ギリギリ深夜前・・・! 体調と格闘しながらなんとか更新なんですが、ちょっと推敲甘いかもなので後で手が入るかもです汗
ST88.Memento Mori:My Sweet Blues
あーあ、失敗しちゃったなって。なんか凄く普通に話せそうだから、思いっきり考えてることを言っちゃったんだけど、どうやらそれは彼個人としては聞き入れられないみたいだった。彼個人って言うより、三太君的には、って話なんだけれど。
近衛刀太……、UQホルダーの吸血鬼? 魔人? よくわからないけど、比較的新人らしい。単純な強さで言ったら「生前」の私が百人いても敵わなさそう。
そんな彼が、私に三太君へメッセージを言ってくれって。メッセージというよりは、経緯の説明っていうか。私的に三太君はだいぶ心を開き始めているように見えるけど、それでも彼に言わせると違うらしい。
「好きな女の子の進退がかかっている状況で、第三者からの言葉なんて耳に普通は入らねぇって。特に思春期だし」
す、好きな……、三太君が私のことを好きかどうかはともかくとして……、表面上はともかく、心の奥底、「封じた」記憶の果てではきっと怖がってるか嫌ってるから、それは一旦考えないようにしてっ。
近衛刀太に言われた通り、世界樹の上に浮かびながら、そんなことを言って――――そして、いらないことまで色々と言ってしまった。
……最後に、その、たきつけられてたせいじゃないけど、大好きって。
きっと、私が正気をもって伝えられる最後の言葉になっちゃうかもしれないから。
『――――ふみゅー!』
「あ痛っ」
そしたら、近衛刀太に「雷子ちゃん」を投げつけられた。何で? 私、ちゃんとオーダー通り色々話したよ!?
「最後の一言が余計だわッ! あの経緯説明でンな風に思わせぶりな事言ったら、ハラ決まった三太も後に引けなくなるだろッ! いい加減にしろッ!」
「な、何か問題なの? でも、流石に撮影し直しは無理っていうか、そろそろ『分身体』の維持が難しくなってきて――――」
「猶更悪いわッ! このお
「な、何か知らない罵倒されてるー ……?」
何なんだろうあのテンション……。凄い命の危険でも感じてるみたいな表情でそう言ってくるのに、私も罵倒されてるからって文句を返す気が起きなかったのはちょっとびっくりだったけど。その後一人でぶつぶつと言って「まぁやりようはあるか」ってすごい力のない声で言ってた。
「……言っとくが、すぐにお前さんをどうこうするつもりは無いぞ? 俺の手でこの場で倒せるとも思ってないし。っていうか分身体倒したところで意味ねーだろ? どっかに本体いるんだし」
「それはそうなんだけど……、でもそうじゃなくって、ちゃんと私を――――」
「他に解決手段があるかもって言っても、それを今更探す気にはならないだろ、お前さん」
「…………」
だって――――そんなもの、あるはずはない。あるんだったら、とっくに私は「こんな」になっていないし、三太君にだって「見放されはしなかった」。
そもそも、先生にだって裏切られてるんだ。私は。…………当初、腹案として計画していた、生物テロ用のウィルス。耐性のある相手にも適応できるタイプと精神干渉タイプの類似術式も先生と作ったけど、どちらも根底は私の内にあった「もういい加減にして欲しい」という感情からだ。
どれだけ私たちみたいな人間が頑張っても、報われず、そして「私に集まってくる」。こんな世界間違ってると、言ったところで何も変わらない――――変えられない、幽霊だから。
たとえ「何人殺しても」、「何人殺されても」、そのくらいじゃ世界は変わらない。
いっそのこと、皆、死んじゃうようなことでもない限りは。
それを裏切ったから、先生は私に、関東の地に眠る大きな力を植え付けて――――。
「ま、納得は出来ねーだろ。もしそれを納得させられる相手がいるとしたら、それは俺じゃない」
「…………三太君のこと?」
「わかってんじゃん。知ってるか? ――――」
――――恐怖を退け歩み続けることを、人は勇気と言うらしい。
「アイツはたぶん、お前さんの為なら『勇気を出せる』。間違いなく、お前さんを助けるためだけに」
「――――――――」
「まぁ一人じゃ無理でも、その時は俺だって協力する。俺っていうか、俺達っていうか、なんだかんだでそういう流れになるだろーし」
