深夜更新すまない・・・すまない・・・
ST64.Memento Mori:Can I Close To Your Heart Everytime?
『――――事情は分かったが、なぁ? 私も今仕事中なんだが……、というか数日は「麻帆良」の方には帰れないんだが。ちょっと前に無理に呼び出される話があったんだが、それが流れたお陰で別な仕事を入れてしまって――』
「そこを何とか……! ババア助けるものだと思って何とか! じゃないとシスター・カリンに絞られちゃうっ! こんなバアさんいじめたって大したモン出る訳でもないのに! タツミーと違ってさぁ!」
『いやその……、私と同年代の人間が自分をババアだの何だの自称するのを聞いていると、色々クるものがあるのだが、春日…………。
ザジじゃダメなのか? 私が留守の間は代行権限はそっちに任せてるんだが』
「ザジにゃんって簡単に捕まらなくって……。いやほら、あの子ケータイ持たない主義でしょ? 通話アプリすら所持してないし」
『なら委員長は――――』
「いや、なんかカオス発生しそうかなって思うからパス」
『嗚呼それはなぁ……。確か孫娘もアマノミハシラに在籍しているし、顔合わせでもしたら予想がつかないのは同意するな。初心者にあの一族は色々強烈だ』
「でも、既に早々近衛姉妹とは顔合わせしちゃってるみたいだし。あれはヤベェ感じだねぇ……、特に勇魚ちゃん」
『そういう変な女運みたいなのはネギ先生譲りか……』
「あ! やっぱそう思うよねー! お孫さんもなんとシスター・カリンすらベッタベタでもうマジやべぇの何のって――――」
教会入り口手前にて、何やらアポイントメントを取ろうとしているご老体を前に、私たちはマナーとして一応静かにしていた。
私の隣で「一体私を何だと思ってるのかしら……?」と不満そうな夏凜はともかく。電話をしている彼女、および電話先の声を聞いて、なんというか変な感慨に包まれる私である。はじめて雪姫の声を聞いたときに感じた「嗚呼、私は今『ネギま!』世界にいるんだ」という妙な納得感というか感動というか、そんな感情が出て来るのだ。とはいえ二人とも「ネギま!」時代よりも年齢やら外見やらは変わっているだろし、交友関係も当時とはまた変わっているだろうが。それでもやはり原作を思い起こさせるこのお婆ちゃんの軽さに私は何とも言えない感動を覚えた。
目の前で慌てながら電話する妙に元気な老婆。自分のことをババアと呼ぶのはどうかと思うのだが、それはともかく、現在の私より少し低いくらいの身長だが背筋はピンッとしており声も通るし何よりよく笑うご老人である。
春日美空。「ネギま!」においてはネギぼーずのクラス2ーAおよび3-A所属で、現在時系列で言うならスラムで少しお世話になった春日美柑の祖母にあたる。つまりは夏凜が日本に来た当初お世話になったシスター本人であり、夏凜による雑な紹介そのままの人物でもある。
かつては体育の成績は陸上部らしくクラストップであったりするが、基本的にイタズラ大好きで仕事は割とテキトーにサボったり遊んだりするお道化た修道女である。とはいえその妙に気の抜けた明るさはその出自やらの関係に由来しているようで、つまりは「孤独で辛い過去を吹っ飛ばすため」突き抜けた性格になったと考えられる。その明るさは隣に居るシスター・ココネの「より複雑な事情」すら吹っ飛ばす勢いであり、姉妹の様な関係は晩年となった今も続いているらしい。
ちなみに、困ったり誤魔化したりするときによく猫っぽい目になるのは現在のご年齢になっても未だ健在であった。
「ごめんね? もうちょっと。美空、雑談し出すと止まらない。美柑とかもここ通ってる時は、辟易してた」
「いや良いッスけど……、何で撫でるんスか?」
「こう、頑張って的なエール」
ちなみにそう言いながら私の頭を撫でて来るシスター・ココネだが、彼女は春日美空のマスターということになっているらしい。どうもかつて美空が麻帆良学園に来る際、一緒に同行する名目づくりのために仮契約した節があり、マスターと言いつつ扱いは妹のようなものだろう。……とはいえ見た目の感じが龍宮真名、今美空が連絡している相手を少し可愛くしたような雰囲気にまとまって一切加齢を感じさせないのに、ちょっと妙な感覚になる。
