後半グロ注意? です
ST220.Life Is Something To Pitching Throw Away.
カトラスが中々来ないと思い探しに向かえば、意表を突かれた。かなり予想外だったのだが、何故か路地裏の影に蹲り、じっと泣いていた。例の神楽坂絵馬な変装スタイルのままで、膝を抱えて震えながら涙目から色々と零れている状態である。がたがたと身を震わせており、なんなら状況が状況でなければ声を上げていたのではと思われるほどの怯えぶりである。「敵」は去り、血風も姿を消しており、私こそ黒棒は手に持ったままであるが死天化壮も解除している。そもそも隠し玉な上に表面上は何一つ変化もないが、それはそうと「第四の目」すら既に使っていない。
戦闘態勢は解いているというに、カトラスはこちらの姿に気付く余裕すらない。何と言うか、初めて見るくらいの怯えっぷりである。
よ! と声をかければ、「ひぃッ!」と小声で悲鳴を上げるカトラス。何か「私」には判らないが例の仮称「ちくわ大明神」的恐怖体験でもあったかと思ったが、彼女は私の姿を目に入れると大きく目を見開き、一歩後退した。
「いや、そのリアクションはちょっと傷つくのだが……」
「お、お兄ちゃ…………ッ」
「っと、オイオイどうしたお前さん」
ずり、ずり、と私から遠ざかるカトラス。今にも大声で泣きだしそうな気配があるが、本当にどうした? そのリアクションだとまるで私が恐怖の対象か何かのような振る舞いだが。コワクナイカラ、と咄嗟のテンションで謎のカタコト発言をかますも、ツッコミを入れるでも滑るでもなく「ヒッ」とやはりそのまま震えながら、こちらと一定の距離を保つカトラス。てっきり
流石に意味不明すぎて、一度「
漏れ出るカトラスの思念に刻まれていたのは、大半は予想通り恐怖。だが一点、異なる感情が見て取れた。
『お兄ちゃんが本気で怒った所、初めて見たのかも…………』
うむ、まあ……。お兄ちゃん呼びするくらいの懐き具合と言うか距離感の近さについては今更どうこう言うに遅いのでスルーするが(諦観)、怒った所、というのが少し気にかかる。
カトラスに限らず煩雑な思考やら思念やらが色々行ったり来たりしているので(当たり前のように目の前を過る「ちくわ大明神!」は自重しろ)、一旦能力を切ってから少し思案。釘宮も何故か妙に怯えていたが、流石にそこまでのレベルでキレたというか、怒りで我を忘れたつもりはないのだが……? なまじ主目的はジャック・ラカンの動揺を誘う事であり、ついでに出て来た先兵としての綾瀬夕映については「どうせ届かないだろう」という前提で、まあそれなりに言いたいことを言ったのはある。まあ、いかにラスボスの洗脳とラスボス本人の思念がそこにあるとはいえ、最終的には綾瀬夕映本人が口にして理解している言葉だ。何を言っても部外者による只の説教話になるわけで、当事者の苦悩の一割も理解できない私が言う話ではないので、あまりやりたいことではないのだが。
なお、フェイトとカアちゃんとネギぼーず本人に関しては、ある程度言っても良いと思っている。このあたりの匙加減は…………、私が直に関わっている相手か?
『……その線引きやと、ヨルダ=バオトはどうなるんえ?』
何故か精神世界(?)から木乃香モードでラスボスの名前を挙げて来る星月だが、あれはもう「現象」のようなものだろう。いかに吼えたところで、もはや話が通じるとは思えない。しいて言えば祟り神化しつつあった水無瀬小夜子が最も近い扱いか、既に本人の思念はあちらに揺り動かされて、本当の所本人がどう思っていたかすら判らないという具合ではないのか?
『しかしそうは言うが、殺意についてはかなり本気度合いが高いと見受けられましたが』
おっと、何故せっちゃんに切り替えたんスかね(震え声)。一人だからこのせつペアの再現にはならないが、ちょっと妙な気分になる私である。……チュウベェが「美人百面相だぜヒャッハー!」とかよくわからないことを内側で叫んでいるのは一体何がしたいんですかね(震え声)。
しかし、殺意? は、まあ…………、そうだな。言われてみれば、闘志というか戦意というか、そっちを向けるより殺意が最初に出てきていたな。何故だ? 別段「私」個人は、近衛刀太という訳ではないので、そのあたりの感情の機微は色々と異なると思うのだが。原作読者として思う所の範疇としては、それなりに言いたいこともあるにはあるが(何せ文字通り命と世界の未来がかかってる)、だからといって軽率にそこまで心揺さぶられることでも……?
