ちょっと回復しそうな感じがするので、出来れば明日か明後日も更新予定です(未定)
ST61.Memento Mori:The Words As Weak And Strong
「刀太君、胸!? 剣、刺さってるよ!」
「あ? あー、まぁ大した問題じゃねーな。細いし、傷痕通ってるから血も出てねーし」
「そういう問題じゃなくって……! もうっ」
私の胸元から剣を抜くと、剣呑な表情になりニキティスを睨む九郎丸……って、今更気づいたが肩のあたりに構えて切っ先を相手に向けるその剣、柄のところにしっかり「夕凪」と刻印してある。それ本当に
そんな私の混乱はともかく、九郎丸のその姿にニキティスは鼻で笑う。
「トキサカ・クロウマル……、エヴァンジェリンからのメールで名前だけは確認しているが、お前か。ふっ」
「……えっと、いきなり呼ばれてびっくりしたけど、ひょっとして『アレ』が刀太君を? つまり目的としている複数の――――」
「いや、違ぇ。例の能力者っていうか不死者を追ってたんだけど、唐突に乱入してきて閉じ込められた。アレだ、一応ホルダーの先輩らしい」
「へ?」
なんで先輩なのに戦ってるの? とか、任務中に私闘仕掛けて来るってどういうことなの? と困惑する九郎丸に、「真祖としての矜持だッ!」と胸を張るニキティス。軽く事情を話すと、死んだ魚のような目をして左手を構えた。
「結界ってことは、どこかに『核』となるものがあるはずだけど……って、それはともかくだね。
神鳴流宴会芸・
「おぉ、初めて見る技だ」
「ガハッ!?」
裏拳というか、完全によくあるテンプレートな漫才のツッコミなモーション。その動きが衝撃波を伴ってニキティスの顎にヒットした。殺気がなかったせいかニキティス自身の抜けか、特にかわすこともなく一撃を喰らっている。
……そういえば神鳴流には宴会専用の技がいくつか存在するんだったか。スラムの時の花火も確か宴会芸の一種だったはずである。もっともあちらは実戦で使っても十分ダメージが入るだろうが、こちらは「弱斬空閃」とかの亜種めいたものだろうが。というよりも九郎丸が「なんでやねん!」って言うのが、珍しさもあってちょっと可愛らしかった。
なおニキティス、顎を抑えてちょっと涙目になりながら、こちらに指をさして抗議してくる。
「き、貴様! この下等種! 真祖であり魔人であるこの僕の顔になんてことしてくれるんだ!」
「だってそうじゃないですか! ホルダーの会合にだって全然顔を出さないで、僕らが任務中だって知らないからこんな変なケンカ売ったりしてくるんでしょ!」
「うぐっ!? し、しかし僕には僕でここの地下を『管理する』仕事が残って――――」
「じゃあ、邪魔しないでくださいよ! なんですかチンピラか何かですか!!」
「むぐ、ぐぐぐ……!」
完全に正論である。長い年月を生きてはいるがこういう部分でまだまだ子供なニキティスであるからして、年頃の乙女(断定)がキレた時に放たれる苛立ち交じりの言葉には更に涙目であった。そしてそんな彼を見る私の生温かな視線が気に入らないのか、ギロリとこちらを睨みつけると「煩い煩い煩い煩い煩いっ!」と喚き散らしながら、ドームの中から悪魔めいた何かを――――。
「って、それさっきまでより絶対洒落になんねーやつだろ!?」
「煩い! 大体それだけ大口叩くのだから、この僕の試練くらい余裕だろうが二人そろって! ほら、さっさと片づけてみろ!」
「無茶苦茶言うじゃねーか……」
「……あまり先輩相手にどうこう言いたくなんだけど、その……」
ため息をつく私と九郎丸だが、それがさらに苛立たせるらしい。それはそうと現れた悪魔めいたそれは、おそらく以前地下で出て来た魔物とかその類の連中の亜種だろう。違いとしては、こうワイバーンというかガーゴイルというかそんな風な容貌で、なおかつ頭は某有名エイリアン映画の
