ガバが巨大な足音を鳴らしながら接近してきている・・・!
ST91.Memento Mori:Their Anger I Don't Know
成程……、確かに「ネギま!」での描写を思い返せば、そういうことも可能かもしれない。少なくとも「個人の強化」であるならば、不可能ではないだろう。ましてやそれが――――。
超鈴音から渡された魔法アプリのそれを仕舞いつつ、黒棒を背負う。そろそろ交代時間だ、次の休憩は三太と夏凜だったか。なおキリヱは一応調査組の方に入っているのだが、連絡が来ていないので今の所は交代を優先する。
と、「ネギま!」で見慣れたアマノミハシラ駅手前(なお地名は麻帆良駅前のままだったりする)あたり、人がいないタイミングで黒棒がつぶやいた。
『何と言うか、予定調和すぎて嫌な予感がするな』
「お? 珍しいなこんな人多い場所で話すのって。……予定調和すぎる?」
『嗚呼。お前の今までの動向を考えると、こんなすんなりと色々な出来事が進行しているというのが既に一つの大きな問題な気がする。そもそも君の場合は、予定を立ててもわずかな抜けから致命的な事態に遭遇して「ままならぬ……」となるのが一連の流れだろう』
「なんでもかんでもそう、人の人生を一つのテンプレに落とし込むの止めろ」
マジな話であるが、もしそんなテンプレに私の人生を落とし込まれてしまったら、ほぼほぼ「痛いのは嫌だ」という前提で色々な人生設計を組んでいるこの色々がもはやにっちもさっちもどうにもならない。ブルドッグである(古い)。そんな私にくつくつ笑う黒棒と、『ふみゅー』と特に何も考えてなさそうにパーカーのポケットで寝息を立てている雷獣だ。
『失礼。だが、お前がいささか「
「……? あ、ひょっとして知り合いなのかお前」
そういえば黒棒について、だいぶ前(といってもスラムのちょっと前くらい)に雪姫が言っていたか。もともとタカミチ・T・高畑が使用していた武器だったとか何とか。
『最初はあの忌々しい我が創造者が「小太郎君が最近良い所なしですので、夏美さんから頼まれました♪」とか言ってノリノリで作ったのだがな。肝心の犬上小太郎が「大きなお世話やッ!」と猛烈に拒否した結果、タカミチ預かりとなったのだ。
まぁそれとて2060年代ごろまでで、それ以降は「代理人」管理の扱いになったのだが』
「代理人ってーと……」
『む? 嗚呼、あまり話す意味はないことだ。もう終わったことだし、私にとってまた忌々しい記憶の一つでしかない。
重要なのはその間、ネギ・スプリングフィールド協力者であるタカミチ・T・高畑とクルト・G・葉加瀬とがほぼ壊滅状態の連中を、更に締め上げ続けた結果、現役引退前の時点で相当に恨まれていたということだ』
「……えーっと」
『つまり、私を持っているだけで一つのアレだな、何と言ったか……、死亡フラグという奴だ。割とタカミチは私の事を使いこなしていたからな。おそらく『武装』という時点でも相当恨まれているだろう』
そんな情報を知りたくなかったのだが(白目)。いや、それ以上に確かに両者にデュナミスは縁があるのは間違いないのだが、そっか「ネギま!」以降もっと酷い目に遭っていたのかそうか……(遠い目)。
まぁ大半の余剰戦力になりえた相手はエヴァちゃんが氷漬けにして未だに封印されているだろうし、そういう意味では一人つつましく使い物になる味方をつのって徹底抗戦を続けていたと考えると、悪の組織の悲哀的な話なのだろう。それこそ「ネギま!」時代ですらギリギリだったそこからフェイトが抜けたのだから、苦労は推して知るべしか。
そんなことを考えていると、電話がかかって来る。相手は釘宮大伍。一応、今朝のうちに連絡は入れていたので協力自体はしてくれそうなところだが、はて?
