守護霊はゴースト   作:修司

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実写版の見える子ちゃん見てきました。
なるほど、話の舞台は群馬だったのか。
ふむふむ、やはりはなちゃんのオーラには回復能力があったのか。
ほうほう、そして霊感がある生徒会長が・・・




誰だお前⁈あっちへいけ!


イッカイ

かつてその村は僻地ではあるものの多くの人が住む場所だった。

季節ごとに実る幸を売り、近くの海には漁に出て、贅沢ができるというほどではないものの恵まれた場所だった。そんな場所ゆえか住む人たちも穏やかな性質で、心優しい人が多かった。

 

反対に隣の村は同じくらい人は多く集まってこそいるものの素行の悪い人間が多く、博打を打ったりこちらの収穫物を盗んだりと問題が多い村だった。

もちろん駐在所こそあるものの、何度注意しても改められることはなくトラブルとなる事が多々合った。

 

 

 

豊かな村には一人の子供がいた。子供に両親はいない。かつての日露戦争によって父親を、流行病によって母親を失っており山の上の寺に預けられていた。

しかし子供は少しも寂しくはなかった。寺の和尚は抜けていることはあれど子供の遺産の管理をしてくれており村の人々と同じく心優しい人物であるし、近所には歳の近い子供も何人かおりその子たちとも仲が良かった。

 

 

そんな環境で育ったが故に少年も負けないほど心優しく自立ができるようになったら和尚に恩返しをしようと考えていた。

 

少年の名は真浄武命。後の守護霊である。

 

 

 

 

 

 

 

 

『これは・・・まずいな・・・』

 

今俺は完全武装かついつでもキックを放つことが出来るように準備している。

こんな緊張感に包まれることは久しぶりである。何故ここまで焦っているのかというと今日赴任してきた教師が原因だ。

 

 

【遠野善です。みんなよろしくね】

 

みこちゃんの担任の荒井先生が育休に入り赴任してきた彼は、かつてみこちゃんたちの前に現れ凄まじい力を誇る女郎蜘蛛の主の男だった。

 

『ここまで嫌な空気が漂ってきてる・・・!』

 

 

窓と外を隔てた先だというのに感じる嫌な気配はこちらにまで届きそうだ。窓に張り付く黒い手形と爪痕は彼が通った後だというのにまだ残ってる。

みこちゃんの身の安全が第一だ。そこは変わらない。だがあの女郎蜘蛛相手に対抗できるだろうか・・・。

 

 

『いや、一つだけ・・・』

 

そう呟いて握る手の中。そこには以前神社で手に入ったと思われる不気味な目玉があった。気味悪いということもあって触れてこなかったものだが、いざという時は・・・

 

 

『あ、みこちゃん戻ってきた。』

 

そうこう考えているうちにお手洗いからみこちゃんと何故かミリアちゃんがお弁当片手に戻ってきた。

当然といえば当然だが、俺は女子トイレの中には入れない。入れないというより入らない。更衣室は時間以外には誰もいないがトイレの場合いつ誰がいるかわからないのだ。

マナーというやつである。

なのでいつもチャージした弾丸を外から打ちまくっている。

 

 

(たまに飛んでくる火の玉の正体こいつか・・・!)

 

何やらミリアちゃんが睨んでくる。確かに申し訳なかった。まさか見える人がいたとは最近まで考えていなかったのだ。とはいえ何故この子は弁当持ってトイレに・・・?

 

 

 

(なんかムカつくこと考えてそう・・・)

 

 

「ゆりあちゃんっていつもあそこで食べてるの・・・?」

 

『・・・え?』

 

 

「ッ・・・別にっ・・・いいでしょ」

 

 

『え?!』

 

なんということだろう。この子予想よりも可哀想な子だった。これまでの勝ち気な性格はこれらを隠すための強がりだったというのか。思わず変な汗がでて仮面で隠れた口元を覆う。

それをみたミリアちゃんは青筋を立てるもののみこちゃんが声をかけた。

 

「ダメだよ。もうあんなところで食べないで。私たちと食べればいいから」

 

 

みこちゃんはベンチに座って王蟲みたいな形をしたパンを食べるはなちゃんを指差す。

それを聞いたミリアちゃんは頬を膨らませつつも嬉しそうにしながら下唇を噛んで黙ってしまった。

嬉しかったのだろうか。

 

(あんま見えないし危ない・・・彼もカバーするだろうけどあんなのきたら・・・)

 

二人ははなちゃんと合流すると仲良く昼ごはんを食べ始める。

はなちゃんは王蟲パンを3つ目で嫌になったのかミリアちゃんに押し付けようとしている。テンションが上がっているのか受け取ってしまいそうだ。

 

「えぇ・・・」(断ればいいのに・・・」

 

(四谷さんめっちゃ止めようとしてくる・・・!でも善意からくるものだし・・・持って帰って別々に・・・!)