『…………』
「軽率ねぇ。……ん?」
おや? そういえば初めてネギぼーずやらナギ・スプリングフィールド越しに、ヨルダ・バオトと思われる「真っ黒な」ナニカを見た時――――。
「――――刀太君、大丈夫!? 何かすごい禍々しい気を感じたけど!」
仮契約カードの応答も出てくれないし、と、頭上から九郎丸が降って来た。装いはなんとなくプレスリーというかロック王子様的なニュアンスもあるアーマーカードの状態で、背中の羽根を羽搏かせて、急降下。こちらの目の前に
とりあえずサムズアップする私に「えっ!?」と一瞬混乱するものの「う、うん……!」と照れながらサムズアップし返すのがちょっと可愛いが、それはさておき。応答がなかった……? 仮契約カード、あー、そういえば今現在、九郎丸やらキリヱやら超やらの仮契約カードのオリジナルは、黒棒との契約カードもどきの収納機能を利用して仕舞っていたか。「私」依存の魔法ではないので、収納アプリとはちがいこちらは利用可能なのだが、思わぬところで弊害が出た形である。
悪い悪いと適当に謝ると「なんで血装で分身を作って会場から……」と聞いて来ようとする九郎丸だったが。妙な怯え方を見せているカトラスを前に、そちらに興味が移ったらしい。どうしたの? と聞いてくる九郎丸に、どう事情を説明したものかと頭をかいて――――。
「――――ッ、釘宮、無理なら逃げろっ!」
「えっ、釘宮君!!?」
「ッ!」
瞬間、ぞわりと嫌な思念が目の前を過る。咄嗟の事で思わず内側のチュウベェを経由し疾風迅雷を先行発動しながら、死天化壮を背部の黒棒から装備。そのまま例によって人間の認識限界を超えた速度を出し、その場から
変身(?)から超高速までにOSRも何もあったようなものじゃない急速ゆえ演出ゼロの1カット変身だ(低OSR)。とはいえ流石に事態が事態なので、これくらいは大目に見てもらいたい。
周囲の空気がぬるく、音が鈍く、遠のく。
さて。でち公は自分の影から数多の刃を出現させ、それをもってこちらの血装に隙間を開けたらしい。なお、そのまま頭上には編み笠か武笠かを大きく広くしたようなものが形成されかかっている。
いよいよもって原作終盤のアレだろもはや確定で良いだろうという話だが、不思議といつものように慌てる思考が出て来ず、頭が冴えて冷静だった。……いや冷静じゃないな。瞬間的に血風創天使って「ぶっ殺しても構わない」くらいの考えが一瞬過った。何だ、イライラしているのか私? 私と言うか、私の中の誰かの要素というか。総体としては原作的ガバがどうのこうのというのに追い詰められてそうなものだが、そんなことより「ぶっ殺した方が楽」だというのがナチュラルに出て来ていて、正直頭大丈夫かと思わなくもない。
まあ、加速している現状はまだ対処可能であろう。
釘宮をちらりと見ると、そっちもそっちで「白い狗神」が彼の両手足にまとわりつきながら、その場から地面を蹴って後退している最中のようだが、でち公の刃は既にその釘宮の喉元まで迫ろうとしている。
「聖血風――――」
とりあえず、その影の刃だけは防ぐために黒棒を頭上で回し、形成された血風を放り投げる。影操術自体についての知識はほぼないに等しいが、「ネギま!」での描写から考えて実体と非実体の切り替えは自由自在だろうと判断し、それならばと神聖魔法の属性攻撃である。
そちらを一瞥せずとも命中するのを「命中前に」認識したので、その段階で思考を切り替えでち公を見る。どうやらこちらの出現を認識できたのか、左半分が出来上がっていない傘越しに私を見て、目を見開いていた。
……それはそうとして、豆乳タピオカラムネ(宇宙食版)だったか? それだけは確実にタケミカヅチらしき黒い剣(カトラス同様生成機能でもあるのだろうアレ)を持って居る右手と反対の手で確保しているのは、何なのだろう。そこまでの優先度を持って変な飲み物を飲みたいのかお前さん。ギャグやるか真面目に戦うかどっちかにしろ……。(ダーナ「鏡で自分を見な?」超鈴音「アイヤー、吸血鬼性や魔人性が高い状態だと鏡に映らないネ、ダーナサン」)