「――――そんなことしたら、三太君が危ない目に遭うじゃないッ! 私が正気じゃなくなったら、きっと、絶対、三太君相手にだって酷いこといっぱい言っちゃうし、いっぱいしちゃうッ」
「それでも引かねーだろ。付き合いは短いけど、短いからこそわかることもある。特にあーゆーのはドツボに嵌ったら中々……」
「……そんなこと言ったって、でも、それって別に、私じゃなくっても良かったんじゃないかなーって。そう思う」
「それでも『その時に』『手を差し伸べたのは』お前さんなんだから。だから、間違いなくそれはお前さんじゃなきゃいけなかったんだって、俺思うぞ?」
だから見ていてやれって。そんなことを言って笑う彼に、私は顔を向けることが出来なかった。少なくとも俺をボコボコにできるくらいには強いのだから、きっと、
私は……、本体に戻った私は、目を逸らした。彼に突き付けられたことを、認めたくない? 違う。それは、私だって出来るならもっと別な方法で、三太君と一緒にずっといられるのがいい。でも、それだって所詮は「消えていく者たち」の戯言でしかないんだ。
本当はわかってる。私なんかがいつまでも、こんな場所に居ちゃいけない――――三太君を惑わせちゃいけない。
同じ死者でも、私と三太君は違う。きっと、「逝った」としても違う場所にたどり着くことになると思う。それくらい、「こうなってしまった」私は酷いことをしてきた。
ただ、きっかけは間違いなくあった――――最初の殺人。それだけはシステムでも何でもなく、「私自身が」「殺意を抱いて」あの女たちを殺した。
それだけじゃ足りないって、そして、「皆」を受け入れたのも、私だ。受け入れやすい素地が出来ていたからと言っても、それを最終的に良しとしてしまったのは――――私なんだ。
思えばきっと、アレから歯止めが利かなくなっちゃったんだ。だから力が増大して、それでも無理に「私」を維持しようとした結果、「私じゃない」私の部分が外れて、勝手をするようになったんだと思う。なのにそのやったことは全部、全部私に「返ってきて」、全てを知ることが出来てしまう。――――だから、どんなに言いつくろったって、それをやってるのは私だから。
嗚呼、こんな私……、抱いちゃいけないんだ、希望なんて。
だから、その日はちょっと驚いた。
「……う、嘘?」
「まとめて、ドン! だ! オラ!」
三太君――――夜の教室で、遊び半分で行われた「トイレのサヨコさん」に投函された名前の生徒たちを、私の分身たちが「透過能力」を使って天井に埋めようとしていたときに、現れた。
近衛刀太とかと一緒に来て、マジかよとか、三太君、すごい驚いてたけど。私の分身体……、いかにも「それっぽい」、おどろおどろしい表情をしてる私を見て、三太君が表情を歪めて。それでも近衛刀太に肩を叩かれて、気合を入れ直したみたい。
「総勢六人……、まっ、一人一体くらいで――――」
「私、無理だから! ナメんじゃないわよちゅーに!」
「キリヱちゃん抑えて……」
「――――では私が加わりましょう。専用装備も学園長代理から買い取りました」
「買取式なのかそれ……(流石龍宮隊長、お金に煩い)」
近衛刀太、時坂九郎丸、結城夏凜、雨屋一空、三太くんに……? えっと、桜雨キリヱを庇う様に出て来たのは、見覚えがあるような、ないような、緑色っぽい髪をしたアンドロイドさん。
「ハハハ、僕も物理が効かない相手は『あんまり』得意って訳じゃないから、誰か早めに終わったら手伝ってね~?」
「あんまりって、どういうことなのかしら飴屋一空……」
それぞれが武器を持って、こっちに斬りかかってくる。……なんだろう、アンドロイドさんとか三太君はともかくとして、皆武器が剣とか刃っぽいのは、何かそういう決まりがあるのかなー? 結城夏凜なんかは、持ち手のところは十字架っぽくなってるけど刀身はわざわざ日本刀みたいだし。
とりあえずアンドロイドさんには
私の分身も油断してたわけじゃないけど、三太君が一気に分身体六人を窓を破って外に放り出し、他の人たちがそれに続いて攻撃してくる。分身たちも、負けじと応戦するけれど……。ちょっと予想外すぎることがあった。
「――――まず一体」
「ヒッ!?」
結城夏凜の剣一振りで、分身体が一つ文字通り「消された」。他の分身たちも、いっせいに彼女の武器を見てしまうくらいにあっけなく。……何か逸話とかのある、由緒正しい武器とかだったりするのかしら。