なお段々と撫でる速度が上がっていって髪が引っ張られるというか抜けそうなまでの高速になりそうな段階で、手を掴んでストップをかけた。不思議そうな顔をするシスター・ココネであるが、いやそんな顔されても困るのだが。(断言)
「タツミーって言ってるけど、電話の相手って誰なの? 声すっごい若いけど、距離感すっごい友達みたいな感じだし」
ねえねえ、とキリヱが事前情報を知らないと当然湧いてくる質問をする。いや、まさか件の相手本人と電話してるとは夢にも思っていないのだろうが……。なお一空は教会の方を見て「うん?」と訝し気である。会議途中で盗み聞きされてると断言したのは夏凜であったが、ひょっとすると他にも誰か盗聴を…………? 魔法的な防御力に問題が無かったと考えると、文明の利器からの介入とみるなら三太だろうか。ひょっとすると少し拙い事態になるかもしれないが……、いや、あの話合いを聞いていたからといって、彼らはここから「逃げられない」のだから、究極的には問題にならないだろうが。そのあたり一度、帰ったらバレない程度に探りを入れてみるべきか。
「タツミーは、クールビューティ」
「いやそういう話じゃなくって……」
「ハイレグが好きなんだと思う。よく着てる」
「えっと…………」
「スタイル抜群。ぼん、きゅっ、ぼーん」
「………………」
なお色々考えてる横でキリヱが死んだ魚の目をして九郎丸に苦笑されていたのはともかく。どうやら上手く事が運べなかったらしく、その割に美空は適当に謝ってきた。
「いやー、ごめんね皆。とりあえず来週どっかのタイミングでアポとれそうだから、それまでタツミーに手助けしてもらうのはオアズケってことで」
「いえ、でもさっきの話は色々得るものがあったわ。シスター・ミソラ」
「「ありがとうございます」」
次々に頭を下げられ「お、おぅ……?」と困惑気味なのはともかく(イタズラしすぎのせいか感謝されることが少ない?)、彼女から追加で得られた情報は、推測を立てるのに色々と補強になるものだった。
①かつてサヨコという生徒がいた。
②彼女は魔法生徒(学園公認で魔法をならう生徒。専属の魔法先生、魔術師の教職が担当として就くことになる)ではなかったが、魔法使いの家系であった。
③いじめによる自殺ではなく、いじめによる他殺で殺されていた。
④その後、本当に幽霊の類になった目撃証言がある。
⑤いじめていた生徒、おそらく彼女を殺害した生徒へ復讐の殺人を起こしている。
それで何故今、学園長代理へと電話をしていたのかと言えば。そのサヨコという彼女…………、まぁ私の認識は誤魔化す必要はないので言ってしまうと水無瀬小夜子だが、彼女のパーソナルな情報を引き出すのに、学園長許可がいるためである。
旧麻帆良学園時代から、学園生徒の魔法関係者の情報は一通り焼却されず、それこそ百年分以上にため込まれているらしいのだが。このあたりはデジタル処理ではなく紙資料、おまけに古いタイプの魔法でロックがかけられているため、管理者本人の手書きサインやら指紋やら何やら色々ナマのものが必要になってくるらしく、それを可能とするための準備であった。
とはいえ本日中には対応できないという形でまとまったのだが……。一度解散の後、夏凜から「ちょっと良いかしら」と手を引かれることになる。
「少し話があるのだけど……、九郎丸。刀太を借りるわね」
「えっ?」「わぉ」「何すんの夏凜ちゃん?」
「あー、えっと一体――――」
「――――『
そして背中に翼を生やすと、当たり前のように私をお姫様抱っこして(!)空中に飛び上がる。……どうやら先ほど、春日美空に盗み聞きされたことがお気に召さなかったのか。今度こそ徹底的に防音するつもりなのか、空中を飛びながら結界を纏い、固まる私の耳元に話しかけてきた。
「あまり貴方の『素』に向けてこういうのはしたくないのだけれど……、貴方、確信してたわね?」
「か、確信って……?」
「――――私たちが『追っていた固有能力者』が『連続殺人事件の犯人じゃない』ってことに。もっと言ってしまうなら、その真犯人こそがゾンビウィルスのテロに関わりがあるってことを」
「――――――――」
だから……!
