光る風を超えて   作:黒兎可

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手間取ってはいなかったんですが、どうしてか出来上がるのに時間かかりました汗
 
二次創作あるある注意


ST234.あなたを守るあなたを探して:25,000

ST234.Yourself in [25000] ①:for better or for worse, for richer or for poorer, 

 

 

 

 

 

 三度目の正直とばかりの次ルートは、25000(にまんごせん)。何ともキリの良い数字と言えば数字だが、この世界について尋ねるとキリヱは明らかに挙動不審になった。

 また何を隠しているのかと問いかけはするものの、今度の世界については完全に詳細含めて覚えているらしく「言いたくない」と駄々をこね始めるキリヱ大明神である。追及すれど追及すれど「うなあああああん!?」と喚き散らして錯乱なさるため、さぞ経済ディストピア世界レベルな秘密でも潜んでいるのかと思えば、しかしキリヱのリアクションにそういった喪失や、あるいは焦りのような感情もない。

 否、焦ってはいるのだがどうにもリアクションが可愛らしく、ひょっとしたらギャグの延長上で済ませられるレベルのものなのではないかと錯覚をしてしまう。

 

 原作沿い成功ルートの私ですらかなり疲弊していたことを考えると、かなり洒落にならない話なのかもしれないが、それはさておき……。

 

「テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ~(偽者)」

「その言い回し何か止めなさいヨ……、こう何か、聞いてて不安になってくる表情してるじゃないの」

 

 完全にキリヱ大明神も知らないくらい古いミームは置いておいて(ミームかこれ?)。やってきたのはアマノミハシラおひざ元、いつか来たブックカフェである。ちょうどゾンビと言うかダイダラボッチというかがあれこれする直前のタイミングで一人で来てた場所であり、ちょうど超が三太のための切り札を持って来たあの店舗だ。

 つまりOSR施設(オサレスポット)である。OSR施設(オサレスポット)である。大事な事なので何度でも言うがOSR施設(オサレスポット)である。

 

 駅前の小さいショッピングセンター屋上に申し訳程度に設けられたこの施設であるが。まあ細かい話はどうでも良いんだよとばかりに黒糖ラテとプレーンシュガーなドーナッツを注文して持ってくる私と「何そんなにテンション上がってるのヨ……?」と困惑気味なキリヱ大明神。

 上がらない訳がないんだよなぁ……(白目)。

 

「で? ここで待ち合わせとか言ってたけど、普通に飲み食いしてて良いンだろ?」

「いいけど、どーしてそんな楽しそうなのよ。前の2つのセーブデータみたいな神妙さはどこいったのよ……」

「1つ目はともかく2つ目は、同じようにこっちに来れば多分同じリアクションしたぜ?」

「単純……」

「まーそう言うなって! キリヱもしっかりチュロス買ってるじゃねーか」

「あ、アンタのテンション見たらつられるわヨ、普通よ普通! ふーつーうー!」

 

 お可愛らしく抗議の絶叫を上げるキリヱ大明神はともかく、つまりはそういうことである。

 このセーブデータに到着して早々、キリヱは何処かへと電話連絡をとった。通話アプリの通信で聞こえて来た声は女性のもの、正直私の知り合いとはとても思えない声で、同時にどこかで聞き覚えがある。ひょっとしたら「ネギま!」関係者かその筋か? という期待はちょっとだけあったものの、電話が終わった後のキリヱは「待ち合わせになったわ」とため息をついた。

 その後、どうやら行ったことがあるらしいキリヱに、場所を聞き出した上で先導する形で歩いた私であったが。聞けばどうやらこの世界の近衛刀太というか私はそこで待ち合わせをしたいと言ったらしい。正確には電話に出ていた女性が仲介したことになっているのだろうが、何故にそこは九郎丸でも夏凜でもカアちゃんですらないのやら。百歩譲ってみぞれ(というか「私」的には()()()だが)でも良いだろうに、伊達マコトでもなくまた新たな人物を生やすのはいい加減に自重しろと言いたい(義憤)。

 

『…………』

 