「おーっす。くぎみー、どした?」
『何だい? その妙に軽いノリは。あと呼び方を改めてくれ。くぎみーだとクラスメイトの女子から呼ばれてるみたいで薄ら寒い……』
「悪ぃ悪ぃ。で? どうしたんだよ、まだ授業中だろ? 一応こっちで『目的の場所』をつきとめたら、一緒にきてくれるって話だったと思うんだが」
『…………別にそこには異論はないんだけど、いや、なかったんだけれども。まあ端的に言って緊急事態だ』
「ん?」
展開されたホログラフィックの釘宮大伍が少し横にずれると、教室の映像が出てきているのだが……。「何これ何これー!」「きゃー!」「ヤバ! 何、可愛くないっ!?」などと多数の生徒の声が溢れている。そして画面を飛び交うは、雷獣程度のサイズの小型妖魔と思われる連中だ――――。
「……オイオイ、えっ? いや、魔力溜まりって学内、今日はどこにもないってはずだろ? 唐突に涌くにしても――――」
『残念ながら、どうやら「学内全体に」涌いて出てきているらしい。市街地方面はまだ数は少ないが、時間の問題だろう。
…………とは言え敵が小型だけならまだ問題はあまりないかもしれないが。問題は中型、大型が出て来た場合だ。正直この規模で大量に出てきているとなると、最悪「世界樹から」あふれ出ている可能性も検討する必要がある』
「世界樹からってお前……」
そもそも魔力スポットというか、世界樹自体が魔力を取り込むからむしろ問題はないという話だったのではなかっただろうか。いや、そうではないのだろうか。見れば小型妖魔たちは、積極的に某グレムリ〇映画よろしく可愛らしい見た目のものも可愛くない見た目のものも等しく狂暴化し、生徒を微妙に襲っている。殺しはしていないようだが、クラスメイト数人が群がられて気絶させられているように見え――――。
『超必殺・漫画弾!――――って、食われたァ!』
「ご、豪徳寺さんだっけ、ピンチじゃね?」
拳から放った「どーん!」という書き文字のごとき巨大な気弾を、サメをデフォルメしたみたいな小型妖魔が口を身体よりもはるかに巨大に開き呑み込んだ。げぷ、とげっぷをしている様は可愛らしいが、いや、しかし流石に鮫の妖魔というべきか。鮫とナチは大体の米製B級映画のラスボスとモンスターを解決する(偏見)。それをベースとした妖怪的な存在なら、まぁこういった謎の挙動をしていても不思議はないか(そもそも空中泳いでるし)。
『まずい。気弾を無効化されるとなると、打つ手がないね』
「いや、魔法アプリとか使えねぇの? たぶん家系的にはアレだろ? 魔法使いの系列。魔法生徒の集いに混じってるんだし――――」
『彼女は「呪文詠唱」が出来ない体質と聞いたから、魔法アプリは使えないはずだ』
「そのあたりの部分って正直全然詳しくねーからうんともスンとも言えねぇって言うか……」
魔法アプリ関係については、正直この体が近衛刀太である以上手出しするつもりがなかったのが大きい。なのでその事情が一体どういう話になってくるのかがさっぱり不明なのだが、とりあえずピンチということは判った。
釘宮が「
『ともかく、こういう事情だ。済まないが連絡を受けても、いくらか遅れるのは理解してくれ』
むしろ『無理だ!』って言わねーところに人の好さが透けてるようで、個人的にはちょっと嬉しい物が有った。了解、大丈夫と伝えて通話を切り、学園の方へと走り出し――――。
「――――ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト」
「ッ!?」
咄嗟に聞こえた汎用人型決戦兵器にでも乗ってそうな声で「聞き覚えのある」始動キーを耳にし、私は黒棒を振りかぶって「黒く」球状のドームに血風を放出した。竹刀袋が破れ、ばたばたと布がはためく。
そんな私の周囲を圧殺するように、大量の水が周囲を覆い圧迫してくる。素直に潰されてやる必要もなく、黒棒に血風を纏わせ回転させながらドームごと斬り払った――――。血風創天、一撃でその水の「腕のようなもの」が融解すると同時に、ドームに使用していた血を全て血装して「