だからどうしてお前さんはそう変なところで勘が良いのか……。原作での無能っぷり(語弊)が嘘のようなその変な観察眼ではあるが、これはむしろ注意が私一人に集中しているからとみるべきだろうか。確かに原作でもフェイト相手にした、本人いわくクリティカルな質問であるところの「ネギ・スプリングフィールドは一体、誰を一番愛していたか」の問いとかも、雪姫個人に限って言えば相当に核心をついた質問ではあったのだが。
「色々と思い返すと、トイレのサヨコさん関係の話。いくら学園七不思議のひとつだからって、ここまでポンポン色々と情報が集まるのは出来すぎよ。だからといって貴方個人が手を回して撹乱することもないだろうし、その必要もない。となると逆説的に、貴方その話がキーになるのを『知っていた』上で色々と情報を集めていたんじゃないかって思えてきて。合ってるかしら?」
「…………嗚呼、否定できない」
「ふふ? お姉ちゃんは意外と見てるのですよ」
「唐突にキクチヨ呼びしてた頃の振る舞いをするの止めろ」
愛おしげに微笑まれても、色々と心臓と思春期に悪い(断言)。
「やっぱり、話せないかしら」
「…………こればかりは無理というべき、だ。」
だが、それについて私が詳しく話すことは難しい。つまりは根本的、より根幹的な部分に触れる話に違いはないのだから。夏凜もこれは、私が知っている情報がいかに核心的なものであるかについて察したからこその確認だったのだろう。どこまでその情報に誘導されて良いものか、自分自身で聞いてみたかったのかもしれない。
「ならそうね……。とりあえずは、貴方の考え通りに情報を集めてみるわ」
仕方ないわねと肩をすくめると、夏凜は寮の前で私を下ろす(当然のように宿泊先の場所を把握されていた!?)。九郎丸よりも一足早い家路となってしまったが、ふと私の口から感想が零れた。
「……前から思っていたのだが、貴女はどうしてそう私に構うのだろうか」
一瞬、呆けたような顔をした夏凜だったが。私の後ろに回ると優しく、それこそぎゅっと抱きしめ。胸元を軽く、幼子でも落ち着かせるように優しく叩きながら。
「貴方ばかりに問うのは酷だろうから、私も本音で言うわ。………………たまに似てるのよ。貴方のその表情が」
「それは、一体誰に…………?」
「色々と知っていたり察しがつくようで、いざそういう場になると慌てて失言したり失敗したりして頭を抱えてそうなところとか。変な所で自分の力不足でも嘆くようで、かと思ったら変に開き直ったりしてそうで。……でも最後まで無理や無茶をして全部一人で抱え込んでしまいそうなところが――――私の、きっと最初で最後の
「――――――――」
今度はこちらが驚かされたが、振り返る間もなく夏凜はふたたび夜空へと飛び去っていく。その後ろ姿を見ながら、私は今もたらされた言葉の恐ろしさに震える他なかった。
夏凜にとって最初で最後の先生……、夏凜の正体から逆算される
「え、怖っ」
ひょっとしなくても、所謂救世主とされた人物「だろう」誰かの話をされたのだろうか。
特に謂れはないはずだが、これがまた盛大な何かのガバに繋がっていやしないかと。謎の焦燥感のようなものに襲われ、私の両腕は震えが止まらなかった。
※ ※ ※
「ねぇ、九郎丸君って――――実は女の子でしょ!」
「ぶっ!?」
クラスメイトの三条さんの台詞で、思わず僕は咽てしまった。
昼休みも終わり際、教室の奥で僕に詰め寄ってくる三条こずえさん。不可解なくらいにきらっきらした目でこっちに詰め寄ってくるのに少し引きながらお話していたのだけど、そこに爆弾発言が飛んできた。
授業を欠席するのもまずいという話になり、僕と刀太君は初日同様授業に出ていたのだけど、こんなことがあるなら今日、休むべきだったんじゃないかな…………。
一応「違うよ?」と答えたのだけど、三条さんは「あーわかってるわかってるから」と言う風に目を閉じて笑顔でウンウン頷いていた。……えっと、僕、そんなに動揺が顔に出るタイプなのかな。