「神鳴流奥義・斬魔剣!」
「聖なる銀の弾丸――――まぁレプリカだけどね?」
その隙に時坂九郎丸とかが、こっちに斬りかかってくるし。あっでも三太君は分身体と一緒に視線を刀に送ってたから、そこは少し嬉しかったかなー。
時坂九郎丸にはねられた首が、それでも結城夏凜の方を危険と判断して封殺するため「人の形を捨てる」。髪を伸ばし、彼女を拘束。そのまま精神干渉系の魔法も併せて、周囲からの妨害を「潜在意識から」封じる。
「なっ!」
「アルエル・ファルエル・ベルベット――――
驚いた顔をしてる彼女だけど、誰もそんな彼女を助けない――助けられない。「助ける」という考えを抱けない。そのまま武器の剣を取り上げつつ呪文を唱えて――――。
「――――いや、流石にさせねぇって」
「!?」
言いながら近衛刀太が、その首だけになった私を斬り伏せた。
えっ!? あれ、こんな、なんか普通に攻撃してきてるんだけど……? いくら分身体が私の本意を外れてまで人を殺し続けてるとは言え、あれだって私な訳で。つまりここ八十年近い研鑽がそこにはあるんだけど、それをものともしないで平然と、私の精神妨害を突破してきた。
あれ? ひょっとしてこの人、思ったより強い……? なんかこう、女の子に振り回されて漫才してる印象がほとんどだったんだけど。
「……っていうかめっちゃ早口だったな、呪文詠唱。やっぱ人外になってる分――――」
「――――っはッ!? と、刀太君、すごいよ今の! 僕も完全に『引っ掛かってた』のに」
「言いながらこっち見つつ普通にぶった切ってるの、そっちの方が凄くね?」
八年前は一人だったから、いまいち実感がそこまで強くなかったかもしれないけど。でも流石に人数が揃うと、UQホルダーは厄介だった。……って、まーその、「倒された」私の経験値がフィードバックしてるからそういう敵対思考になっちゃってるんだけどー。でも、逆にそれは三太君の安全がより保障されてるって意味にもつながっている。
そういう意味では、安心……、かしら?
そして飴屋一空に結城夏凜がフォローに入って、近衛刀太が三太君の方に回ってきて。
「…………いや、何やってんだってお前らさぁ……、何か高度なプレイか何か?」
「い、いや、その、そんな気はなかったんだって……」
「……な、ない、からー、本当にっ」
そして、三太君と私の状況に表情が引きつってた。
私と三太君は、それぞれお互いを拘束しようとしていた。……いくら彼に焚きつけられたからって言っても、三太君は三太君で私を傷つけたくない、とかなのかなー。それは分身体とはいえ「まだ」辛うじてそういう意識が残っているのもあるんだろうけど、あっちの私も考えは似通っていて。だからお互い、能力を駆使して色々やった。
三太君は念力で私を床に縫い付けて、どうやったのかわからないけど、そのまま「私の魔力で」その拘束が延々と持続されるようにした(すごーい! 本当、どうやったの三太君!?)。
で私の方はといえば、私の「影」に潜んでる他の怨霊たちを使って、三太君を地面に拘束して……。
つまり近衛刀太が見たのは、お互いがお互いの能力で地面に転がってる私たちっていう。
新手のバカップルじゃねーんだから、とか言いながら、彼は手に持つ黒い刀で三太君を拘束してる手を「斬る」。半実体の三太君を拘束している腕だから、その腕も今の時点では半実体、つまり物理的に干渉できるからこそ、その一撃はしっかり通った。
煙を上げて消えていくそれから逃げるように飛び退く三太君……、えっと、その、そ、そんなにばっちぃものを見るような目を向けなくても良いんじゃないかな? 一応、その、本意じゃないけれども、それだって私の一部な訳なんだし、えっと……。
本体の私のそんな意見なんて無視して、分身体の拘束されていた私は「人の形を捨てた」。頭を中心に人の腕を無数に生やして、まるでクモの脚みたいな姿になってる……。それでも、無理やり地面から起き上がっても胴体自体は拘束されていて、身じろぎ一つとれないらしい。
いや、それにしても、もうちょっとデザイン拘れないかな私の分身体……。もうちょっと可愛い感じにして欲しいなーって。
「で? どーすんだ。俺がやっても良いけど」
「……いや、不覚とっちまったけど、でも、オレがやる」