 何やら星月あたりだろうか、お前が言うな的な思念を感じたような気がするが、第四の目を啓いていないのできっと気のせいだ。ここはスルー 一択である。

 さあて。待ち時間ということもあってキリヱと、今の所成果らしい成果が得られていない話でも愚痴ろうかと思いはしたが。せっかくテンションが上げられる状況にいるのだから、今のうちにブーストしておくに限るだろうと気を取り直した。ハイになってるのは私一人なのだが、まあ細かいことはどうでも良いんだよ(迫真)。

 

「アンタ……、何その、何? コーヒー飲んでちょっと何か、済ました感じで。ダサい」

「ダサい!? いや、ちょっ! 待てよ(キ○タク)。いくらキリヱ大明神でも許しちゃおけねーぞそれは!!?」

「大明神呼びはだから……、いや今日はもういいわよ。そうよね、アンタもちょっと疲れたわよね……」

 

 そこでこう、ニコニコと同情なんだか慈愛なんだかよくわからない感情溢れる微笑みを向けられても、リアクションに困らざるを得ないのだが(震え声)。流石に夏凜のような原作でもそうそう発揮していなかった謎の洞察力によりこちらの精神状態は詳らかにされてはいないようだが。まあキリヱ自身も色々と「思い出せないこと」と「思い出した事」により気疲れを極めているだろうし、このあたりは我が事として考えて、ということなのだろうか。

 それはそうとして、このセーブデータでの私は一体どうなっているのかと尋ねれば。

 

「怒らないでよね?」

「はい?」

「……怒らないでよね?」

「……はい?」

「というか私のせいじゃないもんっ」

 

 終始こんな調子であり、色々と不安が煽られる。

 ちなみに今現在、時期で言うとちょうど三太編の真只中、つまりは9月のちょうど原作的にも麻帆良学園に通っていた時期である。つまりこのセーブデータは、キリヱが「失敗」判断を下すにしても、すぐさまリセットしないだけの何かしらイレギュラーがあったものということになるのだが……。

 本来の「私」がいるデータにおいてそうであるようにこのセーブでも同様のそれなのは間違いないが、時期から行くとまだまだ頭の方であり、失敗と断定するには早い時期な気がしている。とはいえ今までのキリヱの判断基準から言っても、まず「私」が死んでないことは確定でいいだろう。その上で何かトンチキな事態が起こっていると考えられる。キリヱがここまで居心地悪そうな顔をしているのは……、何かデジャブを感じなくもないが、私の記憶のそれなのか、それとも「一周目の私」の記憶のそれなのかすら危うい。

 

 そうだ。考えてみれば、私のアイデンティティの不安定さはなにも自己同一性のみではなかった。

 入り乱れている記憶の奥底に、確かに「私」だったろう誰かの魂が、それこそキリヱと共に5万回は経由してきた記憶と経験値とが、現在の私の血装を支えているのだ。

 

 …………考えれば考える程キリヱに頭が上がらない事態になっていくし「全部、キリヱのお陰じゃないか!」という心境である(月○さん(一砕挟んどいたよはしない))。とりあえずキリヱ大明神はあがめておくに限る(確信)。そして目の前で合掌してナムナムと唱えだす私相手には、流石にキリヱもキレ直した。

 

「に゛ゃあああああああああん! 真面目にやりなさいヨ! まーじーめーにー! ……いや、やっぱり真面目にやんなくていいわよ。ちゅーにの好きにしなさいヨ」

「なんで見解揺れてるんですかね(震え声)」

「神仏扱いは流石にちょっとどうかって思うから、何か考えたらまー、うん、少しは縋っても…………って、別にアンタのためなんかじゃないんだからねっ! アンタのため()()じゃないだけなんだからねっ!」

 

 今時ここまでテンプレなツンデレ台詞を言い放つのはもはや完全に告白なのでは?(白目)

