英サブタイで何かを察するかもしれない...
ST229.Yourself in [4891] ②:Cyclops
そもそも何故私が死んだのか、細かく情報を聞き出すと……、いやキリヱ大明神と仲良く(?)お話してる途中途中で思い出した話を私が勝手に再整理する話なのだが、、しかしそれでもやっぱり何故ここに引きずり込まれたかがわからない私である。
事の始まりはそもそも、三太と釘宮、九郎丸と私の四人で墓参りに行った時のことだ。
誰の墓かと言えば――――水無瀬小夜子、彼女のものだ。
墓とはいっても、厳密には墓ではない。そもそも弔われた先は本来なら麻帆良の地におけるミッション系の方式で有り、つまりは春日美空などのシスターさんたちが出番となる話である。であるのだが、その後のつい最近までの状況があまりに特殊過ぎた関係で、とてもではないが教会で引き取れないという話になったらしい。
そんな彼女の遺体……、あまりにひどい有様だったアレは、現在棺桶に厳重に封印された上で、
妖魔「ダイダラボッチ」と一体化した経緯や、その後に
実際、彼女の
さて、そんな彼女の墓参りというか、封印されている社に向かう理由は何かと問われれば。もちろん三太に慮ったりしているのも理由ではあるが、私の主題はそれではない。
『ま、でち公の目的がそれだったっぽいんだよなー。カトラスとかそういう話でもなく』
『どうして誰もかれもがそう命知らずなのか……。いわゆる
胃が痛い、と顔色の悪い釘宮は相変わらずであるが、今回に関しては裏魔法委員会として同行を願い出た関係上、否とは言わせないノリだったので正直スマン(素直)。ただ釘宮としても水無瀬小夜子の扱いには思う所があるのか、誘い自体には否定はされなかった。
どういうこと? と聞いてくる九郎丸と、フードを被って何やらブツブツと呟きながら浮遊する三太(※霊体状態で我々以外には視認できないよう調整している)。二人に向けて「第四の目」で視た情報を含め、ぼかしながら説明する。
『この間、カトラスの試合見に行った時に襲撃受けたアレな? 最初はてっきりカトラス関係が目的かと思ったんだが、「
んー、で? カアちゃんっつーか茶々丸さん経由らしいけど、でち公の目撃情報自体はアホみてぇに大量にあるんだと。この
『とすると、あの日はたまたま刀太君と遭遇したってことかな』
『ん。向こうも何か意図してどうこうしたっつー訳でもなさそうだったしな(漏らしてたし)』
『刀太君、今何かボソッと何か言わなかった?』
何でもねーよ、と次会う時は紙オムツの一つでも持って行ってやろうかなどと検討しつつ(失礼)、話を進める。九郎丸、ちょっとカンが鋭くなってきたか?
なお釘宮は何か察したのか、眼鏡のつるを押さえて肩をすくめていた。諸行無常である(適当)。
『目撃情報自体はそれこそ2日に1回くらいの頻度で色々なところに出没してるみてーだし、口ぶりからして何か探してんのも確定っぽかったな。
で、逆に考えた。あれだけ探して見つからないっつーことは、あの何でも見通せそうなでち公の目ですら見通せねー感じにされてる場所が怪しいだろって。
でち公の目撃情報からそこまでは逆算できなかったけど、少なくとも学園結界を強く受ける場所には何かありそうだって話』
『強く受ける場所…………、それで龍宮神社に特定した理由は何だ? 近衛』
『サリーのパワーアップ方法ってのについて、ちょっと考えてな。基本仕様が俺とそう変わりないっていうなら、一つ嫌な想像ができる。
釘宮も前に言ってたろ? 妖魔っつーのは魔法の術式でもあるみてーな話』
『それで何故この場所に………………、ッ!? いや、まさかまだ
『チュウベェと融合したりしてるからか、何となーく判んだよな。杞憂なら良いって話ではあるんだが……、つまりそういうことだ』
