光る風を超えて   作:黒兎可

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毎度ご好評あざますナ・・・


ST97.死を祓え!:即席の遺産

ST97.Memento Mori:Instant Arts

 

 

 

 

 

「一体俺はどんな顔をすれば良いんだろう、近衛」

「エロい……(純情)」

『スクール水着チラとはまたマニアックかつ下等生物な…………、アルの奴が好きそうな。お前も大概だなぁ刀太』

「いや、別にそういう意味での好きって訳じゃないんスけど」

『恥ずかしがることはないぞ? なにせあのフェイトですら…………、いやアレは野乃香が勝手にやったことか』

「マスター、その話聞いたことがないのですが……」

 

 一体何をやらかしはったんスかねぇお母様(真実)。

 カアちゃんこと雪姫の追及はともかく実際問題、単にこちらの技をコピーしてきたようなことをしたディーヴァのそれ(デザインとかネーミングとか)が割と嫌いじゃないと言うだけで、別に半透明のコート状のそれから生足とかがチラリしてるのにときめいている訳ではない(断言)。大体そんなこと言ったら既に夏凜の制服姿のナイスバディだったりミニスカートだったりでノックアウトされている確信がある…………、出会った当初のスカート下はスパッツだったはずなのだが、気が付いたらいつの間にか下着になっていらっしゃるし。戦術的な優位性は非スパッツであることに何らないと思うのだが、一体どうした?(???「アピールとかじゃないかねぇ、誰かさんへの」)

 

「ふんっ、ふんっ……、しっくりこない」

「…………何をやっているのだお前は」

 

 なおデュナミスに突っ込まれるディーヴァ。「海天偽壮(マリンコード)」とやらを発動した彼女だったが(何故か漢字も伝わってきたが念話?)、その後しばらく「ふんっ」「ふんっ」と色々なポーズをとっている。何だろう、決めポーズでも探しているのだろうか……、最終的にはセ〇ラ〇ジュピタ〇的なポーズで納得がいったのか、二度首肯してから再度ポーズを取り直していた。

 

「いや、即席で色々インストールして作った技だから、魔法的なイメージを安定させるために詠唱とかポーズとか作っておこうかと思って。忘れたら勿体ないもの」

「それは判らんではないが、昔はこんなんじゃなかったのだがなぁ……、ハァ…………」

「恨むなら『あそこ』から助けられなかったご自分と『あの方』でも恨むといいよ。まあそういう意味では、解放対象として(セクンドゥム)とかではなく私を選んだのは正解だと思うけれども」

 

 捕縛されてたくせにずっと念話がウザかったし、と無表情ながら舌打ちして毒を吐くディーヴァであるが、いや、まぁウン…………。セクンドゥムはフェイト以前に作成されたアーウェルンクスシリーズの2番機、おそらくは雷のアーウェルンクスに相当するだろう相手だ。その性格は一言で言えば熱血な狂信者、マスターの言うこと絶対主義の行き過ぎた忠義者といったところ。あのフェイトをして「興味深い」と言われるくらいのハイテンションで、その製造時ステータスは製作者曰くすべてカンストさせて生み出したらしい。…………らしいのだが、その結果性格その他もろもろが振り切れて「あんなの」扱いされていたりするお茶目さんだ(歪曲表現)。そっかー、未だにそれこそ「封印されている」状態でも相変わらずなのか…………。

 思わずディーヴァに同情する目を向けると、無表情のまま彼女はやはり機械的に自分の胸元を隠した。行動にこう、感情が追い付いていないような、条件反射のみしかないような動きである。

 

「えーっと……、きゃー、とうたさんのえっちー(棒読)」

「先ほどから一体何をやっていらっしゃるんですかね(マジレス)」

「何、と言われても…………、個体名『時坂九郎丸』から聞いた話を元に、色々とね」

 

 その色々が聞きたいというか何というか……、って、九郎丸と遭遇していると? ひょっとすると我々が撃ちだされた直後にでも合流したのだろうか。それにしてはこの短時間で学習してる内容が多岐にわたっている気がするが、まぁ出自を考えれば不可能ではないのだろう。彼女およびフェイトを含めたアーウェルンクスシリーズは頭脳が「まほネット」(※魔法使いたちの電子ネットワーク)に繋がっているらしく、必要に応じて直結しているそこから電子精霊を伝って情報をダウンロード、インストールすることが出来るらしい。アーウェルンクスシリーズが最強格の魔法使いとして設計された所以の一つではあるが、明らかにヘンな使い方をしているようだ。