「再拘束……は、この状態からだと時間切れになるな。
だからと言ってぶっ殺すのもなぁ……。いやぶっ殺した方が間違いなく早いんだが、原作後半描写からしても大して最終決戦に寄与しなかったし(※展開が巻いてた的意味で)、でもオウティスなんかと違ってコイツ一応妹だしなぁ…………」
線引きはちゃんとしないといけないのだが、何だろう。どうにも「殺す」という
『ふみゅー!』
『早く動かないと相棒! 時間切れ、時間切れ!』
――もっとも、大河内アキラの声が聞こえれば、普通に我に返る私であった(鋼の意志)。
星月による変身だか変装だか擬態だかは不明だが、それくらいにはパワーがあるのは間違いない。
ならせいぜい時間切れ前にと、尸血風を数発放つ。ジャック・ラカン相手ならともかく、でち公にならこれで何とかなるだろうという死霊系統の魔法効果だったが――――。
ゆっくりとだが、でち公の口が動いている。
音としては聞こえないが……、それはこう
あ。
ま。
い。
ぞ。
「
次いで加速はまだ切れていないだろうに、でち公が
そんなでち公ことサリーの足元から出現した、黒い数多の腕。掌の大きさは小さめだが(サリーの手の大きさ?)、長さに関しては全く異なる。それらが一斉に伸びて壁のようになり、こちらの動きを阻んだ。
解ける血風と共に、影が揺らぐ。
確か防御無効のような効果も多少ついていたとカアちゃんも言っていたので、挙動としては正しいだろう。
ただし従属関係を結ばんと動き出すエンチャントされた死霊魔法自体は、でち公に届かずそのまま影の中に引きずり込まれる。
丁度そこで音の具合が「私」に追いつき、同時に空気の感触も元に戻る。そして同時に、私の髪も輝くオレンジから黒髪へ。……チュウベェが星月の方に居る以上、疾風迅雷も完全解除されている訳ではないはずだが、どうしてか今日は色がよく落ちるな。
『…………』
どうやらダンマリのようである。……まあ今回に関しては、相手の油断を誘えるかもしれないので良いということにしておこう。
そんな風に考えていた私の胴体は――――当たり前のように宙を舞った。
「――――
あっ(察し)。状況があまりに悪い。何も考えずでち公へと攻撃を放っていた関係で、私の立ち位置は後退する釘宮とサリーとの間に立つようになっていたのだ。
市街地への被害を考えて、中距離で血風を使うにしても、それが変わる訳ではない。
結果何が起こるかと言えば…………、釘宮の放った「双頭の」矢というか途中で変化した黒い狗神というかが、先ほどのジャック・ラカンとの戦闘の際のようなノリでこちらの胴体を貫通し、凪ぎ払い、でち公へと向かって直撃していった。大きさでいうとそれこそ2メートル以上のサイズのそれらが猛烈な速度で「轢き殺して」来たわけで、あわれ私の上半身は宙を舞う。
おお
いやでも、ねじ切れた分ダメージの許容量が色々キャパオーバーしたのか、痛覚が麻痺しているだけジャック・ラカンよりマシと言って良いだろうか友よ?(ダーナ「それを直に伝えたら、心労で吐くだろうにその男も」)
さて。魔族化している影響か「でち!?」と悲鳴はあげなかったが、それでも驚いている表情は変らずお目目真ん丸な具合のサリー。そのままこちらに意識を集中したまま狗神の餌食になるかと思いきや、敵もさるもの引っ掻くもの。首の動きだけこちらに追従しつつ、身体はまるでごくごく当たり前のように、右手に造り出したタケミカヅチで迎撃する。捌く、でも殺す、でもなく迎撃と表現したのは、彼女自身の動きに関わらず「自動迎撃」されるように、びゅんびゅんと腕だけが勝手に動いて叩き落したからだ。
動きだけで言えば、なんとなく
「少し能力が似通ってる? から、似たようなことが出来ると言う事か……」
「…………ちょっと何を言っているか意味がわからぬが、兄弟」
