光る風を超えて   作:黒兎可

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今回ちょっとルビがいつも以上に読みにくいかもですが、ネタ的に回避不能なんでご了承を汗


ST20.戦らないか

ST20.Can I Be Your Essence?

 

 

 

 

 

『おかしいとは思わなかったか? 今のお前の能力と、刀太の現状とを見比べて』

 

 課題クリアを刀太君に任せたまま、甚兵衛さんは僕と手合わせしながらアドバイスをしてくれてた。その際、投げかけられた中で一番、頭の中で引っ掛かりを覚えたやりとりだ。

 あの何だか格好良い鈍い光の剣を受け流しながら、僕はそれに疑問を返す。

 

『何が、おかしいんですか?』

『アイツの胸の傷、お前が付けたんだってな』

 

 思わず剣筋が鈍ったのを甚兵衛さんは見逃さない、ごくごく当たり前のような動きで、僕の上半身と下半身は両断された。転がる僕に「警戒が甘いぞ?」とニヤニヤ笑ってから、腰を押さえて膝をついた。……そう、甚兵衛さんはぎっくり腰状態のまま僕の手合わせをしてくれていた。いくら不死身だとはいえ、無理があると思ったのだけれど。気の使用を封じられた程度では、彼の防御は崩せないらしかった。

 

『すげー動揺すんのな、お前。完全に雌の顔してるぞ……』

『メス?! いや、僕はそんなんじゃ――――』

『しかも相当依存度が高いタイプだな。ありゃ吉原をぶらっと回ってたときにゴロツキから助けてやった奴がいてなぁ、ソイツがえらい「あんさんに嫁ぐ運命(さだめ)でありんす」なんて言ってストーカーまがいのことを仕掛けて―――――』

『僕はそんなんじゃないって、言ってるじゃないですか!』

 

 甚兵衛さんの語るエピソードに興味はあったけど、それを聞いていたら僕が同類扱いされてしまいそうで、思わず待ったをかけていた。何が楽しいのか、そんな僕をからかう様に大笑いする甚兵衛さん。

 

『まぁ何が言いたいかって言うとだな。お前、流派の技は見事なもんだが、まだ不死殺しとしての技術を「習得していない」だろ。にもかかわらず、アイツはきっちり不死者として「死んでいる」。

 延々再生を続けてるから死んでないように見えてるだけで、それこそ不死身の元栓みたいなモンを止められちまったら、完全に死ぬ奴だぞ』

『死…………ッ』

『本人が気に入ってるみたいだからまだ言わねぇけどな。胸の傷から血を取り出すって「制約」を作ることで、技とかの形を安定させているように見えるし』

 

 あーゆー独特な「能力」みたいな形にまとまっちまった戦い方っていうのは、それこそ儀式めいて来るからなぁ、と。甚兵衛さんの言葉に、僕は納得してしまった。刀太君は、何かの拍子に普段の胸の傷からすら「出血する」。それも鮮血、心臓から今にも元気に出力された、生きた血を。

 

『そのうち俺とか雪姫とかで塞ぐ手段を探さないといけねぇんだが、それはそれとしてだ。

 お前自身、俺に指摘されるまでそのことには気づいていたか?』

『…………その、深くは考えていませんでした』

『考えてなかった、というより俺には「違和感がなかった」ように見えるがな。刀太についてがじゃないぞ? お前自身が、不死殺しの力を振るうってことにだ』

『………………』

『まぁ深くは聞かねぇけど、俺の見立てでは、だ。どうにも刀太の心臓は、不死が殺されたとかじゃなくって、再生を「妨害されている」ような感じがする。あそこに変にいびつな力が存在し続けることで、再生自体を封印してるって寸法だ。

 それは言うなら、不死に限らない。お前が持っているだろうその力っていうのは、使いこなせていないその力っていうのは、もっと幅広く別な事にも使えるはずだ。と、まぁオッチャンはそう考えるわけだ』

