光る風を超えて   作:黒兎可

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予告通りです…! 何かのフラグが立った可能性


ST190.楽は出来ない

ST190.Kick Back A Effort Days.

 

 

 

 

 

 いざ作戦会議、ということで色々考えてはみたが、どうにもまともな結論は出なかった。

 とりあえず砂浜に黒棒を突き刺したまま死天化壮して上空へと飛び立ち、現在の位置関係を確認したのだが。おそらく私とキティちゃんは東西正反対の方角へと投げ飛ばされたと見える。なにせこちらの方が陸続きの山らしきものが多く見えるし、なにより原作においてキリヱが色々学習していた図書館施設が見当たらない。

 

「はーい、作戦会議! さーくせーんかーいぎー!」

『何故、桜雨キリヱが追い詰められた時のような言い方をするのだ、刀太……』

『ふみゅー?(何が始まるんですか? 何が始まるんですか? そして俺チャンの昼食やいかに……! サラミとかないっすかね)』

 

「というか、え? この面子に私っていて良いのか、相棒? いや大河内のツラよりこっちの方が色々考えが回るから、変えて出て来たけどさぁ」

 

 そんな状況でとりあえず現在、知恵を絞れる面々はといえば私、黒棒、チュウベェに星月くらいなものである。流石に会議、頭脳労働なためか、彼女も彼女で千雨(ちう)さまバージョンでのご登場であったが、それはさておき。

 

『よくは判らないが、要するにエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルとゴール手前で斬り合えば良いのではないだろうか』

「いやあの魔女も言ってたが、エヴァンジェリンは普通に進んでくるだろ。となると、ウカウカしてられないっつーか、もっと直接的に途中で妨害しないと無理なんじゃねーか?」

「嗚呼……(感動)」

 

 いや、それはさておきなのだが、実際にちう様バージョンで出て来た上で一切合切情け容赦のないままのちう様を見せつけられるのは、それはそれでグッとくるものがあるの。

 長谷川千雨は、いわゆる「ネギま!」における仲間の一人であり、クラスメイトの一人であり、色々と作中のタブーに抵触しかねない「普通の」女子である。この場合の普通というのは趣味や性格や言動を指すものではなく「魔法結界による認識阻害を受け付けない」体質であるという意味だ。そのせいもあって幼少期に色々こじらせ友人は少なく、歪み、何をトチ狂ったかコスプレイヤー的な方向に舵を切った。……あくまでも匿名かつネット配信メインの。つまりはヲタク気質のアレであり、原作者の趣味が過分に盛り込まれたキャラクターとして造形されていると考えられる。PC系に造詣が深かったり、とにかく色々だ。

 そしてそういった斜に構えた視点こそが「ネギま!」におけるネギぼーずのパーティに欠かせない分析や俯瞰視点をもたらし、本人は魔法具(アーティファクト)よりもサブリーダー的な立ち位置としてメンバーの精神的支柱になっていたといえる。……いや精神的支柱? やや違うが、少なくともネギ・スプリングフィールドにとっては、神楽坂アスナや近衛木乃香に並んで彼の中で大きな存在であったといえる。

 

 へ、せっちゃん? せっちゃんはせっちゃんだから(語弊)。

 

 ちう様について語りだせばそれだけで大河内アキラ以上に語るべき点も多いのだが、そのあたりは桜咲刹那(せっちゃん)の変態性について語るのと並んでアレなのでここではいったん保留する。(ダーナ「仮にも自分の祖母相手にそんな口を利くから……、いや九郎丸含めて神鳴流が変態に目覚めやすいのは否定はしないが」ちゃおりん「アイヤ、久しぶりネこうして覗くのは」)

 

 なおチュウベェについては、色々と生物としての倫理観が違いすぎてアレというオチだった。

 

「とりあえずキティちゃんを抑え込む方法について、挙手!」

『みゅーみゅーみゅん?(●●●●●●しちゃえば?)』(※自主規制)

「倫理的にも個人的にも実行できない案を投げるな、この似非齧歯類めがッ!

