光る風を超えて   作:黒兎可

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??「彼が限界と聞きましたので」


ST223.原作のきしむ音

ST223.Your Original Sin.

 

 

 

 

 

「ひ、人違いですっ」

 

 思わずそう言ってしまった私に、菊千代……、いえ、近衛刀太は「無理あるだろが」と半眼で言って返して来た。嗚呼、なんで眼帯つけてるのかは知らないし、顔かたちもそこまで似ている訳でもない。それでも直に見直したこの少年は、近衛刀太は、会話すらしていないのに、私の中の桜坂菊千代が重なって見えた。

 でも、だからこそそれは許されない――――だって今日、私、完全にオフの状態で来ていますもの!? 制服一つ着用するのだってもっとびしっと格好良く着こなすのが「雪広みぞれ」としての猫かぶり(パブリックイメージ)。勝気で行動的であるほうが色々と不都合がなかったからこそ、周囲にはそう思わせる様に振舞っているし、茶々丸に「そう」なるよう演技指導もしてもらっている。 

 

 だからこそ、学園に向かう途中でこんな抜けた姿を見せる訳にも――――。

 

「朝食、何食べたんだ?」

「へ? チーズ牛丼」

「やっぱりあやかじゃねぇか……(白目)」

 

 ちょっと待ちなさいと、誤魔化す言葉すら忘れて私は思わず立ち上がり、片手を腰に当てて彼の胸に指を突き付けた。

 

「一体、(わたくし)の何を見て聞いてその判断に至りましたのっ! 中学生女子が牛丼食べたらいけませんのっ!!?」

「チーズ牛丼っつーのが特殊と言ったら特殊じゃねぇのか?」

「いえでも、今の身体でしたらあまりカロリーを気にせずとも、運動量と身体的成長で誤魔化せますし……」

「相変わらず学校の体育の授業はちゃんと全力疾走するタイプか……。

 まー、あとは会社帰りのデートで『一般社員が食べているようなものを食べて、そちらの心理を理解したいですもの』とか言ったから牛丼屋に連れて行ったら、その後しこたまハマっちまったってお手伝いさんにそりゃ偉い事絞られたからなぁ……」

「待ちなさい、私その話聞いておりませんが?」

「そりゃ言わぬだろうが、全員お前さんには嫌われたくなかった訳だし。私もお前さんが、家系ラーメン食べあさるようになりかけた時にちょっと罪悪感は感じたから、甘んじて受け入れたが」

「流石に家系はまだ食べられませんよ!? 胸やけしますものっ」

「本当かー? サト〇ココノカド〇でこっちにラーメンとコーラと今川焼クリームとフライドポテトとソフトクリームの暴飲暴食咎めてた割には、しょうゆ・みそ・しお・季節限定メニューそれぞれのラーメンに加えてチャーハンまで完食してたお前さんが。ちびっ子たち目が仰天だっただろうが、よくあれで体型維持できていたものだ」

「あれは…………! こ、今世では自重していますもの」

「そっか」

「ええ」

 

 痛い所を突かれて沈黙する私に、彼はため息を一つ吐いてから。

 

「……もう言い逃れ出来ないくらいに、あやかだろ(断言)」

「―――――ほぁッッッ!? は、謀りましたわね、菊千代!?

 というかそういう貴方こそ絶対、菊千代ではありませんかっ!」

「否定はしないがなぁ……」

 

 顔が熱くなる。半眼で笑ってる菊千代は、盛大に私で遊んでいるようだ。

 そのまま思わず両手を握って「ヴぁにらぁあああああ~~~~!」と我ながら良く判らない絶叫を上げながら殴りかかったけど、飄々とかわしたり手で受け流したり……。

 そんな間も、菊千代は延々とぶつぶつ呟いている。

 

「どうした? 坂田に話したせいで何かフラグが立ったとでも? いやそれにしては、そもそも『あやかの菊千代』は『幼馴染だったこと忘れていた』話しかしていないのだから、繋がりようもないと思うのだが……? 眼帯してるならむしろ引っ張られるべきは…………いや待て、そもそも憑依なのか転生なのか私のように『混じった』パターンなのかすら知らぬし、特定することで私が原因のガバかどうか判定できるか? いや判定もクソもないだろうが絶対に私のせいではないだろうし(震え声)。というかどう見てもアレ(ヽヽ)だし、あのキャラクターをあやかの人格でだと? 原作なんて持つはずはないではないか(愕然)。