やれやれと黒棒を構えようとするが、すっと九郎丸が一歩前に出る。
「刀太君、ここは僕に任せてあっちの先輩を。元来『神鳴流』とは退魔の剣。こうやって召喚されたタイプの妖魔の相手は大得意だから」
「へ、そうなの?」
「うん。もともと平安時代、京の都を守護するために時の陰陽師とかが色々巻き込んで興った流派だしね! っと」
そう言いながら髪を一本抜き、魔法アプリを走らせ何かしらの呪文を唱えると、ぽん! と音と煙が小さく上がり――――。
『だから、刀太君はこっちのボクがサポートするから!』
「いや何でもありか神鳴流……」
「あはっ、あんまり出番のある術じゃないんだけどね」
『ボクのことは、ちび九郎とでも呼んで!』
果たして現れたのは、手のひらサイズにデフォルメされたような九郎丸のぬいぐるみのような姿だった。当然スカカードのへちょむくれとも違うこれだが、確か「ネギま!」の方で
いや、それとも……、もしかして誰かに学び直したとか? 元々九郎丸自身、こういう技は戦闘補助系統以外は使えないみたいな話があったような記憶が……。
ともかく。アデアットして呼び出した小さいサイズの神刀を手渡すと、九郎丸は虚空瞬動を使って魔物の群れに突進していく。私も私でちび九郎を懐に抱え、死天化壮の機動力をもってニキティスに猛接近していくが――――。
『刀太君、ボク、これ、酔いそう……』
「そういえば九郎丸、この移動方法は慣れてなかったっけ……。ちょっと我慢してくれ」
『まぁ式神だから、出すものもないんだけどね! えへへ……ウッ』『(ちょっと! 僕に吐こうとしないでよ僕!?)』
えへへ、と笑いながら口元を抑えるちび九郎だが、やはり本体よりは幾分頭が弱いらしい(酷い)。だが、そこは流石に九郎丸。わざわざちび九郎に神刀を手渡した理由については、こそこそと式神経由で教えてくれる。……いや、確かにそれならどうとでもなりそうだし、ニキティスの注意を引かないことにはどうしようもないのだが、なんだろう。不思議な安心感めいたものがあるというか、それと同時にすごく「頼っていいよ!」という圧を感じる気がした。
まぁそれはそうとして。血風を黒棒にまとわせながら接近すると、ニキティスは剣の柄のようなものを――――って待て、形成される刀身、完全に血じゃねーか! パクリか? パクリなのか!?
困惑しながらも切りかかる私に、いくらか余裕を取り戻したらしいニキティスは笑う。
「どれ、血装術でも真祖の真祖たるを見せてやろう――――『変遷』!」
『きゃっ、右斜め下からっ』
「おっと!?」
ちび九郎の言葉の通り、鍔迫り合いめいた状態になった途端、剣身が「伸び」、縦横無尽に「折れ」、私の脇下から顎を狙って襲い掛かってきた。ぎりぎり躱したが、私とちび九郎の前髪が少し切れ、散る。
すぐさま黒棒の重量を最軽量に変えて抜き、ニキティスから後退。だが剣の先端が今度はこちらを「追ってくる」上に三又に「分裂し」――――。
「流石にこりゃ死ぬわな……、ちび九郎、作戦変更ってことで――――オラっ!」
『わ、わかったけど投げないで――――!!!?』『(僕、こういう扱い多いなぁ、あはは……)』
ニキティスの方めがけて投げつけたちび九郎は、速度的はちょうどぶつかるくらいのそれだったが歯牙にもかけられず「ていっ」と払われて、目がバッテンになっていた。(ちょっと可愛い)
っと、なごんでいる場合じゃない。この三又、先ほどの狙撃とかと違い完全に死天化壮の速度に追いついてきている。つまり同時に襲われた場合、最初の様な叩き落しが難しいということだ。ならばどうするべきか――――『逆説的に』、受けてしまえば良い!
