光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざます!
戦闘シーンダイジェストにすべきか悩みましたが、ニュアンス的な意味であえてそのまま・・・その分ちょっと長めです汗


ST76.死を祓え!:忘却の彼方

ST76.Memento Mori:Oblivion

 

 

 

 

 

「ほなお兄さま、あーん!」

「お、お嬢様っ!? それでしたら私が……」

「アカンって~。勇魚、お母さまからメールで、ちょっとお兄さま見る目ぇが怪しいって言われとるやん。もうちょっと甘え方落ち着いてからな~?」

「な、なんでぇお姉様ッ!?」

「だって勇魚ばっかずるいやん! お兄さま一人しかおらへんのに、そんなべったべたしたら汗だくなるってのに、なんかちょっと嬉しそうに匂い嗅いで一人で楽しくなるんのとか許さへんで!」

「ど、どうして気付いて……!?」

「そりゃ気づくわ! まーとりあえず、お姉様方帰ってくるまでこっちで待機するえ!」

 

「…………」

「と、刀太君、目が死んで…………っ」

「っていうか俺、全然関係ねーよな? な? なんで一緒に簀巻きっぽくされてんだ、な?」

 

 現時点つまり大体お昼休み前後。私は帆乃香や勇魚の手で、生徒会備品室に再び連行されていた。なお今回は九郎丸と三太も存在しており、三人とも包帯で全身ぐるぐる巻きにされていた。

 

 経緯としては非常に単純だが、ちょっと長い。

 

 まず事前条件として、今回の問題は「三太が」「打ち合わせ中の小夜子に」「接触する」のが問題なのであるから、彼をその場から徹底的に遠ざければ良いということになる。つまりはアマノミハシラ市内を散策がてら、原作5巻同様に遊びに出てしまえば良いという流れが最もガバが少ないといえ「た」だろう。イベント消化的にも原作的な流れをふまえれば、ここにおいて私に死角はないといえ「た」。

 

 …………まぁ、そう、ハイ、いえ「た」なのだ。過去形なのだ。そこは現在、私たちが捕まっている所からしても明らかだろう。

 私たちの行動にガバはなかったはずだが、ここに至る経緯というかそこまでに何かしらガバがあったのだろう、救いはないね仕方ないね(白目)。

 

 作戦自体は九郎丸とも相談して同意をとった上で、それとなく私が適当に三太を誘い出してレッツゴー! と言ったところ。最初は何かやることがあるような口ぶりだったが、ゲーム関係に口を出し始めたら態度が急変、一気に距離感が近くなった。

 

『せっかくだから、この赤の扉でも……、って違うわ、赤いゲーム機のソフトでも探しに行こうぜー。中古とかで良いのあんだろ何か』

『何だよ赤いゲーム機って……』

『だってパーティーゲー無いだろ? お前。友達いなさそーだし』

『だ、誰がぼっちだっ! それに全くない訳じゃないぞ?』

『刀太君、これパーティーゲームかな? 桃○って書いてあるんだけど』

『『それは止めとけ』』

 

 リアルの人間関係にひびを入れて来るタイプのソフトはともかくとして。三太が私や九郎丸同様にその手の病気(中二的センス)なのは確定的に明らか(断言)なので、おそらく道中の話題合わせには苦労しないだろうと踏んでいた。例え「実際に」街をうろつくのが私、九郎丸ともに初めてでも、「私」に限ってはそうではない。事前リサーチと言う訳ではないが、いくつか行ってみたい場所については既にチェック済なのだ。

 

 と言う訳で手始めにカラオケに向かい、ちょっと照れながらも熱唱する九郎丸のどこかで覚えのある様な声質で妙に上手い歌を三太共々聴いたり(それぞれ得意ジャンルとしては、九郎丸はロックバラード、私は洋楽(OSR)、三太がポップソング寄りのアニメソング。なお私も三太もそんなに点数は低くない)。

 

 原作同様ゲームセンターで各筐体に対し、謎のハイテンションでやけくそ気味に総当たりしたり(なおそれぞれ得意分野としては、格ゲーとかガンシューティングは三太、リズムゲーは私、意外なところでスロットやらパチンコやらは九郎丸だった(動体視力?))。

 

