ST4.Blood Boomerang(Swastika Boomerang)
「――――へ? あっ、あっ……!
と、刀太くん……!?」
手に伝わる感触と、流れる血。僕の思考は、完全に停止した。まるで走馬灯のように、今日の映像が脳裏をよぎる――――。
休日早々、朝。一人室内で瞑想する刀太君を置いて、雪姫先生ことエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルと僕は買い出しに出向いた。国道沿い、近隣では数少ない飲食店の「ラーメンたかみち」よりもかなり先にある小さい無人スーパーだけど、物品の供給は都から定期的に行われていて、軽い買い物程度で無くなるようなレベルではない。僕は荷物持ちということで同伴になっていた。……正確に言えば「刀太が何か悩んでるからなぁ。一人で解決する時間も必要だろう」という彼女の言葉に従ったというのが正しい。
雪姫先生は、僕、刀太君、自分の三つの腕輪を見て少し楽しそうだった。
「なんだか変におそろいで家族みたいだなぁ九郎丸」
「家族…………」
「お前の事情は多少『知ってる』が、まぁ気楽にしておけ。ここでは私も刀太も、ただの田舎の人間だ。お前も気張らないで過ごしていいだろう。そうだなぁ……、義理の母とでも思って精々アピール頑張れ?」
「あ、アピールって何ですかアピールって一体ぜんたいなにのはなし!?」
「ハハッ! 知らぬは本人ばかりなり、か? まさか単に共同生活してただけで堕としかけるとは流石に私も予想してなかったが……」
「だから何の話ですか!? ……って、それより僕の事情?」
「嗚呼。そもそもお前の――――ん?」
途中、そのまま転移魔法(デバイス)を使って現れた田中君たち四人に魔法で拘束された雪姫先生。まさかと笑っていたけど、ここまでは余裕があった。
解呪するためだろうか、魔法の起動キーを口ずさんだ彼女だったけど、その呪文が魔法を形成することはなかった。聞いていた通り、橘という賞金稼ぎの仕掛けが作用し、彼女のブレスレットが魔力を霧散させたらしい。
「今だ皆!」
「おう!」「甘くみさせませんぜ!」「やってやりますよズバり!」「俺たちのホンキ見せてやるぜ先生!」
「ハハっ! 何だお前の差し金か。随分馴染んだものじゃないか九郎丸!」
口々に自分たちを奮起させる言葉に、雪姫先生はちらりと僕を見て楽しそうに微笑んだ。とはいえそれを苦笑いして訂正しようとして。
でもその前に、辺り一帯が「人払いの結界」に包まれた。
「――――見事、頑張りましたね。ご苦労様です皆さん」
突然現れた橘は、四人にそれぞれ一撃入れて気絶させた。手際の速さは、賞金稼ぎとしての能力の高さを察させるもので。
雪姫先生が顔をしかめるのを他所に、彼はせせら笑った。
「さて、ここからは大人とバケモノの時間です。…………いやはや6億の賞金首、伝説の怪物といえど子供には甘いですか。それともイレギュラーが現れたから警戒心が薄れましたかね?」
「……なるほど、半年気づかせないとはなかなか腕が良いな、橘、お前」
「正直大変でしたよ。ですがすべては今この時の為――――」
「っ、何故彼らの邪魔をしたんだ! 貴方は教師として、応援したいと言っていたじゃないか! それは賞金稼ぎのそれとは別に!」
思わず叫んだ僕に、橘は肩をすくめる。と同時に無数の槍が現れ、雪姫先生に――――! 彼女は腕で庇い、頭などは無事だが地面に縫い付けられた。
「良い演者とは自ら『変心』させるもの。確かに間違いではない、あなた達に対して勉強を教えていた橘と言う教師も、私の一部であるし、この半年の忙しさや毎日は確かに充足感『のようなもの』を覚えることもありました。でもね?