『刀太君の、血風とかみたいに……』

『いや、そこまで自由度があるかどうかは知らねぇがな。アイツのアレはどっちかというと趣味だろ。デザインとか名前の漢字とか。無駄に洗練しようとしてるやつ』

『カッコイイですよね』

『えっ?』

『はい?』

『…………いや、まぁ、個人の趣味の話は置いといてだ。(蓼食う虫も好き好きだなコリャ)』

 

 結局、甚兵衛さんにはその詳細について話すことはなかったけれど。頭の片隅に入れながら、刀太君と一緒に試験の中で戦い続けてた。 でも、そこでふと気づいた。この戦いの中ですら、いつ刀太君が死んでもおかしくない事実に。

 例えば僕が傷をつけた心臓、そこを起点に攻撃されて死んだ場合――――。雪姫様の魔法で周辺の血が凍っただけでも能力を使えなくなったのだから、きっとその規模はけた違いに酷いことになる。

 地上に上がって緊張が解けた刀太君が気絶した姿を見た時もそうだ。不死身の強度で言えば僕と同じくらいかそれよりも強いように見えるのに、それに伴う生命力のようなものが足りない――――足りないというより、まるで変に制限がかかっているように見えた。

 あれだけの魔術的に強力な再生ができるのならば、本人はもっと余裕がないといけないはずだ。あそこまで疲労困憊といった風でいるのがおかしいように思った。それこそいくらデスクラッドでの慣れない戦闘を続けていたのだとしても、だ。

 だから、僕は相談することにした。……夏凜先輩相手なのは、なんて言ったらいいだろう。少なくともこの人は、僕や刀太君をそういう意図で害する人じゃない気がしたから。もちろん雪姫様たちにだって、相談しなければいけないんだけど、何故かそっちにはまだ決心がついていなかった。

 

 つまりもしかしたら、刀太君にかかった不死殺しを、僕だけの力で解けるかもと言う可能性について……。

 

 

 

「……僕の中には、一族、流派が脈々と受け継いできた『神刀』、その核とも呼べるものの力が眠っています。

 かつて僕自身が受けた不死身化実験っていうのは、最終目的としてその核を分離するた――――」

「ちょっと待ちなさい、自分の中だけで色々決着した上で話を切り出すんじゃありません。

 ちゃんと、一から事情を説明なさい。貴女の流派って言うのは……えっと……、何もかも情報が足りないわ」

「はい?」

 

 意を決して話し出した僕だったけど、夏凜先輩は「気が逸りすぎよ」と頭を撫でて諭した。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「実は源五郎パイセンとは、一回やってみたかったんスよねー」

「そうか。……ところでそのパイセンというのは止めてくれないか、まだそこまで仲良くないだろう」

「いやー、でも、パイセンはパイセンですし」

「甚兵衛さんは?」

「甚兵衛さん先輩」

「夏凜は?」

「夏凜ちゃん先輩」

「…………ホント、なんで僕だけパイセンなのか」

 

 とは言われても、私の中で源五郎はパイセン以外の何物でもないのだ、そこは仕方ないと思ってもらいたい。呼称に特別妙な親しみがあるのは、彼が公的な意味でも、そして私的な意味でも先輩と言えるからだろう。

 なにせこの真壁 源五郎、早々にネタバレするなら「この世界」をフィクションと捉えた場合の「現実世界」――――メタなことを言えば「UQ HOLDER!」の世界の外側からの「転生者」のようなものなのだ。そりゃ普通の意味で先輩と呼ぶのに違和感が出てしまうのも仕方ないだろう。とはいえ大先輩と呼ぼう物なら、甚兵衛さんをそう呼ばせようと強要してくることは原作的に目に見えている。

 なので、他の先輩たちより大きく親しみを込めて、パイセン。

 いくら困惑されても、私自身のスタンスを崩す予定はなかった。

 

 庭で距離を取る私たち。剣を構えながら肩をすくめる源五郎パイセンと、黒棒片手に左手を心臓に当てる私。一空はといえば建物の壁に背中を預けて、完全に観客を気取っていた。

 

