る限りUQホルダーの情報は与えるべからず、というわけである。
水無瀬小夜子の時も思ったが、世の中こう妙にデリケートなバランスで物事が成り立っている場合も多い。師匠のことだからそのあたり上手くやっているのだと仮定しても、情報の取り扱いは慎重に、である。……キリヱループ一周目の私ですらガバやらかすくらいなのだからそこは当然の警戒だった。
では一呼吸置いて、改めて。目の前の大河内アキラを中々直視しづらいものがあるのだが(眩しすぎて死ぬ)、本来この世界に生まれただけでは絶対に有り得なかったろう奇跡の一つである。ここはその奇跡にあやかって、しかし不審がられないように気を付けながら観察しよう。
こちらの反応を見て心配そうにしていたが、私の表情を見てとりあえず安堵する可愛い(可愛い)。少しおっとりしたように見えて自分の芯を強く持ち、それ故に実は周囲から一歩引いて観察していたり意見を出したりすることが多かった彼女である。魔法世界編を経験した結果、意見を表出することに自信がついたのか、その芯の周囲を思いやる部分が強く出た後半以降、そのままの大河内アキラであることが表情やら動きで判断できた。つまり物凄い気恥ずかしい。何故か知らないが視線もどこか好意的であるし、これはネギぼーず同様に私も子ども判定を受けたという所か。にぱぁ♡ とでもいうようなアニメ版「UQ HOLDER!」冒頭の過去映像にあったそれを猛烈に思い出す安堵の笑みである。
また彼女だが、基本的にメディアでのアイテム化の場合高確率で制服か水着かに集約される彼女だが(ごくまれに仮契約コス)、その例にもれず制服姿だ。ただしついさっき考えた通りに高校の。ベースは中学の制服だが全体のデザインラインやら色の強さは夏凜が着用しているそれに近い。確か原作だと中学での制服だったはずなので、この世界では中高共用の代物ということなのだろう。つまり彼女の進学先は夏凜が通っていたところの系列である可能性が高いとみるべきか、あるいは「作画コストを減らすために」同じデザインのものにわざわざしたか(メタ)。ただ明らかに身長は私や夏凜よりもはるかに大きく、その分すらっと、しかし引き締まってグラマラスに見える。身長はひょっとしたら 180 センチまでいっているかもしれない分、より体形のメリハリが協調されている。運動部らしく華奢ということはなく、しかしゴテゴテと筋肉を魅せるような鍛え方ではないのは彼女なりに気を遣っているのだろうか、服の上からわかる情報としてはそんなところ…………、いやスカートはもっと膝まで降ろせ短い、ドキドキしちゃうだろ(戒め)。
「えっと、凄い見られてる……?」
「――――ハッ!? あっスミマセン、ぶしつけでした……」
「まぁ許してやりな、大河内アキラ。そこのキクチヨは、アンタみたいなのがモロにタイプだからねぇ。色々混乱してるのさ」
おい馬鹿止めろマジで止めろ一体何がどうなってそんな話を本人に提供するなんてガバやらかしてるんスかねぇお師匠様よォ!!?
内心の口調がちょっと三太めいてしまう私はともかく、大河内さんは「えっと、はぁ……」といまいち要領を得ていないリアクションである。意外とそういうのに疎いのだろうか。周囲には気を配ってる分、自分にはあまりそういう気を回していない………………、ネギぼーずとの仮契約の流れがまさにそれだったか。
「要は一目惚れみたいなもんだねぇ。ちなみに性格もアンタみたいなのがタイプだから、まぁせいぜい揶揄ってやりな」
「えっ!!?」
「いや流石にそれはアウト! 何考えてるんだお師匠ォ!」
なおそんなことで逃がしてくれるダーナ師匠ではない模様。私の内心の動揺やら早口やらを察しているのか、それはそれは珍獣でも見るような随分とお愉しそうな笑顔でいらっしゃられますね(震え声)。
案の定というか、大河内さんは大河内さんで顔を真っ赤にして「えぇ……」と引いているわけではないが困惑しきりであった。いやそんなこと言われたってこっちもリアクションとれないので真面目に止めてもらいたいのだが(震え声)。というか彼女の配偶者については原作で欠片も言及されていないとはいえ、流石にここで何かしら妙はフラグが建つこともないだろうというのは、流石に予想してしかるべきである。こんな風に登場させる以上は師匠的に私たちの間にフラグは発生しないと見込んでいるのだろう。でないとそれこそ訴訟ものだ。
「カモくんみたいな揶揄いとかじゃなくって、す、す、ストレートにそんなこと言われたのは、初めてだ……」
「そうッスか(震え声)」
もっともあのリアクション具合なら、子供扱いの域は出ていないからこれはセーフ! セーフである誰が何と言おうとセーフッ!