 をのれ(たちばな)ァ――――!」

「ほぁ!? い、いきなり叫ばないでくれますこと!!?」

 

 謎の言葉と葛藤の後に、誰かへの怒りを叫ぶ菊千代。それは、前世では見たことのないリアクションでちょっと新鮮だった。私が年相応の身体に精神を引っ張られているように、彼も年相応の身体に精神を引っ張られているのだろうか。

 ひとしきり唸った後、何かスッキリしたのだろうか。菊千代は何事も無かったかのように上半身を起こして「ままならぬ」とだけ言い、眼帯を外して私の方を見た。

 

 ぐぬぅ……、か、顔が良いですね。いえ菊千代自身は「それだけ褒められてもなぁ」と微妙に嫌がっておりましたが。隣で、青梅さんが苦笑いしていた記憶もあります。

 

「はぁ………………、只でさえ人間関係ヤヤコシイと言うのに、ここでお前さんが来るのかよ」

「何を言うのです、菊チ――――」

刀太(とうた)。近衛刀太だ。お前さんは?」

「…………みぞれ、ですの。雪広みぞれ」

「お、おう……(本当にみぞれなのかよ、くそわよ)」

 

 菊千代……、いえ、「やはり」近衛刀太だった彼の言葉に、私も「今の」名前を名乗った。

 そして、沈黙。私もそうですけど、お互い言葉が出てこない。

 手に取るように相手の気持ちがわかる、などと傲慢なことは言わない。けれども、簡単に一言でどうこうという関係でなかったのが、私と彼の関係だった。

 

 えっと、と口ごもる彼に、私は…………とりあえず頭を下げた。

 

「……以前は助けていただき、まことに有難うございました」

「はい? 助けてって……」

「でちでち言うツインテールのテロリストにさらわれて、パーティ会場みたいなところで色々あって死を覚悟していた時――――」

 

 ちょっと待て、と手で私を制する刀太。

 お互い、何かしら情報のやりとりに不足があるようなので、ここは彼の整理が終わるのを待つ。

 

「えっいやアレ、お前さんだったのか……? だって髪型違うじゃねぇか」

「いつもいつもツインテールできる訳ないですもの。ましてや誘拐されている以上」

「それもそうか。あー、そこから縁が出来てたっつー訳だな?

 ……やはり神は死んだのでは? もうキリヱ大明神しか勝たんねっ!」

「いきなり手を合わせてどうされたのです……? 情緒不安定?」

「ま、そりゃな(白目)」

 

 何と言うか、以前の菊千代よりもこの近衛刀太は情緒豊かというか……。言ってることの意味は不明ですが、くるくる百面相している姿は滑稽で、ちょっと笑ってしまう。

 どうしたらそんなに簡単に白目剥いたり身体震わせたり、その場でぐるぐる360度回転とかできますの……?

 

「あー、そうか。……」

「ええ、そうですの」

 

「「…………」」

 

 そして沈黙。やっぱり会話が続かない。

 だけれども、それ以上は私から積極的に言葉を発することが出来なかった。

 

 本当に、本当に桜坂菊千代だった――――。

 

 まさか私みたいに、本当に「生まれ変わっている」なんて……!

 その衝撃と歓喜とが胸に去来すると同時に、それらはすぐに凍てついて崩れ落ちていく。

 そもそも私と菊千代の関係は、私が一方的に壊したようなものだ。菊千代もあっさり引き下がったけど、彼は彼で異なる目的のために動いていたようなことを後から知った。その過程で私と近づくことになったのは、彼にとっても計算外だったろうけれど……、それでも裏切ったのは私だ。

 

 今更どんな顔をして、菊千代と向き合えば良いと言うのか。

 

 ついさっきまで何もそんな考えが思いつかず、ただただ何としても近衛刀太が菊千代であるか確かめたかった。私がただ面影を追っているだけにしても、それでも一目その事実だけでも確認したかった。