「君とはそう多く話したわけでもないのだけれど、なんだか妙に懐かれた感じがするな。やれやれ……、僕も変なフラグを踏んだかな?」

「そういう訳じゃないかと。いや、まー、俺が踏んだわけでもないって言うか、どっちかというと――――」

「――なるほど。こういう話、好きかい?」

「嫌いではないッスかね。そこまで詳しい自信もないっていうか。

 ゲームとか全然、カアちゃんにさせてもらえなかったんで……、アプリは通信速度悪いから実質できないし、テレビ使おうにもカアちゃんが独占してたし」

「フッ、今度部屋に遊びに来ると良い。色々、選り取り見取りだ。布教用を貸してあげよう。

 今の君の格好だと、時代劇系オープンワールドゲーに丁度良いのがあってね。もちろん真っ黒な和服に赤いマフラーなんて装備も噛ませられる」

「そりゃ良いッスわ!」

 

 一空が「ずるいなぁ、僕も連れて行ってよ!」とか話していたので、軽く手を振ってこたえる。さっきもそうだったがこの男三人、なんだかそれなりに分かり合えるものがある気がする。仕事に直接関係ない範囲なんだろうが、出来れば仲良くやりたいものだ。

 

「ルールを決めよう。①相手を殺すのは禁止②建物や施設に被害の出る能力や技の禁止③今日の業務に差し障るレベルで回復できないダメージを与えることの禁止、あたりでどうかな」

「大丈夫じゃないッスかね。じゃあ……、俺だったら血風が使えない感じか」

「僕なら銃火器になるかな」

 

 まぁそんな感じで、と。勝利条件としては「ある程度のダメージで負けを認める」と合意が取れたので、早々「血装!」と叫ぶ。

 感覚としては「回天」している血と魔力、胸の内で収まっているそれを一瞬緩めると言えば良いか……。意識しないでも常に張っているような状態のそれを、むしろ意識的に緩めてやることで、胸の表裏から一気に血液と魔力を噴き出させる。噴き出したそいつらを血蹴板(スレッチ・ブレッシ)の要領で動かし、周囲に回転させる。この状態だと発動を妨害しようと接触しても、強制的に弾かれるので「変身」(迫真)完了までは多少時間稼ぎが出来るわけだ。

 そして次の段階として、外を覆う膜のように回転させてるそれを、徐々に徐々に首のマフラーとかを起点として、コート状に再形成する。この時ハッタリを利かせるため一度、血の幕を破裂させて衝撃波みたいなのを放っても良いし、黒棒で斬り払ってただ事ではない雰囲気を出しても良い。何にしても無味無臭のまま出てはいけない。味気ない(オサレポイントが下がる)

 とはいっても、今回は周辺に被害を出してはいけない縛りがあるため、上空に向けて黒棒で描いた円を起点に「血風」を放つ。放った血風に従って円運動が円柱のような形に変化し、徐々に消えていくのに合わせてコートの形成へと回す……。この演出が地味に大変というか、一気に完成したように見えないよう、でもそれなりに高速で完了するよう練習するのが大変だった。

 

「――――死天化壮(デスクラッド)

 

 渾身の発動モーションは果たして。一空は口笛を吹き、源五郎パイセンは眼鏡のつるを抑えた。きらりと光り視線が見えない。

 

「じゃ、準備も終わったんで……、やりますか」

「…………」

「源五郎パイセン?」

「……いや、僕もそういうのを考えておけば良かったかなってね」

「あはは……」

 

 いやとはいえ、貴方ってば要するに若い桐〇ちゃん(レジェンドドラゴン)な立場に転生したのだから、そういうジャンルとは無縁なのではと思わなくもない。下手に脱がれて入れ墨でも出されたって困るし。ゲーム演出って意味では、どっちかといえばメスキ〇グ(子供向けアーケードの飽くなき限界挑戦)とかならまだ分からなくもないが、そのあたり私の前世ともズレた世界なのだろうから、上手い表現を言えないので励ましようもない。(寂寥)

 

 とにもかくにもそこからの勝負は、驚くべきことにほぼ一瞬で決着した。

 