 ん? いやちょっと待て前半はともかく後半は一体、あれ……? ま、まあ時系列的にはともかくイベント消化的にキリヱ大明神のラブコメ編が始まっていても不思議ではないのだから、彼女側からのアプローチ的な何かがあっても不思議ではないのだろうが、どうしてこんなエクストリームな状況でそんな話になってるの。本当にどうして……(白目)。

 

「何いきなり白目向いてるのヨ!? ちょっと大丈夫?」

「ふー、あい、あむ」

「ちゅーにはちゅーにでしょ、しっかりしてよ」

 

 そうは言われても色々としっかりできないお年頃なので、迷走するのは仕方ないと自分では思っているのだが……? 正直この苦痛の共有先が、それこそ師匠や超あたりくらいしかないのでもはやどうしようもないところはあるのだが。星月は星月で信頼度はともかく負担をかけっぱなしで有る自覚はあるため、これ以上勝手に重荷を背負わせるのも気が引けるのだ。

 そう言う意味では夏凜が次点としては強いのかもしれないが、だからといって「ネギま!」だの何だの、そういうメタフィクショナルな話を炸裂させるのはいくら何でも問題がある。「転生」かつ「人格の確証」が揺らいだだけで私ですらここまで支離滅裂になっているのだから、そんな話をぶちまけて相手の正気度が平静のままでいられるかと言えば、答えは否だろう。

 

 つまり繰り返しになるが、このあたりについては解決策がない。

 それこそ、完全に私と同じ立場のような形で、何かしらの状況に振り回されているような、そんな誰かでもいればまた話は別だろうが――――――――。

 

 

 

「――――あら()()()()()()、ごきげんよう。……そうですか、とするとやはり私の方が異常事態だったということですね。自覚はありましたが」

 

「まあ、そうなるわね……。いや本当、どうしてアンタだけそうなってるのヨ本当に……」

「……はい?」

 

 

 

 そして苦悩してテーブルに突っ伏した私の頭上から降り注ぐ、なんだか柔らかでお上品な声音と口調。ただ、それにしては妙に似つかわしくない固有名詞が飛んできている。

 キリヱ大明神。

 キリヱ大明神?

 はて。あの呼び名は私がキリヱに使ってるのを見て、三太やら坂田やら市川人形くらいしかお遊びには使わないのだが。釘宮はイヌメガネ呼ばわりされてる意趣返しで一度だけ使ったことがあったが、その後何か妙に胃の辺りを抑えて以降は使っていないので、何かしら獣の嗅覚的な理由があるのだろうと勝手に思っているのだが。

 

 するとそのワードの使用者は必然限られてくるはずなのだが、その声に心当たりがないのである。口調はどちらかと言えば卯○花隊長(初代剣八)のものであるし、だからといって声は全然違う。全然違うし、しいて言えば聞き覚えはある声なのだが、だからといって自分が知る誰かの者ではない。誰かの者ではないのに、毎日聞いているような妙な親しみを覚える声であるというのが既に意味不明であるが――――。

 思わず顔を上げた私の目の前で、彼女は、ニコニコと微笑みながら「ごきげんよう」と言う。

 

 見た目で言うとこれは……、む? 髪は黒の姫カット風ロングヘア。目はやや吊り上がっており、しかしキツい印象を与える程ではない。身長は何だか私より大きそうだが、年頃は十代中ごろでおおよそ私と同じくらい。それにしては「ネギま!」世界観の女子らしくと言うべきか出る所がしっかり出ており…………、そして何故かその服装は「赤い帯を腰に巻いた」黒い和装だった。……いや、和装にも白抜きで所々に五角形の星が描かれている、だと?

