光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ
今回は合流回?


ST175.積み上げるもの

ST175.Type Of Strength At Others

 

 

 

 

 

 回復しないまでも、最低限何かを把握できるようになった視界…………、こちらに向けて繰り出される動きが功夫なんだか少林寺なんだか八極拳なんだかその区別はできていないが、それでも「ごめんなさい、キクチヨ君……!」という涙ながらのような複雑な感情のこもった拳の動きに、私は正面から受け止めることで対応した。

 一歩下がりながら掌を拳の先に構え、直線で打ち込まれた一撃を受け止める。触覚はあるので拳の握り方が甘い事や踏み込みに力が然程入っていないこと、相手に困惑の文字が浮かんだのを確認できて、なんとも気持ち悪い。

 個人的には睡魔に襲われながら運転していた時や、職場のデスクでうとうとしながらキーボードを叩いている時、あるいは朝うつらうつらしながら朝食の準備をしつつテレビのニュースを見ている時を思い出させる。

 あ、ちなみに全部「本当は寝ていたのに」「脳が動いている夢を見せていた」状態である。運転は居眠り運転で恐ろしいことに目を閉じていても眼前の状況が「なんとなくわかっていた」(※わかっていない)状態だったし、職場では昼休憩から三十分眠ってしまって危うく会議に遅れる所だったし、朝食の方は普通に遅刻した(というか同居していた彼女も寝過ごしていた)。

 

 なお文字と表現したが実際はもっとフワフワした、感情? のようなものが視覚的に判る形で固まっているようなもので、ダイレクトに視界に「浮いて」いるように見えている。名状しがたい絵面であるし、これについては本当何なんだろうねこれはという感想だ。原作にも全然なかったろこんなの責任者出てこい責任者ァ!

 

 そんな怒りと共に師匠の方を見れば、その体表面には「アンタの存在自体がガバそのものなのだから今更どうこう言うんじゃないよ贅沢だねぇ」と紫色の文字が浮かぶ始末。まぁ、はい…………、それについてはおっしゃる通りで(全面降伏)。

 

「――――ッ」

 

 メイリンが一歩下がるのが判別できた(というか視えた)ので、それに合わせて黒棒を振るう。黒棒自体も師匠の隣にいる人型の何かのように黒く塗りつぶされており、存在は知覚できるが中身がさっぱり不明であった。

 塗りつぶされている、とはいっても以前ヨルダを見た時のものとは違う。あれは…………、もっとこう、ホラーとかの怪物じみた迫力が存在したが、あっちに居るのは本当にただ黒塗りの人型のようなものだ。外界から情報が見えないというべきか、お陰でそれはそれで不気味でもある。

  

 いや、この状況であそこにいるとなると、音もなかったことから未来九郎丸(九龍天狗)もしくは超か何かなのだろうが。

 それはそうと、今の状況で鏡とか見たくないな私…………、絶対こう、分裂しかかった思考とかが大量にあふれててそれはそれは酷いことになりそうな気がする。それこそ夏凜の前で取り乱したあの時のような「ぼく」の有様でも観測出来てしまいそうで。

  

 そんな危惧はともかく、とりあえずメイリンの動きを把握できるようになったので、かろうじてだが打ち合いができる。彼女の持つヌンチャクにもその意志のようなものは伝染しており、そこに「倒さないと」「痛い」「戦いたくない」「どうして大丈夫になったんだろう?」「左手ポケットに入れて危なくないのかな」とか色々な情報が見て取れる。ポケットに入れてるのは癖なのでもう仕様がないというか、OSR(それっぽさ)は稼げそうなので特に問題を感じていないからね。大丈夫、大丈夫。

 

 …………視界の端で「自己健忘催眠(セルフマインドコントロール)だねぇ」とか茶々を入れるの止めてくれませんかねお師匠(震え声)。

 

「――――――――!」

 

 そしてセリフは聞こえないのだが、「きゃっ!」と目の前のメイリンが声を上げたのがわかる。……全身、複数個所に「痛い」という思念が走っているので、これはおそらく傷が出来ているな。そして今の傷は私が何かをした訳でもない…………。

