光る風を超えて   作:黒兎可

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感想、ここ好き! 誤字報告、お気に入り他、毎度ご好評あざますナ!
学園自警団の面々については、原作5巻や公式ガイドで確認するのが早いかと思います(丸投げ)
 
アンケートは今週いっぱいで一度締めますので、お早めに・・・!


ST53.死を祓え!:恋は誘導灯

ST53.Memento Mori: Like Is Like a Like

 

 

 

 

 

 (わたくし)は式音・D・グッドマン。アマノミハシラ学園都市・聖ウルスラ女子高校舎に通う女子高生。旧時代より続く魔法使いの家柄にして、代々この聖ウルスラ女子高校(現在は名前が変わっていますが)に所属している一族です。旧暦より出資していたこともあった縁もありますが、代々のグッドマンの女はここで自らの腕を磨くもの、として育ってきました。

 私もその例にもれず、なのですが………………。昨今の魔法アプリの氾濫、乱用に頭を痛めており、前年度からこの学校で生徒会直属の自警団として名乗りを上げさせていただきました。

 

 言うなれば、学園生徒における魔法と秩序を守るため――――ゆくゆくは生徒会長への立候補への布石もかねて、といったところです!

 

 だからこそ職務は当然真面目に忠実に。今日も今日とて頼れる右腕の菜緒やマコトと共に、生徒会からの依頼で朝の誘導と治安活動をしたのですが…………。

 

「うぇひ……、ひひひひ……、へへ、あは♪」

「……マコトは一体どうしたのです?」

 

 朝の活動後に教室に戻る前に今日の経過報告を聞いている際、妹分の彼女がこう、変な風に腑抜けていました。

 伊達マコト。中等部の頃から陸上部でのトップエースであり、現在は兼部という形で自警団に所属。そのためか恰好は普段から体操着が多く、快活な笑顔とそのスポーツ万能さ(あと私以上のスタイルの良さ……)などで、男女問わず学園の中では人気が高い彼女。

 普段なら魔法アプリばっかりいじって、春先の「強制脱衣事件」のような酷い珍事を引き起こすことも多いのだけど……、どういう訳か、今日はそういうことをせず、虚空を見つけて頬を赤らめたり、浮かれた声を上げたりしていました。

 

 私の疑問に、烏丸菜緒は普段通り「のほほん」としながら「お姉さま、それはですねぇ」と続けました。

 

「今朝ぁ、少し事故があったじゃないですか。その時に助けてくれた男の子にキュンキュンしちゃったらしいですよ~」

「こう、年下の子なんスけど、めっちゃ恰好良かったんスよ! ささって凄い自然にお姫様抱っこして助けてくれたし! あとなんか、あの子も私のこと一目ぼれしてくれたみたいな感じだったし、春? 春っスよねぇ菜緒、私、春満開ッスか!?」

「頭の中はぁ、お花畑みたいですけどねぇ~」

 

「お姫様抱っこですって!? それは……、もう責任を取っていただかなくてはいけないじゃない!!?」

 

 危機感を抱いた私の発言に、菜緒とマコトが真顔に戻りました。

 

「えぇ……、いや、段階すっ飛ばしすぎっスよお姉様……」

「それは飛躍しすぎなんじゃお姉様…………?」

「お黙りなさい二人とも!? そもそも女人の柔肌に手を出して只で済むと思っているの!?」

「いや私、ずっと短パン体操着ジャージ姿だからそれを言うのは可哀想なんじゃ……? どうあってもふとももに手を触れたりはしちゃいそうッスもん」

「箱入りすぎじゃないですかねぇお姉様はぁ。大体、今時女子高生ともなれば××××(あんなこと)××××(こんなこと)××××(そんなこと)だって――」

「「菜緒!?」」

 

 放たれた言葉の物騒(えっち)さに思わず顔を赤くする私とマコトでしたが、ことはそう簡単ではありません。私の祖母もかつて魔法使いの男性教諭から様々な「辱め」を受けたことがあるそうで、中々良い相手が見つからなかったと聞きます。(???「高音・D・グッドマンだったけ? 当時十歳前後くらいだったネギ・スプリングフィールド相手に、性癖拗らせただけだろうさねぇ。あとまたガバの予感がするよアタシは……」)

 言うなればこれは、そう! 一人の乙女の今後の人生がかかった、一大スペクタクルなのではないでしょうか!