周囲には唐突に水蒸気爆発でも起こったように見えたことだろう、悲鳴が上がり、人が逃げ惑う。
まだ妖魔たちはここまで来ていない。それはそれで一つの安心材料なのだろうが、もっとも私に攻撃を加えて来た「誰か」の方が、私としては気になっていた。
「…………アンタは?」
「…………面白い。血をウォーターカッターみたいにして打ち出している、というところか」
血風の破片、水の巨腕を散らした際に飛び散ったろう私の血を指先で「舐め」、何やら感心した風な女性。抜群に良いスタイルを競泳水着……にしては要所要所謎の穴が開いている恰好に身を包み、その上から白衣を纏う。セミロングくらいの髪をポニーテールにまとめているが、ちょっと雑に散っている髪の毛の癖の付き方はどこかで見た覚えがあり、ついでに言うとその顔立ちにも見覚えがある。
どちらかといえばあちらより柔らかく、顎元とかが丸かったりといった違いはあるが、全体の造形はフェイトのそれとそう差はない。
彼女はぶつぶつと、私の血風を見て何やら呟いている。上空に浮かびながら、何やら観察している風だ。
「アマテル技研のプロファイルを確認した範囲では、こういった局所的に吸血鬼のような身体の使い方を想定はしていなかったと思ったけれども、意外とやるものですねテルティウム、否、フェイトも。伊達にあれから二十年も経過していないということか……」
「……あー、あの、一応名乗って貰わないと話が前に進まないっていうか……」
正直名乗らないでもらっても全然構わない心境も無くはないが、何というか相手の名前を知るのは最低限礼儀なので、一応は確認する。
女性はクールな表情のまま、わずかに目を見開いてこちらを見た。
「? あら。これは失礼した、『実験体7号』。スポンサー意向で『そんな身体にされてまで』長生きしている君が、今、私と相対していると思うと、中々不思議な感慨があったものでね。妙な縁と言うべきか……。とはいえ、仕事に変わりはないのだけれど」
すっと、そのまま上空から降り立ちコンクリートの地面に足を付ける。……素足をつける。というか恰好も色々とツッコミどころ満載ではあるが(季節感関係ないし)、それ以上に何故素足のまま……? 個人的には思春期の性質に引っ張られたのもあり、彼女のその白いつま先から臀部までのラインやら、胴体部分の夏凜以上にボリュームのある何某か(表現拒否)とか色々と困るところではあるが。
にこりとも微笑まず、彼女は両手を背中に回す。
「水の使徒・ディーヴァ・アーウェルンクス…………。お見知りおきしなくても良いかな? どうせすぐ、私に『回収』されることになる」
そんな名前名乗られても全然知らないのだが(断言)。
というより「ネギま!」から考えて水属性なことも踏まえても、どう考えたって
説明を色々すっ飛ばすと、あのフェイトと同性能くらいには強い人造魔法使い。原作だと色々と良い場面もなくいきなりネギぼーずに全裸に剥かれたり(事実)して活躍の印象があんまりなかったが、いやどうしてアンタこんな所に居るんだ? ガバか? エヴァちゃん討ち漏らしてたのかひょっとしてあの時? 絶対原作描写的にあり得ないだろうアンタ一体どうしてこんな所にいるんだこんな所にこんな!(錯乱)
カアちゃん……は今どこかで別な仕事をしているんだったか。
※ ※ ※
「――――ハッ?」
「ど、どうしたんだ、えっと、カリン先輩?」
「いえ、今どこかで助けを呼ぶ声が聞こえた気がしましたので」
気のせいでしょうか、とか言いながらソワソワしてるこの無能女を見て、俺は一体どんな感想を持てと言うのか。
だがそんなこと言いながらも目の前の妖魔……、なんていうか、こう、一頭身の何だかデフォルメの出来損ないみたいな奴らがわんさか湧いてきているのを、ばっさばっさと捌いてるのは流石って言うべきなのか?