 なるほど。やぱり呪紋回路のせいだなこれは。「ネギま!」での超は著しい体力(おそらく寿命など生命力)の消耗となっていたが、メイリンは違った形で出るらしい。となると長期戦になればなるほど、彼女の全身に傷がつくということだ。予想通り長期戦は彼女に不利である。

 

 うーん、この状況に早く慣れないといけないのだが、それはそうとしてこのまま戦い続けると、メイリンが大分痛い事になるな。物理的に。

 

 うん――――――――早々に終わらせなければ。

 

「――――――」 

「――――――ッ!?」

 

 そう判断してからは早かった。自分が痛いのは当然嫌だが、そもそも未来世界の住人とはいえ普通に美人さんだし、全身傷だらけになるのは忍びない。私やエヴァちゃんのように「金星の黒」を宿している訳でも何でもないのだから、そんな相手にいつまでも時間をかけるべきではない。……あんまり時間かけると、どう責任とってくれるんだとか言われそうだし(震え声)。

 まあ誰だって、痛いのは嫌なのだ。ならば私がするべきことも必然、決まってくるわけで。

 

「――――――――(ひでブ)ッ!」

 

 その場から棒立ちで動かず、メイリンの振り下ろしたヌンチャクを黒棒で流し、続く彼女の膝蹴りをもろに胴体に喰らった。彼女の全身に走る痛みと、それとは別に明らかに躊躇しているのか、先ほどから徐々に徐々に技の威力が落ちている。だからこそ、この痛みくらいなら耐えられる。

 

 まあ耐えられると言えど、鳩尾にシャイニングウィザードははっきり言ってゲロ吐いてるのだが(白目)。斬撃の痛みについては多少慣れてしまったようだが、打撃の痛みについてはそうでもないのでいやキツイキツイ…………。

 

 

 

 だが、捉えた。

 

 

 

 そのまま左腕でこちらに突撃してきた足を捕え、後退できないようにしてから肘打ち一発。頬骨を砕かない程度に、しかし後方へ飛ぶことが出来ないのでその衝撃は彼女の全身にダイレクトに。

 脳震盪は起こしていないだろうが、それでも三半規管にダメージが入ったのだろう。しばらくふらつくことが予想できたので、そのまま私は彼女の足を離して、今度こそ大外刈りをかけて転ばせた。

 

 いまだにグラグラといっているのだろうメイリンの首筋に、その背を引き上げながら黒棒の折れた刀身を突き立てる。

 

「……っと、あっ解除されたか」

 

 急に視界に光が戻り、音も聞こえるようになり、眼前でアオザイを赤黒くしているメイリンが肩で息をしていた。涙目である。が、どこか気が抜けたような表情だ。「もう解放された」とでも言わんばかりの感情が「伝わってくるのがわかる」。

 あの「気持ちの悪い視界」は消え失せている。消え失せているが、あの時感じていたもの自体は全く感じ取れない訳ではない。明らかに、明確に、相対している相手から漏れ出ているナニカを、私は直接的に解釈できるようになっていた。

 

 だからこそ、師匠の隣に立っている星月を見て。長谷川千雨の姿をした星月を見て、頬が引きつった。

 

「何でなーんにも感じ取れないんだ、お前…………?」

「まー、そこは疑問に思うよな。……どうでもいいけどメイリン、放してやれよ相棒。もう攻撃してこねーだろ。呪紋回路も切れてるし」

 

 言われるままに黒棒を離して彼女をそのまま寝かせ、私は腕を組む。おそらく釈然としない表情をしているだろうが、まあそれはそれとして一旦置いておこう。おそらくいつものようにはぐらかされて終わりだ。

 師匠の方を見れば、ニヤリとするのみである。ただ「じゃあ、それにも名前を決めないといけないかねぇ」とかいう感情が漏れ出ているのは、なんとなくわかる。

 

 気のせいではなく、明確に感知出来てしまっていた。

 

