感想720件超および話数72話超(ついでにポイントも7020超)のお祝い?ということで(※72は刀太に関して結構重要数字)、また短編アンケートとろうかなって思います。
前回続投メンバーもあるので、そちらにも是非ご投票を・・・!
ST74.Memento Mori:Don't Feel DEJAVU
「………………とりあえずその目を止めてくれないだろうか、近衛刀太。どうやら祖父の人となりについて多少なりとも知っているようだが、別に同情されたところで何も変わらない」
「あー、悪い。えっと、それはそうとして――――」
「とりあえず『時坂九郎丸』の救出が優先、といったところかな? 話は中途半端にだけど、わずかには聞こえていた」
「そりゃドーモ」
話が早くて助かる上に、どうやらこの場では余計なわだかまりは抑えてくれるらしい。こういったところは彼の祖父より祖母に似ているのかもしれないところだが、そもそもご両親についての情報が欠片も見当たらないのでどうこう考えるのはナンセンスだろう。
釘宮大伍の祖父こと、犬上小太郎。元祖「ネギま!」基準で言ってしまえば、初期のライバル兼頼りになる熱血系親友キャラ的なアレである(ガバガバ紹介)。関西弁でオラオラ系だが年齢的にはネギぼーずとそう変わらない年代であり(※ネギま! 時点で)、当初は敵として相対するが激突、対決をしその人物を認め関係性が良化。以降は修行仲間でありお互い張り合う良い仲間となっていった。
もっともこのポジションというのも中々微妙なものと言える。しいて言うなら
それくらい彼を引き離してようやく追いつけたのが
というかこの釘宮大伍、弓使いで祖父から手ほどきを受け眼鏡をかけクールキャラを気取ってるとか。これで手芸やら家事やらが得意だったりしたらお前もう完全に
実際問題、
『(刀太君、ちょっと楽しそう……、なんか嫌だなっ)』
「な、何よ、味方ってことでいいの? 一応…………」
一方、状況についていけてないのが我らがキリヱ大明神と未来九郎丸である。
とりあえず一言確認をしてから、二人(表面上はキリヱ相手にだけ)に彼が裏魔法委員会であること、裏魔法委員会そのものの概略とを説明する。
「一応警備としての仕事もしてる。俺、あと従兄妹も妖魔関係の対応にメインで当たっているようなものだけど」
「「妖魔関係?」」
「そうだ。かつてアマノミハシラ周辺を含めて起きた魔素汚染の影響で、いわゆる『旧時代』に比べ妖魔がそこかしこに出やすくなっているらしい。ここに入学してから、数えただけで大体年間四十件くらいは調査と捕縛をしている計算になる」
「多いんだか少ないんだか……? って、あー、むしろ結界的なのって今でもあるんだろうから、それがあるにもかかわらず発生してるって考えると多い方なのか」
ざっくり適当に言ってしまうと、おおよそ1週間に1回は対処している計算になることを考えると、それはそれで忙しいのかもしれない。おまけに少なくともここに通学してる間、その類のものを見た覚えが無いので、人材的には彼を含め担当者たちはそれなりに優秀なのだろう。
「事情はわかったわ。けど、九郎丸どうするのよ。アンタ、えっと釘宮って言ったっけ。撃ったあのワンコっぽいの、全部九郎丸に斬られてるじゃない」
「
「そーゆー
「いや意外とナイーブかお前っ」
キリヱから「どーでもいいから」と言われたのを受けて、眼鏡を押えた姿勢のまま「ぴしり」と固まる釘宮大伍。なるほど、修行は嫌々だったが流派そのものは嫌いではないということか、なんとも複雑な心境である。
悪かったわねとキリヱから一言あった後、咳払いをして気を取り直した。
「……本来ならさっきの技は、相手の全身に狗神が覆いかぶさり動きを封じるものなんだけど、妙にキレの良い動きで躱しているね、彼。瞬動術でも覚えているのかい?」
「本当なら普通に瞬動使えるんだけど……、洗脳っていうか、自意識ほとんど無いみたいだしそこの微妙なテクニックみたいなのは制御されてるっぽいかも」
「となると、上限はもっとあるにしても強さ的にはさっき斬り合ってたくらいで頭打ち、というところか。近衛刀太」
鼻で笑う釘宮大伍だが、流石にちょっと本名連呼されるのが面倒になってきたので、呼び捨てで頼むと言う。それに対して肩をすくめ首肯すると「だったら僕も呼び捨てで良いよ」と返ってきた。
「一度対立して共闘したらもう仲間、とは祖父の弁だが……、生憎そこまでコミュニケーション力は高くないけどね、近衛」
