光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ!
やっと時系列的には旧麻帆良に来て3日目に入るようなそうでもないような・・・(震え声)


ST78.死を祓え!:取り囲む因果たち

ST78.Memento Mori:Surrounding KARMA

 

 

 

 

 

 夏凜が参戦した後の午後については意外と何かやらかされることもなく、つつがなく一日が終了した。途中よく九郎丸とヒソヒソ話はよくしていたのだが、何やら慌てふためかせていたところからしておおよそ私にとってあまり良くない展開であることに違いはないだろう。

 それはともかくとして、寮への帰宅後にキリヱへ電話をかけると「随分お楽しみだったみたいじゃない……」と不機嫌そうな返答が返ってきた。ちなみに晩御飯は三太が挑戦する流れだったので、九郎丸は自主鍛錬、私は屋上で電話と相成っている。既に夏至は過ぎているので夕暮れは暗く、これはこれでL○FE(オサレ)味がある。脳内で適当にBGMを流していると「何か言いなさいよ!」とお怒りの言葉があった。

 

「お楽しみって言ったってまぁアレだからなぁ…………、あんまり気は休まってないっていうか」

『それでも私が! 今日一日どんな気分で居たかなんてわかるわけないでしょ! 接点もともとゼロだったからあえて顔合わせする必要ないとかいって、私だけのけ者にして! 夏凜ちゃんだって途中参戦してるっていうのに!』

「いや、元々九郎丸と三太とだけ回るイメージでいたからホラ……。それにキリヱだってアレだろ? 学校通うの自体たぶん今回の周回が相当久々とかなんじゃね? たまにはそーゆー日常的なのに埋没するってのも悪くはないんじゃねーかと思って」

『………………だっ、だーかーらー! そーゆーところなのよアンタは!』

「な、何が?」

『何でもないわよっ! …………でも、そーゆーアンタだから今でも引きずってるってのはあるけど』

「思わせぶりなコメントしながら何一つ詳細開示しないの止めろ」

 

 そういうのは夏凜だけで間に合っている。もっともあっちはその内容の開示と同時に「嫌な」予感がプンプンするので触らぬが吉である。もっともキリヱもキリヱでそう言われて「ハイそーですか」と色々と話す訳でもないのだが。

 

『お、思わせぶりって何よ! ってそんなことはどーでもいいの! 明日の予定どうするかって話するつもりだったんでしょ?』

「まぁそうなんだが……、いや、まっ良いか。って言っても今日の話をまとめると、確実に言えるのは『佐々木三太に』『サヨコさんの裏の顔』的なのを見せないことが最低条件って話だ」

『そもそも存在自体が裏の顔みたいなものだけどっ』

 

 なおかつその上で、私としては「水無瀬小夜子が正気を保っていられるタイムリミット」がいつまでか、という話もある。場合によっては再び酷いことになりかねないので、キリヱには「昨日」に保存されてるセーブポイントの更新はしないでもらうことにした。

 

『それは良いんだけど、アンタどーするの? 結局、サヨコさんを見つけないといけないって話だけど、昨日撮った写真のアレの場所を探すってところ?』

「まぁそーなんだけど…………。写真の現物があれば、場所を聞いて回るのもいけたろうけどなぁ。中々上手くいかねぇわ」

『そこは作成者に文句言いなさいよっ! アンタ仲良いんでしょ?』

「いや、ほぼほぼ初対面に毛が生えてる程度のはずなんだけどなぁ……」

 

 超鈴音に関しての話は……、夏凜以上にガバの底が見えないので正直話題にすら出したくない(恐怖)ので完全に棚に上げるとして。

 そうなってくると、私がとれる手段は色々と限られてくる。

 

「…………この際、例の『トイレのサヨコさん』を試してみる話かなっていう」

『それって、えっと、必殺○事人みたいな例えしてたやつよね? でも姿とかは普通に現したりはしないんじゃ――――』

「――――だから標的を俺にする」

 

 息の詰まる音。キリヱが「うっ」とも「えっ?」ともつかないうめき声を上げた。まあ作戦と言う程ではないが、ホラー映画の幽霊的存在とは言え当人の前にでず遠隔で呪殺するとか、そういうパターンは少ないからこそのイメージで、自分を標的にすれば目の前に現れるのではないかと言う発想なのだ。そこから先は……、魔法的な力ならば血風を使えばなんとか回避できるのではと言う安直な発想もあったりなかったりする。