「あー、つまり? えっ? あの、これって何なんスかね真面目な話、お師匠様」

「まぁ…………、適当に言えばバグだよ、アンタ」

 

 適当にとか言われましても……。

 

「そもそも今のアンタの人格の成り立ちっていうものを、多少は自覚しただろう? 一つ、一人のそれではないっていうのをさ。だからこそアンタの魂には隙間が多い。そしてその魔力というのは、『金星の黒』を使ってひねり出したものである以前に、それも『一人だけとは言い難い』。

 魂と魔力が必ずしも紐づいてると言う訳ではないが、そこは……、察しはつくんじゃないかい?」

「何とも言えないところなのだが」

「じゃあ、流しておこうかね? 本題と言う訳ではないから。

 アンタにかぎらないが、魔力っていうのは消費すると、その消費した体内魔力を体外から多少は補給しようって動きが起こるんだ。これは生命活動というより物理現象みたいなものだがねぇ?」

 

 まぁBLEAC〇(オサレ)でもそういうような描写があったか。〇護(チャンイチ)滅却師(オサレ)に覚醒するときとか。

 

「で、まぁ…………、思念っていうのは魔力に乗りやすいんだ。アンタの場合、その魔力の『出し入れ』の際に、他の連中よりもそれを如実に感じ取っちまう。

 結果として読心術とは言わないが、普段から相手が何を考えているか異様なレベルで察していたろう?」

「いや、異様なレベルって……」

 

 どう考えても原作知識を基にしたムーブでしかないので、それについては異論があるのだが。ほかならぬ師匠がわざわざ嘘をつく必要も薄いし、何より「ようやく」と先ほどこちらに見せていたのだ。

 とするなら、大河内アキラを相手にした時に、師匠は私にこの能力について気付いて欲しかったということなのだろう。

 

 わかるかボケェ!?(正当ギレ)

 

「ボケとは大きく出たねぇ口は災いの元だよアンタ」

 

 ヒェッ!!?(恐怖)

 

「まあガバについてはこれ以上教えたところで大してダメージはないだろうから、アンタについてはそのうち超あたりが何とかしてくれるはずさ。

 それはそうと、一旦落ち着こうかねぇ?」

 

 言いながらこちらに「とりあえずメイリンを起こしてやりな」という指示を言葉を使わず飛ばすお師匠はこう、もはや流石と言うか何と言うか……。直接思考をこちらに送り込んでこないのは、私のトレーニングも兼ねているという所か。

 ちょっと錯乱して暴言をまき散らしたのは謝りますので(震え声)、とりあえずメイリンを起こす。おや? 肩で息をして全身傷だらけの状態だが、血は止まっているのはどうしたものか。……流石に遺伝子改造とか生体改造とか、そういうタイプの技術にまでは手を出していないと思いたいが…………。

 

「ハ……、ハッ、ハッ、…………ハハッ、ハッ」

「大丈夫かアンタ……?」

「え、えと、大丈夫、だ、キクチヨ君」

 

 しゃべり方がぎこちなすぎる……!? 本当に大丈夫かお前本当にさぁ。いや、一方的に「手加減された」側としては、巻き添え(コラテラルダメージ)ではないがその分で決着がつかなかったせいで傷つき続けたと思えてしまう訳で……。

 もっとも本人は「あー、やっと終わった……、疲れた……」くらいの感想しかないようなのだが。

 

「よっと」

「へ? ――――ッ!? な、何をする、降ろしてよキミ!」

「ひとりであんよがじょうずになったらねー(棒)」

「その馬鹿にした言い方、何ッ!!?」

 

 とりあえずどこかに運ぶだろうと予想は付いたので、メイリンをお姫様抱っこした。状況的に肩に担ぐお米様抱っこはキツいと判断し、しかしおんぶすると思いっきり色々な部分を触らざるを得ず、結果的にこれくらいしか可能ではなかった。

 まあ、打撃の感じから案外軽い印象はあったので、こうして持ち運ぶのは意外と苦にはならない。……ならないが「お義父(とう)さんにもされたことないのに~!」とか内心で思っているのはどうなんだお前さん。いくら戦場での経験しかほぼなくても、いくら何でも男子慣れしなさすぎでは……。

