今回、最初期のエヴァちゃんアンケート結果が反映されますので、そう言う意味で閲覧注意…………(どう受け入れられるか心配極まりない)
ST186.What You See Isn't Necessarily The Truth.
「刀太君、一体誰と契約したの……?」
「ちゅーに、まさかあの雪姫の人工精霊とかじゃないでしょーね……?」
「まず初手でこちらの有罪を前提として話を進めるの止めろ(戒め)」
冒頭早々にジト目で見て来る九郎丸とキリヱ相手でアレなのだが、結論から言えばやっぱり疑われた。疑われたというか、黒棒との仮契約カードの出自をどう説明するかと言う話なのだが、これについては正直あまり深くツッコミたくない。
朝方、多少は仮眠を取って城のテラス部分(つまりは原作でエヴァちゃんと遭遇したりしていたアレだが)の集合に、何てことのないような風に顔を出した。各々が各々、それぞれ師匠が用意した白い扉から「修行場所」へ転移していく流れなのだが、そこに普通に出て来た私の姿は中々衝撃的だったらしい。
聞けばどうやら、こちらが黒棒との仮契約もどきの
キリヱ大明神も「
そして修行の成果を披露している途中、黒棒から出てくる血を使用しての血装やらより、仮契約カードの方に気が行ってしまうのは平和と言うか何と言うか……。いや、「第四の目」で視れば九郎丸は「これで刀太君の死亡リスクが減った……」と安心していたり、こちらの様子を呆れて見ていたカトラスは「ようやくグロさが減った! やった!」と内心では小さな子供のようにぴょんぴょんと喜んでいた。
……うん、完全に九郎丸の内面の具合が女性のそれなのと、カトラスの情緒が思ったよりちびっ子っぽいのは相変わらずというか何と言うか。実際に「視られる」ようになったことの威力を思い知らされた感覚である。
まあ、それはさておき閑話休題。……閑話休題と言ったら閑話休題である。いや、結局二人とも納得させることが出来ずに師匠によるタイムアップで修業先へと強制輸送されたりしているのだが。例によって真〇の扉的な演出で吸い込まれる九郎丸たちと、特に逆らわず「そういうパターンもあるんだなァ」と納得して自分から扉を開けて歩いて行った三太という微妙な差は誤差である(断定)。誤差と言ったら誤差である。ま、まあ詳しい話はそれこそ彼女たちが帰ってきてからで問題はないだろう。
ちなみにカトラスも増設された新しい白い扉に吸い込まれていっており、メイリンは「じゃあ、また後で」と城の方に戻っていったりした。
「カトラスはなんつーか、修行レベルがお師匠の受け持つやつに合致したとかなんだろうが……、メイリンは何なんだろう」
「
まあメイリンは特にネギ・スプリングフィールドの解析力や長谷川千雨の洞察力を強く受け継いでいるから、どうしても頭でっかちになりがちなんだがね? 桜咲刹那の直情さも併せ持っているからあんなポンコツなんだろうが」
「私はその解説を聞くべきではなかったのでは……?」
「どうせ遅かれ早かれだからね? 意味はないよ、アンタは割と『上手に』取り繕う方だし」
そんな軽い感覚でメイリン(自称)の遺伝子情報を提供されましてもですね……!
というより、もはや隠す気がないらしい師匠。「30番台だからちょっと厄介な娘だよ、アレも」とかあからさまにロットナンバーを開示してくるあたり、こちらはどんな顔をすればよいのだろうか。
「笑えば良いんじゃないかねぇ? 〇ヴァじゃないが、人間限界が近いと自然と口の端が上がってくるものだよ。本来は威嚇をする本能が作用しているんだろうが」
「そんなに追い詰められても最後は汚ねぇ花火しか上がらないのだが、この場で」
「精神的な死による爆死(物理)はアタシも初めて見る死因だねぇ……」
閑話休題。
「で、今日から何やったら良いんスか? 血装も黒棒も復活して、なんかヘンな能力に覚醒したりもしましたけど」
「アンタの場合は練度についちゃこっちで何か目的をもって鍛える話でもないし、既に魔人としての完成度は1ランク上に上がったからねぇ。出来の良い魔人としちゃまだまだ及第点だが、自傷せず血装が使える時点で中々良い感じに育ったもんだよ」
そうすると何が必要になるかという話として。師匠はニヤリと意味ありげな笑顔を浮かべた。
「まあ出来るとしたら分身の数をもっと増やすとか、『第四の目』の使い方をもっと習熟させるとか、あとは体内に取り込んでいる魔術の種類を増やすってところかねぇ?
