今日は深夜前・・・!
ST70.Memento Mori:Love Defying The Laws Of Rule
超 本人(なおほっぺの痣が桃色ではなく水色っぽい)はどうにも私のリアクションに驚きが少ないことに怪訝しているが、私としてはそこは諦めろと言いたい。なにせ帆乃香や勇魚と授業ぶっちぎり自宅でひたすらゲームしたりして遊んでいた時の早々に、本人いわく「ガバが移った!?」的な理由で早々に遭遇しているのだ。その際のやりとりから既に彼女の干渉というか、接触自体はそんなに遠からずあるだろうと判断していた私にとってみれば自明の理と言うか、この程度は大した話ですらない。
もっともあの時の彼女当人のリアクションからして、その話を伝える訳にもいかないのだろうが…………。このリアクションを見る限り、どうにもこっちの超の方が前の時系列のようだし。
というより気になるのは、彼女のその赤いチャイナドレスっぽい服の方なのだが……。気のせいでなければ「ネギま!」ではなく「ネギま!?」の方のアーマーカード衣装では? 腰に鉄扇のようなものが二つ、どういう理屈かは知らないが紐もなく吊るされているし。
後その、肩に乗っかってるデフォルメされたようなドラゴンもどきは一体……。衣装の一部か何かと思ったら、良く見れば小さく鼻提灯を膨らませてるし。
「なぁ、その恰好――――」
「ん? フフーン……」
私の視線に、超は半眼になりながら口をカモメが逆さに飛んでるみたいにしてニンマリといやらしく笑い、自分の身体を抱きしめて横を向いた。
「
「いや、そうじゃなくって――――」
「そ、そうよ! ジロジロなんて見てるんじゃないわよこのちゅーに! 思春期! おっぱい星人!」
「いやそう罵倒される意味がわかんねーんだけど!?」
だいぶ真面目な考察に入ったこちらを察知してなのか、キリヱのキャラクターを読んでいるのもあるのか、上手くかわされてしまった。こちらがポカポカ殴られてるのを見て、キリヱに見えないような角度でニヒルに微笑みウィンクなど飛ばしてくるあたり、態とに間違いはないだろう。
ぜいぜいと肩で息をして大の字に倒れるキリヱと、片膝を立ててやっぱり疲れている私。そんなこちらに前かがみになりながら…………、何故か両手で自分の胸を「寄せて」「上げ」。
「アハハハハハ、大丈夫ネ? 『この姿だと』あんまり大きくないけど……、おっぱい揉むネ?」
「その話を引きずるんじゃないっ」
「アイターッ」
思わずチョップ一発ツッコミを入れるが「ぽけん!」みたいな変な金属音(金属音!?)が鳴った当人は大してダメージがないらしい。ケラケラニコニコ、楽しそうに笑っているのは麻帆良学園時代「表」の超そのものといった風だった。
そして肩のドラゴンが起きたのか、頭をむくっとさせて「ちみゃー! ちみゃー!」とか鳴いている姿に微妙にデジャブを覚えるのだが……? いや、特にそういうお供というか使い魔みたいなのを連れてはいなかったはずなのだが、果たして。
「おや、この
「トモダチ=チャン……、長生き」
ちょと待ってるネと言いながら、収納アプリなのか転送アプリなのか(それともパクティオーカードの収納なのか)、小さく展開された魔法陣にドラゴンの赤ちゃんらしきそれを入れる超。そんな姿を見ながら、なんとなくその両手でそっと持ち上げる恰好を見て思い至った。
あっ、なるほど。ザジ・レイニーデイか。現状まだ省略しておくが(旧
もっとも察した内容は細かく口にはせず、しかし超はどういう訳か「私が何を察したのか」まるで知っているかのように「そういうことネ」と胸を張って言った。
なお、そんな私たちの「既知の」やり取りらしきものに、不満げなのが我らがキリヱ大明神である。
立ち上がり両手を腰に当て、ぶすっ! とした顔をしていらっしゃるのが大変ちみっこらしくて可愛いが(断定)、当人は無言で私の膝を蹴ってきた。ちょっと痛い。
「何なの、アンタたち知り合いって訳!? じゃあひょっとしてこのエロちゅーにが色々察し良かったのって、そういうこと!?」
「そういうことってどういうことッスかねぇ、というか語呂悪ぃなエロちゅーに……」
「アイヤ? 全然関係ないネ。どちかと言えば私が『一方的に知ってる』ダケというか」
