おかしい、もうちょっと真面目なシーンで締める予定だったのに・・・
どうしてこうなった・・・
ST92.Memento Mori:Unrecognized Weakness
「舞え、
白髪、白い肌に白い翼をたずさえた白仮面の女性。背格好は十代後半か二十代か。身体的にはしなやか、女性的な線の凹凸は年相応ではあるけれど、手先や首元など見える肌は綺麗なものね。
その恰好は以前、雪姫様の私室で見た写真の中で見覚えのある宇宙服……。雪姫様の関係者かどうかまでは定かではないけれども、そんなものを着用しているこの女性の正体はうかがい知れない。つけている仮面、目元だけ開いている白いそれに認識阻害の類でもかかっているのか、声もいまいち特徴がわからなかった。
とはいえ特に何もしない訳でもなく、私は佐々木三太のパーカーの首元を掴み駆けました。
「の、お、おッ! 首、締まるッ!」
「別に死にはしないのだから、そこだけ透過なりしておきなさい。それくらい出来るのでしょう?」
「無理、無理! お、『オレ』って認識、がある対象、全部! 透過、する!」
「微妙に使い勝手が悪いのですね……」
こちらを追尾してくる十六本の短刀。短いドスといえば良いでしょうか、ヤクザ映画よりも時代劇で見た覚えのある様な形状をしていますが、それぞれがそれぞれに私たちを囲むよう周回している。そこから数
左手の人差し指と中指を立てて、その手を眼前で構えて「印」とし「呪」を操るその操作は、伝統的な東洋魔術の系統。帆乃香ちゃんや勇魚ちゃん、もっと言えば九郎丸よりもしっかりとした経験値を感じさせる。
何より、魔法アプリを使用している気配もなかった。
「さて……、状況的に『水無瀬小夜子』に無関係、と言う訳ではないのでしょうけれども。どうやら目的は私たちの足止めといったところでしょうか。個人的に『背中から白い羽根を生やした』姿というものには色々思う所があるのですが――――」
「――――
ッ!? 九郎丸と同じ流派?
とっさに「信仰の魔力」を全身から放とうとしたものの、帯を描いた刃が私たちを中心に「八方」を円形に覆い――――とっさに佐々木三太を掴んで脱出を図るも、残りの八本により追撃を受けた。
三太、彼は「透過」したせいでその刃を受ける事もなく、勢いよく外に出られはしたものの。私はその追撃で足止めを喰らった。
それと同時に、外界と私の入る場との間に『強固な』光の壁が現れる――――。私を覆う様なそれは、徐々に狭まりやがて私自身を覆う。
「ッ、とはいえこの程度の結界……」
「追・くくり」
魔法アプリを操作して『干からびた骨』の詠唱を飛ばし、全身から神聖魔法の光を放とうとした瞬間。結界を構成する光が帯のように変化し、私の全身を縛り上げた。魔力で中空に引き上げられ、喉にまとわりつき呼吸が……ッ!
「……
しかし……、逃げてしまいましたか。そこの少年。それでは仕方ない。
我が流派は『君の様な』存在には特に致命的なものだから、出来る限り手荒なことはしたくなかったんですが……」
残念そうに言いながら、彼女は周囲に浮いている刃のうち二つを両手にとった。
佐々木三太は長い髪を適当にまとめて、フードの下に入れて被ると。少し腰が引けているけれど、両手をポケットに入れて少し前傾姿勢になった。あれは……、能力的な話で言えば、あれが彼の構えということなのでしょうか。
「ヘッ! こんなシチュエーションで、そんなこと敵に言われたって『ハイソーデスカ』ってなる訳がねーだろっての! 大体、小夜子のところに行こうとする途中でこんな足止めに出て来てンだから、絶対こっちの油断誘おうって奴だろ! オレは詳しいんだぞ、そーゆーアニメとかよくネットで見てるから!(※違法視聴)」