細かい部分については「解答が判った上で」穴埋めをするようにカアちゃんたちから情報を集めたため、抜けはないはずである。
釘宮は事前知識が多いせいかすぐさま察しがついたようだが、九郎丸は微妙に理解が及んでおらず、三太はやはり話が耳に入っていないらしい。「第四の目」でその思考を覗いてみても良いかもしれないが、この場ではちょっと野暮だろうということでいったんそこはスルーしておこう。
結論から言えば。
『
いくら怨霊になろうが何だろーが、あの龍宮隊長とかがそーゆー供養を全然しねぇ理由が他にない。だから何にしろ一回様子は見ないといけねーだろって話だ。戦うにしろ封印するにしろ、情報が全然足りないし』
『それは…………ッ!?』
九郎丸が驚愕に目を見開き、三太がぴくりと震える。おや、どうやら話自体は耳に入っていたらしい。
最初は驚愕の表情だった九郎丸だが、次第に落ち着き痛ましいものを見る目を三太に向ける。三太は三太でそんな視線の居心地が悪いのか、よりフードを目深にかぶってその身体をさらに透明に近づけた。
もしや……。
『何か
『…………仮契約カードに念話が入って来てよォ、ついさっき』
どこか落ち着かない様子で三太はフードから顔を出し。
『「あっちに奪われれば確かに大変だけど、あなた達で対処できる相手でもない」とか「囚われたなら逃げることだけ考えて」とか』
『帰りたくなってきたんだが……』
『ま、まぁまぁ、な? この間のチュウベェのことがあったから、お前さんみたいな監視が一人はいねーと後がヤベェし……』
『そこは理解しているが、それとこれとは別な話だ』
とはいえ鳩尾を押さえつつもこの場から逃走を図らない当たり、釘宮もかなり付き合いが良くて個人的には嬉しいところだ。
そしてそんな私と釘宮を見て「むむむ……」とか言い出す九郎丸は一体どんな感情なんですかね(すっとぼけ)。どう考えても野暮天極まりない気がするので、わざわざ
ただ、続けた三太の言葉だけは引っ掛かりを覚えた。
『――――「今の近衛刀太とは致命的に相性が悪いから、その時は三太君が頑張らないと!」って』
致命的に相性が悪い?
結局その意味を解釈できぬまま、件の神社までたどり着いた私たちであった。
※ ※ ※
「で、その後龍宮隊長と会ってちょっと話して、何か奥の方にあった小さい社に案内されたところまでは思い出したんだけど…………、その後何があったんだ?」
「ある意味ピンポイントに忘れてるって言うか、思い出されてもちょっと困惑するところまでっていうか」
「はい?」
むしろこちらの方が困惑しているが、それはそうとしてキリヱは倒れている過去の自分らしきそれを背に卓袱台の上に肘を乗せ、両手を重ねて口元に添えた。見た目で言うとメガネがキラリとして視線が見えずゲ〇ドウなポーズっぽくもあるが、いかんせん制服姿のままなので微笑ましいったら微笑ましい。
なんとなくそういう視線を感じたのか、「ムキーッ!」ときょう日漫画でも聞かなそうな叫び声を上げた。
まあ遊んでいても仕様がないというか、煽っても案外キリヱの方に余裕がないというか。消耗しているし憔悴してるし、それこそゾンビ事件そのものの時まではいかないが中々に精神にダメージを負っているのがわかってしまったので、私もそれ以上は遊ばず確認に徹する。
その後どうなったのか――――キリヱが言うには、私は「取り込まれた」らしい。
「私も最初、九郎丸が急いで逃げて来たのと出くわして、そこから聞いたのよ。アンタがなんか取り込まれたーって」
「取り込まれたと言われてもなぁ……」
「実際その後襲われて、この目で確認したけど、まーダサい感じだったわ。こう、アレよ。身長3メートルくらいのマネキンの胸元にアンタの顔だけ飛び出てる感じ?」
「本当、普通にダセェな…………」
私が組み込まれたとは思えない程の低OSR的な外見である(すっとぼけ)。