「そもそも! その先輩とか言う距離感が妙に馴れ馴れしいわよ! 普通冗談でも「おっぱい揉む」かどうか的なの今時やらないでしょっ! 何なのタイムパトロール、アンタまで夏凜ちゃんみたいなエロ女に転職する訳!?」
「ヤヤ!? いくらキリヱサンでも言って良いことと悪いこと有るヨ!」
私と超の間に割り込むように立ちふさがる。なおその際に押されたせいでバランスを崩して横転する私のことなど気にかけず「ふんっ!」とそっぽを向く大明神であった。
その、もうちょっと手心を……、大明神に機嫌を損ねられると運気が減る説。(謎設定)
アハハー仲良いネ、などと言ってから超は咳払い一つ。
「ま、それはそうとして本題ネ。いつまでもジャレてると『タローマティ』からお叱りが飛んで来るヨ」
「……………タローマティって誰だ?」
「? アイヤ、この呼び名だと知らないカ。アレよアレアレ、『“背教”の魔――――』」
『そんなことは話すもんじゃないよ、超。アンタだって「あっち」の名前は出されたくないだろうに。大体それを言うと後で物凄い「ややこしいこと」になりかねないから、控えな?』
また出たァ! とキリヱは師匠の声に飛び退き、体勢たて直し中の私の腕に抱き着いてくる。超はその意味不明ながら有難いお言葉(ごますり)を聞き、腕を組んで「まー判たネ」と頷いた。
「じゃあ本題ネ。つまりキリヱサンにこれ以上、今の方法でセーブポイントを増やして欲しくないというのが、『我々』的なオーダーとなるヨ」
「? えっと、どういうことだ」
「意味わかんないんだけど、超さん」
つまりネー、と言いながら、超は液晶画面に映るデータの画像に指をさしていった。
「セーブポイント①2071年4月9日:キリヱサンが能力に覚醒した日。
セーブポイント②2074年12月25日:キリヱサン、不死身衆加入RTA結果早々のホルダー加入。
ここまでは別に問題ないネ。あくまで時系列的には『直列の』セーブポイント、セーブデータになってるから」
「直列の……?」
「何よ、別に変な使い方してないじゃない」
アハハー、と笑いながら、「どちかと言えば仕様外というか、想定外の使われ方ネ」と超。
「残り5つ、のうち4つのセーブポイントが問題ね。キリヱサンは5つのうち一つを予備に使てるみたいだケド、残念ながら今の扱い方は世界に負担が大きいネ」
「今の使い方って………、へ? でもゲームとかだとありそうな使い方じゃない?」
「ウン、でも世界ってゲームじゃないヨ」
「それはそうなんだろうけど……」
「…………あー、悪いんスけど、さっぱり話が見えねぇんスが」
私に向き直り「アイヤ! 先輩ないがしろしてる訳違うネ」と言いつつ、超は少し悩んでいるようだった。どう説明したものかと言うのが難しいのだろうか、あーでもないこうでもないと空中に指を走らせて。
「ん、結論から言うネ。キリヱさんは『全く別のプレイスタイルをしたデータをいっぱい保持している』状態ということネ。2074年以降のセーブデータがすごい容量食てる状態ネ。
分岐状態を保持させすぎて、もう『外から見ると』すごい奇形状態ヨ!」
「そ、そんなこと言ったって仕様がないじゃない! それに一つは……、
「あー、話が読めねぇんだけど、…………えっと、つまり?」
よくぞ聞いてくれたヨ! と、どこからか取り出した丸眼鏡(かつてのクラスメイトたる葉加瀬の私物だろうか?)をかけて、得意げに笑いながら説明してくれた。
「例えばこう、んー、あんまり具体的な話をするとまた怒られソだから言えないが、ゲームで例えるとセーブスロットごとに全く別なプレイをしたデータを保持したりするのって言って判るネ?」
「まあ一応……」
ソーシャルゲームなどでは早々出来たものではないが、据え置き機やいわゆるしっかり作り込んである上で複数セーブ可能な場合などでは、当然のように可能な仕様だ。ゲームによっては男の子/女の子を変えたりアバターの見た目を変えたりして、全く別なプレイをソロで遊んだりするのもあるだろう。
「さっきも言ったけど、この世界は『ゲームじゃない』。だからオプティマイズされたセーブポイントを使って保持される情報は、たぶん先輩たちが考える以上に膨大というか……、それだけで情報生命群が誕生しても不思議じゃないくらいのスーパー、スーパー、ベリーヘヴィなビッグデータ群となっているヨ」
