久々に深夜なんですが済まない、済まない……
あ、アンケートについてですが来週一杯で一度締めきろうかなって思ってますので、お急ぎの方は是非お早目に……!
ST51.Memento Mori: Love Black Hole
学校生活なんて十年くらいは久しぶり……。
でも感傷にひたることもなくて、だからって特にウキウキすることもない。
大体義務教育は引きこもってた期間の方が長かったりするから、正直思い出もない。
ただ周回が最適化すれば最適化していくほどに、そういった些事に気を取られるようなことも私はなくなっていった。
法的に言えばもう成人年齢だし、「繰り返してる」回数からしても、今更、という感じ。
小学校は一応通ったけど、後は通信教育を適当に齧って大学卒業認定まで行ったし。
だけど「アイツと」通うとなると、なんだか変な気恥ずかしさが湧いてきていた。
アイツ…………、まぁ、つまり、あの刀太、「ちゅーに」のことなんだケド……。
アイツとちゃんと話したりしたのって、考えてみると「周回」の中でも極端に少ない。
まー私の側の事情が結構大きいんだけど、だから協力を取り付けたりすることはほとんどなかった。
下手に取り付けるとまたあの時みたいに…………、「最初の」あの時みたいな、無茶なことになりそうな気がして。
だから流石に、本当に、何度やっても全く同じ結果が出るようになった今回の「五十周」については、いい加減ストレスが限界で思わず話をしてしまった。
その結果、無茶なことにはならなかったんだけど…………。
なんていうか、こう、あっさりと世界滅亡の期日を回避されて、どんな顔をしたらいいかわかんないじゃないのよっ。
そんなこと言っても仕方ないんだけど、でも……。
もともとアイツが、学園で何か会合に連れていかれるのがトリガーになってるような気はしていた。
一体それで何が起こるのか、詳細がわからないから「今回は」せいぜい「アイツがついていかない」状況を作れればくらいに考えていたんだけど……。
アイツはもう、会合そのものがゾンビテロのトリガーになってるって、よくわかんないけど見抜いたみたい。
だから会合そのものを延期させて、その原因を探りにいくための依頼を引き受けることにしたって言ってる。
確か、えっと、複数の能力を持つ不死者だったかしら。
本当だったら、っていうか「最初のとき」は一空と私が向かって、それで気が付いたら「あんなこと」になって、その間の私の記憶も何もかも全然なくって……。
私がすぐさまゾンビにされたことから、爆心地はきっと学園内だって思ってたんだけど。
アイツは「私が学園に向かった」って話を聞いた時点で、それを察したみたい。
その結果が現在、つまり「会合予定のおおよそ一週間後」の今日。
大体、学校への潜入任務って準備に最低でも一週間くらいかかるらしい。
つまり準備期間の手続きだったりいろいろな準備で、三日なんてあっという間に過ぎてしまうってこと。
そしてその「Xデー」を迎えたっていうのに、相変わらず世界はそのままだった。
『……確かにアンタが、会合っていうか、お食事会? に出なかったので世界が滅ばなかったのは間違いないんだけど。でもどうして、会合そのものが問題だって断言したのよ』
推測しながら、手探りしながら。言い方わるいけど「最初からリセットされる系の死にゲー」人生やってる私からすると、アイツはあんまりにも自信をもって断言しすぎていた。
それが不可解で思わず聞いた言葉に、苦笑いしながらアイツは、変な、なんかちょっとアニメとか漫画みたいなポーズして指を一本ずつ立てながら言ってきた…………。
『あの会合のメインはそもそも俺だったし、出ねーって選択肢はねぇんだけど……。仮に俺が行かなくても、雪姫は出席した可能性があるんだよ』
『何でよ』
『まぁ色々だな。なーんか少し隠し事してる感じだったし』
ひょっとして意中の相手からメッセージでも貰ったか? みたいな妄言を吐いてたけど、そんなこと知ったこっちゃないわ。
