光る風を超えて   作:黒兎可

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(ディーヴァ)の言い訳パートでなんか長くなってしまった・・・。


ST99.死を祓え!:髪の色オレンジ瞳の色レッドアンバー

ST99.Memento Mori:Respect Strawberry

 

 

 

 

 

「あら?」

 

 気が付いたら、海天偽壮(マリンコード)や年齢詐称術が解除されていた。私は個体名「刀太君」の服の内側で、彼の下着「よりも下」の生身と接触した状態になる。

 思わず嫌そうな顔をしながら顔を真っ赤にして視線を逸らす、オレンジ色に光る髪の個体名「刀太君」。嫌がっているようでいて性欲は感じているのかしら? 少し胸を押し当てたり、変形させたりすると反応が露骨になり「だから止めろっ!」と叫びます。ふむ、局部(ヽヽ)に血流とわずかに膨張とを確認………、急速に鎮静化していってるから、意図的に血装術とやらでそこの血を全身に散らしたのかしら?

 少しだけ感触を右手で「確かめて」から(???「にぎにぎしてるねぇ…………」)、私は個体名「刀太君」から全身水化のみして離れました。

 

 離れた後身体を再構成しながら「呑み込む深海」を再展開して術式固定。全身に展開し補助術をスタンバイさせ海天偽壮(マリンコード)を再構成します。個体名「刀太君」は若干伸びた服を抑えながら、重力剣を前方に構え「血装ッ!」と叫び、次の瞬間に彼の周囲が黒い血に覆われ膨張し爆散し、死天化壮というらしいものに身を包みました。

 

 オレンジ系の金色に光る髪、赤琥珀の瞳、黒い服装に黒い刃…………、ふむ? 不思議としっくりくる姿のような気がするのは、何故でしょうか。

 個体名「刀太君」は自分の局部を少しさすりながら、私に半眼を向けてきます。頬を赤くしているあたり、好意を抱いているということではなく性欲の方でしょうか…………? 実に興味深い。

 

「ままならぬ…………、いや、ちびティスの意味わからんがお前さんも何故『触った』! 意味わからんわッ!」

「おや、男性は容姿の綺麗な女性にイチモツ(ヽヽヽヽ)をまさぐられると興奮すると個体名『せっちゃん』のエピソードから聞いたんだけど」

「いや、あっちの婆ちゃん結構ヘンタイさんだし……(というかそのエピソード初期仮想敵だった時のやつだろ、首と局部抑えて尋問するやつ)」

 

 ボソボソ言っているのは聞き取れないけれど、一応は自分の遺伝子のクローニング元相手だろうに、随分な物言いをするんですね、個体名「刀太君」。

 

「しかし何故か、と。………………あまり話す必要性は感じないけれど、どうにもさっき『痴女』とか言われてしまったのが引っ掛かるからね。理由を教えたら少しは納得してもらいたいところだよ」

 

 私は、少しだけ教えてあげます。彼等に、私がかのエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに拘束されていた時の話を――――永遠の氷の牢獄にとらわれていた、あの時のことを。

 

「私たちは『白き翼(アラ・アルバ)』、ネギ・スプリングフィールド率いる団体との戦いで完敗を喫しました。結果的にエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの介入があったからとはいえ、それを許すほどにデュナミスも、3番(テルティウム)も追い詰められました。

 その後、私は考える時間『だけ』を得ました。…………肌感覚をオフにした状態で、常に周囲に飛び散る2番(セクンドゥム)の一方通行な念話を耳にしながら」

 

 最初は何度か凍死しかかりましたが、あの術の恐ろしいのは「対象の魔力」で延々と氷の構成や密度を確保している所。私の生命力が落ちたなら、それに伴い凍死させない程度に温度が戻り、氷が解け、しかしそれで回復したらあっという間に元通り。これを何度も繰り返されたお陰で、私自身自分が深海にいるのではという幻覚を見るくらいには、嫌な体験でした。結局何をしたところで逃げ出すことも出来ず、それでも延々と身動き一つとれず、思考だけ明瞭で、おまけに響いてくるのがあの煩い声…………。

 1番(プリームム)はどこかのタイミングで自死を選び(おそらく魂はそのまま3番(テルティウム)に再統合されたのでしょう)、2番(セクンドゥム)は昼夜問わず寝ることもなく、一度寝たとしてもそれから三十日は煩いくせにこちらからの念話は一切受け付けるつもりがない。4番(クゥアルトゥム)は火属性だったこともあり相性最悪につき思考まで凍ってしまったらしく「赤子のような」念話が時々飛んで来るのみ、5番(クゥィントゥム)と私だけで辛うじて脱出作戦を考え続けていたところでした…………、途中で2番(セクンドゥム)の愚痴大会になってしまいましたが。

