光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
 
今回はメイリン回…、割と後々必要になる娘なので「早く九郎丸達と合流させろや!」というお声はもうしばらくお待ちください汗


ST177.パラレルマネジメント

ST177.One-Person Council System

 

 

 

 

 

 懸念事項は多いが、それはそうとして能力の制御をさきに安定させないといけない。第四の目(ザ・ハートアイ)(仮)の制御をまずは優先するということになりはしたが、師匠は何か私に変わった修行をさせたりするわけではなかった。繰り返し、繰り返し、カトラスと組手をしたり瞑想したり、時々メイリンも交えて組手もどきをさせたりと、それ以上の話は進まない。

 それで状況が進展するかと言えば、当然のように何かが変わる訳でもない。師匠に相談すれば「結局はアンタの問題だからねぇ」と返されるばかりで、どうしたものかという状況だった。

 

 そんな日々にストレスが溜まらない訳もなく、修行時以外の時間は大体部屋に入り浸って漫画三昧アニメ三昧ゲーム三昧(まさかのネギま! 時代のゲームも棚の奥にあった)というダメダメ有様な私であった。星月もちう様バージョンのまま「マジかよ相棒お前、気持ちは分かるけどそれヒキコモリ街道まっしぐらだからな?」とか呆れる始末。いやちう様の姿で言うのは色々それこそ問題あるだろう、フレンドリーファイヤというか自爆的な意味で。

 とりあえずゲーム上のネギぼーずにネタ的な属性をつけようと色々謎行動をさせたりしていると、コンコンと部屋の扉が叩かれる。

 

 他の面々の目に入ると色々問題だろうと判断して、少し待ってくれと大声で扉に向かって叫んでから、ゲームをセーブしたり色々準備(片づけ)して出た。

 

 そこにいたのは、例のメイリンであった。恰好はちょっと中華テイストこそ入っているもののメイド服のようなもので、ミニスカなその恰好は以前、生の大河内アキラ遭遇直前で見たような記憶がある。手元にはハンドバッグ一つ。

 彼女はそんな私の観察するような視線を受けて、彼女は一瞬固まり、少し頬を赤くした。……嗚呼、それ師匠が着ろって用意した衣装にあったのか。漏れ出る感情で「視える」のを見て、はっとして思わず首にかけてあったヘッドホンをつけ直した。一人でいるとついつい忘れてしまうので、確実に必需品である。

 

「こ、こんばんは……」

「はい、こんばんは。で、お前さんどうした? とっとと帰ってくれてもいいけど」

「な、何でそんな冷たいの、かな。…………いや、ずっと勝手に襲い掛かってたの、私だから冷たくされても当然か」

 

 修行中はそうでもないけど、と少し寂し気に笑われると、彼女が切羽詰まっていた事情について多少は推測が付く分、邪険にもしづらい。そもそも物理的に襲い掛かってこなければ多少話せる相手なのは、アキラさんと彼女と三人一緒に夕食を取っていた時の経験でわかっているのだ。

 とりあえず部屋に通して「で、どうした?」と聞いてみる。メイリンはバッグを開けて、タッパーを一つ取り出した。

 

「…………お、おすそわけ、かな」

「何で?」

「いや、何でって言われても……。えっと、大した理由じゃないって言うか――――ヘッドホン外すの止めて! 恥ずかしくて死んじゃうよ、私!」

「それはそれで恐ろしい話なのだが(震え声)」

 

 小さめのタッパーの中には、レバニラのようなものが入っている。流石に彼女も私を襲う理由はないだろうから、毒など盛ってということはないだろうが、そんなものを差し入れされる謂れがなさすぎて不気味だ。思わず第四の目(ザ・ハートアイ)で何を考えているか確認しようとしたら、大慌てになった彼女のリアクション同様にピンク色の何かが漏れ出ていたので、すぐさま再装着した。

 いや、そのピンク色って異性に対するちょっとドキドキしてるタイプの感情とか、エロいこと(直球)考えている時に視えるものなのだが。お前さん一体いつフラグ建った(震え声)。流石に九郎丸たちのような感じまではいってないだろうが、それにしたってそれにしたってである。

 

 とりあえずちゃぶ台に座ってもらい、浄水を私と彼女の前にコップでおく。

 せめて自分で話すから、ともごもごしながら、メイリンは少し唸り声を上げながら思案していた。

 