「何!?」
三つの剣が私に、もっと言えば死天化壮に刺さり「本体にギリギリ刺さっていない」タイミングで、私は死天化壮から「撃ち出された」。結果的にあちらの方に三つの刃が刺さり、貫通し、しかし私の血で「からめとられた」状態になる。
見ればニキティスは、いまだ手に血で形成された剣を持っているので……。
「…………『聖』血風、熱ぃ!?」
「うぉ!? あ、熱っ」
ほぼ自爆待ったなしだが、以前に星月が夏凜から「掌握」した神聖魔法、その属性を私の血を介して少しニキティスの血に流し込んでやった。案の定というべきか、剣を握っていた右腕が「じゅわっ」となる。私共々、お互い自分の腕を抱えて空中で転げまわる絵面は酷く間抜けであった。低オサレである。カトラスどうしてっかなー。(現実逃避)
煙を上げながら転がり続け、お互い血装を解除しあった後。ニキティスは空中、私はどこかの建物の屋上。立ち直ると、わなわな震えながら、やはりニキティスはこちらに指を突き付けてきた。
「お、お前! コノエ・トータ! いくら何でも性格が悪すぎるだろ! 毒を流すな毒を!」
「お前に言われたくねーよ! 何だあの超高速で超追尾してきて超縦横無尽で超殺す気マンマンのやつ!」
「フン、実戦ならあの程度は当たり前、だろ?」
「どっちかというと毒流される方が実戦だとありそうじゃね? 特に格上相手なんだし」
「だとしてもやり方と言うものがあるだろうが、やり方と言うものが! 普通『魔人の出来損ない』ならば、その程度は慮ってしかるべきだろ貴族の常識的に!」
「生憎と一般人育ちなもんでねぇ……、て何? 『魔人の出来損ない』?」
何だか聞き覚えのないワードに困惑する私だが、ちらりと視線をふれば九郎丸がこう、生き生きと魔物を切り捨てている。研鑽具合でいえば原作の所謂「未来編」ほどではないはずだが、その動きは妙に洗練されて綺麗に見える。
と、こちらと視線が合った瞬間にウインク飛ばしてくるの可愛いじゃねーか止めろ一瞬ドキっとするから!? お前、そろそろ自分が男を自称してることすら忘れてるだろ! 勇魚共々原作を読め原作を。(錯乱)(???「アンタが一番読み返すべきだよアンタが一番」)
「気を逸らすな! 僕が話してるんだからちゃんと僕と話をしろ!」
「いや、そんな駄々こねるみてーに言われてもさぁ……。正直、アンタと俺とじゃ完全に千日手だと思うわけよ。アンタだって絶対手加減してるだろ? でそれを止めるつもりもないと」
「当然だ。まだまだ『新参』相手にそこまでするほど、僕も大人げなくはない」
訳の分からないプライドにより八つ当たりかましてきてる時点で充分大人げない気もするが、それはともかく。
「結局、どうしたら満足なんだってハナシなんだよなー。お互い折れる所とかねぇ訳だし。妥協点って訳じゃねーけど」
「そんなの決まっているだろう、コノエ・トータ」
「お?」
「――――今すぐ手を引け。『お前が追っていた者』は『お前がどうこうするべき相手じゃない』」
………………果たしてそれは三太のことをさしてか、それとも水無瀬小夜子のことを言っているのか――――。
何だよそれと言うと、良いか? と。ニキティスは腕を組んで……、妙に寂寥感のあるような目をする。
「僕はとある性格の悪い男から、ここの地下の管理を任されているが。同時にこの学園にかつて張られていた超大規模結界の残滓も引き継いでいる。つまりこの学園において、異常なことがあればすぐに感知することが出来る。もちろん、お前たちの侵入もこちらで把握しているし、なんならあの羽虫のことだって、な」
「だから何だよ」
「――――『人間』だ。人間なんだ。僕ら定命から離れ『人間を棄ててる』ような存在が手を出すべきものではない。もちろんそういう物語が無い訳ではない。僕らみたいな存在が滅茶苦茶にする物語だってあるが。それでもあの羽虫は、あの羽虫としての物語がある」
僕は人間が好きなんだ、とニキティスは続ける。
「だから一目で、その相手が『どういう物語を背負ってるか』、おぼろげにだが分かる。剣でも交えればなおさらな」
「……どうだかって感じなんだけど」
「なんならその『猫を被るのを止めても良いぞ』? もっと嫌味で慇懃無礼だろ、お前」