 腰には見覚えしかないデザインの柄……、いや、見間違いようもない。ちらりと傘のような形に血装で変化させている黒棒を見れば、彼女のそれにも同様のダイヤルやら指をひっかけるための窪みやらが存在しており。

 

 なんだかもう大分嫌な予感が脳裏をよぎっているが、そんな冷汗タラタラな私のことなどお構いなく……、むしろあえて無視してか、彼女は手を差し出した。

 

近衛(このえ)燈子(トーコ)と名乗っています。……ええ、察しの通りでしょう。戸籍的にも身体的にも今年の()()までは。つまりそれ以降は、こういうことです」

「――――――――」

 

 具体的な名詞を口には出していないが、咄嗟に立ち上がった私に特に大きなリアクションを見せない彼女。

 キリヱが「ちょっと!?」とびっくりしているが、そんなことお構いなしである。

 

 お互いに私と彼女は肩を組んで、そのままビル屋上のフェンスぎりぎりまで向かい、とりあえずそのまま共に全力で叫んだ。

 

 

 

 

「「をのれ橘ァ――――――!!!!(責任転嫁)」」

 

 

 

 お前どう考えても私だろ! 私と言うか本来は近衛刀太「だった」だろういい加減にしろッ!

 

 原作付きの二次創作などでよくある処理ではあるけどさ? そもそも私が色々崩壊させてしまってるこの世界を二次創作だと例えることはあるけどさ?

 いかにネギぼーずすらラブコメ二次創作として処理する時に邪魔になるというのを、女の子として設定することで諸々の倫理的な問題を回避させヒロインとして扱うことでキャラ格に別属性を付け加えると言う手法もないわけではないけどさ?

 

 いくら何でも自分自身の女体化(TS)までOKにした覚えはないぞ、正気かこの世界!? 誰か止めなかったのかこの世界!? 本気か、神!!? ぶっ飛ばすぞ!!!(激怒)

 

「こんな世界は……、間違っている…………! だって、こんなの絶対おかしいよぅ(震え声)」

「私はもはやその心境は通り越しました……、いえ『習合されてる』人格に女性人格がなかったわけでもなかったから、辛うじて振る舞いは取り繕えていますけれどね。そう言う問題ではないですが(白目)」

 

 というわけで、どう見ても「私」の近衛刀太のコンパチ的なデザインになっているTS私(性転換状態)な近衛刀太「だった」彼女は、共に目から涙を流しながら抱き合い、延々と泣き続けて周囲の一般客たちをドン引きさせた。

 キリヱの「せめてこっちでやりなさいヨ!」という声すら耳に入らず、私と「私」はおいおいと泣き続けた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 つまりこの世界が失敗扱いになっているのは、私が男性ではなく女性になっているかららしい。

 

「忘れもしませぬ、あれはまだ私が熊本で友達四人とは別な路線を模索していた頃……」

 

 色々ダメージを喰らった私を介抱する彼女……、うん、本人の言い回しに従ってトーコと呼ぼうか。トーコの私はいよいよもって表情が引きつったまま微動だにしなくなった私に膝枕をし(膝枕!?)、その頭を撫でながら自身の経緯を語り始めた。特に「私」である自我については触れない程度の話ではあるが、そこから自分のルートとの差異を確認しろということなのだろう。

 ただリ○ボは止めろ、それはニキティスの持ちネタだぞ私に聞こえるCV的に。

 

 とはいえ、特に彼女の話に特別なところがあったわけでも無い。私が私であるがゆえに橘が手をこまねいて、そのせいで九郎丸が熊本まで到着してしまい……というところから始まる地獄の一丁目だ。相変わらずの時系列崩壊という我が罪そのものである。

 聞けばトーコのもとになった刀太である私も朝倉関係はそんなに差がなく、この感じだとおおよそ私と同一ルートを辿っていたということになるだろう。

 

 決定的な違いは、橘によって私が召喚され盾にされた後。九郎丸の夕凪で心臓を刺され、倒れ伏した後になる。

 

『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが事故から救った少年なのだから…………、つまり、そういうことですかね?』

『橘、貴様何をする!?