 隣にあった「占い館ココロウァ」で三人そろって占いをして一喜一憂したり(なお恋愛占い強制。それぞれアドバイスは、三太には「素直になること」、九郎丸は「ここぞというタイミングを見逃さないこと」、私は「近い順に覚悟を決めること」とのこと。何の腹を括れと?(震え声))。

 

 ブックカフェとかOSR施設(オサレスポット)は混んでいたので、道中、比較的空いてた「ラーメンたかみち」で少し早めに昼食をとったり(私、九郎丸、三太でそれぞれ、冷やし味噌バターコーン、塩野菜つけ麺、しょうゆチャーシュー。なお満場一致の感想として「信じられないくらい味に特徴がなかった」という衝撃的な展開)。

 

『アレでよく全国展開してるよなぁ、ラーたか(※ラーメンたかみちの略称)……』

『熊本にもあったね……、雪姫さん一回も入らなかったけど』

『都会じゃなくてもアンの、地味にすげぇな!? あんな旨味全然ないやつ!』

『あー、何だっけ? 元々ジャンキーなの大好きな学生とかでも毎日食べられるくらいのノリで、化学調味料とか脂とか塩分とか適度な上で美味いっていうのを作りたいってコンセプトだったっけ? だから、コンセプト通りの味と言えば味なんだろうけどなぁ』

 

 なおアニメ二期(?)「ネギま!?」において、タカミチ・T・高畑がラーメン作りに凝る謎描写があったりなかったりした記憶があるようなないようなだが、たぶん関係ないはず、ウン、きっと、メイビー。(不安)

 そんなこんなで意外と(と言う程でもないが)年相応に絆されて楽しんでいる三太と我々だった。九郎丸に関してはもはや私以上にお上りさん状態となっており、一挙手一投足のたびに表情がコロコロ変わって大変に可愛らしい(性別)。というか、そういう表情ばかり見てしまうといい加減「あの話」というか、私が正式に性別を知ってしまった話をどこでするかという話も出て来るので悩ましい。一瞬で処理しようと思えばできなくもないのだが、手の出し方を間違えると新たなガバ発生の基点になってもっとガバガバ拡大していきかねないと思うので、このあたり正直オブザーバーが欲しいです師匠(嘆願)。(???「アドバイスされてもオリチャー始める男だよアンタはどうせ」)

 

 ともあれ、そんな会話をしてる時に、自警団の面々に見つかった。三人、特にリーダー格、「蘇りし現代の脱げ女」こと式音お姉様は腕を組みこちらを指さし偉そうにふんぞり返ってる。菜緒といったか、のほほんとしてる彼女は三人分の箒をどこからともなく取り出して準備しており、ジャージさんことマコトは視線が合った一瞬顔を赤らめて視線をそらして両手をポケットに突っ込んで少しだけ貧乏ゆすり。何それ可愛い。

 

『そこの三人! いま中学は授業中の時間です、御縄につきなさいっ!』

『……あ、そうそうッス! 近衛刀太君、時坂九郎丸君、どっちも無断欠席の連絡がきてるッスよ! お姉さん怒っちゃうッスからね! お昼の呼び出しもついでに片づけちゃうッス!』

『あらあら~マコトちゃん張り切っちゃって……、刀太君専門で追いかけてもいいですよ~?』

『ふぇ!? そ、そんなことよりお仕事ッスから!』

 

『…………』

『そんな「またか」みたいな呆れたような視線向けてくんの止めろ九郎丸。っていうか逃げる一択だな――――っと』

『って、一瞬で屋根!?』

 

 言いながら足裏に飛蹴板を形成。走る、飛び跳ねるようなモーションをしつつ三太の手を掴み、一気に屋根の上に移動する。九郎丸は安定して瞬動で音もなく追従してくる。

 これを見て、というよりほぼ一瞬で移動されたのに反応が遅れてか、三人はそれぞれ箒を使って追跡をしはじめる。

 

『三太、走れるか?』

『ば、馬鹿にすンなよ! これでも足は速い方だ!(……スーパー三太様だし念動力あるし)』

『そっか。じゃ、結構マジで走るからガンバってついて来いよ――――!』

 

 後はこのまま彼女たちの追跡を振り切れば、ある程度は原作の流れを踏襲できるだろう。もっとも原作でこれに該当するイベントは数日後だったはずなので、状況的にはRTAしてるのに等しく、あまり良いとは言えないが。

 それはそうとして、ここで三太に「いじめられていた時」のことを思い出させないよう、あくまで気楽に振舞うが吉――――――――。

 

