誤字報告とか感想とか評価とか・・・毎度毎度ありがとうございますナ(再度テールの誤字は流石に酷かった・・・)
ST22.Your Name Is "Lost Memory"
どうやら扱い方は本当に原作に寄ってるのか、ネギま!? と違い従者本人がカードを使用する、つまりドローする形式がとられるらしい。
『
詠唱が始まった瞬間、九郎丸の胸元から光が三つ現れ、それぞれ周囲に虹色に輝くカードとなる。それらが高速で円を描くように回転し、さながら変身バンクのようにも見えた。実際アニメでの使われ方も変身ヒロイン的な扱いのそれなので、間違っている演出ではないのだろうが……、いざ背景に仙境館の建物をすえると、何とも名状しがたい気持ちになる。
そして「アデアット!」の言葉と共に、右手を前に突き出す九郎丸。と、その手に何か自動的にカードが一枚収まり、ばりばりと音を立てて虹色が剥げていった。
・11
・すかかーど
・「けんけーん!」
・とくいわざ:いちず
・すきなの:しゅぎょー、とうたくん
・くろうまる ときさか
・みずなきどりぞくあほうどりか
「あれ、何これ――――わっ!」
煙と光を伴い、一瞬のうちに九郎丸の頭身が低くなる。まるでゆるキャラか何かのように圧倒的な小ささになったその姿は、毛先が黒い白い鳥……の着ぐるみを着用した、ゆるキャラのような姿になった九郎丸だった。
小さくなった九郎丸に、雪姫は大爆笑。夏凜は「か、かわいい……!」と何か戦慄するような顔。あと気のせいでなければ、ものすごい大きな声で遠方からきゃっきゃとしたものが聞こえたのだが、ひょっとしたらキリヱだろうか。いまだ面識がないので確たることは言えないのだが、出来れば今回はスルーして欲しい所である……、頼むからこれ以上ガバにガバを上塗りしないで。(懇願)
きょとんとした顔の九郎丸。仕草は幼児めいているが、そのままきょろきょろと周囲を見回して私を見上げると、愕然としたように叫んだ。
「と、とうたくんすっごいそだってる!」
「お前が小さくなったんだよなぁ……」
「そ、そんなばかなっ!?」
やはりいつ見ても世界観崩壊どころの騒ぎじゃないんだよなぁ……。
あと「大きくなってる」じゃなく「育ってる」と形容したところに、世間擦れしてない小さな女の子らしさを感じて何故か涙が浮かんだ。
「ま、ま、まあぁ、それがスカカードだ、ハハハ、全く想像以上に酷いなぁ、ハハハ!」
「雪姫様、つまり……」
「要はハズレのカードだ。
通常のパクティオーでも失敗した際に生成されるカードはああした『へちょむくれ』だが、ネオパクティオーカードの場合は強制的にその姿を本人、周囲へ『幻術として』機能させる訳だ。
結果、当人の能力は劇的に制限されて、場合によっては精神まで幼児化するのだが……、流石に不死者だからか、意外としっかりしてるな」
「ゆ、ゆきひめさん! これ、もどらない……!」
「嗚呼、一応通常のパクティオーカードと同様に『
まぁ後は、ちょっと腹が減るくらいだ我慢しろ」
「なんでおなかが……、えっと、
全身が光り輝き、再び九郎丸の姿に。尻もちをついた状態の九郎丸の周囲に、飛び散った光が収束して左胸のポケットに吸い込まれた。
どうだったかと雪姫がからかう様に問いかけるが、九郎丸は引きつった表情で胸ポケットから「ネオパクティオーカード」本体を取り出した。
「…………確かに、これは遊びの要素が強すぎて戦闘には向かないですね」
カード自体は原作UQホルダーで見た九郎丸本人のパクティオーカードなのだが、カードの下地が深い寒色系。魔法陣の模様がどこかバーコード風で、かつ上部中央、下部二か所にオーブのような模様が描かれていた。
私の手元にある九郎丸のカードもそう差がなく、なるほど確かに通常のパクティオーカードとは違うとよくわかる。一歩間違えるとデータカードダス系なのではと疑ってしまうような、変な凝り方だった。オーブのところだけ微妙にラメが入ってたりするし。
「まあでも、意外と空気は読んでくれると聞くぞ?