オレがやんなきゃいけねーんだって。三太君は立ち上がって…………それと同時に、三太君の周囲に「私の影から」溢れた人たちの「残骸が」現れる。
その怨霊、大量の髑髏たちが未だ戦っている他の人たちも飲み込む勢いで溢れる――――どうやら分身体の私、三太君と話をして味方に引き込めないかってやるみたい。
分身体の私は言う。そんな表面ばっかりわかった気になってる連中に、好きなように言われて私を殺すのかと。三太君は、そんな相手が憎くて、悔しくて、自分の本当のことを見てくれずに自分を捨てた、社会を、人間を、壊してやりたいんじゃないのかって。
……これもまた、確かに私の本心の一部ではあるんだけど。でも、このタイミングでそういうことを言うのは……。
三太君は、そんな私の分身のささやきに、目を閉じて「そうかもな」って言った。
「確かに、仕返ししてやりたいってのは思ってるよ。何も知らないで平和ボケして、俺に無関係だからこそ『俺達』みたいなのに手を差し伸べなかった全部に」
「なら、うん! 任せてね? 私は――――」
「――――でも、だから、オレはお前に会えたんだ」
お前が、俺に手を差し伸べてくれたんだって。
なんかこう、三太君が今までに見たこともないような、強く食いしばるような表情で言って。
あー、あー……、これは、分身体の私でも、ちょっとイチコロじゃないかなー。
流石にビデオをとったから事情はあっちも解ってる分、分身体も「狂ったような」演技はしなくなってるけど。
「……ッ! アルエル・ファルエル・ベルベット――――
「――――
闇と死の属性をまとった風の矢を、三太君は「念力」で作った円形の壁みたいなもので、受ける。念力の壁に刺さった矢は、空中で縫い付けられたみたいに動いていない。
「何があったか、詳しくは知らないけどよ。オレだって、お前が『あんなこと』した理由だって、本当に半分も聞いちゃいなかったのに、なのに勝手に怖がって、絶望して……」
「……っ」
それは、違うと。分身体の心も、フィードバックされてる私と同じようなことを考えていて。それでも、私が続けるよりも先に、三太君は拳を構えて――――。
「…………でも、だけど! そうじゃねーだろッ! 小夜子のバッキャロォ……!」
三太君の、ボクシングのできそこないみたいなパンチが、念力の壁にぶつかると同時に「膨れ上がった」みたいに広がって――――。
「――もっと頼ってくれたって、良かったじゃねーか。オレ達、ずっと友達だったろ?」
「さん、た、くん――――」
私の周りから蹴散らされた「皆」が。三太君の強い意志だけで消し飛ばされた「皆」が。まるで私を裏切り者とでも言うように、大きな悲鳴を上げながら消えて行って。
分身体の私、倒れる私を支えながら、三太君は泣きながら、笑う。
「そりゃ、オレだって少しくらいしか魔法使えねーような、ヘナチョコな中学生だったけどさ……? それでも、何か手はあったかもしれねーじゃんか」
私の分身体は――――分身体を通した「私の心」は、もう、止められなかった。
「違うの……、全部、最初から私が悪かったから……、三太君を追い詰めちゃったのだって、私の自業自得だったから…………、だから、三太君には『私の事で』そんな顔、して欲しくないの…………」
「何言ってんだよ、お前……ッ」
「……だけどね?」
三太君の手を握り返して、「私の心」は、出来る限り笑った。
「――――それでも、本当に三太君が助けてくれるって、言うのなら………………、私、待ってるから……」
どこまで持つかわからないけど、それでも。
既に私の内の衝動は、私の心の「黒い部分」を抑えきれないくらい限界に来てるけど――――。それでもせめて、「先生」が仕掛けたコレだけでも動かさないようにと。
精一杯笑ってその場から消えた私の分身体。その最期に見た、三太君のカッコイイ顔に。少しだけ胸がドキドキして。
……久しく感じていなかった、不思議と、心のどこかがぽわぽわ温まるような、真っすぐな気持ちを、私は胸にしまった。
【緊急アンケ】雷獣(子)くんを今後どういうキャラでラーニングさせるか
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シワシワおっさん(CV子さん安イメージ)
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ヘッヘッヘな三下(CV金朋さんイメージ)