「あ、アニメ……?」
一瞬、仮面越しだけれど彼女の目が丸くなったような感じがしたわね。……あら? 意外と取っつきやすそうな雰囲気が漂った気がしたけれども。こほんと咳ばらいを一つすると、彼女は両手の短刀を構え直し、無言で「瞬動」した。
いえ、瞬動というにしては「入り」も「抜き」も姿が見えない――――。
「――神鳴流・斬魔剣」
「
声が出せず、アドバイスも出来ない私の前で、佐々木三太が「斬られた」。以前、九郎丸と「お話し」した際にその「斬魔剣・弐の太刀」というものを使い、魔法障壁をすり抜けて攻撃をこちらに与えて来たことがありましたが。彼女のそれは、すり抜けるなど関係なく「暴力的な量の気」を注ぎ込み、魔法障壁かそれ以上だろう念力の壁「ごと」斬り払ったらしい。
「あ、ああ……ッ! あああああ!?」
目の前に壁を作った際に出した右腕が、肘から斬り落とされる――――。霊体故にか煙を上げて腕自体は姿を消したものの、佐々木三太は大声を上げて転げまわっていた。
そんな彼の両足を「当たり前のように」飛来する刃が切り裂き、すぐさま身動きを封じる。
「な、なんだ、これ――――ッ」
「……『その身体』になってから、今まで致死量のダメージを受けたことがないのか。先ほどの斬り応え、霊的な『密度』の高さでいえばほぼ生身。見た目相応の経験しかないとするのならば、むしろショックで気絶していないだけ、頑張っている方ですね。
でも、これで終わりです」
「ふざ……、けん、なよッ」
言いながら佐々木三太は念力なのか、衝撃波を放つものの。彼女はそれを、自分の手に持つその短刀を少し動かすだけで避けることすらしていない。と、その背後の建物だったり屋台だったりが爆発したり吹き飛んだりしている。
どうやら「振るう」だけで斬り、往なし、躱しているということね。九郎丸でもここまでは出来ないんじゃないかしら……? いえ、アーマーカード状態だったらわからないけれど。
「ご安心を。『死している』相手に命まではとりません。……今日、
不思議な言い回しをするのね、彼女は。洗脳されてるって訳でもなく、だからといって依頼でしているような風でもなく。強制されているという割には、動きに無駄やラグがない。
……その「先生」という言い回しがかつての私が「あの人」を「先生」と呼んでいたのを思わせて少し複雑な気分になるけれども、その言葉を聞く限り戦うのは本意ではなさそうだけれども。それでもこの場で足止めをしてくる相手としては、中々厄介なもの――――。
少し「奥の手」を使うか悩ましいところね。でも、せめて気道の確保、声帯が動かせれば私としても挽回のしようがあるのだけれども、今のままだと本当に何も出来ないわね。……言い方は悪いけれど、こういう時は九郎丸や刀太たちの不死身の方が応用が利きそうよね。首を斬ったりして再度つなぎ直すとかして拘束から逃れたりできるもの。私の場合、身体が傷つかない結果「五体満足」のまま据え置きだから、精神攻撃同様にこういった拘束される技はあまり得意ではないもの。
思えばそもそも「あの時」も、雪姫様の下から離れざるを得なかったあれとて……。
「精神体と仮定すると、『式札』が妥当だろうか。……『秘儀・御霊うつし』――――」
「――――――血風創天」
倒れ伏す佐々木三太の背に札を置き、何かしら術を使おうとした彼女に向け、その上空からいつもの、「カトラスちゃんが嫌がる」あの格好をした刀太が、血の刃を放った。
はっとした顔でその一撃と佐々木三太を見比べて、受ける選択をした彼女。霊体でも刀太のそれが貫通するかダメージを与えるか判断が付かなかった、というところかしら。それより庇ったわね彼女。傷つけるのが本意じゃないというのは、本当なのかしら……?