 いざそれを知り、確認できた今になって、自分が何をしたいのかよくわからない。

 

 そんな私の方を見て「良くも悪くも変わらんな」とだけ言ってくる彼に、何を言えば良いのか――――。

 

 

 

「――――みぞれお嬢様。近衛刀太君と戯れていると、時間がなくなります。学校が始まるよりも先に学園長室に向かうと言ったのは、お嬢様なのですから」

 

 

 

 ほぁ!? 茶々丸、いつの間に――――。

 お互い何も言わずに鬱屈していたら、いつの間にか我が家の秘書兼家政婦をしているガイノイド、絡繰茶々丸がにこにこと口元だけで微笑みながら、そんなことを言ってきた。いきなり背後0距離に現れ出た彼女は、私のわきの下に手を入れて持ち上げた。

 こんなのまるで子供か猫のような扱いですわ~~~~!? 不服っ!

 

「最初からいたんじゃね? 後ろの方で、じーっとこっち見てニコニコしてたし」

「ええ。数日ぶりですね、刀太君」

「どもっス。……あー、まさか、みぞれ? 近々時間もらえないか的なことを言ってたのって」

「ええ。お嬢様がどうしてもと、刀太君に会いたいとおっしゃっていましたので」

「ちゃ、茶々丸っ、余計なことは言わなくて良いから~~~~!」

「そうですか? では――――はいっ」

「ってどうして投げなさるのよアナタ~~~~~~~~!!?」

 

 空中に雑に放り投げられた私は、くるくると何度も綺麗に回転して三半規管が狂う。絶対確信犯ですよね、茶々丸あなたっ!!? 抗議しようも私にその余裕はなく―――――。

 

「何でこんなカオスに――――んむ」

「前も思いましたが、身長が少し伸びましたね。マスターもお喜びのことと思います」

「の――――――こめんとッ!!(迫真)」

 

 ……何を、私がいる前で菊千代を胸に挟むように抱きしめて頭を撫でているのです、あのぽんこつっ!!? ちょっと何がどうして、どうなっている? というより菊千代、茶々丸とは知り合い!!?

 

 色々な謎と羞恥と怒りが脳裏を巡る中、茶々丸はすぐに刀太から離れて私を空中でキャッチし。

 

「では、後々正式にアポイントメントをとらせていただきますので」

「ちょっと~~~~~~!! 納得、納得いきませんわっ!」

 

 私の全力の絶叫に、地上で刀太が「そうだよ」と便乗したような感想を言っていました。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 気が付けばどこかの教室で、夏凜にひざまくらをされていた件について。

 

 いやちょっと待てよ(震え声)、今朝にかなり衝撃的な出来事があったのは事実だったと思うのだが、その後の話が私の中からすっぱり抜け落ちていることに納得いかない。大・麻帆良祭に向けての会議も午前中にあったというのに、市川人形が相変わらず意味不明なことを言っていたシーンしか思い出せない辺り、よほどの重症である。

 一体どうした私……? 流石に授業中のノートくらいはとってあるだろうな。わざわざ通わせてもらっておいてその体たらくだと洒落にならんぞ。

 

 そんな現実逃避はともかく。私を見下ろしてにこにこしていた夏凜は、目を少しだけ見開いて「気が付いたわね」と言ってくる。ちらりと見れば人気はない。一体どういう状況だこれは。わざわざ椅子の上に寝かされており、どういう顔をすればよいのやら。

 額に手を当てて熱を測られ、首に指先をやられ脈を取られ、最後にほっぺを「ぷにっ」とか言いながらつついてくるこの距離感よ。相変わらずの夏凜ちゃんさんと言えば相変わらずの夏凜ちゃんさんだが、その「ぷにっ」どこで覚えた。九郎丸か? 九郎丸経由の情報か? お母さんがフェイトにやっていた技(?)だろうがそれは。

 

 挙措が可愛いだけに始末に負えず、面倒くさい……(語弊)。

 

 とりあえず上半身を起こそうとすると、そっと慣れたように背中に手を回して、起き上るのをサポートしてくれる夏凜。なんとなく鈍い頭痛がして、少しふらつくと、それも慣れたように背後から抱き留めて、ついでに頬にキスをしてきた。

 

「今のキスの目的は……?(困惑)」

「ありません」

「はい?」

「したかったからしたのです。構わないでしょう?」

「アッハイ(震え声)」

 

 おおよそ四百字詰め原稿用紙に書き連ねればぶん殴れるくらいの厚みが出るツッコミどころがある気がするが、笑顔に謎の迫力と圧を乗せて来る夏凜相手に、逆らう余力は今の私にはなかった。

 というか理由なくキスするとかその距離感さぁ……。「私」相手でもなければ犯罪では?

