光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
体調不良再発につき、ちょっと遅くなっております・・・。


ST59.死を祓え!:忘れ去られた者たちのために

ST59.Memento Mori:Lost Souls

 

 

 

 

 

 くそっ! くそっ!

 性懲りもなくまた俺を捕まえに来た連中のことなんてどうだっていい。詳細の調査なんてパソコンに「接続」できれば十秒足らずで引き抜くことが出来る。だから八年前に来た無能女とか、大体は大した問題じゃねぇ。

 

 つまり今、一番問題なのは――――。

 

「――犬上流(いぬがみりゅう)獣奏術(じゅうそうじゅつ)狗音(くおん)ノ風(ストーム)

「ひィ!?」

 

 なんか妙に業物っぽい綺麗な朱色の弓に、どこからか取り出した「真っ黒な矢」をつがえて放つアイツ。それをよけても、途中で矢の形が狼とかみたいな感じに変化して縦横無尽に追尾してくると来たものだ。ギリギリ透過によって物理的なダメージは回避していたけど、それでもなんか「妙に疲れる」。

 このまま追われていれば、いつか能力を使う余裕もなく、俺も……、いや、そんなことある訳ねぇ! 有りえねぇ!

 

 眼鏡をかけた、なんかやる気のなさそうなこの男――――!

 例のUQホルダー、俺を捕まえて仲間にしようとかしてる無能連中が転校してきたらしいと、その様子を見に行ったのが運の尽き。奴は、ニット帽に赤茶けた色の髪の奴は、そいつらが起こした変な決闘騒ぎを詰まらなそうに見て、眼鏡をくいっと持ち上げた。

 そんなインテリっぽい勝ち組みたいな仕草するヤツ、俺、一番大っ嫌いなんだよっ!

 

 だから無警戒と言うこともあったが、ちょっと念動力でイタズラして奴の持ってたソフトクリームを、背後にいた女子生徒を突き飛ばしてぶつけ、地面にぶちまけた瞬間。

 

 ――――見つけた。

 

 奴の目がギラリと、そりゃもう獲物を見つけた肉食動物めいた笑みに変わったのに、絶対俺の姿なんて捉えられていないはずなのに、恐怖心を抱いた。

 …………ま、まぁ別にそんなものに恐れを抱くようなムテキの三太様じゃないしー? 別にビビった訳じゃねー。ビビった訳じゃねーけど、それでも念のため上空はるか高くへ避難して、生徒共が帰りの時間、多く出て来るのを待った。木を隠すなら森の中だって小夜子も言ってたし、これが一番だ。

 

 だけど、アイツは生徒たちの下校に紛れた俺を、またも捕捉した。

 距離をとりながら歩いていたけど、それこそ瞬間移動みたいな速度で接近されて腕を掴まれて。

 

『――――――食べ物の恨みは恐ろしいよ? お前、俺お気に入りの濃厚バニラミルクを潰しやがって。

 ましてやその相手が『妖魔の類』ならば、俺の本職だ』

『は、は? 何言ってるんだお前』

『俺、美化委員なんだよ。だから学園の「表に出来ない」汚れは、掃除するに限る。

 ――――「来たれ(アデアット)」』

 

 狩人みたいなコスプレしたそいつの姿が描かれたカードを取り出して、そう呟くと、突然目の前に大きな赤い弓が出て来る。それをすっと俺に向けて――――。

 この瞬間にわき目もふらず「透過」だけして、足元から重力をなくし空中を飛び離脱。ところがアイツも変な速度で追いかけながら、さっきみたいに「バケモノみたいな」矢を放ってきていた。

 

「――――っ、ヤベェ! 勝てるわけがねぇ! 死ぬ! 死んじまうゥ!? こうなったら――――二十周年ぬるぽッ!」

 

 ジリ貧……、アイツ絶対俺みたいな能力者をぶっ倒すのが得意なタイプの奴だ。無能共と全然違う――――。

 そう思って屋根の上を逃げてると、ちょうど学生寮に向かう転校生の男。黒髪がツンツンしてて、陽キャっぽいくせになんか元気のない顔してる。……無能連中の中ではその表情にちょっと親近感が湧くが、今は仮の隠れ蓑として使わせてもらうぜ――――!