「ただ見た目はともかく、やってることは冗談じゃなかったわ。アンタの身体から出た黒い魔力を使って、サイズはともかくあっという間に全部更地よ。
水無瀬小夜子とかも出て来て『流石に想定外だよ~! 三太君一緒に頑張って!』ってアーマーカード使って変身して、一緒に戦ってたし」
そのあたりはダイダラボッチっぽかったわ、と軽く言ってくるキリヱではあるが。半眼でため息が長く、精神的疲労度が伺える。そして何より、キリヱが困惑したのは「どうあがいても打つ手がなかった」ことらしい。
「最初はアンタを止めようとしたのよ? でもそうすると、何か知らない間に魔人みたいな連中に奪われちゃってそれはそれで大変だし、だからってホルダー全員で向かっても何か取り込まれちゃってるし」
「何でそもそも取り込まれてるんだ俺……?」
「細かくは知らないけど、その時に雪姫に聞いたわ。
えっと…………、『核が無くなってるから心臓を探している』、みたいな話だったはず」
それを聞いて、流石にピンと来た。核、核か……。
あの日、あの時、水無瀬小夜子が「神」へと至ったその日。彼女の遺体が握らされていた、勾玉。ディーヴァ・アーウェルンクスが「呪い殺された」ように貪られる基点となった、あの勾玉。アレの行方がどうなったかはもはや私の知るところではないが、少なからずそれがダイダラボッチ自体にかかわりがある代物だったのは、想像するに難くない。
「取り込まれた後って、どうなるんだ?」
「どうもこうも、そのままエネルギータンク化よエネルギータンク。あんまり具体的に言いたくないけど、スプラッター映画も真っ青な感じに暴れまくってたわ。ドラえも〇で描いちゃいけない感じ。すーぷーらったー! 完全にアンタとしては死んでるも同然よ!」
「お、おぅ…………」
何故ド〇ちゃんで例えたかはちょっと疑問だが、とにかく色々手段を講じたが、どうにも対処方法が思いつかない状態らしい。なのでこの私はm取り込まれる直前に意識を失った状態だったところを掻っ攫ったというところだそうな。
「前の時みたいにもっともっとループして繰り返しても良かったんだけど、あんまりやると超さんが来てまた小うるさく言われそうだし。それに……、ああなったアンタを見てられなくって」
「そう言われてもどうなったかイメージが無ぇんだが――――」
「――――ずっと泣いてるのよ。血の涙を流して、ごめん、ごめんって。カアちゃんごめんって」
「それ、は…………、………………」
その情景自体は思い描くことはできないが、少なくとも取り込まれた状態の私が正気で無い事だけは間違いあるまい。大方、誰一人として救うことが出来ずにエヴァちゃんと最終決戦に挑むような情景か、あるいはエヴァちゃんの気持ちに答えられないと直接問答でもした情景か、そのあたりを見せられているのだろうが……。
考えるだけで胃が痛くなってくる。釘宮がこの場に居ないのが悔やまれた(胃薬要員)。
「で、それがどうして他のユニバースの俺を連れて来るみてーな話になってんだ? 全然繋がらねーんだが」
「別なユニバースじゃないわよ、この世界は少なくとも
「ううんどういうことだ?」
何やら専門用語じみたことを話し始めたキリヱ大明神であるが、一瞬目の下に隈が浮かんで「ケッ」と吐き捨ててから、表情をいつものそれに戻したあたり、おそらくは修行編で培われた知識なり何なりなのだろう。とりあえず合掌(同情)。
「だから拝むんじゃないわヨ!? 同情するなら金を――――いえ、お金はいっぱいあるから別に良いわね。うん、ううん? にゃう…………?
……ま、まあ良いわ。えっと、要するに別な世界線になると、ゲームソフトから変わるみたいな話。で、私がやってるのは1つのソフトに複数のセーブデータを作ってるーみたいな?」
「なんとなくは判るが、雑だな……」
「本当は専門じゃないし、これでも前よりは色々判ってる方だからそこは察しなさいヨっ!