だが、それよりアタシとしちゃ少しは『真性魔人』との戦闘に慣れておいた方が良いと思うよ。どうせバアルのガキと戦うことになるのだろうしねぇ」
「ええ、まぁそれはもうハイ……(原作20巻的な意味で)。
ん? って、ちょっと待て。とすると次の修行は――――」
「――――もうレッスンのカウントは終わりだよ。ここからは、逐次必要となったものをアンタに突っ込んでいく作業になる。
だからまず最初は、アタシとの実戦だ」
殺す気でかかってきな、アタシもお前を殺すから。
早々に物騒なフレーズと共に、私はお師匠のウィンクで上下に「潰された」。巣立ちの状態のままノーモーションによる、相変わらず意味の分からない一撃である。……いやだから、その遠近法を使った攻撃はいくらなんでも無法なんでもうちょっとご容赦していただけませんかねぇ(震え声)。
「思考が鬱陶しくなってきてから、調子が出て来たじゃないか。やっぱり慌てて
いやだから、当たり前のように「肉体のない」私の視点、おそらく魂的な何かが見ている師匠の姿、その視点へと「カメラ目線で」ニヤニヤ笑うの怖すぎるんでおやめくださいませんかね(震え声)。
と、そうも言ってられない。とりあえず「遠方に」身体を作りながら、師匠の周囲に飛び散った私の肉体やら血やらを使って血装、血の刃を使って師匠目掛けて槍トラップのように一撃。
なお全身に刺さって驚いた顔で死んだはずの師匠は、そのすぐ後ろに「無傷の師匠」が現れて槍の造形を見て「中々上手なものじゃないかディティールが」と、ちょっと凝った獅子の頭を模した槍の造形にニヤリと講評していた。
うん。いきなりだが勝てない、絶対に勝てない(確信)。
不死者としての格付けと言うか、おそらくその能力的な格付けを考えれば絶対に勝てたものではない。原作漫画やアニメ(OVA)で見ていた以上に、その存在の自由さというか「圧力」というかが違う。「第四の目」を使っても何も思考を感じ取れないが、とはいえそこに「何かが存在する」のだけは理解できる。明らかに渦巻く情念やら何やらの量が常人の倍で聞かないレベルの超質量で存在しており、おそらくは重ねて来た歴史の分だけ想念のようなものが累積されているのだろう。怖い。
遠方の身体に意識が映ると同時に、まだ再生しかかりの下半身はおいておいて、右手に血風を作って投げる。投げながら左手で仮契約カードを握り、黒棒の召喚準備。
一方の師匠は、飛んできた血風を適当に右手を振って払いのける。今回は遠近法だったり視覚やらを応用した超常現象というかを使用することはしなかった。
…………それはそうと、血風が爆裂した後の師匠の右腕が「黒々とした鱗の」「人間よりも大きそうな大型爬虫類の腕」になっていたので、それは一体何だというのだ。
あっ! いや、別に知りたいわけじゃ無くって普通にツッコミを入れただけなんで、ネタバレとかそのあたりは平に! 平にご容赦を……! これ以上のそういうガバというか情報はオーバーフローなのだ。
「オーバーフローと言えば、アンタの『金星の黒』と『火星の白』が、それぞれ近衛勇魚と近衛帆乃香に由来しているって話すら遮っていたねぇ」
「わざわざそれを今言及する意味どこにあったんスかね(白目)」
だ! か! ら! 自分の情報については見送ってくれたのかもしれないがそういう話をあっさり開示するの止めろ! 死ぬぞ! 私の胃が! 釘宮程ではないが最近胃痛を覚える機会も増えているので、かなり洒落になっていない。本格的に何か私の知らないそういう設定が内在していても不思議じゃないこの世界なので、知れば知る程「原作ルートを」それっぽくなぞるのが難しくなるのだから、その結果何が引き起こされるのか知っていらっしゃるのですから容赦してくんなまし(混乱)。
「そもそも前々から言おうと思ってはいたけど、BLEAC〇を目指してる時点で原作通り進むわけがないだろうに」
「うるせぇ!? 馬鹿、
「あんまり強い否定を使うもんじゃない、図星に見えるよ」
「微妙に語録を重ねていらっしゃられまして……ッ!?