――――それだって全部、いつでも捨てられるものでしかないんですよ」
「それが、貴方の本心か」
おっと動かないでくださいね、と橘は雪姫先生に視線をやる。その手にはマジックデバイスの力で生成されただろう、長刀が一つ。僕を見やり、彼は言う。協力して事に当たろうと。
「何を言って……」
「もともと不死身のバケモノを殺すのが貴方の使命。対して私も賞金こそ頂きたいですが、彼女を殺す目的に変わりはない。ここは共闘戦線と行きませんか?
不死身の吸血鬼相手に余裕こいて返り討ちに遭うような真似はしたくないもので。
いいじゃありませんか、事情は知りませんが、彼女を殺したいのでしょう? そうしなければならない程に、つねに彼女の隙を観察していたのですから」
「…………気づいていたのか」
「これでも『生徒のことはしっかり見てる』んですよ。一応『教師』でしたから」
確かに今の状況は好機だ。
実際、橘の拘束はあのエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの身動きを完全に封じていた。でも彼の攻撃では、彼女は殺すに至らない。
でも今なら僕だって、あの伝説の吸血鬼を殺すことが出来るだろう。
二人分の協力があって初めて倒すことが出来る……可能性がある。
でも、僕の頭に浮かんだのは違うことだ。
刀太君と過ごしたこの一月ちかくの学校生活。喜怒哀楽、そして表現できないような、やりきれないような顔を時々浮かべていた刀太君の顔。
その心情に、不思議と何故か近づいてしまったような感覚が僕にあった。それは普通の友達とはまた違う距離感のそれで……、でも具体的に言葉にするのが難しい、そんな感覚。
その感覚が言ってる。僕は――――僕は、まだ迷ってる。
だから刀を抜き、橘に向ける。
「おや? 何か気に障りましたかね」
「………わからない。だけど、刀太君はたぶん納得しないんじゃないかと思う。だから僕は、まだ彼女を殺すべきじゃないと思う!」
「やれやれ面倒くさい……では仕方ありませんね」
彼も手元の剣を構える。と、その刀身が鞭のようにしなり、分裂して僕に襲い掛かる。
その程度――――!
「――五月雨斬り!」
身体が軋む……、不死身の肉体の限界速度で手首を切り返しながら、一発一発の鞭をはじき落とし斬る。それに驚いたような顔をする橘。
僕は刀を構えて走る。まずは右腕――――マジックデバイスを動かしている側の腕を狙い、突きの構えをして前進し。
「残念――――――!」
「――――んっ」
その一撃は「刀太君の心臓を貫通した」。
「――――へ? あっ、あっ……!
と、刀太くん……!?」
突然現れた刀太君。彼もまるで、突然わけのわからない状況に放り込まれたみたいな、そんな呆然とした顔をしていた。
ただ、そんなことは関係なく、僕の刀は彼の胸の中央を貫通していた。どくどくと、血が、流れる。不死身でも何でもない、刀太君の、その血が――――!
血が、血が……、脈拍が、ゆったりと刀越しに伝わる。熱い、生きてる人間の脈と、鮮やかな赤だ。それが、嗚呼、だって、一体何で――――!