「別にそのレベルのとか求めやしねぇって。パーソナルスペース本当大事だからな……、ほんと、こう、何でもかんでもいきなり抱き込んでハグしてきたりズキューン! してくるともうどう対処していいかわかんないっていうか俺個人的にも色々と限界が臨界点を迎えてメルトダウン(意味深)しそうだからいい加減そのあたりの距離感はちょっと考えて欲しいって言うか――――」
「……良く知らないけど、何かトラウマでも有りそうだな。あえて追及はしないが」
正解である、百点回答である。(激しく首肯)
脳裏で次々にフラッシュバックする夏凜の映像やら感触やら匂いやらに脳がいいかげんバグを垂れ流しそうになるが、ふと夏凜にレンチン(物理)された時のことを思い出し、これもひょっとして使えるだろうかと少し思いついた。
『(…………相性良いのかな、出会ったばっかりなのに僕の時より砕けてる感じがするっていうか……)』
「いやだってお前の方が最初の方とか遠慮してたじゃねーか」
『(えっ!?)』
「? どうしたんだ」
「何でもねーよ。で、えっと釘宮。とりあえずこの場でキリヱを庇いながら、九郎丸の視界一杯に狗神を撃ってくれね?」
どういうことだと聞き返してくる彼も説明するが、どうしても遠距離戦だと弾かれる恐れがあるので、接近戦に持ち込みたいという話なのである。死天化壮と血風の性質的には本来遠距離でガンガン撃って牽制しつつ高速移動して撹乱するのが正しいのだが、今回の場合は距離による威力の減衰が面倒極まりないので、どうしても接近戦が必須となってしまう(なお普段の場合でも、周辺の施設やら建物やらに被害を与えないレベルで運用することになるので、あくまで理想論的運用となっていた)。
「とりあえずどーにか出来るアイデアは思いついたから、まー何とかなんだろ、何とか」
「こーゆー時ってアンタ、そんなこと言うとき大体無茶するから、私、あんまり行って欲しくないんだけど……」
無茶という程の無茶ではないのだが、血風だけを送り込むよりは確実にどうこう出来る類のそれである。もっとも詳細を話さなくとも、釘宮は「わかった」とため息をついて弓を構えた。番える矢は、四つ。
「犬上流獣奏術・
前方目掛けて撃たれたそれらは、先ほどの一本一本と同様に膨大な数の狗神に分裂した。黒い狼の様な巨体のそれが、ねずみ講のように増えていく様は中々にパニック映画のモンスター感があったが、その物量をものともしないのが九郎丸である。すぐさま瞬動のできそこない(猛烈な砂ぼこりと足音が立つ)で彼らの真上に移動し、脳天を貫いていく。
一方の釘宮も、再び弓に番え放つ――――追加分の狗神が分裂を開始すると同時に動き出し、私は死天化壮の速度を生かして狗神の中に紛れた。フードを被っているせいもあり、全体の色味が黒い狗神の中ではあまり目立たない位置にいることになる。
数体の狗神の首を落としていた九郎丸だったが、追加分を前にわずかに後退――――したかと思いきや構え、瘴気の剣を二つ合わせて一つの長刀とし、それに気を刃に纏わせ薙ぎはらってきた。
本来の技のそれと違い、剣の軌跡が鞭のようにしなり狗神たちを徐々に徐々にとらえていき――――。
「――――ッ!」
「よっと」
その「本来の九郎丸らしくない」レベルでの大振りな動きに合わせ、崩れ落ちる狗神たちに紛れながら、死角となる右側へと回った。咄嗟に私の存在に気付いたらしい九郎丸だが、神鳴流としての「最適化された」動きをしていない今の彼(彼女)だ、普段から九郎丸と練習している私に対応できるわけはない。
とはいえ敵の攻撃の本体が瘴気であることは既に察している。こちらに向けて九郎丸から瘴気が漏れ。しかし、だからこそ――――。
神刀の九郎丸で瘴気を斬り払い、わずかに隙間を作り。
「
黒棒に血を纏わせ「切れ味の鈍い」状態から「切れ味の鋭い」状態へと変更させ――――。
※ ※ ※
気が付けば、私は例のスクラップ置き場のような場所に立っていた。相変わらず空間は広大だが、流石に段々と慣れてきたのか、唐突なこの展開にあまり違和感を感じなくなりつつあった。
こちらに背中を向ける星月は、普段通り黒と白のローブ姿。表情は見えないが、どこか楽し気にテレビの映像――現在の戦闘中の私の視界を見ていた。
『なるほど? そーゆーことか。前に結城夏凜を相手に神聖魔法を「太陰道」で受けた時みたいに、九郎丸の中に巣くう洗脳魔法の瘴気ごと吸収しちまおうってハラだな』
「……まぁそういうことだ。出来るだろう?」
出来るけどなぁ、と渋る星月だが。彼が言っている通り、私の目論見はそれだ。
以前スラムにて、妹チャンことカトラスの策に嵌り夏凜から受けた神聖魔法を「解毒」するために吸収した際のそれと同様のことを、今回は九郎丸に対して行えないか、という話だ。
『出来なくはねぇけど、あんまりオススメはしねぇって言うか……』