とっとと答えなさいよと詰め寄ると、ため息をついてアイツは真顔になった。
『…………ゾンビウィルステロについて、色々整理した結果だな。
ひとつめ。今回のこれは自然現象じゃなくて人為的なものだと考えられる。少なくとも人工物であることは間違いねーだろ?』
『そりゃ……、感染力といい抑え込みが利かないように順次発動していったのは人為的なテロ行為だと思うけど』
『で、ふたつめ。それが連鎖的に発動された以上は前々から計画されていたとは言えるけど……、犯行声明とかそういうの全然なかったんだろ? たしか。つまりこれは人災的なミスか、もしくは何かしら「個人的な事情」に端を発して引き起こされてるかもしれねーってことだ』
『それは……、えっと、なんで?』
ミスはわかるけど、個人的な事情ってのがよくわからない。
私の疑問に、ちゅーには「スラムでの経験からって訳じゃねーんだけど」って前置きした。
『少なくとも、理解できるような感じの意図や目的で引き起こされた感じじゃねーって言ったらいいのか? こーゆーのって、えーっとアレだ。何かしらビジネスっていうか、利益を得る対象がいてはじめて成立するものみてーなんだよな。人を一掃することで資源を守るとか、侵略しやすくするとか。
だけどゾンビテロ起こしておいて犯行声明出さねぇわ、ワクチンも全然出さないわ、むしろ潰そうとするわって来てたって話じゃねーか。ってことは、相手は下手すると「人類そのものを絶滅させよう」としてるとか、そんな滅茶苦茶なこと考えてるんじゃねーか? っていう』
『それ漫画とかアニメの見過ぎじゃないの……? だからちゅーになのよ、ちゅーに』
私の文句を無視して、刀太は三本目の指を立てる。
『で、みっつめ。雪姫の話じゃ、爆心地ってなってる学校って魔法的にも通常のセキュリティ的にも、結構そのテのテロとかは起きにくいようになってるし、なんなら鎮圧部隊みてーなのも準備はされてるらしいんだよ。さっきの話じゃ、
なのにそれを回避して楽々テロを押し通したってことは、だ。そのパンデミックのもとになった場所、つまり「旧麻帆良学園」は、敵さんのホームグラウンド。そこに根を張って、色々手を回せるとか、色々な情報収集とかも簡単に出来るってくらいまで考えたっていいかもしれねー。でもなきゃ、効率よく学園都市全体のゾンビパラダイス化は難しいんじゃねーかって思う』
『段々現実離れしてきた感じね……。まあホームグラウンドだったんじゃないか、っていうのは、わからなくもないけど』
『四つ。ここまで踏まえると、たぶん実行犯てか主犯は「世界に絶望してる」とか、そういうタイプのはずだ。
そしてここまで踏まえて最後に――――』
最後に、と。続いた刀太の言葉で、私は目が点になった。
『――――ネギ=スプリングフィールドの友人だったフェイト・アーウェルンクス。アイツ、結構性格悪い』
『……へっ?』
困る私をさしおいて「これが一番大事」とでも言いたげに、アイツは何度も頷いた。
『大事って言われても……。フェイトって、あの、あのフェイトよね。太陽系最強の魔法使い。今世紀の英雄の一人、『
『最後のは知らねーけど。まー、最終的に友達になったって言うから悪い奴じゃねーんだろうけど。でも話した感じ、アイツ絶対アレだぜ? 基本性格悪いけど努力家で力を持ってる自覚もあって世界をどう良くするべきかってのを常に考えてはいる前向きさを持ってるけど、人情有る割にそれを為せない連中のことは歯牙にもかけないしなんなら煽って自滅してく連中見るのはちょっと楽しんでる割には、根っからの所では窮地でも立ち向かってくるような相手に本心では心開きたいしそんな隔絶した自分の立場に寂しさも覚えてるタイプだぜ性格悪いけど』
『情報わっと一気に浴びせるんじゃないわよ! っていうか結局最初と最後が性格悪いで終わってるじゃないっ』
思わず突っ込んでしまったけど、何なのコイツって感想が先に来た。
聞きかじった感じだとちょっと話して斬り合ったくらいらしいんだけど、えっ何? そんなところまでわかるの?