 

そんな様子を眺めながらため息をついて上を見上げる。

この学校の奴らもだいぶ少なくなってきていた中でのあれだ。せっかく楽できるようになるって期待を返して欲しい。

 

『でも仕方ないよなぁ・・・本人からしたらそんなこと知ったことではないし』

 

 

ある意味可哀想でもある。せっかく大人になったのにあんなふうに縛られて、しかも本人の周りの人に被害を与える。

まだ幽霊としてまともな状態の俺がなんとかしてあげたいが・・・

 

 

 

『ん?』

 

「あ、遠野先生だ!ヤッホー!」

 

「え・・・あ、ほんとだ」(い、いる・・・!)

 

(え、先生取り憑かれてる・・・)

 

 

 

 

そこには遠野先生がこちらを見つめており女郎蜘蛛も臨戦体制となっていた。

女郎蜘蛛はその背中から腐り果てた腕を何本も生やし窓枠へとかけてゆく。やがてそれらに力を込めるとーーーー

 

 

 

『こっちは先に準備してんだよ!』

『ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!』

 

聞こえるものだけの耳に肉が引き裂ける音が響き渡る。

こちらに向かって女郎蜘蛛は長く伸びた腕を伸ばしてくるが、それをエーテルを込めた妖剣の刃で防いだのだ。しかしそれで勢いは止まらない。刃によって腕は二つに裂けていくものの衰えない勢いに思わず刃に手を添え支える。

 

(お、押し切られる・・・!)

 

『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

!』

 

 

そんなオレを見かねたのかカシャが本体に体当たりを喰らわせることにより腕の勢いは止まった。

衝撃で尻餅をついたがすぐさまミリアちゃんにここから離れるよう目配せをする。とはいえ今の状態ではあまり見えてないだろうし通じるかどうかは賭けだが・・・。

 

 

「・・・・・ッ!あ、あー。ちょっと暑くなってきたし、教室の方に行かない?」

 

「え、そうかな?あったかくてちょうど良いと思うけど〜」

 

「(ッ・・・!お願い!)ミリアちゃん暑さ弱いんだ〜。無理良くないし教室行こっか」

 

そういうと3人は立ち上がりこの場を離れていく。

よかった。彼女には今の自分はパントマイムのように写っているのではと心配したが自分に見えるもの、見えないものがあるとなんとなく理解したらしい。

 

(あの先生に何か強いのが取り憑いてるのね・・・!見えなくてもわかるわ!ここは任せなさい!)

 

(・・・・・)

 

なんか一瞬みこちゃんがすごい目でミリアちゃんを見ていた気がするが気のせいだろう。

 

 

 

『さて、この間のリベンジだ・・・』

 

自分の一言に合わせるようにカシャがエンジン音を響かせる。

こちらに向けて声にならない声を響かせる女郎蜘蛛に対して手始めに銃撃を仕掛ける。

 

『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!』

しかしそれらに構うことなく突っ込んでくる女郎蜘蛛はこちらに向かって爪のような触手を吐き出してくる。

横に転がりながらこちらも相手に向かって走り拳を叩きつける。

 

(硬い・・・!)

 

仮面の下で顔を顰めつつパンチの勢いを利用して跳躍。回転しながらエーテルを今度は右足に込めキックを脳天へ叩きつけようと落下する。

だがこれが当たるなんて心から思ったわけではない。背中から無数に伸びる腕を上空の自分に向かって伸ばすものの溜まったエーテルの蹴りを一本一本に叩き込み身を守りながら落下していく。

このまま降りたところでキックの威力は落ちている。なので掴んだ妖剣を構えながら相手の背中に突き立てる。

 

(ぬ、抜けない・・・!まずい!)