 いえ、だって本当に煩いし五月蠅い理不尽なのだもの。こちらがいい加減黙ってくださいと抗議の念話を入れようにもそっちのチャンネルはわざわざ妨害用の術を使って思念カットしてくるし、届いてくる声も常にテンションが高く熱血で強要するくらい言葉が強いし。明らかに設定されたスペックをフルに無駄遣いして自分の言いたいことだけを言って念話を切るようなことを、おおよそ1月周期で行ってくるのですもの。

 しかも「造物主(マスター)」が現れたのにはきっちり確認して歓喜の声を上げるのですから、下手に狂っていない、狂わずにあれを続けていたのかと思うと色々と私も5番(クゥィントゥム)共々白けた目を向けました。気のせいでなければ「造物主」ですら「君、この期に及んでまだ生きててそのテンションなの……?」とでも言いたげな視線を送っていたのが記憶に新しいです。

 

 他の使徒に関しては規格が違うので、あの拘束下でやりとりできたのは身内だけでしたが。それでもその長い間、イライラしながらずっと考えていたのです。

 

「何故、私たちは勝てなかったのだろう。それだけを考えていた八十年間でした」

「そりゃ辛かったなぁ…………」

 

 ふむ? 何故か個体名「刀太君」が私に向けて同情の視線を送ってきて……、海天偽壮で反射していない私の地肌を見て、照れたように視線を少し逸らします。なるほど、局部も胸部も好みと…………。

 左右の隣、犬上小太郎の孫と改造幽霊とが不思議そうに聞いていますが、彼らは詳細を知らないのでしょう。とはいえ個体名「刀太君」も詳しく知らないはずなのですが、どうしてそんな、事情を知っている人間らしい痛々しいものを見るような同情を送ってくるのでしょうか。

 

「フンフンフン、フン! 同情してやる謂れはないぞコノエ・トータ。悪の幹部の末路など、物語としては良くありがちな展開だ」

「フンが多いわっ! っていや、でも流石に痴女堕ち(お色気枠化)とかは想定外っていうか」

「それは…………、そうだな…………、ちょっと面倒女みたいな気配を感じる…………、どうせお前が何かやってあんな風になったんだろ、何とかしろ! 伊達マコトとか近衛勇魚みたいにッ! 僕は知らないぞッ!」

「なんでもかんでも無駄に人のせいにするの止めてもらえないッスかね(震え声)。

 っていうかあー、マジで麻帆良のことは全部観測済なんだなお前…………」

 

 そして個体名「刀太君」の隣に浮かんだあの可愛い! 何あの可愛いの本っ当可愛い! 手のひらサイズで首もこもこした小さな男の子のようなデザインのデフォルメしたぬいぐるみの様な何かですっごい可愛い! シリーズあったらコレクションしたい! な可愛い! 可愛い! のとしゃべっています。でも、だからまだ理由を話し終えてないから、痴女堕ちとかいうのは止めてもらいたいのです。

 犬上小太郎の孫が「話を聞いてあげてもいいんじゃないかな、流石に手持無沙汰みたいだ」と助け船を出してくれました。いえ、そんなつもりもなく早く話を終わらせろと言うことなのかもしれませんが、流石に不意打ちの効果がないというのが分かった以上は協力して戦うつもりなのでしょう。

 

「……では、続けていいかな?

 そして、考えに考えました。3番(テルティウム)のネギ・スプリングフィールドとの闘い『までの』情報は同期共有された上でのロールアウトではあったので、そこまでの情報は残っていました」

「てる……」「3つ目って意味だね」

「あー、フェイトのことって言って判るか? フェイト・アーウェルンクス」

「超有名人じゃんッ!」「何…………、だ?」

「…………話、続けても良いかな? ……いいよね、大丈夫だね、わかった。

 そこまでの情報と、私たちの状況を見比べ、そして実際に個体名『このちゃん』達とも話をするようになって、一つ結論が出ました――――愛です」

「「「愛?」」」

  

 そう、他に考えられません。彼らは「愛」の力だけで、私たち「完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)」に食い下がったのです。例えばネギ・スプリングフィールドは仲間達への愛、「黄昏の姫巫女」への愛、フェイトと呼ばれた3番(テルティウム)への友愛。そういった感情が、私たち個人個人の力を只の旧世界人たちが、一般人が、猫何個分で計測できる程度であるはずの戦闘能力が、その前提の上で上回る活躍を引き出したのでしょう――――。