 とはいえ心配させないように、とりあえずは笑った。

 

「まー、とはいってもこういうのって色々ルールとかいうか『制約』みたいなのがこーゆー儀式めいたのって、厳密にはありそうだし。帆乃香たちの方が詳しいだろうから、あっちに聞いたりしてまずは要調査ってところだな。自分で自分を選択できないのなら、誰かにやってもらうって話になるかもしれねーし」

『まず当然のように自分を対象とするって発想を出すの止めてよ、アンタ。洒落になってないから……』

「いやでも、一応不死身だし」

『不死身って言ったって無敵じゃないでしょ?』

「とはいえわざわざウィルスとか使ってくる話でもないだろうって予想は、ないわけじゃねーんだけど……」

『とにかく、それはダメっていうか。まずアンタの妹たち含めて色々調べてからにしましょう。それだったら明日放課後は、私も一緒に回るから』

 

 有無を言わせず通話アプリを切るキリヱ。あちらもあちらで、私の「痛いのは嫌だ」というのに気を遣ってくれているのかもしれない。とはいえこちらも、それを投げ捨ててキリヱに無駄な周回をさせまいという意思やら意図やらもあるので、そのバランス感覚は何とも言えないところだ。

 さて、そうなると…………。色々と考えなくてはいけないが、まずサヨコさんこと水無瀬小夜子の呼び出し場所、例の七不思議に数えられるその場所がどこなのかということを考えなければいけないわけだが。

 

「このあたりは春日美空に聞くのが一番手っ取り早いのだろうか。少なくとも噂のもとになった校舎がどのあたりに存在するかくらいは判ると思うのだが……、ん?」

 

 そんなことをつらつら考え始めたタイミングで、ちょうど携帯端末が震える。半透明のパネルをタップして確認すれば、相手は雪姫だった。

 

「ガバの匂いしかしないのだが……、しないのだが…………」

 

 原作から推察するにこんなタイミングで電話がかかってくることはなかったはずなので、もはや間違い様もなく何かしらのガバ波及そのものなのだが、とりあえず通話ボタンを押すと、何故か慌てたような声が聞こえた。

 

『お、おぉ!? と、刀太か、思ったより出るのが早かったな……』

「今さっきまで電話してたんで。で、何だよ。……っていうか今、どこにいるんだ? なんか後ろで銃撃音みたいなのがめっちゃしてるけど」

『あー、古い友達とちょっと、な?』

 

 ひょっとしなくとも龍宮隊長こと学園長代理のことだろうか。「ネギま!」において銃使いであり、雪姫ことエヴァンジェリンが「古い友達」とあえて形容する相手など、そう多くはないだろう。

 というよりも、それだけ銃をぶっぱなして問題がない場所……、ひょっとして日本国外かどこかに行ってるのだろうか。原作「UQホルダー」においてはどうだったかは定かではないが、意外とこちらの雪姫は色々忙しそうにしているので、何か知らない間に別な仕事を受けて動いているとか言われても不思議はない気がする。

 もっとも追及されるのを嫌がってなのか、前置きなしに話題を戻す雪姫であるが……。

 

『……いや、用件自体は大した話ではないんだが。

 さっきお前の「生みの親」から「なんや、ちゃんとお兄ちゃんできる感じに育ってるやん! さっすがお爺様のお師匠さんやな~、エヴァちゃん!」と世間話のような電話がかかってきてな。一瞬だけチラっと邂逅したみたいなことを言ってたから、どうなったかと思って確認がてら、だ』

「確認がてら…………、変にダメージを受けたりしてないか的なやつってことか?」

『まぁ、そんなところだ』

 

 どうやら近衛野乃香から電話がいったらしい。別に雪姫相手にそういった出生の秘密などを強引に問い詰めたりしていなかったが、いずれ話すと言った手前、色々と私の心境を想像して心配したのだろう。別に「雪姫の前では」そういった自分自身の存在について色々と疑念を抱いたり錯乱したりといったことはなかったはずなのだが、伊達に私のカアちゃんをやっていない。もっとも直近でダメージを受けたのはもっと別な事なので、このあたりは一発で気付いてくる夏凜がやはり頭おかしいんじゃないだろうか(偏見)。