ただ、その形で受けるのは悪手ね。
刃に使われている刀太の血は、どういう原理かは判らないけど「相手の装備を剥ぐ」性質が少し存在する。以前、私がほぼ全裸にされた時のように……、時の……、いえ、今は置いておきましょうか。その血のせいか、単純な魔法障壁ならば「透過」「通過」ではなく「破壊」するその一撃。何かしらのアーティファクトであれ刀で直に受けたとするならば、その刀そのものを弾き飛ばして、その上で彼女本人も斬る形に――――。
コンクリートが削れ、大きな砂煙と血しぶきが上がる。
その中に急降下すると、刀太は佐々木三太の腰を掴んで担ぎ、そのまま私が拘束されている結界まで飛んできた。
「――――って、いや何でそんな、えっちな感じで拘束されてるんスか……、服破けてるし下着とか……」
刀太は少し困ったような、照れたような顔で私の身体から目を逸らしていたけれど、「今日は」別に私が何かしたわけではないから、心外ね。その反応は。
拘束自体をどういった方法なのか判らないけれども、刀太は「血風」と言って重力剣を回転させ、生成した円環と卍のブーメランのようなものを投げ、足元の八本の刃で形成されてる陣を破壊。破壊、と同時に魔法陣自体も「魔術的に」壊れたのか、簡単に私も光の帯の拘束から抜け出ることが出来た。
一体どういう理屈なのかしら、それ……。細かく聞いたことは無かったけれど、時間を取って話してみようかしら。
と、佐々木三太を下ろした刀太は煙が晴れた方に、左手をポケットに入れたまま刃を向ける。
「……一体、どういう原理だ? ゼロ距離とはいえ『竜破斬』を受け流しに使ったというのに、気を散らされてアーティファクトを飛ばされた?」
「…………はい?」
刀太が、絶望のどん底に落ちたような声を出した。え? と、思わず横に回って覗き込むと、その目からハイライトが失われていた。視線は前方、刀の切っ先の延長上に固定されているので、私もその先の「彼女」を見る。
そこに居た「白い」彼女は、その左目から額にかけて以外の箇所のほとんどが砕け散ったらしい。……その、顔立ちは、なんだかとっても最近見るようになった顔と瓜二つで。もっと言うなら、驚いたようなその目つきというか表情の感じが、今の刀太にもそっくりだった。
「…………せっちゃん、っていうか、
ぼそっと呟かれた刀太の声は、やっぱり深い絶望に沈んでいた。
…………今、甘やかして癒すというのは、ちょっと、時と場所と場合が宜しくないかしら。事情は分からないけど、今は流石に自重しておきましょう。そういうのは後で目いっぱい。
※ ※ ※
私が本日最大の時系列ガバを前に心を折られついでに膝を折られるよりも少し前の話になるが…………。
一旦、アーウェルンクスシリーズというものについておさらいしておこう。端的に言ってしまえば、それは「ラスボスが作った」人造魔法使い。人間よりもはるかに高い生命力をほこる人造人間で、ラスボスの手によりその能力値を自由に設定して作られた存在であり、当然だが多分にもれずその実力は単体の魔法使いとして見ればほぼ最強クラスに近い。もともとは「彼女」の手駒のうちでお気に入りだったか優秀だったかしたアーウェルンクス(番号付けるなら
例えばフェイト・アーウェルンクスこと「
さて、そんな中で私と相対したディーヴァ・アーウェルンクスこと
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト――――
「――――って勝てる訳がないだろいい加減にしろッ! 逃がしすらしないかどういう了見だ責任者出せ責任者ッ!」
早々に
死天化壮による超高速機動を行えば、私が移動する範囲と思しき駅前全体を「水の結界」で覆い。それとて血風創天などで斬り払おうとしても、斬られた瞬間に「周囲の水分」が血風「そのものを」取り込んで壁を再構成してくる。また彼女の攻撃が直撃すれば、血風はおろか死天化壮すら「溶かしてくる」有様。接近戦を仕掛けようにも足を潰されているに等しく、中々どうして動き辛い。だがどうも彼女自身、意図してやっている訳ではないらしいが。これはどちらかというと「血装術」そのものの弱点というより、私の練度の問題らしい。
つまりは、体外に外れた血液に「強大な魔力を帯びた水分」が大量に混ざった場合、その状態でも私の血液の操作を継続できるか否か、という問題のようである。私自身、自分の血は「自分の魔力」がいきわたっている液体くらいの感覚で認識して操作しているが、それが猛烈な勢いでかき乱されてしまうと、水属性魔法の仕様もあるせいか「取り込まれてしまう」のだ。
例えば今だが、先ほどの彼女の魔法により召喚された「クジラのごとき巨大な水流で出来た怪物の顎」が追ってきているのに対して「大血風」を放てど、がぶり、とそれをかみ砕かれて後はもはや見る影もない。
結果だけ言えば「血」をウォーターカッターとして放っているが故に、逆説的に水属性の魔法に取り込まれて「内部の魔法構成」自体を崩壊させられていると言える。