 

「今何か、失礼なことを考えなかったかしら」

「別に何も―――――って思いっきり口へのキスを奪いに来るなッ! 止めろっ、いい加減距離感が意味不明だぞ! アレのことがあるにしても、痴女かッ!(失礼)」

「これでも恥ずかしがっていますが、貴方の心の安定には代えられませんので……。まあ着衣しているので構わないでしょう?」

 

 脱いでいたらアウトと言う自覚があるだけマシと考えるべきか、制服の上からでもこちらの局部に手が伸びてさすりだしていることにツッコミを入れたら良いか。

 正直キツイのでストップお願いしますと彼女を押しのけ頭を下げると、「あらあら」と言いながら黄金の右手(意味深)だけは引いてくれた。

 

 ふう、これで一安心――――。かと思いきや、彼女の両手がこちらの手首を拘束して、そのままより強く手を前方に圧しつけた。

 覚えのある柔らかさと、覚えのある硬さが手に沈み込む……。こう、もにゅん、と。

 

「成程、つまりは自分から()たいと。……まあコレは『あなたのモノ』として予約済なのだから、好きに揉んで、引っ張って、押して、舐めて、吸って、歯を立てて、引っ掻いて、挟んで、こすって、埋めて、出して、絞って、いぢって、責任をとってください」

「ぎょえええええええええええ――――――――(発狂)」

「……まあ冗談はこのくらいにしておいて」

 

 こちらの手を包み、その上から「それっぽく」(※OSRではない)もみほぐすモーションを指南するような動きを止め、夏凜はこちらをようやく離してくれた。

 び、びっくりした……! あわや連載誌が青年誌に移るかと思った……!(謎メタ) 原作ですらそこまで直球のエロは叩き込んでこなかったと言うのに、たった一人だけでレーティングを破壊するこの女よ。最近積極的に「こう」してこなかった反動でも出たか?

 

 いや、それだって本人なりに、こちらに気を使っての距離感だったろうに……。面倒くさい(直球)。

 

 私が深呼吸をして、少し落ち着いたのを見計らってか。両手を重ね「開け(オープンアップ)」と何かしら神聖魔法らしい術を唱える夏凜。

 と、部屋の扉があわただしく開かれ「何があったっスか!?」と駆けこんでくるのは、ジャージ姿の伊達マコト。相変わらずスポーツ少女といった容姿で身長もこちらより高い。それに続いて顔を真っ赤にして入ってくる式音・D・グッドマンと「あら~、やりますねぇ」とのほほんとしているようで妙なことを口走っているか……、か……、烏丸菜緒(※ちょっと忘れかけていた)。ということはここ、生徒会備品室か?

 

「何か刀太君のヤバイ叫び声が聞こえたっスけど、一体何が起こったんスか!? 何やってたんスか!」

「天と私の先生に誓って、太陽に恥ずべきことはなにも」

「破廉恥!? どう考えてもお破廉恥極まりないことが行われていたに決まっておりますわ~~!」

「口調が~、しっちゃかめっちゃかで~、動揺していますね~」

「何もなかったのです。良いですね?」

「はわわ……!」「ひぅ……!」「ぼ、僕だって……!」

 

「それよりも、依頼通りに刀太を正気に戻しましたので……、私はどうします?」

 

 依頼? と思って見れば、入り口の扉でほのいさ(近衛姉妹)と九郎丸が、顔だけで様子を覗いて来ている。それを見てなんとなく、さっきまでの状況と照らし合わせて何が起こったのか察しがついた。