 もし仮にあの時、3番(テルティウム)がそのことに気付いて、自ら拾い集めた少女たちをより「愛して」いたのなら、結果はまた変わっていたかもしれません。そのくらい、最後の最後での決め手として「愛」が強かった。

 

 むろん「造物主(マスター)」の「愛」が他の誰かに劣るものだとは言いませんが。それを受けて動いていた私たちの側に愛が欠けていた――――あのエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルでさえ、私たちを拘束しに現れたのも、あの忌々しい拘束術を完成させたのも、氷越しに聞こえた声から分析するにネギ・スプリングフィールドへの「愛」故にです。

 

「――――個体名『刀太君』。今の私は知ってるんだよ、私の生の理由を、私の生まれた理由を。そして人に問いかけたい、何でありたいか、何を求めているのか。

 それが、どうやら『造物主(マスター)』が私に設定した存在規定理由であるらしいからね」

 

 3番(テルティゥム)はあえて設定されていなかったらしいけれども、私たち他のメンバーはそれなりに何かしらの「存在規定理由」が、目的が存在しているのです。私で言うならそれは、知ること。本来なら3番(テルティウム)たちの戦いを間近で見て急速に技術を吸収させるためだったのだろうと判断できますけれども、「当時」という最終局面と言う名の枷から放たれた私は、特に「今の」「造物主(マスター)」は、その本来の自意識は私をある程度自由に自己決定し自己判断させてくれているのです。

 だからこそ、あの時の敗因を突き詰める必要がある―――――。

 

「――――だからこそ今は、様々な形で『愛』というものが知りたい。愛とは何であるのか? そもそも脳内でのホルモン分泌の乱れや精神疾患の一つと仮定することができるけれど、それだけと言うには引き起こされる事態の究極さがあまりにも釣り合わない。肉体の枷から解き放たれたなら何が起こるのか? 肉体のそれに支配されつくした心が何を為すのか。

 そういう意味では、君もまた実験サンプルみたいなものってことだね」

「………………あの、それは良いとしても何で俺相手に迫ってくるんスかね?」

「特に深い理由はないけれど……、リアクションがオーバーだから? 個体名『このちゃん』と個体名『せっちゃん』でいうと、個体名『せっちゃん』の方が色々と凄い変わった愛を出す人だから、それを受けて個体名『このちゃん』とのことを踏まえると、中々興味深いサンプルだと思うよ、君は。改造幽霊はともかく、そこの犬上小太郎の孫よりは性欲が見えやすくて」

 

 研究サンプルとして見た場合、中々わかりやすく、同時に興味深いのが貴方なのだと答えると。やっぱり痴女じゃねーかよと言いながら重力剣を構えてきました。

 だから違うと言っているじゃありませんか…………、私のこの感覚をわかってくれるのは個体名「せっちゃん」だけですか。

 

 

 

   ※  ※  ※

 

 

 

 術式兵装についてだが…………(眼前の痴女からは現実逃避)。

 

 そもそもこれが何であるかと言えば「闇の魔法(マギア・エレベア)」を戦闘用に使うための技法の一つといえる。「ネギま!」を参照すると基本的な理屈は簡単で、まず威力がそれなりにある魔法(中級から上級、古代詠唱系の呪文など)を放出せずその場に固定。固定した術を自らの体内に取り込み、肉体に流れる気やら扱う魔力やらをその魔法の性質に融合/変換させる。例えば火属性の術であればその火力を反映し攻撃力や防御力、風/雷属性であればその風力やら電力やらを反映して攻撃力や速度、といった具合にだ。さらにこの状態で複数の魔術を使用できるとあるので、単純に本体を属性変化して超強化することが出来る、くらいに考えて問題はないだろう。

 むろん「通常は」デメリットも存在する。まず第一に使用するための魔力が膨大。もともとがまだ若い頃のエヴァちゃん(といっても既に一世紀は確実に過ぎて居たろうが)が、修行明けといえど不死者としての完成度が低かった時代に、自らの不死特性をもとに開発した魔術である。今から考えれば確実に全盛期だった「ネギま!」時代の無制限状態エヴァちゃんにおいてはそもそも必要性すらなく、使っても所詮はお遊び程度の余興まがいな術だ。もっとも「UQ HOLDER!」時系列においては事実上切り札として使用しているため、やはりそれなりに彼女も弱体化しているのだろうが…………。