一瞬ぴくり、と。頬が引きつってしまったのは仕方がないだろう。夏凜はともかく、ニキティスにすらうっすらだが「私」の自己について気づかれてしまったらしい。が、らしいからと言ってこの話は「余程のこと」でもない限り――――万が一、億が一、「私」が「私」として動かなければ解決できない事態にでもならない限り、生涯、誰にも言うつもりは無い。
「…………誰だってそんなものだろ? 表に出てる自分と、内に秘めてる自分は必ずしも一緒ってわけじゃない」
だからこそ一般論で濁そうとするが。
「嗚呼。別にそれはそれで『悪い訳じゃない』。それも一つの『物語』だ。だからこそ、僕は今のお前が気に入らない」
「気に入らないって言われてもなぁ……。何がどう気に入らねーのか具体的に言ってくれねーと」
「そうだな。…………たぶん、立場だ」
「立場?」
「コノエ・トータ。お前の今の立場にある、そのお前が。あの羽虫を弄ぶようなその振る舞いが、貴族的センサーに引っ掛かるんだろう」
「何だよ貴族的センサーって」
「この高貴なる貴族的センサーがわからないか貴様!?」
わからない。わからないが、ニキティスの頭上で触覚のように二本のアホ毛が動いているのからは目をそらしつつ。……ニキティスではないが、原作知識から照らし合わせると、なんとなくだが言いたいことが分かるような気がする。
つまり彼に言わせるならば、私と三太は強者と弱者なのだ。能力的な優劣もあるが、おそらくもっと根本的な部分で。……まぁ確かに考えれば、私自身は「文字通り」見た目通りの年齢と言う訳でもないし、積み重ねてきた人生経験やら何やらも2年、4年できくものではない。そんな私が、記憶を失って年相応の恨みつらみを重ねた精神の彼を一方的にいたぶるような行動は、ニキティス的には主義に反するということだろう。
まあ、とはいえそれも理由の全てと言う訳ではないだろう、さっき言ってた八つ当たりめいた話が先に出て来てるのだから、彼の内心を占めるそれは自分勝手な意見が大半のはずである(断定)。大体ノブレスオブリージュ的振る舞いを心掛けるなら、下等種とか羽虫とか出来損ないとか言わないだろうし、大体それを言ったら今のニキティスがそれであろうに。ダブルスタンダード基本かお前? いや基本なんだろがコイツ……。
「だからと言って、このまま引き下がる訳にもいかねーんだよなぁ」
ただ、それはそれ、これはこれである。
私はキリヱの201回の死を託されてしまっている。キリヱ本人にその自覚はないかもしれないが、だからこそ彼女にそれを知られるわけにもいかない。出来る限り「何事もなく」「なるように」この案件を終わらせるしか、私にできる術はないのだ。
だから黒棒を構え立ち上がり。
ニキティスもこちらの戦意に応え、まるで吹奏楽団の指揮者の様な構えをし――――。
「――――――――
突如、巨大なひび割れるような音が鳴ったかと思えば。どこからともなく現れた夏凜が、ニキティスにアッパーカットを喰らわせていた。
………………いや、半分くらいはちび九郎との作戦通りなんだけど、やられ台詞が「ぎゃふんっ!?」ってニキティスお前……。(???「自分からギャグキャラ落ちしたアンタが言えるセリフじゃないよ、トータ」)
アンケの予定は今の所以下のイメージです。(締日予定:7月上旬)
雪姫:刀太が髪を染めるの目撃してキレる話
九郎丸:熊本時代、お風呂が停電した時初好感度ガバの話(
夏凜:カリンと「あの方†」との過去話
キリヱ:「死を祓え」一周目の話
カトラス:幼少期、野乃香に色々教わった話
キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります。
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雪姫
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九郎丸
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夏凜
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キリヱ
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カトラス