形成した黒棒を構えて、前方に「刃を伸ばす形で」血風創天。
師匠は片手を顔、というより片方の目の前に置いて、そして両目をつぶる。と同時に、創天が「撃ち返された」。180度、撃ったのと同様の方向にベクトルが物理的に重なっているような絵面で、こちらの血風創天が私を襲いに来ている……!? 言葉で説明してちょっと何言っているかわからないが、絵面も本当に意味不明すぎて漫画表現できるレベルなのかこれ!!? 一体どんな能力を使ったというのだ師匠もさぁ!
とりあえずその血風を「胴体で受け」、開いた腹の風穴を再生させながら血装。そのまま死天化装を形成して、師匠が目を開けるよりも先に背後に回り込む。
「――――甘いよ」
そして「背後に回り込んだ」私の「さらに背後に回り込んだ」お師匠が、こちらを背中から蹴り上げて、空中に放ったと同時に「複腕の状態で」目の前に現れ、オラオラオラァ! なのか無駄無駄無駄ァ! なのかわからないラッシュを叩き込んでくる。以前三太がやっていたものよりはるかに一撃が重く、既に視点が「肉体よりも後方に」飛び出ている。つまりは肉体的に死んで幽体離脱していると考えるべきだろうか。
見回せば、他の場所にいた師匠の姿は当たり前のように影も形もなく、改めてその能力の規格外っぷりを思い知らされる。こんなもの本編で積極的に協力者ポジションに居たら、話が全く展開せず連載が終わるわ!? お師匠に言わせれば「文明の生命が自助努力で勝ち取った未来」でないとかそんな言い回しになるのだろうが、ともかく彼女があまり手を貸さないだけの理由がよくわかってしまう。
かくなる上は…………。
『えっ? 相棒、アレやるのか? ま、まあ他に手はなさそうだから仕方ないけど……』
大河内さんボイスで囁いてくる星月のコメントに引きつった笑みを浮かべ(たつもり)、既に死亡している私の人体に「遠隔で」黒棒を血装術で操作し、その胸部に背後から「風穴を開けた」。
『何、だと……? 私は何もやっていないぞ刀太!?』
「落ち着きな『百の顔を持つ英雄』。トータが意図的にやったことだろうさ。
それはそうと、出たねぇ問題児…………」
『――――――――グァアアアアアアアアアアッ!』
瞬間的に全身から血風を放って師匠を後退させた私の身体は、そのまま「悪魔のような角のついた仮面」を形成し
「ふんっ」
そしてそんな私を遠方から「親指と人差し指で摘まみ」、遠くへと放り投げる――――と同時に「私」の意識もそれに釣られて一緒に引っ張られて投げられる。オイオイ
となると対策も当然、
『な、何をするつもりだ刀太、いい加減さっきから色々こちらの想定の外を行ったり来たりしているのだが――――』
『――――――――』
『何とか言え相棒!? お前ちょっと人間捨てすぎていやしないか!!?』
いやだって相手がお師匠だし……(白目)。
今回は意図的にだろうが一発一発を「致死量のダメージ」にしてくれているお陰で、痛覚が早々に仕事を放棄してくれているのは有難いといえば有難いが。お陰で集中して血装の操作に回すことが出来る。
それはともかく、そのまま黒棒から大量の血風を一度高速で放ち、それらを魔天化壮している私の本体へと射出した。一撃一撃が炸裂すると同時に、私の身体が若干だが進行方向とは逆に押し返される。……適当に作ったせいか由に百は超えているしなんなら黒棒から絶賛新しい血風が製造中なのだが、なんとなくその制御を星月が無理に頑張ってくれている気がするのでホント申し訳ない(素直)。
なおこれをしても「私」の移動とは別に周囲の光景は全然戻らないと言うか「減速しているようにすら見えない」ので、一体あのお師匠は何をやらかしたというのか。とにかく個数を増やさねば…………。
どれくらい時間が経過したかわからないが、やがて威力が拮抗したのかこちらが押し返された。そして移動中に見えたのは、お師匠の姿がいつの間にか消えていること、「狭間の城」の時刻も昼時なのか明るいこと。また超の時のように別な時間に紛れたということだろうか、流石に良く判らないが。
城の上空にたどり着いた私は。そして、眼下にあったものを「魂」で見た私は…………。
『……嘘、だろ?」
魔天化壮状態だというのに、その「意識が無いはずの」身体が、私の気持ちを代弁した。
それ程までの、一つの残酷な事実を、目の当たりにした。
※ ※ ※
『――――っと、早起きしたぜ。よくわかんねぇけど泣くほど俺に会いたいっていうのなら、こっちが急がないとな……。っとと、はっはっは! それでも先越されてるな。
おーい! キティ!」
『……!
