>1-6. 帆乃香、勇魚が見つけて来た祖母の披露宴録画DVDをチャン刀と一緒に見る話
エピソード的には ST56.5 です。
後付けネタなので若干当時と矛盾箇所はあるかもしれませんが、そこはゆるく脳内補完でご調整お願いします…圧倒的に「ネギま!」注意
ST202.Memento Mori:The Daemon That Shouted Love At The Heart On The Bridge
「――――ほな、革命や!」
「くっ! また負けてしまいましたか……」
「いや、そう思うのはまだ早いぜ?」
「な、何やてお兄さま!」
「どういうことです、お兄様!」
そろったクイーン4枚を提示してドヤ顔をしている帆乃香に、私は4枚揃った7のカードを提示する。革命返しである。「ふぇええ~!?」と声を上げてその場にぱたんと倒れる妹チャン、帆乃香であるが、まあ単なるリアクション芸の類だし自分から落ちてるからそう痛くもないだろう。黒髪ロングの非常に「ネギま!」で見覚えのあるのほほんとした、しかし同時に活発そうな容姿の少女は、倒れながらも楽しそうである。
わざわざ庇う必要もないかと判断しつつ、カードを出していくと「あ、私、勝てたわ……」と妹チャン、勇魚がほっと息をついた。こちらはサイドテール姿のまま、借りてきた猫のように椅子の上で正座しながらカードをおっかなびっくり出したりしていたのだが、こちらもこちらでやっぱり「ネギま!」で見覚えのある凛々しい少女剣士らしい、しかし同時にちょっと内気そうな雰囲気の微笑みであった。
場所は一等地のマンション……、というか「お母さん」の現在の住居らしい場所のリビングである。時刻は思いっきりお昼過ぎ。午後の授業をぶっちぎったまま、私は生き別れ(?)の妹チャン共と戯れている最中であった。そもそもここで学校に帰らずにいたのは、姉である帆乃香の方が我々の今現在関わってる事件の情報を得ているという事情からだ。それが、聞き出すために残ったらあれよあれよといつの間にか学校へ帰る時刻を過ぎ、もうどうしようもないからせっかくだし兄妹仲良く三人で遊ぼうな! という彼女の提案に流され、色々とトランプやったりボードゲームやったり五目並べをやったりと中々適当なところである。
テレビもつけっぱなしだし完全にくつろいでいる妹ちゃん達であるが、妙にこの高く嬉しそうなテンションを前にすると、断るに断り辛い。カトラスの時と違い明確に「妹」であると納得できるせいもあるだろうが、こうやって頼られると
ともあれ「急に出て来た」例の羊羹の残りを摘まんでお茶を飲んで、バラエティを見つつツッコミを入れたり刑事ドラマを見てツッコミを入れたり……、いや本当に語るような内容がないよう(激うまギャグ)。私としてはひたすらに「見知らぬ」妹たちが可愛いという他ないが、時々そのうちの片方が顔を赤らめたり妙な視線を送ってくるので、お前それ止めろと言う話である。何かこう、べたべたする感じも帆乃香のほうがカラっとしてるのに対して、勇魚のほうはこう湿りっ気がありそうというか……。
「――――さま? お兄さま? 聞いとるん?」
「はい? いや、どうした」
「どーしたやないで? ほら、近衛本家の話?」
「本家?」
困惑する私に、勇魚と帆乃香がそろって頷く。こういうところは双子っぽいな、顔のパーツこそ大体一緒だが容姿としてはまあまあ違いはあるのだが。
「京都の方、京都の方や。陽明門!