アレなの? 拳と拳、剣と剣で語り合う的なむさくるしい感じのやつなの? ディティール細かすぎてちょっと気持ち悪いんだけど……。
『そんな奴が、道を
『…………まぁ、そうね。そんな気はするわ』
『こっからはさっき以上に推測でしかねーんだけど、きっと、俺がその場に居たら絶対もっと「ややこしい」話になってくると思うんだよ。でその時の戦いとかやりとりって、なんつーか相当見下した発言とか、切って捨てる発言とか、そういうのいっぱい出て来ると思う』
『いやその思うって何なのよ……。的なとか言われたってどんな顔しろってのっ』
『まーとりあえず。その「主犯」にとっては相当「面白くない」ことを言うような気がする……っていうか、たぶん言う。なーんか俺はともかく「カトラス」見る目は完全に実験動物見る目だったし。ある意味感情とかと理性が完全分離してるって言うか、そういう奴だと思うから』
少なくともその嫌そうな表情で、フェイト・アーウェルンクスに対してコイツが良い感情を持っていないのはなんとなくわかった。
って、カトラスって誰よ?
『本人いわく妹……、だけど、まーこのあたり詳細全然まだわからねぇって感じ。顔立ちとかあんま似てねーし…………? いや、従妹くらいには似てるか?』
『私に聞かれても知らないわよ』
後で夏凜ちゃんに聞くと、スラムを襲ってきた敵の中にいた女の子で、ちゅーにが色々手を尽くして絆して味方にしてたらしい。って、何やってんのよアイツ…………。
まあ、納得できたわけじゃないんだけど。
それでもちゅーになりに推論っていうか、理由はあったってのはわかった。
どれくらい正解なのかとかは今になってはあんまり意味はないんだけど……。
ただこの話を聞いて、私はアイツの潜入任務について行こうと思った。
話してて、なんとなくわかった。
雰囲気が一緒だった。「あの時の」アイツも「今の」アイツも。
会話がなんだかんだコントみたいになるのもそうだし、その間時々すごい遠い目してるのもそうだし…………、あと本人は隠してるのか気づいてないのか知らないけど、時々まるで「怖がってる」みたいに、手とか隠れて震えてる時があった。
それこそあの時――――私を助け出してくれて、心配するなって笑いながら、でも足だけはすっごいブルブル怖がってるみたいに震えてたのみたいに。
嗚呼結局、コイツはこうなんだって――――「怖いのを我慢して」立ち向かってるんだって。「最初の」アイツとの最後――――最期の別れ際の時から、過去でも未来でも何も変わっていない。
――――心は
時々、フラッシュバックして、リフレインするアイツの言葉が、なんとなく寂しくて。
……あんなビビリが無茶してるんだから。私ばっかり安全地帯にいたら、女が
だから、予知能力ならこっちにいた方が安全だろって止めるアイツに文句を付けて、無理やり同行することにしたんだった。
「…………で、何で早々迷子になってんのよアイツ!? 何なの? お上りさんなの? いくらなんでも早すぎるでしょっ!」
そして初日の登校中、早々に姿を消したアイツに私は叫ばざるをえなかった……って、こんなの叫ぶに決まってるじゃない!
ちょっと仲良くなった九郎丸なんて「僕がしっかり見てなかったから……」とかなんか落ち込んでるけど、
人の波でごったがえす通学路。路面電車の進行も邪魔されてゆらりゆらりと進んでる。
無理にかきわけて進めないような状態で「何で初日からトラブル起こすのよ!」と頭をかかえたい私に、夏凜ちゃんは大丈夫と言って肩を叩いた。
「……何が大丈夫なのよ?」
「大丈夫、問題しかありません」
「問題しかないって何よ!? ダメじゃない!」
「いえ、そういう意味ではありません。あの子、刀太の祖父がどうであったかという話を雪姫様から少し伺ったことがありますが……、九郎丸、私、忍、カトラスちゃんに貴女と来ていますので、おそらく一人で野放しにすると……」
「ぼ、僕ですか!?」「夏凜ちゃんが何言いたいか全然わかんないんだけど……」
と、どこからかキャー! って女の子の声が複数聞こえる。
なんか人がドミノ倒しになって事故みたいになって、そこだけ人が居なくなってるところなんだけど…………。
そこに、居た。
……なんかジャージ着て腕章つけてる体操着の、こう、なんか、おっぱいの大きい、跳ねたショートヘアのカワイイ
っていうか、なんか顔真っ赤にしてる割にあの
「と、刀太君……、また何か巻き込まれて…………?」
「ふむ。……やはり
夏凜ちゃんが何言ってるか全然わかんなかったけど、思わず私は怒鳴りながら駆けて行った。
※ ※ ※