 というかあの時、若い頃の月詠のような少女とともにいた彼女がやはり近衛野乃香だったか…………、帆乃香の写真でほぼ確信は抱いていたが、完全に近衛木乃香(このちゃん)の生き写しそのものというかだったので、やっぱりクローン技術か何か用いてたりするのだろうか。業が深い(絶句)。

 

「えっと…………、いや、別に大したことはねぇって。不死身衆(ナンバーズ)になる前とかも色々あってまー、生まれについて何かあるってのは察してたし。そこからまー、色々知ってさ。……でも別に、それでカアちゃんの何かがかわるって訳でもねーだろ? 大体、えっと……、の、野乃香『お母さん』と会ったっていっても、本当に一瞬ちらっと顔合わせした程度ですぐ終わったし。挨拶だってロクにしてねーよ」

『それはそれでどうなんだお前……。

 いや、別にあの「のーたりん」についてどうこうという事ではないが、一般的な話としてだなぁ。

 カアちゃん、お前がそんなテキトーな風に筋を通す男だとは思ってな――――』

「いや、だってこうさぁ、そもそも帆乃香たちに拉致られたみてーなもんだし……、時間もクソもあったもんじゃねぇって、今度会う機会があったら、ちゃんとするしッ!」

『帆乃香?

 ……、嗚呼「69番」たちか』

 

 ちょっと待て、ポロっと零すにしても色々と状況が悪すぎるぞこのカアちゃん!? 絶対それ今、私が聞いたらまずい情報だろアンタそれ! 既にもうキリヱからして今回は原作乖離度的な意味で酷いことになってるんだから、少しはこの出来た息子相手に気を遣えやババァ!(命知らず)

 69? と問い返すと慌てたように「い、いや、何でもないが」と取り繕いきれない返事をする雪姫。……これってどう考えてもカトラスなどと同様のナンバリング――――「ネギ・スプリングフィールド複製計画」めいたアレのラベリングの数なのでは? つまり……、どういうことだ? とりあえず何だよとだけ問い返すも、しどろもどろする雪姫である。

 

『いや、本当に何でもないからそれは……、ってお前、私のことは「カアちゃん」で野乃香のことは「お母さん」なんだな。ふーん…………』

「な、何ッスかね?」

『いや、まー、見た目だけは綺麗だからなぁ、あのアホは。

 母親じゃなければ割と好きだからなぁお前、あーゆーの』

「いや別にそんなことは――――」

『だってお前、髪が長くて胸が大きくて背がそこそこ高くて美人で、あとふんわり包み込んでくれるみたいな優しい感じが良いんだろう? 好みのタイプ』

「――――――――」

 

 ――――――――。

 

 ハッ!? 一瞬頭が真っ白になっていた。

 

「い、いや、あ、あのッスね、ここ、こ、好みのタイプとか、えっと、なんで――――」

『熊本の頃、私が「中学時代」の写真を整理してた時に、お前が釘付けになってた女がそんなタイプだったからな。黒髪だし、水着姿だからスタイルの良さは浮彫りだったしなー? んんー?』

「オゥマイガッシュッ!!?」

 

 思わず地団太を踏んでしまった。いや、確かに熊本時代に部屋の片づけをしてた時、雪姫が棚を崩した際に出て来た写真アルバムを「懐かしいなぁ」とか言って色々いじってはいたが。その中でおそらく某朝倉女史が撮影したと思われる、佐々木まき絵とかといっしょにアイスクリームを食べるスクール水着姿の大河内アキラの姿についつい目が吸い寄せられてしまう時はあったが……。

 

『これでもお前のカアちゃんだからな。それくらいは見てればわかるさ……っと、ちょっと待ってろ?