「……ちょっと読めてきた気がするが、それで?」
「ゲームではないけど、こういう記録の例はパソコンで考えると分かりやすいネ。
例えばウェブブラウザとか、あーゆーのってメモリ低い端末でタブ開きすぎると、動作するための領域と記憶しておく領域、ま簡単言うとメモリを食いつぶす。その理屈がそのままこの世界ってものにも当てはめられるヨ。
それが例えば『直列してる』時系列であるなら、後になって記録されるセーブポイントのデータは、過去のデータを含んでいるのを『世界』はちゃんと理解してるから、その分の差分情報はあんまり多くなくなるネ。
でもキリヱさんの保持している残り四つのセーブデータ、予備のこの7つ目を除いた四つは、ちょっと『やりすぎ』ネ。色々な検証のために世界規模で『走らせ』てる時もあると思うケド、世界の方に『処理限界が来る』ネ。
世界ってホラ、シャットダウン出来ない構造してるから、つまりそれだけ大量のメモリを食いつぶした状態で無理に稼働させ続けると『流石に』動きがカクついたりとか、反応遅くなったりとか、ファンがうぃいいいいいいん! って回転しまくったりするネ。
あんまり無茶に動かすとハードがぶっ壊れる…………、この時空崩壊の危機って話ネ」
後半の例が完全に機械系のものなのだが、おおむね理解は出来た気がする。つまり1つのプレイデータから派生してディスク(世界)にセーブしていけば差分のみを保存するので問題ないが、複数のスロットを1つのディスク(世界)にセーブすると、差分が吸収しきれず世界がパンクというか、エラーが起きかねないという事か。
とか思っていたのだが。
「加えて言うと、その状態のまま『
「グロっ!? えっ、な、な、何そのえげつない巻き戻し回数っ!!?」
「ちょっ! 人の頑張りをグロいとか言うなこのちゅーにはああああっ!」
いやホント、申し訳ないのだがその桁数にちょっと引いた。二百回とかそんな次元じゃねぇだろどう考えてもお師匠様情報なんだろうけどさぁ! そういうのポロッと言っちゃうの良くないと思うんだよなぁ、擦り切れかかってるから下手に慰めることすら出来ないじゃねーか馬鹿じゃねーの!?(錯乱)
ぽかぽかと殴り続けるキリヱを見て「とはいえ安心するネ!」と超は言う。
「流石にデータは二つ三つ減らして欲しい所だけど、ちゃんと対策は用意してあるヨ。伊達に天才美少女発明家とか呼ばれてないネ」
「へ? そ、そうなの! すごいじゃない超さん!」
「って美少女は自分で言うのか……」
「アハハー、ホラ、可愛い可愛いネ?」
ペ○ちゃんみたいな顔して舌を出し悩殺ポーズっぽいのをとってるのはともかくとして。一度咳ばらいをすると、そのまま彼女は座る私たちの間に入り肩を組んで。
「解決策は一つ――――いっちょキリヱサンと、ネオってパクっとくヨ!」
「「…………」」
あっそうかぁ(悟り)、お前もさてはガバの申し子だなっ!?(憤怒)『ハァ…………』
※ ※ ※
パクティオーの意味が分からず、漫符で言うと目を真ん丸にしている(通常パクティオーのスカカードとかああいうデフォルメみたいなイメージ)キリヱは置いておいて、渋る私に超は「まーまーまー」と手を引いてきた。ちょっと待ってるネとキリヱに断りを入れてから外に出る。
……そもそも「外部に干渉できない」はずのあの空間で普通にそういうことをやらかす時点で、この超も伊達に未だ顔も声も体格も知らぬ師匠(知ってる)の下に居る訳ではないという事か。
と思ったのだが、外に出てまた私は驚愕することになった。
「…………なぁに、これ」
「アハハー、『拠点』ネ」
……このギリシア建築とも近未来SF建築とも何ともつかない構造というか、石造りなんだか木造なんだか一言で言い表し辛い構成をした壁という壁、閉めた扉を見ればキリヱの家のマンションのそれですらなく、そしてこの「城」の雰囲気と超の発言を鑑みるにマジで『“狭間”の城』じゃねーか! 登場まだ早ぇよだからお前さんら、大体コミックスにして3巻分くらい後だろ後! 大体師匠とすら顔合わせしてねぇし!