…………小僧か、今日は思ったより早かったな』
『何だよお前、昨日と言い鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔して。十年ぶりくらいに会ったみたいな感じだぜ? はははっ』
『…ッ!?』
『って、お前また泣いてねぇよな。頼むぜ?』
『…………十年、か。
その通りだ、少しくらいは泣きもする』
『は?』
『何でもないよ。
……あー、そうだな、お前朝食はまだだろう。
ちょっと準備してあるから、ついてこい。
私手づから用意した』
『お? おー、おぅ!』
半袖のシャツにネクタイと簡素な恰好でテラスに駆けて来た近衛刀太は、当時は雪姫と言う呼び名を持たなかったエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに笑いかける。フリフリと愛らしい恰好をした十歳ほどの少女は、どこか懐かしそうな、切なそうな表情で刀太を見て微笑んだ。
そんな彼女に誘導された先、テラスの先の方に置かれた豪奢な料理の数々。メイド服を着用した人型人形が彼女の魔力で操られながら、飲み物などを給仕していた。
そんな食事を二人でとりながら、彼女は刀太に礼を言った。
『貴様には恩がある。
感謝しきれない程にな。
…………貴様のお陰で、もう死のうとは思わなくなったよ』
『お? おぉ、そうか……』
『………………今日は、な。
今日はその礼と、それから――――別れを、言いに来た』
『へ?』
動揺する刀太に、事の仔細を振り返りながら説明するエヴァンジェリン。そのセリフは、一字一句思い出せるほどではないが、一体何を言ったかについてはおぼろげながら説明ができる。直近「読んだことがある」からだ。
そんな、それこそ「UQ HOLDER!」原作8巻で描かれていたようなやり取りをする二人を「見下ろしながら」。魔天化壮を解くことすら思考に上らない程に、私は動揺していた。
『アレは、刀太か……?』
黒棒の台詞にもリアクションできず、私はただ黙ったまま、その「原作」を目の当たりにする。
『私たちはあの
だから、お前と出会い言葉を交わすたび、私とお前の時間はズレていった。
お前にはきっと毎日毎朝の出来事だったろうが、私にとっては数日数週間と時間は開いていく。
一週間ぶりといった前回、お前にとってのつい一昨日は、私にとっては二年の歳月だ』
『に…………、二年!?』
『そして、今回は八年ぶりだよ』
『な……!?』
『ククク。
次はおそらく四十年は先か……、さすがにこれでお別れだろう』
『いや四十年ッって!? ま、待てよ、そんなこと突然言われたって――――』
立ち上がり、自嘲げに嗤うエヴァちゃんは。そのまま動揺している刀太へ一歩一歩歩み寄り。
『気にするな、元よりお前が帰った後、あの女に言われて覚悟はしていたことだ。
それより別れの願いがある。
…………いい、だろう?』
『な、何だよ』
『うむ……、その、だな――――――――』
「――――やれやれ、全くアンタが絡むとこっちの予定が全部狂い通しだよ」
そんな私の背後に、師匠が現れる。私の身体ではなく、魂たる私の方に。
振り向けば、その姿は見慣れたデラックスサイズのものではなく、「背教」と呼ばれていた頃の姿か。毛皮風の紅のコートとドレスを纏っている彼女は、ドレッドヘアですらなく、切れ長の目で私を見下ろし苦笑していた。
「本当なら修行編の終わりにやるつもりだったが、こうなったら仕方ないかねぇ? キティ相手にアンタが引き起こしたバタフライエフェクトと、その結果だよ」
「……………………」
「アンタならわかるはずだ。これは『アンタの歴史にも』起こった事実。アンタが見たあの近衛刀太とキティは、ほぼ原作通りのそれさ。そこに差異なんてあったところで、それこそアンタが言う所のガバなんて起きない。枝葉末節に収束されている出来事さ」
「………………………………」
「なら、何でそんなことが起こったか――――――答えは出ているだろう?」
私が――――私が、エヴァちゃんを「愛せなかった」から? だから私ではその出来事を起こせないから「原作の」刀太が来たと?