 そう思っていた時期が私にもありました(白目)。

 

 

 

『ここで会ったが百年目! 観念しぃお兄さま!』

 

 

 

 得意げに札を構えて笑う帆乃香と刀を腰に構える勇魚が、進路前方に待ち構えている。どうやら自警団は少し授業形態が違うのか、それとも昨今の殺人事件で駆り出されているということなのか、ともかく挟み撃ちの形である。

 もっとも私的には、その立ち姿とセリフ回しが完全に原作で相対した時のそれを彷彿とさせるもので、そっちの方が気になって仕方ない。というか胃が痛い。やっぱりガバかな……、ガバかも……(疑心暗鬼)。

 

 さて。それはそうと面倒は手早く片づけていくに限る。生憎「今回は」原作の流れを引き継ぐイメージでいるので、そう簡単にやられてたまるかという話だ。

 とりあえず後方に「大血風」を形成して「置く」。空間座標に残った血風の回転をとめるのは一般人には不可能であるからして、車も自転車も箒だってすぐには止まれない(最新式セグウ○イは止まれる)。なので振り返る必要もなく、背後から「ひ、飛行アプリ急停車ァ!」とマコトやらの絶叫が聞こえてくるのを放置する。

 

『お姉様方!? っ、兄様、よくも皆様を――――!』

『いや流石に物理障壁までは消し飛んでねぇだろうから、っと!』

『でも兄様、屋根の上だから落ちたら危ないじゃないですか!』

『ホントにな!』

 

 最後に叫んだ三太のリアクションが気になってみれば、一応落下こそしているものの無傷ではあるらしいが…………、なんか彼女たちの方に向けて両手を開いて構えてるし、ひょっとしたら念動力(サイコキネシス)でゆっくり下ろしてくれたのだろうか。

 大丈夫だったとは思うが、しかし安全を期する必要はあるのでこれには当然、内心で感謝である。

 

 さて、斬りかかってくる勇魚相手に黒棒を出すのは大人げないかと思っていると、九郎丸が夕凪を抜き彼女の前に立ちはだかった。金属音、そして弾かれる勇魚。これに関しては単純に身体の発育(筋力と体重)に加え、こちらに直線運動のエネルギーが乗ってることも関係してるだろう。

 とはいえあちらもさるもの、当然のように壁に張り付いてニヤリと刹那お祖母ちゃん(せっちゃん)じみた笑みを浮かべた。

 

『流石にやりますね、九郎丸先輩! ……後で修業見てください!』

『ええ!? い、いいけど僕、教えられる程の腕って訳でも――――』

『隙あり!』

『――――ふんっ!』

 

 実力的にも身体能力的にも劣っている自覚があるのだろう、不意打ちじみた勇魚のそれにしっかり対応する九郎丸である。もっともそちらに私も注意を割く暇はなかった訳だが――――。

 

『詠唱省略アプリ起動!

 ニギタマ・クシタマ・サキミタマ――――「菊理媛境木(くくりめのさかき)」!』

『いやそれ省略するの止めろ! チートか貴様!』

『チートって何やの?』

『あっ、そっかまだ判らないか……って、小血風っ!』

 

 いきなり例の魔法完封系結界を放ってくる実妹ちゃんの容赦のなさよ、一体誰に似たんですかね(震え声)。どう考えても上級レベルの術を一瞬で構築してくるあたり、前回と違い今回は真面目にやってるのか。確か効果としては「術者以下の魔力/気の持ち主の使用禁止」的なものだったはずだ。私は「金星の黒」があるとはいえ、その結界の効果が「当人だけの魔力/気」とか制限が設けられていないとも限らない。

 なので一方の私としては、結界の基点になる帆乃香めがけて小さい血風を足元に投げた。

 

 ギリギリ、血装術は魔術にカウントされないのだろうか、上手いこと帆乃香周囲の「気」を散らし、結界の構成を砕く。しかしそれに動揺している様子もなく、帆乃香は札を私の方に向けた。

 

『ニギタマ・クシタマ・サキミタマ――――「転移印(ジャンプマーク)」!』

『――――ッ』

 

 例の「嫌な感覚」を覚えなかったため、正面から札術をそのまま喰らってしまった。一枚の札が私に放たれ、ふれると同時に青白く燃えて消える。とっさにその場から急上昇すると、その後に投げられた三枚の札が遠隔光線兵器(ファ○ネル)がごとく追尾して来た――――。