 これで上手く逃げおおせる……、相手の身体を奪うだけがスーパー超能力者じゃねぇぜ。「乗っ取り」って言っても別に乗っ取ってこっちの意のままに動くだけがノウじゃねぇんだ。

 

 

 

 ――――そして、その男に「憑りついた」のが良くなかった。

 

 

 

 人間っていうのは、こうやって俺が体を溶かしてその相手に「とりつく」と、その人間の考えてることとか内面とかが手に取るようにこっちに流れてきたりする。これを使って相手の弱点とかハズカシイ秘密とかを引っ張り出したりもできなくねーけど、本当に暴かれたくないようなこととかは、簡単には流れ込んでこない。そういう場合はもっと深部に落ちていく必要があったりするけど、今回はその深部に用があった。表層に出ちまうと乗っ取っちまうことになるから、これが妥当な逃げ方なんだが――――。

 

「――――がっ、は?」

 

 そこにあったのは「夥しい数の死体」だった。

 

 アイツと同じような顔をした奴が、片方の目に眼帯してたり、アイツよりももっと目つきの悪い男だったり、なんかスーツ着てるやつだったり、ツナギ着て作業員っぽい感じの奴だったり、手前に見えるだけでそんな連中が大半で。

 もっと奥を見通さななくとも転がってる奴が「アイツ」と同じ顔をしてる奴だってのは手に取るようにわかって――――。

 

 それが俺の「足元」にあって、足場というか地面というか全てがソイツの死体で……、周囲のスクラップ置き場めいたそれなんて全然気に留められなくて……。

 がたがたと震えが止まらない。まさかこんなムテキの三太様になってまで、こんな恐怖体験を味わうことになるとか―――覚えておけよコイツ、というか一体どんな精神してるんだ?

 

 

 

『ほう、ダメじゃないか「佐々木 三太」。こんな所で迷子になっちゃぁ。深いところに入れば入るほど――――見なくて良い物を見ることもあるかもしれないぞ?』

 

 

 

 催した吐き気に口を押さえた俺。「そいつ」はそんな俺の肩に手を置いて……。その「ひどく冷たい」手に、震えながら振り向くと。

 

『逃げたいなら逃がしてやるが「此処の事」は誰にも話すなよ? 特に「近衛刀太」にはな。……ふむ、なんなら記憶を封じてやろう――――何、ここでの時間はほんの一瞬、白昼夢のようなものだ』

 

 黒と白のローブを着た「十七歳くらい」の「中性的な人間の顔」が、俺を、見ていた。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 謎の少年との遭遇については細かく話す内容はもう無いよう。(激ウマギャグ)

 あの後、別に声をかけたりもしなかった上に、追いかけもせず特に何も事態が動くことが無かったのだ。懸念事項の一つとして情報をストックしておくのはともかく、これ以上彼に思考をとられたくなかったし、何よりもう今日一日のイベント量でお腹いっぱいである。(胸焼け)

 

 九郎丸が「まだまだ修行が足りない……」と落ち込んだのを励ましながら寮の部屋に入れば、おおむね原作通りに佐々木三太が私たち二人の姿を見て驚いたように振り返った。

 ベッドの上に正座している、パーカー付きジャージ姿の少年。髪は異様に長く目の下には隈が浮かんでいる。表情は何かまずいものを見つかったような仕草であり、こう言ってはなんだがキリヱやらミヒールたちやらに並ぶ、ガバのない癒し要素と言えた。(末期) ……まぁ鍵が開いていたのは謎だが、この程度は誤差の範囲だろう。

 

 周辺にあるPCディスプレイの電源を慌てて落としながら、近寄る私たちから距離を取ろうとする三太。

 

「いや別に取って食いやしねぇって、何、どうしたんだよ……」

「ち、近づかないで……、接し方が分からないから……」

「あっ(察し)」

「待てお前、何を察したオイ!」

「へ? と、刀太君、どうして耳元で……、へ? あ、あ~、あっ(察し)」

「いやー、まぁ人見知りは誰にでもあることだし恥じる話でもねーから気にすんな! 見た感じヒキコモリみてーだし……。いや別に悪いとかそんなこと言ってる訳じゃ――――」

「だったらその生温かい目ぇ止めろオ!」

 

 初手煽りは基ほ(以下略)。

 だがノリの軽さにつられてか、意外とコミュニケーションには飢えてるせいでノリは軽いのか、簡単に釣られてくれるあたりは年相応という感じがして、こう、あんまりガバを感じなくてやはり癒しである。初対面の人間相手のどもりやら緊張がレスバにもならない一撃で吹っ飛んだのか気安い形になり、下手するとキリヱより私のガバ警戒心が低い可能性もあった。

 そんな所で、渾身の自己紹介。

 