「その腕輪、あらかじめいくつか魔法を仕込んでありましてね。封印術のほかに転送術も。つまり今、君の攻撃のための盾にしようとしたわけですね……」
「あ、ああ、あ……」
「おやおや、動揺のし過ぎで会話になってませんね。ひょっとして素人ですか? ――――人を殺すのは初めてですかァ?」
橘の顔が、ひどく歪む。歪んで笑う。
刀太君は、驚いた顔のまま、僕にもたれるようにがくりと動きが止まり……、僕は徐々に弱くなる彼の脈動に、腰が抜けて、立てなかった。
腕が、ふるえる。
「橘、貴様――――ッ」
「何いっちょ前に人の親ぶってるんですかねぇ、虫唾が走る。優勝劣敗、弱肉強食が世の摂理であるのは貴女が一番体現しているでしょうに」
橘は僕らを蹴り飛ばした。刀太君が覆いかぶさる形で、僕らは遠くに投げ飛ばされる。そして腹に、背中から槍。僕はこの程度では死なない、死ねないけれど、でもただでさえ心臓に致命傷を負ってる刀太君にとってそんなものは――――。
震える手が、刀から離れない。力を緩めることも、何もできない。ただただ全身が固まったように、動くことができない。
金縛りにでもあったような……、それこそこの体になる前の、病弱だった頃のように身動き一つ――――。
「ご、……、ごめ、……ごめん、刀太く……、あ、僕は、何てこと………」
言葉もうまく出ないや、いや、そもそも自業自得だったのかもしれない。そもそもこんな身となって、一族から放逐されたことも。あの優しかった兄様にすら見捨てられたことも。
嗚呼でも、そんな僕を、命を狙ったのに受け入れてくれた刀太君すら、この手に、自らの手で殺してしまうなんて……なんで、一体、こんな、あんまりだよ……。
橘と雪姫先生が何かしゃべってる。それも、耳に入ってこない。でも血が飛び散る音と貫通する音が聞こえる以上は、あのエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルですら劣勢なのだろうことは察せられてしまって。
「僕が、来なければ、よかった……、こんなのって……」
心が死にそうだ。いや、本当はもっと前に死んでいたのかもしれない。ただそれでもダラダラと惰性で生きていたような。だからこんな死に方をするんだ、こんな殺し方をしてしまったんだ。
思考がどんどん闇に堕ちていくような、重い泥に沈んでいくような感覚で、それが酷く気持ち悪くて。でも僕にはきっとそれはお似合いで――――。
「…………心臓はともかく、腹はオーバーキルだろうに。全く」
聞こえた声に、僕の意識は嘘みたいに現実に引き戻された。目を開け、顔を上げ、その先を見る。
それこそ土色になって、今にも死にそうというかもう死んでるんじゃないかって顔で。でも刀太くんは、仕方ないなとばかりに苦笑いしてた。
「なんで、そんな……、刀太君、君は……」
「わかんねーけど、まぁなんか大丈夫だなコレ。っていうかアレだ、たぶん色々ショック大きすぎて神経がマヒしてるなぁ……。後で絶対悲鳴上げるか気絶する奴だぞこれ」
「なんで、そんな君は冷静なんだい……」
いつも通り、訳も分からないけど、それでも生きてるような……、そんな彼の様子に、僕は安堵から全身から力が抜けて、目の前が曇る。
そんな僕の目元を、刀太君は指で優しくぬぐった。
「あー、安心してるっぽいところ悪ぃんだけど、アイツ、どうにかしないとダメだろ」
「アイツ……?」
横眼の刀太君の視線の先、胴体だけで転がされてる雪姫先生を尻目に、橘は四人の方に歩いて行った。
「もともと、雪姫の目撃証言を消し去るために町も何割か殺して回るつもりだったみたいだし、アレ完全にダメな奴だろ。お前も見る目ないなぁ九郎丸」
「よ、余計なお世話だよ! って、そうじゃない、止めに行かないと……っ」
背中を貫通して、地面に釘打たれてるような僕の状況だ。痛みは耐えられる。けど、上手く力が入らない……! 情けない、刀太君を殺して動揺して、今安堵して気が抜けて、完全に体が戦える状態じゃなくなってる! 心なしか動かし方も何か変と言うか、慣れないような変な感じが……。