「その……、お詫びの気持ちの表し方って、色々考えたんだけど、さ。何と言うか、ずっとキミには問答無用で襲い掛かってたし。もう弟子入りしたから、さ。あんまり関係はないと思ったんだけど…………」

「あー、まぁ、仕事とかだったら仕方ないで流す話なんだけどな。職場なら持ちつ持たれつってところもあるし、あんまり『そういう』気の遣わせ方をすると後で自分の首を絞めるし」

 

 具体的に「私」の中の「いくつかの記憶」を一つ漁れば、体調不良で仕事がまともに出来なくなった社員をいじめて辞めさせたりした奴が、後々同じような状況になっても誰からも助けられずむしろ陰口を叩かれ返していたりといったことがあったりする。辞めた社員は、から回ってはいたが周囲に気を使ってはいたので、「私」の裁量で色々手を尽くしたが、上手くは行かなかったちょっと苦いケースだ。新人だったが多少は経験値があったので、新しく人を採用しても成果が上がらないのが目に見えていたというか。何より虐めていた社員って、グループが違う割に席が近かったりして、色々配慮されているのを「ずるい!」とか言っていたタイプだったし。

 ……そういえば当時の婚約者だった社長令嬢も、そのあたりは「まともに仕事できないならすぐやめさせれば良いのに」と責め立てる側だったか。流石に本人の意図しない形での被災? は人災ではなく天災なのだから、配慮できるところは配慮するべきだと思ったのだが。体調不良以外は色々調整すれば少しずつ回復していたのだが、最終的にメンタルを壊されたのが大きかった訳だし。常時マイナスな緊張状態を強いられる場所から離そうにも、最終的に「私」を追い出した上司はまともに取り合わなかった。

 

 今の私? 状況の複雑さが異なりすぎていてどう配慮されてもどうしようもないので、とりあえず極力痛いことから徹底的に逃走する他ないんですがね(白目)。

 

「ど、どうしたの? 急に遠い目をして……」

「何でもねーよ。で、お礼? というか、お詫びというかで、なんで料理?」

「う、うん。…………キミの妹さんに聞いて、お腹に入るものの方が良いんじゃないかって」

 

 カトラスに聞いた結果その話になっているということだが、それはそれでどうなんだろうかカトラスお前さん……。何と言うか、食いしん坊キャラが最近板についてきているから、どうしても生温かい感情が視線に浮かんでしまう。

 というか、そもそも私とメイリンは仲が良い訳でもないんだから、お詫びというなら何が欲しいかーみたいなのを直接聞けばよいだろうに――ダーナ「仲がそんなに良くないから、身体でも要求されたらたまったもんじゃないからだよ。大河内アキラ相手にしてたアンタの視線を見て色々察したんじゃないかねぇ?」――いやそんな情報を直接脳内にぶち込まれても困るのですが師匠(震え声)。というより脳内会話めいたこれは久々な気がして少し変な笑いが漏れる。

 

 まあ、料理自体は嫌いなわけではないので、ここは有難く貰っておこう。中華料理なのはメイリンという名前のイメージにそぐうし。

 

「味見して良いか?」

「えっ? あ、う、うん……」

 

 ただ、食べた時の味がちょっと問題だった。

 火が入りすぎて匂いが強い……、いや、しっかり調理するという意味では正しいが、その割にモヤシとかが半生で、味も濃すぎる。私の好みの問題ではなく、まばらに塩辛いというのは何なのだろうか。

 色々と調理の順番とか手順を間違えていやしないかこれ。

 

 そんな感想を言うべきかどうか、少し逡巡する。サラリーマン? 的なことをしていた「私」の記憶を思い出したせいか、ちょっとだけマネージャー的な感覚に引っ張られている。

その経験からして、そもそもそんなに仲良くない相手から注意するようなことを言われたら、好意や気遣い、尊厳を踏みにじられたと思うのが普通だ。当たり障りのないような対応で、かつ本人に改善の意図があるかどうかを探るのが先だろう。

 まず手始めにジャブ。

 

「個性的な味?」

「あ、ああ……………、ごめん」

「……いや、美味しくないってわかって持って来たんスかねそのリアクション。何、嫌がらせだった?」

「それは違う! 違う、んだけど、その…………」

 