私の知り合いの『
私生活じゃそこそこの頻度でスカを引いてチュパカブラになっていたりしたが、実戦においては無問題だったし」
「「チュパカブラ?」」
「えっと、雪姫、たぶん二人には伝わらないんじゃね? アレアレ、UMAというか、幻獣というか、そんな感じの奴。あんまり可愛くない」
「まぁ現代吸血鬼のイメージとしては確かに酷いものの一例だな。
…………さて、もう一回やってみろ。連続でスカを引くほどお前、運悪くないだろうし」
「ほ、本当ですよね……?」
「断言はせんが、別にアレもアレで良いじゃないか。かわいくて」
「僕としては結構真面目に修行というかがしたいんですけど……」
そう言いながらもちゃんと立ち上がり、次のアデアットの準備に入る当たり九郎丸は押しに弱い。伊達に原作でも「何でも言うことを聞く」勝負に負けた時に「へ、変な事か? 変な事でもするのか!?」とか新手の
『
だが今度は空気を読んでくれたのか。カッ! と目を見開いてドローした九郎丸のカードは、虹色がべりべりと剥がれて光となって消えながら現れたそのカードは。
・ARMOR CARD
・KUROUMARU TOKISAKA
・RANK:Lightning Sword
・EQUIP:Sacred Sword HINAMORI
「おぉ、二回目とはいえ早速アーマーを引くとはやるなぁ……(私の時は全然スカしか来なかったのに)」
雪姫が感心したように言いながらボソっと恨み節みたいなのを呟いていた。残念ながら聞こえるんだよなぁ……。というか雪姫というよりエヴァンジェリンのスカカード? 確か黒ウサギだったか、一体誰相手に仮契約をしたものなのやら。
そしてカードが一瞬光り輝き、九郎丸の全身を包み込むと……、白い王子様風なんだかロックミュージシャン風なんだか判断が難しい感じの姿。フリンジ袖から垂れているのがめっちゃひらひらしてて、しかし下半身はロングスカートタイプで袴にも見える。全体に走るラインは深い緑で、どっかで見たことあるようなないようなという雰囲気もあって……、デザイン誰だこれ。(素朴な疑問)
背中には長い太刀が一つ。髪型は普段のサイドテールとは別に金色のサイドテールが反対側から垂れていて、ツインテールじみて見えるなんとも言えない塩梅だった。
しばらく自分の身体を見比べて、足元に落ちていた普段の刀を拾って軽く素振りする九郎丸だったが。
「……なんか、身体が軽すぎて気持ちが悪いです」
「まあ下手に鍛えてるせいで普段と勝手が違いすぎるんだろうな」
なんだか本末転倒みたいなことを言い出したが、それ活かすことが出来ないのだとするとお前、ファーストキスのし損になる気がするが良いのか……? いくら原作前後のレベルとか、現時点での好感度に色々疑念を抱いている身であるのだとしても、流石に罪悪感がわいてくるのだが。
「とはいえ背中のそのアーティファクトを見てみろ。きっと通常のパクティオーよりも、よりお前の本質に近いものを引き当てられているはずだ」
「本質……? あれ?」
と、九郎丸はその太刀を一目見て、愕然としていた。本当に、あまりに驚きすぎたのか微動だにしない九郎丸に雪姫も夏凜も不審げに、心配そうになる。私は私で先ほど九郎丸が呼び出したカードのデータを見ようと、変身に合わせて変化したネオパクティオーカードの主側を見ていた。
「…………えっと、聖なる剣、ひなもり……、は?」
「ヒナちゃんだ、ヒナちゃんがここに居る……、でも眠ってるのかな……」『(やっぱりそう思うよね……、そうか、でもこうなるんだ)』
ぼんやりと語る九郎丸に、夏凜も驚いたように九郎丸の刀を見つめていた。「ではそれは……」と反応する彼女に、九郎丸は首肯する。
「……神刀『
僕の不死身の根幹をなす、生きた霊なる剣です。
九郎丸の言葉に、雪姫の頬が引きつった。…………いや、私に関しては言葉も思考も一瞬完全に消し飛んでしまった。大体さっきの「は?」以降の全てである。
だってそれって……、いやお前、それさぁ九郎丸ちゃんよぉ、お前それ主人公が最後の最後で身に着けるような類の武装だぜ間違いなくよぉ、何いきなりそんなラスボス戦においてトドメにすら使われるレベルのブツこんな序盤から引っ張り出してるんスか、マジで大丈夫かこの世界!? こんなの早々に出してラスボス強化フラグとかじゃないよなマジでお前ホントどうなってんだオラ!(疑心暗鬼) ギミック武器を通常使用品にするのどう考えてもガバだろいい加減にしろ!