 

「相棒はそーゆー所がなぁ……」

「まあこればっかりは無理だろう。それと刀太、そこにベッドを『呼び出す』からしばらくそのままでいな」

 

 そう言われたので私は一秒ほど目を上に向けて、メイリンの視界を私の胴体で隠す。抱き寄せる形になったので「やャッ!?」と妙な声を上げたが、すぐに離して視線を下ろせばそこにはあーら不思議、見事な病人ベッドが…………。

 

「手当は後で九龍天狗あたりにさせるが、一旦そこに寝かしてやりな」

「了解です」

 

 そして案外高い枕のベッドに寝かせると、私を見上げてメイリンは…………、いや顔赤らめて胸元あたりで両手合わせてぎゅってしてるの止めろ(震え声)。「意外とたくましかったな……」とかそんな感想はいらない。「どこで謝ったらいいかな、あんな本調子じゃない相手への仕打ち……」とかいう謝罪は後で受けるからそれはそれで良いので、顔赤らめるの真面目に止めてクレメンス……(白目)。

 

 ちなみに内心戦々恐々としてるそんな私を見て、師匠、大爆笑。

 隣のちう様スタイルな星月が止めに入る始末である。

 

「いや、あんまりそうやって笑ってやるなって…………。相棒だって必死で頑張ってるんだから」

「ハハハハハ、いや、文字に起こすと判り辛くなりはしてるんだが、前よりもやかましさ三割増しで、ねぇ? 中々面白いじゃないか。

 とはいえ『ON/OFF』の任意切り替えが出来るようになるまで、特別メニューは不可避なんだがねぇ?」

 

 まだ何かレッスン2のメニュー続くんですかね……。詳細を聞こうとした私だったが、お師匠から「まあ少し待っていな」と思念で返答される。

 そのまま師匠はメイリンの前に行き、腕を組んで見下ろした。表情自体は穏やかなものだが、おそらく彼女の確度的に大変大迫力な絵面になっていると思うんですが師匠、意図せずパワハラ面接みたいになってないだろうか。

 

「別にそう言う意図は無いが、まぁ仕方ないかねぇ。美とはいつの時代も恐怖を伴うものさ」

「アッハイ(思考停止)」

「棒読みは良くないよ、トータ(ヽヽヽ)

「(トータ……?)いや、そんなことよりも、タローマティ――――やャンッ!?」

 

 メイリン!? 思わず声に出そうになった。師匠が軽く柏手を打った瞬間、彼女の全身が「上下から潰されるような」空間のひずみとともに、空中に一瞬投げ出されて叩かれていた。

 

「アタシをその名で呼んだら何が起こるかなんて自明の理だろうにねぇ……。

 その点、そこのトータはまだ学習してる方だ。オバサ〇とも言わないし、あっちの名でも呼ばないし」

 

 いや、流石にお世話になる相手だし原作も見てるのでそのあたりは当然と言うか、痛いのは嫌なので折檻回避の方策があるなら縋るのは当たり前なんだよなぁ……。

 

「まぁ話を戻すがね。一応メイリン。アンタも合格だよ。

 このトータの修行がひと段落したら全員に合流だが、それまでは特別メニューさ。アンタ自身の性能をある程度引き上げるところまで行くよ。今のままだと不安定すぎて、出来損ないのネギ・スプリングフィールドのクローン体よりも色々アレな状態だからねぇ」

 

 一体それは何を指示してる物言いなんですかね(震え声)。

 ただそれはそうと、再びベッドの上にドサリと落とされたメイリンは、お師匠の一言にはだいぶ驚いた表情をしていた。目を見開いた表情は、なんというかちょっと新鮮である。

 

「で、でも……、いえ、ダーナ、貴女は…………、あっいや! だ、ダーナ師匠は! 何か私が修行に参加するためにはいくつか精神性に問題があると!」

「途中で言い直したからまぁ今回は勘弁してやるかねぇ。

 確かに私のところに連日連夜『戦場で吹き荒れた魔素嵐』を使用して転移して弟子入りを志願してきたときは、色々問題はあったがね。今は大丈夫だよ。

 トータあたりは気付いてるんじゃないかい?」

 