おっと、当たり前のようにこちらの独り言に反応している。どうやら本当に、戦闘へと意識は割いていないらしい。声が普段よりも低めで、強キャラ感が出ていて中々OSRと言えなくもない。
言えなくもないが……、コイツ今、ノーパンなんだよなぁ(同情)。
一瞬ギロリとこちらをにらんだ様な気がするサリーがどんどん遠くなっていく。この猛烈な速度で射出されるような上半身、なんとなく懐かしい感覚だな……、熊本出てすぐのころを思い出す。
そして宙を舞っている私の胴体は地面に投げ出されるよりも先に空中で背後からキャッチされる。
「い、いきなり消えないでよ刀太君!? あの
「お、おー、悪ぃ。……というか技の正式名称フルで言うのな、九郎丸」
「えっ? いや、そ、それは、まあ、カッコイイから…………。って、ごまかさないでちゃんと反省してよ! もうっ!」
九郎丸である。アーマー状態を解除せずそのまま直行して来たらしい。実際サリーが反応していたように、胴体視力が極まっていればこちらの動きは「後追いで」把握できるだろうし、すぐに来ても不思議はないのだが、こちらも慌てていた関係で全くフォローできずに動いたのによくついてこれたなお前さん。
「だけど刀太君を…………、こんなにして、許さないよあの
「えっ?」
「神鳴流奥義・桜花乱舞――――!」
感想を口に出す前に何やら不穏な言葉を口走り、九郎丸が螺旋状(竜巻?)に気の嵐を、直線的に放つ。桜吹雪が吹き荒れているそれは、原作で勇魚あたりが使っていた技だったか。もっとも九郎丸のそれはコントロールが優れているのか、一撃で一気にサリーの元まで迫り――――。
しかし、その一撃はサリーを「貫通した」。私のように身体が破壊されることもなく、まるでホログラムのように通過しているというか。
驚いた九郎丸は、そのまま神刀を構えてサリーの元まで急行する。しかしサリーはタケミカヅチを構えず、むしろ変身すら解除し……。
「私だけでなく兄弟もパワーアップしているとか、面倒くさいでち……。なら、今回は引き上げるでちよ」
「ッ! 神鳴流奥義・
「でちッ!」
私を抱えたまま鬼気迫る九郎丸に、ちょっと怖がって避ける動きをしたサリー。まあ私は半分自業自得とは言え、そんな両断された上半身を抱えた美少女(?)がものすごい形相で殺しにかかってきているので、下手なホラー映画より怖いのは間違いないだろう。
そのまま上から一刀両断するような動きをする九郎丸だが、既に姿が半透明となっているサリーにはダメージらしいダメージを与えられず…………、と思いきや、しれっとツインテールの片方をざっくり切っていた。サリーも魔法具(?)の目でこちらの動きを掌握して避けたのだろうが、それでも一刀入れたと言うのは九郎丸の執念の為せる技か。
でもいきなり病むのは色々怖いので止めようね(震え声)。
こちらの一言がどうも届いていないらしい九郎丸は、怒りを構える剣に乗せ、サリーを睨む。
「倒す、倒さないと、絶対に……! 刀太君は僕が守る! だから、絶対に全部、斬るッ!」
「怖い怖い怖い怖い、恐ぇよどうした!!?」『(ちょっと僕、流石に僕でもここまでじゃないよ!?)』
『でち!? な、何でそんなに殺意ビンビンでちか、後それは流石に私ではないでちよ!!? そっちの狗族でちッ』
「は?」『(だからさー僕!? 本当どうしたのさ一体……?)』
「いやナチュラルに威圧するの止めてやれ事故だ(震え声)」
「…………事故、と言ってくれるなら、事故だな。……悪かったよ近衛」
「お前さんの過失ほぼゼロだから気にするな、な?」
ぐりん、と首を鋭角に回して(シャフ度)背後の釘宮を見やる九郎丸。九郎丸の謎の闇を察知していたのか、胃を押さえながら片手をあげ白旗を振る釘宮だ。
なお、その手前には、こちらに歩み寄ってくる私の下半身があるものとする。
バタバタと揺れる死天化壮の裾が、また絵面をシュールにしていた。
「…………えっと、血装術?」『(だ、断面がちょっとビクンビクンしてる……)』
「一応な? こっちに来て『血の線が繋がった』から」