神刀『
原作後半において、ある事情からその力を九郎丸は真に使いこなすようになるのだが、その神刀がである。こんな簡単にこの場にぱっと現れてしまってその……、何か色々と世界観が崩壊してはいないだろうか(今更)。
いや、でもアーティファクトは基本的に(例え未来の代物であれ)現代ないし過去に記録された物の「模造品」なり何なりに該当するはずだ(確かそんな設定だったはず)。例え件の神刀であるのだとしても、決して本編自体ががらがらと音を立てて崩壊するレベルの劇物的な代物という訳では……。
でもそう言ってしまうと、いくら何でも九郎丸がそれを間違えるかどうかということにも疑問符が浮かんでしまう。大体嗚呼、刀を前に膝をついておんおん泣き出してしまって、夏凜に慰められている有様だぞコレ……。
「いや、あり得ん。本物が存在するだと? しかし現在の『ネオパクティオー』の仕組みについてアイツが一枚噛んでいるし、こういうことも全く起こりえない訳では……」
雪姫は雪姫でしかめっ面のまま色々と推測を口にしているが、んー、実際そこのことろどうなんですかねぇまだ見ぬお師匠様や。もしアレが本物だとすると、パラレルワールド、あるいは過去から呼び寄せた逸品の可能性が高いと思うのだが。
あれこれ考えたところで結論は出ないが。一つだけ言えることとして、少なくとも九郎丸のパワーアップ的な何かがそれなりに見込めるだろうということだ。
少なからず当初雪姫が意図していた「何かしら自分の力に関係するものを引き当て、修行の取っ掛かりにする」という条件を完全に満たしてしまっている。ある意味で
この辺り一概にどうこうは言えないが、試してみる価値はあるのではないだろうか。
「大丈夫か九郎丸……」
「と、刀太君…………、ぼく、僕はぁ…………」
泣きながら刀を抱きしめる姿から色々とリアクションに困るのだが……。夏凜もそんな「何か気の利いたことでも言ってあげたらどうです?」みたいな世話好きお姉ちゃんみたいな視線を寄越すのは止めてくれ。こっちだって状況がエクストリーム過ぎて
しかし九郎丸はそう簡単にへこたれる人物ではなかった。涙を拭い、目を赤らめながらも笑顔に変えて、そう気合を入れたように立ち上がり叫ぶように私を呼んだ。
「…‥刀太くん、刀太くん!」
「おう? お、おお、どうした……? いや目の前だからな、いきなりそんな叫ばれても――」
「その、僕と模擬戦してくれないかな!」『(!?)』
いきなりだなと思いはしたが、笑いはしていても九郎丸の目からは涙が流れている。おそらくだが、九郎丸も九郎丸で色々なことが一気にありすぎて、頭の中が
むしろそんなもの全部すっ飛ばして「私」に気づいた夏凜の方がおかしい。(断言)
でも九郎丸よ、その距離感は大丈夫かお前。絶対普通の友達に向けて良い感情の重さ軽さのレベルを超越してやいない……?(良心)
まぁ模擬戦自体は吝かではない。実際、今の状態の九郎丸がどれくらい強くなっているのかとかには興味はある。…………あるのだが、とりあえず神刀は使わないでくれと真顔で頼む他なかった。絶対今の状態じゃ使いこなせないの必至だろうし。これには夏凜、雪姫そろって頷いていた。なお九郎丸本人からは「当たり前だよ、僕、刀太君殺したくなんてないからね!」と、気持ち慢心してるっぽい発言を受けてしまった。
別に気にはしないんだが…………、色々とちょっと、なんか黒棒と私自身を弱く見られたみたいで、ちょっと、ほんのちょっとだけカチンと来た。
まぁそれはそれとしてだ。
「へ、ヒナちゃんを見たいの? うん、いいよ。大事に持ってあげてね?」
原作におけるUQホルダー側の最終兵器でありながら、とある事情から決して
そして頼んだそれに九郎丸は嬉々として手渡してくる……、いやお前久々に神刀と再会したせいかもしれないが男の子的振る舞い方を完全に忘却しちゃいないか? 流石にそろそろ指摘しようかと思ったところで、前方、雪姫に呼ばれて駆け足で行く九郎丸。なにやらアドバイスと言うか、どういう風に今後修行するべきかという話し合いが持たれてるようだが、いくら何でもこの武器をそのまま放置するのって拙いだろうよ。いくら鞘に収まってるとは言え。それだけ信用されていると言えば、きこえはよいのかもしれないが。
すっと抜いてみる。…………ダメだ、もともと黒棒をメインウェポンとして使用すること以外何も考えていなかった弊害だ。武器の良し悪しが全く分からない。刃こぼれがないとか、綺麗だとか包丁みたいな色してるとかそんな感想は出て来るが、もっと
だからと言って今から勉強しても、そもそも興味のある分野ではないし……。なんか聞いたら九郎丸は嬉々として見学だの勉強会だのめいたのを開いてくれそうな気もするが、これ以上接触機会を意図的に増やすと嫌ぁな予感が抜けない。絶対抜けない。既に高水準で抜けていないのにこれ以上のフラグというかガバというかを重ねるのはナンセンスだった。
もっと
――――と。そんなことを考えていたのが原因かもしれないが。
ふと、まさかそんな、という可能性がよぎって……、つい出来心で、私は口を開いた。
「お前、ひょっとしてだけど……『九郎丸』だったり、する?」『(――――)』
かたかたり、と。私の言葉に、神刀はわずかに震えた。……というか熱い! 持ち手がなんかいきなり熱くなってきたぞコイツ、気持ち刃本体から湯気っぽいの出てるし、漫符じゃねぇんだぞ隠す気ゼロか!
いやちょっと待て! は? 何? そうなの?
お前さぁ、神刀のレプリカとか過去の神刀本体とかじゃなくて――――「未来の」九郎丸本人かよォ!? 原作後半のネタバレとか完全に無視したチャート組むんじゃない!(キャパオーバー)
『(本当に? でもそんな……、本当に、僕、刀太君……僕は……、嗚呼、あ……、――――ありがとう)』