「だって近衛君見てる時の九郎丸君って、ぜーったい恋する乙女の顔だもん。一瞬ちょっと、漫研の腐った連中とかが『我々の業界ではご褒美です!』とか言いだしそうな展開かと思ったけど、こー、筋肉の動かし方とかが女の子っぽいし。私、見抜いたわ! 新体操部的観察眼で」
「し、新体操部的観察眼……?」
「あー、でも大丈夫! 私、そういうの理解あるタイプだから。バラすとかそーゆーことはないの。むしろ、何か運動やってた? みたいな話がしたいの。正直、見た感じすーごい動けるのはわかってるし、同じ体育会系としては聞いておきたいのダ!」
具体的には顧問の佐々木先生を唸らせることが出来るようなアグレッシブな動きが出来るようになりたいのだ! とか言われても……。その、先生の顔と名前だってまだよくわからないし。
「えっと、理解があるってどういうことかな」
「お家の事情とかそーゆー複雑なしきたりみたいなのがあるんでしょ? あっちの席に座ってるボンバヘッド釘宮君みたいに」
「ぼ、ボンバヘッド……?」
笑う彼女の視線を追えば、昨日、寮の前で刀太君に妖魔を差し向けてきたニット帽に眼鏡の男子生徒が、窓を拭いている所だった。……? あれ? なんか、表情こそクールなままだけど、すごく動きが板についてるというか。
「彼、家のしきたりでずっとニット帽被ってるのよ。魔法アプリか何かでも仕掛けてるんじゃないかってくらい強固な奴。で、クラス内で卒業までにあれを外せ! ってチャレンジがあって、トトカルチョになってるの」
「トトカルチョというと、えっと……?」
「決まってるじゃん! あのクールでクラス内最モテランキング堂々の二位な釘宮君の、あの帽子の下の髪型よ!」
ちなみに私はアフロというか天然パーマ推し、と。その一言に「は、はぁ」としか返せなかった。なんというか、熊本の中学に通った時もそうだけど。この年代の子供って皆こうテンション高いなぁ…………。あ、いや、別に僕も「この年代」の子供なんだけど。
「いや、まぁ……『男の子』として運動とかの話をしようにも、そんなに出来るわけじゃないんだ。ごめんね」
「へ?」
「僕って、むしろ格闘技とかそっちの方で……」
「あちゃー! いや、でもそれでもこう、色々バスケの時とか動いてたのを見てるので! 何か得るものがあるんじゃないですかねぇと!」
まあその、僕みたいなのが言うのも変なんだけど。どうやら部活動で行き詰まってるところがあるらしいので、僕でよければ相談に乗ろうと思った。なんというか、こう、久々に普通の学生をしてる感じがして、ちょっと楽しいのは事実だし。
「さっすが九郎丸ちゃーん、話が分かるぅ♪ じゃあ、これ、去年の全国大会での予選演技なんだけど――――」
「全国大会!? す、凄いね!」
「でしょ! って、こうやって調子に乗るから色々文句を言われるんだった……。って、あれ? そういえば近衛君って今どこに? ずっと一緒にいるイメージがあったっていうか」
「あ、刀太君なら――――」
生徒会自警団の備品室に帆乃香ちゃん勇魚ちゃんに捕まえられて連行されていく姿を思い出して、そういえば簡単に説明するのが出来ないなと少し、いや、結構焦った。
アンケ2回目お答えありがとうございました!
票的には二分してるので、まずは以下を順次作っていきます。
・雪姫:刀太が髪を染めるの目撃してキレる話
・キリヱ:「死を祓え」一周目の話
キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります。
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雪姫
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九郎丸
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夏凜
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キリヱ
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カトラス