 メイリンはもごもごと聞こえない声量の独り言をつぶやいてから、きっ! と覚悟を決めたような目を向けて来る。

 

「……今度は大丈夫かなって思って」

「…………今度はって何だ?」

「す、少し言い訳をさせてくれる、かな?」

 

 言葉に嘘はなんとなく、感じられない気がする。……普段よりも「なんとなく」の割合が多い感覚があるが、おそらく第四の目を封じてるからだろう。自覚前からある程度自動発動していた「目」が封じられているが故に、というところだろうが、わざわざ外そうとは思わなかった。

 意図的にやったわけではないと言うなら、訳を聞かない理由もない。続きを促すと、彼女は「ごめん」と先に一言謝った。

 

「少しだけ私の出自というか……、『話して問題がない範囲での』話になるんだけれど」

「前置きされてる時点で大分不安なんスけど…………」

「一応、大丈夫だと思う、かな? まあ、聞いて?

 私は…………、話すと信じられないことになるかもしれない、けど、SF映画みたいな出自をしているんだ」

「トラ〇スモ〇ファーみたいな?」

「と、トランス……?」

 

 おそらく「ネギま!」における超時空の未来編、火星戦争が延々と続いているとかそんな展開だろう未来から来ているのは察しているので、そのあたりは驚く話じゃない。だがノーリアクションはノーリアクションで不自然なので、それ相応に適当には反応する。

 なので適当にあげたZ級映画(アル〇トロス配給平常運転)タイトルを前に、流石にメイリンは少し困惑した。……二十代女性のそういうあどけない顔は色々止めて欲しいのだが(震え声)。生のアキラさんとの対面とかで多少免疫が付いたかと思ったが、若干微妙な気持ちになるのでそうでもないらしい。

 

 いや、しかしなんか久々に口から出たなこういう映画タイトル……。熊本時代はよく雪姫が映画の映像ディスクを節操なしに借りてきたりしたので(何故か映像系のサブスクは買ってなかった)、王道映画、埋もれた映画、当たり映画、B級映画、隠れた名作、Z級映画、駄作、色々と見たものだったが……。

 ちなみにB級はザ・シェ〇、Z級お気に入りはアタ〇クザマミ〇吹き替え版である(声優大暴走)。

 

「その映画はよくわからないけど、うん。…………こう、コールドスリープから目覚めたら世界が終末戦争してましたー、みたいな? で、私は地球からすると宇宙人側、みたいな感じだった」

「その説明はその説明で、確かにそれっぽいな」

「フフ、うん、そうなんだ。……そうだったんだ」

 

 歯切れが悪い言い方だが、彼女はゆっくりと話を続ける。こちらに開示する情報を選びながらだからだろう、若干だがその言葉は前後が矛盾していた。

 

「戦争は激化していった。……地球と、私たちの星とは、お互いがお互いに資源を巡っての大戦争だった。そこで、私は…………、私を育ててくれた人たちを殺された。友達も、子供達も、お兄さんお姉さんも、皆、皆…………。

 だから、最初は憎さで戦ったんだ。だけど、私には出来ることなんてあんまりなかった。魔法アプ、あっ! ……その、まあ、魔法は使えないし! う、うん。体質的な問題で、うん!」

 

 もう既に発言が大分ガバガバだろコイツ!?(白目)

 誰か早くなんとかしろ……、魔法アプリの名前が出て来た時点で少なからず私がいる時空か原作「UQ HOLDER!」に近い時空なのほぼ確定してるぞ。

 それにコールドスリープっていうのも、少し念頭に置いて色々考えると展開が想像できてしまうというか、やっぱりこいつ妹チャンの一人なのでは? 魔法が使えないって点を見ると、おそらく「黒」と「白」の扉との接続が上手く行かなくて、実験材料のモルモットか何かとして残されたのが未来まで残ったとか、そんな展開なのでは……。

 

「だから、私と、最後の戦友とで……、過去を変えようって、それぞれ手段を選んで何とかしようって……」

 

 おそらくだが、その友人とは超のことではないだろうか、とアタリを付けながら話を聞く。

 