 

「これは……、見定めなければなりませんね!」

「い、いや別に良いッスよ……(ライバル増えると面倒だし)」

「何か言いましたかマコト! さぁ早くそのお相手の顔と名前を言いなさい! 直々に面接してあげます!」

「お姉様、面倒見良いのは知ってるけどぉ、ちょっとこれは違う感じじゃないかなぁって~」

 

「――――あら? どないしたん、お姉さまたち」

「荒事ですか? でしたらお嬢様、下がって……」

 

 話し込んでいる私たちに、自警団の後輩二人が現れた。どちらも中等部の最下級生、今年から自警団入りした、あまり似ていない姉妹たち。ストレートのロングヘアの彼女は興味津々な風に、サイドテールでキリッとした方の子は何か警戒しながら。

 そんな大した話じゃないですよ~と菜緒が事情を説明してる間に、私はマコトに詰め寄る。と、マコトはらしくないくらいにしどろもどろになって顔を真っ赤にして、手を口元にもっていき指をツンツン付き合わせて視線を彷徨わせていました。えらく可愛らしいじゃないですか……。

 

「うぇ、その……、あんまりその、だってなんか今日転入してきたばっかりみたいだし、迷惑かけるのも悪いかって思ってッスね……?」

「乙女! 菜緒、乙女がここにいるわ!」

「いやぁ~、恋は人を変えますねぇ~」

「照れるッス……」

「マコトはん、首ったけやん。そんなええ男の人、紹介でもされたら……、皆堕ちちゃうんやない?」

「お嬢様!? そ、そんな不埒な輩などこの私の目の黒いうちは――――」

「んもぅ、心配性なんやからぁこの妹は……」

「……そういえば前から思っていたけど、どうして貴女は彼女をお嬢様と呼ぶの? クラスも誕生日も同じだし、てっきり双子だと思っているのだけれど」

「「まぁ、似たようなもの……」」「やね」「です」

 

 そんなやりとりは置いておいて、マコトを全員で問い詰めたり耳に息を吹きかけたり胸を揉みしだいたり足の裏を擽ったりと尋問を繰り返して、ようやく聞き出すことが出来ました。

 

「年下!!? まさかの逆光源氏趣味ですか貴女!?」

「ち、違うッスよ! ただ、たまたまキュンキュンお胎(オナカ)に来た子が中学生だっただけでぇ」

「それだけ聞くと犯罪みたいですねぇ~。えっと、近衛刀太くん……、中等部のぉ編入生ですねぇ。まほら本校舎に編入ってなってます。熊本の方の中学からぁでぇ、仙境富士(ふし)組……建築会社? のところが保護者ってなってますねぇ」

 

 聞き覚えのあるその苗字にふと、姉妹の方に確認を取ってみましたが、どうやら顔見知りと言う訳ではないらしいですね。

 

「近衛……、えっと、親戚かしら? あなた達も確か苗字は」

「あー、ウチらけっこう血筋って複雑なんよお姉さま。ちょっとお母さま確認してくるわ。話、聞いといてぇな~」

「お任せください、お嬢様っ」

 

 興味津々という風に「お母さまにお電話や~!」と何故か楽しそうに駆けていくあの子。その背中を見送りながら、さてどう見定めてくれようかと私たちは作戦会議をすることにしたのでした。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「――――は?? へ?? お兄さま!?? 本当なん、野乃香(ののか)お母さま!!? 前に言ってた、あのお兄さまで合ってるん?」

『せやで~。刀太も二人も、私がお腹痛めて産んだ子なんよ。しっかしエヴァちゃんの所居ると思ってたのに、そっちに来てるってなると……、なんや、えらい事件でも起きるんかね?

 フェイトくんにはナイショしとくから、せっかくやし顔合わせて、助けてあげたらええと思うで? 聞いた感じ、しっかりお兄ちゃんしてくれるよう育ってるみたいだし』

「お兄さま……、お兄さま……! ウチ、お兄さまとかめっちゃ憧れあったんよ!」

『あら~。でも手ぇ出したらアカンよ? テナちゃんとかサリーちゃんとかと違うて血ぃ繋がっとるからハンザイなっちゃうし……あの子らも元気しとるかなぁ、どうしようもあらへん話なんやけどなぁ……』

「テナちゃん……って、お母さまウチらのことヘンタイさんとか思ってない…………?」

『刹那お祖母ちゃんの血ぃ入ってるし、念のためやで? それに刀太は――――』

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 九郎丸がモテモテなのは原作でもそうだったが、意外と私も男女ともにモテモテというか、正確には「積極的に構ってくれる」付き合いが良い連中が多いともいえる。熊本時代のそれとも違う距離感の近さで、言ってしまえばそれだけなのだが、九郎丸はどうにも慣れていない様子だった。