出血は流石に止まっているが、ごくごく当たり前のように鳩尾から下の我が人体が、器用にバランスを取って二足歩行してくる様を前に、流石に九郎丸も困惑したらしい。
しかし待って欲しい、これにはちょっと重要な理由があるのだ。
もしこのまま下半身を再生すると、ズボンもパンツも無い状態での再生となってしまう(迫真)。
死天化壮を常に張り続けるのは流石に見た目暑苦しいし、何より下半身真っ裸で戦闘終了は低OSR、あまりに低OSR。ゆえに「魔法的に」上半身も下半身も生きている判定となる状態を継続しておかねばならないのである。絵面があまりにホラーのモンスターめいたものとなっていても、申し訳ないが我慢してもらうほかないのだ。
そんなこちらに「兄弟は拘るところがおかしいでち」と呆れたような声のでち公。若干声の感じがエコーがかっているというか、普段の声の感じではない。はっと思い出したように神刀を構え直してでち公を見やる九郎丸だが。既にその姿は下半身から徐々に消えていた。
『繰り返すが、普通に逃げるでちよ。召
色々なんか巻き込まれたけど去り際の台詞がそれで良いのかお前さん(白目)。
しかしこれで手出しはされないでちよ、と九郎丸を指さして得意げに胸を張るサリー。薄い。このあたりも遺伝子関係的なものを感じなくもない。
くっと少しイライラしているらしい九郎丸。そして、そんな両者をみてなんとなく思い出したことがあった。「第四の目」を
という訳で。九郎丸が妙に恐ろしい状態なので、少しギャグ的なオチをつけて和ませよう。
でち公へ向けて、サムズアップしてウインク。
「…………でち公も良く漏らさなかったな、偉いッ!(煽り)」
「刀太君?」
「近衛?」
『漏ら…………、ッ!!? ッ!! ッ!!!
ちょ、な、何てこと思い出させるでちかッ!!? 忘れてたらまだ我慢できたのにッ!』
顔を真っ赤にしながら、漏るでち~~~~~~~~~~! と叫ぶでち公。彼女は消えかかったまま走り出す。流石に周辺のトイレに間に合いはしないだろうが、おそらく彼女の側の拠点のトイレまで保つか保たないかは…………。とりあえずキリヱ大明神に合掌しておこう(奉納)。
あまりにも意味の分からない展開故にか、目を真ん丸にして「えぇっ?」と混乱する九郎丸。デフォルメが似合いそうな表情は、うん、やはり彼女はこうして少しボケていてくれた方が安心感がある。
そして、若干のカオスがまき散らされた我々の元にカトラスが駆けて来て。
兄サン大丈夫かよ、と声をかけようとして。
「全く、いきなり飛んでくとか意味わからな……、わか…………、えっ?
何、それ、兄さ、えっ?」
「おぅ、どうした?」
九郎丸に抱えられながら、ごくごくナチュラルに返した私に。カトラスの方を向いた私に、彼女は。
「し、死んでるからぁああああッ!!
お、お兄ちゃん! お兄ちゃんそれッ……! や、嫌ぁもおおおおッ!
やぁだから! なぁんでえぇッ! ぅぅ、うっ、ぅぁあああああああああ――――」
カトラスは、私を「両方」指さして、それはもう大号泣だった。
幼児化したのではというレベルで、言葉がガタガタのままの大号泣である。
流石に釘宮どころか九郎丸も呆気にとられ、おそらく泣かせてしまったろう主犯たる私は、沈思黙考して視線を横に逸らした。
あぁ…………、九郎丸とかでち公の方に意識回してたせいで、上半身と下半身との接続がまだだったな。
カトラスの方を見た時、下半身も条件反射で彼女の方を向いたし。今横に立ってる下半身、血装術で制御しているとはいえ、肉体的には通常なら死んでいる状態なので、所々ビクンビクとしてるし、若干だが断面から血が噴き上げてもいる。完全にスプラッタなホラーのゴア描写一直線です、どうもありがとうございました(震え声)。
それはそうとお前さん、嫌いなミニトマト無理やり食べさせた時でもそこまでキャラ崩壊した泣き方しなかったというのに、本当どうした一体(困惑)。これくらいなら修行中に見慣れてるだろうに……。
※そういう問題ではない