小夜子が世界樹にいるって話があったから、とりあえず交代制でオレたちは世界樹の手前で待機してることになっていた。小夜子の身に何かあったのならまず真っ先にここで異変を確認できるだろうって推測のもとだ。
……そして厳正なくじ引きの結果、今の時間はトータとクロウマルが休憩になった。
そして取り残されたオレは、このヤベー感じの無能女と二人きり。いや、警備って言うか監視っていうか、そういう話だから別に何かしゃべらなきゃならないって訳じゃねーんだけど、会話が全くないとこの女相手じゃこう、怖い……。
そもそもオレ、「死んだ」っていう自覚を「思い出した」せいか、あのシスターの婆ちゃんをはじめ「そういう」関係者にはあんまり近寄りたくないって感覚がある。いくらスーパー三太様とは言え、弱点属性はある。幽霊だから、こういう「浄化」とか、そんなもんだ。
スーパーマ〇にだってクリプ〇ナイトが刺さるとヤベェみたいな話だし、ヒーローってのはそういうもんだ。
だから一人、そわそわとビビってたら、ユウキカリンの方から話を振ってきた。
「――――それで、水無瀬小夜子とは何処まで行ったのかしら貴方。ちゅーくらいはしたわよね? あれだけ格好良く啖呵を切ってしまうくらいなのだから。年齢的にナニをドウしたとまでは言わないけれど」
「ぎゃふんッ!?」
いきなり爆弾ブッ込まれて、思わず俺はゲロ吐く勢いで咽せた。
のらりくらりと躱したいところだったけど、こう、何というか無表情ながらも半眼で微笑む無能女から漂う「圧」みたいなものに気圧されて、こう、羞恥に震えながら色々とある事ない事を言わされてしまった。…………「どこが良かったの?」「容姿はどのあたりが好みかしら」「ラッキースケベしたのね」とか、こう、なんていうか、トータの奴が微妙に苦手っぽいのもなんとなく判る大攻勢。
人払いの結界を小さく張ってくれていたお陰で、オレ様はかろうじて「恥ずかしくて死ぬ」とかいう間抜け極まりない死因を回避した(死んでるけど)。
そんな話を飽きずに延々と聞いてきて(オレがトータとのことを聞くと、なんだかもっとヤベェ話が出てきそうな気がしたから聞き返せなかった)、時間をなんだかんだ潰すことになったんだが。いや、案外それで数時間テキトーにつぶれるんだから、意外とこの無能女って話上手だったりするのか? 聞き上手の方かもだけど。
そして、お昼より少し前くらいのタイミングで「出た」。
大量の妖魔、それも小型で赤ちゃんみたいな奴らが「うきゃー!」とか「わちゃー!」とか、こう、ちょっと可愛らしい感じの言葉を垂れ流しながら「世界樹の根の幹」から、わんさかわんさか。
最初、波みたいにドッ! っと湧いてきて、俺もユウキカリンもそれに呑み込まれた。
だけどある程度距離を取って、時間が経てばこの通り。
「――――“
刀そのものは折れてるってのに、その持ち手の部分だけ振り回してユウキカリンは小型妖魔をばっさばっさ斬り飛ばしていった。
いや、オレの印象として8年前にオレ(か小夜子)を捕まえに来て思いっきり見当違いなところ調べて無能晒していたのは知ってたんだが、いざ実戦してるのを見るとこう……、なんだろう、変な感想が湧いてくる。
「何をぼうっとしているのです、佐々木三太。あの妖魔の『波』を押しのけて、道を開けるのです。さながら海を割った出エジプト記のように。
……世界樹からだいぶ流されてしまいましたから、早い所向かった方が良いでしょう」
そして、そんなことを言いながら調査班の方に連絡を入れてるみてーだが……。
ドン! と、大きな音が鳴り響いて、オレの身体は「真っ二つ」にされた。
いや、まぁ死んではいねぇんだけど……、敵か?
その場から離れて「霊体化」した身体を「再構成」すると。
「…………『
何かシュッとした感じの宇宙服風な恰好に身を包んで、ヘンな仮面をつけた「白い翼」を生やした女が、周囲に短刀みたいなのを大量に浮遊させ、展開した。
アンケ締め切り予定:10/10
【緊急アンケ】雷獣(子)くんを今後どういうキャラでラーニングさせるか
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シワシワおっさん(CV子さん安イメージ)
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ヘッヘッヘな三下(CV金朋さんイメージ)