 止めろ、私はともかく刀太は――――!』

 

 どこからその結論に至ったのか、「人間として」ほぼ瀕死であった私に対して、橘は追い打ちをかけた。結果として肉体は爆散し、文字通り原形をとどめない有様となったらしい。

 らしいと彼女が言うのは、おそらくその情景は目にしていないからだろう。現在でこそ肉体が原形レベルをとどめない程破壊されれば、魂的な何かが外側から観測しつつ復活している私であるが。ほぼ只の人間だった頃にそれが出来たかと問われれば、流石に無理だと回答せざるを得ない。

 

 盛大にスプラッタに殺された私……、九郎丸が病みそうだなという感想が出る時点で余裕があるが、まあ少なからず目の前の彼女が彼女なので、おそらくそれが切っ掛けで吸血鬼性ないし魔人性が活性化したのだろうと予想できるのだが。

 

「再生する時に、()()()の血を使ったのが問題だったのでしょうね。寄合になる基点がなかっただろう私の肉片は、強制的に覚醒した『金星の黒』によって、既に起動している金星の黒を基準として復活、でもしたのでしょう。

 その結果がこの様というわけです」

「をのれ橘……、というかお前さんにとっては責任転嫁でも何でもなくガチで戦犯じゃねぇか」

「とはいえそもそも、時坂九郎丸が熊本にたどり着いた時点で何もかもが失敗だったと言えるでしょうし。結城夏凜からは嫉妬の炎を向けられていますし、一体どうしたものやらですね」

 

 なるほど夏凜は……、いや何だ? 一応あの人って子供好きな訳で、そもそもの馴れ初め(?)として異常事態に見舞われた子供を保護するという展開から始まっていたのだから、それが今の私に繋がっている訳だが。ひょっとすると女性の身体になったせいで、そのあたりのルートが結構変わっているのか?

 そしてもしかしてだが。

 

「九郎丸、男?」

「ええ。『トーコちゃんは僕が護る!』と覚悟を決めてしまいましたので。…………ええ、本当に、ええ……(遠い目)」

「そっかー ……(遠い目)」

 

 まあどうやら、なるようになったらしい(責任ジャーマンスープレックス)。

 

 この調子だと他にも細かい話に大きく影響していそうな気がするが、あんまり聞いているとメンタルが今回こそ回復できなさそうだ。最後の最後の追い打ちにしてはギャグ漫画めいたアレな気もするが、彼女の話を深堀すればするほど自分の堀った墓穴も一緒に思い出すことになる訳で、もしかして師匠がそういう方法を取って好感度関係について教えたりしなかったのはかなり気を遣われていたのでは……?

 今度社でも立ててお供えしようかどうか考えている私に、トーコはさらに遠い目をする。

 

「見た目でわかると思いますが、血縁的にも身体的にも、現在は近衛の血筋のそれではありません。復活の経緯が経緯ゆえに、カア様の方に近いくらいです」

「そっかー。……辛かったなぁ」

「ええ。…………あなたも」

 

 いかん、お互いまた泣き出してしまいそうである。

 何なら前2ルートのどの私と比べても、最もお互いがお互いに共感できそうな相手だ。もはや異性だの同性だのなりふり構っていられないレベルで、お互いがお互いに苦悩を分かち合える相手であると「魂で」理解できてしまった。

 良く頑張りましたね、と「私」の頭を撫でて慰める「()」。字面上は意味不明極まりないものの、なんだかこれはこれで若干報われているような気がしないでも……、しないでも……、いや完全に自慰行為でしかないな。形を変えたナルシズムのそれである(戒め)。

 

 とはいえ立ち上がる気力がわかない私なので、ひたすらに幼子でもあやすようトーコからあやされている訳だが。この地獄みたいな状況に物申す勇者が一人、この場にはいた。

 

 

 

「うなあああああああああんん! 近い近い近いッ! ちーかーいー! 自分同士で何をイチャイチャしてるのヨ、気持ち悪いわヨ!」

 

「「気持ち悪い、だと……?」」

 

 

 

 皆大好き、キリヱ大明神である。

 キリヱが膝枕されていた私を起こして、トーコと私の間に割って入り。そのまま二人そろって襟首を捕まれ、喫茶スペースまで再連行されることになった。

 

 いや、まあ、我ながらお互い正気を失っていたのは間違いないのかもしれないが、それはそうと気持ち悪いはいささか言い過ぎなのでは……? いや気持ち悪いか、自分自身なのだし。嗚呼……(吐血)。

 

 

 

 

 

 

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