皇帝のライバル   作:喜怒哀LUCK

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このくらいの文章量なら
週1~10日くらいで書けそう


海外

 無事退院できた私はトレーナーに海外進出することを伝え、その準備を進めていた。ただ世界に挑戦するといっても色んな手続きが必要になる。長期間の海外在住にはパスポートが必要になるし、住居、トレーニングするためのコースの確保、学生である以上教育機関としてトレセン学園からの承認等、あちこちに話を通すだけでもかなり時間がかかる。小難しいことはトレーナーがやってくれるから良いとして、私が一番苦労したのは両親の説得だ。

 先日レースで無茶した娘が、退院して早々海外に行くなんて言い出したら、真っ当な親は止めるだろう。例にもれず私の親もそうだった。それでもなんとか条件付き(毎日の連絡と週に1度ビデオ通話)で許しが出た。トレーナーもわざわざ私の家まで説得に来てくれたおかげでもある。ホント頭が上がらないね。

 

「一年もない短い間だったけど、ありがとねフジちゃん」

「リリー先輩も気を付けて。何かあったらいつでも連絡してくださいね」

 

 一応私の部屋として残しておいてくれるらしいけど、私物はほとんど持って行ってしまうのでフジちゃんの一人部屋になったも同然だ。寂しくなりますと言ってくれたフジちゃんは可愛い。異論は認めない。

 流石に新年くらいは家族と過ごして、冬休みが終わると同時に海外生活が始まるから、実質終業式の今日がクラスメイトたちに会える最後の日だ。あんまり関わり合いのなかったクラスメイトからも応援の言葉を貰って、学園を後にする。冬休みの間も身体が鈍らない程度にトレーニングして、ゆっくり過ごして、万全の状態で私は世界に足を踏み入れた。

 

「まぁ隣にいるのがリギルの東条トレーナーとは思ってなかったけどねー」

「あら、嫌だったかしら?」

「そうじゃないですけど、当然南坂トレーナーが一緒にいると思ってたもんですから」

「彼はまだこっちに知り合いも伝手もないもの。少なくとも生活基盤が安定するまでは私が面倒を見るわ」

 

 南坂トレーナーは日本で東条トレーナーの作ったメニューをこなすリギルのメンバーを見ている。何かあればその都度連絡を取り合って指示出しをすることで、東条トレーナーが戻るまでの代わりをしている。こっちでの生活はウマ娘育成スクールの寮を借りて生活するが、寮と言ってもほぼ一軒家みたいなところで、既に一人ウマ娘が住んでいるらしいから、ホームステイのようなものだ。ある程度はその娘とコミュニケーションをとりながらの生活になるが、食事や洗濯などの家事は別々にしないと文化の違いが生まれるだろうからと、近くのスーパーマーケットなどの位置を覚えないといけない。

 

「それよりも、着いたわよ。貴方がこっちでトレーニングする間に使うコースよ」

「へー。ひっろいなぁ」

 

 日本のトレセン学園も広かったけど、それよりもさらに広い。広大な土地を存分に使って色んなコースの再現までしている。それなのにウマ娘達が溢れかえっているのは、日本よりも母数が多いからだろう。全員が鎬を削りあって頂点を目指しているんだ、死に物狂いで。日本のレベルとは訳が違うってことね。

 いいね、面白くなってきたじゃん。

 

「コースを使うのは明日以降。今から貴方が一緒にトレーニングするチームのトレーナーに挨拶に行くわよ」

 

 イメージとしては夏合宿に近い感じだろうか、他所のチームに私が混じり、個人練習のみ別で行い、並走などは手伝う。合宿の時はシンボリルドルフと走るレースが被っているからアドバイスなんかは余りなかったけど、今回は結構口出ししてくれるらしい。そこらへんは南坂トレーナーとのかみ合いだけど、本場の指導でレベルアップできるなら私としてはwelcomeだ。

 どっちかっていうと、合宿よりも長い期間こっちにいることで、食事が合わなかったり気温の変化とかに体が慣れるかが心配だなぁ。

 

「シンフォニアリリー、こちらが貴方がお世話になるチームのトレーナー、クリス氏よ」

『初めまして日本のお嬢ちゃん、君にとって実りのある遠征になること願っとるよ』

「お世話になります。こちらこそ、色んなことを学ばせていただきます」

 

 クリスさんは初老の男性だった。割とフランクな感じで手を差し出してくれたので、こちらもやりやすい。他所のウマ娘がやってきて不満に思われて、ギスギスしていると困るからね。

 

『早速だけど、君と同じ部屋に住む教え子を紹介するわ』

 

 そういってクリスさんは一人のウマ娘を呼んだ。

 金髪で毛先が青い、見た目は活発そうなんだけど、まじめな雰囲気をしたウマ娘だ。

 

『自己紹介したり』

『初めまして、日本のウマ娘さん

 

オベイユアマスターよ』

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