 リク・ラク・ラ・ラック・ライラック――――オムニア・イン・(閉じよ!)マグニフィケ・カルケレ(全てのものを)グラキエーイ・インクルーディテ(妙なる氷河の牢の内に)――――! 』

 

 おぉ完全詠唱である。何の魔法だがは忘れたが、聞く限り氷雪系の技ではあるはずだ。しかし彼女もまた魔法アプリの恩恵にあずかっているため、こういった詠唱はほとんど原作で使われなかったはずである。一体何が……、別に少年漫画的文法(OSRポイントバトル)に宗旨替えしたわけでもあるまいに。

 というか電話の先で雪姫の「“こおるせかい”でも片付かないかッ」とか「基礎値だけなら刀太以上だな」とか、あと隊長の「魔族の血と『アレ』では親和性が高すぎるな」とか「さすが我が娘」とか流石にそろそろ聞き捨てられないレベルの台詞がポンポン出てきているのは、さっきからホントどうにかしろ。(戒め)

 

「あー、ひょっとして今、忙しい?」

『んんっ! ま、まぁな。…………、とはいえこっちの都合だから、お前を置いて優先しない程の話じゃないよ』

「いや聞く限り俺と話すより優先するべきじゃねぇのっ!? ちょっと、そっちで銃撃ってる人、大変そうなやつだって絶対!」

『何、このくらいの修羅場は問題がないやつだ……、金さえ払えば』

「俺ぁカアちゃんが、そんな核戦争後の世紀末住人みてぇなこと言うなんて悲しいぜょ……」

『そもそも今現在ですら、マフィアの大ボスみたいなものだがな。

 おまけにアマノミハシラ周辺のスラム含めて、ヤクザ者共と抗争にあけくれた時代とかもあったし――――あー、で何だっけ? 夏凜をポニーテールにしてビキニを着せるって話だっけ』

「全然違ぇよ!」

『ほう? じゃあ九郎丸の胸を――――』

「その話から少し離れろやこの馬鹿カアちゃん! カアちゃんのお馬鹿!」

『オイオイ、親に向かって馬鹿はないだろ馬鹿は。というかお前の方がよっぽど馬鹿だ――――(リク・ラク・ラ・ラック・ライラック――――!)、っと、よっぽど馬鹿だろ。ボディソープとシャンプーを間違えて頭からかぶるし、部屋の壁が薄いって言うのに映画の主題歌を全力で熱唱したりして後で私が聞いてるのに気付いて恥ずかしがったり、紅茶のお上品な淹れ方としてポットを上げる奴をやろうとして失敗して中身全部零すし――――』

「過去のことを思っちゃダメだよ(震え声)。

 っていうか、あー、まぁ大丈夫だからこっちは。あんま無理しねーようにな?」

『そうか。……まあ、何かあったら電話してこい? 大体はこっちで受け持ってやれるから』

 

 というか通話アプリ片手に魔法詠唱を連発し始めてる雰囲気があって、なんでそんなタイミングで電話をかけてきたのだと思わなくもないのだが……、ともあれそんな風に切れた電話で、ふと思い出す。

 

「そーいえば、『研究所の』方の両親の写真の話はしなかったが……、いや、しなくて正解か?」

 

 少年漫画的文法(OSRポイントバトル)的フラグ管理でいうと間違いなく死亡フラグ的なそれだったかとか思い、これはこれでガバ回避につながったかと自問自答して納得した。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 そして翌日のこと。

 

「――――ダイゴくんが最近元気がないのは、貴方のせいですね! 私と勝負しなさいッ!」

 

「――――――――」

「お姉さん、どなたなん?」「私も知りません……」

 

 放課後、帆乃香たちと少し話をしながらの移動途中。人の行き来が「突然消えた」かと思うと、ちょっと独特な形状をしたツーサイドアップな髪をした赤毛の少女が、パクティオーカードを構えて私に吠えた。

 …………えっと、容姿からして「ネギま!」でおなじみ佐倉愛衣の親族さんですね分かります(そっくり)。

 

 

 

 

 




アンケの予定は今の所以下のイメージです。(締日予定:9月上旬)
 雪姫:ネギぼーずとネオパクしてトラウマを刻まれる話
 九郎丸:熊本時代、お風呂が停電した時初好感度ガバの話
 夏凜:カリンと「あの方†」との過去話
 キリヱ:刀太のお嫁さん選手権!の話
 カトラス:幼少期、野乃香に色々教わった話

キャラクターごとの番外編?に関するアンケートです。投票数が多いキャラのものを作成していく予定です(人気投票ではないやつ)。ジャンルはギャグもシリアスも両方あります

  • 雪姫
  • 九郎丸
  • 夏凜
  • キリヱ
  • カトラス
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