 というか仮にも精霊もどきな妖魔のくせに何故そのあたりが人間の社会情勢ベースを無視するのだ貴様ァ!」

 

「キレ方がエヴァンジェリンとそっくりじゃねーか、相棒……」

『一応は親子らしいからな』

 

 おうおうわかってるじゃないか黒棒と、ちょっとだけご機嫌になった私だったが。そこはそこで本筋の部分じゃないし、どちらかといえばどう対処するべきかという話だ。

 

「ま、仮にあそこの廃城だったか? のところに行こうにも、絶対師匠の手の者というか妨害要員仕掛けられてんだろうし。ぶっちゃけ今の俺たちなら『倒そうと思えばすぐ倒せる』にしても、城で待ち構えるラスボス的な立場をとろうってのが難しいだろ」

『ふむ……』

「ま、そりゃーな」

『みゅーん?(WHY(なぜ)?)』

「つぶらな目ぇして抱き着こうとしてくるなよ鵺公(ぬえこう)がっ。まだ電子精霊のネズミ共の方が可愛げがある。

 ……で、相棒が言いたのはアレだろ? そもそも狭間の魔女が相棒に依頼した内容については相棒へのオーダーだけど、エヴァンジェリンに言ってた分も嘘じゃないとすると……、ある意味で相棒は二重スパイみたいな感じってわけだ。競争相手を全員に装っていながら、実際は黒幕な狭間の魔女と繋がってるって」

「まあそうなんだがなぁ……、よっと」

「おっ、サンキュー」

 

 みゅーんみゅーんと適当に相槌を打ちながら星月の胸元へダイブしようとしているチュウベェ。それを血装して作った小さい檻に閉じ込めてこちらに引き寄せて膝の上に置きながらアイデアを練るが、中々出てこない。

 

 原作におけるこの課題は、はるかな過去あるいは未来に位置しているだろう「狭間の空間」その真下から行ける、裏火星(魔法世界)のとある一角で行われている。当然魔物やら何やらは幻想生物らしくそこかしこに生息しており、それを不死身の化け物らしく乗り切りながら、目的地たる廃城に置かれた「狭間の城」への転移魔法陣を目指すというのが、本課題の基本的な流れだ。

 むろん、ボスキャラもいる――――目的地たる廃城の手前には、水・土・火・風(雷は「ネギま!」において風属性の上位にあたる、術式兵装「疾()()」しかり)の四体の上位精霊が、彼女の持つ廃城の守護を買って出ている。おそらくは召喚か契約かの形で縛られているのだろうが、ギリギリ頑張っても刀太たちが4日×十数周程度のやり直しをかけてようやく、といったところだ。

 

 そして一番大事なことだが、この四体の精霊は中々良い性格をしている。自分たちで勝手に四天王制を作って遊んでいたりするような連中と言えば、ニュアンスが伝わるだろうか。……まあ暇で暇で仕方ないが故の身内同士のお遊びのノリなのだろうが、そんな中に私みたいなのが入り込んで、キティちゃんと足を引っ張り合うような絵面を見てどう思うか。

 間違いなくおもちゃの類である。

 なのでおそらく、事情を説明してもロクな協力は得られまい。

 かといって、敵対したとしてもそれはそれで問題がある。原作の刀太たちが1体おおよそ5時間(おそらくキリヱ大明神の周回を除く)かけて倒し尽くしたという実力は、どう考えてもエヴァちゃんが相手をしたとしても十分すぎる足止めになるだろう。それを、こちらが無目的に倒すと言うのは、逆にキティちゃんのスピードランを早める結果にしかならない。

 

「どうしたものだろうか……」

『ふみゅー!? ふみゅー!?(犬〇家だよ!? 完全に〇神家だよアレ!?)』

「ん、どしたチュウベェ」

 

 と、色々考えている内に「第四の目」の視界に、膝の上から流れてくる思念。チュウベェの思念は大体エロいことか自分が可愛いことか早く元の姿に戻りたいことか(元の姿?)食事のことかで構成されているのだが、今回昇って来たのはそのどれでもない。イメージ映像としての「犬神〇の一族」でおなじみ、水に上半身が突き刺さり両脚が開いたまま死後硬直した水死体のイメージ映像と、それに混ざる「脚がベリーベリーおいしそうヤッター!」なる邪な感情だ。

 とりあえず檻を持ち上げてチュウベェの視線の先を追えば…………。うん、確かに〇田一なアレなことになってるやつだわ。

 

 しかもなんか、全裸っぽいというか、綺麗なお尻がこっちに見えてるし。

 そして「第四の目」越しには「息が苦しい」と「助けて」と「お父さん……」という絶望的な思念と、吸血鬼視力で見えるぶくぶくと泡立つ水面…………。

 