 そう言われましてもですねぇ……、「前の時と変わったと思う所を言えば良いよ」と非言語コミュニケーション? で言われれば回答できないわけでもないですが。困惑したように下から見上げて来るメイリンに対して、しかしどう表現したものかというところであった。

 

「……前より張りつめていない、って感じッスかね」

「張りつめていない? いや、そんなはずは…………」

「でも前だったら、今回だって『手加減せず』きっちりかっちりぶっ殺しに来てたと思うんスよ」

 

 問題はそう、そこである。前と言ってもそれこそここ数週間、大河内アキラと私の元に襲撃させられ続け「こんなはずでは……」「なんでタローマティの所に行かないの……?」とか涙目になりながら夕食を食べていたりした、それよりも前の頃。

 それこそダーナ師匠と間違えて私を蹴り飛ばしにかかったりとか、私をとにかくどんな手でも(使える手なら何でも使って)倒すという強い意志と、それに違わない行動力――――。

 

 先ほどの戦闘を思い返すに、それがすっぱり抜け落ちてナーフされていた。

 

 そのことを伝えると、メイリンはますます困惑した顔になる。

 

「目も見えない、音も聞こえないって状況で、なんで、わかったの? そういうの、えっと、キクチヨ君? トータ君? なんで呼び名が色々あるのか全然、私、判らないけれど」

「な、名前はとりあえず刀太で……(今後の合流を考えると)。

 んー、というか自覚はあるんスかね。自分も何か変わったって言うの」

「特には無いけど。……でも流石に、連日連日迷惑かけて、その上ご飯までご馳走になって、流石にそのままずっと敵対心を抱き続けられる程、私も人間として壊れてはいないよ」

 

 それを壊れていると見るべきか、甘くなったと見るべきか……。いや、そんな数日ちょっとで変わる程の大きなイベントをこなした覚えはない。とするならばそれは、彼女に生来備わっていた人格のそれであろう。

 私のようにツギハギされているのとは、訳が違うのだ。

 

「まあ、実際そういう『甘さ』じゃないがねぇ? なんでもかんでも手段を択ばずひたすらに死に物狂いで、というのも強さの一つだが、それは『使いつくす』タイプの強さだ。対してメイリン。お前が求めているものは積み重ねていくタイプの強さだ。

 積み上げる以上は時間も必要だし、余裕も必要だ。下手に即席で力を身につけて、あっという間に燃え尽きる。アンタはそれで満足かもしれないが、それで目的を達成できないならそこには意味がない。ちゃんと『周りと共調して』修行が出来る程度には、メンタルが落ち着いていないとねぇ」

「共調、かぁ…………」

「アンタの目的が全て達成された時点でアンタが死んでいたら、それこそ本末転倒さ。ヤリ逃げもいいところだよここのトータみたいなもので」

「ヤリ逃げ!?」

「ファ!? いやヤってはいない! 断じてヤってはいないんで!」

 

 逃げてはいるのは認めざるを得ないので、そこは仕方ないのだが(特にエヴァちゃんと夏凜関係)。

 

 そして話していて微妙に気づくのが遅れたが、「おっとヤバッ」と言いながら星月が姿を消すと同時にエレベータの扉がいつの間にか開いて、中からカトラスが……、いや何だお前その恰好、ちょっとOSR(それっぽい)感があって羨ましいぞ、SFチックな恰好。ネギぼーずとかの奴をもうちょっとスタイリッシュに色々省いたデザインといったらいいだろうか。

 ともかく出て来たカトラスは、私の姿を見て。

 

 

 

「…………な、なんだよ、ケーヒンって兄サンのことかよ」(お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん!)

 

 

 

 うーん、カトラスちゃんお前そんな小さい子が大人に甘えたがるみたいな感情向けてたんだっけお前さんちょっとさぁ……。(震え声)

 

 

 

 

 

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