『そうかい、そんなに顔合わせとっととしたいかい?』
止めてください虐めないでください死んでしまいます……!(メンタル)
相変わらず姿は見えないが、声だけは聞こえてくるこの状況に嫌な説得力が生まれた、というか納得してしまった。確かに師匠なら、本人がいなくても自分の拠点内の会話に声だけで交ざってくるくらいやらかしかねない……。
「って、これは一体……」
「んー、簡単にまとめるヨ。キリヱサンのあの『タイトルの部屋』は、本来キリヱサンがいた過去の部屋を『投影している』だけで、本来はここみたいな時間と空間――――『次元の狭間』にある場所となってるネ。
で、あまりに危なっかしかったものだから、私の雇い主が自分の部屋に直通通路を作って色々アドバイスとかすることにしたって流れヨ」
なるほど大体わかった(わかってない)。とりあえず、今のキリヱの能力がとんでもない領域に足を踏み入れつつあるのだけは嫌でも理解させられた気がする。
いや、それは置いておいて。少なくともこうして「外」に連れ出された以上、何かしら内緒話なりがあると考えるのは自然なことだろう。とはいえとりあえず色々と疑問を横に置いて、まず私から確認した。
「で、何でパクティオーしろと? というかそもそもお前さん――――」
「あー、別に問題ないネ『刀太さん』。貴方の事情は『貴方以上に』聞いているネ」
「…………えっと」
「つまり、ダーナ殿の名前とかジャンジャン出しても問題ないネ! とりあえずガバとかは気にせずしゃべっちゃって良いヨ」
「事情っていや…………」
単に「私」個人が転生だか憑依だかしたという話を聞いているにしては、超のリアクションがまた微妙だしこれは一体どうしたものか…………。色々と深読みしようと思えばできてしまうこの状況に「まあいきなりは難しいネ」と眼鏡を外して腕を組む超。
「なんでパクティオーではなくネオパクティオーなのかと言えば…………。そもそもパクティオーの主義であるところの」
「いや、そもそも何で仮契約しろってハナシになってんだよマジで……」
「そりゃ、このタイミングとあれだけ『拗らせた』情緒で仮契約したら、きっとトンでもない壊れアーティファクトが出るネ、パクティオーガチャ的には」
なんとなくではあるが、脳裏に大河内アキラとネギぼーずとの仮契約シーンが思い浮かび、納得してしまった。……
「そもそもパクティオーにより出て来るアーティファクトは、使い手の強さに反比例する仕様だったはずネ。それは当然、弱い従者にゲタ履かせて一人前になりやすいようにする目的もあるはずダケド、ネオパクに関してはちょっとだけ扱いが変わるネ」
「というと?」
「そもそも毎回のアデアット時に毎回ガチャを引く仕様ヨ? なんであんなヘンな仕様になてるかと言えば、『三枚分のカード』における良いアーティファクトの引き当て確率をあえて
例えばザジさんの四次元シルクハットとか、と。いやそんなこと言われても私的に主要キャラを除けばアーティファクトの記憶は大河内アキラの「魔法人魚変身セット」くらいしかないのだが(爆)。
「だから本来なら『
「カシオペアはともかく、デザート・ホーラリアとか言われてもソッチはそっちで微妙に判らねぇんだが……」
とはいえ師匠の仕込みなら……もっと言うと「この時空を消滅させないための」師匠の仕込みだというのなら。おそらくそう悪いことにはならないはずだという納得自体はあったものの。
「それはそれとしてガバに間違いはねぇんだよなー……」
「ムム?」
きょとんとしている超には悪いが、現在大体4、5巻前後の時系列と考えると、どう考えても15巻以上は展開的に先のガバに違いはないんだよなぁ…………。(震え声)