 

わずかに刺さりはしたものの大したダメージではないらしい。刺さったは良いものの傷口に力を込めることでこちらの武器を使えなくしていた。

上から降り注ぐ無数の腕と先の尖った触手。すぐさま剣を手放しベルトに収まった目玉を隙間から投げる。

 

同時に本体と別れたパーカーが一部の触手と手を弾き飛ばしできた隙間を跳躍。再び空中で一つになったオレはそのまま空中回転をして奴の目の前に着地した。

 

手に再び妖剣を召喚して切り掛かる。だが今度は相手が先ほど刺さった妖剣を投げつけると同時に無数の触手を伸ばしてくる。

 

『つまり今なら傷口に!』

 

一手 飛んできた妖剣を弾き飛ばす。

 

 

二手 その後ろから迫る触手を左手で掴むと同時に触手と共に後ろに下がる。

 

三手  上空に再び上がるオレの周りに触手と腕の包囲網。

 

四手  ベルトから目玉を外し隙間に投げる。パーカーが本体の傷口へと迫る。しかし2度目の奇襲に警戒されていた為先ほどまでこちらに向いていた触手の全てがパーカーへと狙いを定める。

だがこれで良い。

 

『今度はこっちが囮だよ!』

 

ブランク体となった状態で先ほど飛ばしたもう一本の妖剣を掴み二刀流となる。その二つを妖銃形態へと変形させるとフルオートで弾丸をばら撒いた。

辺りに響く重低音。飛び散る血潮と血飛沫、触手の肉片。

 

パーカーは傷口からUターンしてオレへと向かってくる。

そして降りてくるオレと再び一つとなるとベルトを操作してエーテルを右足へと込めると同時にカシャの前輪へ左足を乗せる。

タイヤの回転の勢いと、オレ自身の自由落下の威力を足して出すいまのオレに出来る最大威力の蹴りだ。

 

『これならどうだああああッ!!』

 

 

今度は外すことはない。確実に先ほど作った傷口へと必殺の一撃を叩き込める。

勢いを削ぐ触手も腕もない。勢いをつけて落ちるオレの体はそのまま傷口へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

『ダメージなし・・・か』

 

やはりというべきか、

さっきからこちらの攻撃にほとんどダメージが入っていない。伸ばしてきた腕を切り裂いて見えても無数にある一本でしかなく意味がない。 向こうの攻撃も防げてはいる。しかしそれだけではいずれみこちゃんたちにその魔の手は届くだろう。

当たり前といえば当たり前だが、学校に通うということは毎日顔を合わせることと同じなのだ。

 

 

『ふうー・・・・よしっ!』

 

 

 

オレはあの神社で手に入れた目玉の使用を決意する。

このまま戦っていてもジリ貧で勝つことはできない。だったら多少のリスクを背負っても大きなダメージをあいつにぶつけるしかない。

 

 

『悪いが、こっから先のオレはしぶといぞ』

 

 

そうして取り出した灰色の目玉。

それが一瞬こちらを向いた事に気づきつつも今の自分の目玉を取り出してベルトへとセットする。

その瞬間ーーー

 

 

 

『ッ!?ウッ、ウブッ、グ、ぐううっ!』

 

感じるはずもない猛烈な吐き気と悪寒が全身を襲った。

本来感じるはずもないそれら二つは不意打ち気味に訪れたことによって先ほどの戦いよりもダメージを与えていた。だがそれでも今のやつから目を離さない。気合を入れてベルトのレザーを押し込むとかつて聞いたはずの忌々しい音声が辺りに鳴り響いた。

 

 

『ハンテン!アーイ!

 

 

 

   ミツーメロ

 

     ミツーケロ

 

 

         ミツーメロ

 

 

     ミツーケロ

 

       ミツーメロ     

ミツーケロ

 

   ミツケロ    

ミツメロ

 

 

 

 

恐怖を感じることのないはずの女郎蜘蛛が後ずさる。ぼろぼろのローブがベルトから現れると同時にいつの間にやらオレの横に立っている二体の異形が何やら印を形作ると同時にローブがオレを包み込んだ。

 

 

『ッッヅッ!!!!超変身!!』

 

『■■■■■■!』

 

『チョーカイガン!タタリ!』

『words of curse!!

ゴ・ゴ・ゴ!ゴ・ゴ・ゴ!ゴ・ゴ・ゴ!