「近衛刀太、十五歳

 髪の色・黒。瞳の色・琥珀。

 職業・まほら本校舎御柱西中三年生、兼――――。

 って、いやまぁ只の中学生か。ヨロシク!」

「そ、そうだよ刀太君……って、髪とか目は見た目でわからない?」

「いや部屋暗ぇし」

「暗くてもわかるんじゃないかなぁ……。えっと、同じく、時坂九郎丸だよ。今日から相部屋だね、よろしく」

 

 すっと微笑む九郎丸の顔はもはや完全に女子の表情の作り方なのでそれは大変に色々と毒である自覚を持て(戒め)。ほらっヒキコモリ歴の長い思春期青少年相手にその笑顔は致命傷だ、直視できず視線を逸らして膝抱えてるじゃないか……。と、恐る恐るという風に私の袖を引いて確認しにきた。

 

「……お、男だよなアイツ。すげー綺麗な顔してるけど」

「ついでに声もめっちゃ良い声してるけどな。スゲーぞぉ? 演歌もポップスも歌いこなすし。で、お前さんの名前は?」

「……さ、佐々木、三太」

「おー、なんか御目出たそうな名前してるな。よろしくー! と言う所で、なんか歓迎パーティというか懇親会じゃねーけど、ぱーっといくかぱーっと!

 三太、一緒に買い出し行くか?」

「は、ハァ!? い、いやそれ以前に誰か部屋に来るとか全然聞いてねぇんだけど……」

 

 情報の入れ違い、というのは考え難いが。これに関しては三太の正体が正体であるため発生している思い違いである。

 佐々木三太。例によって例のごとくネタバレしてしまえば、その正体は稀代のネクロマンサーと化して「しまった」水無瀬小夜子手製、高位の「幽鬼(レヴナント)」。一言で言ってしまえば「実体を持つ幽霊」である。ついでに言ってしまうと今回我々が探している「複数能力を持つ」「不死者と目される対象」その人。その所有している能力、念力やら透過やら飛行やらといったものは、つまりは全て「幽霊だから」の一言で片づけられるということだ。凄い幽霊だからなんかわからないけど飛べるし、凄い幽霊だから壁だって透過できるし、凄い幽霊だから念力(ポルターガイスト)だってお手の物である。

 原作においてはこの後、その力をもってホルダー全員を完封してしまうのだが、それはそれとして。本人のメンタルはいじめられ続けたことにより軋んでいるが、根は易しいゲーマーである。(語弊)

 なので趣味を合わせて一緒に出歩いたりすると、それだけで簡単に心を開いてくれたりするのだが、とはいえ現時点において、彼には自分が「死んでいる」自覚がない。

 

 とある事情により、三太本人は一部の記憶を封じられていて、いじめにより死んだという事実もそれに該当していたはずである。(うろ覚え)

 つまり現在の状況はアザ○ズであり、アンジャ○シュではない(謎例え)。

 

 さてそんな三太だが、食事自体とれないわけではないので(本人の自覚としては生前となんら変わりないこともあり)普通にキッチン用品とかはそろっているのだ。とはいえあまり得意ではないらしい様子が、妙に綺麗なフライパンとかから見て取れるが……。

 

「…………ハイ、というわけで一通り買ってきましたこの食材。今日は肉まんにしようかと思います。フライパンで作る焼き肉まん」

「中華なら超包子(ちゃおぱおず)の買ってくればいいんじゃね? まだ店開いて――」

「シャラップだネ! こういうのはイベント的に自前で作るの楽しむ奴ネ! 油ギトギト、しっかりクリスピーするからハイカロリースナック食感、お店では好き嫌い分かれるから季節限定メニューとかくらいしかない奴ヨ!」

「何だその似非っぽいの……」「刀太くん口調が……、ってお昼もキリヱちゃんから分けてもらったのに、また肉まん? いや、豚だから違うのか……」

「ま細かいこと気にしないで良いネ」

 

 私のテンションについてこれない二人であるが、私もノリでやってるので大した意味はない。そもそも肉まんを食べようと思ったのが、本日おそらく時空航行にてミスして(ガバ)私の眼前に出現した超鈴音を思い出したからだし(なんなら口調も)、それ以上の意味がないのだ。

 

 ちなみにだが、そんなに料理していなかっただろう三太も意外と器用にこなして、最後は「あっ美味い……、なんか納得できねーけど美味い……」と微妙な表情だったりする。

 

 

 