 例えば体育の授業。原作通りに巨大体育でバスケ試合となったが、対戦相手がキリヱが所属しているクラス。私は苦笑いしながら調子を合わせていたが、テンションが振り切れかかってる九郎丸は純粋な身体能力でダンクシュートを連発したりして、原作通りに目立つ目立つ……。他のコートで試合早々体力切れを起こしてベンチで横になってるキリヱが死んだ魚の様な目を向けて来るのも手伝って、制止にかかる他なかった。

 このあたり原作通りの流れにあえて沿ったが、いや、ウン、こう、ガバの気配がないのって最高だね!(他の全てから目をそらしつつ)

 

「と、刀太君、ちょっと、近い……」

「ん? おぉ、悪い悪い……」

 

 肩を組んでヒソヒソ話で「目立ってどうする」と注意した矢先に、恥ずかしそうに私から距離を取って左手を握って口元にもっていって「シュン」ってする感じはいただけない。お前それ確実に見る人が見たら女子だって断定されるやつだろただでさえ顔立ち女性風に整ってるんだからさぁ、女子か! いやまぁ女子なのだろうが……。

 

 …………それもそうだが、明らかに他校の生徒っぽい子たちが上のテラスから見学してるのは何なのだろうか。金髪ツインテールの子と薄茶髪の糸目な子と、あと今朝方助けたスポーツ少女っぽい子の三人が揃ってみている姿は軽い胃痛を覚える。何やら彼女たちの所属する数人で写生大会のようなことをしているのだが、明らかにその三人は私たち、もっというと私の方ばっかり注目してるのだ。

 一人のときは気付かなかったが、全員そろってしまえばもう言い逃れできない。つまりはあの三人、原作でも出て来た三人組である。確かこのアマノミハシラ学園の自警団か何かだったか。実際はもっと人数がいるのだろうが、その中でも目立っていたのがあの三人だったはずである。名前が出て来た覚えがないのと「剥かれた」(注:誤字にあらず)くらいしか記憶に残っていないせいもあり、すっかり失念していた。

 

 というか名前付きでない美形キャラは割と判子絵(顔のバリエーションが似たり寄ったり)になりがちな宿命があるので、このあたりは仕様がない。

 

 それはそうとして授業も終わり昼食時間だが、午前中を超える勢いで人が行き来する購買やらショップやらコンビニやら超包子やらの状況は酷くアレである。……というかMAGGY(まぎぃ)(注:コンビニ)やらフェイマ(注:コンビニ)やらまほらストア(注:スーパー)やらの袋を手から下げてる生徒の数の多さよ。どれも残念そうな顔をしている子たちが多いが、しかし改めて謎の感動が私の胸中によぎった。

 

「これが、麻帆良学園……! 生きてて良かった……!」

「刀太くーん! って、と、刀太君、なんで泣いてるのかな」

「これは心の汗みてーなやつだから気にすんな。で、昼買えたか?」

「いや、刀太君の読み通りかな。焼きたてコッペパンのサンド用に切れ込みはいったやつだけだね……」

「後で俺作って持ってきた焼きそば分けるから、それで焼きそばパンにでもしとけ」

「うん! あ、でも牛乳は買えたよ!」

「そりゃ有難てぇな。サンキュー」

 

「いやー、確かに凄いね。僕もトーストとジャムとスープしか買えなかったよ。まぁこの義骸(からだ)ならそれくらいで充分まかなえちゃうんだけど」

「この学校は百年来こんな感じらしいもの。それはそうと……、おろしトンカツ茶漬け、一口あげるから私も一口ちょうだい?」

「いいッスよ夏凜ちゃんさん」

 

 お金を支払って牛乳を受け取ると、夏凜と一空(教師スタイル)がお盆を手に合流してきた。それなりのナイスミドルな一空だが意外と浮いていないあたりは流石というべきか。そしてこのあたりの流れはおおむね原作を踏襲している形だが、流石にパンだけは味気なかったので、ホテルのキッチンスペースで事前に焼きそばだけ作って持ってきたのだった。

 全然座席もない有様、立って食うにしても夏凜や一空が可哀そうなこともあり、大階段の臨時テラスに向かうことにした。

 

 このあたりも原作通りの流れと言えば原作通りの流れなので良いのだが、しかしいっこうにキリヱが合流してこない。席についてその話題を出すと、苦笑いする一空だった。

 

「アハハ……、確か『この私にかかれば、昼食の争奪戦くらい訳ないわ! アンタは黙ってどっか場所を取って待ってなさい!』って気合入ってたからね。たぶん戻ってくるに戻ってこれないんじゃないかな。場所は連絡しておいたから、程なく来ると思うよ?」