「――――っ!」

 

 死天化壮のフードを下げたと同時に高速移動で背後に回ろうとした矢先、彼は自分の「腹部を刀で貫いた」。一瞬の出来事に一空も、そして私も頭が真っ白になる。事前に彼の不死身がどういうものか原作で知っていたとは言え、あんまりにもあんまりな、いきなりすぎる躊躇いの無さだった。

 源五郎パイセンの能力というのは、不死身能力自体もそこに依存しているものである。いわゆる異世界転生小説にありがちな「スキル」――――「この世界で」観測できる範囲で言えば、ゲームのロジック、スキルやシステムを現実世界に適用、転用できる能力だ。

 例えばゲームのステータスウィンドウ。その気になれば彼の目には私や、私だけじゃないその他様々な情報が大量に羅列されていることになる。名前、年齢、通称、所有能力、称号、身体能力などなど、テキストだったり数値化されていたりするものがだ。

 それと同様に、彼は残機制を採用している――――。つまり、死んだら今の残機を一つ減らし、好きな形で再開することが出来るのだ。いや、だからと言って自分で自分を殺すのはルール違反じゃないからとか、やはりこの人も普通かと思いきや正気じゃないか!?

 

 今回は「死んだ自分の身体を」「完全な状態に戻して」リスタートとなったらしい。そして全身にほんのり緑のオーラを纏っていて、胸元には文字のエフェクトが浮かんでいる。3.00と描かれているそれは、彼のリスポーン時点での無敵時間3秒を現しているのだ。

 しかし、いくらこちらの能力的なものを読んだからとはいえ、躊躇いがなさすぎるぞ! まだ残機に余裕があるのだろうが、そうポンポン勝手に死ぬんじゃない、気楽に死なれて致命的なガバが発生したらどうするんだ、責任とれないだろアンタ! いい加減にしろ!(恐怖)

 

「――――もらった」

「っ!」

 

 そして彼は、その無敵状態のまま意表をついた私に、それこそ〇突(Your head belongs to me!)としか言いようのない突撃をかましてくる。

 見てから反応できない速度ではないが、そこで「斬」より「突」を選択するところの意地が悪い。受け流し辛い間合いに入った状態で動くものだから、瞬間的に混乱し判断に秒単位の遅れが――――。

 

「こなくそ!」

「っ!」

 

 とはいえ私自身も大概、諦めが悪かった。その姿勢の状態で無理やり足場を、未だ出来損ないの「瞬動術」で蹴る。ブーツ状に形成されていた血蹴板を無理に蹴り飛ばし、しかし死天化壮での加速を殺しきることはできず、あらぬ方向に私は飛んで行った。

 それはもう、ギャグ漫画みたいなぶっ飛び様であったろう。ほんの少し雪姫に京都まで飛ばされた時のことを思い出すような、そんな無重力感だった。とはいえ秒も持たず、あっという間に庭先に鼻先から激突して転がりまくった。…………いやいや待て痛い痛い痛いっ! 顔面とかにジャリだの石だの刺さったり入ったりしまくってるっての!?

 起き上がりながら異物を吐き出しつつ、あっという間に再生する私であったが。勢いで解除された死天化壮やらもあり尻もちをついたような状態では、流石に太刀打ちできない。す、と首元に源五郎パイセンの剣が当てられ、勝負ありであった。

 

「なるほど。…………不死者なりたてという意味じゃ、確かに悪くはないかな。でも君のそれだけで甚兵衛さんの『イレカエ』を防げるとは思わないけれど……」

「あー、一応ハンデっていうか、教導のために新技つくってましたね。甚兵衛さん。『断空剣(だんくうけん)』とか言ったかな……、それで黒棒の使い方とか、技の使い方とか見てくれました」

「何…………、だと…………?」

 