それで、ちゅーにが取り込まれる事実自体を覆せないなら、他のとーたに救出させたら良いんじゃないかって思ったの。
他のセーブデータのアンタって、便宜上ここでは別ルートって言うけど。別ルートのアンタは、今いるアンタとは
つまり…………、アンタがいっぱい! ってこと」
「やっぱりマルチバース映画じゃねェか(断言)」
「違うわヨ! 違うったら違うの!」
「素人目には何も変わりねーんだが。あー、えっと、つまり『辿った経緯が違いすぎて同一人物判定を受けない』、みてーな話か? それは」
「そういうこと! 私のみたところ、たぶんダイダラボッチと相性が良いとーたはアンタだけだと思うから、他のとーたなら大丈夫じゃないかしらって」
仮説と作戦の立て方が雑極まりない(断言)。
とはいえもはやそんなトンデモ作戦を出すような精神状態だと思えば、彼女が彼女なりにどれくらい追い詰められているか察せられて、あまりツッコミを入れることが出来ない。藁にも縋る思いというやつなのだろう。ちょっと以前よりメンタル弱い気もするが、自意識過剰でなければ確実に私が被害にあう姿をみているからだろうか。さて……。
とりあえず話だけは聞こうということで、他のセーブデータとやらがどんな状態なのか確認することにした。おそらくキリヱのことだから、あまり現状の私とそんなに差はない話が大半だろうと思って、軽く話を振ったのだが。
「…………えっと、怒らないでね?」
「はい?」
のっけからちょっと怖がるように、申し訳なさそうに、それでいて少し開き直るように。不吉極まりない感じの御言葉を頂くことになった。
――――Route 4891:
June 5, AD 2224
MIHASHIRA-DAI City's Central Section in Osaka: TAKAHATA-Ramen ――――
そしてまあ多少なりとも説明やら何やらがあった上で、現状に至る。
この世界のセーブデータが一体どうなっているかについては一旦置いておいて。いくら何でも変わり過ぎだろ、というレベルの近衛刀太の手によって、私はそれはもうボコボコにされていた。
手から伸びた黒い刃が脳天を貫通し一回死亡。当然意識自体は途切れていないので、若干言語野が怪しくなりながら反抗しようとするも、そのまま刃が伸びて店の壁の端まで叩きつけられる。ぎょっとして飛び退く店内の客やら真っ青な顔をするキリヱ大明神やら。そして身動きできない私に、壁に刺さった刃を起点にそれを縮め私の側に特攻し、反対側の手の人差指中指薬指小指の間に挟むように黒い刃を短く生やし、あたかもメリケンサックか何かのように猛烈な速度で私の胴体を殴り続ける私だろう誰か。
ガンガン、というかザクザク、というか。お前やっぱりウルヴァリ〇じゃねぇか!?(動揺) OSRはどこいったんだOSRは、
というかそもそも思考速度と身体が動く速度のラグがほぼゼロであり、それこそ
「って、いい加減離せってのっ! 鳩尾が痛ェ!」
「あ゛?」
本当に一挙手一投足柄が悪い事……。
私を凄むようににらみつける顔立ちは、□ーガン気取るには子供っぽさが抜けていない。どっちかといえば
死天化壮から血装で腕を生やし、黒棒を雑に振るって脳天を拘束している私の腕を斬り落とす。
同時に返す刀で斬り返そうとすれば、握っていた刃をそのまま投げて腕を壁に拘束し、バク転を繰り返してから前傾姿勢に構える。ドロドロと「血ではない」黒い何かを噴き出しつつ、右手を再生する眼前の私。
腕の血装を解除し、ぼとりと落ちた相手の腕を蹴り飛ばし立ち上がる。黒棒を握り直して構える私を前に、眼前の私だろう彼も姿を変えていく。
「
死天化壮とはまた異なる変化だ。全身を黒いドロドロしたオーラのようなものが覆い、所々に白い骨のようなアーマーが形成される。全体的には黒タイツに骨々スーツといった具合。流石に
というかそれ以前に近衛刀太らしさを捨て去った筋肉ムキムキ具合にどういう反応をしろと言うのか。ちらりとキリヱ大明神を見れば、あの有様の近衛刀太を前に辛そうな表情で、そして震えていた。
思念は――――自らの罪を突き付けられたような、そんな罪悪感と痛みであふれている。
その詳細をつまびらかにするのは、後に回そう。
「気を付けて。その刀太は……、
「そんなこと言われたところで、現状の俺と比較するのもどうなんだろうな――――」
そして「心配するな」とばかりに少しだけ微笑んでやり、再びかの近衛刀太を見て、……、私は不意打ちを喰らった。
というか、絶対私以外は喰らわない不意打ちだった。
「――――っていやサイク□プス銀城は止めろや!?(爆笑)
おま、お前、誤植というか師匠というか担当というかガチのミスをガチでデザインに盛り込むの止めろ!(爆笑) 洒落になってねぇぞ俺以外にはッ!(爆笑) 何考えてんだお前ッ!!!(大爆笑)」
「安心しな、テメェをぶちのめすのに一切の問題はねぇぞクソッタレな
ニヤリと口元で笑う目の前の彼の鼻から上は……、それを覆うガイコツ風のアーマーは、何故か単眼で、独特のまるで左右の眉を極端に短く繋げたような模様が描かれていた。
流石に頭部を細長くしなかっただけ正気だったことを喜ぶべきか、ネタなんだかマジなんだかわからない路線に走ってるその擦れた心境に痛みを覚えれば良いやら…………。
笑えばいいのかな?(※爆笑中)