 第二に、一般人の使用を想定した術ではない点。発動するためには第三者、主にこの術が使える相手の手助けが必須である。ネギぼーずの場合はお師匠様であったエヴァちゃんであるが、これはおそらくそもそも「闇の魔法(マギア・エレベア)」の基本となるための「金星の黒」へのアクセス権を承認するという流れが存在するからだろう。これによって何が起こるかと言えば、肉体の異形化である。術式兵装自体が「金星の黒」の膨大な魔力と肉体の変化を前提としている技術であるため、肉体に負担が大きくかかる。使用に慣れれば慣れるほどその負担は増大し、ある程度のところでいずれ死に至る。運が良ければそこで「不死身のバケモノ」、つまりは「疑似真祖」「金星の不死研究の産物」たる吸血鬼特性を帯びた存在として復活することになるが、そんな復活はご都合主義的なおためごかしでもないと絶対にあり得ない。

 

 ただ、幸か不幸か私の場合は「生まれた時点で」双方ともにクリアはしている。ネギ・スプリングフィールドのクローン遺伝子を使用して作られた人造人間であるこの身は(おそらく野乃香お母さんは代理母と言えるだろう)、生まれながらに「金星の黒」へのアクセス権を持ち、また吸血鬼属性を帯びて生まれているためデメリットなど初めから存在しないといえる。

 

 そんな私が何故こちらを伸ばさずに血装術でそれっぽくなること(オサレ)に執心していたかと言えば…………。まぁ習得するまでが色々大変だということもあるが、大体は黒棒と、あと「痛いのは嫌」だからである。

 細かくは言わないがそういう事情なので、仮にこの技術が出て来るとするならもう少し先の話(コミックス4巻分くらい先だったか?)と思っていたのだが…………?

 

「それにしてもその髪……、しっくりくるような気がするよ、どうしてだろう?」

「よく分からねぇけど、俺も何かしっくり来るわ」

 

 くしくも熊本時代で雪姫にしこたま怒られた、髪染めリベンジに成功したような形であった。星月曰く「相棒は相性が悪いから、出来てもたぶん疾風迅雷くらいじゃないかな…………」と言っていたが、それが結果として髪をオレンジっぽい色に染め上げ、しかし死天化壮に影響を与えないと来てるとなれば、何が起こるか。

 

 職業高校生(嘘)、髪の色オレンジ(偽)、瞳の色ブラウン(嘘)。

 まさしく黒崎〇護(チャンイチ)、まさしく天鎖斬〇(オサレ)、まさしくBLEAC〇(オサレ)…………の完璧なコスプレである(低OSR)。

 

 以前一度「そういえば……」と思って雪姫に隠れて髪染めしようとして失敗して以来、髪の色までどうこうしようとは思っていなかったのだが。くしくも運が良いのか悪いのか、ガバの果てにここまで完成度を上げることが出来た……。惜しむらくは普段着なら黒い和服だったのでもっと完璧だったということか。

 

『――――いや、まぁ、調整はしてるからね? 相棒ってこういうのが好き、なんだよね。少なくとも「こっち」に生まれてからはずっと一緒だから、それくらいわかるよ』

 

 だから死天化壮状態で声だけ語り掛けて来るの止めろ♡(星月)

 

 いや、しかしこれぞまさに、正しく「男の子ってこういうの好きでしょ?」である。星月自体は信頼をあまりしていないが、こういう仕事には信用を置いているくらいにはしっかりやってくれているようだ。おまけに今の容姿や声や仕草は大河内アキラであるわけで、愛してるぜ星月! と言っても過言はないかもしれない(過言)。

 

『えぇッ!? あ、あうぅ……、そ、そういうことを普段から言ってるから、相棒は女の子に心臓刺されたり、鳩尾を蹴り飛ばされたり、おっぱい吸った相手から逆プロポーズかまされたり、キャッチボールにされたり、首斬り落とされたり、大明神ぱんち! されたり、冤罪かけられたりするんだよ…………』

「いやちょっと待て明らかに身に覚えのない情報混じってんぞ一体何の話だ一体っ!?」

 

 唐突に声を上げた私に三太と釘宮がビクッとなる。「な、なんか見た目がヤンキーっぽくなってるから少し苦手だ俺それ……」「情緒不安定か君は、どうした?」とそれぞれに言われたのを誤魔化しつつ、脳裏で星月の言ったことを一度整理しようとして――――。

 

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト――――」

 