「いやもっと酷ェじゃねぇか!? というか全裸だぞアレ!」

 

 なんとなくいつかの夏凜に助けられた私を思い出しながらも、すぐさま死天化壮を形成して彼女(ヽヽ)の元へと急行する私だった。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「た……、助かた、ヨ、先輩…………。流石に死ぬかと思……たね……」

「いや、まぁあの状況で死ななかったっつーのは良いんだけどさ。それはそうとしてお前さん、いつ頃のメイリンだよ」

 

 時間は多少経過して夕暮れ。私の死天化壮の上着を身にまといながら、焚火に当たり震えているのは、ある意味で私が今こんなことになってる直因たるメイリンであった。服については何故か本当に一切身に着けておらず、なんなら他の道具の類も見当たらない。つまりは着の身着のまま、おそらく呪紋回路のみを身に着けた状態で放り出されているのが、今現在のメイリンであった。

 ただ、なんとなくだが私たちと接していた頃のメイリンよりは数年後のイメージである。不可抗力ではあるが全裸を見てしまったこともあるので、その、腰の括れやら胸元のボリュームやらに違いがあるのがなんとなく判ると言うか。あんまり言及するとセンシティブな話題になりそうだし、チュウベェが無駄に元気になりそうなので細かくは以下省略。

 

 流石に彼女の登場には星月は空気を読んで姿を消しており、黒棒もだんまり。チュウベェの絶叫がいい加減鬱陶しくなったので「第四の目」も切った。

 そんな状況での接触なのだが……、気まずい。というか、どうして私は私で別なお仕事を依頼しておきながら、こんな風に別な面倒事を寄越してくるんですかねお師匠(責任転化)。(ダーナ「送ったのはアタシだけど、そもそも一番悪いのはそこの女だし、アンタの所に流れ着いた(ヽヽヽヽヽ)のはアンタのせいみたいなものだからねぇ? それこそアタシ、何も悪くないさ」)

 

 さておき、私の確認にメイリンは苦笑いを浮かべてこちらを見る。……うむ、こうしてみるとなんとなくせっちゃん味もある顔立ちをしているように見えなくもないし、ますます以前のお師匠による情報爆弾の罪が重い(断定)。

 

「……全部終わった後、って言ったらいいかな。あ、いや、うん。…………怒られちゃった、てところだね」

「怒られた、とは」

「私が、未来を変えるためにダーナ師匠の所に行ってたのは、もう知ってると思うけれど…………、いや、まだ知らない? いや、その、察してるかもしれないけどさ。その、色々失敗して…………」

「まあ、何だっけ? いわゆるパラレルワールドが生まれるとかそういう話なんだろうから、失敗と一口に言っても――――」

「――――――――世界が滅亡した歴史が生まれちゃったって、おおいに折檻されました」

「――――あっそれはお前が悪い(断言)」

 

 少しは同情するとかしてくれない、かな!? と涙目でこちらを見てくるメイリンには悪いが、悪いがそれは庇える点が無い。

 元祖「ネギま!」における超鈴音(チャオ・リンシェン)、このメイリンの友人であるだろう彼女でさえ、タイムパラドックスのカルマからは逃れられていない――原作本編でネギぼーずたちが「異なる歴史」に飛ばされた結果、その歴史から過去に帰ったことで「異なる歴史」自体の軸は存在し続けているからだ。原作の当時描写では上書き系のタイムトラベル話かと思われていたが、最終回前後の描写からしてそのパラレルな歴史は歴史で今も存在し続けていることになっている。

 すなわち、あの天才たる超ですら歴史改変による失敗を犯している可能性があるのだ。あの歴史の超は超で別に存在するだろうから、おそらく色々調整するなりネギぼーずの代わりにヨルダと戦うなりをしたのだろうが、その結果次第ではあの歴史も滅んでいて不思議ではない。

 

 伊達に「ネギま!」も「UQ HOLDER!」もバトル少年漫画の世界ではない。メタ的に言えば、補正の効いた主人公という存在を欠いた世界など両価的(アンビバレント)不安定(アンバランス)なものだ。新たな主人公が立たなければ後は推して知るべしだろう。

 特異点。キーパーソン。起こり得ることについて、しいて言えばバタフライエフェクトであり、そう言う意味で言えば、このメイリンもそういったメタな話など知る由もないだろう。

 外部から俯瞰した時に、本人たちも気付かないレベルで過去、現在、あるいは未来において、その何某かが超重要な要素を担っているかなど、当事者たちには判断できないものだ。

 

 ある意味、私が原作崩壊に嘆きながらも、なんだかんだで原作ルートに寄せる(ヽヽヽ)ことを諦めていないのも、こういったことに由来する。橘一人がちょっと襲撃するのを見送っただけでここまでの私の頭痛が起きていることを思えば、よほど腹をくくらなければ積極的な原作改変になど臨めようはずもない。

 

 

 

 …………夏凜ちゃんさん?