とりあえず話にならないのでその話は置いておこうと彼女に一言断って(猛烈な速度で首肯を繰り返していた)、改めて師匠に話を進めてくれと言う。「もうちょっと遊んでいても構わないんだがねぇ、せっかく『最推し』なんだから」とか余計な気を回した人ことを言ってきた彼女を軽く睨みつけるが、どこ吹く風で「一生に一度あるか無いかのイベントだっていうのにねぇ」とか言ってきた。いやこちらとしても内心はだいぶ浮足立っているが、それ以前に今までの好感度ガバ関係だの夏凜だの何だの色々突っ込まれまくった結果既にキャパオーバーである。うっかり「好きです結婚してくださいッ!」とか口走らないために色々と胃が痛いのだ。我ながら情動がストレートすぎて気持ち悪いが仕方ない。
「え、えっと……、何かこう、ごめんね」
「いや、問題ないッスから大河内さんは…………」
ただまぁ一つだけ言えるのは。
この世界に生まれて来たとしても、絶対にありえなかった邂逅ということで。それはつまり、せっかく「ネギま!」世界に生まれたとしても物理的に不可能な遭遇でもあるということなのだ。
そこだけは内心、師匠に少し感謝しながら…………、でもこの後彼女と戦わないといけないのかという事実に、軽く戦慄せざるを得なかった。
※ ※ ※
『
大河内アキラについて……、いやもはや散々今まで名前とか容姿とかだけは愚痴ってきていたが、まあ「私」の最推しである(断言)。とはいえその「私」というのも一体何がどこからどこまでを「私」と規定して考えて良いのか分からなくなって来たがまあ、「受け入れてもらえた」のだから、そこは一度考えないことにしても良いだろう。
話を戻す。大河内アキラ。漢字で書けばおそらく大河内 晶となる。言わずと知れた「ネギま!」31人のクラスメイトの一人で、水泳部所属な期待のホープだ。原作前半期においては口数少なく声も小さく、しかし周りをよく見て気遣える可愛い人であった。好き。
そんな彼女は原作初期からちょこちょこ登場しており(ちなみに最初に「ネギぼーず」とネギ・スプリングフィールドを呼んだのも確か彼女だったはずであり、私はそれにあやかってネギぼーずと呼称している)、画面の隅に描かれたり、あるいはセリフやら運動部としての活躍やら、案外ネギぼーずのことを「可愛い」と思っていたりというような描写が多かった。このあたり「ラブひな」の
そこでの彼女は、色々あって商売奴隷(えっちな意味ではない、はず)とされてしまったり、慣れない風習やら知り合いのほとんどいない環境で揉まれたせいか、控えめだった部分がだいぶ消し飛び、持ち前の優しさと芯の強さ、お姉さんらしさが全面に押し出されたそれはそれは大変に素晴らしいお人へと開花した(断言)。それでいて自覚なくちゃっかりした発言をたまーにすることもあって、全体的に
さて、そんな彼女の戦闘力であるが…………。「ネギま!」においては最後のネギぼーずとの仮契約者であり、
つまりは彼女もまた、水を経由した転移能力者であるといえる。加えて…………、おや? 何やら水着のデザインに困惑しているご様子だ。基本的に、仮契約カードの衣装はデフォルト以外は任意設定のはずなのだが、意図的でないのか? 開き直ったのか隠さなくなったが、それにしたってプルプル震えている。
「ご、ごめん。やり辛いよねこの格好だと…………」
「まあ確かにそうなんスけど……、そもそも何でその水着?」
「それは――――」
どうやら新しい水着を新調しに行こうとしたとき、
「いやでも、ちゃんとした水着も買ったんスよね?」
「か、カードにもそう設定してあったはずなんだけど、おかしいなぁ……」
と、なんとなく師匠の方を見ると、ニヤニヤしながらも視線を少し逸らした。これは確定ッスねぇ、騙るまでもなく犯人が落ちた(断定)。
さてどう問い詰めるものか、と思いはしたが、師匠は「まあそこは安心するんだねぇ」と言い訳をかましてきた。いや、言い訳というよりは正当な理由なのかもしれないが。
「そっちの方がアンタ的にはちゃんと修行になるだろう。それとも? ぽろりした方が元気になってやる気になるかねぇ」
「ひッ!?」
「いや完全にどうなんスかその発言……。というか全然そんな気はないんで、怖がらないで、怖がらないで、傷つくッス」
「え? あ、ご、ごめんなさいだ。…………やっぱりこう、一筋縄じゃ行かない人みたいだね」
いくらエヴァンジェリンさん経由でのアルバイト紹介とは言え、と大河内アキラは深呼吸して気を引き締める。…………ただ左手が胸元に添えられたままなので、これはどう考えても私というか師匠の発言を警戒してのものだろう。嫌われているわけではないが、一般的な女子としてそれくらいの防御姿勢はむしろ安心する。好き(挨拶)。
「いくら頭の中とはいえ、好き好き言いすぎじゃないのかいアンタ……」
「あの今回ばかりは本当にお師匠が色々言う権利ないと思うんスよ。