「少なくとも『UQ HOLDER!』とアンタが認識している世界線に統合される
その歴史的な不都合を解消するために何が起こるか――――――――横軸の似たイベントは、世界観で『共有される』。世界自身がリソースを削減するためにそう言う現象が起こるのさ。既にアンタの世界線は、リソースが『まだ』カツカツだからねぇ。
あそこにいるエヴァンジェリンは、アンタの知るエヴァンジェリンでありながらアンタの知るエヴァンジェリンではない。ただどちらにせよ、アンタの知るキティは『あのキティ』を経由していることに変わりはない」
つまり、それは。
彼女にとってかつて経験した近衛刀太は「私」ではない「本来の」近衛刀太であって。
「それが歪んだ理由を何処に求めるか。自分が知っているはずの相手が自分の知らないような相手に育った理由は何か。――――アンタ自身が、よくガバだ何だと言っていること、思っているようなことと一緒ってことさ。
キティはずっと『失敗した』と思ってるんだよ。アンタが今のアンタになったことで、自分の知っていたトータじゃない刀太が生まれたことで、『自分は何か致命的な失敗を』お前に仕出かしてしまったと」
「……………………………………………………」
だから自分にはお前を愛する資格なんてないって、そう塞ぎ込んじまったんだよ、だってあの子には「正解」なんてわからないし、「失敗の理由」なんて心当たりがないからねぇ。
師匠の一言一言で、私自身の魂が揺らいでいる。見れば手先が一瞬「真っ黒に染まり」、しかしノイズのようなものが走り元に戻りを繰り返している。
「まあ、それもあの子とアンタの選択だからねぇ。アタシは否定しないさ。
いかにこの時点でキティが近衛刀太を愛したとしても、それが今のアンタに繋がっていないとするのなら、アンタの人格にはなんら『罪はない』んだ。アンタ自身がどれだけそれに罪悪感を感じたところで、それが『愛じゃない』ことだけはアンタ自身よくわかっているだろう?」
「………………………………………………………………」
「責めはしないよ。アンタがそうなったのはアンタのせいじゃない。もちろんキティのせいでも、他の誰のせいでもない。強いて言えばアンタたち『全員のせい』だからねぇ。
だから、今なら誰も見ていないから―――――気にせずに、好きにしたら良い」
脳裏にアキラさんや夏凜の笑顔が浮かぶ。この時点で、嗚呼、考えれば何もかもが違うのだ。原作を原作をというのなら「違っていてはいけない」大前提なのだ。
そんなこととっくに理解していた。理解していたが、だからといって、これは、いくら何でも――――――――。
「……………………………………………………………………」
『刀太……』
魔天化壮の身体に、今、私は入っていないと言うのに。
近衛刀太の膝で丸くなりながら、心の底からの安堵を吐露し。彼に頭を撫でてもらっている、たった一人のちっぽけな少女を見て。
その姿を見て、私の身体は。その仮面の左側の眼窩から、赤い涙を、一筋流した。
※ここで引きだと流石にアレなのでネタバレですが、次回か次々回で「この」キティと遭遇します