まあよくわからんけど、藤原の流れを汲んでたよーな。どうやったっけ?」
「正しいです、お嬢様。私たちも戸籍謄本では
「名前、長っ(素直)」
あー、つまり? 今の言いまわしが正しいとすると、少なくともこの二人は近衛本家から正式な扱いを受けている、つまり
藤原朝臣というと源流は中臣鎌足が大化の改新以降に授けられたものであるし、近衛といえばそこから派生した血筋で摂政・関白なんかもこなしていたいわゆる「かなりの」血筋である。そこからどう派生して現在の関西呪術協会(現存してるよな、この時代……?)に繋がっているかは定かではないが、ともあれその血筋なのは原作やらこのちゃん、およびついさっきの帆乃香の詠唱やらから判別はできる。
いや、それはそうとしてその話も当然のように私が知ってるのは原作的にガバでしかないんで止めなさい(戒め)。
いきなり話題はそらせないので、徐々に徐々に誤魔化しながら話を遠ざける他ないか……。
「で、その京都の実家がどーしたって?」
「そのうち遊び行かん? ってお話や」
せっかく再会できたんやし、お兄さまもお母さまのお父さまにお会いせなー、などと宣う帆乃香である。どうでも良いがテレビ手前のソファで私を挟むように左右に近衛姉妹が座っている形になっているんので、ありていに言って距離が近く、えらい甘えてきよるから何ともやんちゃやなぁ思います(京弁風)。
というか、お母様のお父様? 普通にお祖父様では問題があるのか? 原作的に帆乃香やら勇魚やらは、近衛刀太とそう違いはないだろうクローンの類であると言う匂わせは存在したが、その出自から考えれば彼女たちも祖父にあたる存在はネギぼーずになるはずであって、そうなるといや、ううんどういうことだってばよ(NARUT〇並感)。
「お、お兄様、あ~ん……」
「んぐ」
そして唐突に羊羹をカットしたものを一つ刺し、手を差し出してくる勇魚の動きに反射的に応じてしまった。むぐむぐと咀嚼する私に、やはり顔を赤らめて逸らす勇魚である。
とりあえず意味不明に照れてる彼女の頭を軽く撫でて妹扱いを強行しつつ、いやいやではあるが帆乃香の話の続きを促した。
「京都もなー、あっちも何や私ら生まれるよりちょっと前くらいに魔素汚染とかあったみたいで、観光名所もぎょうさん封鎖されとるらしいし。
「月詠師匠と和尚だけでなく、それはもう総動員されていたとお母様から聞きました」
「へぇ…………、って、両面宿儺?」
「大怪獣や!」「大怪獣ですね!」
何故そんなところで息ぴったりなのかこの二人は。謎のシンクロに苦笑いが浮かぶが、そろって一緒にこちらの顔を覗き込んでくる様が完全にこのせつのそれで、やはりどこかでこのせつ過激派に監視されていやしないか、過激派から殺されやしないかと内心震えが止まらない。
と、せや! と帆乃香が立ち上がりどたどたと幼児のように足音を立てて走っていく。テレビの横の本棚(上にこのせつマトリョーシカのような記念写真が立てかけられている)の底から、本ではない映像ディスクをいくつか漁り。
「あったわ、じゃじゃーん! お祖母様たちの結婚式の映像や! お兄さま、記憶とか色々ないみたいやし、血のつながりの確認みたいな話で、せっかくやし皆で見よか!」
「止めよう(震え声)」
「ふぇぇ?」「お兄様?」
「止めよう(震え声)」
そうや遊んでてちょっと忘れてたけどこの子ったらお口にチャックが出来ないタイプの女の子でしたね(無慈悲)。完全に私が知らないと言うか近衛刀太がこの時点で知ってはいけないような情報を次から次へとポンポン言い放つタイプの妹ちゃんである。
そう、その手に掲げられていたそれは「結婚式」とだけ書かれたDVDだかBlu-rayだかその後継規格だかの映像ディスク。家庭用の非常にシンプルなそれは誰かが適当に撮影したのを配布して周ったろうことが察せられて、なんとなく「ネギま!」的には朝倉和美あたりの作だろうという気がしてきた。こういう時、いの一番に映像やら写真やらを撮影してそうな女子中学生(「ネギま!」時)筆頭であるし、大人になってからもそれは変わるまい。
ただそれはそうと、原作ファンとして見たいような見たくないような言い知れぬ何とも言えないファン心理はあるにはあるのだが、絶対ガバ一直線だから や め ろ(威圧)。
「じゃあ、かけるわー」
「止めようって言ったろ!? いや何で普通に入れてんだよっ!!? あっ挿入すんなや! というか勇魚、離せっ、