 まぁあのフェイトも、カラオケでネギや小太郎を一蹴するためにわざわざ某津軽海峡な演歌を入れて百点とったりしていたが…………。

 

 と、巨大な水無瀬小夜子のシルエットが唐突に頭をおさえ、絶叫する――――。声が、響く。声というよりはもっと周波数の高い衝撃波のようなものだろうか、さながら怪獣映画でのシーンか何かのごとく、窓ガラスがその振動だけで砕け散る。人はほぼ居なくなったとはいえ街中にあふれている妖魔(巨大小夜子降臨の時「でさえ」回収しきれない量の小型妖魔が生まれている)たちも「なーご!」「たいくー!」「ばふぁッ!」「めりめりッ!」「ぎつ!」「ぱんじゃんっ!」とか様々な悲鳴を上げて蹴散らされていた。そこだけ切り取れば中々にシュールな光景だが、しかしその姿を見た瞬間に頭上に感じる「過去最大級の」「嫌な感覚」――――。

 唸り声(衝撃波)を上げ(放ち)、うずくまる(地響きを響かせる)巨大小夜子は、その全身が、脈動していた。

 

「どういう状況かしら、デュナミス」

「…………本来ならば、不死者や妖魔用の『ゾンビ化』操作ウィルスで操作した連中を纏わせ、その内で『神格化』させたものを、外部から制御しようとしていたのだが、中途半端に終わっている」

「つまり、暴走状態?」

「嗚呼。準備期間に反して成果としては業腹だが………‥、この都市くらいは『勝手に消え去る』だろう」

「なるほど。それは、勿体ないね――――」

 

「血風、創天!」

 

 なら私がここで足止めかしら? と。私たちにディーヴァが手をかざした瞬間。「死天化壮」と「内血装」をフルに回して、接近しながら「血風創天」を放つ。遠距離攻撃ではなく直接斬撃を伴いながら、デュナミス目掛けて前進――――。

 このデュナミス本人の発言をもって確信を得た。間違いなくこの男は「水無瀬小夜子の研究成果」であるウィルス、およびその研究内容を持っている。それが原作将来における将来の「大規模殺人ウィルス」に繋がると言うのなら、ガバだ何だと恐れる必要は「ない」。脳裏によぎる肉丸たち熊本の同級生……、この二年で雪姫を除けば、私をしっかりと「この世界」に根付かせてくれたのは、間違いなく彼等だろう。だからこそ、こんな適当な理由でその最期を、納得いかない形で終わらせるつもりは「ない」。

 

 突然の動きとはいえ魔法障壁を多重展開したデュナミスだったが、それは血風に含まれている武装解除の術により「斬り飛ばされる」。流石にその目が驚愕とばかりに見開かれるが、現状の私の移動速度をここから捉えて動くことが出来るはずは――――――。

 

「――――すごい、想定より厄介だね。その死天化壮(ネクロスメタボルァ)は」

「ッ!?」

 

 腕の動きが中途半端な姿勢で停止させられる――――両腕や全身に「半透明の」蔦のようなものが巻き付き、こちらの動きを雁字搦めに封じ込めている。ギリギリまで起動していた血風も黒棒に巻き付いた蔦によって「散らされ」ていた。当然のように死天化壮も同様でそして風の下に液体となったそれが侵入してくる。

 さらにこう、ぬるり、とその蔦のようなものの内からディーヴァの頭「だけ」が生えて来る……いやビジュアルにすると凄い気持ち悪いことになっているのだが。間違いなく「海天偽壮」とやらの能力か何かか?

