ST93.Memento Mori:History Like Super Sonic Rockets
ほぼ生首状態の私に何かできることがあるかと言えば「叫ぶ」とか「舐める」とか「噛む」とか口で起こせるアクションくらいなものの、実際問題、今私を確保しているディーヴァを名乗った彼女のその変な無垢っぽさというべきか、それを前にして「そういった」反抗をする気はなんとなくなかった。
決して現在の状況が役得とかそういう感情ではない。というか首から下がない状況ではそうも言っていられないという話ではあるのだが、夏凜ではないが一応は時と場所と場合は弁えるべきだろう。
そんなことよりも目下、一番衝撃に身動きをとれなくなっているのは…………。
「フラベル・ミラベル・アラ・アルバ――――
「
狩衣とも巫女の衣装ともつかないその独特な形状、黒く艶やかな髪。身体的にはおおよそ十代後半か、顔にはすだれのような、暖簾のような、あるいはキョンシーの呪符のような形で何かが張り付けられている。
……武器なのか魔法発動体なのか何なのかは知らないが、南京玉簾のようなものを釣竿のように変形させて九郎丸の「夕凪」を往なし、直後、扇のような形状に展開してぶんと振り回し、九郎丸を全裸に剥いた「顔の見えない」女性の姿がそこにあった。武装解除の術で仮契約カードごと武器を弾き飛ばされた九郎丸。完全に想定外の所から殴られたような感覚だろう、しかし顔を赤くもせず駆け出し夕凪だけでもと回収に走る。そんな九郎丸に、今度こそ属性は不明だが「
そんな様を、私たちは彼女たちの戦っている教会前で目撃していた。
「前衛でもないくせに意外と善戦してる。伊達に毎日のように訓練してはいない、か。まあ、でなければ彼女も過保護だし、一人では出さないか」
「――――」
ちなみに私は、彼女が持っていたハンカチで猿轡をかまされていた。どういう原理かは知らないが「首元」は凍結と共に再生が停止しており(しかし死なない)、ならばと口の中を噛み切って血装しようとするも、それすら予想されていたのか「ダメだよ」とさらに胸に顔をうずめさせられ(結果、ちょっと競泳水着を噛みちぎってしまって色々とアブナイ)、現状と相成っている。とはいえ「退屈だろうから見せてあげる」と顔を正面に向けてくれている辺りは、まだ温情措置というべきか、彼女にも
「あー、何か『せっちゃん』ほどは鍛えてへん感じやねぇ。まだまだ若いから、昔のせっちゃんくらいは強いって思うけど」
「く……っ、神鳴流奥義・桜花乱舞!」
「フラベル・ミラベル・アラ・アルバ――――」
収納アプリからシャツだけ取り出してまとい、同時に夕凪から桜吹雪と風圧および斬撃(衝撃波?)を放つ九郎丸だが。
「――――
「な、何ッ!?」
玉簾を仏像とかの後ろに後ろにありそうな風に今度は円形(?)に展開し、それと同時に召喚された札が五つ。それぞれが陰陽五行らしく青・赤・黄・白・黒(紫?)に光り大きな五芒星の魔法陣を展開。その中から、「白く輝く」西洋竜のようなものが現れ、旋風を薙ぎ払う。竜は一瞬背後の女性の方を振り向く。と、女性が「その子で合ってるえ!」と言ったのに首肯し、九郎丸に大口を開いて光線を放った――――。
砂煙立つ中、竜が姿を消し「アカン、力加減慣れてないわぁ」と、どこかのほほんと呟く彼女。バタバタと顔を覆う簾のようなものがはためき、見える素顔は「
「――――――――」
お前さん絶対「このちゃん」だろ、近衛木乃香! つまりは血縁上は
なんで原作終盤でもないのにこのちゃんが来てるんだよ! 原作はどうなってんだ原作は! おい誰だ責任者お前、禁じられた時系列破壊を平気で行ってるんじゃねぇか! 分かってんのか!? 私が今この有様なのは理性が本能を突破しなかったせいだろうが! 代償身体で支払わせんのかよ!? ブッダは鼻で提灯膨らませてるのか、
「どうしたのかな、少し息苦しい? ……そこは我慢してもらわないと」
言いながら少し抱きしめる力が強くなり柔らかいが柔らかい(語彙崩壊)。何なのだ、身動きを取れなくしているから、せめてもの罪滅ぼし的なサムシングなのか? こちらが一応シリアスに合わせて心境を出来る限りそれっぽくしようとしている矢先にギャグ時空に引きずり込むの止めろ(戒め)。