 さてその日の夜。

 そろそろビジネスのために一部ビルだったり喫茶店だったり以外については営業終了し始める時間帯である。流石に恰好が制服のままだとバレた際に問題だろうということで、普段の服装を九郎丸に出してもらい、全員そろって普段通りの恰好……、恰好? なのだが。

 

「ちゅーに、アンタ相変わらずなのねその服……」

「何だよ、悪くねーだろ?」

「僕はカッコイイと思うけど……」

「ふむ」

「あはは、まぁその辺りは趣味それぞれということだね」

「というか普段の二十代モードな一空さん先輩はともかく、いや夏凜ちゃんさん制服のまんまっスか」

「……こういうと変だけど、子供らしい私服みたいなものの持ち合わせがないのよ。もともと大人っぽすぎる服だとキリヱにも言われてるし……。

 良いですか? では各自、散開!」

 

 中央通り、大型河川付近で四方に分かれた私たち。連絡は携帯端末を用いて情報共有し、対象を発見し次第捕縛、という方向性である。

 私、九郎丸、夏凜、そしてキリヱと一空とは一チーム。キリヱに関しては一空の機動力による安全な移動やら回避行動やらが目的となるのだが、これは本人たっての希望だ。いわく「アンタらみたいな頭おかしい速度で振り回したら私、簡単に死んじゃうから! 馬鹿にしないでよね、一般通過十三歳美少女の耐久値の低さを!」とのこと……、いやそれを言い出すと九郎丸も十四歳なのだが。

 そんなことを考えながら、件の能力者を探す。一空いわく「最近の目撃証言だと、オヤジ狩り、ホームレス狩り的なことを魔法併用で行っているらしい相手とかに、直接攻撃を加えてるらしいね」とのこと。このあたりも原作からずれがなくて嬉しい限りなのだが……。

 

「まっ、居るよな」

 

 無論当然のように原作知識というアンチョコに頼ることで、どういうルートを辿れば件の相手、つまりは三太を探せるかなど想像は容易である。暗がり、河原で逃げるホームレスに魔法を仕掛ける見るからに不良めいたアトモスフィア漂う一等生徒たち目掛けて容赦なく霊能力カラテを仕掛ける様、ワザマエ!(謎テンション)

 本当ならここで連絡を入れてヘルプを頼むのが定石ではあるが……。

 

 老ホームレスをいたぶるジャージ姿の生徒たちに、あらん限りの力で自己顕示するフードを下ろした三太を見ると、わずかにだが躊躇してしまう。もっともそれが直接相手を窒息させるように(つまりは地面に生徒の頭を埋めるように)しはじめたのは、流石にストップだ。 

 

「な、何でだよ……! こんな社会のゴミ共、俺たちが掃除したって……! うわ、ああああああああああああああッ」

「だから俺だって『掃除』だよ! わかるか? わかったか? どうだよ、持たざる者、弱ぇ奴の気分っていうのはよォ! ははははははは――――」

「――――やりすぎ」

「はっ!?」

 

 例によって例のごとく死天化壮を纏った状態で、三太の後ろに回り込みその首根っこを掴む彼ごと引き上げる。と、半眼の私に何か思う所でもあったのか「ひッ」と怖がった声を上げて掴んでいた不良を投げてよこした。

 とりあえず受け止めて適当に転がすと、三太……、もとい謎の能力者少年はそのまま飛行して何処かへ消えようとする。

 

「原作ならフェイトとか雪姫とか……、ひょっとしたら夏凜ちゃんさんもか? くらいなんだろうけどなー特殊なアプリとかなしで魔術飛行できるの」

 

 だが、その程度で私から逃げられると思うな。流石にこのタイミングでメール連絡くらいは一空に入れ(救急車と警察の手配もあちらに投げて)はするが。

 残念ながら今までの血装術が集積してきた私にとって、その程度は造作もないのだ。空中に座標を変更し、そこから内血装と飛蹴板とを併用した立体起動を併せて追跡を開始。わざわざ壁を走るまでもなく、ビルとビルの隙間を超高速移動しながら私と謎の能力者少年は追いかけっこしていた。

 

「くそっ……、何だってんだ一体!? 話と違うぞ」

「何の話かとか知らねぇけど、お生憎様だな! 後さっきの奴、あーゆーのはもうちょっとバレねーようにやれ、な?