腕を組んでこちらを振り向く星月は、いつにもまして苦笑いを浮かべている。それは、果たしてどういう意味なのだろう。
「何かこう、九郎丸に障害が残るってことか? もしそうなら別な手段を考えるが……」
『いんや? 間違ってねぇぜ相棒。少なくとも九郎丸に刺した状態で、この間のニキティス・ラプス相手にやったみたいに「血風」とか「神聖魔法」を流すってよりは、正気の判断だ。特に時坂九郎丸を相手にそれをやるっていうのは、結構命知らずなことだからな』
「命知らず?」
まず大前提としてだけどなー、と星月は苦笑いを浮かべる。
『時坂九郎丸の不死身っていうのは、「呪式不死化実験」の結果の産物っていうのと「神刀・姫名杜」を内在している……というよりは同化しているから、っていうのがある。この場合、お前が血風を注ぎ込むと何が起こるかって言えば、前者の不死を一時的に無効化しちまうってハナシだ』
「まぁそれは確かにあるだろうが、後者が残っているから死にはしないだろう。何か問題でもあるのだろうか」
『大ありだこの人間ガバ製造工場めっ。
今の九郎丸っていうのは、あー、
つまり…………、全身に神刀の力だけがいきわたる状態を、普段のままの九郎丸では制御しきれないということか。
オイ。
「それって、暴走確定じゃねーか!? 神刀そのもののパワーに振り回されて
『ちなみに神聖魔法だと、お前が感じるのと同等の痛みを味わうことになる』
「それは……、悪いが何でだ? 私のように、明らかに『その系統』とは敵対する属性を帯びている訳でもあるまいに」
『いや時坂九郎丸って一応、烏族の血筋だろ? 妖魔とハーフの亜人じゃねーか。桜咲刹那とかと同じ系統の』
「あっ」
なるほど、神聖魔法の属性的に九郎丸を「精霊」にカテゴライズするのはやや無理があるかもしれない。いくら姿かたちが天使めいているとしても、出自的に受け入れられるそれではないのだ。当然、私同様に体内をレンジでチンされる類ということだろう。
考えたら身震いしてきた。
「…………そうなると結局、元の話に戻ることになるのではないか? オススメはしないと言ったが、お前も他に代案はないだろ」
『見捨てるって言うのがオレ的には一番オススメだが……、そのつもりはないんだろ?』
「そりゃ、当然」
『ヤレヤレ、おせっかいな相棒を持つと苦労するぜ……(だからこそ「
「何か言ったか?」
『いんや? じゃあ、まーアレだ…………、オレのことは罵倒してくれんなよ?』
「はっ?」
※ ※ ※
――――そのまま黒棒で、九郎丸の心臓に突き刺す。
と、その箇所を起点として九郎丸の背後に「太極図」のようなものが見えた気がした。途端、瘴気そのものが猛烈な勢いで黒棒に……というより「私の血」に吸い込まれていき。
それと同時に、九郎丸の衣服が下着含めて全て弾け飛んだ。
「…………はい?」
『(うわああああああああっ! あああああああああっ!)』
絶叫する未来九郎丸こと神刀。突然の事態に思考停止を起こした私。最後の瘴気もすべて吸収し終わったのを確認して抜く程度の正気は残っていたようだが。
ぺたん、と女の子座りするまでの九郎丸の「完全に」「少女化している」「スレンダーな身体」を、放心していたせいもあり正面から直視せざるを得ず。
胸の傷もすぐに治った九郎丸は。我に返ったようにこちらに近寄ろうと立ち上がり。同時に今の自分が何一つ身に着けていない状態であることに気付き。
「あ……、へっ? な、な――――」
「えっと……お前って…………」
女? と。流石にこの状況でトボけるのは厳しいだろうと全力で原作主人公ムーブをかまそうとした私であったが。
「――――刀太君のえっちー!」
「へぶっ!」
顔を真っ赤にし涙目になりながら片腕で胸元を隠しつつ、ツッコミモーションのような動きを「飛ばして」(おそらく例の神鳴流宴会芸)、私の頬をビンタしてきた。
いやそれ原作忍の台詞だからと突っ込む余裕すらなく、一撃でパーフェクトノックアウトされた。
……オススメしないってこういう事かよ! 予想つくかこのお
アンケの予定は今の所以下のイメージです。(締日予定:9月上旬)
雪姫:ネギぼーずとネオパクしてトラウマを刻まれる話
九郎丸:熊本時代、お風呂が停電した時初好感度ガバの話
夏凜:カリンと「あの方†」との過去話
キリヱ:刀太のお嫁さん選手権!の話
カトラス:幼少期、野乃香に色々教わった話
キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります
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