九月一日とかそういう変な時期での転校生というのは、もはや存在自体が目立つことこの上ないといえる。まあ学年単位の人数でいっても日本最大級のレベルを誇る「まほら本校舎」であるから、目立つといっても全校生徒が注目するレベルではないし、夏季休業明けの始業式とぶつかるのでタイミング的には違和感は少ない。とはいえ基本的には全寮制の学園である以上、変な時期での転入というのは稀と言えば稀なので、要するに「出る杭」のようにならないよう注意する必要はある、と言う訳だ。
だからこそ転校初日の段階で迷子になるというのは、もはやギャグ漫画のような展開過ぎて「ギャグ漫画か!」と思わずセルフツッコミを入れてしまう。
まぁそんなありきたりなツッコミな時点でツッコミの才能はないのだろうが、現実逃避したところで何も始まらない。
新東京アマノミハシラ市につき当日はホテル泊まり。翌日に九郎丸やキリヱ、夏凜たちと登校初日を迎えたまでは良かった。だが「ネギま!」時代から変わりない学園都市中央に聳え立つ「神木・
……そしてその感動こそが、マンモス校の一言で片づけられない大量の人の行き来で呑まれるというガバを引き起こした訳である。いやでも漫画原作世界の聖地巡礼は正直クるものがあるので俺は悪くねぇ!(現実逃避)
とはいえ自業自得な上、これだけ人が多いと高速移動手段など使おうものならまぁ目立つことこの上ない(というか、原作の流れを考えてそういうのは間違いなく
――――ふと、右側前方に何か嫌な感覚がよぎる。
以前カトラスの時間停止を受けた時に感じたようなそれに、思わずその方向を見れば。路面電車に轢かれた「のではなく」、まるで誰かが路面電車との接触を避けるように「強く突き飛ばされた」ように、一人の生徒がバランスを崩して押し出される――――。
「念動力……、そういえば原作でも
「うぇっ!?」
足の踏み場もない状況まで人が詰まっている以上、弾かれた生徒を起点に何が起こるかといえば、つまりは人間ボウリング必至である。どう考えても「あの勢い」は通常発生しないので、誰もかれもこの一角は避けられまい。
助けられそうなのは……、とりあえず私のすぐ手前で交通誘導をしていた、ジャージ姿の女子生徒の肩を掴みながら、靴裏に『
「うわっアイツ直立したまま走ってる!?」「競歩? 足首だけであれ程の脚力を……!」「っていうかなんかM○Jのダンスであったよね、あの……、ムーンサルト!」「全然違くね?」
しまった、手馴れすぎててカモフラージュとして歩くようなモーションを入れるのを忘れていた。これでは目立ってしまうではないか…………。
思考が逸れたせいもあり、やや減速に失敗。引っ張っていた女の子が空中に投げ出されそうになるのを引き留め、結果的にお姫様抱っこの様な恰好に。倒れた人の波にぎゃーぎゃー言うのと、私の背後できゃーきゃー言ってるお嬢さん方の相乗効果でちょっと鬱陶しいのだが……。
「ままならぬ……、って大丈夫かアンタ」
「ふぇええええ!? な、何も一切合切全部問題ないッスよぉ! ほらこの通り普段通り健康的なボディー!」
「いや自分のおっぱい下から持ち上げられても何やってんだよって話なんだが……」
ボディー! の所だけ妙に甲高い声を上げて来る少女は、くりっとした目が印象的で……いや、なんというか普通に可愛い子だったのに気づいて、同時にどこか原作で見覚えがあるような気がして……。しかし名前が出てこない。しばらく観察するようにじっと見てると、どうしてか足元に手を合わせて、足をすりすりとしてソワソワした様子。
「な、何ッスか? ひょっとして一目惚れでもしてくれたッスか? しょ、正直アリ寄りのアリな感じだし、私、春ッスか!?」
「いや全然違うのだが……」
「こーらー! 何迷子になったと思ったらセクハラしてるのよ! ちゅーに!」
ちゅーに? とキリエの叫んだ呼び名に首を傾げる彼女に、再び反射的に「ままならぬ」と呟いていた。
雪姫関係のルート分岐に関するアンケです。投票結果も考慮して今後の展開に反映させます。※展開が何を意味するか分からない程度に濁してますが、当該話になったら詳細説明します。
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ガバの洪水に呑まれるコース
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ガバの洪水を振り切るコース
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ガバと和解して親子になるコース