それはそうとして、近衛木乃香。「ネギま!」におけるメインヒロインである明日菜はん(謎訛り)のルームメイトであり、彼女の親友の一人である。ついでに言うと彼女もネギぼーず達魔法使いパーティ「
現時点「UQホルダー」の時系列において、彼女は何年代かは謎だがラスボスとの闘いにより死去し、現在「あちら」の陣営に取り込まれている。とはいえ本来なら、その登場は終盤になる。肉体が消失する形での死亡だったのか、あるいはネギぼーず「以上」の基礎魔力量を当時のラスボスの力では再現して呼び出せなかったせいかは定かではないが。
……なお先ほども言ったが、私、帆乃香、勇魚にとっては祖母あたりに相当する血縁の存在でもある。遺伝子提供者かどうかまでは断言できないが、近衛刀太の顔のつくりを見る限り、おそらく三人とも彼女と(ついでにせっちゃん)の血縁だろう。性格は、ほのかからアグレッシブさと幼さを少し取り除き、おしとやかにした風と言えば良いか……。少し天然なところはあるが家事炊事洗濯掃除ひととおり何でもこなす、京都に大きな実家をかまえるスーパーお嬢様だ。
まあ実家については、流石に現代まで続いているかは怖くて帆乃香たちには聞けていないが、ともかく。
「――――
煙が晴れたその場には、完全装備状態の九郎丸。背中の羽根が「片方」ボロボロなあたり万全という訳ではないらしいが、どうやら先ほどの一撃の際にネオパクティオーカードを回収して、召喚に成功したらしい。腰には夕凪、右手には「神刀・姫名杜」。少しロック貴公子とでもいうようなその恰好に、このちゃん(断定)は「おぉ! かっこええ!」と喜色を浮かべた。
「なんや、私、最近の曲とかはあんまり詳しくないけど、昔友達が学園祭でバンドやったりしたん思い出すわー。でこぴん! こう、すごいキメキメな感じでな? 君も音楽好きなん?」
「へ? あ、そういう訳では。この格好自体は自動というか…………って、その、何故そう馴れ馴れしい!」
「えぇ~? もうちょっと話そうや~。ウチ、最近の女の子事情とか凄い気になるしなぁ」
「女子事情!? ぼ、僕は女じゃ―――――いや、まあ、女では、ありますけどッ」ついに認めるまでになったか、そっかぁ……(遠い目)。
「『出て来れた』上にこっちまで『降りて来れた』のも大分久々やもん。『地球上の』ファッション誌とかも全然読んどる暇もないしなぁ。
えーっと、お名前、何ていうん? うちのことは『木乃香さん』でええよ?」
「ええよ、じゃなくって……ッ! って、そのしゃべり方……」
「あ! ひょっとして『野乃香』あたりと面識あるん? 大体こんな顔しとると思うけれど」
「いや、顔を隠してる意味がないだろう、個体名『このちゃん』も」
「――――」
セリフは話せないものの感想は同意である。もともと防御力が大分弱い顔隠しだったが、ぺろん、とめくって笑顔を向けて来る感じは、何と言うか変な所で抜けているこのちゃんらしいと言えばこのちゃんらしいと言えた。
だが、とはいえ現在の彼女がラスボスに紐づいた存在であることへの警戒を忘れてはいけない。彼女自身の天然もあるだろうが、その行動にはいくらか計算された何かが背後にあっても不思議ではない。
ああして幼気な(妙齢の女性に使う言葉ではないがそうとしか言いようがない)微笑みをして九郎丸を困惑させている裏に、何かしらの意図がある可能性が高いのだ。
「その顔……、も、もしかして刀太君の――――」
「とーた? あー、そういえばそういう名前になってたって『ネギくん』言っとったっけなぁ。――――まあそうや? ネギくんとアスナとウチと、あとせっちゃん『皆の』孫にあたる感じやぁ」
「木乃香さん……、いえ、木乃香お
何故そこ力を入れて言った九郎丸。
このちゃんも「おっ! えっ? えっ? つまりそういうことなん?」と何やら嬉しそうに(というか野次馬めいて)九郎丸をニコニコして見ているし……。というか直後に名乗り出すあたり一体何がヒットした結果だお前さん。
「では、木乃香さん。何故、貴女が今、僕を足止めしようとしているんですか。ネギ先生……、おそらくネギ・スプリングフィールド関係者であるのならば、貴女は僕らの味方であるはずなのに」
「あれ? その辺のこと『エヴァちゃん』から聞いてへん?