 何それカッコイイ、とかぼそっとつぶやきが聞こえた気がするが、それはともかく。実際これに遠距離範囲攻撃みたいなのを織り交ぜてると話すと、源五郎パイセンは納得したように手を貸してくれた。……私を引き上げてから急に空中で指をすらーすらーとでも言うように上下に動かしてるのは、明らかに今までの甚兵衛相手のログでも辿って「断空剣」関係のログでも見ようとしているな。本当、師匠好きすぎかこの人? まぁ好きなんだろうこの人。

 何とも言えない顔をしていると、一空が「やーやーやー」と楽し気に腕を広げて、まるで歓迎でもするように歩いてきた。

 

「やー、結構面白かったね。制限ありだからジャンケン勝負みたいに一瞬だったって風に見えたけど、スローカメラで見たら結構高度なことしててびっくりだ。で、先輩としてアドバイスと言うか、そういうのはしてあげたらどうですかね?」

「そうかな? うん。……、剣を使ってはいるけど、戦い方だけで言えば君は銃器か、そうでなければ弓をつかってるようなものだね。話を聞く限りこう、遠距離で延々と壁ハメし続ける感じまでは行かないにしても」

「鋭いと言えば鋭い!」

 

 源五郎パイセンの講評に思わず素で答えてしまった。いや、そもそもベースになった斬〇(知らないオッサン)〇月(ホワイトな兄ちゃん)が意図しただろう設計としてまさにそういう運用前提なのだが。もっともその弾丸とか矢に該当するものは霊子(オサレ)だったりするので現実のそれに当てはめるのは難しいのだが。

 

「いきなり死んだものだから、かなりびっくりしたッスよ……」

「すまないね。でも、この通り。僕の不死身は『残機制』をとっている。ある条件で増える残機を一つ消費して、その分の生命をこの世界に出現させると言った感じだ」

「とはいえ、目の前でポンポン死ぬのは止めて欲しいッスよ」

「あれだけ大量に血を出していた君がそれを言うか…………。いや、でも、そうだね。

 話題はずれるけど、さっきの最後は瞬動術が完成していたら、また違った戦い方が出来たんじゃないかなとは思う」

「あー、それはやってて俺も思ったッスね。たぶん、ちゃんと瞬動できるんなら、高速移動したベクトルも全部意図した方向に転換できるんでしょうし」

 

 負けたとはいえ収穫もあった。これが命のやりとりを伴っていないというのが何よりうれしく……、そして顔面に刺さったジャリが新たなトラウマだった。あの痛さは、ちょっと忘れられない。生えて来はしたが前歯も一気に全部削られて無くなったし、正直二度と勘弁してほしいタイプの痛みの一つだ。

 悔しくないわけではないが怒りは伴わず、しかし心はささくれ立っていた。

 

 二人の先輩たちと別れると、視界の端で目と目が合う。夏凜と九郎丸がいつの間にか戻ってきていた。私に気づくと、夏凜はにこりと柔らかい笑みを浮かべ……だからそうダメージを負った心相手にそんな顔向けるな、好きになっちゃったらどうしてくれるッ!?(混乱) 一方の九郎丸は、どこか落ち着かない様子で長ランの裾を握っていた。

 

「あー、どうしたんだ? 九郎丸」

「……と、刀太君……っ」

「何だよ、何かあったか? 夏凜ちゃんさんに女だってバレたとか、男じゃないってバレたとか、チン〇付いてないってバレたとか」

「ぜ、全然違うから! っていうかチン〇言うな!」

 

 よしよしその調子。一瞬怒鳴って元気が出た九郎丸だったが、しかし顔をより赤くさせて、目を下に向けてしまった。一体どうしたというのか。背後でそっと、夏凜が九郎丸の耳に何事か囁く。びくん、と震える様はまるで悪魔の囁きか何かなのだが…………。

 そして九郎丸は、私の両肩を掴み。

 

 

  

「刀太君、ぼ、僕と……僕と、ぱ、魔法使いの仮契約(パクティオー)しないか?」

「……は?」

 

 

 

 私の思考回路が、ガバの音を立てて崩壊した。

 原作……、原作ドコ……?(迷子)

 

 

 

 

 

(???「これは、流石に可哀相だね……」)

 

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