【妹が】猿だと思っていた妹に猿だと呼ばれた件について【魔法使い】 作:かりん2022
外界から閉ざされた魔法の村。
そこに、傑と優は少しずつ仲間を引き込んでいった。
呪霊のいない、小さな箱庭。平和な世界。
穏やかな生活は、私を強く惹きつけていた。
魔法使いに支配される世界がこの平穏ならば、受け入れてやってもいい。
思わず、そう考えてしまうほど。
そうだ。
呪術師を全てスカウトして、この箱庭で暮らしてしまえばいいじゃないか。
妹も言っていた。
そもそもなんで非術師を守るのかと。
術師は術師。非術師は非術師。
棲み分けって大事である。
だが、術師達はどうにも村に居着いてくれなかった。
どうやら、七海も術師をやめたらしい。
私は、早速接触をすることにした。
「夏油さん……!? あなたは死んだはずでは!」
「いや? こうして生きてるよ。実は、七海をスカウトしようと思って」
「スカウト?」
「ああ。術師だけの村があるんだ。そこで一緒に暮らさないか?」
「術師だけの村、ですか」
「そうだ。楽園だよ」
「夏油さんもそこに住んでいるのですか」
「そうだよ。私の仲間は日本征服なんて企んでいるけれど、私は平穏な日常が続けていけたらそれでいいと思ってる。現状維持派の派閥を増やしたいんだ。頼むよ」
「それ、断ったら殺されます?」「いや? 記憶が消されるだけだ」
七海は、突如失踪して、記憶を失ってリフレッシュして帰ってくる術師たちのことを知っていた。
「行きます」
なんだかんだで、かなり興味のある七海だった。
片田舎の穏やかな生活。魔法というスパイス付き。
呪霊退治の必要もない。でも、このままで良いのか。そういう気がとてもする。
ここは平和だが、外では今も呪霊に襲われている人たちがいるのだ。
一ヶ月ほど生活して、七海はお暇することとした。
「夏油さん。私は、帰ろうかと思います」
「何故?」
「気づいたんです。私には、持って生まれた力を、生まれてきた意味を放り捨てることはできません。術式の否定はできない。夏油さんも、ずっとそう思っているのではないですか? でもまあ、ここの生活は忘れたくないほどに穏やかで良い物でした」
「七海……。ここにいさえすれば、皆平和に生きていけるのに。何故、上手くいかないのかな」
「ここの生活は夢にしかすぎませんから。ですが、心地のいい夢でしたよ」
そこで、優が記憶を消して七海を村から追放した。
傑はため息を吐く。
外は大変なことばかりなのに。
辛いことばかりなのに。
術師は、誰も彼も外へと飛び出していく。
運命は、変えられないのだろうか。
「本当にマゾいわね。呪術師って。そんなにすりつぶされて死にたいの?」
「そうかもね。過去の私なら、七海のいうことを理解したと思うよ。でも今の私はダメなんだ。私は弱くなった」
「ふーん。どうでもいいけど。十年茶番に付き合ったから、次は私の番よ!」
「ああ、次は私が付き合うよ」
「安心なさい。すり潰されたい呪術師の欲求、しっかり叶えてあげるから。日本征服計画、始動するわ!! まずは、宣戦布告ね」
「ああ、神秘のベールを引きちぎって、魔法を、呪いを知らしめてやろう」
優が十年で開発した呪文。それは、呪霊の可視化呪文という。
村は滅ぼしてないことにしたし、往生際悪く頑張ったけど、犠牲も罰も避けては通れないんだなって。
そりゃ日本征服なんて考えたら普通に処刑は不可避か……。
救済厨なので書いてて少し苦しかったです。仕方ないね。本誌からして地獄だし、この話は悪役主人公だからね。
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