 特に手を構えず呪文詠唱を始めたディーヴァのそれを聞いた瞬間、世界が急激に「遅くなった」。ディーヴァの詠唱の口の動きもゆっくりだし、にやりと笑いかけのちびティスの顔も中途半端な感じだし、何より「水の中に」入ったみたいに、まるで水のように、空気が、ねばつく。

 

「何、だ……?」

『…………まったく、女の子相手なら見境がないなぁ相棒は』

「いや、その話まだ続けてんのかよ、大体お前男だろ? 何気持ち悪いこと言ってんだ………」

 

『あれ? 私、いつ相棒に自分が男だって言ったっけ』

 

 ………………。

 ヨシ、後で考えよう!(思考放棄)

 

 とりあえずその場を飛行して離れながら(これも明らかに世界の動きが遅い)、顔に感じる微妙な不快感を払うためフードを被り直す。

 

「っていうかコレ、何だ? なんかちょっと、視界も少し暗くなって見えるし……」

『あ、それが「死天化壮(デスクラッド)疾風迅雷(サンダーボルト)」の効果その1ってところだ。今は気絶してるあの雷獣くん――――』

「あぁ、チュウベェ(ヽヽヽヽヽ)な?」

『――――あっ、名前それにするんだ。……何でチュウベェ? ジュウベェとかじゃなく』

「ちなみに字は子平(こう)でチュウベェ」

 

 雷獣(雷「(チュウ)」)の助「平」でチュウベェ。

 ライ、とかジュウベェ、とかだとちょっと格好良すぎるので、あえて少し外したところを狙う。〇護(チャンイチ)だって改造魂魄(モッドソウル)に「(カイ)だと格好良すぎるから」という理由で「(コン)」とつけていたりするので、そういう意味では日常パート的なアレである。

 

『そ、それでいいのかなぁ……、まあ契約は後で結ぶ話になるだろうし、説得は頑張ってね?』

「いやお前もそれは手を貸せな? で、それはそうと、こりゃ何の能力なのかって話で…………」

 

 単なる思考加速? にしてはそれに体が追い付いているのは不可思議極まりないが、だからといって全身が雷化して同速度で動いているようなものでもなく、思考速度もそれほど早いとは感じていない。そのあたりを伝えると「さすがだね、相棒!」とアキラちゃんの声で今にもナデナデしそうな勢いのある喜色で返してきた。…………(血涙)。

 

『相棒の場合ってホラ、基本的な部分はあんまり強化しても意味がないから。血風系も最終的な威力は「振り回す速度×黒棒の重量×血装の練度」で決定しているし。だから――――本来の「疾風迅雷」から総合的な筋力に振っている部分を、俊敏性、瞬発性とそれを制御できる思考能力に「全振り」してるってところだよ? 身体強度は実は意外とあるから、「音速くらいは」耐えられるし』

「…………?」

『えっと……、雑に言えば、今まで以上に素早く動けるってことだ。わかる?』

「流石にそこまで言われれば、まぁ…………」

『流石に現時点で雷と同じ速度が出るとは言わないけど、後は相棒の練度次第。ここまでお膳立てできれば、練習あるのみ、で行けるんじゃないかな? きっと、ネギくんにだって追いつける、頑張れ!』

 

 カトラス戦あたりを振り返っても思ったが、一〇(チャンイチ)ムーブをやろうとしても普通に出来るとはいえ、それとてネギぼーずの「雷速瞬動」に追いつけるかと言われると、果たしてどうなのだろうと思う所はあった。

 なるほど、意図せずではあるがそれに下駄を履かせてもらっているような状態になったということか…………。ネギぼーず襲来までに間に合うかどうかは別として、もし通常状態でネギぼーずクラスに追いつけるのなら、チュウベェを術式兵装すればそれを突破できると。

 

『――――まぁでも、ネギくんのことだから「雷天参壮(らいてんさんそう)」とか作ってきても不思議じゃないけれどね』

「そういう恐ろしいことを言うの止めろ――――血風、創天!」

 

 星月の不穏な発言を遮って、私は呪文詠唱が完了していなディーヴァめがけ、そのまま血風を放ち――――おや? まるで原作か新作アニメのごとく血風自体も「オレンジ系の金色」に光り輝いてる…………?

 

 そのまま誰一人として反応できず、輝く血風創天はディーヴァを呑み込み、衝撃と煙が上がった。

 

「フン、やったのか……?」

 

 ちびティスお前そんなこと言うんじゃないただでさえ小さかろうがフラグの塊なのだから、「やってない」フラグまで建てるんじゃない負けたら貴様の責任だぞ!(憤慨)  

 

 

 

 

 

 

 

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