 

 拘束され身動きのとれない私だったが、隣のディーヴァの頭が「はじけ飛ぶ」。まるで池に石でも投げ入れたような具合であり、はじけ飛んだ彼女の頭もまた水の塊のような半透明なそれとなっているのだが。それを為した釘宮の狙撃および矢へと変じていた狗神は、本来の姿を取り戻して私の身体にまとわりついている半透明なそれを剥がそうとする。

 

「……無駄だよ。私の『海天偽壮(マリンコード)』は、即席だけどそう簡単に対処できるようには作っていないから。

 それよりデュナミス。貴方はあちらの制御に行くか、もうこの場から逃げた方が良いと思うよ。彼、けっこう本気で殺すつもりで来ていたし」

「そうか、わかった。…………我は別に、近衛刀太には直接恨みを買う様なことはしていなかったはずだがなぁ…………」

「いや三太にはしてるだろアンタ……って、逃げるなコラ!」

 

 飛び散った半透明な頭が再び再生しながら叫ぶ。それを聞き、デュナミスが腕を組んだ姿勢で飛行、離脱を試みるが『逃がすな、追え! 茶々丸!』と雪姫からの指令を受けて、脚からジェットを噴かしながら茶々丸が追跡を始めた。流石にアレ相手に衛星兵器はオーバーキルと見たか、威力よりも的が動いていることが問題か、あるいはエネルギーの問題で今日はもう撃てないのか、定かではないが何処からともなく近代兵器を取り出して応戦する茶々丸の姿がそこにあった。

 とりあえずしばらくはあそこで足止めされるだろうが、それはそうとしてこちらも早い所「抜け出さないと」どうしようもない。しかし先ほどから狗神が何度引っ掻こうと、あるいは噛み千切ろうとしても、ディーヴァが変じただろう半透明の植物のような、あるいは「スライムのような」コレに直接的なダメージを与えることが出来ていない。

 

「どうなっているんだ……、近衛、何かわかるか?」

「…………あー、スライムとかゲル化とか、そういうタイプなら物理攻撃無効化とかなんじゃねぇかな。流石に『術式兵装』の類とかを使ってる訳ではないだろうけど……って、いや、三太、お前も早い所あの水無瀬小夜子ん所に行けッ! なんかよくわかんねーけど、なんか拙いッ!」

「いや行ける訳ねーだろッ!?」

 

 状況的に、流石にそろそろ一空がキリヱあたりを連れて来て打開策的な何かを打ってくれると期待したいが、しかし三太は飛んで行かない。

 

「確かに何か、絶対ヤバそうだし、小夜子の裸とか公衆の面前にさらしたいわけじゃねーけどッ! それでもお前ここで置いて行っちまうのって、何か違ぇだろ!」

 

 幽波(スタンド・オン)、と身動きできない私の身体全体を、知覚できない壁のようなものがロックする。と、三太はそれに右ストレートで殴りつけるモーションをし――――私の身体を「すり抜けるように」、無数の衝撃波だけが「表面の」ディーヴァを攻撃した。

 もっとも、それとて特にダメージを喰らった様子もなく、少しだけ小さく口を開いて欠伸をかますディーヴァの頭(ちょっと可愛い)。

 

「とりあえず今の所、拘束できるのは一人が限界か。要改良だ……、そういえば君はあちらに向かおうとしないね、『犬上小太郎の孫』」

「情けない話だけれど、俺だって自分が何をどこまで出来るかは十分把握しているものでね。出来ること以上のことをやろうとして、足手まといになるつもりはいよ。

 とはいえここでも、何か貢献できている訳ではないけれども――――」

 

 

 

『――――困っているようだなぁ、コノエ・トータ!』

 

 

 

 と。そんな声がどこから聞こえたのかと思えば、私およびディーヴァの影から「手のひらサイズの」ニキティス・ラプスの姿が……、何だお前、ちび刹那とかちび九郎とかちびエヴァちゃんにあやかってお前までマスコット化狙ってるのか?(適当) なお恰好は本日のヴァンパイアスタイルではなく普段通りの白コートである。おそらくは分身体か何かなのだろうニキティスだが、本人が出てこないあたりどうやらせっちゃん相手に大分苦戦しているらしい。

 と、その小さなニキティスに目を点にする三太と「何だこれ……」と眼鏡を光らせて困惑している釘宮(ひょっとしてギャグ描写時の顔か何かで?)、相変わらず無表情に私の隣でじっと見ているディーヴァの顔。そんな三者、特にディーヴァの姿というか「私にまとわりつく」スライムのようなそれを見て、ニキティスは「うげぇ」と物凄く嫌そうな顔をした。

 

『いや、原理はわかるが状態としてどうなんだ? それは、人形女…………、「全裸で」組み付いているようなものだろう。しかも服の下に入ってるってことはそれは…………』

「は? えっ、いや何、つまり……、どういうことだってばよ?(震え声)」

「まぁ『興味があったから』ね。流石に勃たせたりはしないけれど、個体名『時坂九郎丸』がその肉体にご執心だったみたいだから、どんなものか『直に』観察してみようかな、と。……いや、中々悪くない肉付きだよね。君も水着になってもっと肌を晒せばよいのに、個体名『刀太君』。もう少し『圧殺』しないで触っていても――――」