 

『すごいわぁお兄さま! 初見で「菊理媛」に対応してくるとかホンマびっくり! 同年代でもそんなん見たことないわ! カッコええ!』

『そりゃどう、もっ!』

 

 後方、空中だったこともあり追尾してくる札へ通常サイズの血風を投げる――――二枚! 一枚の撃墜には失敗したが、それとて些事、距離を離してもう何回か撃てばどれか当たるだろう。死天化壮へと切り替えた上でそう算段をつけていたのだが――――。

 

『でろーん!』

『はいっ!?』

 

 その私の胸のあたりに穴が開いて……、というより「空間が繋がって」、出来た異空間への穴のようなところから帆乃香がひょっこり顔を出してにっこり笑った。得意げな様子がますます近衛木乃香(このちゃん)味を感じさせて可愛らしいが、それはともかく。

 現在空中、地面および屋根からそこそこ高速で離れている最中。このタイミングで唐突にこうひょっこり出て来られても困惑より心配が勝る。つまりは「危ないだろッ!」という話だ。なにせその長髪の乱れ具合からして、どうやら死天化壮の速度的な恩恵は得ていないに等しい様子、つまり完全に速度に置いて行かれている(新幹線最高速度の状態で窓を開けて外を見ようとする行為に等しい)。

 

『あー!』

『いや普通に落ちるから待て待て!』

『――――ッ、何やってんだあの女ッ!』

『ほ、帆乃香ちゃん!?』

 

 そして何が起こったかといえば、中からバランスを崩して落下――――! その際の表情に一切恐怖もなく悲鳴すらあげないのは、個人ののんびり屋さんな性格ゆえか、普段受けてた修行が苛烈極まりなくその感覚がマヒしているせいか……、たぶん後者だろう(断言)。

 そうは思いながらも流石に落下を放置するのは忍びない。というか一兄貴分というか一般通過お兄ちゃん(血縁)としては、一応は妹がそのまま落ちていく様を見たまま何もしないわけにもいかない。痛いのは嫌だからこそ、他の人の痛いのも当然嫌ではある(場合にはよるが)。

 

 

 

 もっとも、まさかそこまで含めて相手の計算の内とは思っていなかったのだが。

 

 

 

 完全にこちらが助けに入るのを見越していたのか、結果的に落下する帆乃香をお姫様抱っこして救い上げた時点で、その場、屋根の位置には私、九郎丸、三太の全員が集合しており。

 

『勇魚、今や!』

『はいっ、お嬢様!』

 

 嗚呼そういえば声が聞こえなかったなぁと思った彼女、もう一人の妹ちゃんの方が動き――――おそらく事前に貼ってあったろう帆乃香の札も転移術じみたそれを発動させ――――。

 

 結論から言うと、そのまま生徒会備品室に三人とも放り出され、全身白い布のようなもので拘束されて動けない状態とされた。

 

「ままならぬ…………」

「現実逃避したって意味ねーだろ。ってかアイツら妹なのか、怖ぇなお前の妹たち…………」

「あはは……。僕も隙をつかれちゃったしね。でもあの容赦のなさというか、自由な発想は刀太君らしいと言えばらしいかな? ちょっと血筋を感じるかも」

 

 当然三人とも、無理に抜け出そうと思えば抜け出せるだろうが、私と九郎丸に関しては一般人(?)相手にそこまで本気で力をふるうつもりもなく、三太に関しては正体バレの恐れもあるだろうからか逃げずに諦めていた。

 

 ちなみに我々が拘束された時点で、すでに通話アプリで勇魚が「お姉様方」三人に連絡を入れていた。

 帆乃香はぶんぶんと腕をふって「お兄さまの握り、へいお待ち!」とか訳の分からないことを言ってテンションが高い。やはり幼児めいた挙動が多いのだが、これは彼女の素の性格の問題か、それとも「実際の年齢」が「見た目以上に幼い」可能性を検討するべき話だろうか…………。

 

 と、ふとこちらに振り返ってしゃがみ、私の顔を少し下から覗いてくる(本当に小さい妹ちゃんである)。

 