練度不足とはそういう意味で、つまりもっと血装術を使いこなしていれば。このように紛らわされることもなく、問題なく戦えるのだろうが。とはいえ手数を封じられる事実は変わらないので、何かしら今後対策を考えなくては……。
「だからまだ早いんだって! もうちょっと後に出てこいって話だ最終局面とか最終局面とか最終局面とか! って、あ、ぶぶ――――」
ついに追いつかれ、がぶりと呑み込まれる。無理やり息を溜めたので少しの間は大丈夫だが、既に全身の「死天化壮」は解けてフードもローブもコートの裾すら形成できない。唯一、胸元の付近だけはかろうじて残っているが、傷口から前後とも血が垂れ流しにさせられてしまっている……というより「どこまでが自分の血か」わからず、留めることもできない。
完全に、現時点においての弱点である。まさかこんな簡単に、私の
『――――ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト、
『ッ!? なん、だと――――』
おまけにもっと言うなら、彼女の足に装着されているアーティファクトが問題である。戦闘開始早々、競泳水着に素足というのに疑問を抱いていた私に最適解と言わんばかりに、パクティオーカードを起動したディーヴァ・アーウェルンクスだったが。
『
その装備された水生哺乳類を彷彿とさせるアーマーはどう考えてもお前それ大河内アキラがかつて使っていたアーティファクトだろ! 嗚呼その競泳水着姿には大層似合っていらっしゃいますがさぁ! 今の恰好と言うか容姿にもバッチグーな感じではあるが正直これも含めていい加減にしろと言いたい。(憤慨)
別に大河内さんのアーティファクトが「こんな形で」引き継がれていることにキレているとか、大河内さんがこのアーティファクトを召喚した姿を生で見たかったとかそんな私情ではない。これも完全に、彼女に対して相性が良すぎるアーティファクトなのだ。
なにせ今の状況だ。水中において「竜宮の遣い」は、水がある場所ならば
そんなものを、自ら自由自在に水を操る彼女が手に取ったら何が起こるか…………。
私の死天化壮以上の超高速自由「転移」による瞬間移動により、つまりは実質「全方位」死角とされてしまったということだ。
結果として、私は為す術なく簡単に「首を刎ねられた」。
そういえばカトラスの時以来ではあるが、あれを一つの事件と捉えるなら毎回私って首が飛ばされているような……。そんな現実逃避をしたくなるくらい、ごくごくあっさり斬られてしまった。
その頭を掴み、彼女は私の首の切断面を「凍結させ」、水の檻の外に出た。ドーム状に展開された水の真上に「ジャンプ」し、そこから駅舎手前のビルの上に着地。と同時に、水のドームもばしゃりと融解して下水に流れて行った。
「――――ふぅ。……
「………………いや、回収ってそもそもアンタは何なんだ? 聞く限り、祖父さんの――――」
「情報は渡さないよ、実験体7号。基本的に不死者というのは、どんな想定外の状況からでも逆転の芽が存在するとデュナミスから聞いているからね。
だから―――――こうしよう」
えいっ、と。
彼女は無表情のまま何ら恥じらいなく、私の頭を「抱きかかえるよう」「自分の胸で挟んだ」。
…………………………………………………………………………。
……布の感触、肌の温かさ……良い匂……、後、柔ら…………。
い、いや、オイマテッ!
「って、いや、アンタ何やりたいんだマジで何考えてるんスかねぇッ!?」
「大丈夫、大丈夫、わかってる、わかっているとも」
「一体何を……」
何かまた変なフラグでも踏んだかと一瞬警戒していた私だったが、そんなこちらに夏凜以上に感情の機微のない無表情で。つまりは何ら感想を抱いていない無垢な無表情で、彼女は続けた。
「君の祖父にあたる存在と戦った時、かつて身をもって学んだからね。男性と言うのは特に幼少期『でも』、状況に関係なく『持て余す』ものだと。少なくとも好み云々すら除外して問答無用に、いくら敵とは言え女性を裸に剥く程度の『ソレ』を抑えられないらしいし」
だからこうしておけば、君も気持ち良いから積極的に逃げようとは思わないだろう、と。
…………えーっと、つまり? ネギぼーずと接敵した「ネギま!」原作終盤において。傷つける訳にはいかないからと武装解除の術を使ったそれにより、何だか変な形で性認識をラーニングしてしまったと……。
私のガバではないな! ヨシッ!(風評被害)
というか少しくらい矯正しておけデュナミス。(正当ギレ)(???「ヨシ! じゃないんだよアンタ色々とねぇ。そこで訂正しないから、今までの経験がまるで生きていない」)
アンケート締め切り:10/10明日までなので、あしからずですナ!
【緊急アンケ】雷獣(子)くんを今後どういうキャラでラーニングさせるか
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シワシワおっさん(CV子さん安イメージ)
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ヘッヘッヘな三下(CV金朋さんイメージ)