 止める気持ちも分からねーではねぇけど、直接的にそんな『判りやすく』やべぇ力使ったら通報されるし『専門家』呼ばれるのも当たり前だろってハナシだ」

「そ、そんなんじゃねーしっ! 余計なお世話だっ!」

 

 腕で振り払うような動きをする謎の能力者少年……、いやもう三太でいいや(無容赦)。三太は私の一言にびくりと震わせ、高速で後退。当然「死天化壮」中の私がそれを逃がす訳ではないのだが。いや本当、インフレに置いて行かれない超高速移動はマジで便利以外の何物でもないのでは?(断言)

 流石に逃げるのが辛くなってきたのか、空中で念動力(ポルターガイスト)を向けて来る。もっとも死天化壮中は黒棒と右腕とは「血で固定されている」ので簡単に外れず、安易な武装解除は「腕の骨が折れて」あらぬ方向に向く結果にしかならない。

 

「血風――――!」

 

 そして剣先を振って投げるブーメラン状のそれを、透過でかわす三太。……流石にこのあたりは幽霊らしく、物理無効化に関しては血風も例外ではないらしい。まぁもともと「実態としては」ウォーターカッターの応用的な側面があるので、それも仕方無いと言えば仕方ないか。

 

「へへッ! じゃあ今度は――――ッ!? ヒエッ」

「は?」

 

 おそらくそのまま透過した状態で私に接近してきたことからして、憑依か何かをしようとしたのだろうが……、唐突に踵を返して逃げようとする三太。突然何を怖がったのか不明だが、これでは追跡に問題がなくとも千日手である。

 

 

 

 と、嫌な気配を前方に感じ、思わず虚空瞬動もどきで接近。三太の手を掴もうと――――いやこんな時に透明化やめろお前、こっちはお前助けようとしてるんだぞいいから捕まれ馬鹿! 流石にそう言っても聞かないだろうことは推測がつくので、彼を庇う様に「気配の方向に」黒棒を構えた。

 

「――――って何で卒塔婆!?」

 

 そしてこちらに猛烈な速度で飛んできたものは、冗談みたいな大きさで真っ黒に染め上げられた「卒塔婆」だった。しかもご丁寧にラテン語っぽい何かで色々と書かれている。誰だか知らないが唐突すぎて訳の分からない攻撃止めろ、私だっていっぱいいっぱいな時はツッコミが回らないんだぞ!(ガバ胸焼け)

 が不思議なことに、その卒塔婆を受けた衝撃の余波が「透過しているはずの」三太にも衝撃を与えた。どうやら実体を持たない相手にも効果があるタイプの攻撃らしい。結果的に庇う形になった私に、三太はフード越しだが驚いた顔を向けていた。

 

「お、お前、何で……?」

「いやー、その話はまた今度な。逃げとけ、ちょっとヤバそう」

「…………っ、べ、別にお礼なんて言わねーからな!」

 

 ツンデレじみた捨て台詞を吐き捨てて何処かへ消える三太だったが、私としてはその卒塔婆の発射元、つまり持ち主というか仕掛け人というかを見て、表情が凍ってしまった。

 

「――――何だ? 『まがい物』。せっかく羽虫を掃除してやろうと思ったのに」

「いやマジちょっと待って、いきなり全く面識ない人物現れるの本当に止めてくれッス…………」

「何故、僕がお前ごときの予定に合わせねばならないんだ。ふむ……、しかし今のを受け止めるか。まがい物のくせに、完成度は悪くなさそうだ。どれ……」

 

 ちょっとだけフェイトに似た顔立ち、しかし浮かぶ表情は千変万化。明らかに情緒豊かで、同時に自分勝手さも感じる。本人いわく「エレガント」な白コートに身を包んだ少年は、巨大な卒塔婆を「消す」と、私に向けて名乗った。

 

「不死の真祖、『観測の魔人』……いや、こちらの名乗りは不適格か。

 ――――UQホルダー不死身衆ナンバー8、ニキティス・ラプスだ。来い、まがい物。格の違いを教えてやる」

「…………」

 

 あれぇ今回色々イベントというか原作のチャート崩壊多い…、多くない? もう何と言うか救いはないんですかァ!? (???「お前自身が未知のエリアだから救いはないんだよねぇ」)

 

 

 

 

 




アンケの予定は今の所以下のイメージです。(締日予定:7月上旬)
 雪姫:刀太が髪を染めるの目撃してキレる話
 九郎丸:熊本時代、お風呂が停電した時初好感度ガバの話(
 夏凜:カリンと「あの方†」との過去話
 キリヱ:「死を祓え」一周目の話
 カトラス:幼少期、野乃香に色々教わった話

キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります。

  • 雪姫
  • 九郎丸
  • 夏凜
  • キリヱ
  • カトラス
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