 要するに……、動揺しすぎてもはや正気ではなく狂気の世界にでも引き込まれていた私が、裏魔法委員会(生徒会経由か?)からもとても話になる様子ではなかったから呼ばれたのが夏凜だったということか。何故こちらが動揺したら夏凜を呼んだのかという謎はあるが(第四の目で確認する気にならない)、結果的に彼女の精神分析(物理)で事なきを得た以上、何も言えない……。

 なお精神分析(物理)は全員締めだしたうえで行うものとする。多少なりとも恥じらいはあるという、夏凜の言は真実だったと言う事か……?(困惑)

 

 とりあえずこの場に居てくれとグッドマンはん(謎訛り)に言われたことによって、夏凜もこの場に残留となる。とりあえず呼び出し相手からということで、生徒会自警団の三人それぞれに頭を下げた。

 

「あー、なんっつーか……、お世話掛けました」

「い、いえいえ大丈夫っスよ~! それより、機転が利いた九郎丸くんに感謝っス!」

「ぼ、僕も別に、大したことが出来たわけでは…………」

 

 少し顔を赤くしているものの、ほのぐらい影が表情に過る九郎丸。漫符で言えば鼻から上の目から額までが黒ベタかトーンで着色されているようなダークな、あるいはショックな雰囲気だ。

 流石にそろそろ「原作的にも」イベントが進むころだと仮定して良いものかどうか……。どれくらい下手なことを言えないかという警戒度がわからず、とりあえず「ありがとな」とだけ声をかけた。ぱあ! と喜色満面になったので、どうやら正解だったらしい。

 

 第四の目を使えばこの程度の情緒変容、たやすく察して最適な言葉を言えるだろうが、流石に今の心境でそれは難しかった。というか「自分の目」に対する信用が高すぎるが故に、心に負った衝撃が大きすぎて啓く(ヽヽ)ことが出来ないが正しいか。

 ままならない、と口には出さないが。それでも何かを察したのか夏凜が私の頭を撫でて来る。

 身長はともかく座高はまだ夏凜より低めなので、撫でて来る高さの感じは以前とそこまで変わらない。

 

 と、九郎丸は苦笑いしながら。夏凜は困惑しながら、それぞれ質問した。

 

「それで、確かチュウベェちゃんですよね? 刀太君の使い魔の話。釘宮君からちょっと聞きましたけど、女子生徒の盗撮がどうこうとか」

「ふむ…………、ふむ」

 

「夏凜ちゃん先輩はその言い方止めてもらって良いっスかね(震え声)」

 

 何かを納得したように何度も頷き続ける夏凜に恐怖を抱いている私をよそに、式音・D・グッドマンが「そそ、そうですわ! この欲求不満者!」とか言いながら、チュウベェの罪状が読み上げられていったのだが。

 正直言って、話は頭に入ってくるが内容はいまいち脳みそが認識できる余裕がなかったらしい。

 

 

 

 雪広みぞれ。原作「UQ HOLDER!」において忍とならぶ数少ない「人間の」ヒロインであると同時に、この世界線が原作「ネギま!」時空からややズレていることを象徴するキャラクターの一人でもある。

 それこそ元祖「ネギま!」の我らが委員長さん、下手すると作中世界で最もピュアで最も愛にあふれた雪広あやか(「あの」あやかと一緒でこちらもひらがな)の孫娘。その祖母の無念やら怨念やらショタコンやら何やらを一身に引き継ぎ、決定的に邪魔にならない程度にブラッシュアップした、活発お嬢様、おきゃん極まりない言動の割にそれなりに陰で努力しているタイプの娘で、その視座は雪広財閥を継ぐに値するだけの深謀遠慮を備えた彼女である。

 

 そのキャラクターが私のいる世界線において「別人が転生ないし憑依している」ような存在となっているというのならば…………。

 

 

 

「……果たして〇王様(オサレ)の意志でも働いてるんスかねぇ」

「刀太君?」

「いや、何でもねーよ」

 

 何でもないと言いつつも。私は自分が立っている世界の未来と言うものについて、いよいよ原作からの逸脱が「決定的に」言い訳出来なくなってきた確信が深まり。いかに簡単に世界が滅びかねないルートが生まれるのではという恐怖感を抱え。結局、コンディションは最悪のままだった。

 

 

 

 

 




※頭えっちなお姉さん注意(警告)
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