「一つ頼みたいんだけど、いいか?」
「何をだい、刀太君」
「コレ、いっせーので抜いてくれね? たぶん、それで何とか出来る」
「何とか出来るって……!」
「たぶん俺、雪姫と『同じようなもの』なんだわ。今分かった気がする。だから『それの』『使い方が分かれば』、どうにかできると思う」
「君は、雪姫先生の正体を知って――――」
いや知らないけど、と刀太くんは苦笑いする。でもその目は、百パーセント真実を語ってるわけでもないような、そんな微妙なものだった。
「頼むぜ、九郎丸。今は俺を信じろ――――殺した責任くらいしっかり持て」
「どんな、言い草だよ君は……っ」
でも。
腕の奮えは止まった。深呼吸をする……刀太くんの臭いが、血の臭いと何か安心できる匂いが混じって、なんだかこんな状況なのに変な気分になりそうだけど。それでも。
「いくよ、刀太君」
「ああ。
いっせー、の――――痛!」
次の瞬間、真っ黒な洪水のようなものが刀太君の傷跡の前後から噴き出し、僕は弾き飛ばされた。
※ ※ ※
やはり人間、下手に楽をするものではない。否、むしろ欲張りすぎたせいか。慎重に慎重を期する必要はあるということか。
九郎丸がいるから早々、例の橘お手製の封印術式程度でどうこうなる話ではないとタカをくくって一切介入するつもりもなかったのが良くなかった。まだまだ原作イベントを後ろに倒せるだろうと慢心したのが良くなかったのかもしれない。まさか私自身が巻き込まれガードベント(直喩)されることになるとは思ってもみなかった。これもバタフライエフェクトなのだろうか……、バタフライエフェクトだろうなぁ、明らかに雪姫も九郎丸も動揺した顔してるから。空間転移で呼び出して動揺を誘うか人質にするかって手段は考えていたのだろう。
一撃、完全な貫通ではあったがこれはたぶん「いしのなかにいる」みたいな理屈で呼ばれたのだろう、一切刀が胸骨を切開するような感覚を覚えなかった。痛みも何もなく、ただただ熱が胸から噴き出すようなこの感覚……、気持ち悪いこと極まりなかった。
あまりに驚き全く思考が働かなかったが、しかし九郎丸共々弾き飛ばされて、腹にも槍が刺さったことで我に返った。既に痛みがキャパシティを超えてしまってるのか、アドレナリンがバンバン出ているのか痛覚は一切感じない。衝撃と、破損した内臓やらからどばどばと延々と血が出てくる感覚だけが私の身体を支配している。
皮膚感覚が冷たくなっていくのと同時に、しかしそれでも意識が途絶えない―――――途絶えないというか、何と言うか「押し上げられている」ような感覚と言うか。嗚呼これが不死身ということかと分かったような分かってないようなことを考えながら、九郎丸を適当に励ます。
腕輪は早々に外したので、早く正気に戻ってもらって、胸の刀を抜いてもらいたいのだ。
どうやらこの刀、ある程度の不死性を断つ効果でもあるのか、どうにも腹部に比べて胸部の再生が追い付いていない感じがする。それでも失血多量などで死なないのは流石に魔術的な不死身ということなのか、そういう考察は後回しだ。
どうにも………、どうにも、である。何かうまく言えないのだが、何かが「ある」のだ。
例えるなら
はっきり言ってこの感覚、得体の知れないもので気持ち悪いことこの上ないのだが。おそらく設定上でいうところの「金星の黒」、すなわち裏金星(魔界)から溢れてくるエネルギーの類のそれなのだろう。
それを始点に太陽系全土からエネルギーを引っ張ってこなくても良い。少しでも意識的に、「魔界」の魔力を引っ張ってこれれば、現状に対する打開策にはなるはずだ。
つまるところ、原作で言う「マギア・エレベア」を少し先取りしてやろうということだ。