「それで、開発した魔法があって…………、正しくは魔法装置なんだけど、その基礎理論を記したってされる『背教の魔女』を、私の方は頼ることにしたんだ」

「だからダーナ師匠のこと、ずっと違う名前で呼んでたんだな? たしかあの人って、名前が昔と違うって本人から自己申告されたことあるし」

「うん、そう。…………それで、ここまでを前提に話を戻すんだけど」

 

 居心地が悪そうに、彼女は苦笑いする。

 

「………………………………その当時って、もう、食事がほぼチューブ食とかがメインでさ。咀嚼能力を低下させないことを目的としたブロックガムと、完全栄養食のチューブ……、歯磨き粉みたいな感じのやつ、うん。それしか食べてなくて」

「未来の保存食、的な?」

「魔法的な廃材利よ…………ッ! い、いや、まあ未来的な技術で色々」

「もうちょっと落ち着いて話していいから発言のガバを減らせ(戒め)」

「えっ!? う、うん。…………ガバ?」

 

 あー、こういうスラングもわからないか。……いや普通わからないかこういうスラング。「私」の中でも、理解してそうな記憶の面々は片手で数えられるくらいだし。

 逆説的に、いわゆる「現実世界」とされる世界に近い平凡さをもっている魂がいかに少ないかということでもある。

 

「簡単に言うとミスだな。こう、綺麗に配置されたものに一つだけ致命的なミスがあって、全体に影響出るとか、なんだろう……。

 例えばケーブルジョイント(比喩)とかのオスメスのうち、メス側のサイズが違ったりスッカスカだったりするときをガバガバっていうああいうのに由来するらしい」

「緻密に作った文書とかで、変なところにミスがあって全体に影響しちゃうー、みたいなことかな? うん、わかった」

 

 微妙に真実のところを省略しながらの説明だが、その適当な説明におおむね納得してもらえた。というか何で私はわざわざガバって言葉の説明を彼女にしているんだか……。

 だが、なんとなくここまで聞いて推測は立った。……というより、似たような経験をした「俺」が「私」の記憶の中にいるので、わかってしまったが正解だが。

 

「つまりスラム育ちとかじゃねーけど、ロクに『美味い!』ってものを小さい頃に食べた記憶がないから、その分の影響で未だに味覚が変っつーことか。俺たちとかと比べると」

「う、うん。……察しがいいね、相変わらず」

「これでもヘッドホン付けてる時は前より落ちてるとは思うんだけどなぁ……」

「正直に言うと『味が付いてれば美味しい』くらいの感じ、かな」

「塩分とかミネラルとか、そういうタイプのもチューブで足りなかったのか……?」

「香りも……」

 

 だからよくわかんなかったけどキミたちが作った料理はびっくりしたというか、と。メイリンは何故かおどおどしながら、そんなことを言う。

 

 この感じだと超とかもそういうノリだったのか? まあ末期戦とかになると資材も食料も何もかも不足してくるものだし。その上で彼女も「ネギま!」開始の2年前にタイムスリップした時点で、食事で感動したとかで「これネ!」とか言い出して「超包子」の発端となり、色々手を出したか。

 そう言う意味だとカトラスとかは、戦場に派兵されるようになる前は割と美味しいものを食べていたのかもしれない。そういうのが解るということは、味覚に「旨味」が刷り込まれているってことだ。

 

「でもまあ、そこは妹さんにも言ったんだけど、とりあえず頑張ってやったら文句は言われないんじゃないかって言ってたから……、ごめん」

「実際、もっと酷いレベルだったら言ったけどこれくらいはな……」

 

 じゃ、じゃあ、と。メイリンは何故か私に向き直り、正座。そのまま武士みたいに背中を折る形で頭を下げながら。

 

「…………このままだと、なんか負けた気がするし、だから! その、色々アレだから、料理とか、教えてもらえない、かな? 先輩(ヽヽ)

「…………返答の前に聞きたいけどなんで先輩?」

「一応、私よりも先に弟子入りしてるから、礼儀的に? かなって」

 

 そんな流れで、めでたく? メイリンが私の事を先輩と呼ぶあの時系列に、ちょっとずつ近づき始めたらしい。

 

 ……でもこの流れだとそのうちお前さん、過去の自分の頭しばきに行くことになるが良いのかお前さん。いや、タイムパラドックス怖いからその話は教えないけれど。

 

 

  

 

 

 

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