「「痴女かッ!」」

 

 私、釘宮共々のツッコミである。いや、その発言一通りを完全な無表情で行っているあたり本当のところはどういった感情やら興味の推移からの行動なのかは定かではないが、ニキティスの台詞を思えば現状がどういう状態なのかおおむね察しが付く。つまりは「全裸で」「私の生の身体に」「抱き着くよう」組み付いているような状態なのだ。スライム化によってそんな少年誌的サービス感は皆無ではあるが、術式の解析でもしたのだろうニキティスから見れば、私の服やら下着の中に入り込み、肌と肌を重ねるようにしているディーヴァの姿でも見えているのだろう。一体何が起きているというか、私が一体何をしたというのか…………。

 脳裏によぎる、満面の笑みの夏凜―――――。

 

 なお只一人「え? え?」とこのちゃんのギャグ顔みたいな顔してよくわかっていないらしい三太だった。お前はそのままで居てね♡ そのままで居ろ(豹変)。

 

 そんな状況の私たちに、ちびティス(私命名)が「情けない」みたいな深いため息をつく。  

『全く。いくら血装術の出来が悪いとはいえ、お前の血筋ならいくらでも抜け出しようがあるだろう、そんな状態からでも』

「いや、別にその……、何だっけ? 前に言ってた『魔人』っていうのもイマイチよくわかっていねーし」

『馬鹿か、コノエ・トータ。貴様の血筋はまず大魔法使いたるネギ・スプリングフィールドがあるだろうが。たとえエヴァンジェリンから詳細を聞いていなくとも、何かしら既に「察している」ものがあるのではないか?』

「察しているもの?」

「……僕のことは存在すら無視してるね、彼」

 

 釘宮の「やれやれ」みたいな視線はともかく。ちびティスは「どこからともなく」私の携帯端末を取り出し、その画面に「手を突っ込んだ」……ってオイオイ物理現象無視すんな! その手の先どこに行った、画面の中に沈んでるそれ! 三太とかじゃあるまいしッ!

 

「ええっ!? えっと、霊体化……?」

「良いか、ササキ・サンタ――――これが真祖だ! 真祖に不可能はない! ここだッ!」

 

『―――――ふみゅー! らいらい、ぴちゅぴかー!』

 

「いやだから鳴き声……」

 

 そんなフラグじみたことを言いながら、画面の中から手を引き抜いたニキティスだったが。その手に握られていたものは、例のネズミめいた雷獣だった。全力で抵抗してるのかじたばたしつつ放電しているが(三太が驚いて飛び退いた)、手のひらサイズとはいえ特にそれにダメージを受けた様子もないちびティス。

 彼はそれを私の目の前までフワフワ浮かんで寄ってきて……、いや不覚にもちょっと小動物チックで可愛い気もするが、何だか胸元に嫌な予感がする。とはいえ身動きも取れず、しかしわざわざディーヴァに言う話でもないので、私は冷汗を流しながら彼を見ていた。

 

「何をするつもりだろうか、『観測の真祖』」

「フン! 多少は後輩を手助けしてやろうかと思ってな。気まぐれだ、気まぐれ。それに――――今の状態で強制解除でもさせたら、さぞ面白い絵面が見られるだろう?」

「?」

「え? いや、ちょっと待てアンタ――――」

 

「喰らえ半端者――――強制術式装填ンンンンンンンンンンンンンンンンンンッ!」

 

 いや絶叫の力入れる所おかしいだろ私に聞こえるCV的に間違ってはいないのだが(リ〇ボ)。

 かくして「血装」により球状の何かに覆われた雷獣は、そのまま振り下ろしたちびティスの勢いに任せ、私の胸部――――スライム状のそれすら「透過して」、私の体内に入り込み――――。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

『――――いや、まだ準備出来てねぇんだよなぁ術式兵装系って』

 

 かくして、疲れた顔をして胡坐をかいた星月との、久々の対面となった。

 

 

 

 

 




※次回あたりたぶん解説入りますが、ざっくり言うとバ〇オラ〇ダーです(雑)
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