「い、いえ、私もなんとなく見たい気がしましたし、お嬢様に粗相するのは、いくらお兄さまといえど、その……(それにお兄様の腕もしっかりしてて温かいし、これはこれで……)」
何か聞いてはいけないボソボソが聞こえた気がするが全力で聞かなかったことにするぞ(断言)。
ちょっと嬉しそうに照れながらそんなことを言ってくる勇魚に白目を剥きかけ、しかし今から無理に血装して振り払ったりするのもちょっと違うなあと出来たお兄ちゃん的な心理が働く。そんなままに、あれよあれよと言う間に帆乃香が外部出力にチャンネルを切り替え、あっという間にチャプターから再生がかかる。
どうやら披露宴自体は外で行われたらしい。ばくばくと料理にがっついているのはアーニャか? 見た目はだいぶ変わっているが髪型やら何やらはそのまま似たようなものであるが、何かちょっとイライラしているように見えなくもない。ステージでは4人ほどバンドみたいに結集して歌を歌ってる。うーんこの「でこぴんロケット」(大麻帆良祭臨時結成バンド)、髪を伸ばしてる和泉亜子は、他の三人と一緒に必死になって楽器を弾いたり歌ったりしている。おそらく社会人になってからそれなりにお仕事が忙しいだろうに、結婚式のためにわざわざ色々頑張って練習してきたということだろう。そんな彼女たちを見てニヤニヤ笑いながら呑んでる長谷川千雨は、タブレット越しに不満そうなエヴァちゃんを宥める茶々丸とあーでもないこうでもないと何やら話している。
そして、そんな軽音的出し物に「頑張れ!」と手を振る2名は、サイドテールを止めてる佐々木まき絵のとなりに、見間違える訳がないロングなヘアーをカットすれどその長身にぐんばつなスタイルと安心感を与えてくれる声掛けをしてる大河内アキラ!? うわっ美人……。ナチュラルメイクで口紅は塗っていないが、その分だけ少し幼く見えて私的には色々とスリーストライクでバッターアウトである(意味不明)。パーティドレスが多い中一人だけキャビンアテンダント的服装のままなあたり、お仕事忙しい中でもちゃんと頑張って出席したことが伺える。後なんとなく、もっと露出が過激な衣装でも用意されていたのを拒否したんじゃないかと思うくらいには、画面の隅で
しかしおや? ネギぼーずの姿が見当たらないな。鳴滝姉妹がいないのはおそらく子育てが忙しいのと距離が離れすぎているからだろうが(時期的にもう裏火星で結婚してるはず)、声だけでもコタロー君と夏美姉ちゃんが確認できたりするので、何というか色々カオスだ。
…………って、何で龍宮隊長はウェイターの格好して給仕してらっしゃるんですかね。アルバイトですかそうですか、と想像がつくくらいにはアレだが、和装で来ている長瀬楓から煽られて銃を構えるあたりは相変わらずといったところだ。
「どしたん? お兄さま。何で涙ぐんどるん?」
「い、いや…………」
しかしこれは、何と言ったら良いか……。妙な感動があるというか、あくまでもワンカットだが、自分の知ってる誰かのその後の「落ちぶれていない」姿を見ているようなものなので、決して当事者ではないにも関わらず異様なカタルシスが込み上げて来ていた。ついでに言えばおかっぱくらいに髪を伸ばした春日美空が、猫目になって画面外を見ているのが印象的であるが、その視線の先は果たして――――。
『うぇっぐ…………、えっぐ…………、3-Aを代表いだじまじでぇ、
『いいんちょがんばれー!』
『おう、一発カマしたれやッ! って、ヒッ』
『――――』
『ち、ちづ姉、またネギを構えて……』
――――今この場に来れない明日菜さんの代わりに、盛大なお祝いを! とぐずぐずに泣き崩れながらな委員長こと雪広あやかには、何というか同情のような、相変わらずだなぁというような、何とも言えない感想が湧いてくる。湧いてくるが、それはそうとしてその背後にある巨大ネギ先生バルーンは一体何なんですかね(震え声)。「いっぱいやなーせっちゃん」とかこのちゃんの声が聞こえるが、いわゆる「ネギま!」当時の十歳前後のネギぼーずを象った大型バルーンが数個ふわんふわん浮かんでいて不気味である。「このネギ先生へのわたくしたちの愛! 愛! 愛!」とか言いだしたあたりで顔を真っ赤にするまき絵に、ちょっと嫌な予感がしているのか顔が青いアキラさんだが、多分正解だろう。また何か仕掛けがあるんのだろうと思いはするが、ここで一瞬画面が乱れて暗転、大騒ぎに。まあ、うん、何かやったか失敗したかあったんだろうなぁとは思えるが、次に画面に映ったのがドアップのザジしゃんだったりするので、そうですか撮影担当はあなたですかと何とも妙な気持である。