「変な所で意地張るなぁ…………」

「キリヱちゃん、負けず嫌いなんだね……」

「いえ、もともとは人見知りをする子だったと記憶しています。ここまでアグレッシブになったのは、刀太、貴方と話すようになってからですね。一体何をしたのです?」

「大したことはしてねぇっていうか……。っていうか、元々猫被ってただけじゃね? 一空さん先輩はそのあたりどうっスかね」

「アハハ、そうだね。割と前からあんな感じだったよキリヱちゃんは。プライドが高くて、ツンツンしてて、素直になれなくって」

 

 どこかから「ツンデレ?」「ツンデレッスねぇ」という声が聞こえた気がするが、流石に私たちの会話を聞いてのそれではないだろう。テラスの周囲に他の生徒はいないし、特に私たちに注目してる感じも周囲に……、周囲に……、いや人が多すぎてわからなかった。流石に気配が千人超え、しかも全員が好き勝手な方を見て好きにしゃべってる状況では、原作主人公的な気配探知力とかも形無しであるらしい。

 また変なガバに繋がらなければ良いが……、まぁここは師匠でも内心拝み倒しておこう。(???「罪な男だねぇ。アンタのせいだけじゃないだろうが、既にガバはいくつか積み上がってるよ?」)

 

「ままならぬ……」

「はい、あーん」

「んっ」

「か、夏凜先輩!? 刀太君も……!」「わぉ、ダイタンだねぇ」

 

 そうこう考え事をしてると、夏凜が私の口にトンカツをねじ込んできた。味は……、お出汁の味が効いているのだがしっかり関東醤油ベースのスープで中々悪くない。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「マコト! なんか凄いことやっちゃってるけどマコト!」

「お姉様ぁ、マコトちゃん息してないですねぇ~」

「い、いや、あれ感じからするとお姉ちゃんが弟の面倒見てるような感じッスから、まだッス、まだ大丈夫ッス……!」

「マコトはんみたいな趣味の人の可能性もあるんやない? 小さい子ぉ大好きとか」

「グハッ!」

「あ、あれ?」

「お嬢様、手加減なされた方が良いのでは……」

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

「ん?」

「どうしたの、刀太君」

「いや、今何か世界が少し崩壊しかかったような声を聞いたような……」

 

 一瞬唐突に胸焼けしたみたいに胃の痛みを感じたが、ちらり、と視線を周囲に見回すと、屋根の上にパーカー姿の影が一瞬だけ見えた。三太の存在でも関知した結果だろうか……、いや、まあそれならそれで良いのだが。

 と、そんな風に食べながら話していると、キリヱがふらふらとしたステップで歩いてきた。どうしたのか尋ねると、ふっふっふと何やら企んでるような声をあげるキリヱ。

  

「よくも煽ってくれたわね一空。いつから私が買えないと錯覚していたのかしら?」

「アハハ、でも実際どうだったんだい?」

「ふっふっふ、私をそんじょそこらのちびっ子と一緒にするんじゃないわよ!」

 

 胸を張って手元のビニール袋をあさるキリヱ。「ちびっ子は認めちゃうんだ……」「ですね」という九郎丸やら夏凜やらの発言は「お黙りっ!」と制し、どこぞの青い○瓶師匠がごとき表情になる未来形猫型ロボットの秘密道具がごとく取り出したのは――――。

 

「…………試行回数のべ十二回にしてようやく……!

 おそれ慄きなさい、『まほら校舎』限定、ガイドブックとかにも載ってる、噂に聞いていた超包子のジャンボ牛まんよ!」

「「「「おぉー……」」」」

 

 一つで袋いっぱいサイズという巨大な肉まんを前に、思わず拍手する私たち四人だったが。

 

「それで、一人で完食できるのですか貴女」

「……ハッ!?」

 

 どうやら「買う」ことが最終目的になってしまっており、後先考えるのを忘れていたらしい。お前ガバ止めろよぅ!(恐怖) お前さんまでチャートガバ引き起こし始めたら収拾つかなくなるから止めろくださいホンマ頼みますホンマ。(嘆願)

 

 

 

 

 

 




※メモ書きが残ってミスがあったので、閲覧してしまった方はすみません・・・
※2一空関係の描写ガバを修正しました汗

雪姫関係のルート分岐に関するアンケです。投票結果も考慮して今後の展開に反映させます。※展開が何を意味するか分からない程度に濁してますが、当該話になったら詳細説明します。

  • ガバの洪水に呑まれるコース
  • ガバの洪水を振り切るコース
  • ガバと和解して親子になるコース
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