「へ?」
いや、その話をここでするの止めろォ! どう考えてもエヴァンジェリンとネギぼーずとの過去編直結話になるだろ、せめて当事者の口から語らせろいい加減にしろッ!(動揺)
私の祈祷が届いた訳でもあるまいが(!)、このちゃんは「それやったらあんまし言うの悪いわー」と苦笑い。
「まー、簡単に言うと。ウチら『逆らえない』んよ。自意識とか行動の自由が『あの二人』よりもある程度保証されとるけど、その代わりオーダーの最低条件は絶対服従なんや。
それだって、私らの匙加減すら『あっちの機嫌』次第でどうにもこうにもされてまう。今はまだ遊ばしてくれてるけど、そのうち物言わぬお人形みたいにされてまうえ? たぶん」
「人形…………?」
「っと、ここまで話せばもう『終わった』?
――――おーい!
その、このちゃんの大声での呼びかけに、ため息をついてディーヴァ・アーウェルンクスは「転移した」。当然のように隣へ現れた彼女に、このちゃんは「あれ? 本当に終わってた」とびっくりした表情。そして……、当たり前のように手を伸ばし、私の頭をなでなでしはじめた。
何だこの状況。(震え声)
「髪型はなんか、ネギくんっぽいなぁ。顔は意外と明日菜っぽい? でも目はなんかせっちゃんみたいな感じやねー。不思議ふしぎ。せっちゃんが『
「いえ、一番似てるのは貴女だと思うよ。個体名『このちゃん』」
「えー? ホンマ? 自分では判らんわぁ」
「と……、刀太君!?」『(な……ッ! っていうか何あのえっちな恰好!? 左胸とかすごい抉れてるっ)』
流石に私を「完璧な形で」拘束した第三者が現れるとは思っていなかったらしい九郎丸。いや、普通予測がつく方がどうかしていると言えばどうかしているのだが、それを見た瞬間に九郎丸側としても気合が入ったらしい。
「状況はわからないけど……、今助けるよ! 刀太君ッ」『(……今のこの「僕」でどこまで行けるか…………ッ)』
羽を広げて瞬動――――動き自体、入りと抜き、初動と到達点が「見えない」ので、どちらかというと縮地とかそっちの方になるのだろうか。と、急に現れた九郎丸の「斬岩剣」を、むしろ九郎丸に「体当たり」することで躱すディーヴァ・アーウェルンクス。決して致命打とはなりえないが、想定外の躱され方に動揺した九郎丸に指先を向けて。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト――――
眼前に向けていきなり「封印」の魔法陣でも展開されたのだろうか。九郎丸の翼と「神刀」が「黒く」凍りつき、その場に倒れ伏す。ついでとばかりに指先で造り出した
「まあ足止めぐらいには問題なかったね。デュナミスから聞いていたよりは使えたけれど、でも甘いというか。本意だろうがそうでなかろうが、『私たち』はもう逆らうことは出来ないのだから、潔くするべきだと思うよ」
「あー、そういうところディーヴァはんはフェイトはんとは違う感じなんやねぇ」
「ま、待て……ッ」
立ち去ろうとする彼女たち(および連れ去られそうな私)に、九郎丸が声を上げ。しかし「焼き切られた」四肢は再生に時間がかかっているのか、すぐさま動くに動けないようで。
振り向き、フェイトと同じ顔をしたディーヴァは、これまた冷徹なことを言っている時のフェイト同様の顔を九郎丸に向けた。
「悪いけれど、デュナミスから言われているからね――――エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの私兵は殺さず、生きて絶望を味わわせてやりたいと。それで長年の因縁に決着がつくと」
「そんな、ことを――」
「まあ君の場合は、『実験体7号』が持ち去られることの方がダメージが大きそうだけれどもね」
刀太君って呼んであげなあかんよぉ、とこのちゃんの優しい言葉もあるにはあるのだが、しかし困ったことに手も足も出せない。いくら力を入れど猿轡をひっくり返すことは出来ず、首から下の「金星の黒」への繋がりも普段の百分の一に満たない。
はっきり言って絶体絶命のような状況だったが――――。
「――――困っているようだな、半端者共。いや?
「何?」「わぉ!」
そんなこう、高圧的な聞き覚えのある少年の声と共に、辺り一帯が「夜」のように真っ暗となった。
アンケ締めました! ご投票あざますですた!
やはりシワシワぴか様強すぎる・・・
【緊急アンケ】雷獣(子)くんを今後どういうキャラでラーニングさせるか
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シワシワおっさん(CV子さん安イメージ)
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ヘッヘッヘな三下(CV金朋さんイメージ)