で、えーっと…………、結局は殴り合い、でしたっけ?」
黒棒を構えながら確認。折れたその刀に不思議そうに「大丈夫?」と聞いてくる感じが本当に初対面だというのに普通に心配してもらっている感じがして非常に安心感がある。好き(挨拶)。
そんな私の内心はともかく、嗚呼、と言いながらお師匠は私と大河内さんをそれぞれ指さし、そのまま空へと向けた。天気が…………、曇ってきた? いや、室内だろうそれはいくら何でもおかしい。おかしいのだが、師匠がやらかしてることなのでこのくらいの不条理わけないという確信もあって実に嫌な感じである。
「とりあえず今日から数日間、キクチヨとアキラには殴り合いをしてもらうよ。そこのキクチヨは『桜咲刹那の剣術』ではないが、それと戦えるくらいの実力は持っている。そんなキクチヨに、お前のその事実上『瞬間移動するタイプの』魔法具での戦い方を覚えさせたいんだ」
「瞬間移動するタイプですか。といっても、あの、ダーナさん? 私のこれって、確かカモくん曰く、移動するのに色々制約が…………」
「そこは心配しなくても良いよ。ホラ――――」
言った瞬間、頭上からいきなり「バケツをひっくり返したような速度と量で」猛烈に雨粒が降り注いだ。一瞬、滝のように、その後は大雨洪水警報が出るレベルでザーザー振りである。和服も下着も濡れ濡れであり、ちょっと気持ち悪い……。対する大河内アキラは恰好が格好なので全然余裕そうだが、いきなりの衝撃にびっくりして少しバランスを崩していた。わざわざ私が駆け寄るほどのふら付きでは無かったが、しかしむしろ私の方に「大丈夫か?」と声をかけてくるのはどういうことなのだろう。一回二回くらいならともかく、わざわざ何度もとなるとこれは…………。
段々と雨が弱まっていくが、見る限り体育館もどきなコロッセオもどき、そのいたるところに水たまりが出来、なんならそれでも雨はやむ気配はない。
「これならいくらでも転移できるだろう?」
なお犯人たる師匠は傘すらささず「一切濡れていない」。雨の方がまるで彼女を避けるかのように「歪んで」降り注いでおり、このあたり能力のお陰と言われればそれまでだが、微妙な理不尽さを感じた。
「じゃあ、始めようか。基本的にそこのキクチヨは雇用条件にあった通り『死なない』から、自由にぶん殴ってやりな」
「ちょっとなんか私の扱い雑じゃないか師匠ッ!?」
「えっと、いいのかなぁ…………。と、とりあえずお試しってことで――――」
言いながら大河内さんはそのまま空中にジャンプ! それと同時に彼女の身体に当たった水の礫の群に吸い込まれるように姿が掻き消える。ディーヴァのように「水そのものを」操作してこないだけまだマシといえるが――――――――。
「――――えいやッ!」
「はいィィっ!?」
か、身体の反応が微妙に追いつかなかった。「嫌な感覚」自体は四方八方に点在している状態から、一気に正面に収束したとはいえ、そこから黒棒を構えて受け流す動作が間に合わない。出現したん時点で、大河内アキラは既に「拳を振りかぶり」「突き出す途中で」現れている。こちらの想定よりも1、2テンポほど動作が早く、こちらが遅れてしまうのだ。
お陰で受け流しきれず、生身の状態のまま吹き飛ばされるに至る。転がり、わずかに口の中を切った。もっともこの程度では「金星の黒」もロクに仕事をしないのか、血装術の準備すらままならないと来ている。
と、体勢を立て直そうとした次の瞬間、「鼻先数センチのところに」彼女の拳が――――。
「――――やッ! っと。………………って、あれ? ちょっと!? 大丈夫か君! しっかり、えっと、キクチヨ君?」
……何と言うかこう、いいように大河内アキラの「力持ちパンチ」をモロに喰らってしまった。人中が痛い。痛いのだが、しかしこれでもまだ「扉」との繋がりを掴めるほどにエネルギーの引き出しは行われず、再生も常人のそれよりははるかに早いが「普段ほど」ではない。
どうやら思いの他…………、どころの騒ぎではない。「死天化壮」が使えないというこの状況、私自身が思っているよりもだいぶ危険な状態であるらしい。スラムの時はほぼ意識していなかったが、それこそ内血装すら使えない状況で今の戦闘力となると。「認識した瞬間に」防御できる死天化壮もなく、「遠距離へ高速移動できる」活歩を扱えないとなると…………。
「あー、鼻血が…………。ちょっと止まるまで待ってください。
で師匠? もしかしてなのだが『剣術と勘だけで』どうにかしろと?」
「ちょっと違うんだが、まぁ『気付く』まではその理解でも構わないねぇ」
降りしきる雨の中、鼻を横から押さえて血を押さえようとしてる私と、やれやれと言わんばかりに肩をすくめる師匠。そんな私たちの間を、顔を赤くして「ほ、本当に大丈夫かな、あの子……?」と何やら逡巡しているらしい大河内アキラ。
一言、いわせてもらいたい。何だこの状況(白目)。