というか当たり前のようにステージの後ろの方に木乃香(大人版)と刹那(大人版)の石膏像が飾られてるので、うん、まあ、委員長は本当に委員長だということだろう。
「何や知らない人、めっちゃ多いわ~」
「しかし見覚えのある顔も何人か。いえそれにしても、シスターがお若い……」
場面は変わり、火星代表なのかゲーデルもスピーチしたり、タカミチも何かコメントを残したりと一通り終わった後、祝電の中に「超鈴音」(皆大好き超りん)や「青山」(神鳴流宗家)があるのはまだしも、しれっと「浦島」(ラブひな!)とか「神戸」(A・Iが止まらない!)とかあったのは何なんスかね、赤松作品クロスオーバー的なアレなのか、あくまでカメオ出演とかの類なのか。
後こう、麻帆良の先生方も他にも色々映ってはいるが、映像の中だけで言えばほとんど加齢を感じさせないのは流石に魔法使いらしい魔法使いなのか。唯一、
そしてビンゴ大会の直前に、雷がステージに落ちて来た!? とすわ何事かと驚く間もなく、ばちばちと電撃を解除しながら姿を現したのは。
『やあ、すみません。ちょっと立て込んでいまして、遅れてしまいました』
「大人バージョ――――」
「「お祖父―――――」」
『
「「「うわ、音すごいデカい!!!」」」
三人そろって両手で耳を追ってしまったが、音圧が実際それくらい大変なことになっていた。一番声が大きかったのは
ご存知、我らがネギぼーずである。ややぼさっとした赤毛に甘いマスクと「声変わり」した声。アニメ的にはCVが代わっていそうな響きだが、だからといって父親の声とも違う。これに関してはこの世界がアニメではなく現実のそれだからこその違いだろうが、ともあれしれっと長身大人バージョンの恰好で、スーツ姿で「降ってきた」らしい。いや、おそらくは雷の速度で超特急で向かってきたのだろうが、その余波らしきものが何一つ出てないあたり、その技の完成度と熟達具合が伺える。
そしてそんな困ったように頭を掻くネギぼーずからカメラは動き、上段、奥の方に座る二名へとフォーカスされる。
『ネギ君、あんま無茶しちゃいかんよー? 明日菜に怒られるで?』
『本日ももっと終わり際の予定だったはずなのに、急ぎ過ぎでは? ネギ先生』
共に和装。ただし女物の恰好なのは木乃香の方で、刹那の方は男物の恰好をしている。お互い身長が伸び、スタイルもそれに応じて育っており、さらしは巻いていないのか、ちゃんと大人の女性であることがわかるようになっていた。
こうして見れば見る程、帆乃香と勇魚にそっくりで、思わず両脇の二人と見比べてしまう私である。対する二人は「えっへん!」と小さい子のように胸を張ってドヤっとした感じであり、まあこれはこれで可愛いかった。
ただ、そんな二人はおいておいて。画面の向こう、過去のこのせつにちょっとばかし違和感を抱いた私である。訝し気に画面を集中して見ていると。
『――――今、ズームしますね。近衛刀太』
「Fa!?」
おっと、思わず変な声が……。いや、というかいきなり名指しされたのだが、えっ? いや、何ちょっと待って、何がどういうことだってばよ……? ザジ・レイニーデイの声はそう「当時は存在もしていなかったはずの」私の名前を呼び、声をかけ、言葉の通りにその「違和感の元」へとズームしていく。
最初にズームされたのは二人の表情だ。木乃香の方はどこかお姉ちゃんが弟を心配するようなそんな雰囲気が少し強かったが、対する横の刹那のネギぼーずを見る目はどこか熱っぽい気がする。いや、まあせっちゃん変態さんだし(風評被害)、大人ネギぼーずに色目を使っても不思議はないのだが、それはそうとカメラはそんな二人の上から下にズレていって…………。
「その、膨らんだお腹の目的は……?」
『――――二人とも、およそ五カ月といったところでしょうか』
…………その、えっとですね? このちゃんも、せっちゃんも、どちらのお腹もその、なんとなーくこう、丸く膨らんでいたと言いますかですね(大混乱)。
いよいよ動揺が限界を超えた私は、この後の映像についてはいまいちしっかり見ることができず、すっかり内容が消し飛んでしまった。そうだ、これは悪い夢だ、と言わんばかりに、ある種の幻として処理したい類の話である。
あっっっっるぇ? でで、出来ちゃった結婚っ!? 出来ちゃった結婚だと!!? 馬鹿な、相手は誰だぶっ飛ばすぞ!!?(暴論) もしやキスで赤ちゃんが生まれる魔法シリーズ……、完成していたの?(白目)