 知らない女体、ではないですね…………(白目)。(ダーナ「目をそらさないだけまだマシって言うべきかねぇ」)

 

 

 

 いやその、夏凜についてはいずれキリヱとはまた違った意味で責任を取る必要がある訳だが、今それを考え出すと間違いなく鬱になるので思考の外へと投げっぱなしジャーマンすることにする。誰が何と言おうと問題はない(迫真)。

 

『(…………それもそーだけど、大河内のやつを堕としかけてるのだけは絶対言い訳できねーって相棒よぉ)』

 

 ちう様ボイスの星月が何か言った気がするが、良く聞こえないので問題はない(迫真)。ともあれそれ程の重大事案なのだから、師匠からの扱いも軽くなるはずはないのだ。

 

 

「つまり、罰として全裸で不法投棄されたと」

「ぜ、全裸じゃないよ? もともとは、その、流石にそこまで酷いことはダーナ師匠もしなかったんだけど、さ。…………、時空間の亀裂に飲み込まれて、色々やってるうちに服が消滅したっていうか、うん。せっかく過去で新調したスーツも全部なくなっちゃった、し。

 だから別に、あの人が悪いわけじゃ――――」

「いや、間違いなく師匠ってそこまで読んだうえでお前さん放り投げたと思う」

 

 断言する私に「えっ?」と困惑するメイリンだが、流石にそれくらいの滅茶苦茶ができるお人であることは一切疑っていない。それくらいの実績が原作でも今世でもあるし、なんならメイリンの側はともかく、私の方に投げて私に世話させると言うのにも何かしら意味を持たせていそうなお師匠だ。

 …………また私が知らないガバのペナルティか何かとか。

 

 い、いや、でも流石に今回は絶対ないと思うのですがそれは……。

 

「とりあえず服、どうにかしますかね。………………んー、なんならそれこそキティちゃんに頼み込んでみるか? 意外と面倒見良いからなぁ、キティちゃん」

「キティちゃん?」

 

 と、不思議そうな顔をするメイリンに「何でもねぇ」と言いつつ、私は立ち上がって、とりあえず食料でも探そうかとその場を後にしようとし。

 ひし、と。下半身に抱き着かれ、そのまま勢いで倒れた。

 

「……? えっ? いや、えっと、えっ? 何、どうしたんスかねメイリンさんや……?」

「い、いや、その、一人で残されそうになるのは、嫌だったっていうか」

 

 思いっきり下半身に抱き着く形で倒れ込んで来たメイリンだが、なんとなくその身体からは湿気やら水滴やらは取れている。もう乾いているというのに、メイリンはいまだに震えている。

 そして、気付いた。

 

「…………呪紋回路、もしかして壊れてたりするのか?」

「………………う、うん。だから今、本当の意味で魔法とか全然使えなくなってて……」

 

 そのまま震えながら、ぎゅっと私を抱きしめるメイリン。その身体から漂っている恐怖心は、流石に「第四の目(ザ・ハートアイ)」を(ひら)かずとも察することが出来た。

 

 

 

 …………そしてそれ以上に夏凜のことやらアキラさんのことやら何やらで悶々としている私に対して、ほぼ全裸のダイレクトアタック下半身に決めるの止めろ(戒め)。血流操作してなかったら眼前に「あらご立派」なことになりかねないんだぞこの美人め、エ□同人か貴様。

 一応は少年誌であることを忘れるなよなぁ……、原作を読め(無茶振り)。

 

 

 

(ダーナ「原作読んだら、アンタ確実に3人には手を出して責任取るのは確定してんだから、むしろ逆効果じゃないかねぇ? 描写は濁す必要はあるだろうが」)

 

 

 

 

 




それではよいお年を…もう数える程もないですが汗
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