「あー、でもアレや。お兄さま、やっぱり私らのお兄さまなんやなー。ちょっと感動したっていうか、ジェットコースター乗ったみたいな感じでドキドキしとるえ!」

「…………いや、そりゃこれだけ似てて母親同じとか言われたら、疑いようもねぇだろって。何なんだその感想?」

「乙女心的にぐっとくるものがあったから、そら仕方ないやん? やっぱお兄さまっていうか『お兄ちゃん』的な人ってゆーんか、フェイトはんはあんまり甘えられんからなー。色々あって距離感開いてるし」

 

「…………えっと、ちょっと待って? へ? 刀太君、その、えっと……『産みのお母様』と会ったの!?」

 

 そういえばその話はしていなかったかと今更ながら思ったが、なんだか妙に顔を寄せて食いついてくるものだから三太が置いてけぼりである。「せやでー」と軽く言いながら勇魚にカメラアプリのアルバムで写真を探してくれと言うと、ほんの数秒でホログラフィックの画面が出て来た。

 

 写真には三人の女性が映る。一人は帆乃香、というか木乃香(このちゃん)をそのまま大きくしたような大和撫子風の美人さん。もう二人のうち一人はちょっと不健康そうな顔色をしていて誰だか判らないのだが、もう一人は例のサイボーグゴスロリアンドロイド女子(永遠の十代)と化した祝月詠であることは確定的に明らかだった。

 

「こっち、ウチらのお母さまの『近衛(このえ) 野乃香(ののか)』!」

「へぇ…………って、凄い似てるね帆乃香ちゃん」

「アハハー、まぁ色々『訳アリ』なんやけど」

「こっちはえっと、月詠さんだったっけ?」

「せやで? ウチらのお師匠さんみたいなもんやなー。勇魚は完全に頭が上がらんわ。昔は一緒に色々いたずらして、おしりペンペンめっちゃされたなー」

「お姉様、何言ってるんや!?」

 

 思わず口調が崩れる勇魚はともかくとして、チラチラと我々の「お母さん」の写真と帆乃香の顔を見比べて、顔を少し赤くしてる三太は…………、まぁこのあたりは思春期といったところか。ボソっと「超美人じゃねぇか……」とか言ってたのは聞かなかったことにしてあげよう。小夜子相手に暴露することもない、私は出来たルームメイトなのだ。

  

「……って、じゃあこの間の人は知らねーの? なんか、クマすげーけど」

 

 だがそんな私の友情からの発露めいたチャートを当の本人が足蹴にしてきた。私が絶対につっこむまいと思っていた、見知らぬ女性。だがこの二人と共に映っているという時点で充分に何かしらの関係者であるだろうし、なにより正直言って彼女の姿だけには何か「嫌な予感」を感じているのだ。

 当然のように「えっとな?」と応じる帆乃香に、それ以上は是非とも言ってくれるな、と思いはするが。それをこの場で続けるのはそれはそれで問題でもあるので(何故妨害するのか、知り合いなのかとか別種の問題が発生する)、躊躇した私だったが。

 

「あー、なんやったっけ? その人は『お兄さまの主治医』だった人や。ウチらの『近衛本家』の人で、近衛悠香(はるか)はん。めっちゃケーキ作るの上手やったらしいえ? …………って言っても、確かもう故人やったっけ? 勇魚」

「ですね」

 

 えっ、と。九郎丸と三太の視線が私に突き刺さり。しかしそれに私は何も返せず――――。

 

 

 

 ――――エヴァンジェリンさん……、どうかこの子を――――

 ――――誰が何と言おうと、この子は私たちの息子だから――――

 

 

 

 どこからか脳裏に「存在しないはずの記憶」のようなものが。死にかけた状態の私を見下ろす雪姫の姿と、その私を抱きしめ庇う「男女二人」の感触と、声を、鮮明に感じた。

 

 ……あっ(察し)、やっぱりガバかな?(結論)

 

 

 

 

 




アンケの予定は今の所以下のイメージです。(締日予定:9月上旬)
 雪姫:ネギぼーずとネオパクしてトラウマを刻まれる話
 九郎丸:熊本時代、お風呂が停電した時初好感度ガバの話
 夏凜:カリンと「あの方†」との過去話
 キリヱ:刀太のお嫁さん選手権!の話
 カトラス:幼少期、野乃香に色々教わった話

キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります

  • 雪姫
  • 九郎丸
  • 夏凜
  • キリヱ
  • カトラス
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