意識的に出来るかはわからないものの、やる価値はあるだろう……、というのも、どうにも九郎丸の身体がこっちに寄りかかってる感じ「女の子」のものになってしまっているからだ。この状態、普段は男性よりの肉体らしいので戦い慣れてない九郎丸には相当重荷になっているやりとりが原作でもあった。それを意識的に再調整することをしていないはずなので、今の九郎丸は本人が思っている以上に動けまい。
ある意味でピンチ。だがある意味で
ここまでくると私自身より、この近衛刀太の運命力的な何かを信じる他ないだろう。
賭けには……、勝った。
ただ、阿呆みたいに痛いのだが。
「いや、体が再生すると同時に痛覚まで標準に戻るとか馬鹿か、加減しろこの体!」
思わず誰にでもなく悪態をつきながら心臓を抑える……、刀が抜かれた瞬間「金星の黒」の側に意識を集中した結果か、猛烈な速度で再生と同時に、黒い魔力が物理的な衝撃を伴ってあふれ出した。勢いの余り腹の槍すら弾き飛ばしている。それらは未だ再生途中の傷から噴き出す血と混じりながら、私の全身にまとわりついている。
何だろう、闇の魔法としての「マギア・エレベア」になっていない……? 何かしら悪魔的な要素を持った、いわば
突然の状況変化に、橘もこちらを見ていた。その表情は完全に予想外のそれである。というより、私の有様がおどろおどろしいのか完全にバケモノを見る目だった。……もっというと吸血鬼ものの映画で吸血鬼を見るような目と言うか。いや我ながら意味が解らん。
「何だ、それは……? 近衛君、君は一体……ッ」
そんな橘を無視しながら、何か今の状態でできる武装を考える……、不定形の、血の、魔力の、液体みたいな、というあたりでふと思い浮かんだのが、今のビジュアルに引きずられてではないだろうが
「意外と私の意識通りにやってくれるってことか? って、あっ」
油断大敵、適当に検証していたら右腕を切断され、しかも燃やされる。
勝ち誇ったような笑みを浮かべる橘。だがなぁ、それは悪手だぞ。
腕を欠損したまま私は走る。馬鹿が、と嘲笑いながら連続攻撃を決めるが、残念ながらそちらの方が甘い。
一応この、血のコートみたいなものはある程度こちらの意図を汲んでくれる。つまり何が出来るかと言えば、そもそも全身を硬化させることが出来るわけだ。血中の炭素だの何だのを上手いことどうこうすれば固くなると
するとどうだろう、橘のしなる斬撃は、いっさい私の身体に傷を与えられずに弾かれる。これには流石に動揺した橘だが、態勢を立て直し私自身を燃やし尽くす方に決めたらしい。だが――――遅い! 既にこちらの間合いに入っている。
「全力でガードしろよ、先生――――たぶん手加減できねぇ!」
「ッ!!?」
私は「急速に回復した」右腕から、ブーメランでも投げ飛ばすイメージで、血と魔力で形成されたプロペラのようなものを投げつける――――おそらく人体の限界を超えた速度と威力で。明らかに今の私のこれは、私自身制御出来てない。つまり初回の
なので最低限の警告をした上で放ったのだが…………、まぁ、酷いことになった。
とっさに剣を構えたのが功を奏したのだろうが、受け流しに成功したらしい。成功したらしいが、そもそもの衝撃で橘は吹っ飛び、トラックに激突し、貫通し、足があらぬ方向に曲がっていた。………身体強化でもしていたのか五体がバラバラにならなかったのが救いと言えば救いだ。もっとも粉砕されたトラックが爆発して火を噴いてるので、早い所どうにかしないといけないが。
肝心のプロペラの方はといえば、道路に巨大なクレーターというか、えぐれた跡を作っていた。否、巨大と言うか、一体どれくらいの大きさ長さなのかちょっとわからない。奥の方の、田舎道にありがちな間隔と感覚が離れている信号機が二つ三つ壊れている。つまりあと一歩間違えると、民家とか田んぼとかのところに軽く侵入してなお被害を発生させかねなかった訳だ。
これは……、酷い。
「ままならぬ……」
それ以上の言葉を続けられず、気が付けばいつの間にか背後に立った雪姫が、私の頭をポンポンと叩くように撫でていた。
※戦闘中、九郎丸は死神の力を奪われたルキアめいたモノローグをしています