GODゴースト!!』

 

 

 

 

変身完了。

それと同時に力の使い方と同時に何かが自分の頭の中に流れ込んでくる。おそらく生きているものが決して味わうことがないであろう苦痛。表現できない苦しみが休みなく襲いかかってくる。

 

 

『ぐゔゔゔゔゔぐぶぐゔゔゔっ!!!!』

 

言葉にできない唸り声が口から漏れ出す。だがこれで良い。確かにこの目玉から感じる力の波動はこれまでとは比べ物にならないほど強い。

こちらに再び攻撃を仕掛けてくる女郎蜘蛛。だが関係ない。オレは両手を胸の前に構えて力を込める。

『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!』

 

 

『もうっ!おゾイッ!!』

 

クラッシャーから溢れる黒い血を噛み締めながらその言葉と共に念動力が迫り来る全ての触手を止めた。

これまで見せてこなかった焦りのような動きを見せる女郎蜘蛛との中心点に念動力を込めるとブラックホールの如くその体を引き込み始める。

 

悪いがこっちとしてもこんだけリスクある変身をしたんだ。それ相応のダメージは受けてもらう!

 

 

ベルトのレバーを引くと同時に溢れるエーテルが右腕へと集中する。普段のオレンジとは違う赤黒いエーテルが変身体の装甲を侵食し始める。だが構わない。やがて皮膚すらも消し飛ばしむき出しになる筋肉の上を覆い尽くす黒い波動。

それらを目の前の敵にぶつける。

 

 

くらえッッッ!

  これがオレ必殺の!

 

 

『ライッダアアアアアアアアッ!

 

 

 

   パアアアアンチッッッッッ!!!!』

 

 

 

気合を込めた一撃。

 

自然に口から出た必殺技を叫びながら放たれたそれは、防御する触手も腕も無視して女郎蜘蛛の体の半分を消し飛ばした。

 

『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️?!』

 

 

砕け散った肉片と触手が辺りに飛び散りはビチビチと跳ね回る。

女郎蜘蛛は悶え苦しみながらこちらを一瞥すると体の半分を引きずり内臓をこぼしながら遠野先生がいると思われる方向へと逃げていった。

 

 

 

『ハーッ!ハーッ!ッハーッ!』

 

 

それを確認すると同時に変身を解くと同時にベルトを解放する。

ベルトと一体化しようとしたのか血管のようなものが張り巡らされているもののそれも構わずぶちぶちと引きちぎって無理やり目玉を抜き取った。

 

赤黒い液体と共に取り出された目玉は最初と同じように一瞬だけこちらを見ると

 

イッカイ・・・

 

 

という声と共に瞼を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・』

 

 

気がつけばオレはカシャに乗せられた状態でみこちゃんの後ろを走っていた。

やはり意識を失ってしまっていたのかいつのまにか夕方となっており今いる場所も学校ではなく見覚えのある帰り道だった。

 

 

『なんとかなった、かな・・・』

 

 

今日は少しどころではない無理をしたと思う。

あの超変身への危険性はなんとなく気づいていたにも関わらず無理やり使ってその上必殺技まで使用してしまった。痛みの走る右腕に視線を向けると全体的に焼き爛れたかの如く変質した皮膚と剥き出しの筋肉がいまだにそのままとなっていた。おそらく再生が阻害されているのだろう。

 

『ぐ、ううう・・・』

 

 

エーテルを込めて無理やり再生させる。

幸いはなちゃんの近くにいたおかげかエーテル自体は豊富に残っておりなんとか完全修復まで持っていくことができた。

 

 

『服は・・・しばらくはこのままかな・・・』

 

 

何度めかも忘れたため息を再び吐き出してみこちゃんに視線を向ける。この子に何故か集まる何かを相手に出来る守護霊というのは多分だけど自分以外にいないだろう。真守さんも家に縛られている以上自分が頑張るしかない。

 

 

『気をつけなくちゃ・・・。』

 

 

この子は決してあいつらに好き勝手に蹂躙されて良いような子ではない。

友達思いで、家族思いで、誰かに優しくすることができる子なのだ。そしてそれはこの子の友達達も当てはまる。

そしてオレはそんな彼女達の日常が大好きなのだ。

 

『頑張ろう・・・』

 

 

だから戦う。

遠くでカラスの声が聞こえる。あと数時間と経たずにあたりは暗くなるだろう。奴らの時間だ。

湧き出てきた何か達に立ちはだかるように再びオレはパーカーを纏い変身して、カシャのアクセルを回して立ち向かった。

この子の日常を守る為に・・・。

 

 

 

 

 

 

そうして背を向けた先、何よりも守りたいと願った者が流す涙に、彼が気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




映画ちょっと色々耐えられんかった・・・。汗
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